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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048467
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240402BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F24F7/06 Z
B08B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154391
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【テーマコード(参考)】
3B116
3L058
【Fターム(参考)】
3B116BB21
3B116BB72
3B116BB88
3L058BD06
3L058BE08
3L058BG04
(57)【要約】
【課題】効果的な除塵を行うことができる除塵装置を提供する。
【解決手段】空気を吹き出すことで対象者に付着した粉塵を除去すると共に、空気を吸引することで粉塵を集塵する除塵装置1であって、吹出口11aと、吸気口11bと、が形成された本体10と、吸気口11bに接続され、吸気口11bを介して吸引した空気を圧縮する圧縮機20と、圧縮機20により圧縮された空気を貯留可能であり、吹出口11aに接続されるエアタンク30と、エアタンク30と吹出口11aとの間の経路を開閉可能であり、経路を開放することでエアタンク30内の空気を吹き出し可能とし、経路を閉塞することでエアタンク30内の空気を吹き出し不能とする電動弁40と、電動弁40の動作を制御することでエアタンク30内の空気を吹き出しのタイミングを制御し、圧縮機20の動作を制御することで空気の吸引のタイミングを制御可能な制御部70と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吹き出すことで対象者に付着した粉塵を除去すると共に、空気を吸引することで前記粉塵を集塵する除塵装置であって、
空気が吹き出される吹出口と、空気が吸引される吸気口と、が形成された本体と、
前記吸気口に接続され、前記吸気口を介して吸引した空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機により圧縮された空気を貯留可能であり、前記吹出口に接続されるエアタンクと、
前記エアタンクと前記吹出口との間の経路を開閉可能であり、前記経路を開放することで前記エアタンク内の空気を吹き出し可能とし、前記経路を閉塞することで前記エアタンク内の空気を吹き出し不能とする開閉弁と、
前記開閉弁の動作を制御することで前記エアタンク内の空気を吹き出しのタイミングを制御し、前記圧縮機の動作を制御することで空気の吸引のタイミングを制御可能な制御部と、
を具備する除塵装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記開閉弁を開放し、かつ前記圧縮機の動作を実行している状態で、前記開閉弁を閉塞した後、所定時間経過後に前記圧縮機の動作を停止する制御を実行可能である、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記開閉弁は、
開度を調節可能であり、
前記制御部は、
前記エアタンク内の圧力の低下に伴い、前記開閉弁の開度を大きくする制御を実行可能である、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定の間隔毎に、前記エアタンクからの空気の吹き出し及び停止を切り替えるように、前記開閉弁を制御可能である、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記圧縮機は、
前記本体の外部に配置されている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者に付着した粉塵を除去することが可能な除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、エアシャワー室内の空気を吸引ファンにより吸引し、浄化された空気をエアシャワー室内に噴射することで除塵を行う除塵装置(エアシャワー装置)が開示されている。
【0004】
上記特許文献1に記載されたエアシャワー装置では、吸引ファンを作動させることで、空気の吸引及び噴射を行っている。このため、空気の吸引及び噴射のタイミングは、吸引ファンの作動及び停止のタイミングに依存する。すなわち、空気の吸引及び噴射が概ね同じタイミングで行われる。
【0005】
