(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048478
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240402BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240402BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20240402BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20240402BHJP
A62C 35/20 20060101ALI20240402BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240402BHJP
【FI】
G08B17/00 G
F21V19/00 413
F21S9/02 200
F21S9/02 110
F21L4/00 300
A62C35/20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154408
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀越 哲也
【テーマコード(参考)】
2E189
3K013
5G405
【Fターム(参考)】
2E189EC01
3K013BA01
3K013EA03
5G405AA02
5G405CA21
5G405CA60
5G405FA03
5G405FA04
5G405FA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】挿通孔の内壁が熱膨張によりボルト側に変形したとしても、表示灯やボルトに破損が生じるのを防ぐ表示灯を提供する。
【解決手段】防災機器側の被取付部に設けられるスタッドが、表示灯1側の取付部4に設けられる挿通孔4aに挿通されて、防災機器に取り付けられる表示灯1であって、挿通孔4aの内壁4bに、内側に凸状をなす凸部4cが設けられる。また、挿通孔4aの内壁4bには、凸部4cと挿通孔4aの周方向に隣り合う配置で凹部4dが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災機器側の被取付部に設けられるボルトが表示灯側の取付部に設けられる挿通孔に挿通されて、防災機器に取り付けられる表示灯であって、
前記挿通孔の内壁に、内側に凸状をなす凸部が設けられることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記挿通孔の内壁に、前記凸部と前記挿通孔の周方向に隣り合う配置で凹部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【請求項3】
前記挿通孔の内壁に、前記凸部と前記挿通孔の軸方向に隣り合う配置で凹部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の表示灯。
【請求項4】
前記凸部は、前記挿通孔の正面視で、左右方向中心線より上方に位置すると共に、上下方向中心線を間にして左右に位置する、少なくとも2つの凸部を含むことを特徴とする請求項2に記載の表示灯。
【請求項5】
前記取付部の前記被取付部側に面する側の前記挿通孔周囲部分には、環状に連続又は断続すると共に、前記被取付部側に凸状をなす環状凸部が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防災機器に設けられる位置表示用の表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非常警報設備、自動火災報知設備、消火栓設備等における各種防災機器には、位置表示用の表示灯が設けられる。表示灯は、防災機器の筐体前面等にボルトまたはナットにより固定されて取り付けられることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボルトとナットによる固定構造として、防災機器側に設けられるボルトを表示灯側に設けられる挿通孔に挿通させてナットで固定する構造にすることがある。その場合に、防災機器側のボルトは金属製、表示灯側の挿通孔は樹脂製とすることがある。
【0005】
