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特開2024-48471金属製の踏み台の製造方法および金属製の踏み台。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048471
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】金属製の踏み台の製造方法および金属製の踏み台。
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/39 20060101AFI20240402BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E06C1/39 A
E04G5/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154400
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】518266392
【氏名又は名称】有限会社ショウワエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江渡 竜一
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA06
2E044BB02
2E044BC01
2E044DA04
2E044DA07
2E044DB01
2E044EC02
2E044EC09
(57)【要約】
【課題】作業者が天板上で滑ること、ならびに作業者の受傷を防止することができる金属製の踏み台の製造方法、および金属製の踏み台を提供する。
【解決手段】水平方向に延設される天板と、前記天板に配置されて上方に突設される複数の突起部と、を備え、前記突起部は、平面視において互いに平行な一対のエッジ部と、前記エッジ部と前記天板との間に形成されて、前記天板の表面と裏面とを連通させる切り込み部と、を有する金属製の踏み台の製造方法であって、前記天板にプレスにより打ち抜き加工を施し、前記エッジ部と前記切り込み部を設ける打ち抜き工程と、前記プレスの刃の抜け側に面押し用ダイを配置し、前記面押し用ダイにより前記エッジ部を前記プレスの刃の入り側に向けて押し戻す面押し工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延設される天板と、
前記天板に配置されて上方に突設される複数の突起部と、を備え、
前記突起部は、平面視において互いに平行な一対のエッジ部と、
前記エッジ部と前記天板との間に形成されて、前記天板の表面と裏面とを連通させる切り込み部と、を有する金属製の踏み台の製造方法であって、
前記天板にプレスにより打ち抜き加工を施し、前記エッジ部と前記切り込み部を設ける打ち抜き工程と、
前記プレスの刃の抜け側に面押し用ダイを配置し、前記面押し用ダイにより前記エッジ部を前記プレスの刃の入り側に向けて押し戻す面押し工程と、
を備える、
金属製の踏み台の製造方法。
【請求項2】
前記面押し工程は、前記打ち抜き工程で前記エッジ部の前記プレスの刃の抜け側に形成されたかえり部分を前記プレスの刃の入り側に向けて押し戻す、
請求項1に記載の金属製の踏み台の製造方法。
【請求項3】
前記プレスの刃の抜け側は、前記天板の表面側であり、
前記プレスの刃の入り側は、前記天板の裏面側であり、
前記プレスの刃と前記面押し用ダイは、前記天板に対して垂直に移動する、
請求項1に記載の金属製の踏み台の製造方法。
【請求項4】
前記打ち抜き工程と前記面押し工程を、同時に実施する、
請求項1に記載の金属製の踏み台の製造方法。
【請求項5】
前記金属製の踏み台は、
前記天板の表面から裏面に貫通して形成される孔部をさらに備え、
前記複数の突起部は、第1突起部、第2突起部、第3突起部および第4突起部であり、
前記第1突起部と前記第3突起部は、平面視において前記孔部を挟んで点対称に配置され、
前記第2突起部と前記第4突起部は、平面視において前記孔部を挟んで点対称に配置される、
