(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048454
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】漏液検出システムおよび漏液センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/02 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G01N27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154371
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】内貴 崇
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF06
2G060AG03
2G060FA01
2G060HB06
2G060HC15
2G060HD01
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】高湿度環境における誤検知を抑制しつつ適切に漏液を検出できる漏液検出システムを提供する。
【解決手段】第1電極および第2電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部を含む漏液センサと、第1電極および第2電極の間のインピーダンスを含む情報を取得する制御装置とを備える。漏液センサは、第1電極および第2電極を加熱する加熱部を含む。制御装置は、加熱部によって加熱されている状態の第1電極および第2電極の間のインピーダンスに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し、判定結果を報知する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を検出する漏液検出システムであって、
第1電極および第2電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部を含む漏液センサと、
前記第1電極および前記第2電極の間のインピーダンスを含む情報を取得する制御装置とを備え、
前記漏液センサは、前記第1電極および前記第2電極を加熱する加熱部を含み、
前記制御装置は、
前記加熱部によって加熱されている状態の前記第1電極および前記第2電極の間のインピーダンスに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し、判定結果を報知する、漏液検出システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記加熱部によって加熱されていない状態の前記第1電極および前記第2電極の間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得し、
前記加熱部によって加熱されている状態の前記第1電極および前記第2電極の間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得し、
前記第1結果と前記第2結果とに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し、判定結果を報知する、請求項1に記載の漏液検出システム。
【請求項3】
前記漏液センサは、第3電極および第4電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第2検出部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記加熱部によって加熱されていない状態の前記第3電極および前記第4電極の間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得し、
前記加熱部によって加熱されている状態の前記第1電極および前記第2電極の間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得し、
前記第1結果と前記第2結果とに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し、判定結果を報知する、請求項1に記載の漏液検出システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1結果が液体の付着を示し、かつ、前記第2結果が液体の付着を示す場合、漏液が発生していると判定し、
前記第1結果が液体の付着を示し、かつ、前記第2結果が液体の付着を示さない場合、結露が発生していると判定し、判定結果を報知する、請求項2または請求項3に記載の漏液検出システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記第1結果が液体の付着を示さず、かつ、前記第2結果が液体の付着を示す場合、前記漏液センサに異常が発生していると判定し、判定結果を報知する、請求項2に記載の漏液検出システム。
【請求項6】
前記漏液センサは、前記第1検出部の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記制御装置は、
前記加熱部の設定温度を取得し、
前記温度センサの検出値を取得し、
前記設定温度と前記温度センサの検出値との差が所定の範囲内ではない場合、前記漏液センサに異常が発生していると判定し、判定結果を報知する、請求項1に記載の漏液検出システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記漏液センサの周囲の環境温度を基準として前記温度センサの検出値が予め定められた範囲内に含まれるように前記加熱部の設定温度を調整する、請求項6に記載の漏液検出システム。
【請求項8】
液体を検出する漏液センサであって、
第1電極および第2電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部と、
前記第1電極および前記第2電極を加熱する加熱部とを有する、漏液センサ。
【請求項9】
前記加熱部は、マイクロヒータである、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項10】
