(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048482
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】車両制御システム及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240402BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G01M17/007 J
B60R16/02 650J
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154415
(22)【出願日】2022-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久浩
(72)【発明者】
【氏名】伯川 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】宇治川 登
(72)【発明者】
【氏名】西野 知也
(57)【要約】
【課題】車両輸送時等に、車載バッテリの電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止する。
【解決手段】車両制御システムは、車両に搭載されて車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、上記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備え、監視制御装置は、監視対象である電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と、記録部を、記録動作を実行する第1動作モード又は記録動作を実行しない第2動作モードに設定するモード設定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、
前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、
常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、
を備え、
前記監視制御装置は、
監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と
前記記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するモード設定部と、
を備える、
車両制御システム。
【請求項2】
前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記モード設定部により前記記録部を前記第2動作モードに設定して、前記特定動作モードへ移行する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記監視制御装置は、
前記外部装置から前記移行指示を受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部と、
それぞれの前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっているか否かを監視する接続監視部と、
前記車両に搭載されたHMI装置を制御するHMI制御部と
を備え、
前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により非接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記HMI装置により、前記車両が前記特定動作モードで動作中である旨の通知を前記車両内に出力する、
請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、
前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、
前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記HMI制御部は、
前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、
前記特定動作モードを終了することについての承認入力が前記HMI装置を介して受信されるのを待機し、
前記HMI装置を介して前記承認入力が受信されたことに応じて、
前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、および、
前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除通知を送信する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項6】
複数の前記電子制御装置は、
前記電気接続器を介さずに前記電源ラインに直接に結線された電源供給ラインからも電源供給を受けて、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態とした後も省電力モードで動作を継続する第1電子制御装置と、
前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態としたときは電源供給を失って不動作状態となる第2電子制御装置と、
を含む、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記監視制御装置は、
前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部を備え、
前記第1電子制御装置は、
前記第1電子制御装置の動作モードを設定する動作設定部を備え、
前記動作設定部は、
前記遷移指示を受信していないとき又は前記遷移指示が解除されている間は、前記車両の電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を第1省電力モードに設定し、
前記遷移指示を受信してから前記遷移指示が解除されるまでの間は、前記電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を前記第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する、
請求項6に記載の車両制御システム。
【請求項8】
車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、
前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、
常に電源供給を行う電源ラインと前記電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、
を備える車両制御システムが実行する車両制御方法であって、
前記監視制御装置が備えるコンピュータが、
監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行ってその診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するステップ、
を有する、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製造後の車両の輸送期間中におけるバッテリ上がりを低コストで抑制することを目的として、車両内の所定の電源線から所定のヒューズが取り外されたことを検知したときに、上記所定のヒューズを介さずに電力供給される車載装置に消費電流を抑制するための通知を行う、車載用制御装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両の輸送時にも動作することが必要な第1の車載装置群を制御するマイクロコンピュータと、輸送時には動作が不要な第2の車載装置群と、第2の車載装置群に電源を供給する電源ラインに設けられたトランジスタスイッチと、を備える車両用制御システムにおいて、上記トランジスタスイッチは、上記マイクロコンピュータにより、車両輸送時にオフされ、車両ドアの解錠時にオンされることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-35803号公報
【特許文献2】特開2016-2944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、車両には、国際標準規格等に準拠して車載装置に関する故障診断を行う監視制御装置が搭載されている。監視制御装置は、例えば、所定のタイミングで車載装置と通信を行い、車載装置に故障がないか否かを検知し、故障を検知した場合には、その故障の内容を表すコード(DTC:Diagnostic Trouble Code)を記憶装置に記憶させる。
【0006】
この故障診断機能は、車両の製造時に起動される。このため、車両輸送の際、車載バッテリの電源消費を低減するために一部の車載装置への電源供給を遮断すると、監視制御装置は、それらの車載装置との通信を行うことができず、それの車載装置を故障と判断して、当該故障を表すDTCを記憶装置に記憶させてしまう。
【0007】
上記のように記憶されるDTCは、実際には故障していない車載装置の故障を示す誤った記録であり、輸送先での入庫点検を煩雑なものとし得るため、望ましくない。
