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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048585
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】培養バッグ及びそれを用いた培養方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240402BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154583
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【弁理士】
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石塚 亮太
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029GA08
4B029GB09
4B065AA83X
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】微細藻類を培養することに適した新たな培養バッグを提供する。
【解決手段】本発明の培養バッグ100は、第1の輝度向上フィルムを含む第1の基材10を備える。培養バッグ100は、第2の基材をさらに備えてもよく、第2の基材は第2の輝度向上フィルムを含んでもよい。本発明の培養方法は、培養バッグ100を用いる培養方法である。培養バッグ100には、例えば微細藻類が収容される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の輝度向上フィルムを含む第1の基材を備える、
培養バッグ。
【請求項2】
前記第1の輝度向上フィルムは、複数の層を含む多層フィルムであり、前記多層フィルムは、第1層及び前記第1層と屈折率の異なる第2層を含む、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項3】
前記第1の基材の厚さが、20μm以上かつ1000μm以下である、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項4】
前記第1の基材は、前記第1の輝度向上フィルムを被覆する被覆層をさらに含む、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項5】
第2の基材をさらに備え、
前記第1の基材及び前記第2の基材は、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項6】
前記第2の基材が第2の輝度向上フィルムを含む、請求項5に記載の培養バッグ。
【請求項7】
前記第1の輝度向上フィルムと前記第2の輝度向上フィルムとは互いに同じである、請求項6に記載の培養バッグ。
【請求項8】
気体を内部に供給するための開口部を有する、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項9】
微細藻類を培養するために用いられる、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の培養バッグを用いる、培養方法。
【請求項11】
前記培養バッグに微細藻類が収容されている、請求項10に記載の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養バッグ及びそれを用いた培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細藻類は、食料や燃料などに利用することができ、その利用価値が高い。微細藻類は、容易に培養できるだけでなく、その培養過程で二酸化炭素を大量に吸収できる利点もある。
【0003】
微細藻類の培養方法としては、屋外に開放された培養槽を利用する開放系での培養方式や、タンクなどの密閉容器を利用する閉鎖系での培養方式が挙げられる。開放系での培養方式は、コンタミネーションリスクが高いことや微細藻類のバイオマス生産性が限定的となるなどのデメリットがある。閉鎖系の培養方式は、外部からの物質混入や生物侵入で培養液が汚染されるコンタミネーションのリスクを低減できる利点がある。
【0004】
閉鎖系の培養方式では、密閉容器として、樹脂製のフィルムを含む培養バッグ、ガラス管やガラスプレートで構成された培養容器などが利用される。培養バッグとしては、例えば、2つの包装材(基材)が互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合された袋状体が用いられる。この袋状体では、通常、2つの包装材がヒートシールにより接合されている。
【0005】
