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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048491
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/494 20060101AFI20240402BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240402BHJP
   A61F 13/505 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61F13/494 200
A61F13/49 315A
A61F13/494 110
A61F13/49 410
A61F13/505 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154430
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】二口 諒太
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】岩本 佳子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200CA02
3B200CA06
3B200CA09
3B200DA02
3B200DA21
(57)【要約】
【課題】アウターカバーとインナーパッドを有する吸収性物品であって、インナーパッドをアウターカバーに安定して設置することができ、インナーパッドの交換作業を容易に行うことができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】アウターカバー11とインナーパッド41を有する吸収性物品1であって、アウターカバー11は、前側胴部13と後側胴部14の肌面側に前側ポケット32と後側ポケット33が設けられており、インナーパッド41は、外面側に止着部材47が設けられ、止着部材47は、インナーパッド41を前後方向に4分割した中央2/4の領域に設けられ、その両側の前側1/4の領域と後側1/4の領域には設けられておらず、インナーパッド41の止着部材47は、アウターカバー11の股部15の肌面側に止着され、インナーパッド41の前後端部が前側ポケット32および/または後側ポケット33に挿入されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と幅方向を有し、アウターカバーと、前記アウターカバーの肌面側に載置されたインナーパッドを有する吸収性物品であって、
前記アウターカバーは、前後方向に前側胴部と後側胴部とそれらの間に位置する股部を有し、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成されており、前側胴部の肌面側に、前後方向の中央側に開口した前側ポケットが設けられ、後側胴部の肌面側に、前後方向の中央側に開口した後側ポケットが設けられており、
前記インナーパッドは、外面側に止着部材が設けられ、前記止着部材は、前記インナーパッドを前後方向に4分割した中央2/4の領域に設けられ、その両側の前側1/4の領域と後側1/4の領域には設けられておらず、
前記インナーパッドの前記止着部材は、前記アウターカバーの股部の肌面側に止着され、
前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配されて構成され、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記前側ポケットの開口縁は前記吸収性コアと重なる位置に配置され、前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記後側ポケットの開口縁は前記吸収性コアと重なる位置に配置され、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記前側ポケットの開口縁に沿って前側ポケット用弾性部材が設けられており、前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記後側ポケットの開口縁に沿って後側ポケット用弾性部材が設けられており、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記アウターカバーの股部の最も幅狭な部分は、前記アウターカバーの前後方向の中心よりも前方に位置する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配され、前記吸収性本体の肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップ(以下、「アウター立ち上がりフラップ」と称する)が設けられており、
前記インナーパッドは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配され、前記インナーパッドの肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップ(以下、「インナー立ち上がりフラップ」と称する)が設けられており、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記インナー立ち上がりフラップは、前記アウター立ち上がりフラップよりも幅方向の内方に位置する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記アウターカバーの股部の最も幅狭な部分において、前記インナー立ち上がりフラップの起立高さは、前記アウター立ち上がりフラップの起立高さよりも高い請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記インナーパッドは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コア(以下、「インナー吸収性コア」と称する)が配され、前記吸収性本体の肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられており、
前記インナー吸収性コアは、前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、中間部が前方部と後方部よりも幅狭に形成されており、
前記インナーパッドは、前記インナー吸収性コアが存在する前後方向の範囲において、幅方向の両側縁が前後方向に延びる直線状に形成され、前記中間部より幅方向の外方に、前記インナー吸収性コアが存在しないマージン部が形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配されて構成され、
前記外装部材には、股部を横断し、脚開口部の前側の縁に沿って延びる前側脚部弾性部材と、前記前側脚部弾性部材から前後方向に離隔し、股部を横断し、脚開口部の後側の縁に沿って延びる後側脚部弾性部材とが設けられており、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記インナーパッドの前記止着部材は、前記前側脚部弾性部材が股部を横断する部分、前記後側脚部弾性部材が股部を横断する部分、またはこれらの間の部分と重なる位置で、前記吸収性本体の肌面側に止着されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記前側脚部弾性部材と前記後側脚部弾性部材は、股部を横断する部分で断続的に設けられている請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記止着部材は、面ファスナーのフック部材である請求項1に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターカバーとインナーパッドを有する吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつやショーツ等の下着をアウターカバーとして用い、アウターカバーの肌面側に補助的な尿パッドであるインナーパッドを載置して使用する方法が知られている。このような使用方法によれば、着用者から排泄された尿等をインナーパッドがまず受けることとなるため、インナーパッドのみを適宜交換して、その外側に装着されアウターカバーを使用し続けることにより、吸収性物品にかかるトータルの使用コストを低減することが可能となる。また、インナーパッドのみを交換することで、インナーパッドの外側に装着されるアウターカバーを交換する場合と比べて、介護者等が交換作業を簡単に行えるようになる。
【0003】