【0008】
本発明の目的は、車載の電子制御装置についての故障診断機能を有する車両において、車両輸送時等に車載バッテリの電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様は、車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備え、前記監視制御装置は、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と前記記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するモード設定部と、を備える、車両制御システムである。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記モード設定部により前記記録部を前記第2動作モードに設定して、前記特定動作モードへ移行する。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記外部装置から前記移行指示を受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部と、それぞれの前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっているか否かを監視する接続監視部と、前記車両に搭載されたHMI装置を制御するHMI制御部とを備え、前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により非接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記HMI装置により、前記車両が前記特定動作モードで動作中である旨の通知を前記車両内に出力する。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する。
本発明の他の態様によると、前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記特定動作モードを終了することについての承認入力が前記HMI装置を介して受信されるのを待機し、前記HMI装置を介して前記承認入力が受信されたことに応じて、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、および、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除通知を送信する。
本発明の他の態様によると、複数の前記電子制御装置は、前記電気接続器を介さずに前記電源ラインに直接に結線された電源供給ラインからも電源供給を受けて、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態とした後も省電力モードで動作を継続する第1電子制御装置と、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態としたときは電源供給を失って不動作状態となる第2電子制御装置と、を含む。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部を備え、前記第1電子制御装置は、前記第1電子制御装置の動作モードを設定する動作設定部を備え、前記動作設定部は、前記遷移指示を受信していないとき又は前記遷移指示が解除されている間は、前記車両の電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を第1省電力モードに設定し、前記遷移指示を受信してから前記遷移指示が解除されるまでの間は、前記電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を前記第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する。
本発明の他の態様は、車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備える車両制御システムが実行する車両制御方法であって、前記監視制御装置が備えるコンピュータが、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行ってその診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するステップ、を有する、車両制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車載の電子制御装置についての故障診断機能を有する車両において、車両輸送時等に車載バッテリの電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、監視制御装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1ECU(第1電子制御装置)の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第2ECU(第2電子制御装置)の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、車両を通常モードから特定動作モードへ移行させる際の車両制御方法の処理の手順を示す図である。
【
図6】
図6は、特定動作モードにおける車両制御方法の処理の手順を示す図である。
【
図7】
図7は、車両を特定動作モードから通常モードに復帰させる際の車両制御方法の処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御システム1の構成を示す図である。
車両制御システム1は、車両2に搭載されて車両2の動作を制御する複数の電子制御装置である第1ECU3a-1、3a-2および第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6を含む。第1ECU3a-1、3a-2および第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6は、それぞれ単独で又はそれらの一部が協働して、車両2の異なる所定の機能を実現するよう動作する。
【0013】
車両制御システム1は、また、第1ECU3a-1、3a-2および第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6と車両2の電源ライン6aとをつなぐ電源供給ライン7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7hと、これらの電源供給ラインのそれぞれに着脱可能に設けられたバックアップヒューズ5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hを含む。電源ライン6aは、第1バッテリ10aに接続されて、常に電源供給を行う。
【0014】
以下、第1ECU3a-1、3a-2および第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6を総称して電子制御装置3ともいうものとする。また、電源供給ライン7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7hを総称して電源供給ライン7ともいい、バックアップヒューズ5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hを総称してバックアップヒューズ5ともいうものとする。ここで、バックアップヒューズ5は、本開示における、常に電源供給を行う電源ラインである電源供給ライン7と、複数の電子制御装置のぞれぞれと、の間に設けられて、上記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器に相当する。
【0015】
バックアップヒューズ5は、例えば、車両2が生産工場から販売店又は整備工場まで輸送される場合に取り外され、販売店又は整備工場に到着した際に再び装着される。これにより、輸送中の電源オフ時に電子制御装置3に流れ得る暗電流により、第1バッテリ10aの充電量が輸送中に消耗してしまうのを防止することができる。
【0016】
第1ECU3a-1および3a-2は、それぞれ、バックアップヒューズ5aおよび5dを介して電源ライン6aに結線された電源供給ライン7aおよび7bにより電源供給を受けるほか、バックアップヒューズ5aおよび5dを介さずに電源ライン6aに直接に結線された電源供給ライン8aおよび8bからも電源供給を受けて、バックアップヒューズ5aおよび5bが取り外された後も省電力モードで動作を継続し得る。以下、電源供給ライン8aおよび8bを総称して電源供給ライン8ともいうものとする。
【0017】
これにより、第1ECU3a-1および3a-2では、例えば車両2の輸送時にバックアップヒューズ5が取り外されたときは、電力消費の多い一部の機能の実行を制限して第1バッテリ10aの電力消費を抑制しつつ、他の一部の限られた機能を動作させることができる。
【0018】
バックアップヒューズ5が取り外されたときに第1ECU3a-1および3a-2において実行が制限される上記一部の機能には、後述する監視制御装置4との通信機能が含まれる。
