(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048519
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】破砕装置および解砕装置
(51)【国際特許分類】
B02C 4/02 20060101AFI20240402BHJP
B02C 4/42 20060101ALI20240402BHJP
B02C 4/28 20060101ALI20240402BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B02C4/02
B02C4/42
B02C4/28 A
B02C25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154473
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】内田 紘史郎
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063CC01
4D063CC03
4D063GA07
4D063GC05
4D063GC08
4D063GC21
4D063GC29
4D063GC36
4D063GD04
4D063GD16
4D067FF04
4D067FF14
4D067FF15
4D067GA02
4D067GA03
4D067GB03
(57)【要約】
【課題】原料から製品として回収される回収率の向上に寄与する破砕装置を提供すること。
【解決手段】本発明の破砕装置(1)は、原料を破砕する破砕部(10)と、破砕部(10)で生成される原料の凝集物(CK)を解砕する解砕部(30)と、破砕部(10)と解砕部(30)とを繋ぐ循環搬送路(50)と、破砕部(10)および解砕部(30)の動作を制御する制御部(70)と、を備える。
解砕部(30)は、凝集物(CK)を一時的に蓄える貯留槽(35A)を備える。
制御部(70)は、貯留槽(35A)に所定量の凝集物(CK)が貯留されたことを検出することにより、解砕部(30)による凝集物(CK)の解砕を指示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を破砕する破砕部と、
前記破砕部で生成される前記原料の凝集物を解砕する解砕部と、
前記破砕部と前記解砕部とを繋ぐ循環搬送路と、
前記破砕部および前記解砕部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記解砕部は、
前記凝集物を一時的に蓄える貯留槽を備え、
前記制御部は、
前記貯留槽に所定量の前記凝集物が貯留されたことを検出することにより、前記解砕部による前記凝集物の解砕を指示する、破砕装置。
【請求項2】
前記解砕部は、
前記貯留槽における前記凝集物の貯留量を計測する計測器を備え、
前記制御部は、
前記計測器から取得する前記計測器で計測される貯留量データと予め定められる上限量データとを比較し、
前記貯留量データが前記上限量データに達すると、前記解砕部による前記凝集物の解砕を指示する、
請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
前記解砕部は、
前記貯留槽に連なり、前記凝集物を衝撃力により解砕する解砕機を収容する解砕室と、
前記貯留槽と前記解砕室との間を開閉する開閉体を備え、
前記制御部は、
前記貯留量データが前記上限量データに達すると、
前記解砕機の駆動を指示するとともに、
閉じられていた前記開閉体を開くように指示する、
請求項2に記載の破砕装置。
【請求項4】
前記循環搬送路は、
前記凝集物を前記解砕部に向けて搬送する往路と、
前記解砕部で解砕された解砕物を前記破砕部に向けて搬送する復路と、を備え、
前記往路は、
前記混合物から前記凝集物を選別して前記解砕部の前記貯留槽に供給する搬送機能を有する振動ふるいを備える、
請求項1に記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕部は、
圧縮力を付加することにより前記原料を破砕する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の破砕装置。
【請求項6】
原料を破砕することよって生成される凝集物の供給を受けて、前記凝集物を解砕する解砕装置であって、
前記凝集物を一時的に蓄える貯留槽と、