上記の袋状体を用いた培養方式によれば、その厚さ方向が水平方向と一致するように袋状体を配置することによって、袋状体の設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養することができる。一例として、特許文献1は、梁などに吊るされた袋状体を備えた培養装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国実用新案第207483706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微細藻類の培養に適した新たな培養バッグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の輝度向上フィルムを含む第1の基材を備える、培養バッグを提供する。
【0009】
さらに本発明は、前記培養バッグを用いる培養方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
微細藻類の培養に適した新たな培養バッグを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る培養バッグ100を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Aを模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Bを模式的に示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Cを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様に係る培養バッグは、第1の輝度向上フィルムを含む第1の基材を備える。
【0013】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様に係る培養バッグでは、前記第1の輝度向上フィルムは、複数の層を含む多層フィルムであり、前記多層フィルムは、第1層及び前記第1層と屈折率の異なる第2層を含む。
【0014】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る培養バッグでは、前記第1の基材の厚さが、20μm以上かつ1000μm以下である。
【0015】
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つに係る培養バッグでは、前記第1の基材は、前記第1の輝度向上フィルムを被覆する被覆層をさらに含む。
【0016】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つに係る培養バッグは、第2の基材をさらに備え、前記第1の基材と前記第2の基材とは、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている。
【0017】
本発明の第6態様において、例えば、第5態様に係る培養バッグでは、前記第2の基材は、第2の輝度向上フィルムを含む。
【0018】
本発明の第7態様において、例えば、第6態様に係る培養バッグでは、前記第1の輝度向上フィルムと前記第2の輝度向上フィルムとは、互いに同じである。
【0019】
本発明の第8態様において、例えば、第1~第7態様のいずれか1つに係る培養バッグは、気体を内部に供給するための開口部を有する。
【0020】
本発明の第9態様において、例えば、第1~第8態様のいずれか1つに係る培養バッグは、微細藻類を培養するために用いられる。
【0021】
本発明の第10態様に係る培養方法は、第1~第9態様のいずれか1つに係る培養バッグを用いる培養方法である。
【0022】
本発明の第11態様において、例えば、第10態様に係る培養方法は、前記培養バッグに微細藻類が収容されている。
【0023】
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
【0024】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る培養バッグは、第1の輝度向上フィルムを含む第1の基材を備える。本発明の第1実施形態に係る培養バッグは、第2の基材をさらに備えてもよい。図1に示すように、培養バッグ100は、第1の基材10及び第2の基材20を備えている。第1の基材10及び第2の基材20は、培養バッグ100の内部と外部とを隔てる隔壁として機能する。
【0025】
培養バッグ100において、第1の基材10及び第2の基材20が互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている。これにより、培養バッグ100には、第1の基材10及び第2の基材20に囲まれた収容部50が形成されている。第1の基材10及び第2の基材20は、所望の内部容量の収容部50が形成されるように、撓んだ形状で互いに接合されていてもよい。一例として、図1の培養バッグ100では、収容部50の周囲において、第1の基材10と、第2の基材20とが互いに接合されている。第1の基材10及び第2の基材20は、ヒートシールにより接合されていることが好ましい。ただし、第1の基材10及び第2の基材20は、接着剤を介して接合されていてもよい。
【0026】
培養バッグ100は、収容部50に収容された内容物55をさらに備えていてもよい。内容物55は、培養バッグ100の用途によって適宜選択することができる。一例として、培養バッグ100が微細藻類を培養するために用いられる場合、内容物55は、例えば、微細藻類及び培養液を含んでいる。ただし、内容物55は、微細藻類以外の他の微生物や、各種の細胞を含んでいてもよい。