ここで、上述のような装置を用いた除塵においては、対象者への空気の噴射が終了した後にも粉塵が浮遊している場合がある。このような場合、上記特許文献1に記載のエアシャワー装置では、空気の噴射を終了した後に吸気のみを行うことができない。このため、噴射後に浮遊する粉塵を効果的に集塵することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-147810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、効果的な除塵を行うことができる除塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、空気を吹き出すことで対象者に付着した粉塵を除去すると共に、空気を吸引することで前記粉塵を集塵する除塵装置であって、空気が吹き出される吹出口と、空気が吸引される吸気口と、が形成された本体と、前記吸気口に接続され、前記吸気口を介して吸引した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された空気を貯留可能であり、前記吹出口に接続されるエアタンクと、前記エアタンクと前記吹出口との間の経路を開閉可能であり、前記経路を開放することで前記エアタンク内の空気を吹き出し可能とし、前記経路を閉塞することで前記エアタンク内の空気を吹き出し不能とする開閉弁と、前記開閉弁の動作を制御することで前記エアタンク内の空気を吹き出しのタイミングを制御し、前記圧縮機の動作を制御することで空気の吸引のタイミングを制御可能な制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記制御部は、前記開閉弁を開放し、かつ前記圧縮機の動作を実行している状態で、前記開閉弁を閉塞した後、所定時間経過後に前記圧縮機の動作を停止する制御を実行可能であるものである。
【0011】
請求項3においては、前記開閉弁は、開度を調節可能であり、前記制御部は、前記エアタンク内の圧力の低下に伴い、前記開閉弁の開度を大きくする制御を実行可能であるものである。
【0012】
請求項4においては、前記制御部は、所定の間隔毎に、前記エアタンクからの空気の吹き出し及び停止を切り替えるように、前記開閉弁を制御可能であるものである。
【0013】
請求項5においては、前記圧縮機は、前記本体の外部に配置されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、効果的な除塵を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る除塵装置の全体的な構成を示した模式図。
図2】除塵装置の本体を模式的に示した斜視図。
図3】吹き出しの動作、吸気の動作及び花粉などの浮遊量割合と、時間と、の関係を示すグラフ。
図4】エアタンク内圧力及び電動弁開度と、時間と、の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。まず、本発明の一実施形態に係る除塵装置1について説明する。
【0017】
本実施形態に係る除塵装置1は、一例として、ホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設のエントランスやエレベーターホール等に配置することを想定している。除塵装置1は、当該除塵装置1を通過するホテル等の利用客に対して空気を吹き付けることで、当該利用客に付着した粉塵を除去することができる。これによって、ホテル等の建物内に粉塵が侵入するのを防止することができる。
【0018】
図1に示す除塵装置1は、対象となる人や物(便宜上、以下では「対象者」と称する)に付着した粉塵を除去するものである。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、ハウスダスト、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。除塵装置1は、主として本体10、圧縮機20、エアタンク30、電動弁40、圧力計50、センサ60及び制御部70を具備する。
【0019】
図1及び図2に示す本体10は、除塵装置1の外郭を成す部材である。本体10は、主として一対の側面部11及び天井部12を具備する。
【0020】
図2に示す側面部11は、本体10の側面を形成する部分である。側面部11は、中空の直方体状に形成される。側面部11は、互いに対向するように、左右一対設けられる。側面部11は、吹出口11a及び吸気口11bを具備する。
【0021】
吹出口11aは、対象者に対して吹き付ける空気を吹き出すための開口部である。吹出口11aは、一対の側面部11の対向面にそれぞれ形成される。吹出口11aは、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、吹出口11aは、上下に3列、前後に2列並ぶように、計6つ形成された例を示している(図1及び図2を参照)。吹出口11aは、例えば斜め下方に向かって空気を吐出するように配置されている。なお、吹出口11aの空気の吐出方向は、任意に調整できるように構成することも可能である。
【0022】
吸気口11bは、空気を吸引(吸気)すると共に、当該空気に含まれる粉塵を集める(集塵)ための開口部である。吸気口11bは、一対の側面部11の対向面における下部(吹出口11aよりも下方)にそれぞれ形成される。吸気口11bには、吸気した空気を浄化する浄化装置を具備する。上記浄化装置としては、例えば空気中の粉塵を除去することが可能な粉塵フィルタ、空気中の臭いを除去することが可能な脱臭フィルタ、放電空間内を流通する空気中の粉塵を除去することが可能な放電除去装置等を用いることが可能である。
【0023】
天井部12は、本体10の天井を形成する部分である。天井部12は、一対の側面部11の上端を接続するように設けられる。天井部12によって一対の側面部11を接続することによって、除塵装置1の耐震性を向上させることができる。
