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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048587
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】培養バッグ及びそれを用いた培養方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240402BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154585
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【弁理士】
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】三輪 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石塚 亮太
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029GA08
4B029GB09
4B065AA83X
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】微細藻類を培養することに適した新たな培養バッグを提供する。
【解決手段】本発明の培養バッグ100は、反射部を含む第1の基材10と、光透過部30を含む第2の基材20とを備える。第1の基材10及び第2の基材20は、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されていてもよい。本発明の培養方法は、培養バッグ100を用いる培養方法である。培養バッグ100には、例えば微細藻類が収容される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射部を含む第1の基材と、
光透過部を含む第2の基材と、
を備える、
培養バッグ。
【請求項2】
前記反射部は、反射フィルムを含む、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項3】
前記反射部は、金属薄膜を含む、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項4】
前記反射部の380nm~850nmの波長域における平均反射率は、50%以上である、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項5】
前記第1の基材の厚さが、20μm以上かつ1000μm以下である、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項6】
前記第1の基材は、前記反射部を支持する支持部をさらに含む、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項7】
前記第1の基材及び前記第2の基材は、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項8】
前記第2の基材は、前記光透過部のみからなる、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項9】
気体を内部に供給するための開口部を有する、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項10】
微細藻類を培養するために用いられる、請求項1に記載の培養バッグ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の培養バッグを用いる、培養方法。
【請求項12】
前記培養バッグに微細藻類が収容されている、請求項11に記載の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養バッグ及びそれを用いた培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細藻類は、食料や燃料などに利用することができ、その利用価値が高い。微細藻類は、容易に培養できるだけでなく、その培養過程で二酸化炭素を大量に吸収できる利点もある。
【0003】
微細藻類の培養方法としては、屋外に開放された培養槽を利用する開放系での培養方式や、タンクなどの密閉容器を利用する閉鎖系での培養方式が挙げられる。開放系での培養方式は、コンタミネーションリスクが高いことや微細藻類のバイオマス生産性が限定的となるなどのデメリットがある。閉鎖系の培養方式は、外部からの物質混入や生物侵入で培養液が汚染されるコンタミネーションのリスクを低減できる利点がある。
【0004】
閉鎖系の培養方式では、密閉容器として、樹脂製のフィルムを含む培養バッグ、ガラス管やガラスプレートで構成された培養容器などが利用される。培養バッグとしては、例えば、2つの包装材(基材)が互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合された袋状体が用いられる。この袋状体では、通常、2つの包装材がヒートシールにより接合されている。
【0005】
