(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048521
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】冷凍装置及び冷凍機
(51)【国際特許分類】
F25B 21/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F25B21/00 A
F25B21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154476
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 能成
(72)【発明者】
【氏名】上田(榧野) 茜
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一貴
(72)【発明者】
【氏名】荒木 辰太郎
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
(57)【要約】
【課題】固体冷媒物質における力場密度を均一化させることができるようにする。
【解決手段】固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備える。力場集束部材(13)は、力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ第1方向において固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、
前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置される
冷凍装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)は、前記第1方向に間隔をあけて複数配置される
冷凍装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部は、前記第2方向の端部よりも前記第1方向の力場が通りにくい
冷凍装置。
【請求項4】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部の厚みは、前記第2方向の端部よりも小さい
冷凍装置。
【請求項5】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部には、前記第1方向に貫通する孔(25)が形成される
冷凍装置。
【請求項6】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部に形成された前記孔(25)の内径は、前記第2方向の端部に形成された前記孔(25)の内径よりも大きい
冷凍装置。
【請求項7】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部で隣接する前記孔(25)の間隔は、前記第2方向の端部で隣接する前記孔(25)の間隔よりも小さい
冷凍装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の端部は、前記固体冷媒物質(11)の前記第2方向の端部よりも前記第2方向の内側に配置される
冷凍装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記容器(12)内で前記固体冷媒物質(11)を複数の層に仕切っている
冷凍装置。
【請求項10】
請求項9に記載の冷凍装置において、
前記複数の層は、第1層(61)と、第2層(62)と、を含み、
前記第1層(61)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度と、前記第2層(62)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度とが異なる
冷凍装置。
【請求項11】
請求項10に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を前記第1方向に流通させる流路(28)が設けられる
冷凍装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の間に配置される
冷凍装置。
【請求項13】
請求項12に記載の冷凍装置において、
前記容器(12)の角部には、面取り部又はフィレット部(26)が設けられ、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の前記面取り部又は前記フィレット部(26)の隙間にも配置される
冷凍装置。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)は、磁気作業物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記磁気作業物質(11)に対して磁場を印加する磁場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である
冷凍装置。
【請求項15】
請求項14に記載の冷凍装置において、
前記磁気作業物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記容器(12)は、軟磁性材料で構成され、
前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の壁部で構成される
冷凍装置。
【請求項16】
請求項14に記載の冷凍装置において、
前記磁場印加部(20)は、永久磁石(21)と、前記永久磁石(21)の位置を移動させる移動機構(15)と、を有し、
前記移動機構(15)は、前記永久磁石(21)を前記磁気作業物質(11)に対して相対的に移動させることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う
冷凍装置。
【請求項17】
請求項14に記載の冷凍装置において、
前記磁場印加部(20)は、通電により磁束を発生するコイル(50)と、前記コイル(50)の通電を制御する制御部(8)と、を有し、
前記制御部(8)は、前記コイル(50)の通電をオン又はオフすることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う
冷凍装置。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)は、電気熱量効果を有する電気熱量物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記電気熱量物質(11)に対して電場を印加する電場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記電気熱量物質(11)よりも導電性の高い導電体である
冷凍装置。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の冷凍装置(10)と、
前記冷凍装置(10)と熱交換する熱媒体回路(2)と、を備える
冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置及び冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気熱量効果材料を収容した円筒状のケースと、ケースの外周面に接するように装着された強磁性体と、を備えた熱交換器が開示されている。
【0003】
