(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000486
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
H01S5/183
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186024
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】202210694017.6
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521028682
【氏名又は名称】深▲セン▼市埃爾法光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN AFALIGHT CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】ROOM1503,1504,1507,1508,1509,1510,1501,1502,1511,1512,BLOCK C, FLOOR 15, BUILDING 9, BAONENG SCIENCE AND TECHNOLOGY PARK, QINGHU VILLAGE, COMMUNITY, LONGHUASTREET, LONGHUA DISTRICT, SHENZHEN CITY, Guangdong 518000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】黄 君彬
(72)【発明者】
【氏名】付 全飛
(72)【発明者】
【氏名】童 小琴
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AD04
5F173AK21
5F173AR94
(57)【要約】 (修正有)
【課題】同じ面積のウェハーにより多くのレーザーチップを配置することにより、コストを低減する。
【解決手段】二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップに関し、レーザーチップ400は、第1トポロジー構造100、第2トポロジー構造200及び基板300を含み、第1トポロジー構造及び第2トポロジー構造はともに基板に設置され、第1トポロジー構造、第2トポロジー構造及び基板によりモジュール化レーザーチップが形成され、第1トポロジー構造は、第1活性領域、第1電極ボンディングパッド及び第1導線を含み、第1導線は、第1活性領域と該第1電極ボンディングパッドとの間に接続され、第2トポロジー構造は、第2活性領域、第2電極ボンディングパッド及び第2導線を含み、第2導線は、第2活性領域と第2電極ボンディングパッドとの間に接続され、第1トポロジー構造及び第2トポロジー構造はともに基板に斜めに設置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トポロジー構造100、第2トポロジー構造200及び基板300を含み、
該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はともに該基板300に設置され、該第1トポロジー構造100、該第2トポロジー構造200及び該基板300によりモジュール化レーザーチップ400が形成され、
該第1トポロジー構造100は、第1活性領域110、第1電極ボンディングパッド120及び第1導線130を含み、該第1導線130は、該第1活性領域110と該第1電極ボンディングパッド120との間に接続され、
該第2トポロジー構造200の構造は、該第1トポロジー構造100の構造と同じであり、該第2トポロジー構造200は、第2活性領域210、第2電極ボンディングパッド220及び第2導線230を含み、該第2導線230は、該第2活性領域210と該第2電極ボンディングパッド220との間に接続され、
該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はともに該基板300に斜めに設置され、
該基板300において、該第1活性領域110と該第2活性領域210との間の領域は機能領域310であり、該機能領域310以外の領域は退避領域320であり、該第1電極ボンディングパッド120、該第1導線130、該第2電極ボンディングパッド220及び該第2導線230はいずれも該機能領域310に設置される、二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【請求項2】
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220はいずれも正極ボンディングパッドであり、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はいずれも負極ボンディングパッドを含み、該負極ボンディングパッドは、該正極ボンディングパッドに対応して該基板300の底面に重ねて設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【請求項3】
該基板300は、横辺及び縦辺を有し、
