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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048531
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】設備機器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154491
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】浅野 友徳
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晴彦
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AC01
3L037AC05
3L037CA01
3L037CB02
(57)【要約】
【課題】集合住宅のパイプシャフトに設置される設備機器であって、フロントカバーの開放時に排気筒等の筒状体の先端部をフロントカバーに形成した開口穴から円滑に離脱させるようにした設備機器を提供する。
【解決手段】集合住宅のパイプシャフト(2)に設置される設備機器(1)は、前面が開口とされた箱状の機器本体(10)と、開口を覆うフロントカバー(11)を備えており、フロントカバー(11)に排気筒などの筒状体(20)の先端部を挿入する開口穴(21)が形成された設備機器(1)において、フロントカバー(11)は、一端が機器本体(10)にヒンジ部材(12)で連結され、メンテナンス時にはヒンジ部材(12)を支点として回動して開閉するように構成され、筒状体(20)は、フロントカバー(11)を開放する際には前後方向長さを縮小するように伸縮可能に構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のパイプシャフトに設置される設備機器であって、
前記設備機器は、前面が開口とされた箱状の機器本体と、前記開口を覆うフロントカバーを備えており、前記フロントカバーに排気筒などの筒状体の先端近傍部を突出させる開口穴が形成された設備機器において、
前記フロントカバーは、一端が前記機器本体にヒンジ部材で連結され、メンテナンス時には前記ヒンジ部材を支点として回動して開閉するように構成され、
前記筒状体は、前後方向長さを縮小するように伸縮可能に構成されていることを特徴とする設備機器。
【請求項2】
前記筒状体は、複数の筒部材がインロー構造となるように構成され、
筒部材と筒部材の間にはシール部材が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の設備機器。
【請求項3】
前記ヒンジ部材は、前記フロントカバーを上方へ所定距離移動することで、前記フロントカバーを前記機器本体から分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備機器。
【請求項4】
前記フロントカバー内には、内面側に前記設備機器の制御基板や電源基板などの電装品が装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器に関し、特に集合住宅のパイプシャフト(PS)に設置する設備機器のメンテナンス性を高めたものに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅のパイプシャフトに給湯装置や熱源機を設置する場合、貯湯タンクユニットは、パイプシャフト内に設置し、補助熱源機(給湯器)と主熱源機(ヒートボンプ又は給湯装置)をパイプシャフトの開口部の枠体に並べて固定することになる。
そのため、補助熱源機と主熱源機のケース形状は幅が狭く、奥行きが長い形状になり、これらの機器をメンテナンスする際には機器の前面扉のみを開放して前面側からのみ行う一方向メンテナンスが要請される。
【0003】
特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、筐体本体部の前面を観音開き方式の左扉と右扉で開閉可能に構成し、筐体本体部の内部の左側部分に燃焼器と燃料電池スタックと改質器と蒸発器と熱交換器等のモジュール部を配置し、筐体本体部の内部の右側部分に検知器、燃料ガス供給装置、酸化ガス供給装置、水供給装置等を配置し、右扉の内面に電力変換装置と制御装置を取付けた構造が採用されている。
【0004】
この燃料電池システムによれば、右扉の内面にも機器を装備しているため、メンテナンスの際には、左右の扉を開放すれば、筐体本体部の前面と右扉の内面からメンテナンスを行うことが可能であるため、メンテナンス性に優れる。