特許文献1の発明では、強磁性体を、一方の磁石の表面に沿うように延在する第1の対向面と、他方の磁石の表面に沿うように延在する第2の対向面と、を有する構成としている。これにより、円筒状のケースと磁石との間の空間を小さくして、磁気熱量効果材料に印加される磁束密度を大きくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の発明では、磁場が印加される第1方向に直交する第2方向の両端部において磁気ギャップが小さくなるため、磁気熱量効果材料における第2方向の両端部に主に磁束が流れることとなる。その結果、磁気熱量効果材料における第2方向の中央部付近の磁束密度が上がらなくなるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、固体冷媒物質における力場密度を均一化させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置される。
【0008】
第1の態様では、固体冷媒物質(11)の外側を通るように膨らむ力場の流れを抑えて、固体冷媒物質(11)における力場密度(力場が磁場の場合は磁束密度、電場の場合は電束密度)を高めるとともに、力場密度を均一化させることができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)は、前記第1方向に間隔をあけて複数配置される。
【0010】
第2の態様では、力場集束部材(13)を第1方向に複数配置し、見かけ上の磁気ギャップを狭くすることで、固体冷媒物質(11)の外側に広がって通ることにより固体冷媒物質(11)における力場が不均一になることを抑え、固体冷媒物質(11)における力場密度を均一化することができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部は、前記第2方向の端部よりも前記第1方向の力場が通りにくい。
【0012】
第3の態様では、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第3の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部の厚みは、前記第2方向の端部よりも小さい。
【0014】
第4の態様では、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、第3の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部には、前記第1方向に貫通する孔(25)が形成される。
【0016】
第5の態様では、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0017】
本開示の第6の態様は、第3の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部に形成された前記孔(25)の内径は、前記第2方向の端部に形成された前記孔(25)の内径よりも大きい。
【0018】
第6の態様では、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0019】
本開示の第7の態様は、第3の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部で隣接する前記孔(25)の間隔は、前記第2方向の端部で隣接する前記孔(25)の間隔よりも小さい。
【0020】
第7の態様では、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0021】
本開示の第8の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)における前記第2方向の端部は、前記固体冷媒物質(11)の前記第2方向の端部よりも前記第2方向の内側に配置される。
【0022】
第8の態様では、固体冷媒物質(11)の第2方向の端部から外側に向かう力場を、力場集束部材(13)の第2方向の端部側に引き寄せ、固体冷媒物質(11)における第2方向に端部の力場密度を高めることができる。
【0023】
本開示の第9の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、前記力場集束部材(13)は、前記容器(12)内で前記固体冷媒物質(11)を複数の層に仕切っている。
【0024】
第9の態様では、固体冷媒物質(11)が容器(12)内で偏った状態で配置されるのを抑えることができる。
【0025】
本開示の第10の態様は、第9の態様に記載の冷凍装置において、前記複数の層は、第1層(61)と、第2層(62)と、を含み、前記第1層(61)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度と、前記第2層(62)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度とが異なる。
【0026】
第10の態様では、固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を、第1層(61)又は第2層(62)に流通させることで、流体の温度を段階的に変化させることができる。
【0027】
本開示の第11の態様は、第10の態様に記載の冷凍装置において、前記力場集束部材(13)には、前記固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を前記第1方向に流通させる流路(28)が設けられる。
【0028】
第11の態様では、固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を、流路(28)を通って第1層(61)と第2層(62)とに流通させることで、熱媒体の温度を徐々に変化させることができる。
【0029】
本開示の第12の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の間に配置される。
【0030】
第12の態様では、第1方向に隣接する容器(12)の間に力場集束部材(13)を配置するだけで、固体冷媒物質(11)で力場集束部材(13)を挟んだ状態とすることができる。
【0031】
本開示の第13の態様は、第12の態様に記載の冷凍装置において、前記容器(12)の角部には、面取り部又はフィレット部(26)が設けられ、前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の前記面取り部又は前記フィレット部(26)の隙間にも配置される。
【0032】
第13の態様では、隣接する容器(12)の面取り部又はフィレット部の隙間にも力場集束部材(13)を配置して、力場集束部材(13)における第2方向の端部の厚みを増やすことで、第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0033】
本開示の第14の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記固体冷媒物質(11)は、磁気作業物質(11)であり、前記力場印加部(20)は、前記磁気作業物質(11)に対して磁場を印加する磁場印加部(20)であり、前記力場集束部材(13)は、前記磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0034】
第14の態様では、磁気作業物質(11)における磁束密度を高めるとともに、磁束密度を均一化させることができる。
【0035】
本開示の第15の態様は、第14の態様に記載の冷凍装置において、前記磁気作業物質(11)を収納する容器(12)を備え、前記容器(12)は、軟磁性材料で構成され、前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の壁部で構成される。
【0036】
第15の態様では、容器(12)を軟磁性材料で構成することで、容器(12)の壁部を力場集束部材(13)として使用することができる。
