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特開2024-48507コンクリート構造物の搬送装置及び搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048507
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】コンクリート構造物の搬送装置及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/02 20060101AFI20240402BHJP
   E03F 3/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E02B5/02 H
E03F3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154454
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】594005304
【氏名又は名称】新和コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 堅司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 直
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 友也
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA06
2D063BA32
(57)【要約】
【課題】従来のコンクリートブロックの設置装置や設置方法と比較して施工性を向上させたコンクリート構造物の搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】本発明の台車1は、載置台部23と、走行用車輪11と、ガイドローラ32と、を備え、ガイドローラ32は載置台部23の左右両側に配設され、ガイドローラ32のシャフト33が垂直方向に延設されていることにより、コンクリート構造物を載置台部23に載置した台車1の蛇行走行を防止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台部と、
走行用車輪と、
ガイドローラと、を備え、
前記ガイドローラは前記載置台部の左右両側に配設され、
前記ガイドローラの回転軸が垂直方向に延設されていることを特徴とするコンクリート構造物の搬送装置。
【請求項2】
前記ガイドローラの外周面部が前記コンクリート構造物を載置する被載置体に当接する高さに前記ガイドローラが配設されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の搬送装置。
【請求項3】
前記走行用車輪を有するキャスタユニットと、
前記ガイドローラを有するガイドローラユニットと、を備え、
前記キャスタユニットと前記ガイドローラユニットが一体となった車輪ユニットが、前記載置台部の四隅部分に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の搬送装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のコンクリート構造物の搬送装置を使用したコンクリート構造物の搬送方法であって、
前記コンクリート構造物の搬送装置を左右の被載置体の間に配置する工程と、
前記コンクリート構造物を前記載置台部に載置する工程と、
前記ガイドローラが前記被載置体に沿うように前記コンクリート構造物の搬送装置を移動させる工程と、を有することを特徴とするコンクリート構造物の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスカルバート等のコンクリート構造物を設置する搬送装置及び当該搬送装置を用いたコンクリート構造物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボックスカルバートや大型水路等のコンクリート構造物は、クレーンにより吊り上げて設置するのが一般的であるが、橋の下等に設置する場合には、クレーンで直接設置することができない場合がある。そのような場合には、設置するコンクリート構造物を設置場所まで水平方向に移動、すなわち横引きする必要がある。
【0003】
コンクリート構造物を横引きする技術として特許文献1に記載されたコンクリートブロックの搬送方法が知られている。特許文献1に記載されたコンクリートブロックの設置方法は、まず、基礎コンクリート(19)の所定位置にガイドレール(21)を設置する。そして、ガイドレール(21)の第1垂直部材(28)と第2垂直部材(30)の間に形成された水平部材(27)の上面全面にベアリング用の鋼球(23)を配置し、この鋼球(23)の上に平板(22)を載置する。そして、平板(22)にボックスカルバート(16)を載置して水平方向に移動させるというものである。
【0004】
