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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048556
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】燃料電池車
(51)【国際特許分類】
   B60K 8/00 20060101AFI20240402BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B60K8/00
B60K15/063 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154522
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平脇 愛子
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038CA12
3D038CA19
3D038CB01
3D038CD02
3D038CD10
3D038CD19
3D235AA02
3D235BB06
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC23
3D235CC24
3D235DD02
3D235DD28
3D235EE64
3D235FF06
3D235FF12
3D235FF43
3D235HH21
(57)【要約】
【課題】水素タンク及び高圧部品の配置状態を制御することで、車両の安全性をより向上させた燃料電池車を提供する。
【解決手段】本発明の一形態における燃料電池車は、バッテリ、燃料電池、水素供給部品の少なくとも一つを含む保護対象部品;前記燃料電池の発電に用いられる水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクと、前記複数の水素タンクを連結する連結部とを有し、前記保護対象部品の少なくとも鉛直方向下側を覆うように配置された水素タンクユニット;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ、燃料電池、水素供給部品の少なくとも一つを含む保護対象部品と、
前記燃料電池の発電に用いられる水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクと、前記複数の水素タンク同士を相互に連結する連結部とを有し、前記保護対象部品の少なくとも鉛直方向下側を覆うように配置された水素タンクユニットと、
を備える、燃料電池車。
【請求項2】
前記水素タンクユニットが、前記保護対象部品の側面の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の燃料電池車。
【請求項3】
前記水素タンクユニットは、複数の円筒形の水素タンクの口部を、前記連結部で連結させてなる、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車。
【請求項4】
前記水素タンクユニットは、前記連結部を介して、又は水素タンクケースを介して、車両の両側におけるサイドフレームに固定されている、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車。
【請求項5】
前記水素タンクユニットは、複数の水素タンクを水素タンクケースに収容してなり、前記水素タンクケースの少なくとも一部が通気孔を備える、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)の開発が進められている。燃料電池車では、水素タンクに充填されたHガス(以下「水素」という)が燃料として、燃料電池に供給される。
【0003】
昨今においては、航続距離を長距離化するため、又は、車室空間を広くとるため等の理由により、水素タンクの形状やその配置等を工夫することが行われている。例えば、特許文献1は、大容量化が可能な高圧容器ユニットを提案している。特許文献2は、限られたスペースに搭載でき、車両デザインや部品レイアウトに影響を与えない水素タンクの形状を提案している。特許文献3は、共通化された水素タンクを使用しつつ、車室空間を広くとるための車両構造を提案している。特許文献4は、荷物の搭載空間を確保しつつ、航続距離を長距離化するためのタンクユニットの配置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-033657号公報
【特許文献2】特開2011-255882号公報
【特許文献3】特表2020-029136号公報
【特許文献4】特開2022-006349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した各特許文献に限らず、現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず、以下に述べる課題が存在する。
【0006】
すなわち、燃料電池車には、衝突や縁石への乗り上げ等による衝撃力からの保護が必要な部品として、例えばバッテリ、燃料電池、水素供給のための配管等(以下、「保護対象部品」とも称する)が搭載される。上記した特許文献1~特許文献4を含む従来技術では、航続距離の長距離化や、車室空間の確保等を実現しつつ、保護対象部品を衝撃力から保護することは考慮されていなかった。また、近年、バッテリーの更なる高容量化・高出力化が進んでおり、保護対象部品への衝撃力からの保護は、今後さらに必要となると予測できる。
【0007】
