(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048455
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240402BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154372
(22)【出願日】2022-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】522383768
【氏名又は名称】間島 克哉
(74)【代理人】
【識別番号】100160185
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】間島 克哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB46
(57)【要約】
【課題】より地域活性化を推進することが可能な自動販売機およびセンタサーバを提供する。
【解決手段】本発明の実施の形態における自動販売機10は、センタサーバ20と通信可能に接続された自動販売機10であって、センタサーバ20からの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部12と、デジタルサイネージ部12において選択された商品を販売する自動販売部13と、自動販売部13により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部14とを備え、デジタルサイネージ部12に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタサーバと通信可能に接続された自動販売機であって、
前記センタサーバからの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部と、
前記デジタルサイネージ部において選択された商品を販売する自動販売部と、
前記自動販売部により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部とを備え、
前記デジタルサイネージ部に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を表示する自動販売機。
【請求項2】
前記センタサーバと当該自動販売機とが情報連携することにより、1商品1テナントに見立てて当該自動販売機をマルチテナント化し、複数のテナントで当該自動販売機を共同利用できるように構成されている請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
複数の前記商品の決済を一括で行うショッピングカートを設け、複数の前記商品について前記寄附に必要な情報の登録を同一処理で行う請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記商品の決済後、前記商品の引き渡しまでに、前記デジタルサイネージ部においてタッチパネル形式の質問プロセスを追加し、前記商品の購入者の意見を収集する請求項1に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記デジタルサイネージ部にルーレット式商品選択ボタンを表示し、前記ルーレット式商品選択ボタンが選択されると、均一価格の商品の中からランダムに商品を決定する請求項1に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記デジタルサイネージ部の商品一覧に表示されていない商品を有償または無償で提供する請求項1に記載の自動販売機。
【請求項7】
前記デジタルサイネージ部において商品が選択されたとき、その商品に紐づけて管理している自治体を調べ、紐づけて管理している自治体が存在しないときはその商品が寄附に対応していないと判定し、前記選択画面を表示することなく決済に進む請求項1に記載の自動販売機。
【請求項8】
前記購入者情報登録部により登録された購入者情報に基づいて購入者の在住自治体IDを特定し、その在住自治体IDと前記商品の自治体IDを比較し、両IDが同じ場合は通常の価格を表示したうえで通常の物販で購入するかどうかを選択する選択画面を表示し、通常の物販で購入することが選択されたときは決済に進む請求項1に記載の自動販売機。
【請求項9】
請求項2に記載の自動販売機をアンテナショップに見立てた自動販売機のプラットフォームサービスを提供するセンタサーバであって、
前記プラットフォームサービスを提供するためのデータを記憶する記憶部と、
前記自動販売機との間でデータを送受信するプラットフォーム管理部と、
前記複数のテナントの出店者を個別に管理する出店者別管理部と、
前記プラットフォームサービスの全体の運営を管理する全体運営部と
を備えるセンタサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機およびセンタサーバに関し、特に、ふるさと納税などの寄附に対応した自動販売機のプラットフォームサービスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ふるさと納税自販機が注目されている(特許文献1、非特許文献1参照)。例えば、非特許文献1には、ふるさと納税自販機をゴルフ場に設置した例が紹介されている。このふるさと納税自販機では、デジタルサイネージ画面の返礼品を選び、返礼品を決定し、住所入力方法を選び、住所を入力し、寄附方法を選び、納税する。これにより、ふるさと納税自販機からレシートが出力され、そのレシートと返礼品をその場で引き換えることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】グローキーアップ社、「IoTふるさと納税自販機」、令和4年9月2日検索、インターネット<URL: https://www.glowkeyup.co.jp/iot>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなふるさと納税自販機によれば、手軽にふるさと納税を行うことができるため、地域活性化を推進することが可能である。しかしながら、デジタルサイネージ画面で地域や商品の説明が十分でない等、自販機で完結した運用になっていない。また、実際にふるさと納税を行った経験がある人の割合は依然として少ないのが現状である。