(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048438
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】判定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/09 20060101AFI20240402BHJP
B23F 19/10 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B23Q17/09 Z
B23F19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154335
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】池田 淳
【テーマコード(参考)】
3C025
【Fターム(参考)】
3C025DD03
(57)【要約】
【課題】ワークの面取り加工が正常に行われたか否かの判定をして、生産性及び品質を向上させる。
【解決手段】判定装置1は、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部11と、取得部11が取得した振動加速度に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部14と、接触判定部14の判定の結果に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データ17Bを生成する検査部16と、検査データ17Bと(工具と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の時系列データを示す)比較データ17Aとを比較することで、検査対象のワークW2の面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部18と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較対象のワークについて面取り加工を行う加工装置が面取り加工している間の当該加工装置の工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データが記憶される記憶部と、
前記比較対象のワークと同じ種類である検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部と、
前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部と、
前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データを生成して前記記憶部に記憶する検査部と、
前記検査データと前記比較データとを比較することで、前記検査対象のワークの面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部と、
を備える判定装置。
【請求項2】
前記振動加速度の周波数スペクトルの解析を行う周波数解析部と、
前記振動加速度に基づく面積の計算を行う計算部と、を更に備え、
前記接触判定部は、前記解析の結果、及び、前記計算の結果に基づき、前記接触又は/及び前記非接触の判定を行う、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記接触判定部は、前記解析の結果からピーク周波数を検出し、検出した当該ピーク周波数の値に基づき、前記接触又は/及び前記非接触の判定を行う、
請求項2に記載する判定装置。
【請求項4】
前記接触判定部は、前記計算の結果に基づき、前記加工装置が停止状態であるか否かの判定を行い、当該判定の結果が停止状態である場合には、前記接触又は/及び前記非接触の判定を中止する、
請求項2又は3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記比較対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得し、
前記接触判定部は、前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行い、
前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記比較対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データを生成して前記記憶部に記憶する学習部を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項6】
コンピュータを、
比較対象のワークについて面取り加工を行う加工装置が面取り加工している間の当該加工装置の工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データが記憶される記憶部、
前記比較対象のワークと同じ種類である検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部、
前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部、
前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データを生成して前記記憶部に記憶する検査部、
前記検査データと前記比較データとを比較することで、前記検査対象のワークの面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯車の製造においては、各歯部を削り出す工程が終了した後、各歯部に対してそれぞれ角を削る加工が行われる。このように、歯車等の被加工物(以下「ワーク」と称す。)の角部を削る加工を、一般的に面取り加工という。
【0003】