本開示は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、水素タンク及び高圧部品の配置状態を制御することで、車両の安全性をより向上させた燃料電池車を提供することを目的とする。なお本開示において、部品に対する衝撃力からの「保護」は、当該部品への衝撃力の付与が完全に回避されることだけでなく、付与される衝撃力が低減することをも含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示の一実施形態における燃料電池車は、バッテリ、燃料電池、水素供給部品の少なくとも一つを含む保護対象部品と、前記燃料電池の発電に用いられる水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクと、前記複数の水素タンクを連結する連結部とを有し、前記保護対象部品の少なくとも鉛直方向下側を覆うように配置された水素タンクユニットを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水素タンク及び高圧部品の配置状態を制御することで、車両の安全性をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の燃料電池車を側面から見た模式断面図である。
図2図1におけるAA’断面図である。
図3図1におけるBB’断面図である。
図4】実施形態の燃料電池車を底面から見た模式断面図である。
図5】他の実施形態における車両を後方から見た模式断面図である。
図6】変形例における燃料電池車を底面から見た模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。以下の説明では、それぞれ便宜的に、車両の車高方向をZ方向、車長方向をX方向、これらZ方向及びX方向と直交する車幅方向をY方向として定義して説明する。しかしながら本発明は上述した方向の規定に左右されるものではなく、特許請求の範囲を不当に減縮するものでないことは言うまでもない。また、以下で詳述する以外の構成については、上記した特許文献を含む公知の車両に関する技術やバッテリーパックの構造あるいは回路構成を適宜補完してもよい。
【0012】
<第1実施形態>
本開示の実施形態における燃料電池車100の構成について、図1図3を参照しながら説明する。本実施形態の燃料電池車100は、左右一対のサイドフレーム13を備えた車体10を有する。車体10は、図1に示すように、燃料電池スタック20と、水素タンク30と、バッテリ40と、モータ50と、を備える。
【0013】
燃料電池スタック20は、水素と酸素を用いて発電を行う。水素タンク30は、燃料電池スタック20に供給される燃料ガス(水素ガス)を貯蔵する燃料タンクとしての機能を有する。バッテリ40は、燃料電池スタック20からの電力供給による充電が可能な蓄電装置である。モータ50は、バッテリ40に蓄電された電力により燃料電池車100の駆動輪を駆動する。
【0014】
以下、それぞれの構成要素の配置等について詳細に説明する。なお、本開示の燃料電池車は、水素タンクにより保護対象部品の少なくとも一部を覆うことに特徴を有する。
【0015】
本実施形態において、車体10は、一般的に「モノコック構造」と呼称される構造を有している。車体10は、車両の左側面と右側面に配置される一対のサイドフレーム13と、その一対のサイドフレーム13を車幅方向(図面におけるY方向)に沿って連結する、センターフロアパネル15を備える。なお本実施形態では、以下、車体10がモノコック構造である例により説明されるが、これに限られるものではない。すなわち、車体10は、一般的に「ラダーフレーム構造」と呼称される構造を有していてもよい。
【0016】
燃料電池スタック20は、複数(例えば200~400枚)の固体高分子型の単セルが積層して構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソード(電極)とを備えている。
【0017】
そして、単セルの各アノードに水素が供給され、且つ、各カソードに空気が供給されると、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生する。次いで、燃料電池スタック20とモータ50等の外部負荷とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック20が発電する。
【0018】
水素タンク30は、燃料電池スタック20に供給する水素ガスを収容する。水素タンク30内の水素ガスは、水素供給部品28を介して燃料電池スタック20のアノード流路に供給される。水素供給部品28は、水素を流通させ又は水素の流通を制御する部品であり、図示しない遮断弁、レギュレータ(減圧弁)インジェクタ、エゼクタ、配管等が含まれる。
【0019】
本実施形態において、小径の円筒形の水素タンク30は、燃料電池スタック20よりも前方に複数個並べて配置される。具体的には図2等に示されるように、複数の水素タンク30(30a、30b、30c、30d・・・)が、車体10の前輪及び後輪の間に並び、長手方向が車体10の前後方向となるように配置されている。しかしながら、水素タンク30の配置は、上記に限定されず、例えば長手方向が車体10の車幅方向となるように配置されていてもよい。また、燃料電池スタック20の配置箇所は、後輪付近に制限されず、車両前方に配置されてもよい。
【0020】
複数の水素タンク30は、その口部31周辺を、連結部としてのタンク固定ブラケット32により相互に連結固定され、水素タンクケース37内に収容されている。なお、水素タンク30を連結したタンク固定ブラケット32は、ボルト等の公知の固定手段により、水素タンクケース37内に固定されてもよい。
【0021】