インナーパッドを併用するアウターカバーとして、例えば特許文献1には、雄部材を有する面ファスナーが貼付された吸収性パッドを併用して着用する伸縮性のショーツであって、ショーツの前方および/または後方の内面に吸収性パッドの雄部材が係合されない平滑な領域が形成されているショーツが開示されている。特許文献2には、交換式の吸収性パッドを着脱自在としたパンツ型使い捨ておむつカバーであって、股部に前端部と後端部が固定されたパッド固定シートが設けられ、股部を横断して腰周りの両側部に延びるように湾曲状に弾性部材が配されているパンツ型使い捨ておむつカバーが開示されている。特許文献3には、トップシートとバックシートとこれら両シートの間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、吸収性本体が少なくとも一部で固定され、吸収性本体を着用者に当てて保持する外装部材とを有し、吸収性本体の長手方向両端部領域に、伸縮性を有する帯状シートがおむつのウェスト周り方向に配置され、帯状シートは、少なくとも吸収性本体の両側縁部の外側領域に位置する部分が外装部材に接着固定されているパンツ型使い捨ておむつが開示されている。特許文献4には、液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、およびこれらの間に介在された吸収体を有する内装体と、この内装体の外面に固定され、かつ当該内装体の前方及び後方まで延在する外装体とが、前身頃から後身頃にかけて備えられ、前身頃及び後身頃の内面それぞれに、前後方向中央側に開口するポケットが備えられた使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-24385号公報
【特許文献2】特開2007-167534号公報
【特許文献3】特開2007-29609号公報
【特許文献4】特開2011-206218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インナーパッドとアウターカバーを組み合わせて用いる吸収性物品では、着用者から排泄された尿等の吸収状況に応じて、インナーパッドを適宜交換して使用することが想定されているが、インナーパッドの交換作業を容易に行えることが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アウターカバーとインナーパッドを有する吸収性物品であって、インナーパッドをアウターカバーに安定して設置することができ、インナーパッドの交換作業を容易に行うことができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明は、以下の通りである。
[1] 前後方向と幅方向を有し、アウターカバーと、前記アウターカバーの肌面側に載置されたインナーパッドを有する吸収性物品であって、
前記アウターカバーは、前後方向に前側胴部と後側胴部とそれらの間に位置する股部を有し、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成されており、前側胴部の肌面側に、前後方向の中央側に開口した前側ポケットが設けられ、後側胴部の肌面側に、前後方向の中央側に開口した後側ポケットが設けられており、
前記インナーパッドは、外面側に止着部材が設けられ、前記止着部材は、前記インナーパッドを前後方向に4分割した中央2/4の領域に設けられ、その両側の前側1/4の領域と後側1/4の領域には設けられておらず、
前記インナーパッドの前記止着部材は、前記アウターカバーの股部の肌面側に止着され、
前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されていることを特徴とする吸収性物品。
[2] 前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配されて構成され、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記前側ポケットの開口縁は前記吸収性コアと重なる位置に配置され、前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記後側ポケットの開口縁は前記吸収性コアと重なる位置に配置され、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されている[1]に記載の吸収性物品。
[3] 前記前側ポケットの開口縁に沿って前側ポケット用弾性部材が設けられており、前記インナーパッドの前側端部が前記前側ポケットに挿入されている、および/または、前記後側ポケットの開口縁に沿って後側ポケット用弾性部材が設けられており、前記インナーパッドの後側端部が前記後側ポケットに挿入されている[1]または[2]に記載の吸収性物品。
[4] 前記アウターカバーの股部の最も幅狭な部分は、前記アウターカバーの前後方向の中心よりも前方に位置する[1]~[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
[5] 前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配され、前記吸収性本体の肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップ(以下、「アウター立ち上がりフラップ」と称する)が設けられており、
前記インナーパッドは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配され、前記インナーパッドの肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップ(以下、「インナー立ち上がりフラップ」と称する)が設けられており、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記インナー立ち上がりフラップは、前記アウター立ち上がりフラップよりも幅方向の内方に位置する[1]~[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
[6] 前記アウターカバーの股部の最も幅狭な部分において、前記インナー立ち上がりフラップの起立高さは、前記アウター立ち上がりフラップの起立高さよりも高い[5]に記載の吸収性物品。
[7] 前記インナーパッドは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コア(以下、「インナー吸収性コア」と称する)が配され、前記吸収性本体の肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられており、
前記インナー吸収性コアは、前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、中間部が前方部と後方部よりも幅狭に形成されており、
前記インナーパッドは、前記インナー吸収性コアが存在する前後方向の範囲において、幅方向の両側縁が前後方向に延びる直線状に形成され、前記中間部より幅方向の外方に、前記インナー吸収性コアが存在しないマージン部が形成されている[1]~[6]のいずれかに記載の吸収性物品。
[8] 前記アウターカバーは、少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材と、前記外装部材の肌面側に配置され、少なくとも股部に配置された吸収性本体とを有し、前記吸収性本体は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配されて構成され、
前記外装部材には、股部を横断し、脚開口部の前側の縁に沿って延びる前側脚部弾性部材と、前記前側脚部弾性部材から前後方向に離隔し、股部を横断し、脚開口部の後側の縁に沿って延びる後側脚部弾性部材とが設けられており、
前記インナーパッドは前記吸収性本体の肌面側に載置され、
前記インナーパッドの前記止着部材は、前記前側脚部弾性部材が股部を横断する部分、前記後側脚部弾性部材が股部を横断する部分、またはこれらの間の部分と重なる位置で、前記吸収性本体の肌面側に止着されている[1]~[7]のいずれかに記載の吸収性物品。
[9] 前記前側脚部弾性部材と前記後側脚部弾性部材は、股部を横断する部分で断続的に設けられている[8]に記載の吸収性物品。
[10] 前記止着部材は、面ファスナーのフック部材である[1]~[9]のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、インナーパッドの外面側の前後方向の中央領域に止着部材が設けられ、インナーパッドの前後端部には止着部材が設けられておらず、またアウターカバーの肌面側に前後方向の中央側に開口した前側ポケットと後側ポケットが設けられている。そのため、インナーパッドの前後端部をアウターカバーの前側ポケットおよび/または後側ポケットに挿入し、インナーパッドの外面側の前後方向の中央領域に設けられた止着部材をアウターカバーの股部の肌面側に止着することで、インナーパッドをアウターカバーの股部の肌面側に容易にセットすることができ、またインナーパッドをアウターカバーの股部に安定して設置することができる。インナーパッドを交換する際は、インナーパッドの前後端部をアウターカバーの前側ポケットおよび/または後側ポケットから容易に引き抜くことができ、インナーパッドをアウターカバーから簡単に取り外すことができる。そのため、インナーパッドの交換作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る吸収性物品の一例を示しており、吸収性物品の斜視図を表す。
図2図1に示した吸収性物品について、アウターカバーの前側胴部と後側胴部との接合を解いて展開した状態を肌面側から見た平面図を表す。
図3図2に示した吸収性物品のIII-III断面図を表す。