【0037】
本開示の第16の態様は、第14の態様に記載の冷凍装置において、前記磁場印加部(20)は、永久磁石(21)と、前記永久磁石(21)の位置を移動させる移動機構(15)と、を有し、前記移動機構(15)は、前記永久磁石(21)を前記磁気作業物質(11)に対して相対的に移動させることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う。
【0038】
第16の態様では、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行うことで、磁気作業物質(11)を発熱又は冷却させることができる。
【0039】
本開示の第17の態様は、第14の態様に記載の冷凍装置において、前記磁場印加部(20)は、通電により磁束を発生するコイル(50)と、前記コイル(50)の通電を制御する制御部(8)と、を有し、前記制御部(8)は、前記コイル(50)の通電をオン又はオフすることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う。
【0040】
第17の態様では、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行うことで、磁気作業物質(11)を発熱又は冷却させることができる。
【0041】
本開示の第18の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置において、前記固体冷媒物質(11)は、電気熱量効果を有する電気熱量物質(11)であり、前記力場印加部(20)は、前記電気熱量物質(11)に対して電場を印加する電場印加部(20)であり、前記力場集束部材(13)は、前記電気熱量物質(11)よりも導電性の高い導電体である。
【0042】
第18の態様では、電気熱量物質(11)における電束密度を高めるとともに、電束密度を均一化させることができる。
【0043】
本開示の第19の態様は、第1又は2の態様に記載の冷凍装置(10)と、前記冷凍装置(10)と熱交換する熱媒体回路(2)と、を備える冷凍機である。
【0044】
第19の態様では、冷凍装置(10)を備えた冷凍機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、実施形態1の冷凍機の配管系統図である。
【
図2】
図2は、磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、磁気冷凍装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、力場集束部材の有無による磁束の流れを比較する図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態3の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態4の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態5の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態6の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態7の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態8の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態9の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態10の磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態11の冷凍装置の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
《実施形態1》
図1に示すように、冷凍機(1)は、熱媒体回路(2)を備える。冷凍機(1)は、例えば、空気調和装置に適用される。熱媒体回路(2)には、熱媒体が充填される。熱媒体は、例えば、冷媒、水、ブラインなどを含む。
【0047】
冷凍機(1)は、低温側熱交換器(3)と、高温側熱交換器(4)と、ポンプ(5)と、磁気冷凍装置(10)と、を備える。磁気冷凍装置(10)は、磁気熱量効果を利用して熱媒体の温度を調節する。
【0048】
熱媒体回路(2)は、閉ループ状に形成される。熱媒体回路(2)には、ポンプ(5)、低温側熱交換器(3)、磁気冷凍装置(10)、高温側熱交換器(4)が順に接続される。
【0049】
熱媒体回路(2)は、低温側流路(2a)と、高温側流路(2b)と、を含む。低温側流路(2a)は、磁気冷凍装置(10)の温調流路(10a)と、ポンプ(5)の第1ポート(6a)と、を接続する。高温側流路(2b)は、磁気冷凍装置(10)の温調流路(10a)と、ポンプ(5)の第2ポート(6b)と、を接続する。
【0050】
〈低温側熱交換器及び高温側熱交換器〉
低温側熱交換器(3)は、磁気冷凍装置(10)で冷却された熱媒体と、所定の冷却対象(例えば、二次冷媒や空気など)と、を熱交換させる。高温側熱交換器(4)は、磁気冷凍装置(10)で加熱された熱媒体と、所定の加熱対象(例えば、二次冷媒や空気など)と、を熱交換させる。
【0051】
〈ポンプ〉
ポンプ(5)は、第1動作と、第2動作と、を交互に繰り返し行う。第1動作では、熱媒体回路(2)の熱媒体を、
図1で時計回りに搬送する。第2動作では、熱媒体回路(2)の熱媒体を
図1で反時計回りに搬送する。ポンプ(5)は、熱媒体回路(2)の熱媒体を往復的に流動させる搬送機構を構成する。
【0052】
ポンプ(5)は、往復式のピストンポンプで構成される。ポンプ(5)は、ポンプケース(6)と、ピストン(7)と、を備える。
【0053】
ピストン(7)は、ポンプケース(6)の内部で進退可能に配置される。ピストン(7)は、ポンプケース(6)の内部を、第1室(S1)と、第2室(S2)と、に仕切る。ポンプケース(6)には、第1ポート(6a)と、第2ポート(6b)と、が設けられる。第1ポート(6a)は、第1室(S1)に連通する。第1ポート(6a)は、低温側流路(2a)に接続される。第2ポート(6b)は、第2室(S2)に連通する。第2ポート(6b)は、高温側流路(2b)に接続される。ピストン(7)は、駆動機構(図示省略)によって駆動される。
【0054】
第1動作では、ピストン(7)が第1ポート(6a)側に移動する。第1動作では、第1室(S1)の容積が小さくなり且つ第2室(S2)の容積が大きくなる。この結果、第1室(S1)の熱媒体は、第1ポート(6a)を通じて低温側流路(2a)に吐出される。同時に、高温側流路(2b)の熱媒体は、第2ポート(6b)を通じて第2室(S2)に吸い込まれる。
【0055】
第2動作では、ピストン(7)が第2ポート(6b)側に移動する。第2動作では、第2室(S2)の容積が小さくなり且つ第1室(S1)の容積が大きくなる。この結果、第2室(S2)の熱媒体は、第2ポート(6b)を通じて高温側流路(2b)に吐出される。同時に、低温側流路(2a)の熱媒体は、第1ポート(6a)を通じて第1室(S1)に吸い込まれる。
【0056】
〈制御部〉
冷凍機(1)は、制御部(8)を備える。制御部(8)は、所定の運転指令に応じて、ポンプ(5)及び磁気冷凍装置(10)の動作を制御する。制御部(8)は、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイス(具体的には半導体メモリ)と、を用いて構成される。
【0057】
〈磁気冷凍装置〉
図2は、磁気冷凍装置の構成を示す平面断面図である。
図3は、磁気冷凍装置の構成を示す側面断面図である。ここでいう「側面」とは、磁気作業物質(11)を流れる磁束の流れ方向に垂直な方向から見た面である。