【0027】
微細藻類としては、特に限定されず、例えば、緑色植物門、不等毛植物門などに属するものが挙げられる。緑色植物門に属する藻類としては、緑藻綱、トレボキシア藻綱、プラシノ藻綱、アオサ藻綱、車軸藻綱などに属する藻類が挙げられる。
【0028】
緑藻綱に属する藻類としては、ネオクロリス・オレオアバンダンス等のネオクロリス属藻類、ナノクロリス・エスピー等のナノクロリス属藻類、クラミドモナス・レインハルディ等のクラミドモナス属藻類、セネデスムス属藻類、デスモデスムス属藻類などが挙げられる。トレボキシア藻綱に属する藻類としては、例えば、クロレラ・ケッサレリ等のクロレラ属藻類などが挙げられる。
【0029】
不等毛植物門に属する藻類としては、黄金色藻綱、ディクチオカ藻綱、ペラゴ藻綱、ラフィド藻綱、珪藻綱、褐藻綱、黄緑藻綱、真正眼点藻綱などに属する藻類が挙げられる。珪藻綱に属する藻類としては、例えば、タラシオシラ・スードナナ等のタラシオシラ属藻類などが挙げられる。
【0030】
培養液としては、公知のものを利用することができる。培養液は、例えば、水とともに、炭素源、窒素源、リン源などの培地成分をさらに含む。
【0031】
培養バッグ100は、例えば、気体を内部に供給するための開口部(気体供給口)をさらに有する。開口部を通じて、培養に必要な気体を培養バッグ100の内部に送ることができる。培養に必要な気体は、典型的には二酸化炭素である。この気体は、酸素や窒素などをさらに含んでいてもよい。この気体は、空気であってもよい。
【0032】
培養バッグ100は、内容物55を内部に供給するための開口部(図示せず)をさらに有していてもよい。培養バッグ100では、気体を内部に供給するための開口部を通じて、内容物55が内部に送られてもよい。
【0033】
培養バッグ100の容積は、培養バッグ100の用途に応じて適宜選択できる。一例として、培養バッグ100が微細藻類を培養するために用いられる場合、培養バッグ100の容積は、0.000001~100m3であってもよく、1~100m3であってもよい。
【0034】
培養バッグ100は、微細藻類などの微生物や、各種の細胞などを培養するために用いられ、特に、微細藻類を培養するために用いられることが好ましい。培養バッグ100には、微細藻類の培養を促進させるために、太陽光や、他の光源からの光が照射されてもよい。培養バッグ100は、その設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養するために、培養バッグ100の厚さ方向が水平方向と一致するように配置されてもよい。
【0035】
(第1の基材10)
第1の基材10は、第1の輝度向上フィルム1を含む。図2に示すように、第1の基材10Aは、例えば、第1の輝度向上フィルム1のみからなる。第1の輝度向上フィルム1は、本発明の培養バッグにおいて外側に面する表面1aと、1aに対向する表面1bを有する。表面1a及び1bは、第1の輝度向上フィルム1の主面(最も大きい面積を有する面)である。
【0036】
第1の基材10は、第1の輝度向上フィルム1以外の部材をさらに備えていてもよい。第1の基材10は、例えば、第1の輝度向上フィルム1を被覆する被覆層をさらに備える。
【0037】
図3に示される第1の基材10Bは、第1の輝度向上フィルム1の表面1aを被覆している被覆層2を備える。これにより、第1の輝度向上フィルム1を保護でき、第1の基材10B及び培養バッグ100の強度を向上でき得る。被覆層2は、第1の輝度向上フィルム1の表面1a全体を被覆していてもよく、第1の輝度向上フィルム1の表面1aを部分的に被覆していてもよい。被覆層2は、第1の輝度向上フィルム1の表面1aのうち、第1の基材10と第2の基材20とを接合するときにヒートシールが施される部分(例えば、表面1aの周縁部)を被覆していてもよい。
【0038】
図4に示される第1の基材10Cは、第1の輝度向上フィルム1の表面1bを被覆している被覆層3を備える。これにより、第1の輝度向上フィルム1を保護でき、第1の基材10C及び培養バッグ100の強度を向上でき、かつ、第1の輝度向上フィルム1として、ヒートシールにより他の部材(例えば、第2の基材20)と接合できない材料も使用することができる。被覆層3は、第1の輝度向上フィルム1の表面1b全体を被覆していてもよく、第1の輝度向上フィルム1の表面1bを部分的に被覆していてもよい。例えば、被覆層3は、第1の基材10と第2の基材20とを接合するときに接合される部分(例えば、表面1bの周縁部)を被覆していてもよい。
【0039】
本明細書において、「第1の基材10」と記載する場合、第1の基材10には第1の基材10A、第1の基材10B、及び第1の基材10Cが含まれる。本明細書において、「被覆層」と記載する場合、被覆層には被覆層2及び被覆層3の両方が含まれる。被覆層は、第1の輝度向上フィルム1の表面1a及び1bの両面を被覆していてもよい。
【0040】
(第1の輝度向上フィルム1)