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、より地域活性化を推進することが可能な自動販売機およびセンタサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、センタサーバと通信可能に接続された自動販売機であって、前記センタサーバからの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部と、前記デジタルサイネージ部において選択された商品を販売する自動販売部と、前記自動販売部により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部とを備え、前記デジタルサイネージ部に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を表示する。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、前記自動販売機をアンテナショップに見立てた自動販売機のプラットフォームサービスを提供するセンタサーバであって、前記プラットフォームサービスを提供するためのデータを記憶する記憶部と、前記自動販売機との間でデータを送受信するプラットフォーム管理部と、前記複数のテナントの出店者を個別に管理する出店者別管理部と、前記プラットフォームサービスの全体の運営を管理する全体運営部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より地域活性化を推進することが可能な自動販売機およびセンタサーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の概要を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態における自動販売機の説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるプラットフォームのシステム構成図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるプラットフォームの機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態における自動販売機の動作を示すフロー図である。
【
図6】本発明の実施の形態における自動販売機の画面遷移図である。
【
図7】本発明の実施の形態におけるセンタサーバの記憶部のデータ構造図である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるセンタサーバの記憶部のデータ構造図である。
【
図9】本発明の実施の形態におけるセンタサーバの記憶部のデータ構造図である。
【
図10】本発明の実施例における自動販売機の動作を示すフロー図である。
【
図11】本発明の実施例における自動販売機の動作を示すフロー図である。
【
図12】本発明の実施例における自動販売機の動作を示すフロー図である。
【
図13】本発明の実施例における自動販売機の動作を示すフロー図である。
【
図14】本発明の実施の形態におけるセンタサーバのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は、あくまでも例示である。すなわち、以下に説明する実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0012】
《概要》
図1は、本発明の概要を説明するための模式図である。本発明では、都市部および地方自治体に設置する自動販売機を活用し、物産、観光、寄附(ふるさと納税)などの活動を支援するアンテナショップに見立てた自動販売機のプラットフォームサービスを提供する。
【0013】
例えば、自動販売機のデジタルサイネージを活用し、地域の特色や特産品の魅力を紹介し、物産販売や観光紹介を促進する。また、複数地域または特定地域の特産品(特産品の詰め合わせを含む)を自動販売機の商品として販売する。また、複数地域または特定地域の地域クーポン券・地域通貨(体験商品)を自動販売機の商品として販売する。体験商品は、特定の自治体での観光、食事、宿泊などのアクティビティに活用できる。また、複数地域または特定地域へふるさと納税し、その返礼品として特産品や地域クーポン券・地域通貨を受け取る。このように、一連のプラットフォームサービスによって人々の移動を誘発し、経済活動を掘り起こすことによって、地域活性化を推進する。
【0014】
《簡易アンテナショップ自動販売機》
図2は、本発明の実施の形態における自動販売機10の説明図である。ここでは、自動販売機10を簡易アンテナショップに見立て、都市部の駅構内など一等地に設置しているものとする。一般に、アンテナショップとは、企業や地方自治体などが自社あるいは地元の製品を広く紹介したり、消費者の反応を探ったりする目的で開設する店舗のことである。
【0015】
すなわち、
図2(A)に示すように、自動販売機10は、ふるさと納税に対応した簡易アンテナショップ自動販売機であって、正面にタッチパネル式のデジタルサイネージを備えている。購入者Uは、デジタルサイネージに表示されるメイン画面1にタッチすることで各種の操作を行うことができる。メイン画面1とは別にサブ画面2を備えてもよい。もちろん、一般的な自動販売機と同様、商品を排出するための商品排出口3を備えることもできる。その他、コイン投入口をはじめ、カメラ、スピーカ、対物センサ、クレジットカード読み取り装置、QRコード読み取り装置、ICカード読み取り装置などを備えることも可能である。
【0016】
例えば、
図2(B)に示すように、メイン画面1の上部に商品のPR動画Sが表示され、その下部に各商品に対応する購入ボタンBが表示される。詳細については後述するが、1商品1テナントに見立てて自動販売機10をマルチテナント化し、複数のテナントで自動販売機10を共同利用できるように構成されている。「1商品1テナントに見立てる」とは、1つの商品を1つのテナントに見立てるという意味である。基本的に1つの商品は1つの購入ボタンBに対応しているため、自動販売機10を購入ボタン単位でテナントに貸すビジネスモデルと言い換えることもできる。このようなビジネスモデルによれば、1台の自動販売機10を複数組織で活用し、販売管理や在庫管理などを共通化することによって、従来と比較して安価に簡易アンテナショップを開設することができる。商品補充などもワンストップ運営代行によって行うことができるため、人員工数を大幅に削減することが可能である。
【0017】
《プラットフォーム》
図3は、本発明の実施の形態におけるプラットフォームのシステム構成図である。このプラットフォームは、アンテナショップに見立てた自動販売機10A,10B,10C,…のプラットフォームサービスを提供するために必要な動作環境である。具体的には、
図3に示すように、自動販売機10A,10B,10C,…とセンタサーバ20とがインターネット回線Nなどのネットワークを介して通信可能に接続されている。自動販売機10A,10B,10C,…とセンタサーバ20とが情報連携することで自動販売システムを構築している。
【0018】