上記の袋状体を用いた培養方式によれば、その厚さ方向が水平方向と一致するように袋状体を配置することによって、袋状体の設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養することができる。一例として、特許文献1は、梁などに吊るされた袋状体を備えた培養装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国実用新案第207483706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微細藻類の培養に適した新たな培養バッグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
反射部を含む第1の基材と、
光透過部を含む第2の基材と、
を備える、培養バッグを提供する。
【0009】
さらに本発明は、前記培養バッグを用いる培養方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
微細藻類の培養に適した新たな培養バッグを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る培養バッグ100を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Aを模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Bを模式的に示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る培養バッグが備える第1の基材10Cを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様に係る培養バッグは、反射部を含む第1の基材と、光透過部を含む第2の基材と、を備える。
【0013】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様に係る培養バッグでは、前記反射部は、反射フィルムを含む。
【0014】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る培養バッグでは、前記反射部は、金属薄膜を含む。
【0015】
本発明の第4態様において、例えば、第1~第3態様のいずれか1つに係る培養バッグでは、前記反射部の380nm~850nmの波長域における平均反射率は、50%以上である。
【0016】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つに係る培養バッグでは、前記第1の基材の厚さが、20μm以上かつ1000μm以下である。
【0017】
本発明の第6態様において、例えば、第1~第5態様のいずれか1つに係る培養バッグでは、前記第1の基材は、前記反射部を支持する支持部をさらに含む。
【0018】
本発明の第7態様において、例えば、第1~第6態様のいずれか1つに係る培養バッグは、前記第1の基材及び前記第2の基材は、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている。
【0019】
本発明の第8態様において、例えば、第1~第7態様のいずれか1つに係る培養バッグでは、前記第2の基材は、前記光透過部のみからなる。
【0020】
本発明の第9態様において、例えば、第1~第8態様のいずれか1つに係る培養バッグは、気体を内部に供給するための開口部を有する。
【0021】
本発明の第10態様において、例えば、第1~第9態様のいずれか1つに係る培養バッグは、微細藻類を培養するために用いられる。
【0022】
本発明の第11態様に係る培養方法は、第1~第10態様のいずれか1つに係る培養バッグを用いる培養方法である。
【0023】
本発明の第12態様において、例えば、第11態様に係る培養方法は、前記培養バッグに微細藻類が収容されている。
【0024】
以下、本発明の詳細を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
【0025】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る培養バッグは、反射部を含む第1の基材と、光透過部を含む第2の基材と、備える。図1に示される培養バッグ100は、第1の基材10及び第2の基材20を備えている。第1の基材10は、反射部(図示せず)を含む。第2の基材20は、光透過部30を含む。第1の基材10及び第2の基材20は、培養バッグ100の内部と外部とを隔てる隔壁として機能する。第1の基材10及び第2の基材20は、例えばシート状物である。第1の基材10及び第2の基材20は、培養バッグ100の内部と外部とを隔てる隔壁を形成するように、互いに接合され得る。例えば、第1の基材10及び第2の基材は、互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されていてもよい。
【0026】
