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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048431
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】稼動検知システム及び散水システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/89 20180101AFI20240402BHJP
   F24F 11/87 20180101ALI20240402BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20240402BHJP
   F24F 11/46 20180101ALN20240402BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F11/87
F25B39/04 N
F24F11/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154326
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA04
3L260BA41
3L260DA11
3L260FB17
(57)【要約】
【課題】設置作業の手間が低減された稼動検知システム、及び水の浪費を抑制しつつ空調装置の冷房消費電力の低減を図ることができる散水システムを提供する。
【解決手段】空調装置2の稼動検知システム20であって、空調装置2の室外機3のファン4に向けてレーザ光を照射可能に設けられ、レーザ光の照射点までの距離を計測可能なレーザ距離計21と、レーザ距離計21の計測距離の変化に基づいてファン4の回転の有無を判断し、ファン4の回転の有無に基づいて空調装置2の稼動及び停止を検知する制御部22と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置の稼動検知システムであって、
前記空調装置の室外機のファンに向けてレーザ光を照射可能に設けられ、レーザ光の照射点までの距離を計測可能なレーザ距離計と、
前記レーザ距離計の計測距離の変化に基づいて前記ファンの回転の有無を判断し、前記ファンの回転の有無に基づいて前記空調装置の稼動及び停止を検知する制御部と、
を具備する、
稼動検知システム。
【請求項2】
前記レーザ距離計は、
前記ファンが第一の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファンの羽根に照射され、前記ファンが前記第一の位相とは異なる第二の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファンの羽根同士の隙間を通って前記ファンの奥側に照射されるように配置される、
請求項1に記載の稼動検知システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記レーザ距離計がレーザ光を所定の期間連続的に照射し、前記レーザ距離計の計測距離の所定長さ以上の変化が所定回数以上あった場合に、前記ファンが回転していると判断する、
請求項1に記載の稼動検知システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記レーザ距離計がレーザ光を所定の期間連続的に照射し、前記レーザ距離計の計測距離の所定長さ以上の変化が所定回数以上あった場合に、前記ファンが回転していると判断する、
請求項2に記載の稼動検知システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の稼動検知システムと、
前記稼動検知システムの前記制御部によって前記空調装置の稼動が検知された場合に、前記室外機に散水する散水装置と、
を具備する、
散水システム。
【請求項6】
前記制御部は、
所定の監視時間帯に前記空調装置の稼動及び停止の検知を行い、
前記監視時間帯が終了しても前記散水装置が散水している場合には、所定の判断材料に基づいて前記監視時間帯の延長を許可するか否かを判断し、前記監視時間帯の延長を許可する場合には前記空調装置の稼動及び停止の検知を継続する、
請求項5に記載の散水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の稼動を検知する稼動検知システム、及び空調装置の室外機に散水する散水システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置の室外機に散水することにより、空調装置の冷房消費電力を低減する技術が知られている。但し、空調装置の利用時間帯は日によって異なるため、散水するタイミングを曜日や時刻で指定しただけでは、空調装置の停止時に散水して水を浪費してしまう可能性がある。このため、空調装置の稼動時のみ散水することが望まれる。
【0003】
そこで、従来、室外機にCTセンサ等のセンサを設置し、当該センサから得られる電力情報に基づいて空調装置の稼動の検知を行う稼動検知システムが知られている(特許文献1参照)。このような稼動検知システムによって空調装置の稼動を検知することにより、空調装置の稼動時のみ散水することができる。
【0004】