輝度向上フィルムは、あらゆる向きから入射した光の方向を整えて出射する特性を有する。輝度向上フィルムを通して被照射物に光を照射すると、被照射物の輝度を向上できる。すなわち、輝度向上フィルムは、光の方向を整えることで、被照射物に到達する光量を増大させて光の利用効率を高めている。一例として、輝度向上フィルムは、フィルムの面に対して斜め方向から入射した光を正面方向に集光するものであってもよい。また、他の例として、輝度向上フィルムは、その構造により光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すものであってもよい。この場合、輝度向上フィルムは、輝度向上フィルムの内部で透過及び反射を繰り返すことで、輝度向上フィルムを所定偏向状態で透過する光量の増大を図ることにより光の利用効率を高め、輝度を向上させうる。本発明の培養バッグ100は、第1の輝度向上フィルム1を含む第1の基材10を備えるため、培養バッグ100に光を照射した際に、従来の培養バッグに同様に光を照射した場合と比較して、培養バッグ100の内部(例えば収容部50)の光量を増加できる。本発明の培養バッグ100は、その内部に効率的に光を取り込むことができ、例えば微細藻類を効率的に培養できる。
【0041】
第1の輝度向上フィルム1としては、例えば、グリッド型偏光板、屈折率の異なる2種以上の材料の多層薄膜積層偏光板、屈折率の異なる蒸着多層薄膜、屈折率の異なる2種以上の材料の複屈折層多層薄膜積層体、屈折率差を有する2種以上の樹脂を用いた2種以上の樹脂積層体を延伸したもの、直線偏光を直交する軸方向で反射/透過することで分離する偏光板(直線偏光分離型反射偏光板)、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの、マイクロ構造表面を有するフィルム等が挙げられる。
【0042】
第1の輝度向上フィルムは、複数の層を含む多層フィルムであり、多層フィルムは、第1層及び第1層と屈折率の異なる第2層を含んでいてもよい。輝度向上フィルムは、2層であってもよく、3層以上の多層積層体であってもよい。複数の層はそれぞれ異なる屈折率を有していてもよいし、複数の層のうち1層のみが異なる屈折率を有してもよい。互いに屈折率の異なる層が交互に積層されていてもよい。屈折率の異なる2種以上の材料の多層積層体であってもよく、屈折率差を有する2種以上の樹脂を用いた2種以上の多層積層体であってもよく、これらの多層積層体を延伸したものであってもよい。
【0043】
第1の輝度向上フィルム1は、光拡散性粒子を含んでいてもよい。第1の輝度向上フィルム1は、例えば、マトリクスと、マトリクスに分散した光拡散性粒子とを含む。第1の輝度向上フィルム1は、マトリクスと、マトリクスに分散した光拡散性粒子とを含む単層構造であってもよいし、さらに他の層を含む多層積層体であってもよい。
【0044】
マトリクスは例えば樹脂成分を含む。樹脂成分は、任意の適切な材料で構成される。樹脂成分は、好ましくは有機化合物で構成され、より好ましくは電離線硬化型樹脂で構成される。電離線硬化型樹脂は、塗膜の硬度に優れているため、機械強度を補いやすい。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、樹脂成分は、特に好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂(エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エーテルアクリレート)などのラジカル重合型モノマーおよび/またはオリゴマーから形成される樹脂が挙げられる。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の分子量は、好ましくは200~700である。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:分子量298)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA:分子量212)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:分子量632)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA:分子量578)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)が挙げられる。前駆体には、必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、UVラジカル発生剤(BASFジャパン社製イルガキュア907、同127、同192など)、過酸化ベンゾイルが挙げられる。樹脂成分は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂を含んでいてもよい。別の樹脂は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などであってもよい。マトリクスは、樹脂成分からなっていてもよい。
【0045】
樹脂成分の屈折率は、好ましくは1.40~1.60である。
【0046】