面取り加工については、従来様々な装置が提案されており、例えば、下記特許文献1には、内歯を有する歯車に対し、内歯の角部を面取りする装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されるような装置では、面取り加工が正常に行われたか否かを判定することができないため、従来では、作業者が、面取り加工の完了したワークと当該ワークの設計図(CAD図)との幾何学的差異を測定することで、面取り加工が正常に行われたか否かを判定する方法が採用されていた。しかしながら、この方法では生産性が悪く、また人による判定にはバラツキがあった。
【0006】
そこで本発明は、生産性及び品質を向上することができる判定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る判定装置は、比較対象のワークについて面取り加工を行う加工装置が面取り加工している間の当該加工装置の工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データが記憶される記憶部と、前記比較対象のワークと同じ種類である検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部と、前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部と、前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データを生成して前記記憶部に記憶する検査部と、前記検査データと前記比較データとを比較することで、前記検査対象のワークの面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明の第二態様では、前記振動加速度の周波数スペクトルの解析を行う周波数解析部と、前記振動加速度に基づく面積の計算を行う計算部と、を更に備え、前記接触判定部は、前記解析の結果、及び、前記計算の結果に基づき、前記接触又は/及び前記非接触の判定を行う。
【0009】
また、本発明の第三態様では、前記接触判定部は、前記解析の結果からピーク周波数を検出し、検出した当該ピーク周波数の値に基づき、前記接触又は/及び前記非接触の判定を行う。
【0010】
また、本発明の第四態様では、前記接触判定部は、前記計算の結果に基づき、前記加工装置が停止状態であるか否かの判定を行い、当該判定の結果が停止状態である場合には、前記接触又は/及び前記非接触の判定を中止する。
【0011】
また、本発明の第五態様では、前記取得部は、前記比較対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得し、前記接触判定部は、前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行い、前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記比較対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データを生成して前記記憶部に記憶する学習部を更に備える。
【0012】
また、本発明の第六態様に係るプログラムは、コンピュータを、比較対象のワークについて面取り加工を行う加工装置が面取り加工している間の当該加工装置の工具と当該比較対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データが記憶される記憶部、前記比較対象のワークと同じ種類である検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部、前記取得部が取得した振動加速度に基づき、前記工具と前記検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部、前記接触判定部の判定の結果に基づき、前記検査対象のワークについて前記加工装置が面取り加工している間の、前記工具と当該検査対象のワークとの接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データを生成して前記記憶部に記憶する検査部、前記検査データと前記比較データとを比較することで、前記検査対象のワークの面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産性及び品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの全体構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る判定装置のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る判定装置の機能的構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る判定装置による比較データ生成時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る判定装置による検査対象のワークの面取り加工が正常であるか否かの判定を行う際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る加工装置の動作時における振動加速度の波形の一例を示すグラフである。
【
図7A】
図6のAで囲われた部分をFFT解析した結果を示すグラフである。
【
図7B】
図6のBで囲われた部分をFFT解析した結果を示すグラフである。
【
図8】本発明の実施形態に係る加工装置の動作時から停止時までの振動加速度の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては極力同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0016】
《全体構成》
図1は、本実施形態に係るシステムの全体構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、判定装置1、加工装置10、及び、出力装置20を備えている。
【0017】
判定装置1は、ワークWに対し加工装置10が正常な面取り加工を行ったか否かを判定する装置である。
【0018】