自動販売機10A,10B,10C,…(以下、一括して「自動販売機10」という)の設置場所は特に限定されるものではない。すなわち、自動販売機10をマルチテナント化する場合は都市部の駅構内など一等地に設置するのが望ましいが、A地域専用の自動販売機10とする場合はA地域内の宿泊施設などに設置するようにしてもよい。
【0019】
《機能説明》
図4は、本発明の実施の形態におけるプラットフォームの機能ブロック図である。ここでは、1台の自動販売機10を例示しているが、その他の自動販売機10の機能も基本的には同じである。ただし、マルチテナント機能については、都市部に設置される自動販売機10で実現されればよく、全ての自動販売機10で実現されなくてもよい。
【0020】
図4に示すように、自動販売機10は、物販、観光促進、寄附、PR活動を行う装置であって、機能的には、自動販売機管理部11、デジタルサイネージ部12、自動販売部13、購入者情報登録部14、外部インターフェース15などを備えている。自動販売機管理部11は、他部から情報を集約し、販売管理、決済管理、商品・在庫管理、テナント運営管理、販売情報連携管理などを行い、センタサーバ20とデータ連携を行う。デジタルサイネージ部12は、センタサーバ20からの制御のもとに機能する電子看板(情報発信システム)であって、コンテンツ配信機能、コンテンツ受信機能、コンテンツ表示機能、コンテンツ切り替え機能などを有する。自動販売部13は、デジタルサイネージ部12において選択された商品を販売する機能部であって、商品管理/賞味期限管理、販売機能、決済機能、在庫確認機能などを有する。購入者情報登録部14は、自動販売部13により販売される商品の購入者情報を登録する機能部であって、ふるさと納税に必要な情報の収集機能などを有する。外部インターフェース15は、プラットフォーム外部とのデータ連携、閲覧、管理コンソールなどのインターフェース機能部であって、自動販売機10と購入者Uとの間で情報連携を行う。
【0021】
センタサーバ20は、自動販売機10からのデータを集約し、クラウドサービスなどを活用してプラットフォームサービスを制御する装置であって、機能的には、記憶部21、プラットフォーム管理部22、出店者別管理部23、全体運営部24、外部通信部25、外部インターフェース26などを備えている。記憶部21は、プラットフォームサービスを提供するためのデータを記憶する記憶装置である。この記憶装置は、センタサーバ20とネットワークを介して接続された外部の記憶装置であってもよい。プラットフォーム管理部22は、自動販売機10との間でデータを送受信して他部を管理する機能部である。出店者別管理部23は、複数のテナント出店者を個別に管理する機能部であって、出店者別に販売管理や在庫管理、決済管理などを行う。全体運営部24は、プラットフォームサービスの全体の運営を管理する機能部であって、販売管理や在庫管理、決済管理などを行う。外部通信部25は、プラットフォーム管理部22で集約・管理された出店者向けの情報の閲覧許可、日次の販売管理結果・月次の決済管理結果のメール通知を行う機能部である。外部インターフェース26は、プラットフォーム外部とのデータ連携、閲覧、管理コンソールなどのインターフェース機能部であって、センタサーバ20と出店者との間で情報連携を行う。
【0022】
《動作説明》
図5は、本発明の実施の形態における自動販売機10の動作を示すフロー図であり、
図6は、その自動販売機10の画面遷移図である。以下、
図5および
図6を参照しながら、購入者Uが商品を購入する際の動作について説明する。
【0023】
まず、自動販売機10のメイン画面1を起動し、自動販売機10の状態を把握する(ステップS1→S2→S3)。自動販売機10が正常な状態であれば、メイン画面1に商品一覧を表示するとともに、商品PR広告を表示する(ステップS4→S5)。例えば、
図6(A)に示すように、商品一覧として「A地域特産品」~「F地域特産品」を購入するためのボタンを表示するようになっている。
【0024】
次いで、自動販売機10のメイン画面1に商品一覧を表示している状態で、購入者Uによって「A地域特産品」が選択されると、商品購入目的選択画面を表示する(ステップS6→S7→S8)。例えば、
図6(B)に示すように、A地域特産品の購入目的として「通常価格」か「ふるさと納税」を選択するためのボタンを表示するようになっている。
【0025】
ここで、購入者Uによって「通常価格」が選択されると、通常価格の物販プロセスを実行し、所望の決済方法が選択されると、その決済方法で決済を実行し、A地域特産品を受け渡す(ステップS9A→S10→S11→S12)。例えば、
図6(D)に示すように、決済方法としてはクレジットカード、Pay機能(QRコード)、ICカード払い、現金を選択できるようになっている。なお、QRコードは登録商標である。
【0026】
一方、購入者Uによって「ふるさと納税」が選択されると、ふるさと納税プロセスを実行し、所望の決済方法が選択されると、その決済方法で決済を実行し、A地域特産品を受け渡す(ステップS9B→S10→S11→S12)。このA地域特産品は、ふるさと納税の返礼品である。ふるさと納税プロセスでは、購入者情報と税制利用情報が登録され、その内容を最終確認することができる。例えば、
図6(C)に示すように、住民票住所・氏名は正しいか、寄附金の使途は正しく選択しているか、ワンストップ特例申請書の要否は正しいか、当自治体に住んでいないか、という点を画面で確認し、正しい場合はチェックボックスにチェックを入れる。
【0027】
《一般的な技術との比較》
本発明の実施の形態によれば、一般的な自動販売機を用いた場合に生じる様々な課題を解決できる。その中でも特に特徴的と考える課題1~6とその解決方法について説明する。
【0028】
まず、課題1とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機では、商品や販売形態の組み合わせの数だけ、販売可能な選択肢(購入ボタン)を設置する必要がある。組み合わせが複雑になる分、寄附型・ふるさと納税対応型の自動販売機において通常価格での販売を行うことができない。それに対して、本発明の実施の形態では、自治体が地域の特産品や地域クーポン券・地域通貨(体験商品)を自動販売機10にて販売することができる。地域の特産品や地域クーポン券・地域通貨は、設定価格の通常物販として購入するか、ふるさと納税として寄附を行うか、タッチパネルにて選択することができる。ふるさと納税として寄附を行う場合には、ふるさと納税の対象となる特産品や地域クーポン券・地域通貨を返礼するとともに、ふるさと納税に必要な情報を自動販売機10で収集し、自治体へふるさと納税の手続きに必要な情報連携を行うことができる。
【0029】