マトリクスは、超微粒子成分をさらに含んでいてもよい。超微粒子成分は、好ましくは上記樹脂成分および後述の光拡散性粒子とは異なる系の化合物で構成され、より好ましくは無機化合物で構成される。好ましい無機化合物としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物が挙げられる。金属酸化物の具体例としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア)(屈折率:2.19)、酸化アルミニウム(屈折率:1.56~2.62)、酸化チタン(屈折率:2.49~2.74)、酸化ケイ素(屈折率:1.25~1.46)が挙げられる。金属フッ化物の具体例としては、フッ化マグネシウム(屈折率:1.37)、フッ化カルシウム(屈折率:1.40~1.43)が挙げられる。また、超微粒子成分は、金属粒子であってもよい。金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケル、白金、マンガン、鉄、ジルコニウム、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、ゲルマニウム、鉛、アンチモン等の金属単体、又はこれら金属の合金などが挙げられる。超微粒子成分の屈折率は、好ましくは1.40以下または1.60以上であり、さらに好ましくは1.40以下または1.70~2.80であり、特に好ましくは1.40以下または2.00~2.80である。
【0047】
超微粒子成分の平均1次粒径は、好ましくは1nm~100nmであり、より好ましくは1nm~50nmである。超微粒子成分は2次凝集していてもよく、その場合の平均粒径(凝集体の平均粒径)は、好ましくは10nm~100nmであり、より好ましくは10nm~80nmであり、さらに好ましくは20nm~70nmである。このように、光の波長より小さい平均粒径の超微粒子成分を用いることにより、超微粒子成分と樹脂成分との間に幾何光学的な反射、屈折、散乱が生じず、光学的に均一なマトリクスを得ることができる。
【0048】
光拡散性粒子は、光を拡散する粒子であって、例えば、無機粒子を含んでいてもよく、有機粒子を含んでいてもよい。好ましくは、光拡散性粒子は、上記マトリクスの樹脂成分と同系の化合物で構成される。例えば、マトリクスの樹脂成分を構成する電離線硬化型樹脂がアクリレート系樹脂である場合には、光拡散性粒子もまたアクリレート系樹脂で構成されることが好ましい。より具体的には、マトリクスの樹脂成分を構成するアクリレート系樹脂のモノマー成分が例えば上記のようなPETA、NPGDA、DPHA、DPPAおよび/またはTMPTAである場合には、光拡散性粒子を構成するアクリレート系樹脂は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、およびこれらの共重合体、ならびにそれらの架橋物である。PMMAおよびPMAとの共重合成分としては、ポリウレタン、ポリスチレン(PS)、メラミン樹脂が挙げられる。特に好ましくは、光拡散性粒子は、PMMAで構成される。マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分との屈折率や熱力学的特性の関係が適切であるからである。さらに、好ましくは、光拡散性粒子は、架橋構造(三次元網目構造)を有する。
【0049】
光拡散性粒子は、平均粒径(直径)が、好ましくは1μm~10μmであり、より好ましくは2μm~5μmである。光拡散性粒子の平均粒径は、好ましくは、輝度向上フィルムの厚みの1/2以下(例えば、1/2~1/20)である。光拡散性粒子の平均粒径は、例えば、次の方法によって特定することができる。まず、第1の輝度向上フィルム1の断面を透過電子顕微鏡で観察する。得られた電子顕微鏡像において、特定の光拡散性粒子の面積を画像処理によって算出する。算出された面積と同じ面積を有する円の直径をその特定の光拡散性粒子の粒径(粒子の直径)とみなす。任意の個数(少なくとも50個)の光拡散性粒子の粒径をそれぞれ算出し、算出値の平均値を光拡散性粒子の平均粒径とみなす。
【0050】
光拡散性粒子の形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。多くの場合、上記光拡散性粒子として真球状微粒子が用いられ得る。
【0051】
光拡散性粒子の屈折率は、好ましくは1.30~1.70であり、より好ましくは1.40~1.60である。
【0052】
光拡散性粒子の配合量は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは10重量部~100重量部であり、10重量部~40重量部、15重量部~40重量部、さらには10重量部~35重量部である。
【0053】
マトリクスの平均屈折率nMは光拡散性粒子の屈折率nPよりも大きくてもよい。
【0054】
第1の輝度向上フィルム1は単層構造であってもよい。第1の輝度向上フィルム1が単層構造である場合、屈折率は、例えば、1より大きく、かつ3.0以下である。第1の輝度向上フィルム1の屈折率は、例えば1.2~3.0であってもよい。本明細書において、「屈折率」は、温度25℃で波長550nmの光を用いて、JIS K0062:1992の規定に準拠して測定された値を意味する。
【0055】