加工装置10はワークWについて面取り加工を行う装置である。加工装置10は、ロボット7、工具8、及び、振動加速度センサ9を備えている。ロボット7は、その先端(ツールの被取付部)に工具8が固定され、ワークWに対し工具8を接触及び非接触させるように動作することで、ワークWの面取り加工を行うものである。工具8は、ワークWに対して面取り加工を行うための切削工具である。
【0019】
ここで、上記「接触」とは、面取り加工中において、加工装置10の工具8がワークWの所定箇所(角部)に対して接触して面取りを行っている(削っている)状態を指し、上記「非接触」とは、面取り加工中において、工具8がワークWの所定箇所から離隔して、同ワークW内で次に面取りを行う(削る)べき角部へ移動している間の、工具8がワークWに対して非接触の状態を指している。
【0020】
振動加速度センサ9は、加工装置10に取り付けられており、ロボット7の振動加速度を検出する。振動加速度を正確に検出するという観点からは、振動加速度センサ9は、加工装置10のロボット7の先端(ツールの被取付部)に取り付けられていることが好ましい。
【0021】
出力装置20は、判定装置1による判定の結果を出力する装置である。この出力装置20としては、表示装置や音出力装置(スピーカ)等が挙げられる。
【0022】
《ハードウェア構成》
図2は、判定装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、判定装置1は、制御装置2、通信装置3、及び、記憶装置4を主に備えている。
【0023】
制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)5、及び、メモリ(主記憶装置)6を主に備えて構成される。CPU5は判定装置1の各種構成を制御する。メモリ6は、例えば判定装置1における処理の実行に必要な各種プログラム等を記憶する。
【0024】
制御装置2は、CPU5が記憶装置4あるいはメモリ6等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能構成として機能する。この機能構成の詳細については後述する。当該プログラムは、記憶装置4に記憶されてもよく、判定装置1の外部の記憶装置等に記憶されてもよい。また、当該プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよく、インターネット等のネットワーク経由でインストールする形式で提供してもよい。
【0025】
通信装置3は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置3は、例えば、判定装置1と加工装置10との間、及び、判定装置1と出力装置20との間で、各種の情報を送受信する。
【0026】
記憶装置4は、判定装置1の内部に配置されたハードディスク等で構成される補助記憶装置である。この記憶装置4は、制御装置2における処理の実行に必要な各種プログラム、各種の情報、及び、処理結果の情報を記憶する。
【0027】
なお、判定装置1は、専用又は汎用のコンピュータ等を用いて実現することができる。また、
図2は判定装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、判定装置1は、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0028】
《機能的構成》
図3は、本実施形態に係る判定装置1の機能的構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、判定装置1は、取得部11、周波数解析部12、計算部13、接触判定部14、学習部15、検査部16、記憶部17、比較判定部18、及び、出力部19を備えている。
【0029】
本実施形態では、ワークWについて、比較対象のワークW1と、このワークW1と同じ種類である検査対象のワークW2と、を用意する。
【0030】
取得部11は、比較対象のワークW1について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を、振動加速度センサ9から取得する。また、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を、振動加速度センサ9から取得する。
【0031】
そして取得部11は、これら取得した振動加速度をA/D変換して、PLC(programmable Logic Controller)のデータレジスタに書き込む、あるいは、外付けのコンピュータのハードディスクへCSVファイルとして保管する。なお、このA/D変換については、PLCのA/D変換ユニットで行うようにしてもよく、あるいは、外付けのA/D変換装置で行うようにしてもよい。
【0032】
周波数解析部12は、所定時間T毎に、取得部11が振動加速度センサ9から取得(及びA/D変換)した振動加速度の周波数スペクトルの解析を行う。本実施形態においては、FFT(Fast Fourier Transform)解析を行う。
【0033】
計算部13は、取得部11が振動加速度センサ9から取得(及びA/D変換)した振動加速度に基づく面積の計算を行う。具体的には、所定時間T毎に、取得部11が取得(及びA/D変換)した振動加速度の包絡線が作り出す面積を計算する。
【0034】
接触判定部14は、取得部11が取得した振動加速度に基づき、加工装置10の工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定を行う。具体的には、接触判定部14は、周波数解析部12による解析の結果、及び、計算部13による面積の計算の結果に基づき、加工装置10の工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定を、所定時間T毎に行う。
同様に、検査対象のワークW2について、接触判定部14は、取得部11が取得した振動加速度に基づき、加工装置10の工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う。具体的には、接触判定部14は、周波数解析部12による解析の結果、及び、計算部13による面積の計算の結果に基づき、加工装置10の工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を、所定時間T毎に行う。