該横辺は、頂辺330及び底辺340を含み、該縦辺は、左辺350及び右辺360を含み、頂面370は、該頂辺330、該底辺340、該左辺350及び該右辺360により囲まれて形成され、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200は、該頂面370に設置され、
該第1活性領域110の中心点と該第1電極ボンディングパッド120の中心点との連結線は第1傾斜線131であり、該第2活性領域210の中心点と該第2電極ボンディングパッド220の中心点との連結線は第2傾斜線231であり、
該第1傾斜線131と該横辺が交差して第1夾角A1を形成し、該第2傾斜線231と該横辺が交差して第2夾角A2を形成し、
該横辺の長さがLであり、該縦辺の長さがWであり、
1つの該モジュール化レーザーチップ400における該第1活性領域110の中心点と該第2活性領域210の中心点との間の間隔は間隔D1であり、
複数の該モジュール化レーザーチップ400がウェハーに配置されるときに、左右に隣接する任意の2つの該モジュール化レーザーチップ400について、一方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点と他方の該モジュール化レーザーチップ400の該第2活性領域210の中心点との間の間隔は間隔D2であり、
複数の該モジュール化レーザーチップ400がウェハーに配置されるときに、上下に隣接する任意の2つの該モジュール化レーザーチップ400について、一方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点と他方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点との間の間隔は間隔D3であり、
1つの該モジュール化レーザーチップ400における該第1電極ボンディングパッド120の中心点と該第2電極ボンディングパッド220の中心点との間の間隔は間隔D4であり、
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220の直径は直径D5であり、
該第1活性領域110及び該第2活性領域210の中心点と最も近い該横辺との垂直距離は間隔D6であり、
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220の中心点と最も近い該横辺との垂直距離は間隔D7であり、
1つの該モジュール化レーザーチップ400における該第1電極ボンディングパッド120の縁部と該第2電極ボンディングパッド220の縁部との最も近い間隔は間隔D8であり、
上述したように、A1、A2、W、L、D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8の間の計算式は、
L=D1+D2、W=D3、D4=D5+D8、
W=D6+D7+[(D1-D4)/2]×tanA1であり、ここで、D1は固定値であり、
A1の角度値は、A1=A2の場合に、A1又はA2の値を取り、A1≠A2の場合に、A1とA2のうち絶対値が大きい値を取る、ことを特徴とする請求項1に記載の二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【請求項4】
D1=250μm、かつ一定であり、D2の値の範囲は100μm~200μm、Lの値の範囲は350μm~450μm、D5の値の範囲は50μm~90μm、D8の値の範囲は20μm~40μm、D4の値の範囲は70μm~130μm、D6の値の範囲は50μm~80μm、D7の値の範囲は50μm~90μmに制御され、A1及びA2の値の範囲は20度より大きく、40度より小さい、ことを特徴とする請求項3に記載の二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【請求項5】
該モジュール化レーザーチップ400の該第1電極ボンディングパッド120と該第2電極ボンディングパッド220にそれぞれチップ溶接層510を設置するステップ1と、
回路基板Bに2つの突き合わせボンディングパッド610を設置し、2つの該突き合わせボンディングパッド610はそれぞれ該第1電極ボンディングパッド120と該第2電極ボンディングパッド220に対応し、各該突き合わせボンディングパッド610に突き合わせ溶接層520を設置するステップ2と、
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220上の該チップ溶接層510がそれぞれ2つの該突き合わせボンディングパッド610の該突き合わせ溶接層520に重ねて設置されるように、該モジュール化レーザーチップ400を該回路基板Bに配置するステップ3と、
ステップ3における該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに昇温し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を溶融して熱融着するステップ4であって、
該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520をまず溶融し、液体の表面張力の作用により自己位置合わせの動作を実行して熱融着するステップ4と、
