(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004843
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】計測監視システム
(51)【国際特許分類】
G01D 9/00 20060101AFI20240110BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01D9/00 F
G05B23/02 301U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104705
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 創一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 徳弘
【テーマコード(参考)】
2F070
3C223
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070CC01
2F070CC03
2F070CC11
2F070DD14
2F070FF08
2F070FF09
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF33
3C223FF34
(57)【要約】
【課題】異常発生時のデータを記録可能な計測監視システムにおいて、計測環境に起因するノイズの影響を抑制してデータ保存量を抑制可能とすること。
【解決手段】計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部61と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部62と、判定時間調節部で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部63と、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部64と、を備えた計測監視システム1とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部と、
計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部と、
判定時間調節部で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部と、
判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部と、
を備えた計測監視システム。
【請求項2】
計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部と、
計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部と、
判定時間調節部で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部と、
計測データの保存と保存された計測データの一定時間後の自動消去が可能な仮保存部と、
判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、仮保存部に保存された計測データのうち、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部と、
を備えた計測監視システム。
【請求項3】
自動消去されないように保存する計測データの保存量を調整して設定可能な保存量設定部を備えた請求項1に記載の計測監視システム。
【請求項4】
保存量設定部は、計測値が第1閾値を超えた大きさに応じて保存量を決定するように制御可能であり、
計測値が第1閾値を超えた大きさが大きい場合に保存量が多くなるように決定する請求項3に記載の計測監視システム。
【請求項5】
保存時間設定部は、計測値が第1閾値を超えた時間に応じて保存量を決定するように制御可能であり、
計測値が第1閾値を超えた時間が長い場合に保存量が多くなるように決定する請求項3に記載の計測監視システム。
【請求項6】
判定時間調節部で一度判定時間が設定されると、その判定時間を過ぎるまでは、新たに判定時間が設定されない請求項1乃至5の何れかに記載の計測監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、電路に流れる電流値などの計測値が異常であると判定された場合に異常が発生した前後の計測データを保存するようにすれば、常時計測データを保存することと比べて保存容量の削減や、計測システムの負荷の軽減をすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、計測環境毎に計測波形の特性が異なるが、異常判定を行う基準があらかじめ決められ、固定されている。このため、異常判定漏れを防ぐために判定基準を緩くした場合、不要な異常判定も多く含まれてしまう。不要に異常と判定された前後の計測データも保存してしまうと、保存容量や計測システムの負荷が増大してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、異常発生時のデータを記録可能な計測監視システムにおいて、計測環境に起因するノイズの影響を抑制してデータ保存量を抑制可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部と、判定時間調節部で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部と、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部と、を備えた計測監視システムとする。