培養バッグ100において、第1の基材10及び第2の基材20が互いに重ね合わされ、袋状の構造を有するように接合されている。これにより、培養バッグ100には、第1の基材10及び第2の基材20に囲まれた収容部50が形成されている。第1の基材10及び第2の基材20は、所望の内部容量の収容部50が形成されるように、撓んだ形状で互いに接合されていてもよい。一例として、図1の培養バッグ100では、収容部50の周囲において、第1の基材10と、第2の基材20とが互いに接合されている。第1の基材10及び第2の基材20は、ヒートシールにより接合されていることが好ましい。ただし、第1の基材10及び第2の基材20は、接着剤を介して接合されていてもよい。
【0027】
培養バッグ100は、収容部50に収容された内容物55をさらに備えていてもよい。内容物55は、培養バッグ100の用途によって適宜選択することができる。一例として、培養バッグ100が微細藻類を培養するために用いられる場合、内容物55は、例えば、微細藻類及び培養液を含んでいる。ただし、内容物55は、微細藻類以外の他の微生物や、各種の細胞を含んでいてもよい。
【0028】
微細藻類としては、特に限定されず、例えば、緑色植物門、不等毛植物門などに属するものが挙げられる。緑色植物門に属する藻類としては、緑藻綱、トレボキシア藻綱、プラシノ藻綱、アオサ藻綱、車軸藻綱などに属する藻類が挙げられる。
【0029】
緑藻綱に属する藻類としては、ネオクロリス・オレオアバンダンス等のネオクロリス属藻類、ナノクロリス・エスピー等のナノクロリス属藻類、クラミドモナス・レインハルディ等のクラミドモナス属藻類、セネデスムス属藻類、デスモデスムス属藻類などが挙げられる。トレボキシア藻綱に属する藻類としては、例えば、クロレラ・ケッサレリ等のクロレラ属藻類などが挙げられる。
【0030】
不等毛植物門に属する藻類としては、黄金色藻綱、ディクチオカ藻綱、ペラゴ藻綱、ラフィド藻綱、珪藻綱、褐藻綱、黄緑藻綱、真正眼点藻綱などに属する藻類が挙げられる。珪藻綱に属する藻類としては、例えば、タラシオシラ・スードナナ等のタラシオシラ属藻類などが挙げられる。
【0031】
培養液としては、公知のものを利用することができる。培養液は、例えば、水とともに、炭素源、窒素源、リン源などの培地成分をさらに含む。
【0032】
培養バッグ100は、例えば、気体を内部に供給するための開口部(気体供給口)をさらに有する。開口部を通じて、培養に必要な気体を培養バッグ100の内部に送ることができる。培養に必要な気体は、典型的には二酸化炭素である。この気体は、酸素や窒素などをさらに含んでいてもよい。この気体は、空気であってもよい。
【0033】
培養バッグ100は、内容物55を内部に供給するための開口部(図示せず)をさらに有していてもよい。培養バッグ100では、気体を内部に供給するための開口部を通じて、内容物55が内部に送られてもよい。
【0034】
培養バッグ100の容積は、培養バッグ100の用途に応じて適宜選択できる。一例として、培養バッグ100が微細藻類を培養するために用いられる場合、培養バッグ100の容積は、0.000001~100m3であってもよく、1~100m3であってもよい。
【0035】
培養バッグ100は、微細藻類などの微生物や、各種の細胞などを培養するために用いられ、特に、微細藻類を培養するために用いられることが好ましい。培養バッグ100には、微細藻類の培養を促進させるために、太陽光や、他の光源からの光が照射されてもよい。培養バッグ100は、その設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養するために、培養バッグ100の厚さ方向が水平方向と一致するように配置されてもよい。
【0036】
(第1の基材10)
第1の基材10は、反射部を含む。図2に示すように、第1の基材10Aは、例えば、反射部1のみからなる。反射部1は、本発明の培養バッグにおいて外側に面する表面1aと、1aに対向する表面1bを有する。表面1a及び1bは、反射部1の主面(最も大きい面積を有する面)である。
【0037】
第1の基材10は、反射部1以外の部材をさらに備えていてもよい。第1の基材10は、例えば、反射部を支持する支持部をさらに備える。
【0038】
図3に示される第1の基材10Bは、反射部1を支持する支持部2を備える。支持部2は、反射部1の表面1aに面している。これにより、反射部1を保護でき、第1の基材10B及び培養バッグ100の強度を向上でき得る。図3では、反射部1は支持部2の一表面全体を被覆しているが、反射部1は、支持部2の表面の一部を被覆していてもよい。
【0039】
図4に示される第1の基材10Cは、反射部1を支持する支持部3を備える。支持部3は、反射部1の表面1bに面している。これにより、反射部1を保護でき、第1の基材10C及び培養バッグ100の強度を向上でき、かつ、反射部1として、ヒートシールにより他の部材(例えば、第2の基材20)と接合できない材料も使用することができる。図4では、反射部1は支持部3の一表面全体を被覆しているが、反射部1は、支持部3の表面の一部を被覆していてもよい。
【0040】
本明細書において、「第1の基材10」と記載する場合、第1の基材10には第1の基材10A、第1の基材10B、及び第1の基材10Cが含まれる。本明細書において、「支持部」と記載する場合、支持部には支持部2及び支持部3の両方が含まれる。
【0041】
(反射部1)