しかしながら、CTセンサは分電盤内や室外機内に設置する必要があるため、設置作業に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6225079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、設置作業の手間が低減された稼動検知システム、及び水の浪費を抑制しつつ空調装置の冷房消費電力の低減を図ることができる散水システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、空調装置の稼動検知システムであって、前記空調装置の室外機のファンに向けてレーザ光を照射可能に設けられ、レーザ光の照射点までの距離を計測可能なレーザ距離計と、前記レーザ距離計の計測距離の変化に基づいて前記ファンの回転の有無を判断し、前記ファンの回転の有無に基づいて前記空調装置の稼動及び停止を検知する制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記レーザ距離計は、前記ファンが第一の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファンの羽根に照射され、前記ファンが前記第一の位相とは異なる第二の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファンの羽根同士の隙間を通って前記ファンの奥側に照射されるように配置されるものである。
【0010】
請求項3及び4においては、前記制御部は、前記レーザ距離計がレーザ光を所定の期間連続的に照射し、前記レーザ距離計の計測距離の所定長さ以上の変化が所定回数以上あった場合に、前記ファンが回転していると判断するものである。
【0011】
請求項5においては、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の稼動検知システムと、前記稼動検知システムの前記制御部によって前記空調装置の稼動が検知された場合に、前記室外機に散水する散水装置と、を具備するものである。
【0012】
請求項6においては、前記制御部は、所定の監視時間帯に前記空調装置の稼動及び停止の検知を行い、前記監視時間帯が終了しても前記散水装置が散水している場合には、所定の判断材料に基づいて前記監視時間帯の延長を許可するか否かを判断し、前記監視時間帯の延長を許可する場合には前記空調装置の稼動及び停止の検知を継続するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、設置作業の手間が低減された稼動検知システムとすることができる。
【0015】
請求項2においては、空調装置の稼動及び停止の検知の精度を向上させることができる。
【0016】
請求項3及び4においては、空調装置の稼動及び停止の検知の精度を向上させることができる。
【0017】
請求項5においては、水の浪費を抑制しつつ、空調装置の冷房消費電力の低減を図ることができる。
【0018】
請求項6においては、レーザ光の無駄な照射を抑制しつつ、空調装置の冷房消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る稼動検知システム及び散水システムを示した図。
図2】(a)室外機に設けられた稼動検知システム及び散水システムを示した前方斜視模式図。(b)同じく、側面断面模式図。
図3】(a)室外機のファンにレーザ光を照射した状態を示した正面模式図。(b)同じく、側面断面模式図。
図4】(a)室外機のハウジングの内後面にレーザ光を照射した状態を示した正面模式図。(b)同じく、側面断面模式図。
図5】稼動検知システム及び散水システムの制御態様を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る散水システム1、及び散水システム1が備える稼動検知システム20について説明する。
【0021】
散水システム1は、建物に設けられた空調装置2の室外機3に対して散水を行うものである。散水システム1は、空調装置2が設置された建物に設けられ、例えばオフィスに設けられる。散水システム1は、室外機3に対して散水を行うことで室外機3を冷却することができ、ひいては空調装置2の省エネ化を図ることができる。図2に示すように、室外機3には、複数の羽根4aを有するファン4が設けられており、ファン4はハウジング5に収容されている。散水システム1は、このように構成された室外機3に対して散水を行う。
【0022】
散水システム1は、主として散水装置10及び稼動検知システム20を具備する。
【0023】
図1及び図2に示す散水装置10は、上水又は上水を適宜処理した処理水を、室外機3に散水するものである。散水装置10は、上水又は処理水を微粒化して噴出するように構成される。散水装置10は、主として電磁弁11及びノズル12を具備する。
【0024】
図1及び図2(b)に示す電磁弁11は、上水又は処理水の流通の可否を切り替える開閉弁である。電磁弁11は、後述する制御部22からの電気信号により動作することができる。
【0025】
図1及び図2(b)に示すノズル12は、上水又は処理水を微粒化して噴出する噴出口である。ノズル12としては、各種のノズル(一流体ノズル、二流体ノズル等)を用いることができる。ノズル12は、電磁弁11に接続される。ノズル12は、電磁弁11を介して供給される上水又は処理水を所定の大きさの粒子に調節(微粒化)して、霧状に噴出することができる。
【0026】
図1及び図2に示す稼動検知システム20は、空調装置2の室外機3の稼動を検知するものである。稼動検知システム20は、主としてレーザ距離計21及び制御部22を具備する。
【0027】