【0007】
また、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部と、判定時間調節部で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部と、計測データの保存と保存された計測データの一定時間後の自動消去が可能な仮保存部と、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、仮保存部に保存された計測データのうち、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部と、を備えた計測監視システムとすることが好ましい。
【0008】
また、自動消去されないように保存する計測データの保存量を調整して設定可能な保存量設定部を備えた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、保存量設定部は、計測値が第1閾値を超えた大きさに応じて保存量を決定するように制御可能であり、計測値が第1閾値を超えた大きさが大きい場合に保存量が多くなるように決定する構成とすることが好ましい。
【0010】
また、保存時間設定部は、計測値が第1閾値を超えた時間に応じて保存量を決定するように制御可能であり、計測値が第1閾値を超えた時間が長い場合に保存量が多くなるように決定する構成とすることが好ましい。
【0011】
また、判定時間調節部で一度判定時間が設定されると、その判定時間を過ぎるまでは、新たに判定時間が設定されない構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、異常発生時のデータを記録可能な計測監視システムにおいて、計測環境に起因するノイズの影響を抑制してデータ保存量を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ベースモジュールとサブモジュールが組み合わされて構築された計測監視システムの例を示す図である。
【
図2】信号レベルの例を比較できるように示した図である。ただし、(a)は重大な異常ではない場合の信号レベルの例であり、(b)は信号レベルが大きい重大な異常である信号レベルの例であり、(c)は第一閾値を超えている時間が長い信号の例である。また、「t」は自動消去されないように保存する計測データの保存量と保存されるタイミングの例を表している。
【
図3】第1閾値を超える時間が長い場合に、第1閾値を超える前の一定時間分の計測データと、第1閾値を下回ってからの一定時間分の計測データを自動消去されないように保存することを示した図である。また、「t」は自動消去されないように保存する計測データの保存量と保存されるタイミングの例を表している。
【
図4】計測値用閾値設定部で設定する閾値が複数存在する例を示す図である。また、「t」は自動消去されないように保存する計測データの保存量と保存されるタイミングの例を表している。
【
図5】判定時間内に第1閾値を超えている時間をデータが計測された回数(カウント数)から判定する例を示す図である。ただし、第1閾値に3回達したら計測データが自動消去されないように保存するように設定している。
【
図6】第1閾値を超えた信号のレベルと第1閾値を超えたカウント数の双方を基に保存時間係数を定め、この保存時間係数から自動消去されないように保存する計測データの保存量(計測データの時間長さ)を定めることを示す図である。
【
図7】
図6に示す表のように保存時間係数の振り分けがなされた場合の、異常電流の発生例から保存量が定めるまでの例を示す表である。
【
図8】電源波形の電源周期の間に信号のやり取りが行われることを表す図である。
【
図9】特定の時間の1秒における各周期で電圧、電流、加速度、接点のオンオフなどのデータをベースモジュールに取り込んだことを表す表である。ただし、商用周波数は50Hzとしている。
【
図10】電流の経時的変化と音の経時的変化を比較していることを表す図である。
【
図11】R相の0点が確認されたことを意味する通知の直後に通信開始信号が発せられ、R相に関しては、受信した通信開始信号の直前のR相の0点までの電源周期で計測された計測データを送信し、T相に関しては、受信した通信開始信号の直前のR相の0点から60°遅れた位置までの電源周期で計測された計測データを送信し、R相及びT相の計測データの送信が、0点が確認されたことを意味する通知から電源周期(この例では20ms)までに行われていることを表す図である。
【
図12】