表示灯は、道路トンネルに設置される消火栓装置等、環境温度の変動幅の大きい条件で設けられる防災機器にも取り付けられる。ナットで締結、固定後、環境温度の上昇により、ボルトと挿通孔が熱膨張することがある。その際、ボルトが金属製で、挿通孔が樹脂製であると、金属製のボルトと樹脂製の挿通孔の熱膨張率の違いにより、樹脂製の挿通孔の方がより大きく変形することになる。挿通孔のボルト側に面する内壁部分がボルト側に変形した場合、ボルトに強く接触することになる。そのため、表示灯の本体やカバーの挿通孔周辺部分に変形や割れ等の破損が生じたり、ボルトに折れ等の破損が生じたりする可能性がある。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、挿通孔の内壁が熱膨張によりボルト側に変形したとしても、表示灯やボルトに破損が生じるのを防ぐことができる表示灯を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、防災機器側の被取付部に設けられるボルトが表示灯側の取付部に設けられる挿通孔に挿通されて、防災機器に取り付けられる表示灯であって、前記挿通孔の内壁に、内側に凸状をなす凸部が設けられることを特徴とする表示灯、である。
【0008】
この発明において、前記挿通孔の内壁には、前記凸部と前記挿通孔の周方向に隣り合う配置で凹部が設けられるものとすることができる。また、前記挿通孔の内壁には、前記凸部と前記挿通孔の軸方向に隣り合う配置で凹部が設けられるものとすることができる。また、前記凸部は、前記挿通孔の正面視で、左右方向中心線より上方に位置すると共に、上下方向中心線を間にして左右に位置する、少なくとも2つの凸部を含むものとすることができる。また、前記凸部と前記凹部は、前記挿通孔の周方向に連続する凸条と凹条を形成するものとすることができる。また、前記取付部の前記被取付部側に面する側の前記挿通孔周囲部分には、環状に連続又は断続すると共に、前記被取付部側に凸状をなす環状凸部が設けられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、挿通孔の内壁が熱膨張によりボルト側に変形したとしても、内壁に設けられる凸部がボルトに接触した際に、ボルトから逃げるように変形することになる。そのため、内壁のボルトへの接触圧を軽減することができ、内壁がボルトに強く接触するのを防ぐことができる。それにより、表示灯の本体やカバーの挿通孔周辺部分に破損が生じるのを防ぐことができ、また、ボルトに破損が生じるのを防ぐことができる。
【0010】
したがって、この発明によれば、挿通孔の内壁が熱膨張によりボルト側に変形したとしても、表示灯やボルトに破損が生じるのを防ぐことができる表示灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の表示灯の実施形態の一例を示したものであり、挿通孔の内壁に設けられる凸部と凹部が挿通孔の周方向に交互に並ぶ配置とする場合の、表示灯単体前面側の正面図である。
【
図2】
図1のA線部、部分拡大図であり、挿通孔部分前面側を拡大して示したものである。
【
図3】
図1の表示灯が取り付けられる防災機器の被取付部前面側の正面図である。
【
図4】
図1の表示灯が防災機器の被取付部に取り付けられて、防災機器側のスタッドが表示灯側の挿通孔に挿通されている状態における、表示灯と防災機器取付部の背面図である。
【
図5】
図4のB線部、部分拡大図であり、挿通孔部分裏面側を拡大して示したものである。
【
図7】
図6のD線部、部分拡大図であり、挿通孔部分とスタッド部分を拡大して示したものである。
【
図8】この発明の表示灯の実施形態の他の例を示したものであり、挿通孔の内壁に設けられる凸部と凹部が挿通孔の軸方向に交互に並ぶ配置とする場合の、挿通孔部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の表示灯の実施形態の一例について、図面を参照しつつ、表示灯1として説明する。
【0013】
なお、この発明を説明するのに用いられる、前、後(裏、背)、上、下、左、右等の位置や方向を示す語は、図面中で用いられるものも含めて、表示灯1が設置状態にある際の位置や方向に従ったものである。
【0014】
[機器全体]
表示灯1は、LED等の発光素子を光源として発光するカバー2と、カバー2が前部に取り付けられると共に、発光素子や回路基板等の各種部品が内蔵される本体3を有する(
図1、3及び6参照)。
【0015】
そして、表示灯1は、例えば、非常警報設備、自動火災報知設備、消火栓設備、発信機等における各種防災設備および防災機器の筐体前面等にカバー2が前方に正対しつつ、露出する状態で設けられ、カバー2が常時点灯して、各種防災機器の位置を表示する。
【0016】
[取付部(表示灯側)]
本体3には、外周部に、板状で鍔状をなす取付部4が設けられる(
図1、4及び6参照)。取付部4は、本体3と共に、樹脂材料により形成される(例えば、射出成形により形成される)。
【0017】
[挿通孔]
