(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048533
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20240402BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240402BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20240402BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240402BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240402BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B45/10
H05B47/18
H05B47/105
H05B45/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154494
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】羽生田 有美
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA07
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA05
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA62
3K273UA18
3K273UA22
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】所望の光色を再現できる照明システムを提供する。
【解決手段】制御部25は、1つの照明器具12に複数の対象のチャンネルが割り当てられ、複数の対象のチャンネルの調光率が操作装置11で操作された場合、記憶部24に記憶された対象のチャンネルの混色比を参照し、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の発光素子27の明るさを制御する。制御部25は、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える場合、最も高い光色の出力値が上限値となる割合で各光色の出力値を低下させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に制御可能な複数の光色の発光素子を有する照明器具と;
前記照明器具に制御のために割り当てられる複数のチャンネルと、チャンネル毎に登録される各光色の出力割合である混色比と、を記憶する記憶部と;
チャンネル毎の調光率を操作する操作装置と;
1つの前記照明器具に複数の対象のチャンネルが割り当てられ、その複数の対象のチャンネルの調光率が前記操作装置で操作された場合、前記記憶部に記憶された対象のチャンネルの混色比を参照し、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の前記発光素子の明るさを制御する制御部と;
を備え、
前記制御部は、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える場合、最も高い光色の出力値が上限値となる割合で各光色の出力値を低下させる
を備えることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
個別に制御可能な複数の光色の発光素子を有する照明器具と;
前記照明器具に制御のために割り当てられる複数のチャンネルと、チャンネル毎に登録される各光色の出力割合である混色比と、を記憶する記憶部と;
チャンネル毎の調光率を操作する操作装置と;
1つの前記照明器具に複数の対象のチャンネルが割り当てられ、その複数の対象のチャンネルの調光率が前記操作装置で操作された場合、前記記憶部に記憶された対象のチャンネルの混色比を参照し、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の前記発光素子の明るさを制御する制御部と;
を備え、
前記制御部は、赤色を混色比の制御対象に含んで構成される白色の光色の混色比が登録されたチャンネルがある場合、該チャンネルの調光率を下げていくにつれて、白色の光色の混色比における赤色の比率を増加させる
ことを特徴とする照明システム。
【請求項3】
前記記憶部は、予め初期登録された混色比と、任意に登録される混色比と、を記憶可能とする
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、舞台照明やスタジオ照明などに用いられる照明器具では、ハロゲン電球を光源とし、カラーフィルタを組み合わせることで、光色を調整していた。また、複数の照明器具もしくは複数の光照射口にそれぞれ異なるカラーフィルタを組み合わせて、所望の光色に調整する場合もあった。
【0003】
