(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048625
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び、プリントヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/195 20060101AFI20240402BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240402BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240402BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41J2/195
B41J2/01 501
B41J2/01 401
B41J2/175 501
B41J2/14 305
B41J2/14 605
B41J2/01 451
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154644
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB20
2C056EB29
2C056EC15
2C056EC16
2C056EC18
2C056EC26
2C056HA05
2C056HA09
2C056KB10
2C056KB13
2C056KB15
2C056KB19
2C056KB20
2C056KC02
2C057AG68
2C057AL14
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】プリントヘッド内に充填されているインクと貯留部に貯留されているインクとを容易に比較する。
【解決手段】インクジェットプリンター1は、インクを吐出する吐出部D、吐出部Dにインクを供給する流路、及び、流路を流れるインクに関するインク情報IINF1を記憶する記憶ユニット34を含むヘッドユニット3と、ヘッドユニット3に供給されるインクを貯留するインクタンク6と、インクタンク6に貯留されているインクに関するインク情報IINF2を記憶する記憶ユニット5と、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較する比較部24と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出部、前記吐出部にインクを供給する第1流路、及び、前記第1流路を流れるインクに関する第1インク情報を記憶する第1メモリーを含むプリントヘッドと、
前記プリントヘッドに供給されるインクを貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留されているインクに関する第2インク情報を記憶する第2メモリーと、
前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを比較する比較部と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記貯留部から前記プリントヘッドにインクを供給する第2流路と、
前記貯留部と前記第2流路との間に位置し、前記プリントヘッドにインクを供給するか否かを切り替える切替機構と、
をさらに有し、
前記切替機構は、
前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と等しいと前記比較部が判定した場合、前記貯留部に貯留されているインクを前記第2流路を経由して前記プリントヘッドに供給する第1状態に設定され、
前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と異なると前記比較部が判定した場合、前記貯留部に貯留されているインクの前記プリントヘッドへの供給を止める第2状態に設定される、
ことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1インク情報及び前記第2インク情報の各々は、前記第1流路を流れるインクの色に関する情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1インク情報及び前記第2インク情報の各々は、ソルベントインク及び水性インクを含む複数の種類のインクの中から各インクの種類を識別するためのインク物性に関する情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記プリントヘッドの工場出荷時の状態は、前記第1流路に不凍液が充填され、前記第1メモリーに前記第1インク情報が記憶されていない状態であり、
前記切替機構は、
前記第1メモリーに前記第1インク情報が記憶されていないと前記比較部が判定した場合、前記第1状態に設定される、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記切替機構は、
前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを前記比較部が比較する場合、前記第2状態に設定される、
ことを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と異なると前記比較部が判定した場合に、警告する警告部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項8】
インクを貯留する貯留部を有する液体吐出装置に含まれるプリントヘッドであって、
インクを吐出する吐出部と、
前記吐出部にインクを供給する第1流路と、
前記第1流路を流れるインクに関する第1インク情報を記憶する第1メモリーと、
前記貯留部に貯留されているインクに関する第2インク情報を取得し、前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを比較する比較部と、
を有することを特徴とするプリントヘッド。
【請求項9】
前記液体吐出装置は、前記貯留部から前記プリントヘッドにインクを供給する第2流路と、前記貯留部と前記第2流路との間に位置し、前記プリントヘッドにインクを供給するか否かを切り替える切替機構と、前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と等しいと前記比較部が判定した場合、前記貯留部に貯留されているインクを前記第2流路を経由して前記プリントヘッドに供給する第1状態に前記切替機構を設定し、前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と異なると前記比較部が判定した場合、前記貯留部に貯留されているインクの前記プリントヘッドへの供給を止める第2状態に前記切替機構を設定する切替制御部と、をさらに有し、