図2及び
図3に示すように、磁気冷凍装置(10)は、熱量効果を有する固体冷媒物質としての磁気作業物質(11)と、力場集束部材(13)と、力場印加部としての磁場印加部(20)と、回転機構(15)と、を備える。ここで、力場とは磁場であり、力場密度は磁束密度である。
【0058】
磁気作業物質(11)は、磁気熱量効果を有する固体冷媒物質である。磁気熱量効果は、磁場が変動すると強磁性体から常磁性体へ相転移するなどして、発熱又は吸熱をする現象である。より具体的には、磁気作業物質(11)は、磁場が印加されることで発熱する。磁気作業物質(11)は、磁場が取り除かれることで吸熱する。なお、磁気作業物質(11)は、印加された磁場が強くなることでも発熱する。磁気作業物質(11)は、印加された磁場が弱くなることでも吸熱する。
【0059】
磁気作業物質(11)の材料としては、例えば、Gd5(Ge0.5Si0.5)4、La(Fe1-xSix)13、La(Fe1-xCoxSiy)13、La(Fe1-xSix)13Hy、Mn(As0.9Sb0.1)等を用いることができる。
【0060】
磁気作業物質(11)は、容器(12)内に収納される。容器(12)は、周方向に沿って円弧状に延びる。容器(12)は、例えば、非磁性材料で構成される。磁気作業物質(11) が収納された容器(12)は、周方向に所定の間隔をあけて複数配置される。容器(12)は、温調流路(10a)の一部であり、熱媒体が流入及び吐出するように構成される。容器(12)内の熱媒体は、磁気作業物質(11)の周囲を流通する。なお、
図3では容器(12)の図示を省略している。
【0061】
ここで、容器(12)の壁部の厚みが、磁気作業物質(11)の第2方向の外側を通る漏れ磁束を抑えることが可能なほど、十分に小さい場合には、容器(12)を軟磁性材料で構成してもよい。
【0062】
容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。力場集束部材(13)は、例えば、鉄で構成される。
【0063】
力場集束部材(13)は、磁場印加部(20)で磁場が印加される第1方向(
図2で上下方向)の長さが、第1方向に直交する第2方向(
図2で左右方向)の長さよりも小さく、且つ第1方向において磁気作業物質(11)で挟まれた位置に配置される。
【0064】
力場集束部材(13)は、第1方向に間隔をあけて複数配置される。
図2に示す例では、力場集束部材(13)は、第1方向に間隔をあけて2つ配置される。力場集束部材(13)は、容器(12)内で磁気作業物質(11)を複数の層に仕切っている。なお、力場集束部材(13)は、容器(12)内に1つのみ配置するようにしてもよい。
【0065】
回転機構(15)は、回転軸(16)と、モータ(17)と、を有する。回転軸(16)は、モータ(17)に連結される。モータ(17)は、回転軸(16)を回転させる。回転軸(16)には、磁場印加部(20)が連結される。
【0066】
磁場印加部(20)は、磁気作業物質(11)に対して磁場を印加して、磁気作業物質(11)に相転移を誘発する。磁場印加部(20)は、磁気作業物質(11)に対して周方向に相対移動する。具体的に、磁場印加部(20)は、モータ(17)の回転に伴って、回転軸(16)とともに軸心周りに回転する。これにより、磁気作業物質(11)に対して、磁場印加部(20)が相対回転移動する。
【0067】
磁場印加部(20)は、複数の永久磁石(21)と、ヨーク(30)と、を有する。ヨーク(30)は、軟磁性材料で構成される。ヨーク(30)は、例えば、鉄を鋳造又は焼結することで構成される。なお、ヨーク(30)は、電磁鋼板を積層させた構成としてもよい。
【0068】
ヨーク(30)は、第1コア部(31)と、第1径方向突部(32)と、第1軸方向突部(33)と、第2コア部(41)と、第2径方向突部(42)と、第2軸方向突部(43)と、を有する。
【0069】
第1コア部(31)は、筒状に形成される。第1コア部(31)には、回転軸(16)が連結される。第1径方向突部(32)は、第1コア部(31)から径方向外方に延びる。第1径方向突部(32)は、周方向に所定の間隔をあけて複数設けられる。第1軸方向突部(33)は、第1径方向突部(32)の先端部から下方に延びる。
【0070】
第2コア部(41)は、筒状に形成される。第2コア部(41)は、
図2で第1コア部(31)よりも下方に配置される。第2コア部(41)には、回転軸(16)が連結される。第2径方向突部(42)は、第2コア部(41)から径方向外方に延びる。第2径方向突部(42)は、周方向に所定の間隔をあけて複数設けられる。第2径方向突部(42)は、軸方向から見て第1径方向突部(32)と重なり合う位置に設けられる。第2軸方向突部(43)は、第2径方向突部(42)の先端部から上方に延びる。
【0071】
永久磁石(21)は、ヨーク(30)に設けられる。具体的に、永久磁石(21)は、ヨーク(30)における第1軸方向突部(33)及び第2軸方向突部(43)の先端部に配置され、接着剤などで固定される。なお、第1軸方向突部(33)及び第2軸方向突部(43)に図示しない磁石孔を形成して、磁石孔に永久磁石(21)を挿入するようにしてもよい。
【0072】
永久磁石(21)は、例えば、円弧状に形成される。永久磁石(21)の材料としては、例えば、Nd-Fe-B系の磁石や、SmCo系の磁石を用いることができる。永久磁石(21)は、ヨーク(30)に磁束を流す。
【0073】
第1軸方向突部(33)側の永久磁石(21)と、第2軸方向突部(43)側の永久磁石(21)とは、軸方向に対向する。互いに対向する一対の永久磁石(21)は、磁場印加部(20)の磁極を構成する。一対の永久磁石(21)の間には、磁気ギャップとしての空隙部(27)が設けられる。空隙部(27)には、磁気作業物質(11)が配置される。
【0074】
磁気作業物質(11)に対して一対の永久磁石(21)を軸方向に対向させると、磁気作業物質(11)の軸方向に磁束が流れる。なお、磁束の流れを仮想線の矢印線で示す。ここで、磁気作業物質(11)の大きさについて説明する。径方向には、永久磁石(21)の径方向幅と略同一外径且つ略同一内径であることが望ましい。周方向には、永久磁石(21)の周方向幅より大きいことが望ましい。磁気作業物質(11)が永久磁石(21)と対向せず、ヨーク(30)と対向する場合は、永久磁石(21)の径方向幅、周方向幅は、ヨーク(30)の磁気作業物質(11)との対向部における径方向幅、周方向幅、と読み替える。
【0075】
磁気冷凍装置(10)では、第1軸方向突部(33)側の永久磁石(21)から第2軸方向突部(43)側の永久磁石(21)に向かって磁束が流れる。これにより、磁場が印加された磁気作業物質(11)が発熱する。
【0076】
その後、磁場印加部(20)を回転移動させ、隣接する磁気作業物質(11)に対して一対の永久磁石(21)を軸方向に対向させる。これにより、最初に磁場を印加した磁気作業物質(11)は、磁場が取り除かれることで吸熱する。一方、隣接する磁気作業物質(11)は、磁場が印加されることで発熱する。
【0077】
回転機構(15)は、磁気作業物質(11)に対する永久磁石(21)の位置を相対移動させる移動機構を構成する。回転機構(15)は、永久磁石(21)を磁気作業物質(11)に対して相対的に移動させることで、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う。
【0078】
〈磁気作業物質における磁束の流れについて〉
以下、
図4を用いて、力場集束部材(13)が磁束の流れに与える影響について説明する。
図4では、磁束の流れを仮想線の矢印線で示す。