図4図2に示した吸収性物品のアウターカバーを肌面側から見た平面図を表す。
図5図4に示した吸収性物品のアウターカバーのV-V断面図を表す。
図6図4に示した吸収性物品のアウターカバーのVI-VI断面図を表す。
図7図4に示した吸収性物品のアウターカバーの外装部材を肌面側から見た平面図を表す。
図8図4に示した吸収性物品のアウターカバーの平面図において、ポケットを形成するカバーシートの外装部材への接合領域の形成例を表す。
図9図2に示した吸収性物品のインナーパッドを肌面側から見た平面図を表す。
図10図9に示した吸収性物品のインナーパッドを外面側から見た平面図を表す。
図11図9に示した吸収性物品のインナーパッドのXI-XI断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の吸収性物品は、アウターカバーと、アウターカバーの肌面側に載置されたインナーパッドを有するものである。吸収性物品を着用の際、アウターカバーは着用者の胴周りを覆うように装着され、インナーパッドはアウターカバーの股部の肌面側に載置して用いられる。インナーパッドはアウターカバーから取り外し可能に設けられ、インナーパッドは着用者から排泄された尿等の吸収状況に応じて、適宜交換することができる。本発明の吸収性物品は、このようにインナーパッドとアウターカバーの組み合わせにより構成されており、アウターカバーの前側胴部と後側胴部の肌面側に前後方向の中央側に開口したポケットが設けられ、インナーパッドの外面側に止着部材が設けられ、止着部材がインナーパッドの前後方向の中央領域のみに設けられ、インナーパッドの止着部材がアウターカバーの股部の肌面側に止着され、インナーパッドの前側端部と後側端部の少なくとも一方がアウターカバーのポケットに挿入されている。このようにインナーパッドとアウターカバーが構成されることにより、インナーパッドをアウターカバーの肌面側に載置して用いる際、インナーパッドをアウターカバーの股部の肌面側にセットしやすくなり、またインナーパッドをアウターカバーの股部の肌面側に安定して載置しやすくなる。一方、インナーパッドを交換する際は、インナーパッドをアウターカバーから簡単に取り外すことができる。
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る吸収性物品について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1図11には、本発明の実施の形態に係る吸収性物品の構成例を示した。図1は吸収性物品の斜視図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品について、アウターカバーの前側胴部と後側胴部との接合を解いて展開した状態であって、アウターカバーの肌面側にインナーパッドが載置された状態を肌面側から見た平面図を表し、図3は、図2に示した吸収性物品のIII-III断面図を表し、図4図8は、図2および図3に示した吸収性物品のアウターカバーの平面図および断面図を表し、図9図11は、図2および図3に示した吸収性物品のインナーパッドの平面図および断面図を表す。
【0011】
吸収性物品1は、アウターカバー11と、アウターカバー11の肌面側に載置されるインナーパッド41を有する。吸収性物品1は、前後方向yと幅方向xとを有する(図2を参照)。前後方向yとは、吸収性物品1を着用者が着用した際に、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。幅方向xとは、吸収性物品1と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、吸収性物品1を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、前後方向yと幅方向xから形成される面に対して垂直方向を厚み方向zとする。さらに、吸収性物品1を着用者が着用した際に、着用者の肌に向く側を肌面側とし、その反対側を外面側とする。
【0012】
吸収性物品1では、アウターカバー11の肌面側にインナーパッド41が載置される。アウターカバー11は、前後方向yに前側胴部13と後側胴部14とそれらの間に位置する股部15とを有し、パンツ形状に形成されている。アウターカバー11は、前側胴部13と後側胴部14が幅方向xの両側部のサイドシール部26で接合されることにより、ウェスト開口部16と一対の脚開口部17を有するパンツ形状に形成することができる。ウェスト開口部16は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部17は着用者の脚を通すための開口である。前側胴部13は、吸収性物品1を着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部14は、吸収性物品1を着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。アウターカバー11において、前側胴部13と後側胴部14はウェスト開口部16と脚開口部17の間に位置する部分に相当する。股部15は、前側胴部13と後側胴部14との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部15は一対の脚開口部17の間に位置し、幅方向xの両側で互いに接合されない。
【0013】
アウターカバー11を構成する材料は特に限定されない。アウターカバー11を構成する材料としては、不織布、織布、編布、プラスチックフィルム、およびこれらの積層体等が挙げられる。アウターカバー11の構成材料として不織布、織布、編布等の布材料を用いる場合、布材料を構成する繊維としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、パルプ、綿、絹等の天然繊維を用いることができる。アウターカバー11の構成材料としてプラスチックフィルムを用いる場合は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の合成樹脂を用いることができる。アウターカバー11は、液透過性であっても、液不透過性であってもよい。
【0014】
アウターカバー11は、吸収性コア23を備えることが好ましい。アウターカバー11が吸収性コア23を備えていれば、インナーパッド41から尿等が溢れても、溢れた尿等をアウターカバー11によって好適に吸収することができる。
【0015】
吸収性コア23を備えたアウターカバー11として、図4図7に示すように、アウターカバー11は、少なくとも前側胴部13と後側胴部14に配置された外装部材12と、外装部材12の肌面側に配置され、少なくとも股部15に配置された吸収性本体20とを有し、吸収性本体20は、トップシート21とバックシート22の間に吸収性コア23が配されて構成されることが好ましい。これにより、パンツ形状に形成され、吸収性コア23を備えたアウターカバー11を容易に形成することができる。
【0016】
吸収性本体20は、少なくとも股部15に存在すればよく、さらに前側胴部13および/または後側胴部14の少なくとも一部に延在していることが好ましい。より好ましくは、吸収性本体20は、股部15から前側胴部13の少なくとも一部および後側胴部14の少なくとも一部にかけて延在している。図面に示したアウターカバー11では、吸収性本体12は、パンツ形状に形成された外装部材12の股部15の肌面側に配されている。
【0017】
トップシート21は吸収性コア23の肌面側に配され、液透過性であることが好ましい。トップシート21は、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート21として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0018】
バックシート22は吸収性コア23の外面側に配され、液不透過性であることが好ましい。バックシート22は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0019】
トップシート21やバックシート22が不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0020】
吸収性コア23は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア23としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア23は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コア23に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0021】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コア23は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0022】
吸収性コア23は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0023】
吸収性コア23は、少なくとも股部15に存在すればよく、さらに前側胴部13の少なくとも一部および/または後側胴部14の少なくとも一部に延在していることが好ましい。