【0035】
また、この「接触又は/及び非接触の判定」について、詳述すると、周波数解析部12による解析の結果から、スペクトル強度が最も高いものから順に上位N数(Nは2以上の整数)のピーク周波数を検出し、検出した上位N数のピーク周波数の値に基づき、接触又は/及び非接触の判定を行う。この判定について詳述すると、第一ピーク周波数が、切削周波数の第六高調波の近傍に現れる場合に非接触と判定し、上位二つ以上のピーク周波数が、切削周波数又はその各高調波の近傍に現れる場合に接触と判定する。
【0036】
ただし、工具8の一秒当たりの回転数に工具8の刃数を掛け合わせた値を「切削周波数」とし、「高調波」とは、この切削周波数(基本周波数)の整数倍の周波数を指す。また、切削周波数の近傍とは切削周波数からFFT周波数分解能にある範囲をいい、第n高調波の近傍とは第n高調波からFFT周波数分解能のn倍にある範囲をいう。
【0037】
また、面取り加工においては、低周波ノイズの発生により、そもそも上位N数のピーク周波数に切削周波数及び高調波の近傍が一つも含まれないことがあり得る。そのため、周波数解析部12には、切削周波数未満の周波数をカットするハイパスフィルタを設けるようにするのが好ましい。これにより、接触又は/及び非接触の判定を正確に判定することができる。なお、ここでの「切削周波数未満の周波数」とは、例えば「切削周波数×0.9以下」とする。
【0038】
さらに、接触判定部14は、面取り加工中において、上述の周波数解析部12による解析に基づく接触又は/及び非接触の判定ができない場合(上位N数のピーク周波数の値が、接触、非接触のいずれの判定条件にも該当しなかった場合。例えば、ハイパスフィルタを設けた上で、切削周波数及び各高調波のいずれにも上位N数のピーク周波数が現れない場合など)に、計算部13が計算した結果に基づき、接触又は/及び非接触の判定を行う。
【0039】
この「接触又は/及び非接触の判定」については、計算部13が計算した面積が、第一所定値以上かつ第二所定値未満である場合は非接触と判定し、当該面積が第二所定値以上である場合は接触と判定する(ただし、第一所定値<第二所定値とする)。
【0040】
また、接触判定部14は、取得部11が取得した振動加速度に基づき、加工装置10が停止状態であるか否かの判定を行い、当該判定の結果が停止状態である場合には、上述の接触又は/及び非接触の判定を中止する。具体的には、接触判定部14は、所定時間T毎に、計算部13が振動加速度の包絡線の面積を計算した結果に基づき、加工装置10が停止状態であるか否かの判定を行い、当該判定の結果が停止状態である場合には、上述の接触又は/及び非接触の判定を中止する。
【0041】
この「加工装置10が停止状態であるか否かの判定」については、計算部13が計算した面積が第一所定値未満である場合に、加工装置10が停止状態であると判定する。
【0042】
学習部15は、接触判定部14の判定の結果を時系列順に並べることで、比較対象のワークW1について加工装置10が面取り加工している間の、加工装置10の工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データ17Aを生成して、記憶部17に記憶する。
【0043】
検査部16は、接触判定部14の判定の結果に基づき(つまり、接触判定部14の判定の結果を時系列順に並べることで)、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の、加工装置10の工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データ17Bを生成して、記憶部17に記憶する。
【0044】
記憶部17には、比較データ17A及び検査データ17Bが記憶される。
【0045】
比較判定部18は、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較することで、検査対象のワークW2についての面取り加工が正常であるか否かの判定を行う。詳述すると、比較判定部18は、検査データ17Bと比較データ17Aを比較して差異があるか否かを分析し、差異があれば、検査対象のワークW2についての面取り加工が異常であると判定し、差異がなければ、検査対象のワークW2についての面取り加工が正常であると判定する。
【0046】
出力部19は、比較判定部18の判定の結果を出力装置20へ出力する。出力装置20は、この判定の結果について、画面表示又は/及び音出力を行う。
【0047】
《比較データ生成時の処理》
図4は、判定装置1による比較データ生成時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下のステップはあくまでも一例であり、その順番及び内容は、適宜変更することができる。
【0048】
(ステップSP1)
作業者が、比較データ17Aの生成開始を指示するボタン(図示略)を押すなどして、判定装置1が比較データ17Aの生成時の処理を開始する。その後、処理はステップSP2へ移行する。
【0049】
(ステップSP2)
取得部11が、比較対象のワークW1について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を、振動加速度センサ9から取得する。その後、処理はステップSP3へ移行する。
【0050】
(ステップSP3)
周波数解析部12が、取得部11が取得した振動加速度のFFT解析を行う。その後、処理はステップSP4へ移行する。
【0051】
図6は、加工装置10の動作時において、取得部11が取得した振動加速度の波形の一例を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が振動加速度を表している。また、グラフの上方には、工具8と比較対象のワークW1とが接触している時間帯と非接触の時間帯を表示している。
【0052】
図7Aは、周波数解析部12によって
図6の破線Aで囲われた部分(工具8とワークW1とが接触している時間帯)の振動加速度をFFT解析した結果を示すグラフであり、
図7Bは、周波数解析部12によって