また、他の横引き方法として、エコンローラー工法が知られている。このエコンローラー工法は、図13に示すように、横引き台車にコンクリート製品を載せ、台車を移動させて設置場所まで搬送し、据え付けるものである。設置場所まで運ばれたコンクリート製品は、ジャッキ(図示せず)により持ち上げられ、横引き台車をコンクリート製品の下方から引き出した後、基礎コンクリートに上部が突出するように埋設された2本の埋設レールに載置される。また、2本の埋設レールの間の中間部分には、横引き台車の蛇行走行を防止するガイドレールが基礎コンクリートに固定されている。このガイドレールは、埋設レールよりも上方に突出しており、コンクリート製品を埋設レールに載置する際に邪魔になるため、コンクリート製品を設置場所まで移動させた後に除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-211549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたコンクリートブロックの設置方法では、多数の鋼球(23)を使用するため、鋼球(23)の配置作業が煩雑であるという問題があった。また、ボックスカルバート(16)を設置した後は、ボックスカルバート(16)と基礎コンクリート(19)の間にモルタルを流し込み、ボックスカルバート(16)が基礎コンクリート(19)に固定されるが、平板(22)や鋼球(23)をモルタルに埋め込まれるため、これらの部材を再利用できないという問題があった。
【0007】
上述のエコンローラー工法では、ガイドレールの取り付け作業と除去作業が発生するが、特に、コンクリート製品を複数並べて配置する場合には、これらの作業が非常に煩雑であり、作業の労力と時間を要するという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、従来の設置装置や設置方法と比較して施工性を向上させたコンクリート構造物の搬送装置及び搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンクリート構造物の搬送装置は、載置台部と、走行用車輪と、ガイドローラと、を備え、前記ガイドローラは前記載置台部の左右両側に配設され、前記ガイドローラの回転軸が垂直方向に延設されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のコンクリート構造物の搬送方法は、コンクリート構造物の搬送装置を使用したコンクリート構造物の搬送方法であって、前記コンクリート構造物の搬送装置を左右の被載置体の間に配置する工程と、前記コンクリート構造物を前記載置台部に載置する工程と、前記ガイドローラが前記被載置体に沿うように前記コンクリート構造物の搬送装置を移動させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンクリート構造物の搬送装置によれば、従来の工法のように、鋼球の配置作業やガイドレールの着脱作業が不要であり、平板や鋼球といった再利用できない部材を使用することなくコンクリート構造物を搬送することができる。
【0012】
本発明のコンクリート構造物の搬送方法によれば、従来の工法のように、基礎コンクリートにガイドレールを取り付けることなく搬送装置の蛇行走行を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の台車の平面図である。
図2】本発明の一実施形態の車輪ユニット及びその周辺の拡大平面図である。
図3】本発明の一実施形態の車輪ユニット及びその周辺の拡大正面図である。
図4】本発明の一実施形態の台車を凹状空間に配置した状態を示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態の台車にボックスカルバートを載置する工程を示す左側面図である。
図6】本発明の一実施形態の台車にボックスカルバートを載置した状態を示す右側面図である。
図7】本発明の一実施形態のボックスカルバートを載置した台車を移動させる工程を示す右側面図である。
図8】本発明の一実施形態のボックスカルバートをジャッキアップし、台車を引き出す工程を示す右側面図である。
図9】本発明の一実施形態のボックスカルバートをジャッキダウンし、アングルに載置する工程を示す右側面図である。
図10】本発明の一実施形態のボックスカルバートにジャッキアームを固定した状態を示す右側面図である。
図11】本発明の一実施形態のボックスカルバートをジャッキアームを用いてジャッキアップし、台車を引き出す工程を示す右側面図である。
図12】本発明の一実施形態のボックスカルバートの底版部に形成した貫通孔からグラウト材を注入した状態を示す正面図である。
図13】従来技術であるエコンローラー工法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明における好ましいコンクリート構造物の搬送装置及び搬送方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0015】