第1の輝度向上フィルム1は上記の例に限定されない。第1の輝度向上フィルム1としては、例えば一般に光学機器、例えば液晶表示装置で輝度向上フィルム又は輝度上昇フィルムとして用いられている公知のものが使用でき、例えば、特表平9-507308号公報に記載のものが使用され得る。
【0056】
第1の輝度向上フィルム1は、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0057】
(被覆層2、3)
被覆層は、例えば樹脂を含む。被覆層に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂、UV硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。ポリエステル樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂である。
【0058】
被覆層は、樹脂組成物を溶融成形することにより得られた原フィルムについて、延伸を行うことによって作製された延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、1軸延伸フィルムであってもよく、2軸延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、光の透過性が優れる観点から、2軸延伸フィルムであることが好ましい。延伸には、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の延伸法を利用することができる。延伸方向は、典型的には、原フィルムのMD方向(溶融成形方向)及び/又はTD方向(原フィルムの面内における溶融成形方向に垂直な方向)である。2軸延伸においては、逐次2軸延伸であってもよく、同時2軸延伸であってもよい。上記の樹脂組成物はポリエチレンテレフタレート樹脂を含んでいてもよい。
【0059】
延伸フィルムの延伸倍率は、特に限定されず、延伸方向(MD方向及び/又はTD方向)について、例えば1.1倍以上であり、好ましくは2.0倍以上であり、5.0倍以上であってもよい。
【0060】
ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるポリマーP1は、典型的には、エチレングリコールに由来する構成単位U1と、テレフタル酸に由来する構成単位U2とを有する。ポリマーP1において、構成単位U1の含有率と構成単位U2の含有率との合計値は、例えば50モル%以上であり、70モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、さらには99モル%以上であってもよい。ポリマーP1は、実質的に構成単位U1及びU2のみから構成されていてもよい。ただし、ポリマーP1は、構成単位U1及びU2以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
【0061】
被覆層は、例えば、上述した樹脂を主成分として含む。被覆層は、実質的に樹脂のみから構成されていてもよい。ただし、被覆層は、樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0062】
被覆層の厚さは、強度の観点から、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上、1μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、さらには40μm以上であってもよい。被覆層の厚さは、透光性の観点から、例えば1000μm以下であり、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、さらには10μm以下であってもよい。
【0063】
被覆層の融点は、特に限定されず、例えば150℃~300℃である。
【0064】
被覆層の屈折率は、特に限定されず、例えば1より大きく、3.0未満である。被覆層の屈折率は、例えば1.4~3.0である。一例として、被覆層がポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された延伸フィルムである場合、延伸フィルムの屈折率は1.6程度である。
【0065】
なお、被覆層の組成や物性は、上述したものに限定されない。被覆層は、輝度向上フィルムであってもよい。すなわち、第1の基材10は、複数の輝度向上フィルムが貼り合わされたものであってもよい。複数の輝度向上フィルムは、互いに異なる組成又は特性を有していてもよいし、同じ組成又は特性を有していてもよい。
【0066】
被覆層は、例えば、第1の輝度向上フィルム1と直接接している。第1の基材10は、接着層をさらに備えていてもよい。接着層は、第1の輝度向上フィルム1及び被覆層の間に配置され、第1の輝度向上フィルム1及び被覆層のそれぞれと直接接している。第1の基材10が接着層を備えている場合、被覆層は、接着層を介して、第1の輝度向上フィルム1の表面を被覆している。なお、第1の基材10において、第1の輝度向上フィルム1と被覆層とが実用上十分な強度で接合できる場合、第1の基材10は、接着層を備えていなくてもよい。
【0067】