【0024】
このように本体10は、対象者が内側(一対の側面部11の左右内側、かつ、天井部12の下方)を通過可能な門型に形成されている。なお、以下では対象者が通過可能な本体10の内側を通過部Tと称する場合がある。なお、図1では、本体10のうち、一方の側面部11のみを図示している。
【0025】
図1に示す圧縮機20は、吸気口11bから吸気した空気を圧縮するものである。圧縮機20は、適宜の配管を介して吸気口11bに接続されている。圧縮機20としては、圧縮比が比較的高いもの(高圧縮比のもの)が用いられる。
【0026】
エアタンク30は、圧縮機20により圧縮された空気(圧縮空気)が貯蓄されるものである。エアタンク30は、適宜の配管を介して圧縮機20に接続されている。また、エアタンク30は、適宜の配管を介して吹出口11aに接続されている。エアタンク30内に貯留された空気は、吹出口11aを介して吹き付け可能とされる。
【0027】
電動弁40は、エアタンク30内に貯留された空気の吹き付けの実行及び停止を切替可能なものである。電動弁40は、エアタンク30と吹出口11aとの間の配管に設けられる。電動弁40を開放した状態では、上記配管内の空気の流通が許容され、電動弁40を閉塞した状態では、上記配管内の空気の流通が規制される。電動弁40の開放及び閉塞を切り替えることで、エアタンク30に貯留された空気の吹き付けの実行及び停止を切り替えることができる。また、電動弁40は、開度の調整が可能である。これにより、電動弁40を通過する空気の流量の調整が可能である。
【0028】
圧力計50は、エアタンク30の空気の圧力を検出可能なものである。図例では、圧力計50を、エアタンク30と吹出口11aとの間の配管において、電動弁40よりも下流側(吹出口11a側)に設けている。なお、上述した例は一例であり、圧力計50の設置位置は上記例に限定されない。例えば、エアタンク30の内部の圧力を検出可能なように、圧力計50をエアタンク30に設けるようにしてもよい。
【0029】
センサ60は、通過部Tを通過する対象者を検出するものである。センサ60は、例えば本体10に設けられる。センサ60は、通過部Tに位置する対象者を検出するものや、通過部Tに近接する対象者を検出するものを採用可能である。センサ60としては、例えば赤外線センサ、超音波センサ等の種々のセンサを用いることができる。
【0030】
制御部70は、除塵装置1に関する制御を行うものである。制御部70は、CPU等の演算処理装置、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。
【0031】
制御部70は、圧縮機20及び電動弁40に接続され、圧縮機20及び電動弁40の動作を制御することができる。また、制御部70は、圧力計50及びセンサ60に接続され、圧力計50及びセンサ60の検出結果を取得することができる。
【0032】
図1に示すように、本実施形態では、上述の如き除塵装置1のうち、本体10及びセンサ60を、建物の内部において、対象者(利用客)が通行可能な空間内(以下では「フロア内」と称する)に配置している。また、除塵装置1のうち、本体10及びセンサ60以外の部分(圧縮機20、エアタンク30、電動弁40、圧力計50及び制御部70)を、フロアを区画する壁2の外側(以下では「フロア外」と称する)に配置している。
【0033】
本実施形態では、上述のように、圧縮機20等を本体10に内蔵させずに、フロア外に配置したことで、本体10のコンパクト化を図ることができる。また、圧縮機20をフロア外(壁2の外側)に設置したことで、フロア内において、圧縮機20の動作による騒音の低減を図ることができる。
【0034】
以下では、図1図3及び図4を用いて、除塵装置1(制御部70)の制御態様について説明する。
【0035】
制御部70は、圧縮機20及び電動弁40の動作を制御することで、除塵装置1の通過部Tを通過する対象者に空気を吹き付けて、対象者に付着した粉塵を除去すると共に、吸気を行うことで、対象者から除去された粉塵を集める(集塵する)ことができる。
【0036】
以下では、制御部70の制御態様の詳細について説明する。なお、以下の例では、除塵装置1のエアタンク30には吹き付けに必要な空気(圧縮空気)が貯留されており、電動弁40は閉鎖されているものとする。
【0037】
制御部70は、センサ60が対象者を検出した場合、電動弁40を開放する動作を開始する。これにより、エアタンク30に貯留された空気は、吹出口11aを介して吹き出され、通過部Tを通過する対象者に空気を吹き付けることができる。これにより、対象者の衣服等に付着した粉塵を除去することができる。
【0038】
図3のグラフでは、吹き出し(電動弁40)の動作と、時間(吹き出し開始からの時間)と、の関係を示している。上記グラフでは、吹き出しの動作(吹き出しの際の電動弁40の負荷)として、電動弁40が閉塞している状態を0%、所定の開度で開放している状態を100%で示している。制御部70は、電動弁40を開放する動作の開始後、所定時間(本実施形態では12秒間)電動弁40を開放している。具体的には、制御部70は、電動弁40を開放する動作の開始後、10秒後に電動弁40を閉塞する動作を開始し、12秒後に電動弁40の閉塞を完了している。
【0039】