レーザ距離計21は、レーザ光を照射し、レーザ光が目標物に当たってから反射して戻るまでの時間に基づいて、照射点までの距離を計測するものである。図2に示すように、レーザ距離計21は、室外機3のハウジング5の上部前方に、室外機3のファン4に向けてレーザ光を照射可能に設けられる。
【0028】
レーザ距離計21は、空調装置2が稼動しているとき(ファン4が回転しているとき)に、レーザ距離計21の計測距離が変動する位置に設けられる。具体的には、図3に示すように、例えばファン4が図3(a)に示す位相(第一の位相)に位置している場合には、レーザ距離計21から照射されたレーザ光は、ファン4の羽根4aに照射される。また、図4に示すように、例えばファン4が図4(a)に示す位相(第二の位相)に位置している場合には、レーザ距離計21から照射されたレーザ光は、羽根4a同士の隙間を通って、ファン4の奥側(例えば、ハウジング5の内後面5b、ファン4のモータ、室外機3の他の部材など)に照射される。以下では、ファン4が図4(a)に示す位相(第二の位相)に位置している場合には、レーザ光はハウジング5の内後面5bに照射されるものとして説明を行う。
【0029】
そうすると、レーザ距離計21がレーザ光を連続照射したとき、レーザ光がファン4の羽根4aに照射された状態(図3参照)と、ファン4の奥側のハウジング5の内後面5bに照射された状態(図4参照)とが、交互に訪れることとなる。すなわち、レーザ距離計21の計測距離は、一定ではなく、大きく変化することとなる。
【0030】
一方、レーザ距離計21は、空調装置2が稼動していないとき(ファン4が回転していないとき)には、照射されたレーザ光は、ファン4の羽根4a又はファン4の奥側のハウジング5に内後面5bに常に照射される。このため、レーザ距離計21の計測距離は、レーザ光を照射している間、変動せず略一定である。
【0031】
制御部22は、レーザ距離計21の計測結果に基づいて、室外機3の稼動を検知するものである。詳細は後述するが、制御部22は、レーザ距離計21によって計測される距離の変化(変動)に基づいて、室外機3の稼動を検知する。また、制御部22は、室外機3の稼動の検知結果に基づいて、散水装置10(電磁弁11)の動作を制御する。
【0032】
制御部22は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置等により構成される。制御部22の記憶装置には、室外機3の稼動を検知するために必要な情報や各種プログラム、及び散水装置10の動作を制御するために必要な情報や各種プログラムが記憶されている。
【0033】
次に、上述の如く構成された稼動検知システム20及び散水システム1の制御態様について説明する。制御部22は、図5に示す制御フローを繰り返すことで、空調装置2の稼動を検知し、空調装置2の稼動時に室外機3へ散水することができる。図5に示す制御フローは、例えば5分間隔で繰り返し実行される。
【0034】
図5に示すステップS101において、制御部22は、現在が監視時間帯であるか否かを判定する。ここで、「監視時間帯」とは、室外機3の稼動の監視(検知)を行う時間帯を意味する。監視時間帯は、通常、室外機3が稼動していると考えられる時間帯に設定される。室外機3がオフィスに設けられている場合には、監視時間帯はオフィスの勤務時間に設定されてもよく、例えば8時から20時までの間に設定される。
【0035】
制御部22は、現在が監視時間帯であると判定した場合(ステップS101で「YES」)、ステップS102に移行する。一方、制御部22は、現在が監視時間帯でないと判定した場合(ステップS101で「NO」)、ステップS106に移行する。
【0036】
ステップS102において、制御部22は、レーザ距離計21を介して、A秒間レーザ光を連続的に照射し、照射点までの距離を連続的に計測する。レーザの照射時間(A秒間)は、任意の値とすることができ、例えば5秒間に設定される。制御部22は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0037】
ステップS103において、制御部22は、レーザ距離計21がレーザ光を連続的に照射している間(A秒間)における計測距離の変化を確認(取得)する。制御部22は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0038】
ステップS104において、制御部22は、レーザ距離計21によるA秒間のレーザ光連続照射中において、レーザ距離計21の計測距離のBcm以上の変化がC回以上か否かを判定する。ここで、「Bcm」は、距離の変化度合いを示しており、風や室外機3の振動等による計測距離のぶれを考慮して、ある程度大きな値に設定される。また、「Bcm」は、レーザ距離計21からハウジング5の内後面5bまでの距離から、レーザ距離計21からファン4の羽根4aまでの距離を差し引いた値よりも小さな値に設定される。「Bcm」は、例えば15cmに設定される。また、「C回」は、Bcm以上の距離変化の回数を示しており、例えば10回に設定される。
【0039】
制御部22は、Bcm以上の変化がC回以上であると判定した場合(ステップS104で「YES」)、ステップS105に移行する。一方、制御部22は、Bcm以上の変化がC回以上でないと判定した場合(ステップS104で「NO」)、ステップS109に移行する。
【0040】
ここで、空調装置2が稼働していないときには、室外機3のファン4は回転していない。このため、レーザ距離計21からレーザ光をA秒間連続的に照射したとき、空調装置2が稼働していないときのレーザ距離計21の計測距離は、A秒間において略一定である。
【0041】