取付部4には、表示灯1が取り付けられる防災機器側の被取付部10の裏面側に設けられるスタッド11(ボルトの一例)が挿通される挿通孔4aが設けられる(
図1、2、4及び5参照)。挿通孔4aは、正面視、円形状をなし(
図1、2、4及び5参照)、取付部4の厚さ方向(前後方向)に貫通して設けられる(
図6及び7参照)。なお、挿通孔4aの正面視の形状は、円形状に限られず、他の形状とすることもできる。
【0018】
[被取付部(防災機器側)]
表示灯1が取り付けられる被取付部10には、表示灯1のカバー2を外部に露出させる開口12が設けられると共に(
図3参照)、裏面側に前記のスタッド11が設けられる(
図4乃至7参照)。被取付部10とスタッド11は、金属材料により形成され、スタッド11は、被取付部10の裏面側に溶接により直立して設けられる(
図6及び7参照)。被取付部10としては、例えば、防災機器が消火栓装置であれば、その筐体前面に設けられる扉等の板体とすることができる。
【0019】
[取付構造]
表示灯1の防災機器への取り付けは、防災機器側の被取付部10の裏面側に、表示灯1の前面側、すなわちカバー2側が向かう向きで、被取付部10の裏面側のスタッド11を取付部4の前面側から挿通孔4aに挿通し、被取付部10に設けられる開口12からカバー2を外部に露出させつつ、取付部4の裏面側に貫通したスタッド11に取付部4の裏面側からナット(図示省略)を螺着し、被取付部10の裏面側に取付部4を挟んだ状態で、ナットで締め付けて固定することにより行われる(
図6及び7参照)。
【0020】
[挿通孔内壁の凸部]
挿通孔4aには、内壁4bに、内周側に凸状をなす凸部4cが設けられる(
図1、2、4及び5参照)。
【0021】
表示灯1においては、凸部4cを備えることにより、樹脂製の挿通孔4aの内壁4bが凸部4cを含めて熱膨張して、内側のスタッド11側に大きく変形したとしても、凸部4cがスタッド11に接触した際に、熱膨張した樹脂製の挿通孔4aの凸部4cがスタッド11から逃れるように変形することになる。そのため、凸部4cのスタッド11への接触圧を軽減することができ、凸部4cがスタッド11に強く接触するのを防ぐことができる。それにより、本体3やカバー2の挿通孔4a周辺部分に破損が生じるのを防ぐことができ、また、スタッド11に破損が生じるのを防ぐことができる。すなわち、表示灯1やスタッド11に破損が生じるのを防ぐことができる。
【0022】
[挿通孔内壁の凹部]
前記のような凸部4cを設けることにより、挿通孔4aの内壁4bには、凸部4cと隣り合う位置に凹部4dが設けられることになる(
図1、2、4及び5参照)。すなわち、凸部4cは、具体的には、スタッド11から逃げるように変形する際、隣り合う凹部4d側に逃げるように変形することになる。
【0023】
[挿通孔内壁の凹凸の具体例(
図1、2、4乃至7の例)]
・周方向交互配置
凸部4cは、挿通孔4aの周方向に間隔を置いて複数設けられものとすることができ、各凸部4cと周方向いずれの側にも隣り合う配置で凹部4dが複数設けられるものとすることができる。すなわち、内壁4bには、凸部4cと凹部4dが挿通孔4aの周方向に交互に並ぶ配置でそれぞれ複数設けられるものとすることができる。
【0024】
図1、2、4乃至7に示した凸部4cと凹部4dは、そのように設けられるものとする場合の一例を示したものである。
【0025】
・凸部と凹部の数
凸部4cは、少なくとも1つ設けられていれば、熱膨張により変形しても、スタッド11に強く接触するのを防ぐことができるので、挿通孔4a周辺部分やスタッド11の破損を防ぐものとして機能させるようにすることは可能である。しかしながら、凹部4dと共に、それぞれ複数とするのが好適である。
【0026】
図示の例は、凸部4cと凹部4dをそれぞれ4つとする場合を示しているが、その数については、挿通孔4aの大きさや形状等に対応して適宜、増減することができる。
【0027】
・凹部の開口幅(凸部同士の間隔)
凹部4dの内側(スタッド11側)開口部分の開口幅(周方向の幅)は、凹部4d内にスタッド11が入り込まないようにして、内壁4bがスタッド11に直接接触する状態になるのを防ぐことができる程度の幅とするのが好適である。
【0028】
・凸部の形状、大きさ、配置等
凸部4cの形状、大きさ、配置等は、均等なものとすることができる。図示の例の場合、複数の凸部4cは、いずれも、同じ形状、同じ大きさで、挿通孔4aの半径方向に突出するものとしており、それらが周方向に等角度間隔で配置されるものとしている。
【0029】
・凸部の厚さ
凸部4cの厚さについては、挿通孔4aの内壁4b全高(挿通孔4aの全深さ)と同じにすることができる(