前記貯留槽に蓄えられていた前記凝集物の供給を受けて前記凝集物を解砕する解砕機と、を備え、
前記貯留槽に予め定められる所定量の前記凝集物が貯留されると、前記貯留槽から前記解砕機に向けて前記凝集物が供給される、
解砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊状の原料を破砕する装置に関し、特に破砕により生じる凝集物としてのケーキを再利用して破砕できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば山から切り出した岩石を原料として細かく砕き、コンクリート原料などに使用される砕石、砕砂などの粒状の破砕物を生産するのに破砕装置が用いられる。破砕装置としては、例えば、特許文献1に開示される、互いに逆向きに回転される一対のローラの間に破砕対象としての原料を挟み込んで圧縮力を加えるローラ式、特許文献2に開示される、円盤状の回転体の周囲に衝撃力を加える複数のハンマを備えるハンマーミルなどの種々の形態が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-63958号公報
【特許文献2】特開平8-52367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
破砕装置により原料を破砕すると、破砕物の他に、破砕物が圧縮されて凝集して塊状となったケーキが不可避的に発生する。
ケーキは格別な用途がない限り廃棄処分される。そこで、本発明はケーキを破砕対象として利用することで、原料から製品として回収される回収率の向上に寄与する破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の破砕装置は、原料を破砕する破砕部と、破砕部で生成される原料の凝集物を解砕する解砕部と、破砕部と解砕部とを繋ぐ循環搬送路と、破砕部および解砕部の動作を制御する制御部と、を備える。
本発明における解砕部は、凝集物を一時的に蓄える貯留槽を備え、制御部は、貯留槽に所定量の凝集物が貯留されたことを検出することにより、解砕部による凝集物の解砕を指示する。
【0006】
本発明の破砕装置において、好ましくは、解砕部は、貯留槽における凝集物の貯留量を計測する計測器を備え、制御部は、計測器から取得する計測器で計測される貯留量データと予め定められる上限量データとを比較し、貯留量データが上限量データに達すると、解砕部による凝集物の解砕を指示する。
【0007】
本発明の破砕装置において、好ましくは、解砕部は、貯留槽に連なり、凝集物を衝撃力により解砕する解砕機を収容する解砕室と、貯留槽と解砕室との間を開閉する開閉体を備え、制御部は、貯留量データが上限量データに達すると、解砕機の駆動を指示するとともに、閉じられていた開閉体を開くように指示する。
【0008】
本発明の破砕装置において、好ましくは、循環搬送路は、凝集物を解砕部に向けて搬送する往路と、解砕部で解砕された解砕物を破砕部に向けて搬送する復路と、を備え、往路は、混合物から凝集物を選別して解砕部の貯留槽に供給する搬送機能を有する振動ふるいを備える。
【0009】
本発明の破砕装置において、好ましくは、破砕部は、圧縮力を付加することにより原料を破砕する。
【0010】
本発明は、原料を破砕することよって生成される凝集物の供給を受けて、凝集物を解砕する解砕装置をも提供する。この解砕装置は、凝集物を一時的に蓄える貯留槽と、貯留槽に蓄えられていた凝集物の供給を受けて凝集物を解砕する解砕機と、を備える。貯留槽に予め定められる所定量の凝集物が貯留されると、貯留槽から解砕機に向けて凝集物が供給される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、凝集物としてのケーキを破砕対象として利用することで、原料から製品として回収される回収率の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る破砕装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】破砕装置に適用される破砕装置の概略構成を示す図である。
【
図3】破砕装置に適用される解砕装置の概略構成を示す図である。
【
図4】破砕装置に適用される制御部の概略構成を示す図である。
【
図5】破砕装置に適用される解砕装置における動作手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態に係る破砕装置1について説明する。
破砕装置1は、