主面を有する基板と、
第1絶縁層第2絶縁層および第3絶縁層を含む絶縁体とをさらに備え、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層は、前記主面に前記第3絶縁層、前記第2絶縁層、前記第1絶縁層の順で積層されており、
前記第2絶縁層は、前記第1電極および前記第2電極を含み、
前記第3絶縁層は、前記加熱部を含み、
前記第1絶縁層には、前記主面の法線方向に貫通している開口部が形成され、
前記主面を平面視した場合に、前記開口部と重なる領域において前記第1電極および前記第2電極は露出する、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項11】
前記加熱部と外部装置とを接続するための第1接続部と、
前記第1検出部と外部装置とを接続する第2接続部とをさらに備え、
前記第1接続部および前記第2接続部は、防水樹脂によって覆われている、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項12】
前記第1電極および前記第2電極は、櫛歯形状を有する、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項13】
前記第1電極および前記第2電極の基材は、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項14】
前記加熱部の温度は、前記漏液センサの周囲の環境温度以上であって200℃以下である、請求項8に記載の漏液センサ。
【請求項15】
第3電極および第4電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第2検出部をさらに備える、請求項8~請求項14のいずれか1項に記載の漏液センサ。
【請求項16】
前記第1検出部の温度を測定する温度センサをさらに備える、請求項8に記載の漏液センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、漏液検出システムおよび漏液センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-169907号公報(特許文献1)には、櫛形電極を有する液漏れセンサが記載されている。特許文献1には、高湿度環境における結露の発生によって漏液センサが誤検知する場合があることが記載されている。特許文献1に記載の液漏れセンサは、液漏れ検出部に加えて、湿度検出部を有する。特許文献1の判断部は、液漏れ検出部および湿度検出部の両方の検出結果に基づいて液漏れが発生しているか否かを判断する。
【0003】
より具体的には、特許文献1の判断部は、液漏れ検出部が液漏れを検出し、湿度検出部の測定結果が80%以上である場合、所定期間(たとえば、24時間)経過するまで待機する。特許文献1では、所定期間経過後においても液漏れ検出部が液漏れを依然として検出している場合、液漏れ警報が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、高湿度状態にて液漏れを検出した場合、所定期間(たとえば、24時間)待機して湿度環境が変化することを待つ。すなわち、高湿度状態にて液漏れを検出した場合24時間待機する必要があり、最終的に液漏れを判断するまでに最初に液漏れを検出してから多くの時間を要することとなる。最初の液漏れを検出してから湿度環境が変化するまでの期間を待つことなく高湿度環境における誤検知の発生を抑制して、液漏れの検出が可能な漏液検出システムが要望されている。
【0006】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、高湿度環境においても誤検知を抑制しつつ適切に液漏れを検出できる漏液検出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の漏液検出システムは、第1電極および第2電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部を含む漏液センサと、第1電極および第2電極の間のインピーダンスを含む情報を取得する制御装置とを備える。漏液センサは、第1電極および第2電極を加熱する加熱部を含む。制御装置は、加熱部によって加熱されている状態の第1電極および第2電極の間のインピーダンスに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し、判定結果を報知する。
【0008】
本開示の漏液センサは、第1電極および第2電極の間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部と、第1電極および第2電極を加熱する加熱部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の漏液検出システムによると、高湿度環境における誤検知の発生を抑制しつつ適切に漏液を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1における漏液センサを有する漏液検出システムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における漏液センサの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における漏液センサの平面図および断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における漏液または結露の発生を検出するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、漏液センサの周囲の状態を判定するための表を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2における漏液センサを有する漏液検出システムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における漏液センサの平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2における漏液または結露の発生を検出するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態3における漏液センサを有する漏液検出システム10Bの全体構成を説明するためのブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3における漏液センサの平面図および断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3における加熱部の異常判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施の形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0012】