請求項1に記載の金属製の踏み台の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項の製造方法により製造された、金属製の踏み台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属製の踏み台の製造方法および金属製の踏み台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などの作業場で利用され、天板に複数の突起部および孔部を備えた金属製の踏み台が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2020-033793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の金属製の踏み台は、天板に潤滑油や排油などの油分が付着した場合であっても、作業者が安定して作業を実施することができる構造を開示している。この金属製の踏み台によれば、天板に潤滑油や排油等の油分が付着した場合でも作業者の履物に反力を与えて滑り止めとなるとともに、油分を速やかに排出することができる。
【0005】
一方で、このような金属製の踏み台は、作業者が天板に手をついたり、接触した場合に、突起部や孔部の縁によって受傷することを防止する必要がある。
【0006】
本開示の課題は、作業者が天板上で滑ること、ならびに作業者の受傷を防止することができる金属製の踏み台の製造方法、および金属製の踏み台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る金属製の踏み台の製造方法は、水平方向に延設される天板と、前記天板に配置されて上方に突設される複数の突起部と、を備え、前記突起部は、平面視において互いに平行な一対のエッジ部と、前記エッジ部と前記天板との間に形成されて、前記天板の表面と裏面とを連通させる切り込み部と、を有する金属製の踏み台の製造方法である。金属製の踏み台の製造方法は、前記天板にプレスにより打ち抜き加工を施し、前記エッジ部と前記切り込み部を設ける打ち抜き工程と、前記プレスの刃の抜け側に面押し用ダイを配置し、前記面押し用ダイにより前記エッジ部を前記プレスの刃の入り側に向けて押し戻す面押し工程と、を備える。
【0008】
この金属製の踏み台の製造方法および金属製の踏み台によれば、作業者が踏み台の天板に乗った際に、複数の突起部のエッジから作業者の履物の裏面に対して反力を加えることができる。これにより、突起部は、作業者の履物に対して滑り止めとなる。このため、作業者は、天板の上に安定して乗ることができる。
【0009】
さらに、この金属製の踏み台の製造方法および金属製の踏み台によれば、突起部のエッジ部が面押しされる。これにより、エッジ部に先端鋭利な箇所が形成されることを防止できる。このため、作業者が天板に手をついたり接触した際に、作業者が、突起部の縁で受傷することを防止できる。
【0010】
この結果、金属製の踏み台の製造方法、および金属製の踏み台は、作業者が天板上で滑ること、ならびに作業者の受傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、作業者が天板上で滑ること、ならびに作業者の受傷を防止することができる金属製の踏み台の製造方法、および金属製の踏み台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態における金属製の踏み台を示す斜視図。
図2】本開示の実施形態における金属製の踏み台を示す平面図。
図3】本開示の実施形態における金属製の踏み台の一部を拡大した部分拡大図。
図4】本開示の実施形態における金属製の踏み台の一部を拡大した部分拡大図。
図5】本開示の実施形態における金属製の踏み台の一部を示した平面図。
図6】本開示の実施形態における金属製の踏み台の製造方法を示す概略図。
図7】本開示の実施形態における金属製の踏み台の製造方法による打ち抜き工程の様子を示す概略図。
図8】本開示の実施形態における金属製の踏み台の製造方法による打ち抜き工程の様子を示す概略図。
図9】本開示の実施形態における金属製の踏み台の製造方法による打ち抜き工程の様子を示す概略図。
図10】本開示の実施形態における金属製の踏み台の製造方法による面押し工程の様子を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照しながら説明する。踏み台1は、金属製で、鋼板にプレス加工を施すことで成型された略直方体である。本実施形態における踏み台1は、工作機械が設置されている工場内に設置される高さ20mm程度の踏み台である。踏み台1は、工作機械の整備および点検を行う作業員の足場となる。
【0014】
図1および図2に示すように、踏み台1は、天板2と、脚部4と、複数の突起部6と、複数の孔部8と、を備える。
【0015】
天板2は、第1水平方向W1および第2水平方向W2に沿って延びる平面である。天板2は、表面21と、表面21と反対側の面である裏面23と、を有する。表面21は、踏み台1の使用状態において、作業者が足を乗せる側の面である。本実施形態の天板2は、一辺が300mmから400mm程度の正方形状に形成される。