図6及び7参照)。挿通孔4aの内壁4b全高よりも小さくすることもできる。その場合、凸部4cには、挿通孔4aの軸方向にも隣り合う配置で凹部が設けられることになる(例えば、
図8の凸部4gと凹部4h参照)。
【0030】
・凸部によるボルトの位置決め機能
複数の凸部4cは、先端面4eをスタッド11の外周面に接触させて、表示灯1を取り付ける際の、スタッド11の位置決め部材として用いることもできる。
【0031】
挿通孔4a内におけるスタッド11の位置を決めることにより、表示灯1のカバー2と被取付部10の開口12の位置関係を一定化することができ、その個体差を少なくすることができる。そのため、両者の大きさを寸法上、近付けることができ、両者間の隙間を小さくして、隙間から水や粉塵等が入らないようにすることができる。
【0032】
・凸部先端面の形状
凸部4cの先端面4eは、スタッド11の挿通の入口側の部分については、スタッド11の挿入を容易にする形状とするのが好適である。図示の例の場合、挿通の入口側の部分にRを付したものとしており(
図2参照)、それによりスタッド11の挿入が容易になるようにしている。
【0033】
また、凸部4cの先端面4eは、スタッド11の挿通方向(挿通の入口側から出口側)に進むに従って、スタッド11側に傾斜する形状とすることができる(
図6及び7参照)。より詳細には、例えば、スタッド11の挿通方向に進むに従って、スタッド11の外周面と離間する状態から接触する状態になるようにスタッド11側に傾斜する形状とすることができる。そのようすることにより、挿通の入口側では、先端面4eとスタッド11間を広くして、挿通孔4aへのスタッド11の挿入を容易にしつつ、挿通の出口側では、先端面4eとスタッド11を接触させて、スタッド11の位置を決めるようにすることができる。
【0034】
さらに、先端面4eの傾斜形状は、取付部4を含めて樹脂製である表示灯本体3の成形時の抜き勾配として利用することもできるが、抜き勾配として設けられる他の傾斜部分よりも大きく傾斜するものとすることができる。そのようにすることにより、先端面4eとスタッド11の接触面積を小さくすることができる。スタッド11の取付誤差や挿通孔4aの位置誤差、凸部4cの成形上の寸法誤差等によって、凸部4cとスタッド11が引っ掛かることがあると考えられる。もともと、強度の違いにより樹脂製の凸部4cの方が金属製のスタッド11よりも削れやすいが、先端面4eとスタッド11の接触面積を小さくすることにより、さらに削れやすくすることができる。そのため、前記のようなスタッド11の取付誤差や挿通孔4aの位置誤差、凸部4cの成形上の寸法誤差等があったとしても、挿通孔4aへのスタッド11の挿通を容易にすることができる。
【0035】
・凸部の上側左右配置
複数の凸部4cは、挿通孔4aの正面視で、左右方向(水平方向)中心線HLより上方に位置すると共に、上下方向(垂直方向)中心線VLを間にして左右に位置する、すなわち、挿通孔4aの上側左右に位置する、少なくとも2つの凸部4cを含むものとすることができる(
図2参照)。
【0036】
ここで、例えば、表示灯1を消火栓装置に取り付ける際に、消火栓装置筐体に取り付けられている状態の扉に対して表示灯1を取り付けるようにする場合、挿通孔4a内のスタッド11の位置は、表示灯1の自重により上側に偏ることになる。そのため、複数の凸部4cとして、前記のような上側左右の2つの凸部4cを有するものとしていれば、それら2つの凸部4cだけがスタッド11に接触するようにすることができる。すなわち、複数の凸部4cを、前記のような上側左右の2つの凸部4cだけにしたとしても、挿通孔4aやスタッド11が破損するのを防ぐようにすることができる。
【0037】
なお、表示灯1の消火栓装置への取り付け方法としては、消火栓装置筐体に取り付けられていない状態の扉に対して表示灯1を取り付けるようにすることも考えられる。この場合、スタッド11が立設される裏面側を上方に向けた状態の扉に対して上方から表示灯1を取り付けるようにすれば、挿通孔4a内でスタッド11の位置が表示灯1の自重で偏らないようにすることができる。
【0038】
[挿通孔周囲の凸部]
取付部4の前面側(取り付け状態で、被取付部10の裏面側に面する面側)の、挿通孔4aの周囲部分には、正面視で環状をなすと共に、被取付部10の裏面側に凸状をなす環状凸部4fが設けられるものとすることができる(
図1、2及び7参照)。
【0039】
ここで、例えば、表示灯1の取付対象が消火栓装置であり、被取付部10となる部分が消火栓装置筐体の扉である場合、扉の開閉時に生じる扉自体の歪みにより、表示灯1側に負荷がかかり、破損が生じる可能性がある。
【0040】