図1図12は、本発明の一実施形態を示しており、図1に示すように、コンクリート構造物の搬送装置である台車1は、4個の車輪ユニット2A、2B、2C、2Dと、各車輪ユニット2A、2B、2C、2Dに2個ずつ取り付けられたガイドローラユニット3と、車輪ユニット2Aと車輪ユニット2Bを連結する前側基台部4と、車輪ユニット2Cと車輪ユニット2Dを連結する後側基台部5と、車輪ユニット2Aと車輪ユニット2Cを連結する左側基台部6と、車輪ユニット2Bと車輪ユニット2Dを連結する右側基台部7と、前側基台部4と後側基台部5とを連結する中央基台部8と、を有している。
【0016】
図2及び図3に示すように、車輪ユニット2Bは、4個のキャスタユニット9と、4個のキャスタユニット9を取り付けるユニット基部10を有している。キャスタユニット9は、MCナイロン等の合成樹脂で形成された走行用車輪11と、走行用車輪11を軸支するシャフト12と、シャフト12を保持するフォーク13と、フォーク13をユニット基部10に取り付ける取付板14と、を有している。ユニット基部10は、上面部15が平坦に形成された上板部16と、上板部16の左右両端部から下方に延設された左壁部17と右壁部18を有している。キャスタユニット9は、前後左右に2列ずつ配設されている。車輪ユニット2A、2C、2Dは、車輪ユニット2Bと同一形状であるため説明を省略する。本実施形態では、1個の車輪ユニット2A、2B、2C、2Dにキャスタユニット9を4個使用しているが、耐荷重に応じて使用するキャスタユニット9の数を増減させてもよい。
【0017】
図1に示すように、車輪ユニット2Aの右壁部18には、車輪ユニット2Aを前側基台部4に連結する横側固定部19が設けられている。また、車輪ユニット2Aの後端部20には、車輪ユニット2Aを左側基台部6に連結する縦側固定部21が設けられている。
【0018】
車輪ユニット2Bの左壁部17には、車輪ユニット2Bを前側基台部4に連結する横側固定部19が設けられている。また、車輪ユニット2Bの後端部20には、車輪ユニット2Aを右側基台部7に連結する縦側固定部21が設けられている。
【0019】
車輪ユニット2Cの右壁部18には、車輪ユニット2Cを後側基台部5に連結する横側固定部19が設けられている。また、車輪ユニット2Cの前端部22には、車輪ユニット2Cを左側基台部6に連結する縦側固定部21が設けられている。
【0020】
車輪ユニット2Dの左壁部17には、車輪ユニット2Dを後側基台部5に連結する横側固定部19が設けられている。また、車輪ユニット2Dの前端部22には、車輪ユニット2Dを右側基台部7に連結する縦側固定部21が設けられている。
【0021】
前側のユニットである車輪ユニット2Aと車輪ユニット2Bが前側基台部4により連結され、後側のユニットである車輪ユニット2Cと車輪ユニット2Dが後側基台部5により連結され、左側のユニットである車輪ユニット2Aと車輪ユニット2Cが左側基台部6により連結され、右側のユニットである車輪ユニット2Bと車輪ユニット2Dが右側基台部7により連結されることで、矩形枠状の載置台部23が形成される。中央基台部8も載置台部23を構成し、載置台部23を補強している。前側基台部4、後側基台部5、左側基台部6、右側基台部7、中央基台部8は、強度を確保するため金属材により形成されている。
【0022】
図3に示すように、上板部16の上面部15には、ゴム等の合成樹脂により形成された受け部材24が取り付けられている。受け部材24も載置台部23の一部である。受け部材24は、前側基台部4の上面25、後側基台部5の上面26、左側基台部6の上面27、右側基台部7の上面28、中央基台部8の上面29よりも上方に突出している。後述するボックスカルバート38は、この受け部材24に載置され、前側基台部4、後側基台部5、左側基台部6、右側基台部7、中央基台部8と接触しないようになっている。これは、ボックスカルバート38が金属材で形成された前側基台部4、後側基台部5、左側基台部6、右側基台部7、中央基台部8と接触して損傷することを防止するためである。
【0023】
図1及び図3に示すように、車輪ユニット2Aの左壁部17と、車輪ユニット2Bの右壁部18と、車輪ユニット2Cの左壁部17と、車輪ユニット2Dの右壁部18には、それぞれ2個のガイドローラユニット3が締結部材であるボルト30及びナット31により取り付けられている。本実施形態では、ガイドローラユニット3は前後に並んで2個設けられているが、1個又は3個以上設けてもよい。
【0024】
ガイドローラユニット3は、MCナイロン等の合成樹脂で形成されたガイドローラ32と、ガイドローラ32を軸支する回転軸であるシャフト33と、シャフト33を保持するフォーク34と、車輪ユニット2Aの左壁部17、車輪ユニット2Bの右壁部18、車輪ユニット2Cの左壁部17、車輪ユニット2Dの右壁部18に当接する当接板35と、を有している。ガイドローラ32は、その外周面部36を後述するアングル43に当接可能とするため、シャフト33が垂直方向に延設され、水平状態となるように配設されている。ガイドローラユニット3は、車輪ユニット2A、2B、2C、2Dに取り付けたときに、後述する基礎コンクリート42との間に隙間を有する。すなわち、ガイドローラユニット3は、基礎コンクリート42とは当接しないようになっている。
【0025】
前側基台部4と後側基台部5には、引掛部であるアイボルト37がそれぞれ2個取り付けられている。このアイボルト37は、後述する引出具50を係止するものである。