図6の破線Bで囲われた部分(工具8とワークW1とが非接触の時間帯)の振動加速度をFFT解析した結果を示すグラフである。
図7A,7Bにおいて、横軸のf1は切削周波数(基本周波数)を示している。また、横軸のf2~f7はそれぞれ第二高調波~第七高調波を示している。
【0053】
なお、
図6,
図7A,
図7Bについては、後述する検査対象のワークW2の場合においても同様あるいは類似のグラフになる。
【0054】
(ステップSP4)
計算部13が、所定時間T毎に、取得部11が取得(及びA/D変換)した振動加速度の包絡線が作り出す面積を計算する。その後、処理はステップSP5へ移行する。
【0055】
図8は、加工装置10の動作開始時から停止時において、取得部11が取得した振動加速度の一例を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が振動加速度を表している。
図8中の破線Cで囲われた部分は、加工装置10の停止状態を示している。
【0056】
上述の「振動加速度の包絡線が作り出す面積を計算する」とは、(所定時間T毎に)
図8における黒色領域全ての面積を、例えば、包絡線に相当する端点を検知し積分することで求めるということである。
【0057】
(ステップSP5)
接触判定部14が、計算部13が計算した面積が第一所定値以上であるか否かを判定する。一例として、
図8において破線Cで囲われた部分の当該面積は第一所定値未満である。その後、処理はステップSP6へ移行する。
【0058】
(ステップSP6)
計算部13が計算した面積が第一所定値以上であればステップSP7へ移行し、第一所定値未満であれば、接触判定部14は加工装置10が停止状態であると判定し、処理は終了する(工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定が中止される)。
【0059】
(ステップSP7)
接触判定部14が、周波数解析部12によるFFT解析に基づき、工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定を行う。ただし、FFT解析を用いて接触又は/及び非接触の判定することができなかった場合、接触判定部14は、計算部13による面積の値に基づき、工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定を行う。その後、処理はステップSP8へ移行する。
【0060】
図7Aによれば、上位二つ以上のピーク周波数が、切削周波数、及び、当該切削周波数の複数の高調波の近傍に現れている。この場合、接触判定部14は、工具8と比較対象のワークW1とが接触していると判定する。
【0061】
また、
図7Bによれば、第一ピーク周波数が第六高調波の近傍に現れている。この場合、接触判定部14は、工具8と比較対象のワークW1とが非接触であると判定する。
【0062】
接触判定部14は、周波数解析部12によるFFT解析の結果が、
図7Aの場合と
図7Bの場合のいずれにも該当しない場合(例えば、(ハイパスフィルタを設けた上で)切削周波数及び各高調波のいずれにも上位N数のピーク周波数が現れない場合など)は、FFT解析の結果に基づく判定ができないとみなし、計算部13が計算した面積が第一所定値以上第二所定値未満であるか否かを判定する。計算部13が計算した面積が第二所定値以上であれば接触と判定し、計算部13が計算した面積が第一所定値以上かつ第二所定値未満であれば非接触であると判定する。
【0063】
(ステップSP8)
学習部15が、接触判定部14の判定の結果に基づき比較データ17Aを生成する。その後、処理はステップSP9へ移行する。
【0064】
(ステップSP9)
記憶部17が比較データ17Aを記憶する。その後、処理は終了する。
【0065】
《面取り加工の正常か否かの判定を行う処理》
図5は、検査対象のワークW2の面取り加工が正常であるか否かの判定を行う際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、
図4に一例を示す処理によって比較データ17Aが生成された状態で開始される。また、以下のステップはあくまでも一例であり、その順番及び内容は、適宜変更することができる。
【0066】
(ステップSP11)
作業者が、面取り加工の判定開始を指示するボタン(図示略)を押すなどして、判定装置1が面取り加工の判定時の処理を開始する。その後、処理はステップSP12へ移行する。
【0067】
(ステップSP12)
取得部11が、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を、振動加速度センサ9から取得する。その後、処理はステップSP13へ移行する。
【0068】
(ステップSP13)
周波数解析部12が、取得部11が取得した振動加速度のFFT解析を行う。その後、処理はステップSP14へ移行する。
【0069】
(ステップSP14)
計算部13が、所定時間T毎に、取得部11が取得(及びA/D変換)した振動加速度の包絡線が作り出す面積を計算する。その後、処理はステップSP15へ移行する。
【0070】
(ステップSP15)
接触判定部14が、計算部13が計算した面積が第一所定値以上であるか否かを判定する。その後、処理はステップSP16へ移行する。
【0071】
(ステップSP16)
計算部13が計算した面積が第一所定値以上であればステップSP17へ移行し、第一所定値未満であれば、処理は終了する(工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定が中止され、さらに、検査対象のワークW2の面取り加工が正常であるか否かの判定が中止される)。
【0072】
(ステップSP17)
接触判定部14が、周波数解析部12によるFFT解析に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う。ただし、FFT解析を用いて接触又は/及び非接触の判定することができなかった場合(周波数解析部12によるFFT解析の結果が、
図7Aの場合と