図4に示すように、容器(12)内に力場集束部材(13)を配置しない場合、上側の永久磁石(21)から下側の永久磁石(21)に向かって流れる磁束は、磁気作業物質(11)の外側を通るように膨らむ傾向にある。つまり、磁気作業物質(11)の第2方向の両端部に比べて、第2方向の中央部に流れる磁束が少なくなり、磁束密度が小さくなる。
【0079】
一方、本実施形態のように、容器(12)内に力場集束部材(13)を配置した場合、磁気作業物質(11)の外側を通るように膨らむ磁束の流れを抑えて、磁気作業物質(11)の第2方向の全体に磁束を流すことができる。これにより、磁気作業物質(11)における磁束密度を高めるとともに、磁束密度を均一化させることができる。
【0080】
-冷凍装置の運転動作-
冷凍機(1)の基本的な運転動作について、
図1を用いて説明する。冷凍機(1)は、加熱動作と、冷却動作とを交互に繰り返し行う。加熱動作と冷却動作とを切り換える周期は、例えば、0.1秒から1秒程度に設定される。
【0081】
〈加熱動作〉
加熱動作では、ポンプ(5)が第1動作を行うとともに、磁場印加部(20)が第1磁場印加動作を行う。つまり、加熱動作では、ポンプ(5)の第1ポート(6a)から熱媒体が吐出される。同時に、磁気作業物質(11)に磁場が印加される。
【0082】
ポンプ(5)の第1室(S1)から低温側流路(2a)に熱媒体が吐出されると、低温側流路(2a)の熱媒体は、磁気冷凍装置(10)の温調流路(10a)に流入する。第1磁場印加動作中の冷凍機(1)では、磁気作業物質(11)からその周囲の熱媒体へ熱が放出される。このため、温調流路(10a)を流れる熱媒体は、磁気作業物質(11)によって加熱される。温調流路(10a)で加熱された熱媒体は、高温側流路(2b)に流出し、高温側熱交換器(4)を流れる。高温側熱交換器(4)では、高温の熱媒体によって所定の加熱対象(例えば、二次冷媒や空気など)が加熱される。高温側流路(2b)の熱媒体は、ポンプ(5)の第2ポート(6b)から第2室(S2)に吸い込まれる。
【0083】
〈冷却動作〉
冷却動作では、ポンプ(5)が第2動作を行うとともに、磁場印加部(20)が第2磁場印加動作を行う。つまり、加熱動作では、ポンプ(5)の第2ポート(6b)から熱媒体が吐出されると同時に、磁気作業物質(11)の磁場が取り除かれる。
【0084】
ポンプ(5)の第2室(S2)から高温側流路(2b)に熱媒体が吐出されると、高温側流路(2b)の熱媒体は、磁気冷凍装置(10)の温調流路(10a)に流入する。第2磁場印加動作中の冷凍機(1)では、磁気作業物質(11)がその周囲の熱を奪う。このため、温調流路(10a)を流れる熱媒体は、磁気作業物質(11)によって冷却される。温調流路(10a)で冷却された熱媒体は、低温側流路(2a)に流出し、低温側熱交換器(3)を流れる。低温側熱交換器(3)では、低温の熱媒体によって所定の冷却対象(例えば、二次冷媒や空気など)が冷却される。低温側流路(2a)の熱媒体は、ポンプ(5)の第1ポート(6a)から第1室(S1)に吸い込まれる。
【0085】
-実施形態1の効果-
本実施形態の特徴によれば、固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、力場集束部材(13)は、力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ第1方向において固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置される。
【0086】
これにより、固体冷媒物質(11)の外側に広がって通ることにより固体冷媒物質(11)における力場が不均一になることを抑え、固体冷媒物質(11)における力場密度を高めるとともに、力場密度を均一化させることができる。
【0087】
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)を第1方向に複数配置し、見かけ上の磁気ギャップを狭くすることで、固体冷媒物質(11)の外側に広がって通ることにより固体冷媒物質(11)における力場が不均一になることを抑え、固体冷媒物質(11)における力場密度を均一化することができる。
【0088】
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)によって、容器(12)内で固体冷媒物質(11)を複数の層に仕切ることで、固体冷媒物質(11)が容器(12)内で偏った状態で配置されるのを抑えることができる。
【0089】
また、固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を、複数の層にそれぞれ流通させることで、流体の温度を調整することができる。
【0090】
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)を磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料で構成することで、磁気作業物質(11)における磁束密度を高めるとともに、磁束密度を均一化させることができる。
【0091】
本実施形態の特徴によれば、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行うことで、磁気作業物質(11)を発熱又は冷却することができる。
【0092】
本実施形態の特徴によれば、磁気冷凍装置(10)と、磁気冷凍装置(10)と熱交換する熱媒体回路(2)と、を備えた冷凍機(1)を提供できる。
【0093】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0094】
図5に示すように、磁気作業物質(11)は、容器(12)内に収納される。容器(12)は、軟磁性材料で構成される。容器(12)は、磁場印加部(20)で磁場が印加される第1方向に沿って複数配置される。
図5に示す例では、容器(12)が2つ配置される。
【0095】
2つの容器(12)は、容器(12)の壁部同士が当接した状態で配置される。容器(12)の壁部は、軟磁性材料で構成されているので、力場集束部材(13)は、隣接する容器(12)の壁部で構成される。
【0096】
-実施形態2の効果-
本実施形態の特徴によれば、容器(12)を軟磁性材料で構成することで、容器(12)の壁部を力場集束部材(13)として使用することができる。
【0097】
《実施形態3》
図6に示すように、磁気冷凍装置(10)は、磁気作業物質(11)と、磁場印加部(20)と、制御部(8)と、を備える。
【0098】
磁場印加部(20)は、永久磁石(21)と、ヨーク(30)と、コイル(50)と、電源(55)と、を有する。ヨーク(30)は、第1コア部(31)と、第1径方向突部(32)と、第1軸方向突部(33)と、第2コア部(41)と、第2径方向突部(42)と、第2軸方向突部(43)と、を有する。
【0099】
第1径方向突部(32)は、第1コア部(31)から径方向外方に延びる。第1軸方向突部(33)は、第1径方向突部(32)の先端部から下方に延びる。
【0100】
第2コア部(41)は、
図6で第1コア部(31)よりも下方に配置される。第2径方向突部(42)は、第2コア部(41)から径方向外方に延びる。第2径方向突部(42)は、軸方向から見て第1径方向突部(32)と重なり合う位置に設けられる。第2軸方向突部(43)は、第2径方向突部(42)の先端部から上方に延びる。
【0101】
第1軸方向突部(33)及び第2軸方向突部(43)の間には、磁気ギャップとしての空隙部(27)が設けられる。空隙部(27)には、磁気作業物質(11)が配置される。なお、第1軸方向突部(33)及び第2軸方向突部(43)は、磁気作業物質(11)の容器(12)に密着させた状態としてもよい。
【0102】