【0019】
また、バックアップヒューズ5が取り外されたときにも動作し得る上記他の一部の機能として、例えば、第1ECU3a-1は、車両2の電源スイッチであるSSSW(Star-Stop Switch)9がオンされたときに、第2バッテリ10bの起動処理を行う。第2バッテリ10bは、上記起動処理により電源供給を開始し、SSSW9がオフされたときに第1ECU3a-1が行う停止処理により電源供給を終了する。これにより、車両制御システム1では、バックアップヒューズ5が全て取り外された後も、車両2に対して行われたSSSW9のオンオフ操作を検知して、後述する特定モード実行通知などの出力を行うことができるので、車両点検スタッフ等にとっての車両の利便性が向上する。
第2バッテリ10bは、電源ライン6bを介して、監視制御装置4および第1ECU3aに電力を供給する。
【0020】
ここで、第1ECU3a-1および3a-2は、本開示における第1電子制御装置に対応する。以下、第1ECU3a-1および3a-2を総称して第1ECU3aともいうものとする。
【0021】
一方、第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6は、バックアップヒューズ5が設けられた電源供給ライン7からのみ電源供給を受けるので、バックアップヒューズ5b、5c、5e、5f、5g、5hが取り外された場合には動作しない。これにより、第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6は、車両2の輸送時等にバックアップヒューズ5が取り外されると暗電流も消費しなくなるので、第1バッテリ10aの無駄な電力消費が防止される。
【0022】
ここで、第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6は、本開示における第2電子制御装置に対応する。以下、第2ECU3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6総称して第2ECU3bともいうものとする。
すなわち、電子制御装置3は、第1電子制御装置である第1ECU3aと、第2電子制御装置である第2ECU3bと、を含む。
【0023】
車両制御システム1は、また、監視制御装置4を含む。
監視制御装置4は、車載通信ネットワークを構成する通信バス11を介して第1ECU3aおよび第2ECU3b-1、3b-2と通信する。また、監視制御装置4は、第1ECU3a-1と通信可能に接続された第2ECU3b-1および3b-2、並びに第1ECU3a-2と通信可能に接続された第2ECU3b-3および3b-4とも、ぞれぞれ第1ECU3a-1および3a-2を介して通信することができる。
【0024】
監視制御装置4は、また、電子制御装置3に関する故障診断機能を有する。監視制御装置4は、例えば所定の時間間隔で、電子制御装置3のそれぞれと通信して、電子制御装置3に関する故障診断を行う。そして、監視制御装置4は、いずれかの電子制御装置3について故障を発見した場合には、その故障の内容を表すDTCを記憶装置に記憶させる。
【0025】
また、監視制御装置4は、電子制御装置3に接続された電源供給ライン7のバックアップヒューズ5のそれぞれが装着されて電源供給ライン7が接続状態になっているか否かについての接続情報を、それぞれの電子制御装置3から取得する。
電子制御装置3のうち、第1ECU3aは、バックアップヒューズ5が取り外された場合にも、電源供給ライン8からの電源供給により、監視制御装置4へ接続情報を送信することができる。
【0026】
一方、第2ECU3bは、バックアップヒューズ5が取り外された場合には、動作を停止するので、監視制御装置4へ接続情報を送信することができない。このため、監視制御装置4は、第2ECU3bの動作停止により第2ECU3bから接続情報が得られないときは、第2ECU3bに接続された電源供給ライン7のそれぞれの電圧値を、保護抵抗Rを介して取得し、取得した電圧値から、第2ECU3bに接続された電源供給ライン7のバックアップヒューズ5が装着されているか否かを検知する。
【0027】
監視制御装置4は、また、車両2に搭載されたHMI(Human-Machine Interface)装置13と接続されており、HMI装置13を介して車両2の車室内に情報を出力し、およびHMI装置13を介して情報や指示を受信する。HMI装置13は、車両2に搭載されたタッチパネル、スピーカ、及び又はマイクを含み得る。
【0028】
また、監視制御装置4には、DLC(Data Link Connector)12を介して、外部装置である車両診断装置14が、車両2の外部から接続される。本実施形態では、車両診断装置14は、車両2に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を、監視制御装置4へ送信する。本実施形態では、上記特定動作モードは、車両2の輸送の際に当該車両2を輸送に適した所定の状態に設定する輸送モードである。
【0029】
次に、監視制御装置4の構成について説明する。
図2は、監視制御装置4の構成を示す図である。監視制御装置4は、第1プロセッサ20と、第1メモリ21と、第1通信器22と、有する。第1メモリ21は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。第1メモリ21には、後述する記録部27により、電子制御装置3についての故障診断結果の履歴である故障記録23が記憶される。故障記録23には、電子制御装置3について発見された故障の内容を示すDLCが含まれる。第1通信器22は、監視制御装置4が第1ECU3a、第2ECU3b、およびHMI装置13等の車載装置、並びに車両診断装置14と通信するための送受信機である。
【0030】
第1プロセッサ20は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第1プロセッサ20は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第1プロセッサ20は、機能要素又は機能ユニットとして、接続監視部25と、HMI制御部26と、記録部27と、モード設定部28と、指示送信部29と、を備える。
【0031】
第1プロセッサ20が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第1プロセッサ20が、第1メモリ21に保存された第1プログラム24を実行することにより実現される。なお、第1プログラム24は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第1プロセッサ20が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0032】
接続監視部25は、それぞれのバックアップヒューズ5が装着されているか否かを監視する。具体的には、接続監視部25は、それぞれの電子制御装置3から送信される、バックアップヒューズ5が装着されて電源供給ライン7が接続状態になっているか否かについての情報である接続情報を受信することにより、それぞれの電子制御装置3の電源供給ライン7に設けられたバックアップヒューズ5が装着されているか否かを判断する。
【0033】
第2ECU3bが動作を停止していて第2ECU3bから接続情報を得られないときは、接続監視部25は、第2ECU3bに接続されている電源供給ライン7のそれぞれから保護抵抗Rを介して取得される電圧値に基づいて、それらの電源供給ライン7のバックアップヒューズ5が取り外されているか否かを判断する。例えば、接続監視部25は、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間(すなわち、後述するモード設定部28により記録部27が第2動作モードに設定されている期間)は、保護抵抗Rを介して取得される電圧値に基づいて、第2ECU3bの電源供給ライン7のバックアップヒューズ5が取り外されているか否かを判断する。
【0034】
HMI制御部26は、車両2に搭載されたHMI装置13を制御する。HMI制御部26は、指示送信部29が電子制御装置3へ遷移指示を送信した後にSSSW9がオンされた場合において、少なくとも一部のバックアップヒューズ5が装着されていると接続監視部25が判断したときは、バックアップヒューズ5の取り外しを指示する抜去指示を、HMI装置13から出力する。この抜去指示は、HMI装置13であるタッチパネル及び又はスピーカからの、「バックアップヒューズを取り外してください」等のテキストメッセージの出力及び又は音声メッセージの出力であり得る。
【0035】
HMI制御部26は、また、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間にSSSW9がオンされた場合において、全てのバックアップヒューズが装着されていないと接続監視部25が判断したときは、車両2が特定動作モードで動作中である旨の特定モード実行通知を車両2の車室内に出力する。この特定モード実行通知は、例えば、HMI装置13であるタッチパネル及び又はスピーカからの、「輸送モード中です」等のテキストメッセージの表示及び又は音声メッセージの出力であり得る。これにより、車両制御システム1では、車両輸送の作業者等は、車両2が、バックアップヒューズ5が取り外されて電力消費が低減され且つ故障診断結果が記録されない特定動作モードであることを、容易に知ることができる。