図1に示すように、塊状の固体原料を蓄える原料供給設備5と、原料供給設備5から原料供給路7を介して供給される固体原料を砕いて粒状の破砕物を得る破砕部10と、破砕部10で生じるケーキをほぐして破砕部10による破砕に適合する粒状の解砕粒を得る解砕部30と、を備える。
破砕装置1は、破砕部10と解砕部30を繋ぐ循環搬送路50を備える。循環搬送路50において破砕部10を経て生成される製品としての破砕物と凝集物としてのケーキを仕分けするとともに、仕分けられたケーキを解砕部30に向けて搬送し、さらに解砕部30でケーキから生成される砂利および砂などを再生原料として破砕部10に戻す。
破砕装置1は、原料供給設備5、破砕部10、解砕部30および循環搬送路50の動作を制御する制御部70を備えている。
【0014】
破砕装置1は、制御部70が破砕部10、解砕部30および循環搬送路50のそれぞれの動作を制御することにより、製品としての破砕物を取り出すのに加えて、破砕物からケーキを分離し、かつ、ケーキを解砕して得られる解砕物を再生原料として破砕部10に供給する。以下、破砕部10、解砕部30、循環搬送路50および制御部70の順により具体的な内容を説明する。
【0015】
本実施形態において、破砕および解砕は粉砕(size reduction)の概念に含まれ、両者ともに塊状物を砕いて径の小さい破砕物を得る点で同じであるが、解砕は凝集性を有する塊状物、つまり本実施形態においてはケーキをほぐす点で、破砕と区別して用いられる。
【0016】
[原料供給設備5:
図1参照]
原料供給設備5は、一例として、振動フィーダの機能を備えるホッパからなる。この振動フィーダを振動させることにより、ホッパに蓄えられる固体原料が振動を受けながら原料供給路7から破砕部10に向けて搬送される。
【0017】
[破砕部10:
図1,
図2を参照]
破砕部10は、原料としての例えば砂利を砕いて製品として要求される粒径の砂を破砕物として生成する。砂を生成する過程で、砂利および砂を含む粒状の混合物が凝集して固形化したケーキも生成されてしまう。
【0018】
破砕部10は、一例として、ダブル・ロール・クラッシャが適用される。ダブル・ロール・クラッシャは、
図2に示すように、互いに対向して配置される第1ロール11と第2ロール15を備える。第1ロール11と第2ロール15は、図示を省略する回転電機を駆動源として、円弧状の矢印で示されるように、互いに逆向きに回転する。
図1および
図2の例では、第1ロール11が時計回りに回転し、第2ロール15が反時計回りに回転する例が示されている。回転電機の動作を制御することにより、第1ロール11および第2ロール15のそれぞれの回転数は任意に設定される。
【0019】
第1ロール11と第2ロール15の一方、例えば第1ロール11は、その第1回転軸13の水平方向(H)および鉛直方向(V)への移動が拘束されており、固定された位置で回転される。第1ロール11と第2ロール15の一方、例えば第2ロール15は、その第2回転軸17は少なくとも水平方向(H)の移動ができる。つまり、第1ロール11に対して第2ロール15が接近または離間することができ、第1ロール11と第2ロール15の間隔が任意に設定される(
図2(a))。ダブル・ロール・クラッシャは、互いに逆向きに回転する第1ロール11と第2ロール15の間を原料の例えば砂利GRが通過する過程で圧縮力を受けることで砂SAに破砕される(
図2(b))。原料の種類、粒度などに応じて、第1ロール11と第2ロール15の回転速度および間隔を選択することにより、破砕物の粒度が調整される。
【0020】
ダブル・ロール・クラッシャは、圧縮力を負荷することで原料の一例である砂利GRを破砕するものであることから、衝撃を付加することで破砕する破砕機と比べて、製品である砂SAの中に微細粒の発生が少ないという利点がある。目的とする粒径よりも砂SAに含まれる微細粒の割合が多いと、微細粒の砂SAにとって不都合をもたらすことがある。したがって、本実施形態の好ましい破砕部10としてダブル・ロール・クラッシャが適用される。
一方で、ダブル・ロール・クラッシャは、圧縮力を付与するために、原料である砂利GRおよび破砕物である砂SAが圧縮、凝集されたケーキCKが生成される傾向が強い。生成されたケーキCKを第1ロール11と第2ロール15の間に通して圧縮力を付加したとしても、それ以上にケーキを圧縮することが難しい。したがって、ケーキCKは破砕されずにほとんど原形を保ったままで、第1ロール11と第2ロール15の間を通過してしまう。生成されたケーキが廃棄の対象となるのを避けるために、本実施形態は、解砕部30を破砕部10の下流側に設ける。