図11よりも180°手前で計測された計測データを送信する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1に示すことから理解されるように、本実施形態の計測監視システム1は、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部61と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部62と、判定時間調節部62で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部63と、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部64と、を備えた構成としている。
【0015】
異常の発生が疑われる状況であるか否かを確認できるようにするため、実施形態の計測監視システム1は、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部61と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部63と、を備えている。また、実施形態の計測監視システム1は、設置環境によって判定時間を調節できるように、判定時間を調節可能な判定時間調節部62を備える構成としている。
【0016】
また、異常の発生が疑われる状況となった場合に、後から計測対象についての計測値の変化を分析できるようにするために、実施形態の計測監視システム1は、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部64と、を備えた構成としている。
【0017】
このため、異常発生時のデータを記録可能な計測監視システム1において、計測環境に起因するノイズの影響を抑制してデータ保存量を抑制することが可能となる。
【0018】
また、計測データを一時的に保存できるように、計測データの保存と保存された計測データの一定時間後の自動消去が可能な仮保存部65を備える構成とすることが好ましい。仮保存部65に保存された計測データは一定時間後には自動消去が可能なので、保存しておくデータの量を抑制しながら継続して記録をすることができつつ、異常の発生が疑われる状況となった場合に、当該状況となる前の一定量の計測データは一定時間確保できる。このような仮保存部65に記録されたデータは、自動消去されるまでは、処理可能であるため、必要に応じて、部分的にデータを自動消去されないように保存することも可能となる。
【0019】
そこで、実施形態では、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部61と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部62と、判定時間調節部62で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部63と、計測データの保存と保存された計測データの一定時間後の自動消去が可能な仮保存部65と、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、仮保存部65に保存された計測データのうち、少なくとも計測値が第1閾値に達する前の所定時間の計測データを含む一部の計測データを自動消去されないように保存するための保存命令を出力する保存信号出力部64と、を備えた計測監視システム1としている。
【0020】
異常事象が発生したことが検出される前のデータは、仮保存部65にいったん記録されるが、異常事象が発生したことが検出された後のデータは、仮保存部65に記録しても良いし、仮保存部65には記録せずに他の保存部に記録しても良い。
【0021】
また、異常事象が発生したことが検出された場合、異常事象が発生したことが検出される前のデータの少なくとも一部が自動消去されないように、保存信号出力部64が保存命令を出力する。この保存命令により、必要なデータが保管されることになるが、保管は色々な方法で実施できる。例えば、仮保存部65に、必要データをそのまま記憶するようにしても良いし、仮保存部65に残るデータを他の保存部に移動させるようにしても良い。他の保存部への移動は、データをコピーして移動させるものでも、データを切り取って移動させるものでも良い。また、データの一部を削除するなどの加工を行ったうえで保存しても良い。
【0022】
ところで、計測環境や計測項目により、必要とされるデータの量(記録時間の長さ)はさまざまである。例えば、計測項目が電流である場合は計測値が短時間に大きく変動するため、温度のように電流よりも緩やかに計測値が変動する計測項目よりも必要とされるデータの量が少なく(記録時間を短く)設定できる場合もある。このため、自動消去されないように保存する計測データの保存量を調整して設定可能な保存量設定部66を備えた構成とすることが好ましい。そうすれば、一律に保存量が定まる場合と異なり、計測環境や計測項目に応じた保存をすることができる。
【0023】
また、突発的に大きく計測値が増大するようなことも生じ得る(
図2の(b)参照)。このような場合は、重大な問題が生じている可能性があるため、調査のためには記録されているデータが多い方が好ましい。そこで、保存量設定部66は、計測値が第1閾値を超えた大きさに応じて保存量を決定するように制御可能であり、計測値が第1閾値を超えた大きさが大きい場合に保存量が多くなるように決定する構成とすることが好ましい。保存容量を抑制しつつも、事象の原因究明に対応させることができる。