【0036】
HMI制御部26は、また、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間にSSSW9がオンされた場合において、全てのバックアップヒューズが装着されていると接続監視部25が判断したときは、特定動作モードを終了して良いか否かを問い合わせる承認要求のメッセージをHMI装置13により出力し、特定動作モードを終了することについての承認入力がHMI装置13を対して行われるのを待機する。HMI制御部26は、HMI装置13を対して承認入力が行われたときは、当該承認入力を受信する。上記承認要求のメッセージは、HMI装置13であるタッチパネル及び又はスピーカからの、「輸送モードを終了してよろしいですか?」等のテキストメッセージの表示及び又は音声メッセージの出力であり得る。また、承認入力は、例えば、HMI装置13であるタッチパネルへの操作入力(例えば、タッチパネルに表示されたボタンへのタッチ操作)及び又はマイクから受信される音声指示であり得る。
【0037】
記録部27は、監視対象である電子制御装置3の故障診断を行ってその診断結果を第1メモリ21に記憶させる記録動作を実行する。具体的には、記録部27は、例えば所定の時間間隔で、電子制御装置3のそれぞれと通信して電子制御装置3に関する故障診断を行う。そして、記録部27は、いずれかの電子制御装置3について故障を発見した場合には、その故障の内容を表すDTCを、第1メモリ21が記憶する故障記録23に保存する。
【0038】
本実施形態では、特に、記録部27は、モード設定部28により第1動作モードに設定されたときに上記記録動作を実行し、モード設定部28により第2動作モードに設定されたときは上記記録動作を実行しない。
【0039】
モード設定部28は、記録部27を、上記記録動作を実行する第1動作モード又は上記記録動作を実行しない第2動作モードに設定する。これにより、車両制御システム1では、例えば車両輸送時等に記録部27を第2動作モードに設定し得るので、輸送時等における第1バッテリ10aの電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って電子制御装置3についての誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止することができる。
【0040】
具体的には、モード設定部28は、監視制御装置4が、外部装置である車両診断装置14から特定動作モードへの移行を指示する移行指示を受信したときに、記録部27を第2動作モードに設定する。監視制御装置4は、モード設定部28により記録部27が第2動作モードに設定されることで、特定動作モードに移行する。上述したように、上記特定動作モードは、例えば、車両2の輸送の際に当該車両2を輸送に適した所定の状態に設定する輸送モードである。
これにより、車両制御システム1では、車両診断装置14等の外部装置からの指示により、誤った故障診断結果の記録動作を簡便に防止することができる。
【0041】
また、モード設定部28は、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間にSSSW9がオンされた場合において、全ての前記バックアップヒューズが装着されていると前記接続監視部が判断したときは、HMI制御部26がHMI装置13を介して承認入力を受信したことに応じて、記録部27を第1動作モードに設定する。監視制御装置4は、モード設定部28により記録部27が第1動作モードに設定されることで、通常モードに復帰する。
これにより、例えば、車両2の整備スタッフ等が承認入力を行うまでは、記録部27は第1動作モードに復帰しないので、輸送後の整備等を完了しないうちに、誤った故障診断結果が不用意に記録されてしまうのを防止することができる。
【0042】
上記に代えて、モード設定部28は、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間にSSSW9がオンされた場合において、全てのバックアップヒューズ5が装着されていると接続監視部25が判断したときに、記録部27を第1動作モードに設定してもよい。これにより、例えば車両輸送を終えたあとに、全てのバックアップヒューズ5を取り付けてSSSW9をオンすることで、記録部27を第1動作モードに自動的に復帰させることができるので、作業が容易となる。
【0043】
指示送信部29は、車両診断装置14から受信した移行指示を受信したときに、車両2が特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を、電子制御装置3へ送信する。例えば、指示送信部29は、車両診断装置14から受信した移行指示を、そのまま上記遷移指示として送信してもよいし、移行指示と異なる遷移指示を送信してもよい。例えば、遷移指示は、移行指示と異なるコード、及び又は移行指示に含まれない付加的な指示や内容を含むものであり得る。
【0044】
また、指示送信部29は、HMI制御部26によりHMI装置13を介して承認入力が受信されたことに応じて、電子制御装置3に遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する。これにより、例えば、車両2の整備スタッフ等が承認入力を行うまでは、車両2は通常モードに復帰しないので、輸送後の整備等を完了しないうちに車両2が不用意に通常モードへ復帰してしまうのを防止することができる。
【0045】
あるいは、指示送信部29は、監視制御装置4が特定動作モードに移行している期間にSSSW9がオンされた場合において、接続監視部25が全てのバックアップヒューズ5が装着されていると判断したときに、電子制御装置3に解除指示を送信してもよい。この場合には、HMI制御部26は、HMI装置13を介して承認入力を受信する必要はない。これにより、例えば車両輸送を終えたあとに、全てのバックアップヒューズ5を取り付けてSSSW9をオンすることで、車両を通常の動作モードに自動的に復帰させることができるので、作業が容易となる。
【0046】
図3は、第1電子制御装置である第1ECU3aの構成を示す図である。
第1ECU3aは、第2プロセッサ30と、第2メモリ31と、第2通信器32と、有する。第2メモリ31は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。第2通信器32は、第1ECU3aが監視制御装置4および第2ECU3b等の車載装置と通信するための送受信機である。
【0047】
第2プロセッサ30は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第2プロセッサ30は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第2プロセッサ30は、機能要素又は機能ユニットとして、第1車両制御部34と、第1電源監視部35と、動作設定部36と、を備える。
【0048】
第2プロセッサ30が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第2プロセッサ30が、第2メモリ31に保存された第2プログラム33を実行することにより実現される。なお、第2プログラム33は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第2プロセッサ30が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0049】
第1車両制御部34は、第1ECU3aに与えられた任意の車両機能を実現するための制御動作を実行する。例えば、第1ECU3a-1の場合には、上記制御動作には、SSSW9がオンされたことを検知して、第2バッテリ10bに電源供給を開始させるための起動処理を実行すること、及び、SSSW9がオフされたことを検知して、第2バッテリ10bに電源供給を停止させるための停止処理を実行することが含まれる。
【0050】
第1電源監視部35は、その第1ECU3aに接続されている電源供給ライン7の電圧値に基づき、その電源供給ライン7にバックアップヒューズ5が装着されているか否かを検知する。第1電源監視部35は、監視制御装置4から遷移指示を受信したとき、又は監視制御装置4から遷移指示を受信してから当該遷移指示が解除されるまでの期間においてSSSW9がオンされて第1ECU3aが通常モードで動作したときに、上記バックアップヒューズ5の装着有無の判断を行い、その判断結果を示す接続情報を、監視制御装置4へ送信する。
【0051】
動作設定部36は、その第1ECU3aの動作モードを通常モードと省電力モードとの間で切り替える。本実施形態では、特に、動作設定部36は、監視制御装置4から遷移指示を受信していないとき、又は遷移指示が解除されている間(すなわち、監視制御装置4から解除指示を受信したあと)は、SSSW9がオフされたときに、その第1ECU3aを第1省電力モードに設定する。また、動作設定部36は、監視制御装置4から遷移指示を受信してから当該遷移指示が解除されるまでの期間は、SSSW9がオフされたときに、その第1ECU3aを、第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する。これにより、第1ECU3aの省電力モードにおける消費電力は、バックアップヒューズ5が取り外されたときは、バックアップヒューズ5が取り外される前よりも低減されるので、特定動作モードにおける車両2の消費電力を低減することができる。