【0021】
[解砕部30:
図1,
図3を参照]
解砕部30は、破砕部10で生成されたケーキをほぐす。ここで、ケーキをほぐす(解す)とは、ケーキの構成要素である砂利および砂の単位にケーキを分離することをいう。ただし、ほぐす際に、砂利が砂へ破砕されることもある。
【0022】
解砕部30には、一例として、インパクト・バー型式のクラッシャを用いてケーキを解砕するが、解砕部30を常時運転させるのではなく、ケーキをホッパ35Aへ貯留していき、一定量になったところで、ケーキを解砕する。解砕の効率を高くするためである。以下、解砕部30の構成について説明する。
【0023】
[インパクト・バー・クラッシャ31,回転電機33]
解砕部30は、インパクト・バー・クラッシャ31と、インパクト・バー・クラッシャ31を回転駆動させる回転電機33と、を備える。インパクト・バー・クラッシャ31は、従動軸31Cを中心にして回転可能に支持される円板状のロータ31Aと、ロータ31Aの外周面から径方向の外側に向けて延びる複数本のインパクト・バー31Bと、を備える。回転電機33は、図示が省略される固定子および回転子を備える電機本体33Aと、電機本体33Aの回転子に接続される駆動軸33Cと、駆動軸33Cに嵌合されるVプーリ33Bと、を備え、Vプーリ33Bは駆動軸33Cを中心にして回転する。ロータ31AとVプーリ33Bとには、例えば動力伝達部材としてVベルト34が掛け回されており、Vプーリ33Bの回転駆動に従ってロータ31Aが回転することにより、複数本のインパクト・バー31Bが周回移動する。周回移動する複数本のインパクト・バー31Bがケーキを打撃して衝撃力を加えることにより、ケーキを解砕する。
【0024】
[通路35]
解砕部30は、後述する循環搬送路50の往路51から供給されるケーキならびにケーキが分離して生成される解砕物としての砂利および砂が通る通路35を備える。通路35は、筒状の部材からなり、内部の空隙をケーキ、砂利および砂が通る。
通路35は、ケーキを受け取り、かつ、所定量のケーキCKを一時的に蓄えることのできる貯留槽としてのホッパ35Aと、ホッパ35Aに連なりインパクト・バー・クラッシャ31に向けてケーキを投入する搬入路35Bと、搬入路35Bに連なるとともにインパクト・バー・クラッシャ31を収容する解砕室35Cと、解砕室35Cに連なりケーキを解砕することにより得られる解砕物を復路55に向けて放出する搬出路35Dと、を備える。
【0025】
[ダンパ37]
通路35には、ホッパ35Aと搬入路35Bの間にダンパ37が設けられる。ダンパ37はホッパ35Aと搬入路35Bの間を開閉するために設けられる開閉体である。ダンパ37がホッパ35Aと搬入路35Bの間を閉じる閉状態(OFF)と、ケーキがホッパ35Aに蓄えられる。ダンパ37が開状態(ON)になればホッパ35Aと搬入路35Bが連通し、蓄えられていたケーキがロータ31Aに向けて投入される。ダンパ37は、例えば図示が省略される回転電機により閉状態(OFF)と開状態(ON)の間を往復動作することができる。この回転電機は、制御部70の指示に従って、開閉動作がなされる。
【0026】
[レベル計39]
解砕部30は、ホッパ35Aに蓄えられるケーキCKが予め定められる蓄積上限量に達したことを検出するレベル計39を備える。レベル計39が蓄積上限量に達したことの検出結果は、制御部70に送られる。制御部70は、この検出結果を取得すると、閉状態(OFF)のダンパ37を開状態(ON)にするように指示する。
ケーキCKが予め定められる蓄積上限量に達したことを検出できる限り、レベル計39の種類は任意である。例えば、静電容量式レベル計、超音波レベル計、電波式レベル計、レーザ式レベル計などの接触式または非接触式のレベル計がレベル計39として適用される。また、レベル計の概念に含まれない例えばレベルスイッチなどの検出機器を用いて蓄積上限量に達したことを検出してもよい。
【0027】
[循環搬送路50:
図1]
循環搬送路50は、破砕部10から解砕部30に向けて搬送動作をする往路51と、解砕部30から破砕部10に向けて搬送動作をする復路55と、往路51から分岐し、製品としての破砕物を搬出する製品搬出路53と、を備える。
【0028】