前記比較部は、
前記切替機構の状態を設定するための設定情報として、前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容との比較結果を示す情報を、前記切替制御部に出力する、
ことを特徴とする請求項8記載のプリントヘッド。
【請求項10】
前記第1インク情報及び前記第2インク情報の各々は、前記第1流路を流れるインクの色に関する情報である、
ことを特徴とする請求項8記載のプリントヘッド。
【請求項11】
前記第1インク情報及び前記第2インク情報の各々は、ソルベントインク及び水性インクを含む複数の種類のインクの中から各インクの種類を識別するためのインク物性に関する情報である、
ことを特徴とする請求項8記載のプリントヘッド。
【請求項12】
前記プリントヘッドの工場出荷時の状態では、前記第1流路に不凍液が充填され、前記第1メモリーには前記第1インク情報が記憶されておらず、
前記比較部は、
前記第1メモリーに前記第1インク情報が記憶されていない場合、前記切替機構を前記第1状態に設定する前記設定情報として、前記第1メモリーに前記第1インク情報が記憶されていないことを示す情報を、前記切替制御部に出力する、
ことを特徴とする請求項9記載のプリントヘッド。
【請求項13】
前記比較部が前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを比較する場合、前記切替機構が前記第2状態に設定されている、
ことを特徴とする請求項9記載のプリントヘッド。
【請求項14】
前記比較部は、
前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と異なる場合、前記第1流路を流れるインクが前記貯留部に貯留されているインクと異なることを前記液体吐出装置の警告部がユーザーに警告するように、前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容との比較結果を示す情報を、前記警告部に出力する、
ことを特徴とする請求項8記載のプリントヘッド。
【請求項15】
前記第1インク情報により示される内容が前記第2インク情報により示される内容と異なると前記比較部が判定した場合に、警告する警告部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項8記載のプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び、プリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノズルからインク等の液体を吐出して媒体に画像を形成するインクジェットプリンター等の液体吐出装置が知られている。この種の液体吐出装置の中には、インクカートリッジを交換することにより、ノズルから吐出されるインクの色を変更可能なインクチェンジに対応した液体吐出装置が存在する。例えば、特許文献1には、ダークイエローのカートリッジ、ライトシアンのカートリッジ及びライトマゼンタのカートリッジを、イエローのカートリッジ、シアンのカートリッジ及びマゼンタのカートリッジにそれぞれ交換可能な印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクを切り替えて使用するインクチェンジに対応した液体吐出装置では、インクカートリッジを交換した場合に、プリントヘッド内に充填されているインクとプリントヘッドに供給されるインクとが異なる場合がある。この場合、互いに異なる色のインクが混合することにより、プリントヘッド内のインクの流路に目詰まり等が発生するおそれがある。このため、インクチェンジに対応した従来の液体吐出装置では、インクカートリッジを交換する度に、プリントヘッド内に充填されているインクを吐出し、交換前のインクを吐出した後に、交換後のインクをプリントヘッドに充填する等の対策が施されている。しかしながら、この種の対策では、インクカートリッジの交換前後でインクの色が同じである場合においても、プリントヘッド内に充填されているインクが吐出されるため、インクカートリッジのインクが無駄に消費される。このように、インクカートリッジを交換して使用する液体吐出装置には、改善すべき課題は状況毎に多く存在する。また、プリントヘッド自体を交換して複数の用途で活用可能の液体吐出装置においても、インクカートリッジを交換して使用する液体吐出装置と同様の課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、インクを吐出する吐出部、前記吐出部にインクを供給する第1流路、及び、前記第1流路を流れるインクに関する第1インク情報を記憶する第1メモリーを含むプリントヘッドと、前記プリントヘッドに供給されるインクを貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留されているインクに関する第2インク情報を記憶する第2メモリーと、前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを比較する比較部と、を有する。
【0006】
また、本発明に係るプリントヘッドは、インクを貯留する貯留部を有する液体吐出装置に含まれるプリントヘッドであって、インクを吐出する吐出部と、前記吐出部にインクを供給する第1流路と、前記第1流路を流れるインクに関する第1インク情報を記憶する第1メモリーと、前記貯留部に貯留されているインクに関する第2インク情報を取得し、前記第1インク情報により示される内容と前記第2インク情報により示される内容とを比較する比較部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンターの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】インクジェットプリンターの概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】吐出部の構造の一例を説明するための断面図である。
【
図4】ヘッドユニットにおけるノズルの配置の一例を示す平面図である。
【
図5】インク管理情報の一例を説明するための説明図である。
【
図6】ヘッドユニットの構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】ヘッドユニットに供給される信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】インクジェットプリンターの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図9】インクジェットプリンターの動作の別の例を示すシーケンスチャートである。