次に、課題2とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機は、1自動販売機・1組織が運営しており、都市部での設置コストやノウハウなどの負担が大きい。1自動販売機・複数組織で活用し、費用や運用を軽減しようとした場合、複数組織での商品管理や販売管理、売上管理など、個別に自動で対応することができない。それに対して、本発明の実施の形態では、デジタルサイネージ型の自動販売機10を用い、自治体のPR活動や物産販売、観光促進、寄附財源の確保などの活動を支援することができる。自動販売機10を複数の自治体が共同利用できるようにマルチテナント型のサービス提供を行い、商品の販売、決済、受け渡しなどの運営をワンストップで支援することができる。
【0030】
次に、課題3とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機では、自動販売機の処理上、商品ごとに個別決済を行う必要がある。現金の場合には、自動販売機に投入金額を保持することができるが、購入時には、購入対象の商品ごとに購入ボタン押下などの操作が必要である。それに対して、本発明の実施の形態では、デジタルサイネージ型の自動販売機10を用い、購入商品または返礼品を同一手続きであれば同時決済できる。EC(Electronic Commerce)サイトと同様に、ショッピングカートの概念を取り入れ、ショッピングカートの決済を行う。また、ショッピングカートに入れた商品は数量を変更することもできる。これにより、複数の特産品/返礼品の決済を一回の決済で完了することができ、特にふるさと納税の情報登録など、同一処理であれば手続きを簡素化することが可能である。
【0031】
次に、課題4とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機では、購入者Uが商品を選択し購入する「提供者→購入者Uの片方向コミュニケーション」である。すなわち、提供者が購入者Uから意見やニーズなどを取得することができない。それに対して、本発明の実施の形態では、商品決済後、商品引き渡しまでに、購入者Uにタッチパネルの選択ボタンを押下してもらい、意見集約することができる。例えば、タッチパネルでアンケートを行ったり、購入代金うち一部を寄付したりすることが可能である。
【0032】
次に、課題5とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機では、商品選択に悩む場合や、同じ商品ばかり偏って購入する場合などがある。そのため、購入者Uの購入意欲を高め、商品視野を広げることができない。それに対して、本発明の実施の形態では、デジタルサイネージ部12にルーレット式商品選択ボタンを表示し、ルーレット式商品選択ボタンが選択されると、均一価格の商品の中からランダムに商品を決定することができる。
【0033】
次に、課題6とその解決方法について説明する。一般的な自動販売機では、購入意欲を高める「あたり機能」を有していないため、商品一覧以外の特別なあたり商品(ガチャ)を提供することができない。それに対して、本発明の実施の形態では、デジタルサイネージ部12の商品一覧に表示されていない商品を有償または無償で提供する。すなわち、商品購入時のあたり機能を有し、デジタルサイネージ部12には表示していないあたり設定の景品(ガチャ)を追加で提供することができる。おみくじや占いなどのサービスを提供してもよい。
【0034】
なお、本発明の実施の形態では、地域活性化(とりわけ経済活性化および地域財源確認)を推進することが必要な自治体などの地域組織を利用対象とし、ふるさと納税を推進することとしているが、利用対象は自治体などの地域組織に限定されるものではなく、寄附はふるさと納税に限定されるものではない。例えば、商店街やショッピングモール等のあらゆる組織を利用対象とし、それらの組織において物販または寄附に応用することも可能である。
【0035】
《具体的な機能説明》
以下、本発明の実施の形態について更に具体的に説明する。以下で説明する各機能も、
図4の各機能部により実現されるものである。
【0036】
既に説明したように、センタサーバ20のプラットフォーム管理部22と自動販売機10の自動販売機管理部11が情報連携するようになっている。これにより、自動販売機10からセンタサーバ20にデータを集約し、一元管理・統合管理を行う。自動販売機10の設置時には全体構成に影響を与えることなく、プラットフォームを容易に拡張できる。自動販売機10を追加する方法は、自動販売機10にSIM(Subscriber Identity Module)カードを挿入する方法でもよいし、インターネット回線Nを直接イーサネット回線で繋ぎこむ方法でもよい。
【0037】
センタサーバ20では、サービス提供を行う管理者がプラットフォームの販売管理、決済管理、商品・在庫管理、テナント運営管理、テナント出店者への販売情報連携管理などを行う。テナント出店者は、センタサーバ20へアクセスし、テナント出店分の各管理状況のモニタリングを行う機能を有する(マルチテナント機能の管理サービス提供)。
【0038】
具体的には、サービス提供を行う管理者は、テナント出店者に対し、センタサーバ20のアカウントを発行し、必要な管理機能の閲覧権限を付与する機能を有する。また、テナント出店者に対し、適時(日次など)、販売データやふるさと納税に必要な情報をセンタサーバ20やメール等を介して連絡する機能を有する。また、テナント出店者に対し、販売管理、在庫管理、決済管理などの情報についてセンタサーバ20の日次更新を行い、閲覧を許可する機能を有する。閲覧画面や閲覧情報をダウンロードできる機能も有する。また、テナント出店者に対し、月次の決済結果を閲覧許可する機能を有する。また、テナント出店者に対し、月次決済結果に基づき、支払い・請求をセンタサーバ20やメール等を介して自動的に実施する機能を有する。例えば、商品の売上から商品のテナント料、商品の販売手数料を差し引いた支払い報告を行い、支払い処理を実施する。
【0039】
自動販売機10では、地域特産品または地域クーポン券・地域通貨(以下、地域特産)を販売する。地域特産を購入する際には、購入者Uがデジタルサイネージ部12に表示される地域特産をタッチパネルで選択後、地域特産について予め定めた価格で物販として決済を進めるか、ふるさと納税として寄附および返礼品受取の手続き、決済を進めるかを決定できる機能を有する。また、地域特産を物販として決済を進める場合、決済機能を活用する。また、地域特産をふるさと納税として寄附および返礼品の手続きを進める場合、ふるさと納税に必要な情報を外部インターフェース15から取得する。
【0040】