往路51は、破砕部10から製品としての砂SAとケーキの混合物を受け取り、破砕物を製品搬出路53に転送し、混合物から分離されたケーキを解砕部30に向けて搬送する。砂SAの転送およびケーキの搬送を実現する往路51は、例えば、搬送機能を有する振動ふるいからなる。目開きが特定されたふるいを用いることにより、ケーキと製品としての砂はふるい分けされる。ふるいを通過した砂は製品搬出路53に送られ、ケーキは解砕部30に向けて搬送される。製品搬出路53は、例えばベルトコンベアからなり、貯留場まで砂を運ぶ。
【0029】
復路55は、解砕部30で生成された砂利GRおよび砂SAを搬出路35Dから受け取り、破砕部10まで搬送する。復路55は、例えばベルトコンベアからなる。また、復路55は、一例として、原料供給路7に合流する。
往路51の一例である振動ふるい、製品搬出路53および復路55の動作は、制御部70の指示によって制御される。
【0030】
[制御部70:
図4]
制御部70は、破砕装置1の破砕部10、解砕部30および循環搬送路50の動作を司る。特に、制御部70は、解砕部30におけるケーキの解砕を制御する。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびディスプレイなどを備えるコンピュータ装置により構成される。
【0031】
制御部70は、送受信部71、記憶部73、処理部75および入力/表示部77を備える。この機能の区分は一例であり、さら機能を細分化したり、機能を統合したりすることができる。一例として、入力/表示部77は、入力に特化される部分と表示に特化される部分に分けることができる。
【0032】
送受信部71は、ダンパ37の駆動源に対して開・閉の動作を指示する信号を送信するのに加えて、インパクト・バー・クラッシャ31によるケーキの解砕のために回転電機33に対して回転・停止の指示信号を送信する。また、送受信部71は、レベル計39で計測されたホッパ35Aにおけるケーキ貯留量に関する計測値データを受信する。
【0033】
記憶部73は、解砕部30におけるケーキの解砕を制御するために、少なくとも以下の二種類の基準値データを保存する。
一つは、ケーキの貯留量に関する基準値データであり、この基準値データは上限量データULと下限量データLLを含む。上限量データULは、ホッパ35Aに貯留されているケーキの解砕開始の前提条件を意味する。また、下限量データLLは、レベル計39によるケーキの計測終了の前提条件を意味する。つまり、ケーキの貯留量が増える兆しがなければ、破砕部10による破砕が行われているものとみなす。上限量データULおよび下限量データLLは、レベル計39から送られてくる貯留量データDDと比較される。
【0034】
もう一つは、時間に関する基準値データである。
その中の一つが、下限量データLLに関連するものであり、下限量データLLより少ないケーキの貯留量が継続する時間に関する上限時間T1である。下限量データLLより少ないケーキの貯留量が上限時間T1を超えて継続すれば、ケーキの貯留量が増える兆しがないものとみなす。
また、その中のもう一つは、インパクト・バー・クラッシャ31により解砕を続ける継続時間T2である。解砕部30による解砕は、上限量データULが開始の前提条件であり、定量のケーキに対するものであるから、予め定められた時間だけ行われれば足りる。そこで、継続時間T2が予め定めら、記憶部73に保存されている。
【0035】
処理部75は、送受信部71で受信した貯留量データDDと下限量データLL、上限量データULとを比較する。処理部75は、貯留量データDDが上限量データULよりも大きくなれば、送受信部71を介して回転電機33が回転動作を始めるように指示する。
入力/表示部77は、例えば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)からなる。
【0036】
[解砕部30の動作手順:
図5を参照]
次に、
図5を参照して、解砕部30の動作手順を説明する。なお、前提として、原料供給設備5、破砕部10、往路51および製品搬出路53は動作しており、解砕部30のインパクト・バー・クラッシャ31は動作が停止しており、ホッパ35Aにケーキが蓄えられている。
【0037】
レベル計39は、ホッパ35A内のケーキの貯留量を継続して計測する(
図5 S101)。計測された結果である貯留量データDDは、レベル計39から制御部70に送られる。制御部70は、取得した貯留量データDDと記憶部73に記憶している下限量データLLおよび上限量データULとを比較する(
図5 S103,S105)。
【0038】
制御部70は、先行する解砕部30によるケーキの解砕を終えて、解砕部30が一時停止(