ステップ4における該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに降温し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を冷却して一体に接続して、全体の溶接及び組み立てプロセスを完了するステップ5との順で該モジュール化レーザーチップを組み立て溶接する、ことを特徴とする請求項1に記載の二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【請求項6】
前記ステップ1において、該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220はいずれもボンディングパッド接触面511を有し、該チップ溶接層510は、溶接層頂面512及び溶接層底面513を有し、該溶接層頂面512は該ボンディングパッド接触面511に接続され、該溶接層頂面512の面積は該ボンディングパッド接触面511の面積と同じであり、該溶接層底面513の面積は該溶接層頂面512の面積より小さく、
該チップ溶接層510は、該チップ溶接層510の周縁を囲むオーバーフロー領域514を含み、
前記ステップ2において、該突き合わせボンディングパッド610は接触面521を有し、
該突き合わせ溶接層520は頂面522及び底面523を有し、該頂面522は該チップ溶接層510の該溶接層底面513に突き合わせられ、該底面523は該突き合わせボンディングパッド610の該接触面521に接続され、該接触面521、該頂面522及び該底面523の面積はいずれも該溶接層底面513の面積より小さく、
該突き合わせボンディングパッド610は柱部611及びベース部612を含み、該ベース部612は該チップ溶接層510の該オーバーフロー領域514に対応し、該ベース部612は該柱部611の周縁を囲み、
前記ステップ4において、該突き合わせ溶接層520の融点は該チップ溶接層510の融点より高く、該チップ溶接層510と該突き合わせ溶接層520を溶融して熱融着するプロセスは、
該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに昇温すると、該チップ溶接層510をまず溶融し、該モジュール化レーザーチップ400全体がその重力により下方へ移動し、該突き合わせ溶接層520が溶融した該チップ溶接層510内に進入し、該チップ溶接層510の該オーバーフロー領域514を溶融して該柱部611に沿って下方へ流動し、該ベース部612の上方において支持を形成するステップ1と、
全体の温度を上昇させ続けて、該突き合わせ溶接層520を溶融し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を一体に融合するステップ2との順で行い、
前記ステップ5において、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を冷却して一体に接続した後、該オーバーフロー領域514は該柱部611の周縁を囲み、かつ該ベース部612の上方において掛け渡される、ことを特徴とする請求項5に記載の二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーチップに関し、特に二重トポロジー構造を有するレーザーチップに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、光電気モジュールに使用される垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)のコストは、1枚のウェハーから製造できるVCSELチップの平均数に基づいて算出され、1枚のウェハーから製造できるVCSELチップの数が多いほど、単一のVCSELチップの製造価格が低くなるため、単一のVCSELチップの面積が小さいほど、1枚のウェハーから製造できるVCSELのチップ数が多くなり、単一のVCSELチップのコストが低くなることにより、従来のマルチチャネル光通信システムにおいて、各製品に必要なVCSELチップのコストは低くなる。
【0003】
図1に示すとおり、従来のマルチチャネル光ファイバーシステムにおいて、従来の技術手段は単一トポロジー構造のVCSELチップを使用している。該VCSELチップは、基板1、活性領域(発光領域)2、正極ボンディングパッド3及び負極ボンディングパッド4を含み、正極ボンディングパッド3及び負極ボンディングパッド4は、導線5を介して活性領域2に接続される。
【0004】
図2に示すとおり、従来の光通信のマルチチャネル伝送において、その光ファイバー仕様が一定であり、光ファイバーの主コアの直径は125ミクロンと塗布層の厚さとの和であり、すべての汎用の光ファイバーアレイの隣接する2つのチャネルの中心位置間の間隔6が250ミクロンであり、マルチ通信チャネルが存在する場合に、通信チャネル間の最小間隔もいずれも250ミクロンであることは、光通信システム全体についての常識である。市販の従来の光通信システムにおける駆動チップ、レーザー、光学部品及び光ファイバーはいずれも250ミクロンの間隔に従って設計し使用されるものであるため、従来の光通信システムにおけるマルチチャネル伝送に適するために、VCSELチップにおける活性領域2の間の間隔7の標準間隔も250ミクロンに設定されている。