【
図10】制御ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1変形例におけるインクジェットプリンターの構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図11に示したインクジェットプリンターの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図13】
図11に示したインクジェットプリンターの動作の別の例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
[1.実施形態]
本実施形態では、記録用紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
インクジェットプリンター1には、例えば、パーソナルコンピューター又はデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データIMGが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データIMGの示す画像を媒体に形成する印刷処理を実行する。本実施形態では、媒体として、後述する
図2に示す記録用紙Pを想定する。
【0012】
インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御ユニット2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号COMを生成する駆動信号生成ユニット4とを有する。ヘッドユニット3は、「プリントヘッド」の例である。また、インクジェットプリンター1は、印刷データIMG、及び、インクジェットプリンター1の制御プログラム等の各種情報を記憶する記憶ユニット5を有する。
【0013】
また、インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3に供給されるインクを貯留するインクタンク6と、インクタンク6からヘッドユニット3にインクを供給する流路64と、ヘッドユニット3にインクを供給するか否かを切り替える弁VALとを有する。流路64は、例えば、チューブである。また、例えば、弁VALは、インクタンク6と流路64との間に位置する。なお、弁VALは、インクタンク6又は
図2において後述する装着部62と一体に設けられてもよい。また、インクジェットプリンター1は、インクタンク6から流路64にインクを圧送する図示しないポンプを有する。なお、インクタンク6は、「貯留部」の例であり、流路64は、「第2流路」の例であり、弁VALは、「切替機構」の例である。
【0014】
さらに、インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、ヘッドユニット3に設けられた吐出部Dをメンテナンスするメンテナンス処理を実行するメンテナンスユニット8とを有する。
【0015】
なお、本実施形態では、ヘッドユニット3とインクタンク6とが互いに対応する場合を想定する。例えば、インクジェットプリンター1は、複数のヘッドユニット3と、複数のヘッドユニット3と1対1に対応する複数のインクタンク6とを有してもよい。あるいは、インクジェットプリンター1は、1個のヘッドユニット3と、1個のヘッドユニット3に対応する1個のインクタンク6とを有してもよい。本実施形態では、インクジェットプリンター1が、4個のヘッドユニット3と、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個のインクタンク6とを有する場合を想定する。また、本実施形態では、ヘッドユニット3と駆動信号生成ユニット4とが互いに対応する場合を想定する。すなわち、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個の駆動信号生成ユニット4とを有する場合を想定する。
【0016】
但し、以下では、説明の便宜上、
図1に例示するように、4個のヘッドユニット3のうちの一のヘッドユニット3に着目して説明する場合がある。例えば、4個のヘッドユニット3のうちの一のヘッドユニット3と、4個のインクタンク6のうちの一のヘッドユニット3に対応するインクタンク6と、に着目して説明する場合がある。あるいは、4個のヘッドユニット3のうちの一のヘッドユニット3と、4個の駆動信号生成ユニット4のうちの一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の駆動信号生成ユニット4と、に着目して説明する場合がある。
【0017】
また、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、インクタンク6を交換することにより、吐出部Dから吐出されるインクの色を変更可能なインクチェンジに対応する場合を想定する。さらに、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、ヘッドユニット3を交換可能な構成である場合を想定する。但し、インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3及びインクタンク6の一方が交換できない構成であってもよい。
【0018】
制御ユニット2は、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、制御ユニット2は、CPUの代わりに、又は、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを含んで構成されてもよい。また、制御ユニット2は、記憶ユニット5に記憶されている制御プログラムを実行することによって、駆動制御部22、比較部24、切替制御部26、及び、警告部28として機能する。なお、制御ユニット2の機能の一部又は全部を、FPGA等のハードウェアによって実現してもよい。
【0019】
詳細は後述するが、駆動制御部22は、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCOM等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。ここで、波形指定信号dCOMは、駆動信号COMの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号COMは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。また、印刷信号SIは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号COMを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0020】