図5 S109参照)してからの経過時間T3を計測している。制御部70は、経過時間T3と上限時間T1を比較し、貯留量DD≦下限量LLおよびT3≧T1の条件を満たすか否かを判断する(
図5 S103)。そして、貯留量DD≦下限量LLおよびT3≧T1の条件を満たす、つまり上限時間T1以上の間、ケーキの貯留量DDが下限量LL以下であれば(
図5 S103 Yes)、制御部70は、破砕部10による破砕が行われていないものとみなし、レベル計39による計測も含めて、解砕部30の一切の動作を終了させる。そうでなければ(
図5 S103 No)、制御部70は、破砕部10による破砕が行われているものとみなし、解砕部30の動作を継続させる。
【0039】
制御部70は、貯留量データDDが上限量データUL以上(DD≧UL)となれば(
図5 S105 Yes)、解砕部30における回転電機33の回転駆動を指示するのに加えて、ダンパ37を閉(OFF)から開(ON)となるよう指示する(
図5 S107)。それまでダンパ37が閉じられていることでホッパ35Aに貯留されていたケーキCKが、搬入路35Bを通じて解砕室35Cのインパクト・バー・クラッシャ31に向けて投入され、解砕される。このとき、ホッパ35Aの中にはケーキCKが残らないはずであるが、ホッパ35Aに付着するために残留するケーキCKもあり得る。
【0040】
制御部70は、ダンパ37を閉(OFF)から開(ON)となるように指示してからの経過時間T4を計測しており、経過時間T4と記憶部73に記憶されている継続時間T2とを継続して比較する。制御部70は、経過時間T4が継続時間T2に達する(T4≧T2)と、ダンパ37を閉じるとともに、回転電機33の回転停止を指示する(
図5 S109)。
以後は、以上で説明した
図5のS101~S109の動作が繰り返される。
【0041】
[破砕装置1が奏する効果]
破砕装置1によれば、破砕部10で生成されてしまうケーキを解砕部30で解砕して復路55を介して破砕部10に戻して解砕する。したがって、破砕装置1によれば、ケーキを廃棄するのに比べて、原料から製品として回収される回収率を格段に向上できる。
【0042】
ここで、解砕部30を経たケーキの解砕物は破砕部10における原料の同等物である。したがって、破砕装置1によれば、破砕部10における破砕に要する負荷を抑えることができるとともに、必要な粒径の製品を効率よく得ることができる。
【0043】
破砕装置1において、製品である砂SAとケーキは往路51において分離され、解砕部30には実質的にはケーキだけが供給される。したがって、解砕部30の能力を最小限に抑えることができる。
【0044】
破砕装置1において、通路35にホッパ35Aおよびダンパ37を設け、レベル計39で計測されるケーキの貯留量に基づいて解砕部30を稼働する時間域を限定する。したがって、破砕装置1によれば、解砕部30を常に稼働するのに比べて、消費電力を削減することができるのに加えて、解砕部30の単位稼働時間に対する解砕の効率も高くなる。
【0045】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本実施形態においては、好ましい形態として、ダブル・ロール・クラッシャを例にして説明したが、本発明における破砕機はこれに限定されない。ジョー・クラッシャ、ジャイリトリー・クラッシャ、コーン・クラッシャ、ロール・クラッシャなどであって解砕物に加えてケーキが生じ得る解砕装置を制限なく本発明の破砕機の対象とすることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、原料として砂利を例示したが、他に例えば石炭、コークス、スラグなどが原料として用いられる。
【符号の説明】
【0047】
1 破砕装置
5 原料供給設備
7 原料供給路
10 破砕部
11 第1ロール
13 第1回転軸
15 第2ロール
17 第2回転軸
30 解砕部
31 インパクト・バー・クラッシャ
31A ロータ
31B インパクト・バー
31C 従動軸
33 回転電機
33A 電機本体
33B Vプーリ
33C 駆動軸
34 Vベルト
35 通路
35A ホッパ
35B 搬入路
35C 解砕室
35D 搬出路
37 ダンパ
39 レベル計
50 循環搬送路
51 往路
53 製品搬出路
55 復路
70 制御部
71 送受信部
73 記憶部
75 処理部
77 表示部
CK ケーキ
GR 砂利
RM 原料
SA 砂
T1 上限時間
T2 継続時間
T3 経過時間
T4 経過時間
DD 貯留量データ
LL 下限量データ
UL 上限量データ