【0005】
図2に示すとおり、マルチチャネル光ファイバーシステムにおいて、4チャネルを例として、隣接する2つのチャネルの間の250ミクロンの距離制限を考慮して、単一トポロジー構造のVCSELチップで構成された従来のレーザーアレイは、レーザーの単一トポロジー構造の制限のため、光ファイバー8とマッチングできるように隣接する2つの活性領域2の間の距離を250ミクロンに維持する必要がある。
なお4チャネルを例として、4チャネルシステムには光ファイバー8が4本あり、それに対応するために、4つのVCSELチップで1つのチップモジュール9を構成する必要があり、チップモジュール9を4本の光ファイバー8に直接的に対応させて組み立て、位置合わせを便利にする。
【0006】
図3及び
図4に示すとおり、上述したように、従来のチップウェハー配置方式では、1つのチップモジュール9内の活性領域2の間の間隔7が固定値(250ミクロン)であるうえ、隣接する2つのチップモジュール9の間の間隔も固定値(250ミクロン)である必要があり、ウェハーをこのように配置すれば、ウェハーの面積を浪費し、単一のVCSELチップのコストを大幅に増加させるという問題を必然的に引き起こす。その問題の根源は、隣接する2つのチップモジュール9の間の間隔が固定値(250ミクロン)である必要があるということにある。
【0007】
図2~
図4に示すとおり、上述したように、従来の技術の主な欠点は以下のようにまとめられている。従来の光通信のマルチチャネル伝送に適するために、VCSELチップの中心活性領域のチャネルの間隔の標準間隔はいずれも250ミクロンであり、単一トポロジー構造のVCSELチップウェハーの配置の制限のため、隣接する2つのチップモジュール9の間の距離も250ミクロンに維持する必要があるため、マルチチャネル光ファイバーシステムにおいて、単一の製品に必要なレーザーアレイのコストをより低くする(同じウェハーにより多くのチップモジュール9を配置する)必要があるときに、上記ウェハー配置方式は生産の要件を満たすことができない。上述内容は従来の技術の主な欠点である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の使用する技術手段として、二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップであり、第1トポロジー構造、第2トポロジー構造及び基板を含み、
該第1トポロジー構造及び該第2トポロジー構造はともに該基板に設置され、該第1トポロジー構造、該第2トポロジー構造及び該基板によりモジュール化レーザーチップが形成され、
該第1トポロジー構造は第1活性領域、第1電極ボンディングパッド及び第1導線を含み、該第1導線は該第1活性領域と該第1電極ボンディングパッドとの間に接続され、
該第2トポロジー構造の構造は該第1トポロジー構造の構造と同じであり、該第2トポロジー構造は第2活性領域、第2電極ボンディングパッド及び第2導線を含み、該第2導線は該第2活性領域と該第2電極ボンディングパッドとの間に接続され、
該第1トポロジー構造及び該第2トポロジー構造はともに該基板に斜めに設置され、
該基板において、該第1活性領域と該第2活性領域との間の領域は機能領域であり、該機能領域以外の領域は退避領域であり、該第1電極ボンディングパッド、該第1導線、該第2電極ボンディングパッド及び該第2導線は該機能領域310に設置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明の複数の該モジュール化レーザーチップがウェハーに配置されるときに、左右に隣接する任意の2つの該モジュール化レーザーチップについて、一方の該モジュール化レーザーチップの該第1活性領域の中心点と他方の該モジュール化レーザーチップの該第2活性領域中心点との間の間隔は間隔D2であり、1つの該モジュール化レーザーチップにおける該第1活性領域の中心点と該第2活性領域の中心点との間の間隔は間隔D1である。
本発明では、間隔D2は間隔D1よりはるかに小さく、従来の技術では、間距D2は間隔D1と等しいため、ウェハー全体に配置されたレーザーチップの数が制限され、本発明の設計構想は、間隔D2を縮小して同じ面積のウェハーにより多くのレーザーチップを配置することにより、コストを大幅に低減するという目的を達成することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】従来のチップモジュールと光ファイバーとの突き合わせの模式図である。
【
図3】従来のチップモジュールの、ウェハーでの配置の模式図である。
【
図4】従来のチップモジュールの配置模式図である。
【
図5】本発明のモジュール化レーザーチップの立体模式図である。
【
図6】本発明のモジュール化レーザーチップの上面図である。
【
図7】本発明の機能領域及び退避領域の模式図である。
【
図8】本発明のモジュール化レーザーチップの側面図である。
【
図9】本発明の第1導線及び第2導線の模式図である。
【
図10】本発明の第1トポロジー構造と第2トポロジー構造の、基板での設置の模式図である。
【
図11】本発明の複数のモジュール化レーザーチップの配置模式図である。