【0016】
脚部4は、天板2の端縁から重力方向Gに沿って延びる。すなわち、踏み台1は、断面形状が下側に開口した概ねコの字状となる。本実施形態の脚部4は、天板2の形状にあわせて天板2の各辺から延びる。4つの脚部4は、重力方向Gに沿って踏み台1の高さにあわせて20mm程度の長さに形成される。
【0017】
突起部6は、天板2に設けられて、重力方向Gと反対の上方に突出する。突起部6は、天板2に複数個設けられて、後述する複数の孔部8とともに、天板2の表面21に規則的に配置される。
【0018】
図3は、突起部6の1つを拡大して示した拡大図である。図3(a)は、突起部6の概略を示した斜視図である。図3(b)は、図3(a)を平面視で示した上面図、図3(c)は、図3(a)のA-A断面を示した断面図である。
【0019】
図3に示すように、突起部6は、天板2の表面21を基準として、上方に高さhだけ突出した凸部である。突起部6は、一対のエッジ部61と、頂面63と、一対の切り込み部65と、一対の傾斜部67と、を有する。
【0020】
一対のエッジ部61は、平面視において互いに平行な直線である。また、エッジ部61は、水平方向Nと平行に延びる。本実施形態におけるエッジ部61は、後述する頂面63の向かい合う一対の長辺である。
【0021】
さらに、エッジ部61は、図3(c)に示すように、天板2の表面21から離間して配置される。エッジ部61と表面21の間の距離は、突起部6の高さhと一致する。
【0022】
これにより、エッジ部61は、踏み台1の使用状態において、作業者の履物に対して反力を発生させる引っかかりとして作用することができる。このため、踏み台1は、使用状態において、作業者が足を滑らせることを防止できる。
【0023】
頂面63は、基準面Mと同様に水平方向Nに沿って延びる面である。頂面63は、突起部6で最も表面21から離間して配置される面である。頂面63は、図3(b)に示すように、平面視において略長方形状である。本実施形態の頂面63は、短辺が3~6mm程度、長辺が10~15mm程度の長方形状である。
【0024】
頂面63の一対の長辺は、エッジ部61と一致する。すなわち、頂面63と表面21の間の距離は、エッジ部61と同様に、突起部6の高さhと一致する。
【0025】
一対の切り込み部65は、エッジ部61と天板2の表面21の間に形成されて、天板2の表面21から裏面23にかけて貫通する。本実施形態の切り込み部65は、平面視において、ほぼエッジ部61と一致する、互いに平行な一対の直線である。また、側面視においては。切り込み部65は、頂面63と表面21の間の隙間である。
【0026】
これにより、踏み台1の使用状態において、天板2の表面21に付着した作業油や排油は、切り込み部65を介して、天板2の表面21から裏面23側へ速やかに排出される。このため、踏み台1は、使用状態において、天板2の表面21に油分が残留した状態となることを防止できる。この結果、踏み台1は、作業者が足を滑らせることを防止できる。
【0027】
一対の傾斜部67は、頂面63の短辺から表面21へ延びる傾斜面である。図3(c)に示すように、一対の傾斜部67は、頂面63から連続して延びて下方に向かって傾斜して表面21に接続する。
【0028】
孔部8は、天板2に設けられる油落とし用の孔である。孔部8は、天板2に複数個設けられて、突起部6とともに、天板2の表面21に規則的に配置される。
【0029】
図4は、孔部8の1つを拡大して示した拡大図である。図4(a)は、孔部8の概略を示した斜視図である。図4(b)は、図4(a)を平面視で示した上面図、図4(c)は、図4(a)のB-B断面を示した断面図である。
【0030】
図4に示すように、孔部8は、貫通孔81と、貫通孔81の縁部を画定する外周部83と、外周部83と天板2の表面21を接続する傾斜面85と、を有する。
【0031】
貫通孔81は、天板2の表面21から裏面23へ貫通する貫通孔である。貫通孔81は、平面視において一辺が数mmから数十mm程度の概ね方形状である。図4(b)に示すように、本実施形態の貫通孔81は、一辺が10mm程度の正方形である。これに限らず、貫通孔81は、多角形や円形など種々様々な形状および寸法で形成することができる。
【0032】
外周部83は、貫通孔81の縁部を画定する。外周部83は、天板2の表面21から下方に深さdだけ離間する。本実施形態の外周部83は、深さdが5mm程度である。
【0033】
傾斜面85は、外周部83と天板2の表面21と接続する。傾斜面85は、外周部83の各辺から表面21に向けて緩やかに傾斜して延びる。すなわち、傾斜面85は、図4(c)に示すように、表面21から下方かつ貫通孔81の内側に向かって斜めに延びる。