[実施の形態1]
<実施の形態1における漏液検出システムの全体構成>
図1は、実施の形態1における漏液センサ100を有する漏液検出システム10の全体構成を説明するためのブロック図である。漏液検出システム10は、たとえば、工場、各家庭などにおいて用いられる液漏れを検出するシステムである。検出対象となる液体は、純物質および混合物を含み、工場内において例えば産業機器に用いられるオイル、およびバッテリ内の液体などを含み、家庭内において例えば空気調和機などに用いられる冷媒、生活排水など種々の液体を含む。
【0013】
漏液検出システム10は、漏液センサ100と制御装置200とを備える。漏液センサ100と制御装置200とは、電気的に接続されている。漏液センサ100と制御装置200との接続方法は、有線または無線のいずれであってもよい。
【0014】
漏液センサ100は、加熱部110と第1検出部120とを含む。実施の形態1における加熱部110は、微小電気機械システム(MEMS: Micro Electro Mechanical Systems)の分野におけるマイクロヒータである。なお、加熱部110は、マイクロヒータに限られずシーズヒータなどであってもよい。第1検出部120は、後述する電極間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する。加熱部110は、第1検出部120に含まれる電極を加熱する。
【0015】
制御装置200は、CPU210と、メモリ220と、報知部230とを含む。CPU210は、メモリ220に一時的に記憶されるプログラムを実行する。制御装置200における処理は、各ハードウェアおよびCPU210により実行されるソフトウェアの協働によって実現される。報知部230は、CPU210からの命令により、漏液の発生などの情報を外部に報知する。報知部230は、たとえば、ランプ、ディスプレイ、およびスピーカーを含み得る。
【0016】
<実施の形態1における漏液センサの構成>
図2は、実施の形態1における漏液センサ100の分解斜視図である。漏液センサ100は、基板Sb1の主面Sf1上に絶縁体Lyが配置されることにより構成される。
図2に示されるように、絶縁体Lyは、複数の絶縁層L1~L5が積層された構成を有している。以下では、複数の絶縁層L1~L5の積層方向を「Z軸方向」と称する。Z軸方向に垂直な方向であって、主面Sf1を平面視したときの基板Sb1の一辺に沿う方向を「X軸方向」と称する。X軸方向およびZ軸方向の両方に対して垂直な方向を「Y軸方向」と称する。各図におけるZ軸の正方向を上側、負方向を下側と称する場合がある。
【0017】
図2に示されるように、漏液センサ100のZ軸の負方向側には、主面Sf1を有する基板Sb1が配置されている。基板Sb1のZ軸方向の長さD1は、たとえば、数百μmである。基板Sb1には、Z軸方向に貫通している開口部Op1が形成されている。換言すれば、開口部Op1は、基板Sb1の厚さ方向に沿って基板Sb1を貫通している。すなわち、実施の形態1の基板Sb1はZ軸の正方向側から視たときに枠形状を有する。ある局面において開口部Op1は、基板Sb1を貫通しておらずZ軸の負方向側で閉じていてもよい。開口部Op1は、絶縁層L5のZ軸の負方向側の面と空気とを接触させるための空間を形成するための領域である。基板Sb1は、たとえば、単結晶シリコンにより形成されている。
【0018】
基板Sb1は、主面Sf1上に配置された複数の絶縁層L1~L5を支持する。主面Sf1上には、Z軸の負方向側から絶縁層L5,L4,L3,L2,L1の順番で絶縁層L1~L5が積層されている。絶縁層L1~L5は、たとえば、シリコン窒化物またはシリコン酸化物によって形成されている。絶縁層L5のZ軸方向の長さD2は、1~10μmである。絶縁層L1~4のZ軸方向の長さも、絶縁層L5と同様に1~10μmである。
【0019】
絶縁層L4には、加熱部110が配置されている。絶縁層L3には、加熱部110とコネクタCn2,Cn3を接続するためのビアが配置されている。絶縁層L2には、加熱部110とコネクタCn2,Cn3を接続するためのビアに加えて、第1検出部120が配置されている。絶縁層L1には、コネクタCn1~Cn4が配置されている。なお、絶縁層L1は、本開示における「第1絶縁層」に対応し得る。絶縁層L2は、本開示における「第2絶縁層」に対応し得る。また、絶縁層L4は、本開示における「第3絶縁層」に対応し得る。
【0020】
絶縁層L1には、基板Sb1と同様に、Z軸方向に貫通している開口部Op2が形成されている。換言すれば、開口部Op2は、絶縁層L1の厚さ方向に沿って絶縁層L1を貫通している。すなわち、絶縁層L1は、Z軸の正方向側から視たときに枠形状を有する。
【0021】
実施の形態1における漏液検出システム10では、加熱されていない状態の第1検出部120に含まれる電極間のインピーダンスと、加熱されている状態の第1検出部120に含まれる電極間のインピーダンスとを用いて漏液を検出する。漏液センサ100が設置されている空間がたとえば空気調和機によって冷却されたとき、漏液センサ100の表面に結露が発生する場合がある。この場合、漏液が発生していないにもかかわらず、第1検出部120に含まれる電極間の電気抵抗値が低下してしまい、誤検知の原因となり得る。そのため、漏液検出システム10では、加熱部110を用いて第1検出部120に含まれる電極間のインピーダンスが低下した要因が漏液による液体の付着であるか、高湿度環境による結露の発生であるかを区別することができる。以下、
図3~
図5を用いて、実施の形態1における漏液センサ100による検出方法を説明する。
【0022】
図3は、実施の形態1における漏液センサ100の平面図および断面図である。