近年、舞台照明やスタジオ照明などに用いられる照明器具でも、光源としてLEDなどの発光素子が用いられ、赤、緑、青の発光素子の組み合わせで光色を調整している。このような照明器具においては、従来のハロゲン電球とカラーフィルタによって作り出される光色を、カラーフィルタを用いずに、赤、緑、青などのLED発光素子の出力調整によって作り出すことが要望されている。
【0004】
また、この照明器具を、複数のチャンネルを含む制御信号を用いて通信する調光卓により制御する場合、1つの照明器具に複数のチャンネルを割り当てることにより、チャンネル毎の調光率を個別に操作することで、チャンネル毎に登録された光色で明るさを調整可能となっている。そして、複数のチャンネルを合わせて光色を調整する場合には、従来の複数のカラーフィルタを組み合わせた場合の光色をLEDで再現した場合に、所望の光色を再現できることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、所望の光色を再現できる照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の照明システムは、照明器具と、記憶部と、操作装置と、制御部と、を備える。照明器具は、個別に制御可能な複数の光色の発光素子を有する。記憶部は、照明器具に制御のために割り当てられる複数のチャンネルと、チャンネル毎に登録される各光色の出力割合である混色比と、を記憶する。操作装置は、チャンネル毎の調光率を操作する。制御部は、1つの照明器具に複数の対象のチャンネルが割り当てられ、複数の対象のチャンネルの調光率が操作装置で操作された場合、記憶部に記憶された対象のチャンネルの混色比を参照し、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の発光素子の明るさを制御する。制御部は、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える場合、最も高い光色の出力値が上限値となる割合で各光色の出力値を低下させる。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の照明システムによれば、所望の光色を再現することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態を示す照明システムの構成図である。
【
図2】同上照明システムの各光色の調光率のグラフを示し、(a)はチャンネル1の各光色の調光率を示すグラフ、(b)はチャンネル2の各光色の調光率を示すグラフ、(c)はチャンネル1、2の各光色の調光率を合計した調光率を示す比較例のグラフである。
【
図3】同上照明システムの各光色の調光率のグラフを示し、(a)はチャンネル1の各光色の調光率を示すグラフ、(b)はチャンネル2の各光色の調光率を示すグラフ、(c)はチャンネル1、2の各光色の調光率を合計した調光率を示す比較例のグラフ、(d)はチャンネル1、2の各光色の調光率を合計した調光率を調整したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に照明システム10の構成図を示す。照明システム10は、例えば舞台照明やスタジオ照明などに用いられる。照明システム10は、上位機である操作装置11と、この操作装置11と通信可能に接続される1つまたは複数の照明器具12と、を備えている。
図1には1つの照明器具12を示すが、舞台やスタジオに設置される複数の照明器具12が、例えば、スプリッタやハブを介したり、カスケード接続により、直接的に、または間接的に操作装置11と接続される。
【0012】
操作装置11と照明器具12との間の通信には、DMX(Digital Multiplex)規格やDMX規格を拡張した双方向通信可能とするRDM(Remote Device Management)規格などの通信プロトコルの信号が用いられる。操作装置11と照明器具12との間は、DMXケーブルや他の通信ケーブルによって接続される。他の通信ケーブルが用いられる場合、DMXやRDMなどの通信プロトコルの信号と、例えば、Art-net、イーサネット(登録商標)、LANなどの通信方式の信号と、を変換するノードを介して、操作装置11と複数の照明器具12とが接続される。
【0013】
DMXやRDMなどの通信プロトコルの信号には、照明器具12を制御するための複数のチャンネルが含まれており、1つの照明器具12に1つまたは複数のチャンネルが割り当てられ、チャンネル毎に照明器具12の調光率(明るさ)などの制御情報が対応付けされる。操作装置11ではチャンネル毎に調光率などの制御項目が操作され、照明器具12では自己に割り当てられた対象のチャンネルの調光率などの制御情報を取得して制御する。
【0014】
そして、操作装置11としては、舞台やスタジオでのシーンに応じて照明器具12を操作する調光卓が用いられる。操作装置11は、照明器具12の調光率を操作可能なフェーダやホイールなどの複数の操作部15と、設定や登録あるいは操作の情報などを表示する表示部と、操作装置11を制御する制御部と、各種情報を記憶する記憶部と、照明器具12と通信する通信部と、などを備えている。