比較部24は、例えば、インクタンク6に貯留されているインクの属性と、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とを比較する。以下では、インクの属性は、インク属性とも称される。インク属性は、例えば、インクの色であってもよいし、ソルベントインク及び水性インク等のインクの種類であってもよい。あるいは、インク属性は、インクの色及び種類の両方を含んでもよい。本実施形態では、インクタンク6に貯留されているインクの属性を示すインク情報IINF2がインク管理情報IMINF2に含まれ、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性を示すインク情報IINF1がインク管理情報IMINF1に含まれる場合を想定する。また、例えば、インク管理情報IMINF2は、記憶ユニット5に記憶され、インク管理情報IMINF1は、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34に記憶される。
【0021】
例えば、比較部24は、インク管理情報IMINF2を記憶ユニット5から読み出し、インク管理情報IMINF1をヘッドユニット3の記憶ユニット34から読み出す。そして、比較部24は、インク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2により示されるインク属性と、インク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1により示されるインク属性とを比較する。なお、インク情報IINF1は、「第1インク情報」の例であり、インク情報IINF2は、「第2インク情報」の例である。また、記憶ユニット34は、「第1メモリー」の例であり、記憶ユニット5は、「第2メモリー」の例である。また、インク情報IINF1により示されるインク属性は、インク情報IINF1により示される内容に該当し、インク情報IINF2により示されるインク属性は、インク情報IINF1により示される内容に該当する。
【0022】
切替制御部26は、例えば、比較部24による比較結果に基づいて、弁VALの状態を制御する。例えば、切替制御部26は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいと比較部24が判定した場合、弁VALを開放状態に設定する。これにより、インクタンク6に貯留されているインクは、流路64を経由してヘッドユニット3に供給される。また、例えば、切替制御部26は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部24が判定した場合、弁VALを閉鎖状態に設定する。これにより、インクタンク6に貯留されているインクのヘッドユニット3への供給が停止する。なお、開放状態は、「第1状態」の例であり、閉鎖状態は、「第2状態」の例である。
【0023】
ここで、インクタンク6が交換された場合を例にして、本実施形態により得られる効果を簡単に説明する。例えば、本実施形態では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが等しい場合、ヘッドユニット3内に残留しているインクを排出することなく、弁VALが開放状態に設定される。ヘッドユニット3内に残留しているインクは、ヘッドユニット3内に充填されているインクに該当する。このように、本実施形態では、例えば、インクタンク6を交換する度に、ヘッドユニット3内に充填されているインクを吐出し、交換前のインクを吐出した後に、交換後のインクをヘッドユニット3内に充填する等の処理を実行する必要がない。この結果、本実施形態では、インクタンク6のインクが無駄に消費されることを抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態では、上述したように、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる場合、インクタンク6に貯留されているインクのヘッドユニット3への供給が停止する。これにより、本実施形態では、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合することを抑止することができる。なお、例えば、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合した場合、ヘッドユニット3内のインクの流路に目詰まり等が発生するおそれがある。本実施形態では、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合することを抑止することができるため、ヘッドユニット3内のインクの流路に目詰まり等が発生することを抑制することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、ヘッドユニット3が交換された場合においても、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが比較される。このため、本実施形態では、ヘッドユニット3が交換された場合においても、インクタンク6が交換された場合に得られる効果として説明した上述の効果と同様の効果を得ることができる。
【0026】
警告部28は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部24が判定した場合、警告する。警告部28による警告手段は特に限定されない。例えば、警告部28は、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる旨を示す文章等の情報をディスプレイに表示することにより、ユーザーに警告してもよい。あるいは、警告部28は、スピーカーから警告音を発生させること、又は、ランプを点灯させること等により、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる旨を、ユーザーに警告してもよい。本実施形態では、警告部28により、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる旨を、ユーザーに簡易に認識させることができる。
【0027】
なお、切替制御部26及び警告部28の一方又は両方は、比較部24に含まれてもよい。
【0028】