【0026】
ここで、台車1を使用してコンクリート構造物であるボックスカルバート38を据え付け位置まで搬送する方法について説明する。図4に示すように、本実施形態は、地面Gと土留壁39に囲まれた凹状空間Sにボックスカルバート38を据え付けるものである。なお、左右の土留壁39は切梁40により支持されている。事前に地面Gに砕石等の基礎材41を施工し、その上に基礎コンクリート42を打設する。基礎コンクリート42には、被載置体であるアングル43(山形鋼)を略平行に埋設する。アングル43の縦片部44の上側部分は、基礎コンクリート42から約30mm突出させる。
【0027】
先ず、基礎コンクリート42の上に台車1を置く。このとき、台車1を左右のアングル43の縦片部44の間に配置する。台車1を配置した際に、左右のガイドローラ32が両側共にアングル43に当接してもよく、左右のガイドローラ32の何れか一方のみがアングル43に当接してもよく、左右両方のガイドローラ32とアングル43との間に僅かな隙間がある状態としてもよい。すなわち、台車1を移動させた際に、台車1が左右方向に移動してもガイドローラ32が縦片部44に当接し、台車1が大きく蛇行しないようになっていればよい。
【0028】
次に、図5に示すように、クレーン装置である移動式クレーン車45でボックスカルバート38を吊り上げ、図6に示すように、台車1の載置台部23の受け部材24に載置する。このとき、台車1の左右方向のセンター位置と、ボックスカルバート38の左右方向のセンター位置を合わせる。台車1の前側基台部4の左右方向センター位置と、後側基台部5の左右方向センター位置には、棒状の目印部材P1が着脱自在に取り付けられている。また、ボックスカルバート38の左右方向のセンター位置には、目印マーカーP2が付されている。そのため、ボックスカルバート38を台車1に載置する際に、目印部材P1と目印マーカーP2の位置を合わせることで、台車1とボックスカルバート38の左右方向のセンター位置合わせをすることができる。図3及び図6に示すように、アングル43の縦片部44は、ガイドローラ32の上下方向の略中間位置の高さまで延設されているため、台車1が進退方向に移動する際に、左右方向に蛇行した場合であっても、ガイドローラ32の外周面部36が縦片部44に当接し、台車1が所定量以上左右方向に移動(蛇行)しないようになっている。なお、台車1の蛇行走行防止の観点からみれば、縦片部44の基礎コンクリート42からの突出長さを長くすることも可能であるが、後述するグラウト材の注入量が多くなるため、ガイドローラ32の外周面部36と縦片部44との当接面積等を考慮し、台車1の蛇行走行を防止可能な最低限の突出長さとすることが好ましい。
【0029】
次に、図7に示すように、移動装置であるミニバックホー46で移動方向の後側から台車1を押して移動させる。このとき、台車1は、ガイドローラ32がアングル43に沿うように移動する。なお、台車1とミニバックホー46のブレード47との間に、緩衝材として角材48等を用いてもよい。
【0030】
台車1を据え付け位置まで移動させたら、図8に示すように、ボックスカルバート38の左右それぞれ2箇所に扛重機である爪付ジャッキ49をセットする。そして、台車1とボックスカルバート38との間に隙間ができる高さまでボックスカルバート38を爪付ジャッキ49でジャッキアップする。その状態から、アイボルト37にロープ等の引出具50を係止し、引出具50を手前に引っ張り、台車1をボックスカルバート38の下方から引き出す。その後、図9に示すように、爪付ジャッキ49をジャッキダウンさせることによりボックスカルバート38をアングル43の縦片部44に載置し、爪付ジャッキ49を撤去する。
【0031】
図8に示すように、ボックスカルバート38には、連接するボックスカルバート38同士を位置合わせして連結するための挿入部51と受部52が形成されている。そのため、アングル43に載置されたボックスカルバート38は、既に据え付けられたボックスカルバート38の受部52に、後から据え付けるボックスカルバート38の挿入部51を挿入する。上述のように、ボックスカルバート38は台車1に対して左右方向のセンター位置合わせがされているため、間接的に既に据え付けられたボックスカルバート38に対しても左右方向の位置合わせがされている。そのため、移動してきたボックスカルバート38を既に据え付けられたボックスカルバート38方向に引き寄せるだけで容易に連接することができる。なお、位置ずれが発生したような場合には、バール等(図示せず)を用いて前後左右方向の位置を微調整すればよい。挿入時には、ボックスカルバート38の重量に応じて選択した引寄器具(図示せず)を使用する。
【0032】
挿入部51を受部52に十分挿入したことを確認後、引寄器具を緩めて据え付け作業が完了する。その後、ボックスカルバート38の継ぎ手部分の目違いや段差が許容範囲内であることを確認する。さらに、据え付けるボックスカルバート38がある場合には、上記手順を繰り返して順次ボックスカルバート38を据え付ける。
【0033】