図3(A)は、Y軸の負方向側から漏液センサ100を視たときの断面図である。
図3(B)は、Z軸の正方向側から漏液センサ100を視たときの平面透過図である。
【0023】
図3(A)として示される断面は、
図3(B)の線A-Aにおける漏液センサ100の断面である。
図3(B)には、Z軸の正方向側から順に、絶縁層L1における開口部Op2およびコネクタCn1~Cn4、絶縁層L2における第1検出部120、絶縁層L4における加熱部110、基板Sb1における開口部Op1が示されている。
【0024】
第1検出部120は、X軸の負方向側に配置される第1電極120Lと、X軸の正方向側に配置される第2電極120Rとを含む。第1電極120Lは、コネクタCn1と接続されている。第2電極120Rは、コネクタCn4と接続されている。コネクタCn1,Cn4は、第1検出部120と外部装置とを接続するための接続部である。第1検出部120は、コネクタCn1,Cn4との間の電圧等の測定により、第1電極120Lと第2電極120Rとの間のインピーダンスの変化を検出可能であるように構成されている。コネクタCn1,Cn4は、本開示における「第2接続部」の一例である。
【0025】
図3(B)に示されるように、第1電極120Lおよび第2電極120Rは、櫛歯形状を有する。第1電極120Lおよび第2電極120Rは、たとえば、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む導電部材である。換言すれば、第1検出部120の基材は、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む。
【0026】
図3(A)に示されるように、絶縁層L1に開口部Op2が形成されていることによって、絶縁層L2に含まれる第1検出部120の少なくとも一部が露出する。換言すれば、主面Sf1をZ軸の正方向側から平面視した場合に、開口部Op2と重なる領域において、第1電極120Lおよび第2電極120Rは露出する。開口部Op2と重なる領域とは、Z軸の正方向側から絶縁層L1を平面視した場合に枠形状の絶縁層L1内によって囲まれている空間が占める領域である。これにより、開口部Op2から露出した第1電極120Lと第2電極120Rとの間の表面に液体が付着することによって、コネクタCn1とコネクタCn4との間のインピーダンスが変化する。
【0027】
インピーダンスの変化の一例は、たとえば、コネクタCn1とコネクタCn4との間に導電性の液体が付着することによってコネクタCn1とコネクタCn4との間の電気抵抗値が低下することである。また、インピーダンスの変化には、コネクタCn1とコネクタCn4との間に非導電性の液体が付着してコネクタCn1とコネクタCn4との間の誘電率が変化することによって静電容量が変化することも含まれる。以下では、開口部Op2から露出した第1電極120Lと第2電極120Rと絶縁層L1とを含むZ軸の正方向側の表面を、まとめて露出面と称する。
【0028】
加熱部110の少なくとも一部は主面Sf1をZ軸の正方向側から平面視した場合に、第1電極120Lおよび第2電極120Rと重なる位置に配置されている。加熱部110は、メアンダ形状に配置された帯状電極によって構成されている。加熱部110を構成する電極の基材は、たとえばTi、Cr、Taおよびこれらの窒化物、Al、Pt、Auおよびこれらの合金などである。加熱部110を形成する電極の一方端はビアを介してコネクタCn2と接続され、他方端はビアを介してコネクタCn3と接続される。コネクタCn2,Cn3は、加熱部110と外部装置とを接続するための接続部である。加熱部110は、コネクタCn2,Cn3を介して通電されることにより抵抗発熱する。コネクタCn2,Cn3は、本開示における「第1接続部」の一例である。
【0029】
加熱部110の抵抗発熱により、第1電極120Lと第2電極120Rとは加熱される。これにより、露出面に水滴が付着している場合、当該水滴は蒸発する。すなわち、実施の形態1の漏液センサ100は、高湿度環境における結露により水滴が発生した場合において当該水滴を蒸発させることによって露出面を結露が発生していない状態と同様の状態へと遷移させることができる。
【0030】
図3(B)に示されるように、加熱部110は、Z軸の正方向側から平面視した場合に主面Sf1の開口部Op1と重なる位置に配置されている。空気の熱抵抗は、基板Sb1を構成する基材の熱抵抗よりも大きい。そのため、基板Sb1に開口部Op1が形成されていることにより、開口部Op1が形成されていない場合と比較して加熱部110によって発生する熱は効率的に第1検出部120へと伝達される。すなわち、実施の形態1における漏液センサ100では、開口部Op1の形成によって加熱部110のZ軸の負方向側に基板Sb1が配置されていないため、基板Sb1への不要な熱伝達が抑制される。以下では、
図3(A)に示されているZ軸の正方向側からみたときに絶縁層L1~L5または絶縁層L2~L5だけが重なって構成される膜形状の領域をメンブレン部Mb1と称する。
【0031】
図3(B)に示されるように、コネクタCn1~Cn4のZ軸の正方向側には防水樹脂Rc1が配置されている。換言すれば、コネクタCn1~Cn4は、防水樹脂Rc1によって覆われている。これにより、実施の形態1における漏液センサ100では、結露または漏液によるコネクタCn1~Cn4の付近に水滴が発生し、コネクタCn1~Cn4の間で短絡が発生すること抑制できる。
【0032】
<実施の形態1における状態判定処理>
図4は、実施の形態1における漏液または結露の発生を検出するためのフローチャートである。
図4に示されるフローチャートは、CPU210がメモリ220に記憶されているプログラムを読み込むことによって実現される。実施の形態1における漏液検出システム10では、
図4に示されるフローチャートが実行されることによって、漏液センサ100が設置されている空間が冷却されたことによって結露が発生したのか、漏液が発生したのかを区別して検出することができる。
【0033】
CPU210は、タイマをリセットする(ステップS100)。ステップS100におけるタイマは、たとえばCPU210に搭載されている汎用のタイマである。本実施の形態においてタイマのリセットとは、タイマのカウントを初期値(0秒)に戻し、カウントを開始することを意味する。
【0034】