駆動信号生成ユニット4は、例えば、DAC(Digital Analog Converter)を含み、制御ユニット2から供給される波形指定信号dCOMに基づいて駆動信号COMを生成する。例えば、駆動信号生成ユニット4は、波形指定信号dCOMにより規定される波形を含む駆動信号COMを生成する。駆動信号生成ユニット4は、波形指定信号dCOMに基づいて生成した駆動信号COMを、ヘッドユニット3に含まれる供給回路31に出力する。
【0029】
記憶ユニット5は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、又は、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、の一方又は両方を含んで構成される。但し、記憶ユニット5のうち、インク管理情報IMINF2が記憶されるメモリーは、不揮発性メモリーが好ましい。なお、記憶ユニット5は、制御ユニット2に含まれてもよい。
【0030】
ヘッドユニット3は、供給回路31、記録ヘッド32、及び、記憶ユニット34を有する。記憶ユニット34は、例えば、記憶ユニット5と同様に構成される。但し、記憶ユニット34のうち、インク管理情報IMINF1が記憶されるメモリーは、不揮発性メモリーが好ましい。
【0031】
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを有する。なお、値Mは、1以上の自然数である。以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素又は信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素又は信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0032】
供給回路31は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号COMを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。なお、以下では、後述する
図6等に示すように、吐出部D[m]に供給される駆動信号COMを、個別駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
【0033】
上述のとおり、本実施形態において、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する。印刷処理が実行される場合、駆動制御部22は、印刷データIMGに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、駆動制御部22は、印刷処理が実行される場合、波形指定信号dCOM等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号を生成する。また、駆動制御部22は、印刷処理が実行される場合、搬送ユニット7を制御するための信号を生成する。これにより、駆動制御部22は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整する。このように、駆動制御部22は、印刷データIMGに対応する画像が記録用紙Pに形成されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0034】
また、上述のとおり、本実施形態において、インクジェットプリンター1は、メンテナンス処理を実行する。例えば、メンテナンス処理は、吐出部Dからインクを排出するフラッシング処理と、吐出部DのノズルN近傍に付着したインク等の異物をワイパーにより拭き取るワイピング処理と、吐出部D内のインクをチューブポンプ等により吸引するポンピング処理とを含む。ノズルNについては、
図3において後述する。
【0035】
メンテナンスユニット8は、フラッシング処理において吐出部D内のインクが排出される場合に当該排出されたインクを受けるための排出インク受領部82と、吐出部DのノズルN近傍に付着したインク等の異物を拭き取るためのワイパーと、吐出部D内のインクや気泡等を吸引するためのチューブポンプとを有する。なお、排出インク受領部82については、
図2において後述する。また、ワイパー及びチューブポンプについては、図示を省略する。次に、
図2を参照しつつ、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造について説明する。
【0036】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0037】
図2に示すように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部D[m]からインクを吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データIMGに応じたドットを形成する。
【0038】
以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を適宜導入する。また、以下では、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の反対方向は-X方向と称される。Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。そして、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。また、以下では、+X方向及び-X方向を、特に区別することなく、X方向と称し、+Y方向及び-Y方向を特に区別することなく、Y方向と称する場合がある。また、+Z方向及び-Z方向を、特に区別することなく、Z方向と称する場合がある。また、本実施形態では、+X方向を副走査方向とし、+Y方向及び-Y方向を主走査方向とする。また、本実施形態では、
図2に例示するように、-Z方向を、吐出部D[m]からのインクの吐出方向とする。
【0039】
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、4個のインクタンク6を装着可能な装着部62と、インクジェットプリンター1の図示しない筐体内をY方向に往復動可能であり、4個のヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110とを有する。また、インクジェットプリンター1は、4個のインクタンク6と1対1に対応する4個の流路64と、4個のインクタンク6と1対1に対応する4個の弁VALとを有する。
【0040】