反射部1は、光反射性を有する。反射部1は、例えば、第2の基材20側から培養バッグ100に照射され、光透過部30を透過して第1の基材10に入射した光を、培養バッグ100の内部方向に反射する。すなわち、反射部1は表面1b側から入射した光を反射する。したがって、反射部1は、培養バッグ100の外部へ透過する光量を抑制し得る。本発明の培養バッグ100は、反射部1を含むため、培養バッグ100に光を照射した際に、従来の培養バッグに同様に光を照射した場合と比較して、培養バッグ100の内部(例えば収容部50)の光量を増加できる。例えば、第2の基材20側から光が照射されると、反射部1の表面1bに光が当たりやすいため、より効果的に培養バッグ100の内部の光量を増加できる。本発明の培養バッグ100は、その内部に効率的に光を取り込むことができ、例えば微細藻類を効率的に培養できる。
【0042】
反射部1の反射率は、例えば50%以上である。本明細書において、「反射率」は、380nm~850nmの波長域における反射率の平均値を意味する。反射部1の反射率は、好ましくは70%以上であり、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、さらには95%以上であってもよい。反射部1の反射率の上限値は特に限定されず、例えば99%以下である。
【0043】
反射部1の平均反射率は、例えば次の方法によって特定することができる。まず、縦5cm×横5cmのサイズを有する反射部1の試験片を切り出す。この試験片を市販の分光光度計にセットし、測定波長380nm~850nmにて反射率を測定する。分光光度計としては、例えば、日立ハイテクサイエンス社製の紫外可視近赤外分光光度計UH4150を用いることができる。反射率の測定は、培養バッグ100の内側となる表面から入射光を入射させ、入射角度5°、積分球角度180°、及び偏光子角度45°の条件で行う。得られた測定結果に基づいて、380nm~850nmの波長域における平均反射率を算出することができる。
【0044】
反射部1は、例えば、反射フィルムを含む。反射フィルムとしては、一般に、可視光を反射するフィルムとして知られるものを用いることができる。反射フィルムとしては、例えば、金属薄膜、樹脂層の上に金属層を設けたフィルム、樹脂層内に複数の光拡散性粒子を含有させたフィルム、樹脂層内に複数の空隙を有するフィルム、屈折率の異なる複数の樹脂の多層積層体、及びこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、UV硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。反射フィルムは、ポリエチレンフィルムに金属箔を接着したものであってもよい。反射部1は、例えば、反射フィルムであってもよい。
【0045】
反射部1は、光反射性を有する材料の層であってもよい。光反射性を有する材料は、例えば金属材料である。反射部1は、金属薄膜を含んでもよい。金属薄膜は、金属箔であってもよく、塗布膜であってもよく、蒸着により形成された膜であってもよい。反射部1は、金属薄膜であってもよく、例えばアルミ箔であってもよい。
【0046】
反射部1は、光拡散性粒子を含んでいてもよい。反射部1は、例えば、マトリクスと、マトリクスに分散した光拡散性粒子とを含む。反射部1は、マトリクスと、マトリクスに分散した光拡散性粒子とを含む単層構造であってもよい。
【0047】
マトリクスは例えば樹脂成分を含む。樹脂成分は、任意の適切な材料で構成される。樹脂成分は、好ましくは有機化合物で構成され、より好ましくは電離線硬化型樹脂で構成される。電離線硬化型樹脂は、塗膜の硬度に優れているため、機械強度を補いやすい。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、樹脂成分は、特に好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂(エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エーテルアクリレート)などのラジカル重合型モノマーおよび/またはオリゴマーから形成される樹脂が挙げられる。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の分子量は、好ましくは200~700である。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:分子量298)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA:分子量212)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:分子量632)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA:分子量578)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)が挙げられる。前駆体には、必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、UVラジカル発生剤(BASFジャパン社製イルガキュア907、同127、同192など)、過酸化ベンゾイルが挙げられる。樹脂成分は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂を含んでいてもよい。別の樹脂は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などであってもよい。マトリクスは、樹脂成分からなっていてもよい。