一方、空調装置2が稼働しているときには、室外機3のファン4は回転している。このため、レーザ距離計21からレーザ光をA秒間連続的に照射したとき、レーザ距離計21から照射されたレーザ光がファン4の羽根4aに照射された状態(図3参照)と、ハウジング5の内後面5bに照射された状態(図4参照)とかが、交互に訪れることとなる。そうすると、レーザ距離計21の計測距離は、A秒間において一定ではなく、大きく変化することとなる。
【0042】
よって、Bcm以上の変化がC回以上である場合(ステップS104でYES)とは、ファン4が回転している(ひいては、空調装置2が稼動している)ことを意味する。一方、Bcm以上の変化がC回以上でない場合(ステップS104でNO)とは、ファン4が回転していない(ひいては、空調装置2が稼動していない)ことを意味する。
【0043】
ステップS105において、制御部22は、散水装置10をオンし、散水装置10から室外機3への散水を行う。このように、稼働中の室外機3に散水することにより室外機3を冷却することができ、ひいては、空調装置2の冷房消費電力を低減することができる。制御部22は、ステップS105の処理を行った後、図5に示す制御フローを終了する。
【0044】
一方、ステップS106において、制御部22は、散水装置10がオンしている(散水している)か否かを判定する。制御部22は、散水装置10がオンしていると判定した場合(ステップS106で「YES」)、ステップS107に移行する。一方、制御部22は、散水装置10がオンしていないと判定した場合(ステップS106で「NO」)、ステップS109に移行する。
【0045】
ステップS107において、制御部22は、散水時間の延長を許可するか否かを判定する。散水時間の延長の可否は、所定の判断材料に基づいて決定され、例えば使用者によって予め設定することができる。使用者は、消費電力の低減を優先する場合には散水時間の延長を許可し、一方、例えば何らかの事情で散水用の水を使用できない場合には、散水時間の延長を許可しないようにできる。
【0046】
制御部22は、散水時間の延長を許可すると判定した場合(ステップS107で「YES」)、ステップS108に移行する。一方、制御部22は、散水時間の延長を許可しないと判定した場合(ステップS107で「NO」)、ステップS109に移行する。
【0047】
ステップS108において、制御部22は、監視時間帯を30分延長する。これにより、監視時間帯は、8時から20時30分となる。すなわち、制御部22は、空調装置2の稼動の検知を20時30分まで継続する。制御部22は、ステップS108の処理を行った後、ステップS101に処理を戻す。ステップS108から移行したステップS101においては、制御部22は、現在が更新(延長)された監視時間帯であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS109において、制御部22は、散水装置10をオフし、散水装置10から室外機3への散水を停止する。制御部22は、ステップS109の処理を行った後、ステップS110に移行する。
【0049】
ステップS110において、制御部22は、監視時間帯を初期化する。これにより、翌日の監視時間帯は、8時から20時に戻る。制御部22は、ステップS110の処理を行った後、図5に示す制御フローを終了する。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る散水システム1においては、散水装置10によって室外機3に散水することで、稼働中の室外機3を冷却することができ、ひいては空調装置2の冷房消費電力を低減することができる。また、稼動検知システム20によって空調装置2の稼動を検知し、空調装置2の稼動時のみ室外機3に散水することができるので、水の浪費を抑制することができる。
【0051】
また、散水装置10からの散水は、監視時間帯(例えば8時から20時)の間(ステップS101でYES)にしか行われないため、レーザ距離計21からの不要なレーザ照射を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る散水システム1においては、基本的には監視時間帯にのみ空調装置2の稼動及び停止の検知を行うが、必要に応じて監視時間帯以外の時間帯においても空調装置2の稼動及び停止の検知を行うことで、空調装置2の冷房消費電力をより低減することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る稼動検知システム20は、室外機3の外側にレーザ距離計21を設ければよく、センサ等を分電盤内や室外機内に設置する必要がないため、設置作業の手間を低減できる。
【0054】
また、空調装置2がマンション等の集合住宅の各住戸に設けられている場合、室外機3への電源線はそれぞれ独立しているとは限らず、1系統で複数の室外機3へ電力を供給している場合がある。このような場合であっても、空調装置2の室外機3それぞれに稼動検知システム20を設けることで、個別に空調装置2の稼動を判断することができる。
【0055】
また、仮にレーザ距離計21からのレーザ光が例えばファン4の中心部に照射されることで、ファン4の回転時に常にファン4に照射されている場合、レーザ距離計21の計測距離の変化が比較的小さくなるため、室外機3の振動によって計測誤差が生じた場合に、ファン4の回転の有無(ひいては空調装置2の稼動/停止)を誤判断してしまうおそれがある。
【0056】
そこで、ファン4の回転時に、レーザ光がファン4の羽根4aに照射された状態と、ファン4の奥側(ハウジング5の内後面5b)に照射された状態のいずれかになることで、レーザ距離計21の計測距離の変化を比較的大きくすることができ、ひいては、室外機3の振動による計測誤差を吸収することができる。したがって、ファン4の回転の有無の判断(ひいては空調装置2の稼動/停止の検知)の精度を向上させることができる。