本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクと1対1に対応する4個のインクタンク6が装着部62に装着されている場合を想定する。また、本実施形態では、上述のとおり、インクジェットプリンター1が、4個のインクタンク6と1対1に対応する4個のヘッドユニット3を有する場合を想定する。例えば、各インクタンク6に貯留されているインクは、当該インクタンク6に対応する弁VALが開放状態である場合、当該インクタンク6に対応する流路64を経由して、当該インクタンク6に対応するヘッドユニット3に供給される。すなわち、各吐出部D[m]は、当該吐出部D[m]が設けられたヘッドユニット3に対応するインクタンク6からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部D[m]は、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、各インクタンク6に貯留されているインクは、当該インクタンク6に対応する弁VALが閉鎖状態である場合、当該インクタンク6に対応するヘッドユニット3に供給されない。
【0041】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、
図1において説明したように、搬送ユニット7を有する。搬送ユニット7は、キャリッジ110をY方向に往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、キャリッジ110をY方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76とを有する。さらに、搬送ユニット7は、記録用紙Pを搬送するための媒体搬送機構73と、キャリッジ110に対して-Z方向に設けられたプラテン75とを有する。例えば、印刷処理において、キャリッジ搬送機構71は、ヘッドユニット3をキャリッジ110とともにキャリッジガイド軸76に沿ってY方向に往復動させ、媒体搬送機構73は、プラテン75上の記録用紙Pを+X方向に搬送する。従って、搬送ユニット7は、印刷処理において、キャリッジ搬送機構71及び媒体搬送機構73に上述の動作を実行させることにより、記録用紙Pのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能とする。
【0042】
なお、インクジェットプリンター1の構成は、
図1及び
図2に示した例に限定されない。例えば、インクジェットプリンター1は、インクタンク6に対応して設けられ、インクタンク6とヘッドユニット3との間に配置されるサブタンクを有してもよい。この場合、インクタンク6に貯留されているインクは、サブタンクに一旦貯留される。そして、サブタンクに貯留されているインクが、ヘッドユニット3に供給される。サブタンクを有する構成では、サブタンクを「貯留部」として捉え、サブタンクからヘッドユニット3までのインクの流路を「第2流路」として捉えてもよい。
【0043】
また、インクタンク6の形状等は、特に限定されない。例えば、インクタンク6は、箱状の容器として把握されるインクカートリッジであってもよいし、袋状の容器として把握されるインクパックタイプのカートリッジであってもよい。
【0044】
次に、
図3を参照しつつ、記録ヘッド32の概略的な構造について説明する。
【0045】
図3は、吐出部Dの構造の一例を説明するための断面図である。なお、
図3では、吐出部D[m]を含むように記録ヘッド32を切断した場合の記録ヘッド32の一部の断面が模式的に示されている。
【0046】
吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティーCVと、キャビティーCVに連通するノズルNと、振動板321とを有する。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が個別駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティーCV内のインクをノズルNから吐出させる。
【0047】
キャビティーCVは、キャビティープレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティーCVは、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクタンク6と連通している。これにより、インクタンク6に貯留されているインクは、インク取入口327、リザーバ325及びインク供給口326を含む流路を経由して、キャビティーCVに供給される。すなわち、インク取入口327、リザーバ325及びインク供給口326を含む流路は、インクタンク6に貯留されているインクを吐出部D[m]に供給する流路であり、「第1流路」の例である。
【0048】
圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zb[m]とを有する。圧電体Zb[m]は、例えば、強誘電性の圧電材料により形成される。
【0049】
上部電極Zu[m]は、個別駆動信号Vin[m]が供給される配線Liと電気的に接続される。下部電極Zd[m]は、ベース電位信号VBSが供給される配線Ldと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に個別駆動信号Vin[m]が供給されることにより、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加される。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に印加された電圧に応じて、+Z方向又は-Z方向に変位する。
【0050】
このように、圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に印加された電圧に応じて振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が個別駆動信号Vin[m]により駆動されて振動することにより、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティーCVの容積及びキャビティーCV内の圧力が変化し、キャビティーCV内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
【0051】
本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することにより、圧電素子PZが-Z方向に変位する場合を想定する。すなわち、本実施形態では、吐出部D[m]に供給される個別駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティーCVの容積が小さくなる場合を想定する。
【0052】
次に、
図4を参照しつつ、ノズルNの配置の一例について説明する。
【0053】