図1には操作部15としてフェーダの例を示し、フェーダ毎にチャンネルが割り当てられ、フェーダを操作することで対象のチャンネルが割り当てられた照明器具12の調光率を操作可能とする。なお、操作装置11は、調光卓に限らず、パソコンやタブレットなどの端末装置であってもよい。
【0015】
また、照明器具12は、舞台やスタジオなどに設置される例えばスポットライトやホリゾントライトなどの各種器具が含まれる。
【0016】
照明器具12は、光源部20と、この光源部20を点灯させる電源部21と、光源部20からの光の照射を制御する光学系22と、各種設定を行うための設定部である操作部23と、各種情報を記憶する記憶部24と、光源部20を制御する制御部25と、操作装置11と通信する通信部26と、などを備えている。
【0017】
光源部20は、基板と、この基板に実装された個別に制御可能な複数の異なる光色の発光素子27を備えている。発光素子27は、例えば、SMD(Surface Mount Device)パッケージタイプのLEDや、CSP(Chip Scale Package)タイプのLEDなどが用いられる。また、光源部20は、COB(Chip On Board)タイプの光源であってもよく、この場合、複数の発光素子27は、1枚の基板上に配設される。光源部20は、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の光色の光を発光する発光素子27を備え、これら発光素子27からの光の混色によって照明器具12から照射する光の光色を調整可能とする。なお、発光素子27には、赤、緑、青の他に、アンバー、シアン、ライムなどの光色の少なくともいずれか1つの光色を発光する発光素子27を備えていてもよい。各光色の発光素子27は、それぞれ複数個ずつ用いられ、基板に混色性を考慮した配置で実装されている。
【0018】
電源部21は、制御部25の制御に応じて、光色毎に発光素子27に点灯電力を供給し、光色毎に発光素子27を点灯させ、明るさを調整する。
【0019】
光学系22は、光源部20の光を集光するレンズや反射する反射板などが含まれ、照明器具12からの光の照射を制御する。
【0020】
操作部23は、自己の照明器具12のアドレスやチャンネルの割り当てなどを含む照明器具12に関する各種設定事項を設定可能とする。操作部23には、設定情報を表示する液晶表示器などの表示部を備えている。
【0021】
記憶部24は、各種設定事項を記憶する。記憶部24に記憶される設定事項には、自己の照明器具12に割り当てられるチャンネルと、チャンネル毎に登録される各光色の発光素子27の出力割合である混色比と、が含まれる。チャンネルおよび混色比の登録は、操作部23で行ってもよいし、RDMによる双方向通信可能な場合には操作装置11から行ったり、ノードを経由して設定変更ソフトにより行われたりしてもよい。
【0022】
なお、これらチャンネルや混色比の記憶は、照明器具12の記憶部24に限らず、操作装置11の記憶部でもよく、あるいはサーバーやクラウドなどの別の記憶部でもよい。
【0023】
ここで、
図2(a)および
図3(a)にチャンネル1の各光色の調光率の例を示し、
図2(b)および
図3(b)にチャンネル2の各光色の調光率の例を示す。
図2においては、チャンネル1の赤、緑、青の光色の混色比は10:5:1であり、チャンネル2の赤、緑、青の光色の混色比は2:10:3であり、これらチャンネル1、2にそれぞれ登録される混色比が記憶部24に記憶される。なお、
図3(a)は赤の光色の調光率が上限の100%の状態となるチャンネル1の調光率が上限の100%の状態を示し、
図3(b)は緑の光色の調光率が上限の100%の状態となるチャンネル2の調光率が上限の100%の状態を示す。
【0024】
なお、以下、1つの照明器具12に2つのチャンネル1、2が割り当てられているものとして説明する。また、ここでは、照明器具12に2つのチャンネル1、2が割り当てられるものとするが、3つ以上のチャンネルが割り当てられていてもよい。さらに、操作装置11には、操作部15aにチャンネル1が割り当てられ、操作部15bにチャンネル2が割り当てられているものとする。
【0025】
混色比は、メーカー側で予め初期登録された混色比であってもよいし、ユーザー側で任意に登録される混色比でもよく、任意の混色比を任意のチャンネルに登録し、記憶部24に記憶できる。そして、混色比が予め初期登録されていることで、ユーザー側で直ぐにチャンネルに混色比の光色を登録して使用することができ、さらに、ユーザー側で再現したい光色を登録して使用することができ、使い勝手を向上できる。
【0026】
また、制御部25は、通信部26で受信する操作装置11からの信号から、割り当てられている対象のチャンネル1、2の調光率などの制御情報を取得して電源部21を制御し、光源部20の各光色の発光素子27の点灯を制御する。
【0027】