図7Bの場合のいずれにも該当しない場合。例えば、(ハイパスフィルタを設けた上で)切削周波数及び各高調波のいずれにも上位N数のピーク周波数が現れない場合など)、接触判定部14は、ステップSP14における計算部13による面積の値に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う。
【0073】
すなわち、接触判定部14は、FFT解析の結果に基づく判定ができないとみなし、ステップSP14において計算部13が計算した面積が、第一所定値以上第二所定値未満であるか否かを判定する。計算部13が計算した面積が第二所定値以上であれば接触と判定し、計算部13が計算した面積が第一所定値以上かつ第二所定値未満であれば非接触であると判定する。その後、処理はステップSP18へ移行する。
【0074】
(ステップSP18)
検査部16が、接触判定部14の判定の結果に基づき検査データ17Bを生成する。その後、処理はステップSP19へ移行する。
【0075】
(ステップSP19)
記憶部17が、検査データ17Bを記憶する。その後、処理はステップSP20へ移行する。
【0076】
(ステップSP20)
比較判定部18が、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較し、二つのデータに差異があるか否かを調べる。その後、処理はステップSP21へ移行する。
【0077】
(ステップSP21)
検査データ17Bと比較データ17Aに差異がある場合はステップSP22へ、差異がない場合にはステップSP23へ、それぞれ移行する。
【0078】
(ステップSP22)
比較判定部18が、検査対象のワークW2についての面取り加工が異常であると判定する。その後、処理はステップSP24へ移行する。
【0079】
(ステップSP23)
比較判定部18が、検査対象のワークW2についての面取り加工が正常であると判定する。その後、処理はステップSP24へ移行する。
【0080】
(ステップSP24)
出力部19が、比較判定部18の判定の結果を出力装置20へ出力する。出力装置20は、この判定の結果を画面表示や音出力によって作業者に伝える。その後、処理は終了する。
【0081】
《作用効果》
本実施形態では、判定装置1が、比較対象のワークW1について面取り加工を行う加工装置10が面取り加工している間の加工装置10の工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データ17Aが記憶される記憶部17と、比較対象のワークW1と同じ種類である検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部11と、取得部11が取得した振動加速度に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部14と、接触判定部14の判定の結果に基づき、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データ17Bを生成して記憶部17に記憶する検査部16と、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較することで、検査対象のワークW2の面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部18と、を備える。
【0082】
これにより、面取り加工が正常であるか否かの判定を、加工装置10の振動加速度を用いて自動的に行うことができ、生産性及び品質を向上することができる。
【0083】
また本実施形態では、判定装置1が、振動加速度の周波数スペクトルの解析を行う周波数解析部12と、振動加速度に基づく面積の計算を行う計算部13と、を更に備え、接触判定部14は、上記解析の結果、及び、上記計算の結果に基づき、上記接触又は/及び上記非接触の判定を行う。
【0084】
工具8とワークW1,W2との接触及び/又は非接触の判定を、振動加速度の周波数スペクトルの解析の結果と、振動加速度に基づく面積の計算の結果の、二種類の処理に基づき行うことで、誤判定を低減することができ、高精度な判定を行うことができる。
【0085】
また本実施形態では、接触判定部14は、上記解析の結果からピーク周波数を検出し、検出したピーク周波数の値に基づき、接触又は/及び非接触を判定する。
【0086】
これにより、周波数スペクトルを解析した結果全体を用いて、工具8とワークW1,W2との接触及び/又は非接触の判定を行う場合に比べて、処理速度を向上することができる。
【0087】
また本実施形態では、接触判定部14は、振動加速度に基づき、加工装置10が停止状態であるか否かの判定を行い、当該判定の結果が停止状態である場合には、接触又は/及び非接触の判定を中止する。
【0088】
これにより、イレギュラーな判定結果を除外することができ、接触又は/及び非接触の判定をより高精度に行うことができる。
【0089】
また本実施形態では、取得部11は、比較対象のワークW1について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を取得し、接触判定部14は、取得部11が取得した振動加速度に基づき、工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の判定を行い、接触判定部14の判定の結果に基づき、比較対象のワークW1について加工装置10が面取り加工している間の、工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データ17Aを生成して記憶部17に記憶する学習部15を更に備える。
【0090】
これにより、実際に比較対象のワークW1の振動加速度を取得して比較データ17Aを生成するので、面取り加工が正常であるか否かの判定を高精度に行うことができる。
【0091】