【0024】
吸収性コア23の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア23の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。図面では、吸収性コア23は略長方形に形成されている。
【0025】
吸収性本体20には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ24が設けられることが好ましい。立ち上がりフラップ24により、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ24は、液不透過性であることが好ましい。立ち上がりフラップ24には、立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)にフラップ弾性部材25が設けられることが好ましく、フラップ弾性部材25の収縮力により立ち上がりフラップ24の起立が促される。
【0026】
吸収性本体20の外面側には外装部材12が設けられ、外装部材12は少なくとも前側胴部13と後側胴部14に配置される。外装部材12は、前側胴部13と後側胴部14が幅方向xの両側部のサイドシール部26で互いに接合され、吸収性物品1の着用時、アウターカバー11の外装部材12が着用者の胴周りを覆う。サイドシール部26は、例えば、前側胴部13と後側胴部14の幅方向xの両側を溶着により互いに接合することにより形成される。
【0027】
実施形態の一つとして、外装部材12は、前側胴部13と後側胴部14のみに配置されてもよい。この場合、吸収性本体20は外装部材12の前側胴部13と後側胴部14とを繋ぐように設けられ、吸収性本体20は股部15から前側胴部13の少なくとも一部および後側胴部14の少なくとも一部に延在し、吸収性本体20の一部は股部15で吸収性物品1の外面側に露出する。別の実施形態として、外装部材12は、前側胴部13と股部15と後側胴部14に配置されてもよい。外装部材12は、例えば、前側胴部13と後側胴部14とこれらの間に位置する股部15とが連続して形成されてもよい。この場合、外装部材12は、前側胴部13と後側胴部14とをサイドシール部26で互いに接合することによりパンツ形状に形成することができ、吸収性本体20は、パンツ形状に形成された外装部材12の少なくとも股部15の肌面側に設けられる。あるいは、外装部材12は、股部15において前後方向yに分離し、前側胴部13から股部15にかけて延在する部分と、後側胴部14から股部15にかけて延在する部分とから構成され、吸収性本体20が両部分を繋ぐように設けられてもよい。図面に示したアウターカバー11では、外装部材12はパンツ形状に形成されている。
【0028】
外装部材12は、前側胴部13と後側胴部14において、吸収性本体20よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材12は、股部15においても、吸収性本体20よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材12はまた、吸収性本体20よりも前後方向yの外方すなわち前方および後方に延在するように設けられることが好ましい。
【0029】
外装部材12は、内側シート18と、内側シート18の外面側に配された外側シート19を有することが好ましい。吸収性本体20は内側シート18の肌面側に設けられることが好ましい。内側シート18と外側シート19は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシート21やバックシート22に使用可能なシート材料を用いることができる。図面では、内側シート18と外側シート19はそれぞれパンツ形状を有するように形成されているが、外装部材12がパンツ形状に形成される場合は、内側シート18と外側シート19の少なくとも一方がパンツ形状に形成されていればよい。例えば、内側シート18と外側シート19の一方が股部15において前後方向yに分離して設けられてもよい。
【0030】
外装部材12には、脚開口部17の縁に沿って脚部弾性部材27が設けられることが好ましい(図7を参照)。脚部弾性部材27は、例えば、股部15を横断し、脚開口部17の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材27Aと、股部15を横断し、脚開口部17の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材27Bとから構成される。前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bとにより、脚開口部17の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられ、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。図7では、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bが前後方向yに互いに離隔して設けられているが、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bは互いに部分的に接していてもよいし、交差していてもよい。外装部材12が内側シート18と外側シート19から構成される場合、脚部弾性部材27は内側シート18と外側シート19の間に配されることが好ましく、また、内側シート18および/または外側シート19に接着されることが好ましい。
【0031】
外装部材12の前側胴部13と後側胴部14には、幅方向xに延びる胴部弾性部材28が複数本設けられることが好ましい。詳細には、前側胴部13に幅方向xに延びる胴部弾性部材28Aが複数本設けられることが好ましく、後側胴部14に幅方向xに延びる胴部弾性部材28Bが複数本設けられることが好ましい。胴部弾性部材28は、ウェスト開口部16と脚開口部17の間に設けられる。胴部弾性部材28により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。なお、胴部弾性部材28のうち、ウェスト開口部16の縁に沿って前後方向yに狭い間隔で設けられる弾性部材を腰部弾性部材29として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図面では、腰部弾性部材29は胴部弾性部材28よりも前後方向yに狭い間隔で設けられている。
【0032】
胴部弾性部材28は、内側シート18と外側シート19の間に設けられることが好ましい。この場合、胴部弾性部材28は、内側シート18および/または外側シート19に接着されることが好ましい。腰部弾性部材29は、内側シート18と外側シート19の間に設けられてもよく、外側シート19が外装部材12のウェスト開口部16の縁で内側シート18側に折り返されて、折り返された外側シート19の間に腰部弾性部材29が設けられてもよい(図6を参照)。この場合、腰部弾性部材29は外側シート19に接着されることが好ましい。
【0033】
吸収性物品1に設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態で吸収性物品1に固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0034】
アウターカバー11には、前側胴部13の肌面側に、前後方向yの中央側に開口した前側ポケット32が設けられ、後側胴部14の肌面側に、前後方向yの中央側に開口した後側ポケット33が設けられる。アウターカバー11は、このように前側ポケット32と後側ポケット33が設けられることにより、アウターカバー11の肌面側にインナーパッド41を安定して設置することができる。インナーパッド41の前後端部を前側ポケット32と後側ポケット33の少なくとも一方に挿入することで、インナーパッド41をアウターカバー11の肌面側に安定して設置することができる。なお、前側ポケット32と後側ポケット33が開口する前後方向yの中央側とは、アウターカバー11の前後方向yの中心C1側を意味する。以下、本明細書において、前側ポケット32と後側ポケット33をまとめて「ポケット32,33」と称する場合がある。また、インナーパッド41の前後端部とは、インナーパッド41の前側端部および/または後側端部を意味する。なお、インナーパッド41の前後端部のうち、前側ポケット32に挿入されるのはインナーパッド41の前側端部となり、後側ポケット33に挿入されるのはインナーパッド41の後側端部となる。
【0035】
インナーパッド41はアウターカバー11の肌面側に載置され、図面に示すようにアウターカバー11が外装部材12と吸収性本体20から構成される場合は、インナーパッド41は吸収性本体20の肌面側に載置されることが好ましい。インナーパッド41は、アウターカバー11の少なくとも股部15に載置され、図2では、アウターカバー11の股部15から前側胴部13と後側胴部14に延在して設けられている。インナーパッド41は、着用者から排泄された尿等を受け、吸収するために設けられる。
【0036】