水素タンクケース37は、複数の円筒形の水素タンク30を収容した状態で、センターフロアパネル15の下面側に配置される。水素タンクケース37は、図2及び図3に示されるとおり、その断面において略W字の形状を有し、上部に二箇所の凹部が形成されている。そして、その凹部内に、二個のバッテリ40がそれぞれ配置される。一方で、水素タンクケース37の内部には、水素タンク30が並べて配置される。このような配置により、バッテリ40の鉛直方向下側が複数の水素タンク30により覆われている。なお複数の水素タンク30同士は、スペース効率及び燃料電池車100の航続距離の観点からは、可能な限りにおいて、隙間無く配置されることが好ましい。
【0022】
本実施形態において、さらに、水素タンク30は水素タンクケース37の内部の少なくとも一部において、燃料電池車100の高さ方向(Z方向)に積み上げられ、バッテリ40の側面を覆っている。
【0023】
本実施形態では、図3に示されるとおり、水素タンクケース37と、その内部に収容された複数の水素タンク30と、水素タンク同士を連結するタンク固定ブラケット32と、により、水素タンクユニット39が構成される。
【0024】
水素タンクユニット39は、図2等に示されるように、車体10の右側面のサイドフレーム13a、及び、左側面のサイドフレーム13bの双方に、フランジ部37a、37bを介して固定される。具体的には、水素タンクケース37の両端部に形成されたフランジ部37a、37bが、公知のボルト33等により固定される。なお、図2に示されるとおり、振動吸収等を目的として公知のマウントブッシュ36を介して固定されてもよい。
【0025】
本実施形態において、水素タンクケース37の形状には特に制限はなく、直方体等、水素タンク30がスペース効率よく収容できる形状であればよい。一方で水素タンクケース37の素材としては、強度等の観点から、アルミニウムやステンレス等の金属製であることが好ましい。
【0026】
また、水素タンクケース37の少なくとも一部には、後述の保護対象部品の冷却を効率的に行うため、通気孔が備えられていることが好ましい。図4に示されるとおり、水素タンクケース37の下方に、貫通孔37hが設けられることにより、水素タンクケース37内の熱を外部に放出することが可能となる。
【0027】
図3に示されるとおり、水素タンクケース37に収容された複数の水素タンク30は、円筒形状を有している。しかしながら水素タンク30の形状は円筒形状に限られるものではなく、適宜、三角柱や四角柱などの形状であってもよい。水素タンクケース37の上方天面には、タンクケース蓋37fが設けられていてもよい。
【0028】
本実施形態におけるバッテリ40は、燃料電池スタック20からの電力供給による充電が可能な蓄電装置である。バッテリ40は、例えば、リチウムイオン型の単電池が複数組み合わせてなる組電池で構成される。
【0029】
<1実施形態における効果>
本実施形態の燃料電池車100は、上記構成により以下の効果を有する。すなわち、本実施形態においては、複数の水素タンク30がバッテリ40の鉛直方向下側を覆うため、バッテリ40の鉛直方向下側を衝撃力から保護することが可能となる。
【0030】
すなわち、一般的に、バッテリ40は高圧部品であるため、何らかの理由で衝撃力が付与された場合においても破壊や損傷を回避できるよう、樹脂等のバッテリケースに収容され、又は、強度が高く厚い筐体内に収容されている。一方で、高圧の水素を収容する水素タンク30の側壁は、所定の強度を備えるように構成されている。そこで、本実施形態の上記配置により、バッテリ40の鉛直方向下側が、所定の強度を備えた水素タンク30で覆われる構成とした。このような構成としたことにより、バッテリ40におけるバッテリケースを薄く軽量なものとすることができ、燃料電池車100全体の軽量化や省スペース化に貢献できる。
【0031】
本実施形態において、さらに、水素タンク30は水素タンクケース37の内部の少なくとも一部において、燃料電池車100の高さ方向(Z方向)に積み上げられている。このような構成により、図2及び図3等に示されるとおり、バッテリ40の鉛直方向下側だけでなく、側面をも、水素タンク30により衝撃力から保護することが可能となる。
【0032】
さらに、上述のように、水素タンクケース37内に収容された複数の水素タンク30を含む水素タンクユニット39を、車体10の左右両方のサイドフレーム13に固定することにより、側面からの衝撃力が、バッテリ40に直接的に入力されることを回避できる。以下、側方からの衝撃力の伝達について説明する。
【0033】
<第1実施形態における衝撃力の伝達について>
本実施形態における、側方からの衝撃力の伝達について、図2及び図3を参照しつつ説明する。本実施形態における燃料電池車100は、様々な不回避的な要因などで側方からの衝撃力を受ける可能性がある。以下、車両の一方の側方におけるサイドフレーム13aに付与された衝撃力が、反対側のサイドフレーム13bに伝達される例について説明する。
【0034】
すなわち図2に示すとおり、サイドフレーム13aに入力された衝撃力IFは、連結されたセンターフロアパネル15への衝撃力IF、及び、公知のボルト33等を介して連結された水素タンクケース37への衝撃力IF、にそれぞれ分離されて伝達される。次いで、同図に示すとおり、衝撃力IF、及び衝撃力IFが、他端において連結されたサイドフレーム13bに結合されて伝達される。
【0035】
上述の衝撃力の伝達過程において示されるとおり、水素タンクケース37上部に配置されたバッテリ40には、側方からの衝撃力は直接的には入力されない。このように、本実施形態では、水素タンクケース37上部に配置した保護対象部品は、燃料電池車100の側方からの衝撃力から保護される。
【0036】
また、燃料電池車100の下方からの衝撃力については、バッテリ40の下方に水素タンクケース37が配置されるため、下方からの衝撃力は、保護対象部品であるバッテリ40に対して、直接的には入力されない。よって、本実施形態の燃料電池車100の構成により、下方からの衝撃力に対して保護対象部品を保護することが可能となる。