CPU210は、加熱部110に加熱を停止させる(ステップS110)。すなわち、CPU210は、加熱部110を非通電状態にする。上述したように高湿度環境において漏液センサ100が設置されている空間が冷却されている場合、漏液センサ100の表面には結露が発生し得る。
【0035】
CPU210は、ステップS100にてリセットしたタイマを用いて所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS120)。ステップS120における所定期間は、高湿度環境において漏液センサ100が設置されている空間が冷却されているなどの結露が発生し得る場合において、露出面に水滴が付着するために十分な期間である。ステップS120における所定期間は、たとえば10分~15分である。なお、実施の形態1の漏液センサ100は、ステップS160における所定期間を短縮化するために、露出面に吸湿部材を設けてもよい。
【0036】
ステップS100から所定期間が経過していない場合(ステップS120でNO)、CPU210はステップS120の処理を繰り返す。ステップS100から所定期間が経過した場合(ステップS120でYES)、CPU210は、コネクタCn1とコネクタCn4との間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得する(ステップS130)。
【0037】
コネクタCn1とコネクタCn4との間のインピーダンスには、第1電極120Lと第2電極120Rとの間のインピーダンスが含まれる。CPU210は、第1結果として示されるインピーダンスが所定の閾値以上であるか否かに応じて、液体が第1電極120Lと第2電極120Rとの間に液体が付着しているか否かを判定する。すなわち、第1結果は、加熱していない状態の露出面に液体が付着しているか否かを示す情報である。所定の閾値は、第1電極120Lおよび第2電極120Rの形状、基材、および第1絶縁層の基材などから予め定められている。
【0038】
第1結果を取得した後、CPU210はタイマをリセットする(ステップS140)。続いて、CPU210は加熱部110に加熱を開始する(ステップS150)。すなわち、CPU210は、加熱部110に通電する。高湿度環境による結露が発生している場合、露出面に付着している水滴は、加熱部110の抵抗発熱によって蒸発する。CPU210は、加熱部110の温度が漏液センサ100の周囲の環境温度以上であって200℃以下になるように電力を供給する。これにより、実施の形態1における漏液センサ100では、加熱部110の温度の上限が200℃となるため過昇温による漏液センサ100の故障の発生を抑制できる。漏液センサ100は、図示されない漏液センサ100の周囲の温度を検出する温度センサを用いて周囲の環境温度を取得する。
【0039】
CPU210は、ステップS140にてリセットしたタイマを用いて所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160における所定期間は、露出面に水滴が付着している場合において当該露出面に付着した水滴が加熱部110によって蒸発されるために十分な期間である。ステップS160における所定期間は、たとえば、加熱部110の基材、加熱部110に供給される電流の大きさによって予め定められる。所定期間は、たとえば1秒~10秒である。
【0040】
所定期間が経過していない場合(ステップS160でNO)、CPU210はステップS160の処理を繰り返す。所定期間が経過した場合(ステップS160でYES)、CPU210は、コネクタCn1とコネクタCn4との間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得する(ステップS170)。第2結果は、加熱されている状態において露出面に液体が付着しているか否かを示す情報である。CPU210は、第1結果と第2結果とに基づいて、漏液センサ100の周囲の状態を判定する(ステップS180)。
【0041】
図5は、漏液センサ100の周囲の状態を判定するための表を示す図である。
図5に示される表は、図示されないROMなどの記憶装置にプログラムとして記憶されている。CPU210は、当該記憶装置から
図5の表を示すプログラムを読み出す。
図5に示されるように、CPU210は、第1結果と第2結果に基づいて漏液センサ100の周囲の状態の判定結果を導出する。
【0042】
第1結果および第2結果は露出面に液体が付着しているか否かを示す情報である。CPU210は、第1結果および第2結果の両方が液体の付着を示す場合、露出面には加熱部110の加熱によって蒸発させることができない量の液体があるとして、漏液センサ100の周囲は漏液が発生している状態であると判定する。すなわち、CPU210は、第1結果が液体の付着を示し、かつ、第2結果も液体の付着を示す場合、漏液が発生していると判定する。
【0043】
CPU210は、第1結果が液体の付着を示し、第2結果が液体の付着を示さない場合、露出面には加熱部110の加熱によって蒸発可能な量の液体があるとして、漏液センサ100の周囲は結露が発生している状態であると判定する。CPU210は、第1結果および第2結果の両方が液体の付着を示さない場合、露出面には液体が存在しないとして漏液センサ100の周囲は乾燥状態であると判定する。CPU210は、第1結果が液体の付着を示さず、第2結果が液体の付着を示す場合、何らかの異常が発生している状態であると判定する。
【0044】
このように、CPU210は、
図5に示される表に基づいて漏液センサ100の周囲の状態を判定する。
図4に戻り、CPU210は、判定した結果を報知部230に報知させる(ステップS190)。報知部230がディスプレイである場合、CPU210は、報知部230に判定結果に対応する文字を表示させる。報知部230がランプである場合、CPU210は、判定結果に対応する色でランプを点灯させる。ユーザは、報知部230による報知によって、漏液または結露の発生、漏液センサ100の異常の有無を認識することができる。
【0045】
実施の形態1においては、CPU210は、
図4に示されるフローチャートを予め定められた期間が経過するごとに繰り返して実行してもよい。また、ある局面においては、COU210は、ステップS130の第1結果が液体の付着を示さない場合、第2結果を取得しなくてもよい。すなわち、CPU210は、第1結果が液体の付着を示した場合にだけ加熱部110の加熱を開始してもよい。このような漏液検出システム10では、第1結果が液体の付着を示さなければ加熱部110の温度を上昇させることがないため、消費電力を抑制できる。