【0048】
光拡散性粒子は、光を拡散する粒子であって、例えば、無機粒子を含んでいてもよく、有機粒子を含んでいてもよい。好ましい無機粒子としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物、金属粒子が挙げられる。金属酸化物の具体例としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素が挙げられる。金属フッ化物の具体例としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムが挙げられる。金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケル、白金、マンガン、鉄、ジルコニウム、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、ゲルマニウム、鉛、アンチモン等の金属単体、又はこれら金属の合金などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、アクリレート系樹脂粒子、脂肪族系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子が挙げられる。例えば、ポリオレフィン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリカーボネート樹脂粒子、セルロース樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子、ウレタンアクリレート樹脂粒子などが挙げられる。
【0049】
光拡散性粒子の平均粒径は、特に限定されず、例えば1nm以上であってもよく、10nm以上、20nm以上、100nm以上、1μm以上であってもよい。光拡散性粒子の平均粒径は、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。例えば、1μm~10μmであり、2μm~5μmであってもよい。光拡散性粒子の平均粒径は、例えば、次の方法によって特定することができる。まず、反射部1の断面を透過電子顕微鏡で観察する。得られた電子顕微鏡像において、特定の光拡散性粒子の面積を画像処理によって算出する。算出された面積と同じ面積を有する円の直径をその特定の光拡散性粒子の粒径(粒子の直径)とみなす。任意の個数(少なくとも50個)の光拡散性粒子の粒径をそれぞれ算出し、算出値の平均値を光拡散性粒子の平均粒径とみなす。光拡散性粒子の形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。多くの場合、上記光拡散性粒子として真球状微粒子が用いられ得る。
【0050】
反射部1の厚さは、例えば、5μm以上、10μm以上、25μm以上、40μm以上、さらには50μm以上であってもよい。反射部1の厚さは、例えば1000μm以下であり、500μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、さらには100μm以下であってもよい。
【0051】
反射部1は、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0052】
(支持部2、3)
支持部は、反射部1を支持する。支持部が反射部1よりも培養バッグ100の内側に位置する場合、支持部は光透過性を有する。すなわち、反射部1の表面1bと面する支持部3は、光透過性を有する。
【0053】
支持部は、例えば樹脂を含む。支持部に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂、UV硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。ポリエチレン樹脂は、例えば低密度ポリエチレン樹脂である。ポリエステル樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂である。
【0054】
支持部は、ポリエチレン樹脂を含むフィルムであってもよい。
【0055】
支持部は、樹脂組成物を溶融成形することにより得られた原フィルムについて、延伸を行うことによって作製された延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、1軸延伸フィルムであってもよく、2軸延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、光の透過性が優れる観点から、2軸延伸フィルムであることが好ましい。延伸には、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の延伸法を利用することができる。延伸方向は、典型的には、原フィルムのMD方向(溶融成形方向)及び/又はTD方向(原フィルムの面内における溶融成形方向に垂直な方向)である。2軸延伸においては、逐次2軸延伸であってもよく、同時2軸延伸であってもよい。上記の樹脂組成物はポリエチレン樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂を含んでいてもよい。