インナーパッド41の外面側には止着部材47が設けられる。止着部材47は、インナーパッド41をアウターカバー11の肌面側に固定するために設けられる。インナーパッド41の外面側に止着部材47が設けられることにより、インナーパッド41をアウターカバー11の肌面側に着脱可能に取り付けて使用することができる。
【0037】
止着部材47としては、面ファスナーのフック部材や粘着層を用いることができる。面ファスナーのフック部材は、基盤から複数の係合素子が突出して構成され、係合素子がインナーパッド41の外面側を向くようにインナーパッド41の外面側に取り付けられる。係合素子の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。粘着層は、粘着性を有する層がインナーパッド41の外面側を向くようにインナーパッド41の外面側に取り付けられる
【0038】
止着部材47は、インナーパッド41の前後方向yの中央2/4の領域に設けられ、その両側の前側1/4の領域と後側1/4の領域には設けられていない。インナーパッド41の前後方向yの中央2/4の領域は、インナーパッド41を前後方向yに4等分することにより区分された中央2つの領域を意味する。そして、インナーパッド41の止着部材47がアウターカバー11の股部15の肌面側に止着され、インナーパッド41の前側端部が前側ポケット32に挿入され、および/または、インナーパッド41の後側端部が後側ポケット33に挿入されている。図2では、インナーパッド41の前側端部が前側ポケット32に挿入されており、インナーパッド41の後側端部が後側ポケット33に挿入されている。
【0039】
吸収性物品1は、上記のようにインナーパッド41とアウターカバー11が組み合わされて構成されることにより、インナーパッド41をアウターカバー11の肌面側に載置して用いる際、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側にセットしやすくなり、またインナーパッド41をアウターカバー11の股部15に安定して設置しやすくなる。すなわち、インナーパッド41は、インナーパッド41の外面側の前後方向yの中央の領域に設けられた止着部材47がアウターカバー11の股部15の肌面側に止着され、インナーパッド41の前側端部と後側端部の少なくとも一方がアウターカバー11のポケット32,33に挿入されることにより、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15に安定して取り付けることができる。また、止着部材47はインナーパッド41の前後端部には設けられていないため、インナーパッド41の前後端部をアウターカバー11のポケット32,33に挿入することが容易になり、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側にセットすることが容易になる。また、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33から引き抜くことが容易になり、インナーパッド41を交換する際、インナーパッド41をアウターカバー11から簡単に取り外すことができる。
【0040】
上記の効果がより奏効されるようにする点から、止着部材47は、インナーパッド41の前後方向yの中央2/5の領域に設けられ、前側3/10の領域と後側3/10の領域には設けられないことが好ましく、インナーパッド41の前後方向yの中央1/3の領域に設けられ、前側1/3の領域と後側1/3の領域には設けられないことがより好ましい。また、インナーパッド41の前側端部と後側端部の両方がアウターカバー11のポケット32,33に挿入される、すなわち、インナーパッド41の前側端部が前側ポケット32に挿入され、後側端部が後側ポケット33に挿入されていることが好ましい。
【0041】
吸収性物品1は、インナーパッド41の外面側に止着部材47が設けられるが、アウターカバー11のポケット32,33の内部には止着部材が設けられないことが好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部をアウターカバー11のポケット32,33に挿入したり、ポケット32,33から引き抜くことが容易になる。アウターカバー11はまた、股部15の肌面側に止着部材が設けられないことが好ましく、例えば吸収性本体20の肌面側に止着部材が設けられないことが好ましい。
【0042】
インナーパッド41の形状は特に限定されない。インナーパッド41の形状としては、長方形(角丸長方形を含む)、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。なお、製造容易性の点から、インナーパッド41は略長方形に形成されることが好ましい。
【0043】
インナーパッド41は、幅方向xよりも前後方向yに長く形成されることが好ましく、例えば、インナーパッド41の前後方向yの長さは幅方向xの長さの2.0倍以上が好ましく、2.5倍以上がより好ましく、3.0倍以上がさらに好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.5倍以下がより好ましく、4.0倍以下がさらに好ましい。インナーパッド41の前後方向yの長さは、25cm以上が好ましく、30cm以上がより好ましく、35cm以上がさらに好ましく、また60cm以下が好ましく、55cm以下がより好ましく、50cm以下がさらに好ましい。インナーパッド41の前後方向yの長さは、アウターカバー11の前側ポケット32の前側端から後側ポケット33の後側端までの前後方向yの長さよりも短いことが好ましい。
【0044】
止着部材47の形状(平面形状)は特に限定されない。止着部材47の形状は、例えば、四角形、円形、楕円形、四角形以外の多角形、不定形等が挙げられる。止着部材47は、インナーパッド41の外面側に1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。
【0045】
止着部材47は、面ファスナーのフック部材であることが好ましい。止着部材47が面ファスナーのフック部材であれば、止着部材47がアウターカバー11の意図しない箇所に止着しても、止着部材47をアウターカバー11から脱着してインナーパッド41を適切な位置にセットし直して、改めて止着部材47をアウターカバー11の所望の箇所に止着させることができる。そのため、インナーパッド41をアウターカバー11の所望の位置に取り付けることが容易になる。なかでも、柱形の係合素子を有するフック部材が特に好ましく、これにより止着部材47がアウターカバー11の意図しない箇所に止着しても、止着部材47をアウターカバー11から容易に脱着することができる。
【0046】
インナーパッド41は吸収性コア44を備えることが好ましく、例えば図9図11に示すように、トップシート42とバックシート43の間に吸収性コア44が配されて構成されることが好ましい。インナーパッド41のトップシート42とバックシート43と吸収性コア44の詳細は、上記のアウターカバー11のトップシート21とバックシート22と吸収性コア23の説明が参照される。インナーパッド41には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ45が設けられてもよく、インナーパッド41の立ち上がりフラップ45は、上記のアウターカバー11の立ち上がりフラップ24の説明が参照される。立ち上がりフラップ45には、立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)にフラップ弾性部材46が設けられることが好ましく、フラップ弾性部材46の収縮力により立ち上がりフラップ45の起立が促される。
【0047】
インナーパッド41の幅(幅方向xの長さ)は、前側ポケット32の開口幅W1と後側ポケット33の開口幅W2よりも狭いことが好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部を前側ポケット32と後側ポケット33に挿入しやすくなる。
【0048】
アウターカバー11のポケット32,33は、外装部材12の肌面側にカバーシート30,31を設けることにより形成することができる。具体的には、前側ポケット32は、外装部材12の前側胴部13の肌面側に前側カバーシート30を設けることにより形成することができ、後側ポケット33は、外装部材12の後側胴部14の肌面側に後側カバーシート31を設けることにより形成することができる。これについて、図8を参照して詳しく説明する。図8には、図4に示したアウターカバー11について、前側カバーシート30と後側カバーシート31を外装部材12に接合した接合領域の形成例が示されている。図8では、前側カバーシート30と後側カバーシート31の外装部材12への接合領域がクロスハッチングで示されており、前側ポケット32と後側ポケット33の外縁が二点鎖線で示されている。また、理解を容易にするために、弾性部材は省略して示されている。
【0049】