【0052】
第1省電力モードおよび第2省電力モードでは、第1車両制御部34の動作の一部が制限される。第1車両制御部34は、第2省電力モードでは、第1省電力モードにおいて制限される機能の数よりも多くの数の機能が制限されて、その第1ECU3aの消費電力が低減される。ここで、第1ECU3a-1においては、第1省電力モードおよび第2省電力モードのいずれにおいても、上述した起動処理は制限されないものとする。
【0053】
図4は、第2電子制御装置である第2ECU3bの構成を示す図である。
第2ECU3bは、第3プロセッサ40と、第3メモリ41と、第3通信器42と、有する。第3メモリ41は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。第3通信器42は、第2ECU3bが監視制御装置4および第1ECU3a等の車載装置と通信するための送受信機である。
【0054】
第3プロセッサ40は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第3プロセッサ40は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第3プロセッサ40は、機能要素又は機能ユニットとして、第2車両制御部44と、第2電源監視部45と、を備える。
【0055】
第3プロセッサ40が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第3プロセッサ40が、第3メモリ41に保存された第3プログラム43を実行することにより実現される。なお、第3プログラム43は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第3プロセッサ40が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。
【0056】
第2車両制御部44は、その第2ECU3bに与えられた任意の車両機能を実現するための制御動作を実行する。第2車両制御部44は、例えば、他の車載装置から動作要求を受信したときに、省電力モードから通常モードに復帰し、要求された動作を完了したときに省電力モードに移行する。
【0057】
第2電源監視部45は、その第2ECU3bに接続されている電源供給ライン7の電圧値に基づき、その電源供給ライン7にバックアップヒューズ5が装着されているか否かを検知する。第2電源監視部45は、監視制御装置4から遷移指示を受信したとき、又は監視制御装置4から遷移指示を受信してから当該遷移指示が解除されるまでの期間において、電源供給ライン7からの電源供給が復帰したときに、上記バックアップヒューズ5の装着有無の判断を行い、その判断結果を示す接続情報を、監視制御装置4へ送信する。上記装着有無の判断と接続情報の送信は、その第2ECU3bが省電力モードで動作している間でも実行されるものとする。
【0058】
次に、車両制御システム1の動作の手順について説明する。
図5、
図6、および
図7は、車両制御システム1が備えるコンピュータとしての監視制御装置4の第1プロセッサ20、第1ECU3aの第2プロセッサ30、及び第2ECU3bの第3プロセッサ40が実行する車両制御方法の処理の手順を示すシーケンス図である。
図5、
図6、
図7において文字Sで始まる符号が示す処理が、車両制御方法における処理に対応する。文字Pで始まる符号が示す工程は、理解を容易にするために付加的に示した人(作業者)の作業または外部装置である車両診断装置14における処理を示し、車両制御方法における処理には含まれない。
【0059】
図5、
図6、
図7において各装置のライフランには、省電力モード(第1省電力モードおよび第2省電力モードを含む)が細い帯で示され、通常モードが太い帯で示されている。なお、
図5、
図6、
図7において記載はないが、第2ECU3bは、省電力モードでの動作中は第1ECU3a等の他の車載装置からの動作要求を受信したときに通常モードに復帰し、要求された動作を完了したときに省電力モードに移行するものとする。
【0060】
まず、
図5に示すシーケンス図に従って、車両2を通常モードから特定動作モードである輸送モードに設定するまでの処理の手順を説明する。
図5に示すシーケンス図は、一例として、車両2の製造工場又は整備工場において、作業者が車両2を輸送モードに移行させるシーンが想定されている。車両2の初期状態として、SSSW9はオフされており、監視制御装置4および第2ECU3bは、省電力モードで動作中であり、第1ECU3aは、第1省電力モードで動作中であるものとする。また、車両2には、DLC12に車両診断装置14が接続され、車両診断装置14の電源がオンされているものとする。
【0061】
図5において、まず、作業者が車両2の電源スイッチであるSSSW9をオンすると(P100)、第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、第2バッテリ10bの起動処理を行う(S100)。これにより、第2バッテリ10bは、電源供給を開始し(S102)、監視制御装置4、第1ECU3aが通常モードで動作を開始する。
【0062】
次に、作業者が車両診断装置14に移行指示の送信指示を入力すると(S102)、車両診断装置14は、移行指示を車両2へ送信する(S104)。上述したように、移行指示は、本実施形態では、車両2に対する、特定動作モードである輸送モードへの移行の指示である。
【0063】
監視制御装置4の指示送信部29は、移行指示を受信し、受信した移行指示に基づいて、第1ECU3aおよび第2ECU3bへ、輸送モードへの移行を指示する遷移指示を送信する(S104)。これに応じて、第1ECU3aの第1電源監視部35および第2ECU3bの第2電源監視部45は、接続情報を監視制御装置4へ送信する(S106)。次に、監視制御装置4の接続監視部25は、これらの接続情報を受信し、バックアップヒューズ5が装着されて全ての電源供給ライン7が接続状態となっていることを確認したのち(S108)、電気接続器であるバックアップヒューズ5の取り外しを指示する抜去指示(あるいは、電気接続器を非接続状態に設定するよう指示する非接続指示)を、HMI装置13から出力する(S110)この抜去指示は、上述したように、「バックアップヒューズを取り外してください」等のテキストメッセージの出力、及び又は音声メッセージの出力であり得る。
【0064】
続いて、監視制御装置4のモード設定部28は、記録部27を第2動作モードに設定する(S112)。これにより、記録部27は、故障診断結果の記録動作の実行を停止する。また、モード設定部28により記録部27が第2動作モードに設定されることにより、監視制御装置4は、輸送モードに移行する。
【0065】
ステップS110において抜去指示が出力されたことに応じて、作業者は、バックアップヒューズ5の取り外しを行うため、SSSW9をオフにする(P106)。第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、SSSW9がオフされたことに応じて第2バッテリ10bについての停止処理を実行する(S114)。
【0066】
これにより、第2バッテリ10bは、電源供給を停止する(S116)。第2バッテリ10bからの電源供給が停止されたことに応じて、監視制御装置4は、省電力モードに移行し(S118)、第1ECU3aは、第2省電力モードへ移行する(S120、S122)。その後、ステップP108において作業者がバックアップヒューズ5を取り外すと(すなわち、作業者が電気接続器を非接続状態に設定すると)、第2ECU3bは、電源供給ライン7からの電源供給が断たれることにより、動作を停止する。これにより、車両2の全体が、通常モードから輸送モードへ移行する。
【0067】
次に、
図6に示すシーケンス図に従って、特定動作モードである輸送モードにおいて、輸送スタッフ等の作業者がSSSW9をオンした場合の、車両制御システム1における車両制御方法の処理手順について説明する。
【0068】
輸送モードにおいて作業者がSSSW9をオンにすると(P200)、第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、第2バッテリ10bの起動処理を行う(S200)。これにより、第2バッテリ10bは、電源供給を開始し(S202)、監視制御装置4、第1ECU3aが通常モードで動作を開始する。
【0069】
通常モードでの動作を開始した第1ECU3aの第1電源監視部35は、
図5のステップS104において遷移指示を受信してから未だ解除指示を受信していないので、第1ECU3aに接続されている電源供給ライン7におけるバックアップヒューズ5の装着有無の判断を行って、その判断結果を示す接続情報を、監視制御装置4へ送信する(S204)。次に、監視制御装置4の接続監視部25は、これらの接続情報と、保護抵抗Rを介して取得される第2ECU3bの電源供給ライン7の電圧値と、に基づいて、すべてのバックアップヒューズ5が取り外されて全ての電源供給ライン7が非接続状態となっていることを確認する(S206)。