他方、特許文献2に記載の給湯機の取付構造(扉内設置タイプ)においては、パイプシャフトの前面の固定フレームに取付部材を介して給湯機を取付け、その排気筒を、給湯機の前面側を開閉する扉に形成した開口部から突出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5524693号公報
【特許文献2】特開2022-19081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、給湯器や給湯装置等の設備機器をパイプシャフトの開口部の枠体に固定した場合、設備機器本体から延びる排気筒の先端部を、設備機器本体にヒンジ結合された回動式のフロントカバーに形成した開口穴とその前面側の扉に形成した開口部から突出させることになる。この場合、フロントカバーを回動にて開放する際に、排気筒の先端部を開口穴及びか開口部から円滑に離脱させることが難しい。
【0007】
特に、フロントカバーの厚みを大きくして、フロントカバーの内面に機器を装備した場合には、フロントカバー開放時における開口穴の移動軌跡が、排気筒と平行ではなく排気筒と交差する方向へ移動することになるため、排気筒の先端部を開口穴から円滑に離脱させることが難しい。
【0008】
本発明の目的は、集合住宅のパイプシャフトに設置される設備機器であって、フロントカバーの開放時に排気筒等の筒状体の先端部をフロントカバーに形成した開口穴から円滑に離脱させるようにした設備機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の設備機器は、集合住宅のパイプシャフトに設置される設備機器であって、前記設備機器は、前面が開口とされた箱状の機器本体と、前記開口を覆うフロントカバーを備えており、前記フロントカバーに排気筒などの筒状体の先端近傍部を突出させる開口穴が形成された設備機器において、前記フロントカバーは、一端が前記機器本体にヒンジ部材で連結され、メンテナンス時には前記ヒンジ部材を支点として回動して開閉するように構成され、前記筒状体は、前後方向長さを縮小するように伸縮可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、前記設備機器は、前面が開口とされた箱状の機器本体と、前記開口を覆うフロントカバーを備え、前記フロントカバーに排気筒などの筒状体の先端部を挿入する開口穴が形成されている。メンテナンスの際には、フロントカバーをヒンジ部材を支点として回動して開放する。このとき、フロントカバーの開放前に、排気筒などの筒状体は前後方向長さを縮小させて、その先端部をフロントカバーに形成された開口穴から離脱させてから、フロントカバーを開放する。そのため、筒状体の先端部が開口穴と干渉することがない。
【0011】
特に、フロントカバーの内面に設備機器の装備品を装備した場合でも、筒状体は前後方向長さを縮小させて、フロントカバーの開口穴から筒状体の先端部を離脱させてから、フロントカバーを開放するため、筒状体の先端部が開口穴と干渉することがない。
【0012】
請求項2の設備機器は、請求項1の発明において、前記筒状体は、複数の筒部材がインロー構造となるように構成され、筒部材と筒部材の間にはシール部材が装着されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、インロー構造により簡単な構造で筒状体を伸縮可能な構成とすることができ、シール部材によりシール性を確保できる。
【0013】
請求項3の設備機器は、請求項1又は2の発明において、前記ヒンジ部材は、前記フロントカバーを上方へ所定距離移動することで、前記フロントカバーを前記機器本体から分離可能に構成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、フロントカバーを機器本体から分離可能であるため、設置作業やメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0014】
請求項4の設備機器は、請求項1又は2の発明において、前記フロントカバー内には、内面側に前記設備機器の制御基板や電源基板などの電装品が装着されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、フロントカバーを開放すれば、制御基板や電源基板などの電装品を外界へ露出させることができるから、故障や不具合等の発生頻度の高い電装品のメンテナンス性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明は優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る給湯装置をパイプシャフトの金枠に取り付けた設備機器取付構造を示す斜視図である。