【0046】
実施の形態1の漏液検出システム10では、高湿度環境において結露発生している場合においても、加熱部110によって結露による水滴を蒸発させることで、インピーダンスが低下した要因が漏液の発生による液体の付着であるか、高湿度環境による結露の発生であるかを区別することができる。これにより、実施の形態1の漏液検出システム10は、高湿度環境においても誤検知を抑制して液漏れを検出できる。
【0047】
[実施の形態2]
実施の形態2の構成において実施の形態1と異なる点を説明する。上記の実施の形態1の漏液センサ100においては、加熱部110への通電と非通電とを繰り返すことによって、結露による誤検知を抑制しつつ漏液を検出する例を説明した。実施の形態2では、漏液センサ100Aが第1検出部120に加えて第2検出部121を有することによって、加熱部110の通電と非通電との繰り返す制御を実行せずに漏液と結露とを区別する。実施の形態2において、実施の形態1と重複する構成については説明を繰り返さない。
【0048】
<実施の形態2における漏液検出システムの全体構成>
図6は、実施の形態2における漏液センサ100Aを有する漏液検出システム10Aの全体構成を説明するためのブロック図である。
【0049】
図6に示されるように、実施の形態2における漏液センサ100Aは、第1検出部120に加えて、第2検出部121を有する。第2検出部121は、第1検出部120と同様に、電極間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する。実施の形態2において、加熱部110は、第1検出部120に含まれる電極を加熱する一方で、第2検出部121に含まれる電極を加熱しない。
【0050】
図7は、実施の形態2における漏液センサ100Aの平面図である。
図7に示されるように、第2検出部121は、第1検出部120のX軸の負方向側に配置されている。実施の形態2において第2検出部121は、第1検出部120と同様に絶縁層L2に配置されている。これにより、第1検出部120と第2検出部121とが同一の絶縁層L2上に形成されるため、第1検出部120と第2検出部121とが異なる層に形成される場合と比較して漏液センサ100Aの製造プロセスが簡易となる。
【0051】
第2検出部121は、X軸の負方向側に配置される第3電極121Lと、X軸の正方向側に配置される第4電極121Rとを含む。第3電極121Lは、コネクタCn5と接続されている。第4電極121Rは、コネクタCn6と接続されている。コネクタCn5,Cn6は、第2検出部121と外部装置とを接続するための接続部である。第2検出部121は、コネクタCn5,Cn6との間の電圧等の測定により、第3電極121Lと第4電極121Rとの間のインピーダンスの変化を検出可能であるように構成されている。実施の形態2において、防水樹脂Rc1は、コネクタCn1~Cn4に加えてコネクタCn5,Cn6を覆う。
【0052】
図7に示されるように、第3電極121Lおよび第4電極121Rは、櫛歯形状を有する。第3電極121Lおよび第4電極121Rは、たとえば、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む導電部材である。換言すれば、第2検出部121の基材は、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む。このように、第2検出部121は、第1検出部120と同様の形状を有している。
【0053】
実施の形態2において、Z軸の正方向側から平面視したときに、第2検出部121と重なる位置には加熱部110は配置されていない。これによって、第2検出部121は、加熱部110から加熱されない。すなわち、実施の形態2においては結露が発生している状態において、第2検出部121に付着した水滴を蒸発させない。これにより、実施の形態2では、第2検出部121を用いて第1結果を取得し、第1検出部120を用いて第2結果を取得する。
【0054】
第2検出部121に対してマイクロヒータを設ける必要がないことから、ある局面では、第2検出部121は、第2検出部121は絶縁層L1に形成されてもよい。すなわち、第2検出部121のZ軸の正方向側の絶縁層L1には、第2検出部121を露出させるための開口部を形成する処理を行う必要がなく、製造工程における負担が軽減される。
【0055】
<実施の形態2における状態判定処理>
図8は、実施の形態2における漏液または結露の発生を検出するためのフローチャートである。実施の形態2において、CPU210は、加熱部110に加熱を開始させる(ステップS200)。これにより、第1検出部120の露出面に結露により水滴が付着している場合、当該水滴は蒸発する。CPU210は、コネクタCn1とコネクタCn4との間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得する(ステップS210)。
【0056】
実施の形態2における第2結果は、加熱されている状態の第1検出部120の露出面に液体が付着しているか否かを示す情報である。第2結果を取得した後、CPU210は、コネクタCn5とコネクタCn6との間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得する(ステップS220)。実施の形態2における第1結果は、加熱されていない状態の第2検出部121の露出面に液体が付着しているか否かを示す情報である。CPU210は、第1結果と第2結果とに基づいて、漏液センサ100Aの周囲の状態を判定する(ステップS230)。
【0057】
実施の形態2においても、ステップS230において
図5に示される表を用いて漏液センサ100Aの周囲の状態を判定する。続いて、CPU210は、判定した結果を報知部230に報知させる(ステップS240)。
【0058】
このように、実施の形態2の漏液検出システム10Aでは、タイマを用いて加熱部110への通電を繰り返すことなく、加熱部110に通電する状態を保持して、漏液センサ100Aの周囲の状態を判定できる。すなわち、実施の形態2では、リアルタイムで漏液の発生と結露の発生を区別して漏液センサ100Aの周囲の状態を判定できる。また、実施の形態2では、タイマを用いた制御を行わないため、簡易な処理手順で漏液センサ100Aの周囲の状態を判定できる。