【0057】
また、レーザ距離計21の計測値のBcm以上の変化がC回以上である場合に(ステップS104でYES)散水装置10から散水し(ステップS105)、Bcm以上の変化がC回未満である場合には(ステップS104でNO)散水しない(ステップS109)ので、室外機3が稼動していない場合にファン4が風などによって緩やかに回転している場合に、散水してしまうのを抑制することができる。
【0058】
具体的には、ステップS104において、変化量の閾値を所定長さ(Bcm)以上とすることで、室外機3の振動による計測誤差を吸収することができる。したがって、ファン4の回転の有無の判断(ひいては空調装置2の稼動/停止の検知)の精度を向上させることができる。また、変化の回数の閾値を所定回数(C回)以上とすることで、風等によってファン4が空調装置2の稼動時よりも緩やかに回転しているときに、ファン4が回転していると誤判断してしまうのを抑制することができる。
【0059】
以上の如く、本実施形態に係る稼動検知システム20は、
空調装置2の稼動検知システム20であって、
前記空調装置2の室外機3のファン4に向けてレーザ光を照射可能に設けられ、レーザ光の照射点までの距離を計測可能なレーザ距離計21と、
前記レーザ距離計21の計測距離の変化に基づいて前記ファン4の回転の有無を判断し、前記ファン4の回転の有無に基づいて前記空調装置2の稼動及び停止を検知する制御部22と、
を具備するものである。
【0060】
このような構成により、設置作業の手間が低減された空調装置2の稼動検知システム20とすることができる。
【0061】
また、前記レーザ距離計21は、
前記ファン4が第一の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファン4の羽根4aに照射され、前記ファン4が前記第一の位相とは異なる第二の位相に位置しているときには、レーザ光が前記ファン4の羽根4a同士の隙間を通って前記ファン4の奥側(ハウジング5の内後面5b)に照射されるように配置されるものである。
【0062】
このような構成により、空調装置2の稼動及び停止の検知の精度を向上させることができる。
【0063】
また、前記制御部22は、
前記レーザ距離計21がレーザ光を所定の期間(A秒間)連続的に照射し、前記レーザ距離計21の計測距離の所定長さ(Bcm)以上の変化が所定回数(C回)以上あった場合に(ステップS104でYES)、前記ファン4が回転していると判断するものである。
【0064】
このような構成により、空調装置2の稼動及び停止の検知の精度を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る散水システム1は、
稼動検知システム20と、
前記稼動検知システム20の前記制御部22によって前記空調装置2の稼動が検知された場合に、前記室外機3に散水する散水装置10と、
を具備するものである。
【0066】
このような構成により、水の浪費を抑制しつつ、空調装置2の冷房消費電力の低減を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る散水システム1において、
前記制御部22は、
所定の監視時間帯に前記空調装置2の稼動及び停止の検知を行い、
前記監視時間帯が終了しても前記散水装置が散水している場合には(ステップS106でYES)、所定の判断材料に基づいて前記監視時間帯の延長を許可するか否かを判断し(ステップS107)、前記監視時間帯の延長を許可する場合には(ステップS107でYES)前記空調装置2の稼動及び停止の検知を継続する(ステップS108)ものである。
【0068】
このような構成により、レーザ光の無駄な照射を抑制しつつ、空調装置2の冷房消費電力の低減を図ることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0070】
例えば、本実施形態において、稼動検知システム20は、散水装置10による室外機3への散水を制御することを目的として使用されているが、稼動検知システム20の使用目的はこれに限定されるものではなく、任意の目的に使用可能である。
【0071】
また、本実施形態においては、レーザ距離計21からのレーザ光はファン4の羽根4aに向けて照射されるものとしたが、レーザ距離計21からのレーザ光の照射箇所は、ファン4の回転時におけるレーザ距離計21の計測距離の変化を比較的(室外機3の振動等による計測誤差を吸収できる程度に)大きくできる箇所であれば、本実施形態に限定されず任意の箇所とすることができる。
【0072】
また、本実施形態においては、図5のステップS104において、レーザ距離計21によるA秒間のレーザ光連続照射中において、レーザ距離計21の計測距離のBcm以上の変化がC回以上か否かを判定しているが、Bcm以上の変化の回数に基づいて、散水装置10の散水量を変化させてもよい。Bcm以上の変化の回数が多いほどファン4の回転数も多く冷却の必要性が高いと考えられるため、例えば、Bcm以上の変化の回数が増えるにつれて散水量も多くすることにより、適正な散水量とすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 散水システム
2 空調装置
3 室外機
4 ファン
4a 羽根
10 散水装置
20 稼動検知システム
21 レーザ距離計
22 制御部
図1
図2
図3
図4
図5