【0024】
また、計測値が長く閾値を超えるようなことも生じ得る(
図2の(c)参照)。このような場合は、重大な問題が生じている可能性があるため、調査のためには記録されているデータが多い方が好ましい。そこで、保存時間設定部は、計測値が第1閾値を超えた時間に応じて保存量を決定するように制御可能であり、計測値が第1閾値を超えた時間が長い場合に保存量が多くなるように決定する構成とすることが好ましい。保存容量を抑制しつつも、事象の原因究明に対応させることができる。
【0025】
ところで、
図2に示す例では、計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、判定時間の開始時間の前後で間隔を置くことなく、計測データを自動消去されないように保存している。このような例に限らず、計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、判定時間の開始時間の前後で間隔をあけて計測データを自動消去されないように保存してもよい。
【0026】
例えば、計測値がかなり長く閾値を超えるようなことも生じ得る(
図3参照)。このような場合は、計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超えた場合に、判定時間の開始時間より後の計測データについては、第1の閾値を下回ったタイミングから計測データを自動消去されないように保存している。このようにしても、閾値を超える前の計測データと、閾値を下回った後の計測データから閾値越えの原因を調査できる。
【0027】
ここまでは、第1閾値が一つだけ設定されている例を挙げて説明したが、第1閾値は複数設定されていても良い。第1閾値を複数設けることで、各々の計測値のレベルで計測データの保存に関する判定をおこなうことができる。例えば、
図4に示す例では、計測値を太陽光発電により発生する電流の最大値とする。この場合、第1閾値Aは発電が十分に行っていると判断されるレベルの電流の最大値を表し、第1閾値Bは異常と判断されるレベルの電流の最大値(落雷時など)を表す。第1閾値Aでは、十分な発電がされる前後での計測データ異常がないかを把握することができる。第1閾値Bでは、落雷時前後での計測データ異常がないかを把握することができる。
【0028】
ところで、実施形態では、計測値に対する閾値である第1閾値を設定可能な計測値用閾値設定部61と、計測値が第1閾値を超えてからの一定時間として設定される判定時間を調節可能な判定時間調節部62と、判定時間調節部62で設定された判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間に対する閾値である第2閾値を設定可能な判定時間用閾値設定部63と、を備えている。これらを備えていることにより、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超える状況にあるか否かを判定することができる。
【0029】
しかしながら、計測値が第1閾値を超えてすぐに第1閾値未満になるということが繰り返される場合があり得る。計測値が第1閾値を超えた都度、判定時間を設定するように制御されている場合に、このような繰り返しがなされると、同時期に多数の判定をするための処理が行われることになる。このようなことは、計測監視システム1の負荷を大きくし得る。
【0030】
このため、計測監視システム1は、判定時間調節部62で一度判定時間が設定されると、その判定時間を過ぎるまでは、新たに判定時間が設定されない構成とすることが好ましい。
【0031】
なお、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値に達する状況にあると判定するのは、第1閾値を超えた状態が連続で続いた時間が第2閾値を超えた場合でなくてもよい。判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間を合計すると第2閾値を超える場合も、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超える状況にあると判定しても良い。
【0032】
また、判定時間内において計測値が第1閾値を超えている時間が第2閾値を超える状況にあるか否かを確認するためには、直接的に時間を計測する必要はない。例えば、電源周期(60Hzでは1/60秒、50Hzでは1/50秒)単位とした時間で、閾値を超えたときから何回単位時間のカウントがされたか(カウント数)を判定時間としてもよい。
【0033】
また、単位時間毎を1カウントとして扱ってもよいし、複数の単位時間の連続時間を1カウントとして扱ってもよい。例えば、4単位時間を1カウントとすると、1から4単位時間であれば、1カウント。5から8単位時間であれば2カウント、として認定することなどとしてもよい。
【0034】
図5に示す例では、判定時間内に第1閾値を超えている時間をデータが計測された回数(カウント数)から判定するが、第1閾値に3回達したら計測データが自動消去されないように保存するように設定している。
【0035】
ところで、保存量設定部66は、第1閾値を超えた信号のレベルの大きさのデータと第1閾値を超えた状態の長さのデータの双方を用いて、自動消去されないように保存する計測データの保存量を定めることができるものであることが好ましい。このようなことを可能とするため、第1閾値を超えた信号のレベルの大きさのデータと、第1閾値を超えた状態の長さのデータと、自動消去されないように保存する計測データの保存量の関係をあらかじめ定めておくのが好ましい。