【
図12】本発明のモジュール化レーザーチップと光ファイバーとの突き合わせの模式図である。
【
図13】本発明のモジュール化レーザーチップの、回路基板での組み立ての模式図である。
【
図14】本発明のモジュール化レーザーチップの溶接プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図5~
図7に示すとおり、二重トポロジー構造のモジュール化レーザーチップは、第1トポロジー構造100、第2トポロジー構造200及び基板300を含む。
図5に示すとおり、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はともに該基板300に設置され、該第1トポロジー構造100、該第2トポロジー構造200及び該基板300によりモジュール化レーザーチップ400が形成される。
図6に示すとおり、該第1トポロジー構造100は、第1活性領域110、第1電極ボンディングパッド120及び第1導線130を含み、該第1導線130は、該第1活性領域110と該第1電極ボンディングパッド120との間に接続される。
【0012】
該第2トポロジー構造200の構造は、該第1トポロジー構造100の構造と同じであり、該第2トポロジー構造200は、第2活性領域210、第2電極ボンディングパッド220及び第2導線230を含み、該第2導線230は、該第2活性領域210と該第2電極ボンディングパッド220との間に接続され、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はともに該基板300に斜めに設置される。
【0013】
図7に示すとおり、該基板300において、該第1活性領域110と該第2活性領域210との間の領域は機能領域310であり、該機能領域310以外の領域は退避領域320であり、該第1電極ボンディングパッド120、該第1導線130、該第2電極ボンディングパッド220及び該第2導線230は該機能領域310に設置される。
【0014】
図8に示すとおり、具体的な実施において、該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220はいずれも正極ボンディングパッドであり、実践において、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200はいずれも負極ボンディングパッドを含み、該負極ボンディングパッドは、該正極ボンディングパッドに対応して該基板300の底面に重ねて設置され、該負極ボンディングパッドは、一般的には印刷回路又は導線等を介して制御チップ又はほかの部品に接続される。
図9に示すとおり、具体的な実施において、該第1導線130及び該第2導線230は、まっすぐな導線であってもよく、平面湾曲又は屈曲導線であってもよく、ほかの形態の導線であってもよい。
図10に示すとおり、該基板300は、横辺及び縦辺を有する。
【0015】
具体的な実施において、該横辺は、頂辺330及び底辺340を含み、該縦辺は、左辺350及び右辺360を含み、頂面370は、該頂辺330、該底辺340、該左辺350及び該右辺360により囲まれて形成され、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200は、該頂面370に設置される。
【0016】
該第1活性領域110の中心点と該第1電極ボンディングパッド120の中心点との連結線は第1傾斜線131であり、該第2活性領域210の中心点と該第2電極ボンディングパッド220の中心点との連結線は第2傾斜線231である。具体的な実施において、該第1傾斜線131は該第1導線130の中心軸線であってもよく、該第2傾斜線231は該第2導線230の中心軸線であってもよい。
該第1傾斜線131と該横辺が交差して第1夾角A1を形成し、該第2傾斜線231と該横辺が交差して第2夾角A2を形成する。
【0017】
具体的な実施において、該第1夾角A1は該第2夾角A2と同じであってもよく、すなわち、該第1トポロジー構造100及び該第2トポロジー構造200は、同じ方向及び同じ傾斜角度を有し、該第1夾角A1は該第2夾角A2と異なってもよい。
該第1夾角A1及び該第2夾角A2の値の範囲は、(-90°~+90°)に限定され、すなわち、-90度より大きく、+90度より小さい。
該第1夾角A1及び該第2夾角A2が上記の値の範囲内にあるときに、該第1電極ボンディングパッド120、該第1導線130、該第2電極ボンディングパッド220及び該第2導線230を設置できる領域は該機能領域310であり、なお、A1、A2が上記の値の範囲外にあるときに、その構造は該モジュール化レーザーチップ400の幅の拡大を引き起こして、本発明の設計の当初の目的から逸脱する。
【0018】
図10及び
図11に示すとおり、実践において、該横辺の長さがLであり、該縦辺の長さがWである。
1つの該モジュール化レーザーチップ400における該第1活性領域110の中心点と該第2活性領域210の中心点との間の間隔は間隔D1であり、該間隔D1は固定値で、実践において、該固定値は250ミクロンである。
【0019】