【0056】
延伸フィルムの延伸倍率は、特に限定されず、延伸方向(MD方向及び/又はTD方向)について、例えば1.1倍以上であり、好ましくは2.0倍以上であり、5.0倍以上であってもよい。
【0057】
ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるポリマーP1は、典型的には、エチレングリコールに由来する構成単位U1と、テレフタル酸に由来する構成単位U2とを有する。ポリマーP1において、構成単位U1の含有率と構成単位U2の含有率との合計値は、例えば50モル%以上であり、70モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、さらには99モル%以上であってもよい。ポリマーP1は、実質的に構成単位U1及びU2のみから構成されていてもよい。ただし、ポリマーP1は、構成単位U1及びU2以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
【0058】
支持部は、例えば、上述した樹脂を主成分として含む。支持部は、実質的に樹脂のみから構成されていてもよい。例えば、支持部は、ポリエチレンフィルムであってもよい。ただし、支持部は、樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0059】
支持部の厚さは、強度の観点から、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上、1μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、さらには40μm以上であってもよい。支持部の厚さは、透光性の観点から、例えば1000μm以下であり、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、さらには10μm以下であってもよい。
【0060】
支持部の融点は、特に限定されず、例えば150℃~300℃である。
【0061】
支持部の屈折率は、特に限定されず、例えば1より大きく、3.0未満である。支持部の屈折率は、例えば1.4~3.0である。一例として、支持部がポリエチレンテレフタレート樹脂から構成された延伸フィルムである場合、延伸フィルムの屈折率は1.6程度である。
【0062】
なお、支持部の組成や物性は、上述したものに限定されない。支持部は、反射フィルムであってもよい。すなわち、第1の基材10は、複数の反射部材が貼り合わされたものであってもよい。複数の反射部材は、互いに異なる組成又は特性を有していてもよいし、同じ組成又は特性を有していてもよい。
【0063】
支持部は、例えば、反射部1と直接接している。第1の基材10は、接着層をさらに備えていてもよい。接着層は、反射部1及び支持部の間に配置され、反射部1及び支持部のそれぞれと直接接している。第1の基材10が接着層を備えている場合、支持部は、接着層を介して、反射部1を支持している。なお、第1の基材10において反射部1と支持部とが実用上十分な強度で接合できる場合、第1の基材10は、接着層を備えていなくてもよい。
【0064】
接着層は、例えば、接着剤を含む層であり、接着層を介して、反射部1及び支持部を接合することができる。接着層に含まれる接着剤としては、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤などが挙げられる。反射部1及び支持部との接着性の観点から、接着層は、ポリエステル系接着剤を含むことが好ましい。
【0065】
接着層に含まれる接着剤は、ドライラミネート用接着剤であることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、二液硬化型接着剤、二液溶剤型接着剤、一液無溶剤型接着剤などが挙げられる。
【0066】
接着層は、例えば、接着剤を主成分として含み、実質的に接着剤のみから構成されていてもよい。ただし、接着層は、接着剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが挙げられる。
【0067】
接着層の厚さは、特に限定されず、例えば0.1μm以上であり、0.5μm以上、さらには1μm以上であってもよい。接着層の厚さは、例えば100μm以下であり、50μm以下、20μm以下、10μm以下、さらには5μm以下であってもよい。
【0068】
第1の基材10は、反射部1を被覆する被覆層をさらに備えてもよい。被覆層の材料、構造、及び特性は、第1の基材10で被覆層として上述したものであってもよい。被覆層は、反射部1の表面1a全体を被覆していてもよく、反射部1の表面1aを部分的に被覆していてもよい。被覆層は、反射部1の表面1aのうち、第1の基材10と第2の基材20とを接合するときにヒートシールが施される部分(例えば、表面1aの周縁部)を被覆していてもよい。被覆層は、反射部1の表面1b全体を被覆していてもよく、反射部1の表面1bを部分的に被覆していてもよい。例えば、被覆層は、第1の基材10と第2の基材20とを接合するときに接合される部分(例えば、表面1bの周縁部)を被覆していてもよい。第1の基材10は、支持部及び被覆層の両方を備えてもよい。被覆層は、反射部1に接していてもよい。被覆層は、支持部の表面を被覆していてもよい。被覆層は、支持部の表面を被覆していてもよい。被覆層は、支持部に接していてもよい。反射部1又は支持部と被覆層との間に接着層が設けられていてもよい。