永久磁石(21)は、ヨーク(30)によって形成される磁路の途中に配置される。具体的に、永久磁石(21)は、第1コア部(31)と第2コア部(41)との間に設けられる。永久磁石(21)は、着磁量を変更できる磁石である。永久磁石(21)には種々の磁石を採用できる。一例として、永久磁石(21)には、重希土類元素を含まない希土類磁石(ネオジム磁石)、アルニコ磁石、鉄ニッケル磁石、窒化鉄磁石、サマリウムコバルト磁石等を採用できる。
【0103】
コイル(50)は、通電によりヨーク(30)に磁束を発生する。コイル(50)は、永久磁石(21)の近傍において、ヨーク(30)に導線が巻回されて形成される。コイル(50)に電流を流せば、ヨーク(30)を介して、永久磁石(21)に磁場を印加することができる。
【0104】
電源(55)は、コイル(50)に電流を供給する。電源(55)は、パルス電流を出力する。電源(55)は、出力する電流の向きを可変できる。電源(55)は、制御部(8)の制御に応じて、コイル(50)へのパルス電流の供給有無を切り替えることができる。制御部(8)は、コイル(50)の通電を制御する。
【0105】
制御部(8)は、コイル(50)の通電をオン又はオフすることで、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う。具体的に、永久磁石(21)に対して、磁場を印加したり、印加する磁場を除去したりすることによって、着磁量を変更できる。
【0106】
着磁工程において、永久磁石(21)に磁場が印加されると、永久磁石(21)の着磁量が増加して、磁気作業物質(11)に永久磁石(21)から磁場が印加される。磁気作業物質(11)に磁場が印加されると、磁気作業物質(11)が発熱する。
【0107】
一方、減磁工程において、永久磁石(21)に印加される磁場の向きを、着磁工程における磁場の向きとは逆にすると、永久磁石(21)の着磁量が減少する。永久磁石(21)の着磁量が低減すると、磁気作業物質(11)に印加される磁場が弱くなる。磁気作業物質(11)に印加される磁場が弱くなると、磁気作業物質(11)が吸熱する。
【0108】
なお、本実施形態では、コイル(50)に電流を流し、ヨーク(30)を介して、永久磁石(21)に磁場を印加することで、永久磁石(21)の着磁量を変更するようにしたが、この形態に限定するものではなく、例えば、永久磁石(21)をヨーク(30)に設けない構成としてもよい。この場合、コイル(50)の通電をオン又はオフして、コイル(50)で磁束を発生させることで、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行うようにしてもよい。
【0109】
-実施形態3の効果-
本実施形態の特徴によれば、磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行うことで、磁気作業物質(11)を発熱又は冷却することができる。
【0110】
《実施形態4》
図7に示すように、容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0111】
力場集束部材(13)における第2方向の中央部の厚みは、第2方向の端部よりも小さくなっている。具体的に、力場集束部材(13)は、第2方向の端部から中央部に向かって、力場集束部材(13)の厚みが徐々に小さくなるように傾斜した形状となっている。これにより、力場集束部材(13)における第2方向の中央部は、第2方向の端部よりも第1方向の磁場が通りにくくなっている。
【0112】
-実施形態4の効果-
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0113】
《実施形態5》
図8に示すように、容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0114】
力場集束部材(13)における第2方向の中央部の厚みは、第2方向の端部よりも小さくなっている。具体的に、力場集束部材(13)は、第2方向の端部から中央部に向かって、力場集束部材(13)の厚みが徐々に小さくなるように傾斜した形状となっている。さらに、力場集束部材(13)における第2方向の中央部には、第1方向に貫通する孔(25)が形成される。
【0115】
-実施形態5の効果-
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0116】
《実施形態6》
図9に示すように、容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0117】
力場集束部材(13)には、第1方向に貫通する孔(25)が、第2方向に間隔をあけて複数形成される。力場集束部材(13)における第2方向の中央部に形成された孔(25)の内径は、第2方向の端部に形成された孔(25)の内径よりも大きい。
【0118】
さらに、力場集束部材(13)における第2方向の中央部で隣接する孔(25)の間隔は、第2方向の端部で隣接する孔(25)の間隔よりも小さい。
【0119】
-実施形態6の効果-
本実施形態の特徴によれば、力場集束部材(13)における第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0120】
《実施形態7》
図10に示すように、磁気作業物質(11)は、容器(12)内に収納される。容器(12)は、非磁性材料で構成される。容器(12)は、磁場印加部(20)で磁場が印加される第1方向に沿って複数配置される。
図10に示す例では、容器(12)が2つ配置される。容器(12)の角部には、フィレット部(26)が設けられる。なお、容器(12)の角部に面取り部を設けるようにしてもよい。
【0121】
力場集束部材(13)は、隣接する容器(12)の壁部の間に配置される。また、力場集束部材(13)の一部は、隣接する容器(12)のフィレット部(26)の隙間にも配置される。
【0122】
力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0123】
-実施形態7の効果-
本実施形態の特徴によれば、第1方向に隣接する容器(12)の間に力場集束部材(13)を配置するだけで、固体冷媒物質(11)で力場集束部材(13)を挟んだ状態とすることができる。
【0124】
また、隣接する容器(12)の面取り部又はフィレット部(26)の隙間にも力場集束部材(13)を配置して、力場集束部材(13)における第2方向の端部の厚みを増やすことで、第2方向の端部の力場密度を高め、中央部の力場密度に近づけることができる。
【0125】
《実施形態8》
図11に示すように、容器(12)内には、温調流路(10a)が設けられる。温調流路(10a)を流れる熱媒体としての水は、磁気作業物質(11)と熱交換する。
【0126】
容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、第1方向に間隔をあけて2つ配置される。力場集束部材(13)は、容器(12)内で磁気作業物質(11)を複数の層に仕切っている。複数の層は、第1層(61)と、第2層(62)と、第3層(63)と、を含む。
【0127】
ここで、第1層(61)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、第2層(62)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、第3層(63)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、が異なるようにしている。
【0128】
力場集束部材(13)には、熱媒体を第1方向に流通させる流路(28)が設けられる。具体的に、
図11に示す例では、第1層(61)と第2層(62)とを仕切る力場集束部材(13)には、
図11で右端部に流路(28)が設けられる。また、第2層(62)と第3層(63)とを仕切る力場集束部材(13)には、