複数の該モジュール化レーザーチップ400がウェハーに配置されるときに、左右に隣接する任意の2つの該モジュール化レーザーチップ400について、一方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点と他方の該モジュール化レーザーチップ400の該第2活性領域210の中心点との間の間隔は間隔D2であり、該間隔D2は固定値ではない。
複数の該モジュール化レーザーチップ400がウェハーに配置されるときに、上下に隣接する任意の2つの該モジュール化レーザーチップ400について、一方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点と他方の該モジュール化レーザーチップ400の該第1活性領域110の中心点との間の間隔は間隔D3であり、該間隔D3は固定値ではない。
【0020】
1つの該モジュール化レーザーチップ400における該第1電極ボンディングパッド120の中心点と該第2電極ボンディングパッド220の中心点との間の間隔は間隔D4であり、該間隔D4は固定値ではない。
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220の直径は直径D5であり、該直径D5は固定値ではない。
【0021】
該第1活性領域110及び該第2活性領域210の中心点と最も近い該横辺との垂直距離は間隔D6であり、該間隔D6は固定値ではない。
該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220の中心点と最も近い該横辺との垂直距離は間隔D7であり、該間隔D7は固定値ではない。
1つの各該モジュール化レーザーチップ400における該第1電極ボンディングパッド120の縁部と該第2電極ボンディングパッド220の縁部との最も近い間隔は間隔D8であり、該間隔D8は固定値ではない。
【0022】
上述したように、A1、A2、W、L、D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8の間の計算式は、L=D1+D2、W=D3、D4=D5+D8、W=D6+D7+[(D1-D4)/2]×tanA1であり、ここで、D1は固定値であり、A1の角度値は、A1=A2の場合に、A1又はA2の値を取り、A1≠A2の場合に、A1とA2のうち絶対値が大きい値を取る。
【0023】
以下、例を挙げて上記計算式による具体的な計算を説明する。
D1の好ましい値は250μmであり、かつ一定である。
D2のサイズは可変であるが、D2はA1及びA2の関数ではなく、生産面及びコスト面(ウェハーの面積の効率的な利用)に有利であることから、D2の値の範囲を100μm~200μmに制御し、D2の値が小さすぎる場合にウェハーを切断することができず、D2の値が大きすぎる場合に面積が増大してコストが増加し、D2の好ましい値は130μmである。
【0024】
Lのサイズは可変で、L=D1+D2であり、上記原理に一致し、Lの値の範囲を350μm~450μmに制御し、Lの好ましい値は380μmである。
Wのサイズは可変で、W=D3であり、WはA1、A2の変化パラメータであり、W=D6+D7+[(D1-D4)/2]×tanA1であり、Wの好ましい値は180μmである。
D5のサイズは可変であり、D5の値の範囲を50μm~90μmに制御し、D5の値が小さすぎる場合に金ワイヤを加工しにくく、D5の値が大きすぎる場合にボンディングパッドの面積が増大してコストの制御に不利となり、D5の好ましい値は70μmである。
【0025】
D8のサイズは可変であり、D8の値の範囲を20μm~40μmに制御し、D8の値が小さすぎる場合に従来の生産装置及びプロセスにより加工することができず(PAD間隔が小さすぎて生産することができない)、D8の値が大きすぎる場合にコストに影響を与え、D8の好ましい値は30μmである。
D4=D5+D8であり、D8に基づいてD4の値を確定し、D4の値の範囲を70μm~130μmに制御し、D4の好ましい値は100μmである。
【0026】
D6のサイズは可変であり、D6の値の範囲を50μm~80μmに制御し、D6の値が小さすぎる場合にウェハーを切断することができず、D6の値が大きすぎる場合にコストに影響を与え、D6の好ましい値は65μmである。
D7のサイズは可変であり、D7の値の範囲を50μmから90μmまでに制御し、D7の値が小さすぎる場合にウェハーを切断することができず、D7の値が大きすぎる場合にコストに影響を与え、D7の好ましい値は72μmである。
【0027】
A1及びA2の値の範囲を(-90°~+90°)に限定し、すなわち、-90度より大きく、+90度より小さく、A1=A2である。
A1、A2の好ましい値は20度より大きく、40度より小さく、又は、-20度より小さく、-40度より大きく、A1及びA2の値が小さすぎる場合にD8が小さすぎて生産することができなくなり、その値が大きすぎる場合にW及びD3が大きすぎて、コストに影響を与え、A1及びA2の好ましい値は+30度及び-30度である。
【0028】
D6、D7、D1、D4、A1の好ましい値をWの式に代入し、ここで、D1は固定値であり、L=D1+D2、W=D3、D4=D5+D8、W=D6+D7+[(D1-D4)/2]×tanA1、D6=65μm、D7=72μm、D1=250μm、D4=100μm、D5=70μm、D8=30μm、A1=A2=30°、計算により、W=D3=65+72+[(250-100)/2]×tan30°=180μmはWの好ましい値である。