【0036】
例えば、
図6に示す例では、第1閾値を超えた信号のレベルの大きさの程度を5段階に分けており、第1閾値を超えた状態の長さを5段階に分けている。なお、
図6にはレベル1からレベル4まの各レベルの大きさや長さの例を記載しており、レベル5はレベル4を超えるもの全体としている。
【0037】
例えば、
図7に示す例では、雷サージ電流が短時間生じ、信号レベル4及びカウント数1の状況であったとしている。この場合、
図6に示すような当てはめから、保存時間係数は13と導くことができる。この保存時間係数13に対してはあらかじめ計測データの保存量を5070msと定めていたため、この5070ms分の長さの計測データを自動消去されない ように保存する。
【0038】
同様な流れで過電流により信号レベル3及びカウント数2の状況であったとしたら、保存時間係数は10と導くことができる。この保存時間係数10に対してはあらかじめ計測データの保存量を3000msと定めていたため、この3000ms分の長さの計測データを自動消去されないように保存する。
【0039】
ところで、実施形態の計測監視システム1は、ベースモジュール2とサブモジュール5が組み合わされて構成されており、センサ7で計測された計測値がサブモジュール5を経て、ベースモジュール2などに送られる。ベースモジュール2とサブモジュール5は共に盤内にあってもよいし、サブモジュール5がベースモジュール2とは別の離れた場所にあってもよい。ただし、後者の場合、ベースモジュール2とサブモジュール5が通信で接続される構成とするのが好ましい。
【0040】
計測監視システム1が計測する計測対象は、どのようなものであっても良いが、例えば、電流、電圧、電力、温度(表面温度、空間温度)、振動、水量、臭い、音、光、埃、CO2などとするのが好ましい。どれか一つを計測対象としてもよいし、複数を計測対象としても良い。
【0041】
計測対象を計測している間に、異常の発生が疑われる状況となったことが計測値から確認された場合、当該計測項目について、計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。
【0042】
例えば、1つの計測項目を計測し、その計測値を基に判定し、保存命令が出力された場合に、その計測値の計測データの一部を自動消去されないように保存するようにすればよい。また、複数の計測項目を計測するようにし、各々の計測項目の計測値について各々判定し、保存命令を出すように判定された計測項目についてのみ前後計測データを自動消去されないように保存するようにしてもよい。
【0043】
また、計測対象を計測している間に、異常の発生が疑われる状況となったことが計測値から確認された場合、当該計測項目以外についても、計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。
【0044】
例えば、複数の計測項目を計測し、各々の計測項目の計測値について各々判定している状況において、いずれかの計測項目で保存命令を出すように判定された場合、保存命令を出すように判定された計測項目以外についても、計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。この場合、計測されている計測項目の全てについて計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。これらの場合は、各々の計測データは時刻同期がされていることが好ましい。
【0045】
また、複数の計測項目を計測しているが、その中から指定された幾つかの特定の計測項目の計測値についてだけ判定している状況において、その特定された計測項目のいずれかで保存命令を出すように判定された場合、保存命令を出すように判定された計測項目以外についても、計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。この場合、判定がされる計測項目の全てについて計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよいし、計測されている計測項目の全てについて計測値が自動消去されないように保存するようにしてもよい。これらの場合は、各々の計測データは時刻同期がされていることが好ましい。
【0046】
ところで実施形態の計測監視システム1は、ベースモジュール2と複数のサブモジュール5を備えている。この計測監視システム1のベースモジュール2は複数のサブモジュール5に一括で通信開始信号を送信可能である。また、ベースモジュール2から通信開始信号を受けた複数のサブモジュール5は、各々異なるタイミングで計測データをベースモジュール2に送信可能である。更には、ベースモジュール2が行う通信開始信号の送信のタイミングから、それに対応して各サブモジュール5で行われる計測データの送信までの時間が電源周期内である。このため、取得される各データの時間的ずれを抑制できる。
【0047】