【0059】
[実施の形態3]
実実施の形態3の構成において実施の形態1と異なる点を説明する。実施の形態3の漏液センサ100Bは、実施の形態1における構成に対して温度センサ130を加えた構成を有する。実施の形態3において、実施の形態1と重複する構成については説明を繰り返さない。なお、実施の形態3に対して実施の形態2の第2検出部121が組み合わせられてもよい。
【0060】
<実施の形態3における漏液検出システムの全体構成>
図9は、実施の形態3における漏液センサ100Bを有する漏液検出システム10Bの全体構成を説明するためのブロック図である。
【0061】
図9に示されるように、実施の形態3における漏液センサ100Bは、加熱部110と第1検出部120とに加えて、温度センサ130を有する。温度センサ130は、加熱部110の温度を検出する。
【0062】
図10は、実施の形態3における漏液センサ100Bの平面図および断面図である。
図10(A)は、Y軸の負方向側から漏液センサ100Bを視たときの断面図である。
図10(B)は、Z軸の正方向側から漏液センサ100Bを視たときの平面透過図である。
図10(B)において、説明を簡単にするため、第1検出部120および加熱部110の図示を省略している。
【0063】
図10(A)に示されるように、実施の形態3における絶縁体Lyは、絶縁層L1~L5に加えて、絶縁層L6,L7を有する。絶縁層L6,L7は、絶縁層L5と基板Sb1との間に配置されている。絶縁層L6,L7の基材は、絶縁層L1~L5の基材と同様の材質である。
【0064】
図10(A)に示されるように、絶縁層L6は、温度センサ130を含む。温度センサ130は、メンブレン部Mb1内に配置されている。温度センサ130は、
図10(B)に示されるように、Z軸の正方向側から平面視したときに蛇行する形状を有する。温度センサ130は、平面視において、加熱部110と重なっている。温度センサ130は、測温抵抗体として機能する。すなわち、温度センサ130を構成している配線のインピーダンスの変化を測定することにより、温度センサ130近傍の温度が測定される。温度センサ130の基材は、たとえば白金である。
【0065】
図10(A)に示されるように、温度センサ130は、コネクタCn7~Cn10と接続される。コネクタCn7~Cn10は、外部装置と温度センサ130とを接続するための接続部である。温度センサ130は、配線における不要な抵抗値が検出されることを抑制するため、抵抗素子の両端に2本ずつの配線を接続した4線式の結線方式の測温抵抗体として構成されている。なお、温度センサ130は、2線式または3線式の結線方式の測温抵抗体であってもよい。実施の形態3において、制御装置200は、温度センサ130の検出値を用いて加熱部110に異常が生じているか否かを判定する。
【0066】
<実施の形態3における加熱部の異常判定処理>
図11は、実施の形態3における加熱部の異常判定処理のフローチャートである。実施の形態3において、加熱部110の設定温度を取得する(ステップS300)。上述したように、CPU210は、加熱部110の温度が200℃以下になるように電力を供給する。
【0067】
このとき、目標とする加熱部110の温度を設定温度と称する。CPU210は、設定温度に応じて加熱部110に印加する電流値を定める。設定温度は、たとえば、図示されない漏液センサ100Bの周囲の温度を検出する温度センサの検出値に基づいてCPU210によって定められる。また、CPU210は、温度センサ130の検出値を用いて、加熱部110の温度をフィードバック制御して調整する。すなわち、CPU210は、漏液センサ100Bの周囲の環境温度を基準として温度センサ130の検出値が予め定められた範囲内に含まれるように加熱部110の設定温度を調整する。設定温度は、たとえば、150℃として定められ得る。この場合、CPU210は、設定温度として150℃が設定されている旨をステップ300にて取得する。
【0068】
CPU210は、温度センサ130の検出値を取得する(ステップS310)。続いて、CPU210は、ステップS300にて取得した設定温度とステップS310にて取得した検出値との差が所定の範囲内か否かを判定する(ステップS320)。すなわち、実施の形態3におけるステップS320では、設定温度どおりに加熱部110の温度が上昇しているか否かを判定している。所定の範囲とは、たとえば、設定温度から±10℃である。設定温度が150℃である場合、CPU210は、加熱部110の温度が140℃以上であって160℃以下の範囲内にあるか否かを判定する。
【0069】
設定温度と温度センサ130の検出値との差が所定の範囲内である場合(ステップS320にてYES)、設定温度どおりに加熱部110の温度が上昇しているとして、CPU210は異常が発生していないと判定する(ステップS330)。設定温度と温度センサ130の検出値との差が所定の範囲内でない場合(ステップS320にてNO)、設定温度どおりに加熱部110の温度が上昇していないとして、CPU210は漏液センサ100Bに異常が発生していると判定する(ステップS340)。
【0070】
CPU210は、ステップS330またはステップS340の判定結果を報知する(ステップS350)。これにより、加熱部110の過昇温または加熱部110の温度の上昇不足に関連する異常をユーザに報知することができる。
【0071】
[付記]
(第1項,
図1~5) 本開示の漏液検出システム10は、液体を検出する漏液検出システムである。第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部120を含む漏液センサ100と、第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスを含む情報を取得する制御装置200とを備える。漏液センサ100は、第1電極120Lおよび第2電極120Rを加熱する加熱部110を含む。制御装置200は、加熱部110によって加熱されている状態の第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し(S180)、判定結果を報知する(S190)。
【0072】
(第2項,