【0029】
D6、D7、D1、D4、A1の値の範囲をWの式に代入し、ここで、50μm<D6<80μm、50μm<D7<90μm、D1=250μm、70μm<D4<130μm、20°<A1<40°、W=D3の値の範囲は140μm~320μmと算出され、それはWの好ましい値の範囲である。
なお、A1≠A2の場合に、A1は、A1とA2のうち絶対値が大きい値を取り、上記W=D3の式に代入しても、その式は依然として成立する。
【0030】
本発明では、間隔D2は間隔D1よりはるかに小さく、従来の技術では、間距D2は間隔D1と等しいため、ウェハー全体に配置されたレーザーチップの数が制限され、本発明の設計構想は、間隔D2を縮小して同じ面積のウェハーにより多くのレーザーチップを配置することにより、コストを大幅に低減するという目的を達成することである。
【0031】
図2及び
図3に示すとおり、4チャネルを例として、従来の技術では、複数のチップモジュール9をウェハーに直接的に設計し、加工を完了した後に、チップモジュール9を直接的に切断して分離し、次に、1つのチップモジュール9を4本の光ファイバー8に直接的に突き合わせることにより組み立てを完了し、
図12に示すとおり、本発明の製品の組み立て過程として、複数のモジュール化レーザーチップ400をウェハーに設計し、間隔D2及び間隔D3を調整することにより、同じ面積のウェハーにより多くのレーザーチップを配置でき、次にモジュール化レーザーチップ400を切断して分離し、4チャネルを例として、2つのモジュール化レーザーチップ400を4本の光ファイバー8に直接的に突き合わせることにより組み立てを完了し、その突き合わせ効果は従来の技術と同じであるが、ウェハーの面積を大幅に節約することにより、コストを大幅に低減するという目的を達成することができる。
【0032】
また、本発明者は、本発明の設計構想の実践的意義を以下のように補足する。本発明の製品の設計構想は、従来の単一トポロジー構造を二重トポロジー構造に変更して、隣接する2つのレーザーチップの間の間隔を構造的に短縮して製品のコストを低減するという効果を達成することである。
本発明は、まず高密度集積化の効果を達成し、VCSELチップの面積が小さければ小さいほど、高密度光電気変換及び光通信集積モジュールの小型化に役立つ。本発明の開示する二重トポロジー構造技術により、隣接する2つの光チャネルの間の距離が従来の250ミクロンから130ミクロンまで縮小し、同じレーザーアレイで構成されたVCSELチップの面積が従来の3/4まで低減して、高密度集積化の効果を達成する。
【0033】
次に、本発明は、低コストの効果を達成し、半導体レーザーチップに対して、1枚の4インチ又は6インチのウェハーに集積されたレーザーチップが多ければ多いほど、対応的に、単一のレーザーチップのコストは低くなる。本発明の開示する技術により、単一のレーザーチップの面積が大幅に低減するため、単一のレーザーチップのコストを従来の約1/4まで低減できる。
【0034】
上述したように、該モジュール化レーザーチップ400はミクロンレベルの部品であるため、それを組み立て、溶接する時に高精度の自動化装置が必要である。このような自動化装置は、一般的には、複数の高解像度カメラにより複数回の撮像、測位を行う必要があり、またレーザーチップの組み立て及び溶接を行うために、ハイテク光学測位部品の補助が必要であり、特にこのような自動化装置の機械伝動部分について、構造上の精度要件が極めて高いため、このような装置の購入コストは極めて高く、大量生産のニーズを満たすために、メーカーは常に複数の装置を購入してこそ産量上のニーズを満たすことができ、このようにして、製品の生産コストを大幅に増加させる。
【0035】
本願の発明者は、該モジュール化レーザーチップ400の構造の特徴に基づいて、レーザーチップの組み立て及び溶接のコストを大幅に低減できる組み立てプロセスを意図的に提供し、具体的な説明は以下のとおりである。
図13及び
図14に示すとおり、該モジュール化レーザーチップ400は以下のステップで組み立て及び溶接を行う。
【0036】
ステップ1において、該モジュール化レーザーチップ400の該第1電極ボンディングパッド120と該第2電極ボンディングパッド220にそれぞれチップ溶接層510を設置する。
ステップ2において、回路基板Bに2つの突き合わせボンディングパッド610を設置し、2つの該突き合わせボンディングパッド610はそれぞれ該第1電極ボンディングパッド120と該第2電極ボンディングパッド220に対応し、各該突き合わせボンディングパッド610に突き合わせ溶接層520を設置する。
【0037】
ステップ3において、該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220における該チップ溶接層510がそれぞれ2つの該突き合わせボンディングパッド610の該突き合わせ溶接層520に重ねて設置されるように、該モジュール化レーザーチップ400を該回路基板Bに配置する。
ステップ4において、ステップ3における該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに昇温し、該チップ溶接層510と該突き合わせ溶接層520を溶融して熱融着する。