図4は、ヘッドユニット3におけるノズルNの配置の一例を示す平面図である。なお、
図4では、-Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の、キャリッジ110に搭載された4個のヘッドユニット3と、当該4個のヘッドユニット3に設けられた合計4M個のノズルNの配置の一例が示されている。
【0054】
キャリッジ110に設けられた各ヘッドユニット3には、ノズル列NLが設けられる。ここで、ノズル列NLとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列NLが、X方向に延在するように配置されたM個のノズルNから構成される場合を、一例として想定する。
【0055】
次に、
図5を参照しつつ、インク管理情報IMINF1の概要について説明する。
【0056】
図5は、インク管理情報IMINF1の一例を説明するための説明図である。
【0057】
インク管理情報IMINF1は、例えば、ヘッドユニット3内に充填されているインクに関するインク情報IINF1と、ヘッドユニット3内に充填されているインクが最後に使用された日付を示す使用日情報DINFとを含む。なお、ヘッドユニット3内に充填されているインクは、吐出部Dにインクを供給する流路を流れるインクに該当する。また、ヘッドユニット3内に充填されているインクに関するインク情報IINF1は、例えば、
図1において説明したように、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性を示す情報である。
【0058】
例えば、インク情報IINF1は、ヘッドユニット3内に充填されているインクの色に関する色情報CINF、及び、ヘッドユニット3内に充填されているインクの種類を示す種類情報TINFを含む。
図5に示す例では、インク情報IINF1は、4ビットの色情報CINF、及び、3ビットの種類情報TINFを含む。例えば、4ビットの色情報CINFは、
図5に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、ダークイエロー、グリーン、オレンジ、レッド及びクリアのいずれかを示す。例えば、“0001”の色情報CINFは、インクがブラックのインクであることを示し、“1100”の色情報CINFは、インクがクリアのインクであることを示す。なお、クリアのインクは、例えば、色材を含有せず、色材により印刷された印刷面をオーバーコートすることにより、印刷面の耐擦過性を向上させたり、顔料成分による凹凸を低減させて乱反射による色味ズレを低減させたりするためのインクである。
【0059】
また、例えば、3ビットの種類情報TINFは、
図5に示すように、水性染料、水性顔料、ソルベント、エコソルベント、UV及びホットメルトのいずれかを示す。例えば、“001”の種類情報TINFは、インクが水性染料のインクであることを示し、“010”の種類情報TINFは、インクが水性顔料のインクであることを示し、“011”の種類情報TINFは、インクがソルベントインクであることを示す。また、例えば、“100”の種類情報TINFは、インクがエコソルベントインクであることを示し、“101”の種類情報TINFは、インクがUVインクであることを示し、“110”の種類情報TINFは、インクがホットメルトインクであることを示す。なお、ソルベントインクは、例えば、有機溶剤を含むインクである。エコソルベントインクは、例えば、有機溶剤として低有機溶剤を含むインクである。UVインクは、例えば、紫外線が照射されることにより、硬化して記録用紙Pに定着するインクである。また、ホットメルトインクは、例えば、常温では固体であり、加熱して使用されるインクである。
【0060】
なお、色情報CINF及び種類情報TINFの例は、上述の例に限定されない。例えば、色情報CINFにより示される色には、ユーザーオリジナルの色が含まれてもよい。同様に、種類情報TINFにより示されるインクの種類には、ユーザーオリジナルの種類が含まれてもよい。
【0061】
また、インク管理情報IMINF1に含まれる情報は、
図5に示す例に限定されない。例えば、インク管理情報IMINF1は、使用日情報DINFを含まなくてもよい。また、インク情報IINF1は、色情報CINF及び種類情報TINFのうちの一方のみを含んでもよい。あるいは、インク情報IINF1は、インクの型番等を示す情報を含んでもよい。
【0062】
また、インク管理情報IMINF2は、インク情報IINF1の代わりにインク情報IINF2を含むことを除いて、インク管理情報IMINF1と同様である。例えば、インク管理情報IMINF2は、上述の説明において、「ヘッドユニット3内に充填されているインク」を「インクタンク6に貯留されているインク」に読み替えることにより、説明される。
【0063】
次に、
図6及び
図7を参照しつつ、ヘッドユニット3の概要について説明する。
【0064】
図6は、ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
【0065】
ヘッドユニット3は、
図1において説明したように、供給回路31及び記録ヘッド32を有する。また、ヘッドユニット3は、駆動信号生成ユニット4から駆動信号COMが供給される配線Laと、個別駆動信号Vin[m]を吐出部D[m]に供給する配線Li[m]とを有する。
【0066】
供給回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWa[1]~Wa[M]と、接続状態指定回路310とを有する。接続状態指定回路310は、M個のスイッチWaの各々の接続状態を指定する。例えば、接続状態指定回路310は、制御ユニット2から供給される印刷信号SI、及び、ラッチ信号LATの少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチWa[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qa[m]を生成する。
【0067】
スイッチWa[m]は、接続状態指定信号Qa[m]に基づいて、配線Laと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。すなわち、スイッチWa[m]は、接続状態指定信号Qa[m]に基づいて、配線Laと、上部電極Zu[m]に接続された配線Li[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWa[m]は、接続状態指定信号Qa[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWa[m]がオンする場合、配線Laに供給される駆動信号COMが、個別駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に配線Li[m]を介して供給される。