前記のような環状凸部4fが設けられることにより、取付部4と被取付部10との接触面を減らすことができるので、被取付部10が設けられる消火栓装置筐体の扉の開閉時に生じる扉自体の歪みによる負荷が表示灯1の取付部4側に伝わるのを軽減することができ、表示灯1側に破損が生じるのを防ぐことができる。
【0041】
環状凸部4fの環状の形状については、図示の例のように、1つの凸部が環状に連続する形状のものとすることができるし、或いは、複数に分割された凸部が環状に断続して配置されるものとすることができる。なお、図示の例の場合、円環状をなすものとしているが、それに限られず、環状をなすものであれば、他の形状としてもよい。
【0042】
環状凸部4fの凸の出幅は、例えば、1mm程度以下とすることができる。環状凸部4fが設けられると、凸の出幅分、被取付部10の裏面と取付部4の前面の間に隙間が形成されることになる(
図7参照)。その隙間は、水や粉塵等の内部への侵入路になるため、狭い方が好適である。環状凸部4fの凸の出幅を1mm程度以下にすれば、その分、隙間を狭くすることができ、水や粉塵等が内部に侵入しないようにすることができる。
【0043】
より詳細には、環状凸部4fの凸の出幅は、例えば、0.25mm程度とすることができる。環状凸部4fは、取付部4等と共に樹脂材料から成形されることになるが、例えば、射出成形により成形する場合、肉厚が一定の方が樹脂の流動性が良く、成形不良(外観不良等)が生じにくい。環状凸部4fの凸の出幅を0.25mm程度の小さなものとすれば、成形不良を生じさせる程に樹脂の流動性が悪くならないようにすることができる。すなわち、成形不良が生じないようにすることができる。
【0044】
[挿通孔内壁の凹凸の別例(
図8の例)]
・軸方向交互配置
挿通孔4aの内壁4bの凹凸としては、周方向に隣り合う配置で設けられる凸部4cと凹部4dとするのに代えて、挿通孔4aの軸方向(前後方向)に隣り合う配置で設けられる凹凸とすることもできる。
【0045】
図8は、挿通孔4aの縦断面を示したものであるが、内壁4bの凹凸をそのように配置する場合の一例を示したものである。
【0046】
同図に示したように、挿通孔4aの内壁4bには、凸部4gと凹部4hが挿通孔4aの軸方向に隣り合う配置で設けられる。
【0047】
これにより、凸部4gが熱膨張により変形し、スタッド11に接触したとしても、凸部4gは、隣り合う凹部4h側に逃げるように変形することになり、凸部4gのスタッド11への接触圧を軽減することができ、凸部4gがスタッド11に強く接触するのを防ぐことができる。すなわち、凸部4gと凹部4hによっても、本体3やカバー2の挿通孔4a周辺部分に破損が生じるのを防ぐことができ、また、スタッド11に破損が生じるのを防ぐことができる。
【0048】
凸部4gと凹部4hの周方向の形状については、図示は省略するが、全周にわたって連続又は断続する凸条と凹条をなすものとすることができる。
【0049】
さらに、凸部4gの形状については、スタッド11の挿入を容易にする形状とするのが好適である。図示の例の場合、挿通の入口側の端縁部分4gaにRを付した形状としており、それによりスタッド11の挿入を容易にできるものとしている。
【0050】
なお、
図8に示した例の場合、挿通孔4aの軸方向の途中に凸部4gを1つ、その軸方向前後に凹部4hを1つずつとし、挿通の入口側と出口側の両側に凹部4hが位置するものとしている。凸部4gと凹部4hの軸方向に交互に並ぶ数や配置については、図示の例に限られるものではない。
【0051】
例えば、数については、より多くてもよいし、より少なくてもよい。また、配置については、挿通の入口側と出口側のいずれか片側に凹部4hが位置するものとしてもよい。片側に凹部4hが位置するものとする場合、挿通の入口側に凹部4hが位置するものとした方が有利である。すなわち、挿通の入口側については、凹部4hがあることにより、スタッド11の挿通を容易にすることができる点で有利であり、挿通の出口側については、凹部4hがないことにより、ナットの座りを良くすることができる点で有利である。
【0052】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、
図1乃至8を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含むものである。
【0053】
例えば、挿通孔4aの凸部4cの先端面4eについては、やや弧状のアール形状となっているが、これに代えて、面取り形状としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1:表示灯 2:カバー 3:本体 4:取付部 4a:挿通孔
4b:内壁 4c:凸部 4d:凹部 4e:先端面 4f:環状凸部
4g:凸部 4ga:端縁部 4h:凹部 10:被取付部 11:スタッド
12:開口