制御部25は、1つの照明器具12に複数の対象のチャンネル1、2が割り当てられるとともに、操作装置11により複数の対象のチャンネル1、2の調光率が操作された場合、記憶部24に記憶された対象のチャンネル1、2の混色比を参照し、対象のチャンネル1、2毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の発光素子27の明るさを制御する。これは、対象のチャンネル1、2毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値(例えば調光率100%)を超えない範囲について適用される。
【0028】
例えば、光色が異なる発光素子27として少なくとも3つの光色の発光素子A、発光素子B、発光素子Cとし、各光色の混色比1をA1:B1:C1、混色比2をA2:B2:C2とし、混色比1をチャンネル1に割り当て、混色比2をチャンネル2に割り当て、チャンネル1の調光率をX、チャンネル2の調光率をYとした場合、発光素子A、発光素子B、発光素子Cの出力割合は、
A1×X+A2×Y : B1×X+B2×Y : C1×X+C2×Y
の関係式となる。なお、発光素子27は3色以上、混色比は2つ以上であってもよい。
【0029】
さらに、制御部25は、対象のチャンネル1、2毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値(例えば調光率100%)を超える場合、最も高くなる光色の出力値が上限値となる割合で各光色の出力値を低下させ、正規化する機能を有する。
【0030】
異なる実施形態について説明する。白色の光を照射する非LEDのハロゲン電球の場合、調光率を下げていくにつれて、照射される光の赤みが増加するように色温度が変化する特性がある。そこで、本実施形態では、赤色を混色比の制御対象に含むチャンネルを用いて白色光を照射する場合に、照射される白色光の調光率を下げていくにつれて、白色の光色の混色比における赤色の比率を増加させるように制御することにより、調光率に応じたハロゲン電球と同様の色温度の変化を再現することができる。
【0031】
具体的には、制御部25は、赤色を混色比の制御対象に含んだ白色光を照射するチャンネルの制御において、照射される白色光の調光率を下げるにつれて、白色の光色の混色比における赤色の比率を増加させるように制御を行う。また、制御部25は、赤色を混色比の制御対象に含んだ第1チャンネルと、他の光色を照射する第2チャンネルと、によって照射されるそれぞれの光を混色して白色光を照射する形態において、第1のチャンネルのみ、もしくは、第2のチャンネルのみ、もしくは、第1のチャンネルと第2のチャンネルの両方の調光率を下げていくにつれて、白色の光色の混色比における赤色の比率を増加させるように制御を行う。この赤色の比率を増加させる機能は、操作部23または操作装置11によって機能させるか機能させないかを選択設定可能とする。
【0032】
なお、このような制御部25が備える機能は、操作装置11の制御部が備えていてもよい。この場合、操作装置11の制御部により上述したように各光色の出力割合を求め、その出力割合の情報をチャンネルに対応付けて照明器具12に送信すればよい。
【0033】
また、通信部26は、上述したDMXやRDMなどの通信プロトコルの信号を用いて操作装置11と通信する。
【0034】
そして、照明システム10において、操作装置11により、例えば、チャンネル1、2の調光率がそれぞれ0%にある状態で、チャンネル1の操作部15aのみが操作された場合、チャンネル1が割り当てられている照明器具12の制御部25は、記憶部24に記憶された対象のチャンネル1の混色比を参照し、チャンネル1の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値を求め、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。例えば、
図2(a)や
図3(a)のように、記憶部24に記憶された赤、緑、青の光色の混色比(10:5:1)を保ちながら、調光率に応じて各光色の出力値を求める。制御部25では、チャンネル1の調光率の変化に応じて再計算し、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。
【0035】
同様に、チャンネル2の操作部15bのみが操作された場合、チャンネル2が割り当てられている照明器具12の制御部25は、記憶部24に記憶された対象のチャンネル2の混色比を参照し、チャンネル2の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値を求め、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。例えば、
図2(b)や
図3(b)に示すように、記憶部24に記憶された赤、緑、青の光色の混色比(2:10:3)を保ちながら、調光率に応じて各光色の出力値を求める。制御部25では、チャンネル2の調光率の変化に応じて再計算し、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。
【0036】