【0070】
監視制御装置4のHMI制御部26は、全てのバックアップヒューズが取り外されて全ての電源供給ライン7が非接続状態となっていることを接続監視部25が確認したことに応じて、車両2が特定動作モードで動作中であることを示す特定モード実行通知を、HMI装置13に出力する(S208)。上述したように、この特定モード実行通知は、HMI装置13であるタッチパネル及び又はスピーカからの、「輸送モード中です」等のテキストメッセージの表示及び又は音声メッセージの出力であり得る。
【0071】
特定モード実行通知が出力されたことに応じて、作業者は、SSSW9をオフにする(P202)。第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、SSSW9がオフされたことに応じて第2バッテリ10bについての停止処理を実行する(S210)。これにより、第2バッテリ10bは、電源供給を停止する(S212)。また、第2バッテリ10bからの電源供給が停止されたことに応じて、監視制御装置4は、省電力モードに移行し(S214)、第1ECU3aは、第2省電力モードへ移行する(S216、218)。
【0072】
次に、
図7に示すシーケンス図に従って、車両2が特定動作モードである輸送モードから通常モードに復帰するまでの、車両制御方法の処理の手順を説明する。
図7に示すシーケンス図は、一例として、輸送された車両2が整備工場または車両販売店において、作業者が車両2を通常モードに移行させるシーンが想定されている。
【0073】
図7において、まず、ステップP300において、作業者は、車両2を通常モードに復帰させるため、車両2の電源供給ライン7にバックアップヒューズ5を装着する(すなわち、電気接続器を接続状態に設定する)。これにより、第2ECU3bは、電源供給ライン7からの電源供給が復帰し、省電力モードでの動作を開始する。
【0074】
次に、車両2のSSSW9をオンにすると(P302)、第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、SSSW9がオンされたことに応じて第2バッテリ10bについての起動処理を実行する(S300)。第2バッテリ10bは、電源供給を開始し(S302)、監視制御装置4、第1ECU3aが通常モードで動作を開始する。
【0075】
通常モードでの動作を開始した第1ECU3aの第1電源監視部35は、
図5のステップS104において遷移指示を受信してから未だ解除指示を受信していないので、それぞれの第1ECU3aに接続されている電源供給ライン7におけるバックアップヒューズ5の装着有無の判断を行って、その判断結果を示す接続情報を、監視制御装置4へ送信する(S304)。次に、監視制御装置4の接続監視部25は、これらの接続情報と、保護抵抗Rを介して取得される第2ECU3bの電源供給ライン7の電圧値と、に基づいて、すべてのバックアップヒューズ5が装着されて全ての電源供給ライン7が接続状態となっていることを確認する(S306)。
【0076】
監視制御装置4のHMI制御部26は、全てのバックアップヒューズが装着されて全ての電源供給ライン7が接続状態となっていることを接続監視部25が確認したことに応じて、輸送モードを終了して良いか否かを問い合わせる承認要求のメッセージをHMI装置13により出力する(S308)。上述したように、上記承認要求のメッセージは、HMI装置13であるタッチパネル及び又はスピーカからの、「輸送モードを終了してよろしいですか?」等のテキストメッセージの表示及び又は音声メッセージの出力であり得る。
【0077】
作業者は、HMI装置13から承認要求のメッセージが出力されたことに応じて、HMI装置13により承認入力を行う(P304)。上述したように、この承認入力は、HMI装置13であるタッチパネルにおけるタッチ操作及び又はマイクから受信される音声指示であり得る。
【0078】
その後、監視制御装置4のHMI制御部26は、HMI装置13を介して承認入力を受信する(S310)。監視制御装置4の指示送信部29は、承認入力が受信されたことに応じて、遷移指示の解除を指示する解除指示を電子制御装置3に送信し(S312)、モード設定部28は、記録部27を第1動作モードに設定する(S314)。これにより、記録部27は、故障診断結果の記録動作の実行を開始する。また、記録部27が第1動作モードに設定されることにより、監視制御装置4は通常モードに復帰し、車両2の全体も通常モードに移行する。
【0079】
その後、作業者がSSSW9をオフにすると(P306)、第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、第2バッテリ10bについての停止処理を実行し(S316)、第2バッテリ10bは電源供給を停止する(S318)。そして、第2バッテリ10bからの電源供給が停止されたことに応じて、監視制御装置4は、省電力モードに移行し(S320)、第1ECU3aは、第2省電力モードへ移行する(S322、S324)。その後は、車両2は、次に車両診断装置14等から移行指示を受信するまで、通常モードでの動作を継続する。
【0080】
[他の実施形態]
上述した実施形態では、常に電源供給を行う電源供給ライン7と複数の電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、電源供給ライン7の電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器の一例として、電源供給ライン7に着脱可能に設けられたバックアップヒューズ5を記載したが、電気接続器はヒューズには限られない。
【0081】
電気接続器は、所定の操作(マニュアル操作、遠隔操作、あるいは所定の装置を介した切替指示の送信や通電等を含む)により電源供給ライン7の接続/非接続を選択的に設定し得る任意のデバイス及び又は装置であり得る。
【0082】
そのような電気接続器は、電源供給ライン7に着脱可能に設けられて人が抜き差しすることにより接続/非接続が設定され得るジャンパー線やジャンパーピンであってもよい。また、電気接続器は、マニュアル操作により又は所定の装置を介した設定指示や通電により接続/非接続が選択的に設定され得る、自己保持型の物理スイッチやリレー等であり得る。
【0083】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0084】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0085】
(構成1)車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備え、前記監視制御装置は、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と前記記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するモード設定部と、を備える、車両制御システム。
構成1の車両制御システムによれば、例えば車両輸送時に、車両における電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って電子制御装置についての誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止することができる。
【0086】
(構成2)前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記モード設定部により前記記録部を前記第2動作モードに設定して、前記特定動作モードへ移行する、構成1に記載の車両制御システム。
構成2の車両制御システムによれば、車両診断装置等の外部装置からの指示により、輸送時等において誤った故障診断結果が記録されてしまうのを簡便に防止することができる。
【0087】
(構成3)前記監視制御装置は、前記外部装置から前記移行指示を受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部と、それぞれの前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっているか否かを監視する接続監視部と、前記車両に搭載されたHMI装置を制御するHMI制御部とを備え、前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により非接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記HMI装置により、前記車両が前記特定動作モードで動作中である旨の通知を前記車両内に出力する、構成2に記載の車両制御システム。
構成3の車両制御システムによれば、車両輸送の作業者等は、車両が、電気接続器が非接続状態に設定されて(例えば、バックアップヒューズが取り外されて)電力消費が低減され且つ故障診断結果が記録されない特定動作モードであることを、容易に知ることができる。
【0088】
(構成4)前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する、構成3に記載の車両制御システム。
構成4の車両制御システムによれば、例えば車両輸送を終えたあとに、全ての電気接続器を接続状態に設定して(例えば、全てのバックアップヒューズを取り付けて)車両電源スイッチをオンすることで、車両を通常の動作モードに自動的に復帰させることができるので、作業が容易となる。