【0069】
第1の基材10は、光透過部をさらに含んでもよい。
【0070】
(第1の基材10の特性)
第1の基材10の厚さは、20μm以上、25μm以上、30μm以上、さらには40μm以上であってもよい。第1の基材10の厚さは、例えば1000μm以下であり、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、さらには40μm以下であってもよい。第1の基材10の厚さは、例えば20μm以上かつ1000μm以下である。
【0071】
第1の基材10の一主面における、反射部1の面積割合は、例えば50%以上であり、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、さらには100%であってもよい。上限値は特に限定されず、例えば100%以下である。第1の基材10は、例えば、反射部1とその他のフィルム(例えばポリエチレンフィルム)とを繋ぎ合わせて作製された1層のフィルムであってもよい。第1の基材10が多層構造である場合、第1の基材10の一主面の表面積に対する、反射部1の投影面積の割合は、例えば50%以上であり、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、さらには100%であってもよい。第1の基材10は、例えば、支持部と支持部の一部を被覆する反射部(例えば金属層)とであってもよい。
【0072】
反射部1及び支持部2又は支持部3を備える第1の基材10B及び10Cは、例えば、次の方法によって作製することができる。まず、支持部の材料を含む塗布液を準備する。塗布液の溶媒は、典型的には、有機溶媒である。次に、反射部1の上に塗布液を塗布し、塗布膜を作製する。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、ワイヤーバーコート法、スピンコート法などを利用できる。次に、塗布膜を乾燥させることによって、支持部を形成することができる。塗布膜の乾燥は、例えば、加熱条件下で行うことができる。支持部に含まれる樹脂がUV硬化型樹脂である場合、塗布膜に対して紫外線を照射することにより、塗布膜を硬化させてもよい。あるいは、反射部1の材料を含む塗布液を準備し、支持部の上に塗布液を塗布及び乾燥させることにより反射部1を形成してもよい。支持部が例えば延伸フィルムのようなフィルムである場合は、まず、接着剤を含む塗布液を支持部の上に塗布し、塗布膜を作製する。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、上述したものが利用できる。次に、塗布膜を乾燥させ、接着層を形成する。接着層を介して、反射部1と支持部とを貼り合わせることによって、第1の基材10を作製することができる。第1の基材10の作製は、例えば、市販のドライラミネーション機を利用することができる。
【0073】
(第2の基材20)
第2の基材20は、光透過部30を含む。光透過部は、光透過性を有する部分であり、例えば、380nm~850nmの波長域における平均透過率が50%以上である。光透過部30は、培養バッグ100の外部から内部に、光を透過させる。第2の基材20は、光透過部30のみからなっていてもよい。上記平均透過率は、後述する平均透過率T1、T2と同様にして分光光度計で測定できる。
【0074】
第2の基材20は、例えば、上述した支持部として挙げられた樹脂を含んでいてもよい。第2の基材20は、支持部として挙げられた樹脂からなる1以上の層からなっていてもよい。第2の基材20は、ポリエチレンフィルムであってもよく、ポリエチレンフィルムは低密度ポリエチレンフィルムであってもよい。第2の基材20は、延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムは、2軸延伸フィルムであってもよく、ポリエチレンテレフタレート樹脂の2軸延伸フィルムであってもよい。第2の基材20は、輝度向上フィルムであってもよい。
【0075】
光透過部30について、430~460nmの波長域における平均透過率T1は、例えば50%以上であり、55%以上、60%以上、70%以上、さらには80%以上であってもよい。平均透過率T1が高ければ高いほど、微細藻類の光合成を促進できる傾向がある。平均透過率T1の上限値は、特に限定されず、例えば99%である。
【0076】
さらに、光透過部30について、640~670nmの波長域における平均透過率T2は、例えば65%以上であり、70%以上、75%以上、さらには80%以上であってもよい。平均透過率T2が高ければ高いほど、微細藻類の光合成を促進できる傾向がある。平均透過率T2の上限値は、特に限定されず、例えば99%である。
【0077】
平均透過率T1及びT2は、次の方法によって特定することができる。まず、縦5cm×横5cmのサイズを有する光透過部30の試験片を切り出す。この試験片を市販の分光光度計にセットし、測定波長250nm~1000nmにて透過率を測定する。分光光度計としては、例えば、日立ハイテクサイエンス社製の紫外可視近赤外分光光度計UH4150を用いることができる。透過率の測定は、培養バッグ100の外側となる表面から入射光を入射させ、入射角度0°、積分球角度180°、及び偏光子角度45°の条件で行う。得られた測定結果に基づいて、430~460nmの波長域における平均透過率T1と、640~670nmの波長域における平均透過率T2とをそれぞれ算出することができる。