また、複数のカラーフィルタを組み合わせた場合と同様に、複数のチャンネル1、2の混色比の光色を組み合わせるように、両チャンネル1、2の操作部15a,15bが操作される場合がある。この操作は、両チャンネル1、2の操作部15a,15bを同時に操作した場合と、チャンネル1、2の一方の操作部15a(または15b)を所定の調光率に操作した後、他方の操作部15b(または15a)を操作した場合と、が含まれる。
【0037】
チャンネル1、2が割り当てられている照明器具12の制御部25は、記憶部24に記憶された対象のチャンネル1、2の混色比を参照し、対象のチャンネル1、2毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算された各光色の出力割合となるように、各光色の発光素子27の明るさを制御し、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。
【0038】
例えば、
図2(a)に示すチャンネル1の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値と、
図2(b)に示すチャンネル2の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値と、がそれぞれ光色毎に合算されることで、
図2(c)に示すように、赤の光色の出力値が60%、緑の光色の出力値が75%、青の光色の出力値が20%となる。
【0039】
これは、対象のチャンネル1、2毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値(例えば調光率100%)を超えない範囲について適用される。この範囲において、制御部25は、チャンネル1、2の調光率の変化に応じて再計算し、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。
【0040】
これにより、従来のハロゲン電球の光源にそれぞれ異なるカラーフィルタを組み合わせた複数の照射装置もしくは照射口から照射される光を混色する場合に対して、カラーフィルタを用いずにLEDの組み合わせによって照射される光色における違和感を抑制でき、所望の光色を再現できる。
【0041】
一方、制御部25は、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える場合、最も高い光色の出力値が上限値となる割合で各光色の出力値を低下させる。
【0042】
例えば、
図3(a)に示すチャンネル1の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値と、
図3(b)に示すチャンネル2の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値と、がそれぞれ光色毎に合算されることで、
図3(c)に示すように、赤の光色の出力値が120%、緑の光色の出力値が150%、青の光色の出力値が40%となり、赤と緑の光色の出力値が調光率の上限の100%を超えることになる。
【0043】
この場合、赤と緑の光色の出力値が調光率の上限の100%を超えることはないため、実質的に、赤と緑の光色の出力値が100%、青の光色の出力値を40%となった場合、複数のカラーフィルタを組み合わせた場合に対して光色に違和感が生じ、所望の光色を再現できない。
【0044】
本実施形態では、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える場合には、上述の例において最も高い緑の光色の出力値の150%が100%となる割合で、赤、緑、青の各光色の出力値を低下させ、正規化する。
【0045】
これにより、
図3(d)に示すように、赤、緑、青の各光色の出力割合は80%、100%、27%となり、従来のハロゲン電球の光源にそれぞれ異なるカラーフィルタを組み合わせた複数の照射装置もしくは照射口から照射される光を混色する場合に対して、カラーフィルタを用いずにLEDの組み合わせによって照射される光色における違和感を抑制でき、所望の光色を再現できる。
【0046】
制御部25では、対象のチャンネル毎の混色比と調光率とで求まる各光色の出力値がそれぞれ光色毎に合算されることで、最も高くなる光色の出力値が所定の上限値を超える範囲においても、チャンネル1、2の調光率の変化に応じて再計算し、照明器具12から照射する光の光色および明るさを調整する。
【0047】
なお、光源部20が、発光素子27として、高色温度の白色の光を発光する高色温度発光素子と、この高色温度発光素子よりも赤みが増す低色温度の白色の光を発光する低色温度発光素子と、を備える場合であって、これら高色温度発光素子の光色と低色温度発光素子の光色との混色比が登録されたチャンネルがある場合、該チャンネルの調光率を下げていくにつれて、該チャンネルに登録された混色比における低色温度発光素子の比率を増加させるように制御することにより、調光率に応じたハロゲン電球と同様の色温度の変化を再現することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 照明システム
11 操作装置
12 照明器具
24 記憶部
25 制御部
27 発光素子