ふるさと納税に必要な情報としては、例えば、氏名、現住所、発送先住所、寄附金の使用用途の選択結果、ワンストップ納税申請の資料送付を受け入れることの同意(申請書を送付されることに同意する/同意しないの選択)、地域特産の住人でないことの確認(住んでいない/住んでいるの選択)、上記および自治体が指定する情報について全て同意し、ふるさと納税を行うことの同意(同意する/同意しないの選択)がある。氏名、現住所、発送先住所については、外部インターフェース15からの情報連携により自動的に取得する。エビデンスが必要な場合には、ワンストップ申請時に必要書類の提出を求める。
【0041】
外部インターフェース15からの情報連携の方法としては、例えば、直接登録、QRコード登録、ICカード読み込み等がある。直接登録とは、タッチパネルを用いて情報を登録することである。QRコード登録とは、デジタルサイネージ部12に表示されるQRコードをスマートフォン等で読み込み、情報登録用のWebサイトから情報を入力して情報を登録することである。ICカード読み込みとは、非接触または接触でICカードを差し込み、情報を読み込むことである。ICカードとしては、マイナンバーカードや交通機関ICカード等がある。例えば、マイナンバーカードのチップを読み込み、近接無線通信を介して情報を登録してもよい。また、マイナンバーカードをスマートフォンで読み込み、必要な情報のみ無線LANや近接無線通信、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near field communication)などを介して登録してもよい。また、ICOCAやSuicaなどの交通機関ICカード、特に記名式ICカード・定期券などのチップを読み込み、近接無線通信などを介して情報を登録してもよい。また、交通機関ICカードのチップを読み込む専用物理装置に認識させることで情報を登録してもよい。また、マイナンバーカードや交通機関ICカードに限らず、その他のICカードを用いてもよい。例えば、その他のICカードのチップを交通機関ICカードのチップを読み込む専用物理装置に認識させることで情報を登録してもよい。また、自動販売機10に設けられたカメラおよびスマートフォンに搭載されたアプリを活用し、カード記載情報をOCR認識し、Bluetooth、NFC、無線LANなどを介して情報を登録してもよい。
【0042】
自動販売機10は、販売履歴情報を生成してセンタサーバ20へ送付し、センタサーバ20で販売履歴情報を管理する。自動販売機10では販売履歴情報を適時削除し、保持しない。ここでいう販売履歴情報には、取引情報、決済情報、ふるさと納税情報などが含まれる。
【0043】
自動販売機10は、決済方法として、現金、ICカード(クレジットカード、交通系ICカードなど)、QRコード決済/Pay機能などを有する。このように多様な決済方法を用意すれば、購入者Uの決済が容易である。また、ECのショッピングカートのように、複数商品を同時に決済する機能を有する。
【0044】
自動販売機10は、いわゆるガチャ機能を有する。例えば、自動販売機10の複数商品の中から自動商品選定する「商品ボタン」を設け、その商品ボタンを押下することで、商品一覧の中からランダム/AI分析(購入履歴、AIカメラでの特性把握)などによって商品を特定し、購入手続きに進むことができる。また、自動販売機10のあたり機能として、商品購入時に設定頻度で景品(ガチャ)を提供できる機能を有する。また、自動販売機10で一定条件(購入金額、特定商品など)を満たせば、商品一覧にはない新たなオプションの独自商品を追加購入できる商品一覧を表示し、販売する機能を有する。また、商品購入後、おみくじ・占いなど、可変性のある情報をデジタルサイネージ部12に表示し、購入者Uへ情報提供する機能を有する。
【0045】
自動販売機10は、商品を販売するだけでなく、購入者Uからのフィードバック、意見などを収集する情報収集機能を有する。例えば、商品決済時、購入代金の一部を寄附することへの同意可否、購入目的のアンケートへの回答などをタッチパネルで購入者Uに促し、寄附活動やマーケティング活動に用いる情報を取得する機能を有する。
【0046】
プラットフォームに接続する自動販売機10は、取り扱う商品に合わせ、常温対応、冷蔵対応、冷凍対応を設定する。また、設定を切り替えることができる機能も有する。
【0047】
デジタルサイネージ部12は、自動販売機10の特産品・地域クーポン券などを出店している自治体などの地域組織の特色や、自動販売機10の取扱商品、ふるさと納税を選択時には寄附金の利用結果などを動画や写真でPR活動を行う。このようなPR活動に加え、タッチパネルとして視覚的に購入をサポートし、操作性に優れている。
【0048】
デジタルサイネージ部12は、メイン画面1とサブ画面2を表示することができる。メイン画面1とサブ画面2は切り替えが可能であり、PR活動用途と商品購入用途を使い分けることができる。サブ画面2は、ふるさと納税時の情報登録や情報確認に活用する。
【0049】
自動販売機管理部11は、デジタルサイネージ部12、自動販売部13、購入者情報登録部14の3部からの情報を集約する。ここで一時処理を行った後、センタサーバ20へ情報をアップロードし、センタサーバ20で管理を行う。自動販売部13は、各商品の商品投入数、商品販売数、商品在庫数、賞味期限、決済額などを管理する。購入者情報登録部14でふるさと納税を利用する場合に必要な情報を登録した後、自動販売機管理部11で購入者情報及び商品データを統合し、センタサーバ20へ情報をアップロードする。
【0050】
《具体的なデータ例》
図7~
図9は、本発明の実施の形態におけるセンタサーバ20の記憶部21に記憶されるデータの構造図である。もちろん、これらのデータは例示である。
【0051】
図7(A)は、センタサーバ20が自動販売機10に送信する送信データである。この送信データには、
図7(A)に示すように、設定情報、在庫情報などが含まれる。設定情報とは、自動販売機10を設定するための情報である。在庫情報とは、自動販売機10で扱う商品の在庫に関する情報である。設定情報、在庫情報には、それぞれ図中の右欄に記載の情報が含まれる。図中の「自動販売機情報」の文字の後に括弧書きで「自販機DB」と記載されているのは、自動販売機情報が自販機DBから取得されることを意味する。
【0052】
図7(B)は、センタサーバ20が自動販売機10から受信する受信データである。この受信データには、
図7(B)に示すように、取引情報、決済情報、ふるさと納税情報、ガチャ情報、アンケート情報、受け渡し情報などが含まれる。取引情報とは、自動販売機10において行われた取引に関する情報である。決済情報とは、自動販売機10において行われた決済に関する情報である。ふるさと納税情報とは、自動販売機10において登録されたふるさと納税に関する情報である。ガチャ情報とは、自動販売機10におけるガチャの当選結果を示す情報である。アンケート情報とは、自動販売機10におけるアンケート回答結果を示す情報である。受け渡し情報とは、自動販売機10における受け渡し完了結果を示す情報である。
【0053】