【0034】
次に図5を用いて、複数の突起部6と孔部8の位置関係について説明する。図5は、本実施形態における天板2の一部を拡大した拡大上面図である。本実施形態の踏み台1は、4つの突起部6と、それらに囲まれた1つの孔部8を1単位として、これらが天板2の表面21に繰り返し配置される。
【0035】
図5に示すように、本実施形態における4つの突起部6と1つの孔部8は、第1縦線V1と、第2縦線V2と、第1横線H1と、第2横線H2と、第1対角線C1および第2対角線C2を基準仮想線として、天板2の表面21に配置される。さらに、本実施形態における4つの突起部6と1つの孔部8は、第1交点P1と、第2交点P2と、第3交点P3と、第4交点P4および中心点P0を基準仮想点として、天板2の表面21に配置される。
【0036】
第1縦線V1と第2縦線V2は、所定の間隔Lを空けて配置される、互いに平行な仮想線である。第1横線H1は、第1縦線V1および第2縦線V2と直交する仮想線である。また、第2横線H2も同様に、第1縦線V1および第2縦線V2と直交する仮想線である。さらに、第1横線H1と第2横線H2は、同じく所定の間隔Lを空けて配置され、互いに平行である。
【0037】
第1交点P1は、第1縦線V1と第1横線H1の交点である。第2交点P2は、第2縦線V2と第1横線H1の交点である。第3交点P3は、第1縦線V1と第2横線H2の交点である。第4交点P4は、第2縦線V2と第2横線H2の交点である。
【0038】
第1対角線C1は、第1交点P1と第4交点P4を結ぶ仮想基準線である。さらに、第2対角線C2は、第2交点P2と第3交点P3を結ぶ仮想基準線である。第1対角線C1と第2対角線C2は、中心点P0で直交する。
【0039】
本実施形態における4つの突起部6は、第1突起部601、第2突起部602、第3突起部603および第4突起部604である。第1突起部601から第4突起部604は、それぞれ第1エッジ部611から第4エッジ部614を有する。
【0040】
第1突起部601は、一対の第1エッジ部611が第1縦線V1と平行になるように配置される。さらに、第1突起部601は、平面視において、その中心が第1交点P1と一致するように配置される。
【0041】
第2突起部602は、一対の第2エッジ部612が第1横線H1と平行になるように配置される。従って、第2突起部602は、第1突起部601に対して90度回転して配置される。さらに、第2突起部602は、平面視において、その中心が第2交点P2と一致するように配置される。
【0042】
第3突起部603は、一対の第3エッジ部613が第2横線H2と平行になるように配置される。従って、第3突起部603は、第2突起部602と同様に、第1突起部601に対して90度回転して配置される。さらに、第3突起部603は、平面視において、その中心が第3交点P3と一致するように配置される。
【0043】
第4突起部604は、一対の第4エッジ部614が第2縦線V2と平行になるように配置される。従って、第4突起部604は、第1突起部601と平行に配置される。また、第4突起部604は、第2突起部602および第3突起部603に対して90度回転して配置される。さらに、第4突起部604は、平面視において、その中心が第4交点P4と一致するように配置される。
【0044】
孔部8は、平面視において、貫通孔81の中心が中心点P0と一致するように配置される。従って、孔部8は、第1突起部601から第4突起部604の中心に配置される。
【0045】
以上から、本実施形態の第1突起部601と第4突起部604は、孔部8を中心として、平面視において、点対称となるように配置される。さらに、第2突起部602と第3突起部603も、孔部8を中心として、平面視において、点対称となるように配置される。
【0046】
次に図6から図10を用いて、本開示の実施形態における金属製の踏み台1の製造方法10について説明する。
【0047】
図6は、本実施形態における金属製の踏み台1の製造方法10を示す概略図である。金属製の踏み台1の製造方法10は、図示しないプレス加工装置による打ち抜き工程S1と、面押し工程S2と、を備える。
【0048】
図7および図8は、プレス加工装置に備えられたプレス用金型20により、金属製の板状部材90から突起部6を加工する加工工程を示す概略図である。
【0049】
図7(a)は、板状部材90の一部を拡大して示した拡大平面図である。図7(b)は、図7(a)のC-C断面を示す断面図である。本実施形態の製造方法10では、図7(a)の破線で示した箇所に、紙面奥側から手前側に突出する1つの突起部6を形成する場合を例示して説明する。
【0050】