図1,4,5) 第1項に記載の漏液検出システム10であって、制御装置200は、加熱部110によって加熱されていない状態の第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得し(S130)、加熱部110によって加熱されている状態の第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得し(S170)、第1結果と第2結果とに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し(S190)、判定結果を報知する(S195)。
【0073】
(第3項,
図7,8) 第1項に記載の漏液検出システム10Aであって、漏液センサ100Aは、第3電極121Lおよび第4電極121Rの間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第2検出部121をさらに備える。制御装置200は、加熱部110によって加熱されていない状態の第3電極121Lおよび第4電極121Rの間のインピーダンスを含む情報を第1結果として取得し(S220)、加熱部110によって加熱されている状態の第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスを含む情報を第2結果として取得し(S210)、第1結果と第2結果とに基づいて、漏液または結露が発生しているか否かを判定し(S230)、判定結果を報知する(S240)。
【0074】
(第4項,
図5) 第2項または第3項に記載の漏液検出システム10であって、制御装置200は、第1結果が液体の付着を示し、かつ、第2結果が液体の付着を示す場合、漏液が発生していると判定し、第1結果が液体の付着を示し、かつ、第2結果が液体の付着を示さない場合、結露が発生していると判定し、判定結果を報知する(S190)。
【0075】
(第5項,
図5) 第2項~第4項のいずれか1項に記載の漏液検出システム10であって、制御装置200は、第1結果が液体の付着を示さず、かつ、第2結果が液体の付着を示す場合、漏液センサに異常が発生していると判定し、判定結果を報知する(S190)。
【0076】
(第6項,
図9~11) 第1項~第5項のいずれか1項に記載の漏液検出システム10Bであって、漏液センサ100Bは、第1検出部120の温度を測定する温度センサ130をさらに備える。制御装置200は、加熱部110の設定温度を取得し(S300)、温度センサ130の検出値を取得し(S310)、設定温度と温度センサ130の検出値との差が所定の範囲内ではない場合(S320でNO)、漏液センサ100に異常が発生していると判定し(S340)、判定結果を報知する(S350)。
【0077】
(第7項,
図9~11) 第6項に記載の漏液検出システム10Bであって、制御装置200は、漏液センサ100Bの周囲の環境温度を基準として温度センサ130の検出値が予め定められた範囲内に含まれるように加熱部110の設定温度を調整する。
【0078】
(第8項,
図1~3) 本開示の漏液センサは、液体を検出する漏液センサ100である。漏液センサ100は、第1電極120Lおよび第2電極120Rの間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第1検出部120と、第1電極および第2電極を加熱する加熱部110とを有する。
【0079】
(第9項,
図2,3) 第8項に記載の漏液センサ100であって、加熱部110は、マイクロヒータである。
【0080】
(第10項,
図2,3) 第8項または第9項に記載の漏液センサであって、主面Sf1を有する基板Sb1と、絶縁層L1、絶縁層L2および絶縁層L4を含む絶縁体Lyとをさらに備える。絶縁層L1、絶縁層L2および絶縁層L4は、主面Sf1に絶縁層L4、絶縁層L2、絶縁層L1の順で積層されている。絶縁層L2は、第1電極120Lおよび第2電極120Rを含む。絶縁層L4は、加熱部110を含む。絶縁層L1には、主面Sf1の法線方向に貫通している開口部Op2が形成される。主面Sf1を平面視した場合に、開口部Op2と重なる領域において第1電極120Lおよび第2電極120Rは露出する。
【0081】
(第11項,
図3) 第8項~第10項のいずれか1項に記載の漏液センサ100であって、加熱部110と外部装置とを接続するためのコネクタCn2,Cn3と、第1検出部120と外部装置とを接続するコネクタCn1,Cn4とをさらに備える。コネクタCn1~Cn4は、防水樹脂Rc1によって覆われている。
【0082】
(第12項,
図3) 第8項~第12項のいずれか1項に記載の漏液センサ100であって、第1電極120Lおよび第2電極120Rは、櫛歯形状を有する。
【0083】
(第13項,
図3) 第8項~第12項のいずれか1項に記載の漏液センサ100であって、第1電極120Lおよび第2電極120Rの基材は、アルミニウム、銅、または白金のいずれかを含む。
【0084】
(第14項,
図4) 第8項~第13項のいずれか1項に記載の漏液センサ100であって、加熱部110の温度は、漏液センサ100の周囲の環境温度以上であって200℃以下である。
【0085】
(第15項,
図7,8) 第8項~第14項のいずれか1項に記載の漏液センサ100Aであって、第3電極121Lおよび第4電極121Rの間のインピーダンスの変化によって液体の付着を検出する第2検出部121をさらに備える。
【0086】
(第16項,
図9~11) 第8項~第15項のいずれか1項に記載の漏液センサ100Bであって、第1検出部120の温度を測定する温度センサ130をさらに備える。
【0087】
以上のように本開示の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0088】
L1~L7 絶縁層、10,10A,10B 漏液検出システム、100,100A,100B 漏液センサ、110 加熱部、120 第1検出部、120L 第1電極、120R 第2電極、121 第2検出部、121L 第3電極、121R 第4電極、130 温度センサ、200 制御装置、210 CPU、220 メモリ、230 報知部、Cn1~Cn10 コネクタ、D1,D2 長さ、Ly 絶縁体、Mb1 メンブレン部、Op1,Op2 開口部、Rc1 防水樹脂、Sb1 基板、Sf1 主面。