ここで、吹き出し開始からの時間の経過に伴い、エアタンク30内の圧力(エアタンク30内に残存する空気量)は徐々に低下する(図4を参照)。このため、仮に電動弁40の開度が一定であれば、空気の吹き出しに伴い、吹き出される空気の量(風量)は減少する。
【0040】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、電動弁40の開度を徐々に大きくするように調整している。これにより、エアタンク30内の圧力が下がった場合でも、吹き出される空気量が減少することを抑制することができる。本実施形態では、制御部70は、エアタンク30内の圧力の低下に関わらず、概ね一定量の空気が吹き出されるように、電動弁40の開度の調整を行う。
【0041】
また、制御部70は、吹き出し開始(電動弁40を開放する動作の開始)から、所定時間が経過した後のタイミングで、吸気(圧縮機20)の動作を開始する。これにより、通過部Tの空気が吸気口11bを介して吸気され、浮遊する粉塵を集塵することができる。
【0042】
図3のグラフでは、圧縮機20の動作と、時間(吹き出し開始からの時間)と、の関係を示している。上記グラフでは、圧縮機20の動作として、圧縮機20が停止している状態を0%、所定の出力で動作している状態を100%で示している。
【0043】
制御部70は、吹き出し開始(電動弁40を開放する動作の開始)から、4秒間が経過した後、圧縮機20の動作を開始する。また、制御部70は、圧縮機20の動作の開始後、所定時間(本実施形態では12秒間)圧縮機20の動作を行う。具体的には、制御部70は、圧縮機20の動作の開始後、10秒後に圧縮機20の出力を低下させ、14秒後(吹き出し開始から16秒後)に圧縮機20の停止を完了している。
【0044】
このように、本実施形態では、吹き出しの終了後(電動弁40を閉塞した後)も、所定時間(本実施形態では4秒間)圧縮機20による吸気が実行される。上記圧縮機20の動作により吸気された空気は、浄化装置により浄化されると共に圧縮され、エアタンク30内に送り込まれる。これにより、エアタンク30内の圧縮空気を用いた吹き出しの準備が完了する。
【0045】
上述のように、本実施形態に係る除塵装置1では、空気の吹き付け後に浮遊する粉塵の集塵を行うことで、効果的な除塵を図ることができる。すなわち、空気の吹き付けによる除塵においては、対象者への空気の吹き付けが完了した後にも粉塵が浮遊している場合がある。ここで、例えばファンによる送風機を用いて、空気の吹き出し及び吸気を行う除塵装置では、空気の吹き出し及び吸気のタイミングが送風機の運転及び停止のタイミングに依存する。すなわち、空気の吹き出し及び吸気が概ね同じタイミングで行われる。このため、空気を吹き付けが完了した後に、吸気だけを行うことができない。
【0046】
図3のグラフでは、除塵装置1による除塵の対象となる空間(例えば通過部T)における粉塵の浮遊量の割合と、時間(吹き出し開始からの時間)と、の関係を示している。上記グラフでは、吹き出しを開始した直後では、対象者に付着していた粉塵が舞い上がることで、一時的に粉塵の浮遊量は増加する。その後、除塵装置1の動作(吹き出し及び吸気)等により、時間の経過に伴い徐々に粉塵の浮遊量は減量するが、吹き出しの終了の時点(吹き出しの開始から12秒後)でも、ある程度の粉塵が浮遊している。本実施形態では、空気の吹き出しの終了後にも、圧縮機20を動作させて吸気による集塵を図ることで、空気の吹き付け後(吹き出しの開始から12秒~16秒後)に浮遊する粉塵の集塵を行うことができる。
【0047】
上述のように、本実施形態に係る除塵装置1によれば、圧縮機20及びエアタンク30を用いることで、ファンによる送風機を用いて空気の吹き出し及び吸気を行うものとは異なり、空気の吹き出しに対して吸気のタイミングを所定時間遅らせて、空気の吹き出しの終了後にも吸気による集塵を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、電動弁40の開閉によりエアタンク30内の圧縮空気を用いた吹き出す構成としているので、センサ60が対象者を検出したタイミングで電動弁40を開放して、空気の吹き出しを即時行うことができる。これにより、例えばファンによる送風機を用いた除塵装置のように、所定の回転量に達するまで(定格運転まで)時間を要するものとは異なり、対象者を検出してから、空気の吹き出しを行うまでのタイムラグを低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上述のような電動弁40の開閉制御を行うことで、好適な態様で、空気の吹き付けを実行することができる。例えば、電動弁40の開閉を短時間ごとに切り替えることで、圧縮空気の吹き出し及び停止を高頻度に(例えば1秒ごとに)行うことができる。このように、断続的な空気の吹き付けを行うことで、対象者の粉塵を効果的に除去することができる。
【0050】
以上、本実施形態に係る除塵装置1の制御態様について説明した。なお、上述した制御態様は一例であり、除塵装置1の制御態様としては、上述した例に限定されるものではなく、任意の制御を追加又は変更してもよい。また、上記説明で例示した具体的な数値は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0051】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置1は、