ボックスカルバート38を据え付ける施工現場では、ボックスカルバート38と土留壁39の間に十分なスペースがなく、ボックスカルバート38の側面側に爪付ジャッキ49を配置して使用できない場合がある。そのような場合には、図10に示すように、据え付け位置まで搬送したボックスカルバート38の底版部53の内側にジャッキ用治具であるジャッキアーム54をボルト固定する。ジャッキアーム54の先端側は、既に据え付けたボックスカルバート38の内側まで延設されており、既に据え付けたボックスカルバート38の底版部53の内側に載置された架台55に支持されている。また、既に据え付けたボックスカルバート38の底版部53の内側には、ジャッキアーム54をジャッキアップするための扛重機である油圧ジャッキ56を左右に2個配置する。さらに、搬送したボックスカルバート38の手前側(既に据え付けたボックスカルバート38と反対側)に2個の爪付ジャッキ49を配置する。爪付ジャッキ49と油圧ジャッキ56により、台車1と搬送したボックスカルバート38との間に隙間ができる高さまでボックスカルバート38をジャッキアップする。その状態から、図11に示すように、アイボルト37に引出具50を係止し、引出具50を手前に引っ張り、台車1をボックスカルバート38の下方から引き出す。その後、爪付ジャッキ49と油圧ジャッキ56をジャッキダウンさせることによりボックスカルバート38をアングル43の縦片部44に載置する。その後、爪付ジャッキ49とジャッキアーム54と架台55と油圧ジャッキ56を撤去する。
【0034】
その後は、上述のとおり、バール等を用いて前後左右方向の位置を微調整し、引寄器具を使用して既に据え付けられたボックスカルバート38の受部52に、後から据え付けるボックスカルバート38の挿入部51を挿入する。また、挿入部51を受部52に十分挿入したことを確認後、引寄器具を緩めて設置作業が完了する。その後、ボックスカルバート38の継ぎ手部分の目違いや段差が許容範囲内であることを確認する。さらに、設置するボックスカルバート38がある場合には、上記手順を繰り返して順次ボックスカルバート38を据え付ける。
【0035】
以上がボックスカルバート38の搬送方法と据え付け方法である。ボックスカルバート38の据え付け完了後には、図12に示すように、ボックスカルバート38の底版部53に形成した貫通孔57からモルタル等のグラウト材58を注入する。その後、ボックスカルバート38の周囲を埋め戻し材(図示せず)で埋め戻す。
【0036】
以上のように、本実施形態の台車1は、載置台部23と、走行用車輪11と、ガイドローラ32と、を備え、ガイドローラ32は載置台部23の左右両側に配設され、ガイドローラ32のシャフト33が垂直方向に延設されていることにより、ボックスカルバート38を載置台部23(受け部材24)に載置し搬送することができる。また、ガイドローラ32は、外周面部36がアングル43に当接するように回動するため、ガイドローラ32がアングル43に当接することで、台車1の蛇行走行を防止することができる。このガイドローラ32があることで、基礎コンクリート42等に台車1の走行をガイドする部材が不要となる。
【0037】
また、本実施形態の台車1は、ガイドローラ32の外周面部36がボックスカルバート38を載置するアングル43に当接する高さにガイドローラ32が配設されていることにより、台車1が左右方向に僅かに移動(蛇行)しても、ガイドローラ32がアングル43に当接した状態で回動するため、台車1が大きく蛇行走行することを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態の台車1は、走行用車輪11を有するキャスタユニット9と、ガイドローラ32を有するガイドローラユニット3と、を備え、キャスタユニット9とガイドローラユニット3が一体となった車輪ユニット2A、2B、2C、2Dが、載置台部23の四隅部分に配設されていることにより、台車1を蛇行させることなく安定して走行させることができる。
【0039】
また、本実施形態のボックスカルバート38の搬送方法は、台車1を左右のアングル43の間に配置する工程と、ボックスカルバート38を載置台部23に載置する工程と、ガイドローラ32がアングル43に沿うように台車1を移動させる工程と、を有することにより、従来の工法のように、基礎コンクリート42にガイドレールを取り付けることなく搬送装置の蛇行走行を防止することができる。また、ベアリング用の鋼球を使用する必要もない。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、コンクリート構造物は、ボックスカルバート38に限らず、大型フルームやアーチカルバート等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 台車(搬送装置)
2A 車輪ユニット
2B 車輪ユニット
2C 車輪ユニット
2D 車輪ユニット
3 ガイドローラユニット
4 前側基台部
5 後側基台部
6 左側基台部
7 右側基台部
9 キャスタユニット
11 走行用車輪
23 載置台部
32 ガイドローラ
33 シャフト(回転軸)
36 外周面部
38 ボックスカルバート(コンクリート構造物)
43 アングル(被載置体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13