外装部材12の前側胴部13の肌面側には前側カバーシート30が設けられ、前側カバーシート30は、外装部材12に接合された接合領域30Aと、外装部材12と吸収性本体20のいずれにも接合されない非接合領域30Bを有し、非接合領域30Bが前側カバーシート30の後側縁30Eから前方に延在することにより、前側カバーシート30の後側縁30Eを開口縁32Eとする前側ポケット32が形成されている。また、外装部材12の後側胴部14の肌面側に後側カバーシート31が設けられ、後側カバーシート31は、外装部材12に接合された接合領域31Aと、外装部材12と吸収性本体20のいずれにも接合されない非接合領域31Bを有し、非接合領域31Bが後側カバーシート31の前側縁31Eから後方に延在することにより、後側カバーシート31の前側縁31Eを開口縁33Eとする後側ポケット33が形成されている。このように前側カバーシート30と後側カバーシート31を設けることにより、前側ポケット32と後側ポケット33を簡便に形成することができる。なお図面には示されていないが、前側カバーシート30の接合領域30Aは、外装部材12とともに、または外装部材12の代わりに、吸収性本体20の少なくとも一部と接合するように形成されていてもよく、後側カバーシート31の接合領域31Aは、外装部材12とともに、または外装部材12の代わりに、吸収性本体20の少なくとも一部と接合するように形成されていてもよい。なお、本明細書において、前側カバーシート30と後側カバーシート31をまとめて「カバーシート30,31」と称する場合がある。
【0050】
前側カバーシート30の接合領域30Aと後側カバーシート31の接合領域31Aにおいて、カバーシート30,31と外装部材12および/または吸収性本体20との接合手段は特に限定されず、溶着(例えば、ヒートシールや超音波溶着)や接着剤等の公知の接合手段を採用することができる。簡便には、カバーシート30,31は接着剤により外装部材12および/または吸収性本体20の少なくとも一部に接合される。
【0051】
前側ポケット32は、前側カバーシート30の非接合領域30Bが、前側カバーシート30の後側縁30Eから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で前方に延在することにより形成される。前側ポケット32の開口部では前側カバーシート30の非接合領域30Bの幅方向xの両側に接合領域30Aが存在し、この両側の接合領域30Aの間に位置する非接合領域30Bの最も後側の部分が前側ポケット32の開口部となり、当該部分の幅方向xの長さが前側ポケット32の開口幅W1となる。前側ポケット32の前側端には接合領域30Aが存在し、開口縁32Eから前側ポケット32の前側端までが、前側ポケット32の奥行きの長さとなる。前側ポケット32を形成する非接合領域30Bは、前側カバーシート30の後側縁30Eから前方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0052】
後側ポケット33は、後側カバーシート31の非接合領域31Bが、後側カバーシート31の前側縁31Eから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で後方に延在することにより形成される。後側ポケット33の開口部では後側カバーシート31の非接合領域31Bの幅方向xの両側に接合領域31Aが存在し、この両側の接合領域31Aの間に位置する非接合領域31Bの最も前側の部分が後側ポケット33の開口部となり、当該部分の幅方向xの長さが後側ポケット33の開口幅W2となる。後側ポケット33の後側端には接合領域31Aが存在し、開口縁33Eから後側ポケット33の後側端までが、後側ポケット33の奥行きの長さとなる。後側ポケット33を形成する非接合領域31Bは、後側カバーシート31の前側縁31Eから後方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0053】
なお、図面には示されていないが、ポケット32,33は、外装部材12を構成するシート部材を肌面側に折り返して、この折り返し部分を上記に説明したカバーシート30,31として、ポケット32,33を形成することもできる。例えば、外装部材12を構成する外側シート19をウェスト開口部16の縁で肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を内側シート18および/または吸収性本体20に接合することにより上記の接合領域30A,31Aを形成し、他部を内側シート18と吸収性本体20のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域30B,31Bを形成することができる。あるいは、外装部材12を構成する内側シート18を肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を対向する内側シート18および/または吸収性本体20に接合することにより上記の接合領域30A,31Aを形成し、他部を対向する内側シート18と吸収性本体20のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域30B,31Bを形成することができる。
【0054】
前側ポケット32の開口縁32Eはアウターカバー11の吸収性コア23と重なる位置に配置され、インナーパッド41の前側端部が前側ポケット32に挿入されている、および/または、後側ポケット33の開口縁33Eはアウターカバー11の吸収性コア23と重なる位置に配置され、インナーパッド41の後側端部が後側ポケット33に挿入されていることが好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入しやすくなる。また、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入した際、インナーパッド41の前後端部が吸収性コア23によって支えられることにより、インナーパッド41の前後端部がポケット32,33から不用意に抜けにくくなる。そのため、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側に安定して設置することができる。より好ましくは、前側ポケット32の開口縁32Eと後側ポケット33の開口縁33Eの両方が吸収性コア23と重なる位置に配置されている。前側ポケット32は、吸収性コア23と重なる位置から吸収性コア23の前側端より前方に延在するように設けられることがより好ましい。後側ポケット33は、吸収性コア23と重なる位置から吸収性コア23の後側端より後方に延在するように設けられることがより好ましい。
【0055】
ポケット32,33や吸収性コア23の位置は、外装部材12の前側胴部13と後側胴部14のサイドシール部26での接合を解いて展開して、アウターカバー11を完全に広げた状態で規定する。例えば、アウターカバー11をこのように展開して、アウターカバー11に設けられる弾性部材を細かく切断したりして弾性部材の収縮力が発現しない状態とした上で、アウターカバー11を完全に広げて各位置を規定する。各図面では、アウターカバー11を完全に広げた状態の平面図や断面図等が示されている。
【0056】
前側ポケット32の開口幅W1および/または後側ポケット33の開口幅W2は、吸収性コア23の幅の70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。前側ポケット32の開口幅W1と後側ポケット33の開口幅W2は、吸収性コア23の幅よりも広くてもよい。一方、前側ポケット32の開口幅W1と後側ポケット33の開口幅W2の上限は、吸収性コア23の幅の200%以下であることが好ましく、180%以下であることがより好ましく、150%以下であることがさらに好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入しやすくなるとともに、インナーパッド41をポケット32,33に挿入した状態で安定して保持しやすくなる。なお、ここで説明した吸収性コア23の幅とは、前側ポケット32の開口部または後側ポケット33の開口部が吸収性コア23と重なる位置にある場合は、前側ポケット32の開口部または後側ポケット33の開口部と重なる位置における吸収性コア23の幅方向xの長さ(詳細には、前後方向yに対して前側ポケット32の開口部または後側ポケット33の開口部が吸収性コア23と重なる位置での、吸収性コア23の幅方向xの長さ)を意味し、前側ポケット32の開口部が吸収性コア23の前側端よりも前側に位置する場合は、吸収性コア23の前側端の幅方向xの長さを意味し、後側ポケット33の開口部が吸収性コア23の後側端よりも後側に位置する場合は、吸収性コア23の後側端の幅方向xの長さを意味する。
【0057】
前側ポケット32の開口幅W1および/または後側ポケット33の開口幅W2は、吸収性コア23の幅より広いことが好ましく、吸収性本体20の幅より広いことがより好ましい。また、前側ポケット32の開口縁32Eが吸収性コア23と重なる位置に形成され、前側ポケット32の開口幅W1が、前側ポケット32の開口部と重なる位置における吸収性コア23の幅より広いことが好ましく、前側ポケット32の開口部と重なる位置における吸収性本体20の幅より広いことがより好ましい。同様に、後側ポケット33の開口縁33Eが吸収性コア23と重なる位置に形成され、後側ポケット33の開口幅W2が、後側ポケット33の開口部と重なる位置における吸収性コア23の幅より広いことが好ましく、後側ポケット33の開口部と重なる位置における吸収性本体20の幅より広いことがより好ましい。
【0058】