ベースモジュール2とサブモジュール5は連携を取りながら情報のやり取りをするが、サブモジュール5は主に、サブモジュール5に接続されたセンサ7で取得されたデータをベースモジュール2に送る。センサ7はベースモジュール2に接続するものがあっても良いが、多くのセンサ7はサブモジュール5に接続するようにするのが好ましい。なお、
図1に示す例ではベースモジュール2とセンサ7モジュールの間を通信線41で接続している。
【0048】
各センサ7では計測が行われる。計測監視システム1を用いて計測される項目としては、電流、電圧、電力、振動、音、温度、湿度、画像などが例示できるが、その他について計測するようにしても良い。ただし、いずれかのセンサ7は少なくとも交流の商用電源についての計測をするものであるのが好ましい。特に交流の商用電源の電流や電圧や電力の何れかを計測項目に含むようにするのが好ましい。
【0049】
ここで電源周期について説明をする。電力会社から供給される交流の電源は固有の商用周波数(50Hzまたは60Hz)を持っている。交流電源は電気のプラス、マイナスが1秒間に何十回と入れ代わるが、その入れ替わる回数が周波数と呼ばれ、入れ替わる1周期分を電源周期と呼ぶ。電源周期が交流電源の最小単位で、電源周期毎に交流電源の状態を読み取ることができる。
【0050】
実施形態では、ベースモジュール2とサブモジュール5の間で行われる信号のやり取りをするために、通信開始信号をベースモジュール2からサブモジュール5に送信するが、この通信開始信号を送るタイミングは、サブモジュール5から送られてくる0点通知を参考にしている。勿論、通信開始信号を送るタイミングを定めるためにサブモジュール5からの0点通知を利用することは必須ではない。例えば、ベースモジュール2に交流電力電圧を直接印加することで0点を検知し、通信開始信号を送信するようにしてもよい。なお、0点通知とは、交流電源で0点(0V)が確認されたことを通知する信号である(
図8参照)。
【0051】
実施形態では、ベースモジュール2がサブモジュール5から0点通知を受けると、指令部21を利用して、通信開始信号をすべてのサブモジュール5に一括して送信するようにしている。
【0052】
また、実施形態では、ベースモジュール2に電源周波数の値(50又は60)の選択設定情報を与え、この周期ごとに通信開始信号をサブモジュール5に送信するようにしている。このため、50Hzを使用する場合は1秒に50回通信開始信号をサブモジュール5に送信するし、60Hzを使用する場合は1秒に60回通信開始信号をサブモジュール5に送信する。
【0053】
ところで、電流や電圧や電力に関する計測データの場合、電源周期で計測されるものが多いが、各モジュールが扱う計測データは電源周期で計測されるものだけである必要はない。つまり、1秒間に50回や60回計測されるものではなく、1秒に1回など、電源周期よりも長い周期で計測されるものがあっても良い。なお、電流や電圧や電力に関する計測データはフィルタ処理されている。フィルタ処理とは、ローパスフィルタを用いるものであって、所定の高周波ノイズを除去するものである。
【0054】
電流、電圧、電力ではない計測データを扱う場合などには、電源周期よりも長い長周期の計測データのみを処理部22で処理するように設定を切り替えられるようにしてもよい。このようにすれば、電源周期での計測データを扱うことができつつ、電源周期での計測データを扱う必要が無い場合には、信号のやり取りの負担を軽減させることができる。
【0055】
図8に示す例の場合、電源周期での計測データと長周期の計測データの双方を扱うが、ベースモジュール2では長周期の計測データが記憶部23に保存されるようにしている。このようにすれば、記憶部23に記憶しておいた長周期の計測データを電源周期での計測データとの比較対象などに利用することができる。
【0056】
電源周期の計測データに関してはベースモジュール2に保存する必要はないが、保存しておくことが好ましい。この場合でも、電源周期の計測データは一時保存部24に一定期間(少なくとも1電源周期)保存されるようにすればよく、新しい計測データが送信されると順に上書き保存される程度で良い。
【0057】
また、実施形態のベースモジュール2は、電源周期の計測データに異常が無いかを判定可能な判定部11を備えている。勿論、判定部11はベースモジュール2以外に独自に備えるものであってもよい。例えば、判定部11をサブモジュール5に備えさせることも可能である。このようにすれば、平常時には長周期の計測データのみをベースモジュール2に送り、電源周期の計測データに異常があると判定した場合に、電源周期の計測データをベースモジュール2に送るようにすることができるため、平常時にベースモジュール2とサブモジュール5の間で行われる通信の容量を抑制することができる。
【0058】
また、判定部11の設置個所に関わらず、ベースモジュール2が送信する通信開始信号に対応して、「ベースモジュール2に対して電源周期内で計測される計測データ」と、「電源周期よりも長い周期である長周期の計測データ」の双方をサブモジュール5が送信可能である場合、ベースモジュール2では、平常時には電源周期の計測データを外部機器に出力せず、異常時に電源周期の計測データを外部機器に出力するように構成するのが好ましい。このようにすると、平常時の通信容量を抑制することができる。また、この間も、長周期の計測データは外部機器に出力するように構成するのが好ましい。このようなことを可能とするために、ベースモジュール2には外部出力部25を備えている。なお、外部機器はサブモジュール5とは異なる機器である。