【0089】
(構成5)前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記特定動作モードを終了することについての承認入力が前記HMI装置を介して受信されるのを待機し、前記HMI装置を介して前記承認入力が受信されたことに応じて、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、および、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除通知を送信する、構成3に記載の車両制御システム。
構成5の車両制御システムによれば、例えば、車両の整備スタッフ等が承認入力を行うまでは、車両は通常モードに復帰しないので、輸送後の整備等を完了しないうちに車両が不用意に通常モードへ復帰してしまうのを防止することができる。
【0090】
(構成6)複数の前記電子制御装置は、前記電気接続器を介さずに前記電源ラインに直接に結線された電源供給ラインからも電源供給を受けて、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態とした後も省電力モードで動作を継続する第1電子制御装置と、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態としたときは電源供給を失って不動作状態となる第2電子制御装置と、を含む、構成1ないし5のいずれかに記載の車両制御システム。
構成6の車両制御システムによれば、第1電子制御装置があることにより、電気接続器が非接続状態に設定された後も(例えば、バックアップヒューズが全て取り外された後も)、例えば車両電源スイッチのオンオフなどの、車両に対して行われた操作を検知して対処動作を行うことができる。
【0091】
(構成7)前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部を備え、前記第1電子制御装置は、前記第1電子制御装置の動作モードを設定する動作設定部を備え、前記動作設定部は、前記遷移指示を受信していないとき又は前記遷移指示が解除されている間は、前記車両の電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を第1省電力モードに設定し、前記遷移指示を受信してから前記遷移指示が解除されるまでの間は、前記電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を前記第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する、構成6に記載の車両制御システム。
構成7の車両制御システムによれば、電気接続器が非接続状態に設定された後も動作が可能な第1電子制御装置の、省電力モードにおける消費電力は、電気接続器が非接続状態に設定されたときは、電気接続器が非接続状態に設定される前よりも低減されるので、特定動作モードにおける車両の消費電力を低減することができる。
【0092】
(構成8)車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のぞれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備える車両制御システムが実行する車両制御方法であって、前記監視制御装置が備えるコンピュータが、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行ってその診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードに設定するステップ、を有する、車両制御方法。
構成8の車両制御方法によれば、例えば車両輸送時に、車両における電源消費を抑制しつつも、当該電源消費の抑制に伴って電子制御装置についての誤った故障診断結果が記録されてしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…車両制御システム、2…車両、3…電子制御装置、3a、3a-1、3a-2…第1ECU(第1電子制御装置)、3b、3b-1、3b-2、3b-3、3b-4、3b-5、3b-6…第2ECU(第2電子制御装置)、4…監視制御装置、5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h…バックアップヒューズ、6a、6b…電源ライン、7、7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7h、8、8a、8b…電源供給ライン、9…SSSW(電源スイッチ)、10a…第1バッテリ、10b…第2バッテリ、11…通信バス、12…DLC、13…HMI装置、14…車両診断装置、20…第1プロセッサ、21…第1メモリ、22…第1通信器、23…故障記録、24…第1プログラム、25…接続監視部、26…HMI制御部、27…記録部、28…モード設定部、29…指示送信部、30…第2プロセッサ、31…第2メモリ、32…第2通信器、33…第2プログラム、34…第1車両制御部、35…第1電源監視部、36…動作設定部、40…第3プロセッサ、41…第3メモリ、42…第3通信器、43…第3プログラム、44…第2車両制御部、45…第2電源監視部。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、
前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、
常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のそれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、
を備え、
前記監視制御装置は、
監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と
前記記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードのいずれかに選択的に設定するモード設定部と、
を備える、
車両制御システム。
【請求項2】
前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記モード設定部により前記記録部を前記第2動作モードに設定して、前記特定動作モードへ移行する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記監視制御装置は、
前記外部装置から前記移行指示を受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部と、
それぞれの前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっているか否かを監視する接続監視部と、
前記車両に搭載されたHMI装置を制御するHMI制御部と
を備え、
前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により非接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記HMI装置により、前記車両が前記特定動作モードで動作中である旨の通知を前記車両内に出力する、
請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、
前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、
前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記HMI制御部は、
前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、
前記特定動作モードを終了することについての承認入力が前記HMI装置を介して受信されるのを待機し、
前記HMI装置を介して前記承認入力が受信されたことに応じて、
前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、および、
前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除通知を送信する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項6】
複数の前記電子制御装置は、
前記電気接続器を介さずに前記電源ラインに直接に結線された電源供給ラインからも電源供給を受けて、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態とした後も省電力モードで動作を継続する第1電子制御装置と、
前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態としたときは電源供給を失って不動作状態となる第2電子制御装置と、
を含む、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記監視制御装置は、
前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部を備え、