前側カバーシート30は、少なくとも前側胴部13に設けられ、前側胴部13から股部15にかけて設けられてもよい。従って、前側ポケット32の開口縁32Eは、前側胴部13に位置してもよく、股部15に位置してもよい。前側カバーシート30は、前側胴部13の全体に設けられてもよく、前側胴部13の一部のみに設けられてもよい。前側カバーシート30は、幅方向xに対しては、吸収性本体20よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材12の前側胴部13と幅方向xの長さが略同一に形成されることが好ましい。
【0059】
後側カバーシート31は、少なくとも後側胴部14に設けられ、後側胴部14から股部15にかけて設けられてもよい。従って、後側ポケット33の開口縁33Eは、後側胴部14に位置してもよく、股部15に位置してもよい。後側カバーシート31は、後側胴部14の全体に設けられてもよく、後側胴部14の一部のみに設けられてもよい。後側カバーシート31は、幅方向xに対しては、吸収性本体20よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材12の後側胴部14と幅方向xの長さが略同一に形成されることがより好ましい。
【0060】
前側カバーシート30および/または後側カバーシート31は、吸収性本体20に接合されないことが好ましく、前側カバーシート30と後側カバーシート31の両方が、吸収性本体20に接合されないことがより好ましい。従って、前側カバーシート30の接合領域30Aは、前側カバーシート30と外装部材12とを接合するように形成されることが好ましく、後側カバーシート31の接合領域31Aは、後側カバーシート31と外装部材12とを接合するように形成されることが好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入しやすくなる。
【0061】
カバーシート30,31は液透過性(親水性)であっても液不透過性であってもよく、トップシート21やバックシート22に使用可能なシート材料を用いることができる。例えば、カバーシート30,31が液透過性であれば、尿等がカバーシート30,31上に排泄されても尿等がカバーシート30,31を透過することができ、インナーパッド41のより広い部分を尿等の吸収に寄与させることができる。この場合、前側カバーシート30と後側カバーシート31の両方が液透過性であってもよく、一方のみが液透過性であってもよいが、少なくとも前側カバーシート30が液透過性であることが好ましい。一方、カバーシート30,31が液不透過性であれば、カバーシート30,31によって尿等の腹側または背側からの漏れを防ぐことができる。
【0062】
前側ポケット32には、前側ポケット32の開口縁32Eに沿って前側ポケット用弾性部材34が設けられることが好ましい。また、後側ポケット33には、後側ポケット33の開口縁33Eに沿って後側ポケット用弾性部材35が設けられることが好ましい。前側ポケット用弾性部材34は、前側カバーシート30の後側縁30Eに沿って、少なくとも前側ポケット32を形成する非接合領域30Bと重なって、前側カバーシート30に設けられることが好ましい。前側ポケット用弾性部材34はまた、伸張状態で前側カバーシート30に固定されることが好ましい。後側ポケット用弾性部材35は、後側カバーシート31の前側縁31Eに沿って、少なくとも後側ポケット33を形成する非接合領域31Bと重なって、後側カバーシート31に設けられることが好ましい。後側ポケット用弾性部材35はまた、伸張状態で後側カバーシート31に固定されることが好ましい。前側ポケット用弾性部材34と後側ポケット用弾性部材35を設けることにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入した際、前側ポケット用弾性部材34と後側ポケット用弾性部材35によってインナーパッド41の前後端部が押さえられる。そのため、インナーパッド41の前後端部がポケット32,33から抜けにくくなり、インナーパッド41を安定してアウターカバー11の肌面側に設置することができる。従って、アウターカバー11は、前側ポケット32の開口縁32Eに沿って前側ポケット用弾性部材34が設けられており、インナーパッド41の前側端部が前側ポケット32に挿入されている、および/または、後側ポケット33の開口縁33Eに沿って後側ポケット用弾性部材35が設けられており、インナーパッド41の後側端部が後側ポケット33に挿入されていることが好ましい。より好ましくは、アウターカバー11は、前側ポケット32の開口縁32Eと後側ポケット33の開口縁33Eに沿ってそれぞれ前側ポケット用弾性部材34と後側ポケット用弾性部材35が設けられており、インナーパッド41の前側端部と後側端部がそれぞれ前側ポケット32と後側ポケット33に挿入されている。以下、前側ポケット用弾性部材34と後側ポケット用弾性部材35をまとめて「ポケット用弾性部材34,35」と称する場合がある。
【0063】
前側ポケット用弾性部材34は、前側ポケット32の開口幅W1よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。すなわち、前側ポケット用弾性部材34は、幅方向xに対して、前側ポケット32の開口部の両端よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。後側ポケット用弾性部材35は、後側ポケット33の開口幅W2よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。すなわち、後側ポケット用弾性部材35は、幅方向xに対して、後側ポケット33の開口部の両端よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。このようにポケット用弾性部材34,35が設けられることにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入した際、インナーパッド41の前後端部が幅方向xの全体にわたってポケット用弾性部材34,35によって押さえられ、インナーパッド41の前後端部がポケット32,33から不用意に抜けにくくなる。
【0064】
前側ポケット用弾性部材34の数は、1本であっても複数本であってもよい。後側ポケット用弾性部材35の数は、1本であっても複数本であってもよい。なお、前側ポケット用弾性部材34は、前側ポケット32の開口縁32Eに沿って複数本設けられることが好ましく、後側ポケット用弾性部材35は、後側ポケット33の開口縁33Eに沿って複数本設けられることが好ましい。このように前側ポケット用弾性部材34と後側ポケット用弾性部材35が複数本設けられていれば、複数本の前側ポケット用弾性部材34または複数本の後側ポケット用弾性部材35によってインナーパッド41の前後端部が面状に押さえられ、インナーパッド41の前後端部がより安定してポケット32,33内に保持されるようになる。
【0065】
ポケット用弾性部材34,35は、吸収性コア23と重なって配置されることが好ましい。これにより、インナーパッド41の前後端部をポケット32,33に挿入した際、インナーパッド41の前後端部が吸収性コア23とポケット用弾性部材34,35の間に挟まれて、安定してポケット32,33内に保持されやすくなる。ポケット用弾性部材34,35が複数本設けられる場合は、1本以上のポケット用弾性部材34,35が吸収性コア23と重なって配置されることが好ましい。
【0066】
前側ポケット用弾性部材34は、例えば、前側ポケット32において、開口縁32E側の1/2の領域に配置され、前側ポケット32の奥側1/2の領域に配置されないことが好ましい。これにより、インナーパッド41の前端部を前側ポケット32に挿入する際、インナーパッド41の前端部を前側ポケット32の奥まで差し込むことが容易になる。より好ましくは、前側ポケット用弾性部材34は、前側ポケット32において、開口縁32E側の1/3の領域に配置され、前側ポケット32の奥側2/3の領域に配置されない。
【0067】
後側ポケット用弾性部材35は、例えば、後側ポケット33において、開口縁33E側の1/2の領域に配置され、後側ポケット33の奥側1/2の領域に配置されないことが好ましい。これにより、インナーパッド41の後端部を後側ポケット33に挿入する際、インナーパッド41の後端部を後側ポケット33の奥まで差し込むことが容易になる。より好ましくは、後側ポケット用弾性部材35は、後側ポケット33において、開口縁33E側の1/3の領域に配置され、後側ポケット33の奥側2/3の領域に配置されない。
【0068】
図4に示すように、アウターカバー11の股部15の最も幅狭な部分C2は、アウターカバー11の前後方向yの中心C1よりも前方に位置することが好ましい。このようにアウターカバー11が構成されていれば、着用者が脚を前後に動かしやすくなる。また、アウターカバー11の股部15の肌面側に載置されたインナーパッド41が、着用者の脚の前後の動きによって左右に振られにくくなる。そのため、インナーパッド41の前後端部がポケット33,34から不用意に抜けにくくなり、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側に安定して設置することができる。
【0069】