また本実施形態では、コンピュータを、比較対象のワークW1について面取り加工を行う加工装置10が面取り加工している間の加工装置10の工具8と比較対象のワークW1との接触又は/及び非接触の時系列データを示す比較データ17Aが記憶される記憶部17、比較対象のワークW1と同じ種類である検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の振動加速度を取得する取得部11、取得部11が取得した振動加速度に基づき、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の判定を行う接触判定部14、接触判定部14の判定の結果に基づき、検査対象のワークW2について加工装置10が面取り加工している間の、工具8と検査対象のワークW2との接触又は/及び非接触の時系列データを示す検査データ17Bを生成して記憶部17に記憶する検査部16、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較することで、検査対象のワークW2の面取り加工が正常であるか否かの判定を行う比較判定部18、として機能させる。
【0092】
これにより、面取り加工が正常であるか否かの判定を、加工装置10の振動加速度を用いて自動的に行うことができ、生産性及び品質を向上することができる。
【0093】
《変形例》
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上述した実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0094】
例えば、上記実施形態における計算部13は、所定時間T毎に、振動加速度の包絡線が作り出す面積を計算するものとしたが、計算部13は、所定時間T毎に振動加速度の絶対値の平均値を計算するようにしてもよい。その場合、接触判定部14は、当該平均値が第三所定値以上かつ第四所定値未満である場合は非接触と判定し、当該平均値が第四所定値以上である場合は接触と判定する(ただし、第三所定値<第四所定値とする)。また、接触判定部14は、当該平均値が第三所定値未満である場合に、加工装置10が停止状態であると判定する。このようにすることで、包絡線を用いるよりも簡易的な計算で行うことができ、処理速度を向上することができる。
【0095】
あるいは、計算部13は、所定時間T毎に振動加速度の二乗平均平方根値を計算するようにしてもよい。その場合、接触判定部14は、当該二乗平均平方根値が第五所定値以上かつ第六所定値未満である場合は非接触と判定し、当該二乗平均平方根値が第六所定値以上である場合は接触と判定する(ただし、第五所定値<第六所定値とする)。また、接触判定部14は、当該二乗平均平方根値が第五所定値未満である場合に、加工装置10が停止状態であると判定する。このようにすることで、包絡線を用いるよりも簡易的な計算で行うことができ、処理速度を向上することができる。
【0096】
また、上記実施形態では、接触判定部14が、周波数解析部12による解析の結果、及び、計算部13による計算の結果に基づき、接触又は/及び非接触の判定を行うものとしたが、接触判定部14は、周波数解析部12による解析の結果、及び、計算部13による計算の結果のうちいずれか一方の結果に基づき、接触又は/及び非接触の判定を行うようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、比較判定部18により判定した結果を出力部19から出力装置20へ出力するとしたが、比較判定部18による判定の結果は、一度記憶部17に記憶してから出力装置20へ出力するようにしてもよい。
【0098】
さらに、上記実施形態における接触判定部14は、上位二つ以上のピーク周波数が、切削周波数又はその各高調波の近傍に現れる場合に、工具8と比較対象のワークW1(検査対象のワークW2)が接触していると判定するものとして説明したが、上位二つ以上のピーク周波数が、切削周波数又はその各「低調波」の近傍に現れる場合に、工具8と比較対象のワークW1(検査対象のワークW2)が接触していると判定するようにしてもよい。その場合、ハイパスフィルタによってカットする周波数には、各低調波の近傍が含まれないように設定する。なお、「低調波」とは、切削周波数の(1/整数)倍の周波数を指す。
【0099】
また、上記実施形態において、接触判定部14は、周波数解析部12による解析に基づく接触又は/及び非接触の判定ができない場合、計算部13が計算した結果に基づき接触又は/及び非接触の判定を行うものとし、周波数解析部12による解析に基づく接触又は/及び非接触の判定ができなかった場合の一例として、ハイパスフィルタを設けた上で、切削周波数及び各高調波のいずれにも上位N数のピーク周波数が現れない場合を挙げているが、高調波ではなく低調波を用いて判定を行う場合は、この一例についても、「切削周波数及び各低調波のいずれにも上位N数のピーク周波数が現れない場合」と変更する。
【0100】
さらに、上記実施形態において、比較判定部18は、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較することで、面取り加工が正常であるか否かの判定を行うとしたが、この比較を行うには、検査データ17Bと比較データ17Aについて、互いの時系列を一致させる方が良い。反対に、互いの時系列が一致していないと比較を行うことが困難になる。
【0101】
つまり、互いの時系列が一致している場合は、例えば、検査データ17BにおけるP部分(図示略)を面取りしているタイミングと、比較データ17AにおけるP部分を面取りしているタイミングとを比較していることになり、正確に比較することができる。
しかしながら、互いの時系列が一致していない場合には、例えば、検査データ17BにおけるP部分を面取りしているタイミングと、比較データ17AにおけるQ部分(図示略)を面取りしているタイミングと比較してしまうことになり、正確に比較することができない。
以上のことから、検査データ17Bと比較データ17Aの時系列を一致させるため、比較判定部18は、検査データ17Bと比較データ17Aとを比較する際、互いに、接触又は/及び非接触の結果が最も一致する時間帯を、同じ時間帯(タイミング)であるものとし、当該時間帯を基準として互いの時系列を合わせることで、互いの時系列を一致させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…判定装置、10…加工装置、11…取得部、12…周波数解析部、13…計算部、14…接触判定部、15…学習部、16…検査部、17…記憶部、18…比較判定部