【0078】
第2の基材20は、反射部をさらに含んでもよい。第2の基材20において、例えば、第1の基材10の反射部1で反射された光をさらに反射でき得る位置に、反射部が設けられていてもよい。
【0079】
第1の基材10と第2の基材20とは、互いに同じであってもよい。培養バッグ100内への光の入射、及び培養バッグ100内に入射した光の反射を考慮して、培養バッグ100内の光量が多くなるように、第1の基材10及び第2の基材20の反射部及び光透過部の位置を適宜調整することが好ましい。
【0080】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る培養方法は、本発明の第1実施形態に係る培養バッグを用いる培養方法である。
【0081】
第2実施形態に係る培養方法は、培養バッグに培養対象物が収容されており、当該培養バッグに光が照射されることを含んでもよい。光は、太陽光であってもよく、他の光源からの光であってもよい。
【0082】
培養バッグには微細藻類が収容されていてもよい。すなわち、培養方法は、微細藻類の培養方法であってもよい。
【0083】
培養バッグの内部に気体を供給してもよい。気体は、例えば二酸化炭素である。気体は、酸素や窒素などをさらに含んでいてもよい。気体は、空気であってもよい。
【0084】
培養バッグは、その設置面積を抑制しつつ、微細藻類を効率的に培養するために、培養バッグの厚さ方向が水平方向と一致するように配置されてもよい。
【実施例0085】
以下に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
(実施例1)
[培養バッグの作製]
低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(TRUSCO製、厚さ100μm)にアルミ箔(UACJ製、厚さ12μm、反射率約92%)を光沢面がLDPEフィルムに接するように粘着テープで貼り合わせて第1の基材を準備した。また、第2の基材として、LDPEフィルム(TRUSCO製 u-3040、厚さ150μm)を準備した。これらの基材はそれぞれ12cm×12cmの大きさであった。第2の基材に用いたLDPEフィルムの430~460nmの波長域における平均透過率は56.7%であり、640~670nmの波長域における平均透過率は72.1%であった。次に、これらの基材をLDPEフィルム同士が接するように互いに重ね合わせ、3方をヒートシールした後、粘着テープで補強して、三方袋を作製した。このようにして、実施例1の培養バッグが得られた。三方袋を作製するためのヒートシールにはインパルスシーラー(富士インパルス社製、P-300-5)を用い、シール幅を5mmに調整した。
【0087】
[培養試験]
実施例1の培養バッグに、50mLのC培地に藻類を分散させた培養液を投入した。藻類としては、クラミドモナス種を使用し、菌体量は細胞数105個であった。次に、培養バッグに、培養バッグの基材の主面に対して垂直方向かつLDPEフィルムのみからなる第2の基材側から、LEDライト(GEX社製、Power3 300)からの光を照射した状態で、培養を行った。LEDライトと培養バッグとの間の距離は約5cmであった。培養は、25℃の室温条件下、100rpmで培養液を振とう撹拌し、3日間実施された。培養後、培養液について、分光光度計(日本分光株式会社製 V-750)を用いて490nmの吸光度(Abs490)を測定した。
【0088】
(比較例1)
[培養バッグの作製]
LDPEフィルム(TRUSCO製 u-3040、厚さ150μm)を2つ準備した。これらのフィルムはそれぞれ12cm×12cmの大きさであった。次に、これら2つのフィルムを互いに重ね合わせ、実施例1と同様にして三方袋を作製することで、比較例1の培養バッグが得られた。
【0089】
[培養試験]
比較例1の培養バッグを用いて、実施例1と同様にして培養試験が実施された。
【0090】
実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。表1に示される増殖率とは、比較例1のAbs490を100%としたときの、実施例1のAbs490の比を意味する。
【0091】
【表1】
【0092】
表1からわかるとおり、培養バッグが反射部を含む実施例1は、反射部を含まない比較例1と比べて、培養試験後の培養液の490nmの吸光度が高かった。この結果から、実施例1では比較例1と比べて、藻類が増殖したことがわかる。したがって、実施例1の培養バッグは、比較例1の培養バッグと比べて、微細藻類を培養することに適していると言える。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本実施形態の培養バッグは、微細藻類を培養することに適している。
【符号の説明】
【0094】
1 反射部
2、3 支持部
10、10A、10B、10C、 第1の基材
20 第2の基材
30 光透過部
50 収容部
55 内容物
100 培養バッグ
図1
図2
図3
図4