図8は、サービス提供を行う管理者向けの取引管理情報である。この取引管理情報は、受信データを集約したものであり、
図8に示すように、取引情報、決済情報、ふるさと納税情報、ガチャ情報、アンケート情報、受け渡し情報、自販機DB、自販機テナントDB、商品DB、商品管理DB、自治体DB、購入形態DBなどが含まれる。取引情報~受け渡し情報までは上記した通りである。自販機DBとは、自動販売機10に関するデータベースである。自販機テナントDBとは、自動販売機10におけるテナントに関するデータベースである。商品DBとは、商品に関するデータベースである。商品管理DBとは、商品の管理に関するデータベースである。自治体DBとは、地方自治体に関するデータベースである。購入形態DBとは、商品の購入形態に関するデータベースである。
【0054】
図9は、テナント出店者向けの取引管理情報である。この取引管理情報は、
図8の取引管理情報に基づいてテナント出店者別に提供される情報であり、
図9に示すように、取引情報、決済情報、ふるさと納税情報、ガチャ情報、アンケート情報、受け渡し情報、月次取引情報などが含まれる。取引情報~受け渡し情報までは上記した通りである。月次取引情報とは、事業者からテナント出店者に送られる月次取引に関する情報である。
【0055】
このようなデータをセンタサーバ20に備え、センタサーバ20と自動販売機10とが情報連携することでマルチテナント機能を実現することができる。すなわち、基本的なデータの流れとしては、センタサーバ20側で全てのデータを管理し、自動販売機10を立ち上げたときに設定情報などをセンタサーバ20から自動販売機10に読み込む。その後、自動販売機10において取引があったときに取引情報などを自動販売機10からセンタサーバ20に送って集約し、集約したデータ(
図8参照)に基づいて全体運営を行う。集約したデータにはアクセス権が設定され、各テナントは自治体IDとパスワードなどを入力することで自身のデータ(
図9参照)を利用することが可能となっている。
【0056】
《実施例》
図10~
図13は、本発明の実施例における自動販売機10の動作を示すフロー図である。このフロー図には基本動作とオプション動作が含まれる。まずは基本動作について説明し、その後にオプション動作をまとめて説明する。
【0057】
まず、自動販売機10に起動画面を表示し、センタサーバ20から自動販売機10に設定情報(更新差分でもよい)や各種DBを読み込み、商品一覧画面と商品動画を表示する(ステップS21→S22→S23→S24)。設定情報や各種DBの内容は自動販売機10ごとに管理されているため、例えば、自動販売機10が設置される地域ごとに異なる設定で自動販売機10を動作させたり、異なる内容の画面を表示させたりすることが可能である。
【0058】
自動販売機10が人感センサやカメラを備えている場合、近距離に人を認識できないときは商品動画を表示し、近距離に人を認識できたときに商品一覧画面を表示してもよい(ステップS25→S26)。これにより、購入者Uによって商品一覧画面から商品が選択されると、その商品でよいかどうかを確認する画面を表示する(ステップS27→S28→S30)。このとき、その商品を誤って選択している場合はキャンセルボタンなどを押下し、取引前の初期画面に戻る(ステップS31→S24)。一方、その商品を正しく選択している場合は決定ボタンなどを押下し、商品一覧画面に戻る(ステップS31→S26)。
【0059】
次いで、選択商品の数量が1個でよいかどうかを確認する画面を表示する(ステップS32)。このとき、選択商品の数量を変更したい場合はプラス・マイナスボタンなどを押下することで購入数を追加し、選択商品の購入数量を決定する(ステップS33→S34)。一方、選択商品の数量が1個でよい場合はそのまま購入数量を決定する(ステップS34)。
【0060】
次いで、その他に購入する商品の有無を確認する画面を表示する(ステップS35)。このとき、上記したように購入商品カートには同一手続きのものであれば登録できるため、購入する商品がある場合は購入商品カートを保存した後、追加商品を選択する(ステップS36→S26)。一方、購入する商品がない場合はそのまま購入商品カートを保存する(ステップS37)。
【0061】
次いで、購入目的/形態が寄附(ふるさと納税)であるか通常の物販であるかを選択する画面を表示する(ステップS38)。このとき、ふるさと納税が選択された場合はふるさと納税手続きの確認画面を表示し、外部インターフェース15の情報が読み込まれると、氏名・住所、在住自治体IDを特定し、カート商品の自治体IDを特定する(ステップS39→S40→S41→S42→S43)。
【0062】
そして、在住自治体IDとカート商品の自治体IDを比較し、両IDが同じ場合は通常品(通常の物販)として購入するかどうかを選択する画面を表示する(ステップS44→S45)。この画面には通常品の価格を表示しておくのが望ましい。このとき、通常品として購入しないことが選択された場合は取引前の初期画面に戻り(ステップS24)、通常品として購入することが選択された場合は決済方法を選択する画面を表示する(ステップS48)。
【0063】
一方、在住自治体IDとカート商品の自治体IDを比較し、両IDが異なる場合はふるさと納税に必要な情報を確認し、寄附内容に間違いがないかどうかを確認する画面を表示する(ステップS44→S46→S47)。このとき、寄附内容に誤りがある場合はふるさと納税手続きの確認画面を表示し(ステップS39)、寄附内容が正しい場合は決済方法を選択する画面を表示する(ステップS48)。
【0064】
次いで、決済方法が選択されると、その決済方法で決済を実行する(ステップS49)。上記したように、購入商品または返礼品を同一手続きであれば同時決済できる。
【0065】
次いで、カート内の商品/返礼品数の計算・管理を実行し、残りの受け渡し数が0になるまで1商品/返礼品ずつ安全確認のうえで受け渡しを実行する(ステップS60→S61→S62→S63→S64→S60→S61→…)。そして、その購入者Uにつき、全商品/返礼品の受け渡しが完了すると、センタサーバ20に取引結果の記録を送信して取引を終了し、取引前の初期画面に戻る(ステップS65→S66→S67→S68→S24)。
【0066】
なお、上記の説明では言及しなかったが、商品が選択されたときにその商品がふるさと納税に対応している商品かどうかを判定し、ふるさと納税に対応していないときは、購入目的/形態がふるさと納税であるか通常の物販であるかを選択する画面(ステップS38)を表示することなく、決済方法を選択する画面(ステップS48)を表示してもよい。例えば、ふるさと納税に対応している商品かどうかは、その商品情報に自治体コードが紐づいているかどうかで判定することが可能である(
図7(A)、