アウターカバー11は、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bが股部15を横断する部分において前後方向yに互いに離隔して設けられ、インナーパッド41の止着部材47は、図7に符号36で示される前後方向yの範囲、すなわち前側脚部弾性部材27Aが股部15を横断する部分、後側脚部弾性部材27Bが股部15を横断する部分、またはこれらの間の部分と重なる位置で、吸収性本体20の肌面側に止着されていることが好ましい。このようにインナーパッド41の止着部材47を吸収性本体20の肌面側に止着することにより、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側に安定して設置することができる。アウターカバー11では、前側脚部弾性部材27Aが股部15を横断する部分、後側脚部弾性部材27Bが股部15を横断する部分、またはこれらの間の部分は、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bの収縮力による前後方向yの位置変動の影響を受けにくく、前後方向yの位置が比較的安定している。そのため、このような部分と重なる位置にインナーパッド41の止着部材47を止着させることにより、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側に安定して設置することができる。
【0070】
前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bは、股部15を横断する部分で断続的に設けられていることが好ましい。この場合、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bは、股部15を横断する部分で収縮力が失われる。そのため、インナーパッド41の止着部材47を、前側脚部弾性部材27Aが股部15を横断する部分、後側脚部弾性部材27Bが股部15を横断する部分、またはこれらの間の部分と重なる位置で吸収性本体20に止着した際、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側により安定して設置することができる。
【0071】
前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bを股部15を横断する部分で断続的に設ける場合、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bを外装部材12(具体的には内側シート18および/または外側シート19)に接着固定した後、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bをカッター等で切断すればよい。このようにすることで、前側脚部弾性部材27Aと後側脚部弾性部材27Bを製造上簡単に断続的に設けることができる。
【0072】
図2および図3に示すように、アウターカバー11は立ち上がりフラップ24(以下、「アウター立ち上がりフラップ」と称する)を備えるとともに、インナーパッド41も立ち上がりフラップ45(以下、「インナー立ち上がりフラップ」と称する)を備えることが好ましい。そして、インナーパッド41がアウターカバー11の股部15の肌面側に載置された状態で、インナー立ち上がりフラップ45はアウター立ち上がりフラップ24よりも幅方向xの内方に位置することが好ましい。これにより、インナーパッド41上に尿等が排泄された際に、インナー立ち上がりフラップ45とアウター立ち上がりフラップ24の両方によって、尿等の横漏れを効果的に防ぐことができる。
【0073】
上記の場合、アウターカバー11の股部15の最も幅狭な部分C2において、インナー立ち上がりフラップ45の起立高さがアウター立ち上がりフラップ24の起立高さよりも高くなることが好ましい。これにより、インナーパッド41上に尿等が排泄された際に、尿等がインナー立ち上がりフラップ45を越えてアウターカバー11上に流入することが起こりにくくなり、尿等をインナーパッド41上に留めることが容易になる。そのため、アウターカバー11を使い回しして、インナーパッド41のみを交換する使い方とすることが容易になる。
【0074】
インナーパッド41は、吸収性コア44が砂時計形を有し、インナーパッド41の幅方向xの両側縁が、吸収性コア44が存在する前後方向yの範囲において、前後方向yに延びる直線状に形成されていることが好ましい(図9および図10を参照)。このようにインナーパッド41が形成されることにより、インナーパッド41の立ち上がりフラップ45の起立高さをより高く形成することができる。
【0075】
砂時計形を有する吸収性コア44として、吸収性コア44は、前後方向yの前方部44Aと後方部44Cとこれらの間の中間部44Bとを有し、中間部44Bが前方部44Aと後方部44Cよりも幅狭に形成されていることが好ましい。吸収性コア44は、前方部44Aおよび/または後方部44Cにおいて最も幅広に形成される。前方部44Aの幅方向xの長さと後方部44Cの幅方向xの長さは同じであっても異なっていてもよい。
【0076】
吸収性コア44において、前方部44Aは、吸収性コア44の前側半分の最も幅広の部分を含み、当該部分から前側の部分として規定することができ、後方部44Cは、吸収性コア44の後側半分の最も幅広の部分を含み、当該部分から後側の部分として規定することができる。吸収性コア44の中間部44Bは、吸収性コア44の前側半分の最も幅広の部分よりも後側かつ吸収性コア44の後側半分の最も幅広の部分よりも前側の部分として規定することができる。
【0077】
吸収性コア44は、前方部44Aと後方部44Cにおいて、幅方向xの長さが一定の部分を有することが好ましい。従って、吸収性コア44の外縁は、前方部44Aと後方部44Cにおいて、前後方向yに延びる直線部を有することが好ましい。吸収性コア44は、中間部44Bにおいて、幅方向xの長さが一定の部分を有していてもよいが、中間部44Bの前後方向yの一方側において、前方部44Aに向かって幅が漸増する部分を有することが好ましく、中間部44Bの前後方向yの他方側において、後方部44Cに向かって幅が漸増する部分を有することが好ましい。
【0078】
インナーパッド41は、吸収性コア44が存在する前後方向yの範囲において、幅方向xの両側縁が前後方向yに延びる直線状に形成され、吸収性コア44の中間部44Bより幅方向xの外方に、吸収性コア44が存在しないマージン部48を有することが好ましい。この場合、マージン部48はトップシート42および/またはバックシート43から構成されることとなる。このようにインナーパッド41が形成されていれば、吸収性物品1の使用の際、インナーパッド41のマージン部48が着用者の肌に向かって折れ曲がり、インナー立ち上がりフラップ45の起立高さをより高く形成することができる。なお、マージン部48は、吸収性コア44の前方部44Aと後方部44Cの幅方向xの外方には、実質的に形成されないことが好ましい。
【0079】
インナーパッド41は、トップシート42またはバックシート43が吸収性コア44の前方部44Aと後方部44Cの幅方向xの両側縁に沿って折り返されていることが好ましい。具体的には、トップシート42の幅方向xの両側部が、吸収性コア44の外面側に向かって、吸収性コア44の前方部44Aと後方部44Cの幅方向xの両側縁に沿って折り返される、または、バックシート43の幅方向xの両側部が、吸収性コア44の肌面側に向かって、吸収性コア44の前方部44Aと後方部44Cの幅方向xの両側縁に沿って折り返されることが好ましい。これにより、インナーパッド41の幅方向xの両側縁を前後方向yに延びる直線状に簡単に形成することができる。また、インナーパッド41の幅方向xの両端縁に着用者の両脚が触れても、着用者が違和感や痛みを覚えにくくなる。図11では、バックシート43の幅方向xの両側部が吸収性コア44の肌面側に折り返されており、折り返されたバックシート43の幅方向xの両側部にトップシート42が接合されている。
【0080】
インナーパッド41の吸収性コア44が砂時計形に形成される場合、止着部材47は吸収性コア44の中間部44Bと重なる位置に設けられることが好ましい。このような位置に止着部材47が設けられることにより、インナーパッド41をアウターカバー11の股部15の肌面側に安定して設置することができる。
【符号の説明】
【0081】
1:吸収性物品
11:アウターカバー
12:外装部材
13:前側胴部
14:後側胴部
15:股部
20:吸収性本体
21:トップシート
22:バックシート
23:吸収性コア
24:立ち上がりフラップ(アウター立ち上がりフラップ)
26:サイドシール部
27:脚部弾性部材、27A:前側脚部弾性部材、27B:後側脚部弾性部材
28:胴部弾性部材、28A:前側胴部弾性部材、28B:後側胴部弾性部材
29:腰部弾性部材
30:前側カバーシート、30A:接合領域、30B:非接合領域、30E:後側縁
31:後側カバーシート、31A:接合領域、31B:非接合領域、31E:前側縁
32:前側ポケット、32E:開口縁
33:後側ポケット、33E:開口縁
34:前側ポケット用弾性部材
35:後側ポケット用弾性部材
41:インナーパッド
42:トップシート
43:バックシート
44:吸収性コア
45:立ち上がりフラップ(インナー立ち上がりフラップ)
47:止着部材
48:マージン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11