前記第1電子制御装置は、
前記第1電子制御装置の動作モードを設定する動作設定部を備え、
前記動作設定部は、
前記遷移指示を受信していないとき又は前記遷移指示が解除されている間は、前記車両の電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を第1省電力モードに設定し、
前記遷移指示を受信してから前記遷移指示が解除されるまでの間は、前記電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を前記第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する、
請求項6に記載の車両制御システム。
【請求項8】
車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、
前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、
常に電源供給を行う電源ラインと前記電子制御装置のそれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、
を備える車両制御システムが実行する車両制御方法であって、
前記監視制御装置が備えるコンピュータが、
監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行ってその診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードのいずれかに選択的に設定するステップ、
を有する、
車両制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一の態様は、車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記複数の電子制御装置のそれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備え、前記監視制御装置は、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行って、その診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部と前記記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードのいずれかに選択的に設定するモード設定部と、を備える、車両制御システムである。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記モード設定部により前記記録部を前記第2動作モードに設定して、前記特定動作モードへ移行する。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記外部装置から前記移行指示を受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部と、それぞれの前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっているか否かを監視する接続監視部と、前記車両に搭載されたHMI装置を制御するHMI制御部とを備え、前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により非接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記HMI装置により、前記車両が前記特定動作モードで動作中である旨の通知を前記車両内に出力する。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除を指示する解除指示を送信する。
本発明の他の態様によると、前記HMI制御部は、前記監視制御装置が前記特定動作モードに移行している期間に前記車両の電源スイッチがオンされた場合において、全ての前記電源ラインが前記電気接続器により接続状態となっていると前記接続監視部が判断したときは、前記特定動作モードを終了することについての承認入力が前記HMI装置を介して受信されるのを待機し、前記HMI装置を介して前記承認入力が受信されたことに応じて、前記モード設定部は、前記記録部を前記第1動作モードに設定し、および、前記指示送信部は、前記電子制御装置に前記遷移指示の解除通知を送信する。
本発明の他の態様によると、複数の前記電子制御装置は、前記電気接続器を介さずに前記電源ラインに直接に結線された電源供給ラインからも電源供給を受けて、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態とした後も省電力モードで動作を継続する第1電子制御装置と、前記電気接続器が前記電源ラインを非接続状態としたときは電源供給を失って不動作状態となる第2電子制御装置と、を含む。
本発明の他の態様によると、前記監視制御装置は、前記車両に対し所定の特定動作モードへの移行を指示する移行指示を外部装置から受信したときに、前記車両が前記特定動作モードへの移行を指示されたことを示す遷移指示を前記電子制御装置へ送信する指示送信部を備え、前記第1電子制御装置は、前記第1電子制御装置の動作モードを設定する動作設定部を備え、前記動作設定部は、前記遷移指示を受信していないとき又は前記遷移指示が解除されている間は、前記車両の電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を第1省電力モードに設定し、前記遷移指示を受信してから前記遷移指示が解除されるまでの間は、前記電源スイッチがオフされたときに前記第1電子制御装置を前記第1省電力モードより電力消費の少ない第2省電力モードに設定する。
本発明の他の態様は、車両に搭載されて前記車両の動作を制御する複数の電子制御装置と、前記電子制御装置の動作を監視する監視制御装置と、常に電源供給を行う電源ラインと前記電子制御装置のそれぞれとの間に設けられて、前記電源ラインの電気的接続を接続状態または非接続状態に選択的に設定する電気接続器と、を備える車両制御システムが実行する車両制御方法であって、前記監視制御装置が備えるコンピュータが、監視対象である前記電子制御装置の故障診断を行ってその診断結果を記憶装置に記憶させる記録動作を実行する記録部を、前記記録動作を実行する第1動作モード又は前記記録動作を実行しない第2動作モードのいずれかに選択的に設定するステップ、を有する、車両制御方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、バックアップヒューズ5が取り外されたときにも動作し得る上記他の一部の機能として、例えば、第1ECU3a-1は、車両2の電源スイッチであるSSSW(Start-Stop Switch)9がオンされたときに、第2バッテリ10bの起動処理を行う。第2バッテリ10bは、上記起動処理により電源供給を開始し、SSSW9がオフされたときに第1ECU3a-1が行う停止処理により電源供給を終了する。これにより、車両制御システム1では、バックアップヒューズ5が全て取り外された後も、車両2に対して行われたSSSW9のオンオフ操作を検知して、後述する特定モード実行通知などの出力を行うことができるので、車両点検スタッフ等にとっての車両の利便性が向上する。
第2バッテリ10bは、電源ライン6bを介して、監視制御装置4および第1ECU3a-1および3a-2に電力を供給する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
監視制御装置4の指示送信部29は、移行指示を受信し、受信した移行指示に基づいて、第1ECU3aおよび第2ECU3bへ、輸送モードへの移行を指示する遷移指示を送信する(S104)。これに応じて、第1ECU3aの第1電源監視部35および第2ECU3bの第2電源監視部45は、接続情報を監視制御装置4へ送信する(S106)。次に、監視制御装置4の接続監視部25は、これらの接続情報を受信し、バックアップヒューズ5が装着されて全ての電源供給ライン7が接続状態となっていることを確認したのち(S108)、電気接続器であるバックアップヒューズ5の取り外しを指示する抜去指示(あるいは、電気接続器を非接続状態に設定するよう指示する非接続指示)を、HMI装置13から出力する(S110)。この抜去指示は、上述したように、「バックアップヒューズを取り外してください」等のテキストメッセージの出力、及び又は音声メッセージの出力であり得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
特定モード実行通知が出力されたことに応じて、作業者は、SSSW9をオフにする(P202)。第1ECU3a-1の第1車両制御部34は、SSSW9がオフされたことに応じて第2バッテリ10bについての停止処理を実行する(S210)。これにより、第2バッテリ10bは、電源供給を停止する(S212)。また、第2バッテリ10bからの電源供給が停止されたことに応じて、監視制御装置4は、省電力モードに移行し(S214)、第1ECU3aは、第2省電力モードへ移行する(S216、S218)。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】