図2図1に示す設備機器取付構造の要部の正面図である。
図3図1に示す設備機器取付構造の要部の斜視図である。
図4】設備機器のフロントカバーの斜視図である。
図5図1に示す設備機器取付構造の平面図である。
図6図1に示す設備機器取付構造の側面図である。
図7】フロントカバーを取り外した状態の図1に示す設備機器取付構造の斜視図である。
図8】筒状体の斜視図である。
図9】筒状体(伸長状態)の断面図である。
図10】筒状体(収縮状態)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
図1図7に示すように、設備機器である給湯装置1を集合住宅のパイプシャフト 2に設置する設備機器取付構造を例にして説明する。尚、図1において、Fは前方、Uは上方、Lは左方を示す。パイプシャフト2には、水道管3やガス供給管4等が設置されており、このパイプシャフト2の前面の開口部には金枠6が固定されている。
【0018】
給湯装置1は、前面が開口7(図7参照)とされた箱状の機器本体10と、前記の開口7を覆うフロントカバー11を備えており、フロントカバー11は、ヒンジ部材12を支点として回動により開閉可能に構成されている。
【0019】
金枠6は、鋼製の部材で構成されてパイプシャフト開口部の前面外周に設置された外周枠 6aと、この外周枠6aの中段を横断する横枠部材6bと、この横枠部材6bの上側の機器設置領域を左側領域13a対右側領域13bの比率を約2:5に分割するように配置された縦枠部材6cを有する。外周枠6と横枠部材6bと縦枠部材6cは夫々フランジ部を有する。
【0020】
給湯装置1は、一般に扉内ケースと称する取付枠14を介して金枠6の右側領域 13bに取付けられている。取付枠14は、所定の前後長を有する矩形筒体であり、左辺部材 14aと、右辺部材14bと、上辺部材14cと、下辺部材14dとを有し、これらの辺部材 の後端に形成された取付壁部14eの矩形状の取付開口14kに給湯装置1を前側から挿入固定した状態で、この取付枠14を金枠6に複数のビスで固定することで、給湯装置1が金枠6に取付けられている。但し、フロントカバー11の前端は取付枠14の前端より後方に位置している。また、フロントカバー11の前面側を開閉する扉30(図7参照)が金枠6の前端にヒンジ結合されている。
【0021】
この給湯装置1のフロントカバー11は、図4に示すように、取付枠14の前後長と同程度の前後長を有する矩形の箱状体に形成され、このフロントカバー11の右端部の上端近傍部と中段部と下端近傍部がヒンジ部材12で夫々機器本体10の右端部に連結され、メンテナンス時にはヒンジ部材12を支点として回動して開閉するように構成されている。
【0022】
図4図7に示すように、各ヒンジ部材12は、機器本体10の右端部に固定された筒部材 12a及びこの筒部材12aから上方へ突出するピン部材12bと、フロントカバー11の右端部に固定された筒部材12cであって、上記のピン部材12bが挿入される筒部材12c を有する。
【0023】
給湯装置1の設置時やメンテナンス時などにおいては、フロントカバー11を所定距離上方へ移動させると、筒部材12cがピン部材12bから外れるため、必要に応じて、フロントカバー11を機器本体10から分離可能である。図7は、機器本体10からフロントカバー11を取り外した状態の斜視図であり、図4は取り外したフロントカバー11の斜視図である。メンテナンス時にヒンジ部材12を支点としてフロントカバー11を回動させて開閉するため、前記の取付枠14の右辺部材14bは、フロントカバー11の前後長以上の左右幅を有する。
【0024】
給湯装置1はガス燃焼式給湯器であり、この給湯装置1は、加熱燃焼モジュール15と、補機類16と、電源基板17と、制御基板18とを有する。補機類16は、燃料ガス供給手段、燃焼空気供給手段、給水手段、流量調整手段等を有する。
【0025】
図7に示すように、メンテナンス時にフロントカバー11を取り外した状態では、機器本体 10の内部の上部に装備された加熱燃焼モジュール15の前面と、機器本体10の内部の下部に装備された補機類16の前面が開放状態になる。
【0026】
また、フロントカバー11の内部には電源基板17と制御基板18などの電装品が取付けられており、フロントカバー11を取り外した状態では、電源基板17と制御基板18が開放状態となる。