【0059】
図1に示す例では、ベースモジュール2に接点信号送信部26を備えるようにしており、異常時に通信線で接続されている外部接点出力モジュール(DOT:digital Output terminal)に機器の接点の開閉を指示する接点信号を送信するように構成している。
【0060】
また、この例では接点信号は電源周期内において接点出力信号をベースモジュール2が通信開始信号を送信した後かつ、サブモジュール5が計測データをベースモジュール2に送信する前に送信するようにしている。このようにすることで、サブモジュール5が通信開始信号の受信をしてから計測データを送信するまでの間などに接点信号を送ることができる。したがって電源周期内での多数の信号の送受信を効率よく行うことができる。
【0061】
また、実施形態のベースモジュール2は、外部のサーバやPC等に出力を行うことができる外部出力部25を備えている。実施形態ではこの外部出力部25を利用して、平常時、異常時ともに長周期の計測データを外部のサーバやPC等に出力を行うようにしている。一方、電源周期の計測データに関するデータを平常時に外部出力部25を利用して出力することはないが、電源周期の計測データが閾値を超えたときには、電源周期で計測された計測データの帳票を作成したり、出力するために利用したりするようにしている。
【0062】
これらの例から理解できるように実施形態では電源周期の計測データは、異常の有無の判定を行うために利用する。また、各ブレーカを遮断することができる外部接点出力モジュールに接点信号を送信するか否かの判定を行うためにも利用する。
【0063】
接点信号を送信するパターンは、どのようなものであっても良いが、例えば、「電源周期での計測データが閾値を超えた場合に、機器の接点をOFFする接点信号を送信する。」、「電源周期毎に接点信号を送信するが、平常時は接点をONの状態を維持する信号を送信し、異常時は接点をOFFにする信号を送信する。」というようにすれば良い。なお、接点をOFFにする接点信号は、電源周期前の計測データに異常があると判定がされた場合に送信するようにすれば良い。
【0064】
ところで、実施形態では、外部送信をする際には、電源周期の計測データ、時刻情報、周期情報をまとめて外部送信できるようにしている。この場合、ベースモジュール2は、計測データと、計測データが計測された秒単位での時刻情報と、前記時刻情報で示す秒単位の時刻のどのタイミングで計測データが計測されたかを表す周期情報を関連させて作成した帳票を外部出力するようにするのが好ましい。
【0065】
このようなことを可能とするため実施形態のベースモジュール2では
図9に示すように計測データをまとめて帳票を作成している。この場合は商用周波数が50Hzであるため1/50秒毎の計測データが管理されているが、60Hzの場合は1/60秒毎の計測データが管理されればよい。このような、ベースモジュール2が帳票を作成する処理は異常時のように必要時のみ行うようにしている。そのようにすることで、処理部22での負荷を減らすことができるので、処理部22をより安価な構成とすることができる。
【0066】
次にサブモジュール5について説明する。実施形態のサブモジュール5は複数のセンサ7を接続することができ、各センサ7で計測された計測データが入力される。実施形態のサブモジュール5は内部に演算部があり、センサ7から入力された電流・電圧情報から電力や力率を導く演算を行うことができる。なお、
図1に示す例では一つのサブモジュール5に三つのセンサ7が接続されているが、接続されるセンサ7を二つにしたり四つ以上にしたり一つだけにしたりしても良い。
【0067】
この例では電源周期の波形情報はサブモジュール5で把握している。このため、サブモジュール5で0点を検知した瞬間にベースモジュール2に0点通知を行う。なお、サブモジュール5から0点通知を受けたベースモジュール2は、通信開始信号を各サブモジュール5に一斉に送る。
【0068】
サブモジュール5は、ベースモジュール2から通信開始信号を受信すると、電源周期と長周期の計測データをセットにして電源周期内にベースモジュール2に送信する。ただし、各サブモジュール5がベースモジュール2に同時に送信しないように、サブモジュール5間で予め決められた順でベースモジュール2に送信する。
【0069】
順番の定め方はどのようにしても良いが、例えば、通信順となるように各サブモジュール5にアドレスを付与しておいて順番を定めるようにしてもよい。また、設置時などにサブモジュール5に設けた設定ボタンを押した順を通信順として設定してもよい。
【0070】
ここで、実施形態で行われる情報のやり取りの一連の流れについて具体的な例を挙げる。まず、特定のサブモジュール5が0点検知するとベースモジュール2に0点通知を送信する。ベースモジュール2は0点通知を受信すると、サブモジュール5に通信開始信号を送信する。
【0071】
ベースモジュール2は前周期に異常判定がされていた場合は外部接点出力モジュールに対して接点信号を送信し、外部接点出力モジュールは接点機器に接点を開くように信号送信する。なお、異常判定がなかった場合は外部接点出力モジュールに対する接点信号の送信は実行しない。
【0072】