図7(b)に示すように、打ち抜き工程S1では、プレス用金型20を板状部材90の下方から押し当てて打ち抜き加工を施す。本実施形態のプレス用金型20は、凸部201と、一対の加工刃203と、を有する。凸部201は、その断面形状が突起部6の頂面63から一対の傾斜部67に対応する。また、一対の加工刃203は、凸部201を挟んで互いに平行に配置される。さらに、一対の加工刃203は、突起部6の頂面63の短辺と同じ長さだけ離間して配置される。プレス加工装置は、プレス用金型20を板状部材90の下方から押し当てて板状部材90を変形させる。
【0051】
図8に示すように、プレス用金型20が上方に向けて移動し、板状部材90の変形が進むと、板状部材90に突起部6が形成される。このとき、プレス用金型20の一対の加工刃203が、板状部材90を貫通し、突起部6の一対のエッジ部61と切り込み部65が形成される。このとき、一対のエッジ部61には、かえり部分69が形成される。
【0052】
図9は、打ち抜き工程S1において打ち抜き加工がされた後の、突起部6を示す概略図である。図9(a)は、突起部6の平面図を示し、図9(b)と図9(c)はそれぞれ、図9(a)におけるE-E断面とF-F断面を示す断面図である。
【0053】
図9に示すように、かえり部分69は、打ち抜き工程S1において、加工刃203の刃の抜け側に形成される。かえり部分69は、エッジ部61から上方に突出する。前述のとおり、打ち抜き工程S1では、一対の加工刃203が一対のエッジ部61および切り込み部65を形成する。このため、かえり部分69は、それぞれのエッジ部61から加工刃203の抜け方向に沿って上方に突出する。
【0054】
図10は、図9(a)におけるF―F断面と同じ箇所を拡大して示した拡大断面図である。図10では、突起部6の一対のエッジ部61付近のうち、片方のエッジ部61付近を拡大して示している。面押し工程S2では、他方のエッジ部61付近においても、同様に加工が行われる。
【0055】
図10(a)に示すように、面押し工程S2では、打ち抜き工程S1における加工刃203の抜け側に面押し用ダイ30を配置する。面押し用ダイ30は、押圧面301と、規制面303と、押圧面301と規制面303を接続する接続面305と、を有する。
【0056】
押圧面301は、突起部6の頂面63平行に延びて、頂面63と対向して配置される。規制面303は、押圧面301と交差する方向に延びて、突起部6のエッジ部61を含む側面と対向して配置される。接続面305は、押圧面301と規制面303を接続する曲面である。
【0057】
さらに、図10(b)に示すように、面押し用ダイ30は、下方に向かって移動し、突起部6を上方から押圧する。すなわち、面押し用ダイ30は、打ち抜き工程S1において形成された突起部6を加工刃203の抜け側から入り側へ向けて押し戻す。
【0058】
面押し工程S2において、面押し用ダイ30は、打ち抜き工程S1における加工刃203の抜け方向と反対方向に突起部6を押圧する。このとき、打ち抜き工程S1で形成されたかえり部分69は、面押し用ダイ30の押圧面301および接続面305によって加工刃203の入り側に向けて潰れるように変形する。さらに、面押し用ダイ30の規制面303は、変形したかえり部分69が突起部6から膨出することを規制する。
【0059】
これにより、金属製の踏み台1は、突起部6の一対のエッジ部61を滑り止めとすることができる。一方で、面押し加工を施すことで、突起部6の打ち抜き加工による金属の破断面を滑らかな曲面とすることができる。これにより、作業者がエッジ部61に素手で触った場合でも、エッジ部61で受傷することを防止できる。
【0060】
以上説明した通り、本開示によれば、作業者が天板上で滑ること、ならびに作業者の受傷を防止することができる金属製の踏み台の製造方法、および金属製の踏み台を提供できる。
【0061】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、打ち抜き工程S1と面押し工程S2とを段階を踏んで説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、打ち抜き工程S1と面押し工程S2は、プレス用金型20と面押し用ダイ30で同時に板状部材90を押圧してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 :踏み台
2 :天板
21 :表面
6 :突起部
61 :エッジ部
S1 :打ち抜き工程
S2 :面押し工程
20 :プレス用型
30 :面押し用ダイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10