尚、電源基板17と制御基板18には夫々ハーネスがコネクタを介して接続されているが、それらは図示省略した。
【0027】
図4図7に示すように、加熱燃焼モジュール15の前面から前方へ延びる排気筒などの筒状体20が設けられ、フロントカバー11には上記の筒状体20の先端近傍部を突出させる開口穴21が形成されている。また、扉30には筒状体20の先端部を突出させる開口穴31が形成されている。
【0028】
図8図10に示すように、筒状体20の断面形状は左右方向に細長の長円形であり、筒状体20は、太さの異なる複数の筒部材22~24がインロー構造(テレスコピック構造)となるように構成され、筒部材22~24と筒部材22~24の間にはシール部材25が装着されている。このように、筒状体20は、フロントカバー11を開放する際には前後方向長さを縮小するように伸縮可能に構成されている。尚、通常の使用状態では、最も先端側の筒部材24が扉30の開口穴31から突出している。
【0029】
次に、以上説明した給湯装置1の作用効果について説明する。
フロントカバー11が所定の前後長を有する矩形の箱状体に形成され、そのフロントカバー11の右端が機器本体10の右端部にヒンジ部材12を介して回動可能に連結されているため、メンテナンス時など、フロントカバー11を回動して開放状態にすると、機器本体10の前面とフロントカバー11の内面とが開放状態になるため、メンテナンス可能領域が2倍に拡大されるから、メンテナンス性が格段に向上する。
【0030】
フロントカバー11を機器本体10から取り外すことができるため、設置時やメンテナンス時に、必要に応じてフロントカバー11を機器本体10から取り外すことができ、作業性を高めることができる。
【0031】
フロントカバー11が所定の前後長を有する関係上、フロントカバー11をヒンジ部材12 を中心として回動させて開放する時、フロントカバー11の開口穴21及び扉30の開口穴31の移動方向が筒状部材20の方向と交差する方向になるため、筒状体20と開口穴21,31の干渉が生じ、フロントカバー11を円滑に開放できない虞がある。
そこで、筒状体20の複数の筒部材21~23をインロー構造とし、フロントカバー11の開放前に筒状体20の前後方向長さを縮小させ、筒状体20の先端部を開口穴21,31から後方へ後退させておくことで、筒状体20と開口穴21,31の干渉を防止し、フロントカバー11を円滑に開放することができる。
【0032】
筒状体20は、複数の筒部材22~24をインロー構造にして構成されているため、簡単な構造で伸縮可能な筒状体20とすることができる。また、筒部材21~23と筒部材21~23の間にはシール部材25が装着されているため、インロー構造のガタツキをなくし、シール性を確保することができる。
【0033】
ヒンジ部材12として分離可能なヒンジ部材を採用してフロントカバー11を機器本体10から分離可能に構成したため、給湯装置1の設置作業やメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0034】
フロントカバー11内には、内面側に給湯装置1の制御基板18や電源基板17などの電装品が装着されているため、フロントカバー11を開放すれば、制御基板18や電源基板17などの電装品を露出させることができるから、故障や不具合等の発生頻度の高い電装品のメンテナンス性を高めることができる。
【0035】
次に、前記実施形態を部分的に変更する例について説明する。
1)設備機器として給湯装置1を取り付ける場合を例にして説明したが、設備機器は給湯装置に限るものではなく、ヒートポンプユニットでもよく、燃料電池ユニットでもよい。
2)筒状体20は、断面長円形のものに限るものではなく、断面円形のものでもよい。
【0036】
3)設備機器のフロントカバー11は、機器本体10の右端部にヒンジ部材12を介して連結された場合を例にして説明したが、フロントカバー11を機器本体10の左端部にヒンジ部材12を介して連結することも可能である。
【0037】
4)機器設置領域のうちの左側領域13aに設備機器を設置する場合も、本発明を同様に適用可能である。
5)その他、当業者ならば前記実施形態に種々の変更を付加して実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0038】
1 給湯装置(設備機器)
2 パイプシャフト
10 機器本体
11 フロントカバー
12 ヒンジ部材
17 電源基板
18 制御基板
20 筒状体
21 開口穴
22,23,24 筒部材
25 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10