サブモジュール5は電源周期と長周期の計測データをベースモジュール2に送信する。これらの計測データを受けたベースモジュール2は長周期の計測データをまとめて外部出力する。なお、電源周期の計測データに対して異常判定がされた場合や予め設定した条件を満たした場合や使用者が意図的に電源周期での計測データを要求した場合、ベースモジュール2は電源周期での計測データをまとめて外部出力する。また、電源周期の計測データは電源周期内の実効値のデータとしてもよいし、電源周期内の実効値と瞬間最大値の双方を備えるデータとしてもよい。瞬間最大値の計測データを備えることで、落雷時などの電源周期内での瞬間的な計測データの変動も把握することができる。また、瞬間最大値とは、時々刻々変化する電気信号の尖頭値で、かつフィルタ処理によりノイズ除去されたものである。また、計測データの処理はAD変換により行われる。
【0073】
次の電源周期で異常判定がされなかった場合や予め設定した条件を満たさなかった場合、ベースモジュール2は電源周期での計測データの処理を止める。つまり、平常状態の動作に戻す。以上に示すような流れで計測データを扱うことは必須ではなく、その他のプロセスを採用しても良い。
【0074】
例えば、電源に関する計測データ及び電源とは異なるものに関する計測データを比較できるように出力したり、比較と判定を行うようにしたりしても良い。より具体的には、電流に関する計測データ及び電流とは異なるものに関する計測データを比較できるようにすることが挙げられる。電流とは異なるものに関する計測データとしては、音や振動などの計測データが例示できるが、
図10に示す例では、電流に関する計測データ及び音に関する計測データを比較できるようにしている。この例では、異常音の発生が電源に起因するものか否かを推定することができる。
【0075】
このようなことが可能となるため、ベースモジュール2は、電源に関する計測データ及び電源とは異なるものに関する計測データと、前記各計測データが計測された秒単位での時刻情報と、前記各時刻情報で示す秒単位の時刻のどのタイミングで計測データが計測されたかを表す周期情報を関連させて外部出力することができるようにするのが好ましい。
【0076】
また、判定部11が、電源に関する計測データが閾値を超え、かつ、電源とは異なるものに関する計測データが閾値を超えた場合に、異常が生じたと判定することができるように構成しても良い。このようにすれば、始動時などに電源が不安定な動作をしても異常と判定されることを回避することができる。
【0077】
ここで、三相交流電源の電源計測の場合を例に挙げて説明する。三相交流電源は3つの交流電流(R相、S相、T相)を120°ずつずらして送信される。三相交流の場合、位相差のあるR相、T相の計測をすることが考えられるが、T相はR相よりも240°(=120°+120°)遅れた位相であり、R相の0点からの電源周期(360°)内に同じ電源周期のR相とT相の計測データを送信することが困難であった。
【0078】
そこで、基準となる交流電圧をR相とし、R相の0点を検知すると、R相に関しては、当該0点までの電源周期における計測データを送信するように処理を行うようにした。また、T相に関しては、R相の0点から60°遅れたところにR相に0点が生じたタイミングと直近の0点があるため、当該T相の0点までの電源周期における計測データを送信するように処理を行うようにした。これらの処理を行うことで、T相の計測開始の基準をR相の計測開始の基準の60°遅れに抑えることができる(
図11参照)。
【0079】
このようにすれば、検知したR相の0点から電源周期内にT相の計測データの送信をすることが容易となる。さらには、T相の0点とR相の0点が時間的により近い位置となることで、R相とT相間の計測データの整合性を高めることができる。
【0080】
このため、三相交流の周期計測をする場合には、サブモジュール5は、R相に関しては、受信した通信開始信号の直前のR相の0点までの電源周期で計測された計測データを送信するようにし、T相に関しては、受信した通信開始信号の直前のR相の0点から60°遅れた位置までの電源周期で計測された計測データを送信するようにするのが好ましい。このようにすれば、ベースモジュール2が行う通信開始信号の送信のタイミングから、それに対応して各サブモジュール5で行われる両相の計測データの送信までの時間が電源周期内に収めやすくなる。また、
図12に示すことから理解されるように、送信される計測データは0点の180°手前までの電源周期で計測されたものであってもよい。そうすることで、計測データのサブモジュール5からベースモジュール2への送信するための処理時間をより多く確保することができ、より処理速度が遅い安価なシステムにも対応することができる。
【0081】
なお、
図11に示す例ではR相の0点は負の極性側から正の極性側に向かう0点を基準にしているが、正の極性側から負の極性側に向かう0点を基準にしても良い。この場合、
図11とは180°ずれた位置の0点が基準になる。
【0082】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、電源周期の計測データが閾値を一定時間連続で超えた場合に異常判定を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 計測監視システム
61 計測値用閾値設定部
62 判定時間調整部
63 判定時間用閾値設定部
64 保存信号出力部
65 仮保存部
66 保存量設定部