図8参照)。あるいは、購入形態コードには、物販、ふるさと納税、その他に対応しているかどうかを示す情報が含まれるため、購入形態コードで寄附対応の商品であるか判定してもよい(
図8参照)。
【0067】
次に、オプション動作について説明する。例えば、購入者Uが商品一覧画面から商品が選択されると、ルーレット式商品選択ボタンを表示し、そのボタンが押下されると、均一価格の商品の中からランダムに商品を自動決定してもよい(ステップS28→S29)。これにより、購入意欲を高めるおまけサービスを提供することが可能である。
【0068】
また、通常の物販のみ、決済を実行すると、所定の設定頻度でガチャ抽選を行ってもよい(ステップS50→S51→S52)。例えば、自動販売機10の複数商品の中から自動商品選定する「商品ボタン」を設け、その商品ボタンが押下されると、商品一覧の中から商品を特定し、その商品をガチャあたり商品としてカートに追加するようにしてもよい。このとき、ランダムに商品を特定してもよいが、AI分析によって商品を特定すれば、購入履歴やAIカメラでの特性把握に基づいて購入者Uの好みに合った商品を提供することが可能である。
【0069】
また、決済金額が一定条件を満たした場合のみ購入できる商品をボーナス商品としてもよい(ステップS53→S54→S55→S56)。例えば、10万円以上購入した場合に地域往復タクシー定額券3万円相当を1万円で購入できるようにしてもよい。これにより、一定条件(購入金額、特定商品など)を満たせば、商品一覧にはない新たなオプションの独自商品を追加購入できる商品一覧を表示し、販売することが可能である。
【0070】
また、商品を販売するだけでなく、購入者Uからのフィードバック、意見などを収集するようにしてもよい(ステップS57→S58)。例えば、商品決済時、購入代金の一部を寄附することへの同意可否、購入目的のアンケートへの回答などをタッチパネルで購入者Uに促してもよい。これにより、寄附活動やマーケティング活動に用いる情報を取得することが可能である。
【0071】
また、商品購入後、おみくじ・占いなど、可変性のある情報を画面に表示し、購入者Uへ情報提供してもよい(ステップS59)。これにより、購入意欲を高めるおまけサービスを提供することが可能である。
【0072】
《ハードウェア構成例》
図14は、本発明の実施の形態におけるセンタサーバ20のハードウェア構成図である。センタサーバ20は、自動販売機10をアンテナショップに見立てた自動販売機10のプラットフォームサービスを提供するコンピュータであって、例えば、
図14に示すように、プロセッサ20A、メモリ20B、記憶部20C、IF(Interface)部20D、入出力部20E、読取部20Fがバス20Iを介して相互に通信可能に接続されている。プロセッサ20Aは、種々の制御や演算を行なう演算処理装置である。メモリ20Bは、種々のデータやプログラムを記憶する揮発性メモリである。記憶部20Cは、種々のデータやプログラムを記憶する不揮発性メモリである。IF部20Dは、他の端末との間の通信の制御等を行う機能部である。入出力部20Eは、データを入力する入力装置、及びデータを出力する出力装置である。読取部20Fは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されたデータやプログラムを読み出す装置である。もちろん、サービスの内容に合わせ、その他のハードウェアを備えてもよい。実際には、クラウドのPaaS(Platform as a Service)などを活用してもよい。
【0073】
《本発明の特徴的な構成とその効果》
以上説明したように、本発明の実施の形態における自動販売機10は、センタサーバ20と通信可能に接続された自動販売機10であって、センタサーバ20からの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部12と、デジタルサイネージ部12において選択された商品を販売する自動販売部13と、自動販売部13により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部14とを備え、デジタルサイネージ部12に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を表示する。これにより、自動販売機10の見た目は一般的なものと変わらないため、ふるさと納税などの寄附をしたことがない購入者Uでも気軽に利用することができ、地域活性化を推進することが可能となる。もちろん、ここでいう「自動販売機」が商品排出口3を備えているかどうかは特に限定されるものではない。
【0074】
また、センタサーバ20と当該自動販売機10とが情報連携することにより、1商品1テナントに見立てて当該自動販売機10をマルチテナント化し、複数のテナントで当該自動販売機10を共同利用できるように構成されていてもよい。これにより、商品の販売、決済、受け渡しなどの運営がワンストップで支援されるため、個々のテナントは安価に簡易アンテナショップを開設することが可能となる。
【0075】
また、複数の商品の決済を一括で行うショッピングカートを設け、複数の商品について寄附に必要な情報の登録を同一処理で行ってもよい。これにより、商品の購入を簡略化できるだけでなく、ふるさと納税などの寄附の手続きを同一手順で繰り返すことなく簡略化することも可能となる。
【0076】
また、商品の決済後、商品の引き渡しまでに、デジタルサイネージ部12においてタッチパネル形式の質問プロセスを追加し、商品の購入者Uの意見を収集してもよい。これにより、収集したデータをもとにマーケティング分析や寄附使途の決定など、有効に活用することが可能となる。商品の決済後、商品の引き渡しまでの待ち時間を利用して意見を収集するため、購入者Uの負担を軽減できる効果もある。
【0077】
また、デジタルサイネージ部12にルーレット式商品選択ボタンを表示し、ルーレット式商品選択ボタンが選択されると、均一価格の商品の中からランダムに商品を決定してもよい。これにより、購入者Uの購入意欲を高め、商品視野を広げることも可能となる。
【0078】
また、デジタルサイネージ部12の商品一覧に表示されていない商品を有償または無償で提供してもよい。これにより、更に購入者Uの購入意欲を高めることが可能となる。
【0079】
また、デジタルサイネージ部12において商品が選択されたとき、その商品に紐づけて管理している自治体を調べ、紐づけて管理している自治体が存在しないときはその商品が寄附に対応していないと判定し、選択画面を表示することなく決済に進んでもよい。あるいは、購入形態コードには、物販、ふるさと納税、その他に対応しているかどうかを示す情報が含まれるため、購入形態コードで寄附対応の商品であるか判定してもよい。これにより、寄附に対応してない商品を販売する場合は選択画面が表示されないため、寄附に対応している商品と対応していない商品の両方を扱うことが可能である。