空気を吹き出すことで対象者に付着した粉塵を除去すると共に、空気を吸引することで前記粉塵を集塵する除塵装置1であって、
空気が吹き出される吹出口11aと、空気が吸引される吸気口11bと、が形成された本体10と、
前記吸気口11bに接続され、前記吸気口11bを介して吸引した空気を圧縮する圧縮機20と、
前記圧縮機20により圧縮された空気を貯留可能であり、前記吹出口11aに接続されるエアタンク30と、
前記エアタンク30と前記吹出口11aとの間の経路を開閉可能であり、前記経路を開放することで前記エアタンク30内の空気を吹き出し可能とし、前記経路を閉塞することで前記エアタンク30内の空気を吹き出し不能とする開閉弁(電動弁40)と、
前記開閉弁(電動弁40)の動作を制御することで前記エアタンク30内の空気を吹き出しのタイミングを制御し、前記圧縮機20の動作を制御することで空気の吸引のタイミングを制御可能な制御部70と、
を具備するものである。
【0052】
このように構成することによって、効果的な除塵を行うことができる。すなわち、例えばファンによる送風機を用いて空気の吹き出し及び吸引を同時に行う除塵装置とは異なり、圧縮機20による吸気のタイミングと、エアタンク30内の空気の吹き出しのタイミングと、を異ならせることができる。これにより、圧縮機20による吸気のタイミングと、エアタンク30内の空気の吹き出しのタイミングよりも遅らせた場合には、空気の吹き出しの終了後に浮遊する粉塵を、吸気により集塵することができる。また、開閉弁(電動弁40)を開放させることで、エアタンク30内に圧縮された空気を吹き出す構成としたことで、例えばファンによる送風機を用いた除塵装置のように、所定の回転量に達するまで(定格運転まで)時間を要するものとは異なり、空気の吹き出しを即時行うことができる。
【0053】
また、前記制御部70は、前記開閉弁(電動弁40)を開放し、かつ前記圧縮機20の動作を実行している状態で、前記開閉弁(電動弁40)を閉塞した後、所定時間経過後に前記圧縮機20の動作を停止するものである。
【0054】
このように構成することによって、空気の吹き出しの終了後に浮遊する粉塵を、効果的に集塵することができる。すなわち、圧縮機20の動作の停止のタイミングを、開閉弁(電動弁40)の閉塞のタイミングよりも遅らせることができる。これにより、空気の吹き出しの終了後に浮遊する粉塵を、吸気により効果的に集塵することができる。
【0055】
また、前記開閉弁(電動弁40)は、
開度を調節可能であり、
前記制御部70は、
前記エアタンク30内の圧力の低下に伴い、前記開閉弁(電動弁40)の開度を大きくする制御を実行可能であるものである。
【0056】
このように構成することによって、空気の吹き付けを効果的に行うことができる。すなわち、エアタンク30内の圧力の低下に伴って吹き出される空気量が減少することを抑制し、空気の吹き付けを効果的に行うことができる。
【0057】
また、前記制御部70は、
所定の間隔毎に、前記エアタンク30からの空気の吹き出し及び停止を切り替えるように、前記開閉弁(電動弁40)を制御可能であるものである。
【0058】
このように構成することにより、吹き付けよる粉塵の除去を効果的に行うことができる。すなわち、開閉弁(電動弁40)を開閉を所定の間隔毎に切り替えて、断続的な空気の吹き付けを行うことで、対象者の粉塵の除去を効果的に行うことができる。
【0059】
また、前記圧縮機20は、
前記本体10の外部に配置されているものである。
【0060】
このように構成することにより、本体10のコンパクト化を図ることができる。また、圧縮機20を本体10に内蔵させた場合とは異なり、圧縮機20の動作による騒音が本体10から漏れるようなことがなく、本体10が設置された空間(フロア内)の騒音の低減を図ることができる。
【0061】
なお、本実施形態に係る電動弁40は、本発明に係る開閉弁の実施の一形態である。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、本実施形態において例示した除塵装置1の構成は一例であり、各部の個数、配置、形状等は任意に変更することが可能である。
【0064】
例えば本実施形態では、側面部11と天井部12を具備する門型の除塵装置1を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、除塵装置1を任意の構成とすることが可能である。例えば、天井部12を設けず、一対の側面部11、又は、左右一方のみの側面部11からなる除塵装置1とすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態で例示したセンサ60の配置は特に限定するものではなく、任意の場所に配置することが可能である。例えば、除塵装置1の本体10だけでなく、本体10の外部(本体10から離れた場所)に配置することも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、除塵装置1を、宿泊施設や商業施設に設置した例を示したが、このような態様に限られない。除塵装置1は、例えばオフィスビルや集合住宅等の種々の建物に設置可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 除塵装置
10 本体
20 圧縮機
30 エアタンク
40 電動弁
50 圧力計
60 センサ
70 制御部
図1
図2
図3
図4