ステップ4において、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520をまず溶融し、液体の表面張力により自己位置合わせの動作を実行して熱融着し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520はいずれもミクロンレベルの構造であるため、それらの物理的サイズは、両者が上記自己位置合わせの動作を行うことをサポートすることができる。
【0038】
ステップ5において、ステップ4における該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに降温し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を冷却して一体に接続して、全体の溶接及び組み立てプロセスを完了する。
【0039】
実践において、複数の該モジュール化レーザーチップ400を同じ又は異なる該回路基板に配置して、同時に組み立て及び溶接を行って、大量生産を実現してもよく、大量生産を行うときに、コンベアベルトにより昇温炉、降温炉内に輸送する方式を利用して、生産効率を向上させ、製造コストを低減してもよく、例えば、コンベアベルトにより該モジュール化レーザーチップ400及び該回路基板を昇温炉内に輸送して上記ステップ4の製造を完了してもよく、コンベアベルトにより該モジュール化レーザーチップ400及び該回路基板を降温炉内に輸送して上記ステップ5の製造を完了してもよい。
【0040】
具体的な実施において、ステップ1において、該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220はいずれもボンディングパッド接触面511を有する。該チップ溶接層510は、溶接層頂面512及び溶接層底面513を有し、該溶接層頂面512は該ボンディングパッド接触面511に接続され、該溶接層頂面512の面積は該ボンディングパッド接触面511の面積と同じであり、該溶接層底面513の面積は該溶接層頂面512の面積より小さい。
【0041】
該チップ溶接層510は、該チップ溶接層510の周縁を囲むオーバーフロー領域514を含む。
ステップ2において、該突き合わせボンディングパッド610は接触面521を有する
該突き合わせ溶接層520は頂面522及び底面523を有し、該頂面522は該チップ溶接層510の該溶接層底面513に突き合わせられ、該底面523は該突き合わせボンディングパッド610の該接触面521に接続され、該接触面521、該頂面522及び該底面523の面積はいずれも該溶接層底面513の面積より小さくい。
該突き合わせボンディングパッド610は柱部611及びベース部612を含み、該ベース部612は該チップ溶接層510の該オーバーフロー領域514に対応し、該ベース部612は該柱部611の周縁を囲む。
【0042】
ステップ4において、該突き合わせ溶接層520の融点は該チップ溶接層510の融点より高く、該チップ溶接層510と該突き合わせ溶接層520を溶融して熱融着するプロセスは以下のステップで行う。
ステップ1において、該回路基板B及び該モジュール化レーザーチップ400をともに昇温すると、該チップ溶接層510をまず溶融し、該モジュール化レーザーチップ400全体がその重力により下方へ移動し、該突き合わせ溶接層520が溶融した該チップ溶接層510内に進入し、該チップ溶接層510の該オーバーフロー領域514を溶融して該柱部611に沿って下方へ流動し、該ベース部612の上方において支持を形成する。
【0043】
ステップ2において、温度を上昇させ続けて、該突き合わせ溶接層520を溶融し、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を一体に融合する。
ステップ2において、該オーバーフロー領域514が溶融した後に該突き合わせ溶接層520を囲むことにより該突き合わせ溶接層520の溶融を加速できる。
【0044】
ステップ5において、該チップ溶接層510及び該突き合わせ溶接層520を冷却して一体に接続した後、該オーバーフロー領域514は該柱部611の周縁を囲み、かつ該ベース部612の上方において掛け渡され、上記構造により、溶接位置を非常に強固にすることができ、その溶接構造は従来の技術により顕著に優れている。
【0045】
具体的な実施において、該モジュール化レーザーチップ400の該基板300の頂面の面積はS1であり、S1=W×Lであり、該第1電極ボンディングパッド120及び該第2電極ボンディングパッド220の該ボンディングパッド接触面511の面積はS2であり、S1とS2の関係式は、1/16×S1<S2<1/10×S1であり、上記関係式によりS1とS2との間の面積対応関係を決定でき、それにより該モジュール化レーザーチップ400の配置をより安定にし、かつ溶融及び熱融着過程をよりスムーズにする。
【0046】
具体的な実施において、該チップ溶接層510、該突き合わせ溶接層520の材料、融点の選択は従来の技術に属し、その材料は、金、銀、錫等を選択してもよく、それらの混合物にほかの添加剤を加えて取得されてもよく、その詳しい説明を省略する。