【0080】
また、購入者情報登録部14により登録された購入者情報に基づいて購入者Uの在住自治体IDを特定し、その在住自治体IDと商品の自治体IDを比較し、両IDが同じ場合は通常の価格を表示したうえで通常の物販で購入するかどうかを選択する選択画面を表示し、通常の物販で購入することが選択されたときは決済に進んでもよい。すなわち、購入者Uが在住している自治体にはふるさと納税をすることができないため、そのような場合は通常の価格を表示したうえで通常品として購入することを促すことが可能である。
【0081】
また、本発明の実施の形態におけるセンタサーバ20は、上述した自動販売機10をアンテナショップに見立てた自動販売機10のプラットフォームサービスを提供するセンタサーバ20であって、プラットフォームサービスを提供するためのデータを記憶する記憶部21と、自動販売機10との間でデータを送受信するプラットフォーム管理部22と、複数のテナントの出店者を個別に管理する出店者別管理部23と、プラットフォームサービスの全体の運営を管理する全体運営部24とを備える。これにより、商品の販売、決済、受け渡しなどの運営がワンストップで支援されるため、個々のテナントは安価に簡易アンテナショップを開設することが可能となる。
【0082】
なお、上記の説明では、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を表示することとしているが、この機能は必須ではない。すなわち、本発明の実施の形態における自動販売機10は、センタサーバ20と通信可能に接続された自動販売機10であって、センタサーバ20からの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部12と、デジタルサイネージ部12において選択された商品を販売する自動販売部13と、自動販売部13により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部14とを備え、センタサーバ20と当該自動販売機10とが情報連携することにより、1商品1テナントに見立てて当該自動販売機10をマルチテナント化し、複数のテナントで当該自動販売機10を共同利用できるように構成されていてもよい。このような構成によっても、上述したマルチテナント機能を実現することが可能であることは言うまでもない。
【0083】
なお、本発明は、このような自動販売機10とセンタサーバ20とを備えるプラットフォーム(自動販売システム)として実現したり、このような自動販売機10やセンタサーバ20が備える特徴的な各機能部を各ステップとする自動販売方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるための自動販売プログラムとして実現したりすることもできる。もちろん、このような自動販売プログラムは、自動販売機10やセンタサーバ20などのコンピュータが読取可能な記録媒体を介して、あるいはインターネット回線Nなどのネットワークを介してコンピュータにインストールすることが可能である。
【0084】
《その他の実施の形態》
以上のように、本発明の実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0085】
10 自動販売機
11 自動販売機管理部
12 デジタルサイネージ部
13 自動販売部
14 購入者情報登録部
20 センタサーバ
21 記憶部
22 プラットフォーム管理部
23 出店者別管理部
24 全体運営部
25 外部通信部
N インターネット回線
【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタサーバと通信可能に接続された自動販売機であって、
前記センタサーバと情報連携を行う自動販売機管理部と、
前記自動販売機管理部を介して前記センタサーバからの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部と、
前記デジタルサイネージ部において選択された商品を販売する自動販売部と、
前記自動販売部により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部とを備え、
前記デジタルサイネージ部に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を前記デジタルサイネージ部に表示し、
前記購入者情報登録部により登録された購入者情報に基づいて購入者の在住自治体IDを特定し、その在住自治体IDと前記商品の自治体IDを比較し、両IDが同じ場合は通常の価格を表示したうえで通常の物販で購入するかどうかを選択する選択画面を前記デジタルサイネージ部に表示し、通常の物販で購入することが選択されたときは決済に進む自動販売機。
【請求項2】
前記デジタルサイネージ部において商品が選択されたとき、その商品に紐づけて管理している自治体を調べ、紐づけて管理している自治体が存在しないときはその商品が寄附に対応していないと判定し、前記通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を前記デジタルサイネージ部に表示することなく決済に進む請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記センタサーバと当該自動販売機とが情報連携することにより、1商品1テナントに見立てて当該自動販売機をマルチテナント化し、複数のテナントで当該自動販売機を共同利用できるように構成されている請求項1に記載の自動販売機。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様は、センタサーバと通信可能に接続された自動販売機であって、前記センタサーバと情報連携を行う自動販売機管理部と、前記自動販売機管理部を介して前記センタサーバからの制御のもとに機能するデジタルサイネージ部と、前記デジタルサイネージ部において選択された商品を販売する自動販売部と、前記自動販売部により販売される商品の購入者情報を登録する購入者情報登録部とを備え、前記デジタルサイネージ部に商品一覧を表示し、その商品一覧の中から寄附に対応している商品が選択されたとき、通常の物販で購入するか寄附により返礼品として受け取るかを選択するための選択画面を前記デジタルサイネージ部に表示し、前記購入者情報登録部により登録された購入者情報に基づいて購入者の在住自治体IDを特定し、その在住自治体IDと前記商品の自治体IDを比較し、両IDが同じ場合は通常の価格を表示したうえで通常の物販で購入するかどうかを選択する選択画面を前記デジタルサイネージ部に表示し、通常の物販で購入することが選択されたときは決済に進む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】