図11で左端部に流路(28)が設けられる。
【0129】
これにより、
図11で左上部に開口する温調流路(10a)の入口側から熱媒体が容器(12)内に流入した後、第1層(61)、第2層(62)、第3層(63)を順に通るように、ジグザグ状に熱媒体が流通し、
図11で右下部に開口する温調流路(10a)の出口側から熱媒体が流出する。
【0130】
-実施形態8の効果-
本実施形態の特徴によれば、固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を、流路(28)を通って第1層(61)と第2層(62)とに流通させることで、熱媒体の温度を徐々に変化させることができる。
【0131】
《実施形態9》
図12に示すように、容器(12)内には、温調流路(10a)が設けられる。温調流路(10a)を流れる熱媒体としての水は、磁気作業物質(11)と熱交換する。
【0132】
容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、第1方向に間隔をあけて2つ配置される。力場集束部材(13)は、容器(12)内で磁気作業物質(11)を複数の層に仕切っている。複数の層は、第1層(61)と、第2層(62)と、第3層(63)と、を含む。
【0133】
ここで、第1層(61)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、第2層(62)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、第3層(63)における磁気作業物質(11)のキュリー温度と、が異なるようにしている。
【0134】
力場集束部材(13)には、熱媒体を第1方向に流通させる流路(28)が設けられる。具体的に、
図12に示す例では、力場集束部材(13)には、第1方向に貫通する流路(28)が、第2方向に間隔をあけて複数設けられる(
図13も参照)。
【0135】
これにより、
図12で左上部に開口する温調流路(10a)の入口側から熱媒体が容器(12)内に流入した後、第1層(61)、第2層(62)、第3層(63)を順に通るように、熱媒体が流通し、
図12で右下部に開口する温調流路(10a)の出口側から熱媒体が流出する。
【0136】
なお、力場集束部材(13)に設ける流路(28)は、この形態に限定するものではない。例えば、
図14に示すように、力場集束部材(13)の第2方向の中央部に1つのみ流路(28)を設けるようにしてもよい。
【0137】
また、
図15に示すように、容器(12)の奥行方向に延びるスリット状の流路(28)を、第2方向に間隔をあけて複数設けるようにしてもよい。
【0138】
なお、
図13~
図15に示す例では、容器(12)の形状を、平面視で略矩形状として説明しているが、例えば、容器(12)の形状は、平面視で円弧状であってもよい。
【0139】
-実施形態9の効果-
本実施形態の特徴によれば、固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を、流路(28)を通って第1層(61)と第2層(62)とに流通させることで、熱媒体の温度を徐々に変化させることができる。
【0140】
《実施形態10》
図16に示すように、容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも磁場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である。
【0141】
力場集束部材(13)における第2方向の端部は、磁気作業物質(11)の第2方向の端部よりも第2方向の内側に配置される。力場集束部材(13)における第2方向の端部では、磁束密度が高いため、磁気作業物質(11)の外側の漏れ磁束が磁気作業物質(11)の内側に引き寄せられる(
図16の仮想線参照)。
【0142】
-実施形態10の効果-
本実施形態の特徴によれば、固体冷媒物質(11)の第2方向の端部から外側に向かう力場を、力場集束部材(13)の第2方向の端部側に引き寄せ、固体冷媒物質(11)における第2方向に端部の力場密度を高めることができる。
【0143】
《実施形態11》
図17に示すように、冷凍装置(10)は、電気熱量効果を有する固体冷媒物質としての電気熱量物質(11)と、力場集束部材(13)と、力場印加部としての電場印加部(20)と、を備える。
【0144】
電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に対して電場を印加する。電場印加部(20)は、一対の電極(22)と、電源(55)と、を有する。一対の電極(22)の間には、電気熱量物質(11)が配置される。一対の電極(22)は、電源(55)に接続される。電源(55)は、
図17に示すように、パルス電流を出力する。
【0145】
電気熱量物質(11)は、容器(12)内に収納される。容器(12)は、絶縁体で構成される。容器(12)内には、力場集束部材(13)が配置される。力場集束部材(13)は、電気熱量物質(11)よりも電場が通りやすい材料で構成される。力場集束部材(13)は、電気熱量物質(11)よりも導電性の高い導電体である。
【0146】
電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に電気熱量効果を誘発する方式で、電気熱量物質(11)を発熱又は吸熱する。具体的に、電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に電場変動を付与する。これにより、電気熱量物質(11)が強誘電体から常誘電体へ相転移するなどして、電気熱量物質(11)が発熱又は吸熱する。
【0147】
また、電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に圧力熱量効果を誘発する方式であってもよい。この場合、電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に圧力変動を付与することによって、電気熱量物質(11)が相転移して発熱又は吸熱する。
【0148】
また、電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に弾性熱量効果を誘発する方式であってもよい。この場合、電場印加部(20)は、電気熱量物質(11)に応力変動を付与することによって、電気熱量物質(11)が相転移して発熱又は吸熱する。
【0149】
-実施形態11の効果-
本実施形態の特徴によれば、電気熱量物質(11)における電束密度を高めるとともに、電束密度を均一化させることができる。
【0150】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0151】
本実施形態では、永久磁石(21)と、永久磁石(21)の位置を移動させる移動機構として、回転軸(16)と、モータ(17)と、を有する回転機構(15)を用いた構成について説明したが、この形態に限定するものではない。例えば、移動機構として、シリンダと、シリンダロッドと、を有する直動機構を用いて、永久磁石(21)を磁気作業物質(11)に対して相対的に移動させるようにしてもよい。
【0152】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上説明したように、本開示は、冷凍装置及び冷凍機について有用である。
【符号の説明】
【0154】
1 冷凍機
2 熱媒体回路
8 制御部
10 磁気冷凍装置(冷凍装置)
11 磁気作業物質、電気熱量物質(固体冷媒物質)
12 容器
13 力場集束部材
15 回転機構(移動機構)
20 磁場印加部、電場印加部(力場印加部)
21 磁石
25 孔
26 フィレット部
28 流路
50 コイル
61 第1層
62 第2層