接着層は、例えば、接着剤を含む層であり、接着層を介して、第1の輝度向上フィルム1及び被覆層を接合することができる。接着層に含まれる接着剤としては、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤などが挙げられる。第1の輝度向上フィルム1及び被覆層との接着性の観点から、接着層は、ポリエステル系接着剤を含むことが好ましい。
【0068】
接着層に含まれる接着剤は、ドライラミネート用接着剤であることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、二液硬化型接着剤、二液溶剤型接着剤、一液無溶剤型接着剤などが挙げられる。
【0069】
接着層は、例えば、接着剤を主成分として含み、実質的に接着剤のみから構成されていてもよい。ただし、接着層は、接着剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0070】
接着層の厚さは、特に限定されず、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上、さらには1μm以上であってもよい。接着層の厚さは、例えば100μm以下であり、50μm以下、20μm以下、10μm以下、さらには5μm以下であってもよい。
【0071】
第1の基材10の厚さは、20μm以上、25μm以上、30μm以上、さらには40μm以上であってもよい。第1の基材10の厚さは、例えば1000μm以下であり、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、さらには40μm以下であってもよい。第1の基材10の厚さは、例えば20μm以上かつ1000μm以下である。
【0072】
第1の基材10は第1の輝度向上フィルム1を含んでいればよく、例えば、第1の基材10は、第1の輝度向上フィルム1とその他のフィルム(例えば2軸延伸フィルム)とを繋ぎ合わせて作製された1層のフィルムであってもよい。第1の基材10の一主面における、第1の輝度向上フィルム1の面積割合は、例えば50%以上であり、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、さらには100%であってもよい。上限値は特に限定されず、例えば100%以下である。第1の基材10が多層構造である場合、第1の基材10の一主面の表面積に対する、第1の輝度向上フィルム1の投影面積の割合は、例えば50%以上であり、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、さらには100%であってもよい。
【0073】
第1の輝度向上フィルム1及び被覆層2又は被覆層3を備える第1の基材10B及び10Cは、例えば、次の方法によって作製することができる。まず、被覆層の材料を含む塗布液を準備する。塗布液の溶媒は、典型的には、有機溶媒である。次に、第1の輝度向上フィルム1の上に塗布液を塗布し、塗布膜を作製する。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、ワイヤーバーコート法、スピンコート法などを利用できる。次に、塗布膜を乾燥させることによって、被覆層を形成することができる。塗布膜の乾燥は、例えば、加熱条件下で行うことができる。被覆層に含まれる樹脂がUV硬化型樹脂である場合、塗布膜に対して紫外線を照射することにより、塗布膜を硬化させてもよい。被覆層が例えば延伸フィルムのようなフィルムである場合は、まず、接着剤を含む塗布液を第1の輝度向上フィルム1の上に塗布し、塗布膜を作製する。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、上述したものが利用できる。次に、塗布膜を乾燥させ、接着層を形成する。接着層を介して、第1の輝度向上フィルム1と延伸フィルムとを貼り合わせることによって、第1の基材10を作製することができる。第1の基材10の作製は、例えば、市販のドライラミネーション機を利用することができる。
【0074】
(第2の基材20)
第2の基材20は、第2の輝度向上フィルムを含んでいてもよい。
【0075】
第1の輝度向上フィルム1と第2の輝度向上フィルムとは、互いに同じものであってもよく、例えば、同じ構造、組成、材料、又は特性を有するものであってもよい。第1の輝度向上フィルム1と第2の輝度向上フィルムとは、互いに異なるものであってもよく、例えば、異なる構造又は材料を有するものであってもよい。
【0076】
第2の基材20は、第2の輝度向上フィルムを含む場合、第2の輝度向上フィルムを被覆する被覆層をさらに備えてもよい。被覆層の材料、構造、及び特性は、第1の基材10で被覆層として上述したものであってもよい。
【0077】
第2の基材20は、第2の輝度向上フィルムを含んでいなくてもよい。第2の基材20は、例えば、上述した被覆層として挙げられた樹脂を含んでいてもよい。第2の基材20は、被覆層として挙げられた樹脂からなる1以上の層からなっていてもよい。第2の基材20は、延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムは、2軸延伸フィルムであってもよく、ポリエチレンテレフタレート樹脂の2軸延伸フィルムであってもよい。