【0037】
以上説明した本実施形態における燃料電池車によれば、側方や下方から衝撃力が入力された場合、バッテリ、燃料電池、水素供給部品等の保護対象部品を、それらの衝撃力から保護することが可能となる。このように、本実施形態では非常時における保護対象部品の損傷を回避でき、車両の安全性をより向上することが可能となっている。
【0038】
<第2実施形態>
本開示の他の実施形態の燃料電池車200の構成について、図5を参照しながら説明する。なお第2実施形態に係る燃料電池車200は、複数の水素タンク30が車体10の下方において略水平に配置されており、高さ方向には積み上げられていない点において、上述の第一実施形態と相違する。そのため、上記相違点について主に説明し、既述した第一実施形態と共通する部材については共通の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
第2実施形態の燃料電池車200は、左右一対のサイドフレーム13(13a、13b)を備えた車体10を有する。車体10は、図5に示すように、水素タンク30と、バッテリ40と、を備える。保護対象部品としてのバッテリ40は、燃料電池車200のセンタートンネルの内部に収容されている。また、バッテリ40の下方に、複数の水素タンク30が略水平に配置されている。複数の水素タンク30同士は相互にタンク固定ブラケット32により連結され、筏形状を構成している。そしてこの筏形状に連結された複数の水素タンク30と、タンク固定ブラケット32と、により、水素タンクユニット39が構成される。なお本実施形態において、水素タンクユニット39の車両幅方向の長さは、バッテリ40の車両幅方向の長さよりも長い。
【0040】
第2実施形態の燃料電池車200の如き構成は、バッテリ40の形状に合わせた水素タンクケースを準備する必要がない点、及び、センタートンネルを有するタイプの車両にも適用できる点において、利点を有する。
【0041】
また、本第二実施形態の効果に関して、複数の水素タンク30がバッテリ40の鉛直方向下側を覆うため、バッテリ40の鉛直方向下側を衝撃力から保護することが可能となる。また、水素タンクユニット39の車両幅方向の長さが、バッテリ40の車両幅方向の長さよりも長いため、車両側方から入力された衝撃力は、水素タンクユニット39を介して反対側のサイドフレーム13に伝達されるため、保護対象部品としてのバッテリ40は直接的に衝撃力を受けることを回避できる。
【0042】
<変形例>
次に図6を参照して、本発明の変形例1における燃料電池車300について説明する。上記した第1実施形態では、複数の水素タンク30は、水素タンクケース37に収容され、水素タンクケース37が車体10のサイドフレーム13に固定されていた。これに対して本変形例では、水素タンク30が水素タンクケースに収容されていない点で、第1実施形態と相違する。すなわち、本変形例の水素タンクユニット39は、水素タンク30と、水素タンク同士を連結するタンク固定ブラケット32と、により構成される。なお、図6では、3本のタンク固定ブラケット32a、32b及び32cがそれぞれ、円筒形状の水素タンク30における両端の口部31、及びその胴部を連結しているが、タンク固定ブラケットの本数や水素タンクの連結箇所はこれに限られるものではない。そしてタンク固定ブラケット32は、ボルト33等の公知の固定手段により、車体10の右側面のサイドフレーム13a、及び、左側面のサイドフレーム13bの双方に固定される。なお、水素タンクユニット39の下方には、公知のアンダーカバー38が取り付けられてもよい。
【0043】
本変形例における衝撃力の伝達について説明すると、サイドフレーム13aに入力された衝撃力IFは、複数のタンク固定ブラケット32a、32b及び32cへの衝撃力IF、IF、及びFに分離して伝達される。次いで、衝撃力IF、IF、及びFが、他端において連結されたサイドフレーム13bに伝達される。このように、本変形例においても、水素タンクユニット39上部に配置されたバッテリ40には、側方からの衝撃力は直接的には入力されない。よって、水素タンクユニット39上部に配置した保護対象部品は、燃料電池車300の側方からの衝撃力から保護される。また、燃料電池車300の下方からの衝撃力については、バッテリ40の下方に水素タンクユニット39が配置されるため、下方からの衝撃力に対して保護対象部品を保護することが可能となる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態および変形例について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、上記実施形態及び変形例では保護対象部品としてバッテリを例として説明したが、これに限られるものではなく、保護対象部品が燃料電池、又は、水素供給部品であってもよい。また、複数の水素タンク30は、相互に分離しているものを前提として説明したが、これに限られるものではなく、水素収容領域において相互に連通しているタンクを使用してもよい。
【0045】
本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、これら実施形態や変形例に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0046】
100:燃料電池車
10:車体
13:サイドフレーム
20:燃料電池スタック
28:水素供給部品
30:水素タンク
31:口部
32:タンク固定ブラケット
33:連結部
36:マウントブッシュ
37:水素タンクケース
38:アンダーカバー
39:水素タンクユニット
40:バッテリ
50:モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6