63 第3層
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、
前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置される
冷凍装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)は、前記第1方向に間隔をあけて複数配置される
冷凍装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部は、前記第2方向の端部よりも前記第1方向の力場が通りにくい
冷凍装置。
【請求項4】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部の厚みは、前記第2方向の端部よりも小さい
冷凍装置。
【請求項5】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部には、前記第1方向に貫通する孔(25)が形成される
冷凍装置。
【請求項6】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部に形成された前記孔(25)の内径は、前記第2方向の端部に形成された前記孔(25)の内径よりも大きい
冷凍装置。
【請求項7】
請求項3に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記第1方向に貫通する孔(25)が、前記第2方向に間隔をあけて複数形成され、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の中央部で隣接する前記孔(25)の間隔は、前記第2方向の端部で隣接する前記孔(25)の間隔よりも小さい
冷凍装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)における前記第2方向の端部は、前記固体冷媒物質(11)の前記第2方向の端部よりも前記第2方向の内側に配置される
冷凍装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記容器(12)内で前記固体冷媒物質(11)を複数の層に仕切っている
冷凍装置。
【請求項10】
請求項9に記載の冷凍装置において、
前記複数の層は、第1層(61)と、第2層(62)と、を含み、
前記第1層(61)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度と、前記第2層(62)における前記固体冷媒物質(11)のキュリー温度とが異なる
冷凍装置。
【請求項11】
請求項10に記載の冷凍装置において、
前記力場集束部材(13)には、前記固体冷媒物質(11)と熱交換する熱媒体を前記第1方向に流通させる流路(28)が設けられる
冷凍装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の間に配置される
冷凍装置。
【請求項13】
請求項12に記載の冷凍装置において、
前記容器(12)の角部には、面取り部又はフィレット部(26)が設けられ、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の前記面取り部又は前記フィレット部(26)の隙間にも配置される
冷凍装置。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の冷凍装置において、
前記固体冷媒物質(11)は、磁気作業物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記磁気作業物質(11)に対して磁場を印加する磁場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料である
冷凍装置。
【請求項15】
請求項14に記載の冷凍装置において、
前記磁気作業物質(11)を収納する容器(12)を備え、
前記容器(12)は、軟磁性材料で構成され、
前記容器(12)は、前記第1方向に沿って複数配置され、
前記力場集束部材(13)は、隣接する前記容器(12)の壁部で構成される
冷凍装置。
【請求項16】
熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、
前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置され、
前記固体冷媒物質(11)は、磁気作業物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記磁気作業物質(11)に対して磁場を印加する磁場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料であり、
前記磁場印加部(20)は、互いに対向する一対の永久磁石(21)と、前記永久磁石(21)の位置を移動させる移動機構(15)と、を有し、
前記固体冷媒物質(11)は、前記一対の永久磁石(21)の間に配置され、
前記移動機構(15)は、前記永久磁石(21)を前記磁気作業物質(11)に対して相対的に移動させることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う
冷凍装置。
【請求項17】
熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、
前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置され、
前記固体冷媒物質(11)は、磁気作業物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記磁気作業物質(11)に対して磁場を印加する磁場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記磁気作業物質(11)よりも透磁率が大きい軟磁性材料であり、
前記磁場印加部(20)は、ヨーク(30)と、通電により前記ヨーク(30)に磁束を発生するコイル(50)と、前記コイル(50)の通電を制御する制御部(8)と、を有し、
前記ヨーク(30)は、互いに対向する第1突部(33)及び第2突部(43)を有し、
前記固体冷媒物質(11)は、前記第1突部(33)と前記第2突部(43)との間に配置され、
前記制御部(8)は、前記コイル(50)の通電をオン又はオフすることで、前記磁気作業物質(11)に対する磁場の印加又は除去を行う
冷凍装置。
【請求項18】
熱量効果を有する固体冷媒物質(11)と、前記固体冷媒物質(11)に対して力場を印加して前記固体冷媒物質(11)に相転移を誘発する力場印加部(20)と、を備えた冷凍装置であって、
前記固体冷媒物質(11)よりも力場が通りやすい力場集束部材(13)を備え、
前記力場集束部材(13)は、前記力場印加部(20)で力場が印加される第1方向の長さが、前記第1方向に直交する第2方向の長さよりも小さく、且つ前記第1方向において前記固体冷媒物質(11)で挟まれた位置に配置され、
前記固体冷媒物質(11)は、電気熱量効果を有する電気熱量物質(11)であり、
前記力場印加部(20)は、前記電気熱量物質(11)に対して電場を印加する電場印加部(20)であり、
前記力場集束部材(13)は、前記電気熱量物質(11)よりも導電性の高い導電体であり、
前記電場印加部(20)は、互いに対向する一対の電極(22)と、前記一対の電極(22)に接続された電源(55)と、を有し、
前記固体冷媒物質(11)は、前記一対の電極(22)の間に配置される
冷凍装置。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の冷凍装置(10)と、
前記冷凍装置(10)と熱交換する熱媒体回路(2)と、を備える
冷凍機。