【0078】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る培養方法は、本発明の第1実施形態に係る培養バッグを用いる培養方法である。
【0079】
第2実施形態に係る培養方法は、培養バッグに培養対象物が収容されており、当該培養バッグに光が照射されることを含んでもよい。光は、太陽光であってもよく、他の光源からの光であってもよい。
【0080】
培養バッグには微細藻類が収容されていてもよい。すなわち、培養方法は、微細藻類の培養方法であってもよい。
【0081】
培養バッグの内部に気体を供給してもよい。気体は、例えば二酸化炭素である。気体は、酸素や窒素などをさらに含んでいてもよい。気体は、空気であってもよい。
【0082】
培養バッグは、その設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養するために、培養バッグの厚さ方向が水平方向と一致するように配置されてもよい。
【実施例0083】
以下に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0084】
(実施例1)
[培養バッグの作製]
輝度向上フィルム(3M社製、輝度上昇フィルム APFシリーズ)を2つ準備した。輝度向上フィルムは、それぞれ12cm×12cmの大きさであり、27μmの厚さであった。次に、これら2つの輝度向上フィルムを互いに重ね合わせ、3方をヒートシールした後、粘着テープで補強して、三方袋を作製した。このようにして、実施例1の培養バッグが得られた。三方袋を作製するためのヒートシールにはインパルスシーラー(富士インパルス社製、P-300-5)を用い、シール幅を5mmに調整した。
【0085】
[培養試験]
実施例1の培養バッグに、50mLのC培地に藻類を分散させた培養液を投入した。藻類としては、クラミドモナス種を使用し、使用した菌体量は細胞数105個であった。次に、培養バッグに、培養バッグの基材の主面に対して垂直方向から、LEDライト(GEX社製、Power3 300)からの光を照射した状態で、培養を行った。LEDライトと培養バッグとの間の距離は約5cmであった。培養は、25℃の室温条件下、100rpmで培養液を振とう撹拌し、3日間実施された。培養後、培養液について、分光光度計(日本分光株式会社製 V-750)を用いて490nmの吸光度(Abs490)を測定した。
【0086】
(実施例2)
[培養バッグの作製]
輝度向上フィルム(3M社製、輝度上昇フィルム APFシリーズ)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む2軸延伸フィルム(東レ社製、再生PETフィルム エコユース(登録商標)シリーズ、厚さ50μm)とを準備した。これらのフィルムはそれぞれ12cm×12cmの大きさであった。次に、これら2つのフィルムを互いに重ね合わせ、実施例1と同様にして三方袋を作製することで、実施例2の培養バッグが得られた。
【0087】
[培養試験]
実施例2の培養バッグを用いて、実施例1と同様にして培養試験が実施された。培養試験において、LEDライトからの光は、培養バッグの輝度向上フィルム側から照射された。
【0088】
(比較例1)
[培養バッグの作製]
ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む2軸延伸フィルム(東レ社製、再生PETフィルム エコユース(登録商標)シリーズ、厚さ50μm)を2つ準備した。これらの2軸延伸フィルムはそれぞれ12cm×12cmの大きさであった。次に、これら2つのフィルムを互いに重ね合わせ、実施例1と同様にして三方袋を作製することで、比較例1の培養バッグが得られた。
【0089】
[培養試験]
比較例1の培養バッグを用いて、実施例1と同様にして培養試験が実施された。
【0090】
実施例1~2及び比較例1の結果を表1に示す。表1に示される増殖率とは、比較例1のAbs490を100%としたときの、実施例1~2のAbs490の比を意味する。
【0091】
【表1】
【0092】
表1からわかるとおり、培養バッグが輝度向上フィルムを有する第1の基材を備える実施例1~2は、輝度向上フィルムを含まない比較例1と比べて、培養試験後の培養液の490nmの吸光度が高かった。この結果から、実施例1~2では比較例1と比べて、藻類が増殖したことがわかる。したがって、実施例1~2の培養バッグは、比較例1の培養バッグと比べて、微細藻類を培養することに適していると言える。
【0093】
特に、第2の基材も輝度向上フィルムを含む実施例1は、培養試験後の培養液の490nmの吸光度が高かった。実施例1の培養バッグは、培養バッグ内に到達する光量が特に増大していると推定され、微細藻類を培養することに適していると言える。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本実施形態の培養バッグは、微細藻類を培養することに適している。
【符号の説明】
【0095】
1 輝度向上フィルム
2、3 被覆層
10、10A、10B、10C、 第1の基材
20 第2の基材
50 収容部
55 内容物
100 培養バッグ
図1
図2
図3
図4