【0068】
次に、
図7を参照しつつ、ヘッドユニット3の動作について説明する。
【0069】
本実施形態において、インクジェットプリンター1が、印刷処理又はフラッシング処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1又は複数の単位期間TPが設定される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理又はフラッシング処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。
【0070】
図7は、ヘッドユニット3に供給される信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0071】
制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として、単位期間TPを規定する。単位期間TPは、例えば、M個の吐出部Dの駆動周期である。また、本実施形態では、駆動信号COMの一周期が単位期間TPである場合を想定する。
【0072】
本実施形態に係る印刷信号SIは、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。個別指定信号Sd[m]は、インクジェットプリンター1が印刷処理又はフラッシング処理を実行する場合に、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。例えば、制御ユニット2は、各単位期間TPに先立って、M個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路310に供給する。そして、接続状態指定回路310は、当該単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号Qa[m]を生成する。
【0073】
例えば、吐出部D[m]は、印刷処理が実行される単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]により、ドットを形成する吐出部D、及び、ドットを形成しない吐出部Dのいずれかに指定される。
【0074】
駆動信号COMは、例えば、電位が、基準電位V0から、電位VLa1及び電位VHa1を経て、基準電位V0に戻る波形PAを有する。電位VLa1は、基準電位V0よりも低い電位であり、電位VHa1は、基準電位V0よりも高い電位である。例えば、波形PAを有する個別駆動信号Vin[m]により吐出部D[m]が駆動される場合、個別駆動信号Vin[m]の電位が電位VLa1から電位VHa1に変化することにより、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。なお、基準電位V0、電位VLa1及び電位VHa1の各々は、例えば、吐出部Dによるインクの吐出特性等に基づいて定められる。
【0075】
次に、
図8及び
図9を参照しつつ、インクタンク6が交換された場合のインクジェットプリンター1の動作について説明する。
【0076】
図8は、インクジェットプリンター1の動作の一例を示すシーケンスチャートである。なお、
図8では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と等しい場合のインクジェットプリンター1の動作が示されている。また、
図8及び後述する
図9では、制御ユニット2、記憶ユニット5及び弁VALを含む要素を、ヘッドユニット3と区別して、本体部と記載している。
【0077】
図8では、図を見やすくするために、制御ユニット2により実現される比較部24及び切替制御部26の図示が省略されている。例えば、制御ユニット2は、ステップS100及びS170において切替制御部26として機能し、ステップS110、S112、S122、S130及びS180において比較部24として機能する。なお、本実施形態では、記憶ユニット5及び34に対する処理を比較部24が実行する場合を想定しているが、記憶ユニット5及び34に対する処理は、比較部24以外の機能ブロックとして機能する制御ユニット2により実行されてもよい。記憶ユニット5及び34に対する処理は、例えば、記憶ユニット5及び34の各々に情報を記憶する処理、及び、記憶ユニット5及び34の各々から情報を読み出す処理等である。例えば、ステップS110、S112、S122及びS180において、記憶ユニット5及び34に対する処理を実行するための、比較部24とは別の機能ブロックとして、制御ユニット2が機能してもよい。
【0078】
また、例えば、ステップS100の処理は、インクタンク6が装着部62から取り外される前に制御ユニット2により実行される処理であり、ステップS110の処理は、インクタンク6が装着部62に装着された後に制御ユニット2により実行される処理である。
【0079】
先ず、ステップS100において、制御ユニット2は、例えば、弁VALを閉鎖状態に設定するための制御信号CTLcを弁VALに出力する。これにより、弁VALは、ステップS102において、インクタンク6が装着部62から取り外される前に閉鎖状態になる。
【0080】
次に、ステップS110において、制御ユニット2は、例えば、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性を示すインク情報IINF2を取得し、取得したインク情報IINF2含むインク管理情報IMINF2を、記憶ユニット5に記憶する。なお、制御ユニット2によるインク情報IINF2の取得は、例えば、インクタンク6を交換したユーザーが図示しない操作部を操作して、インク情報IINF2を制御ユニット2に入力することにより、実現されてもよい。あるいは、インクタンク6に、インク情報IINF2が記憶されたIC(Integrated Circuit)チップが装着されている場合、制御ユニット2は、インクタンク6に装着されたICチップからインク情報IINF2を読み出してもよい。あるいは、インクタンク6に、インク情報IINF2を示すバーコード等のコード情報が印刷されている場合、制御ユニット2は、インクタンク6に印刷されたコード情報を読み取ることにより、インク情報IINF2を取得してもよい。
【0081】
次に、ステップS112において、制御ユニット2は、インク管理情報IMINF2を記憶ユニット5から読み出す。なお、制御ユニット2は、ステップS110の処理により、交換後のインクタンク6に貯留されているインクのインク管理情報IMINF2を把握しているため、ステップS112の処理は、省かれてもよい。
【0082】
次に、ステップS122において、制御ユニット2は、ヘッドユニット3内に充填されているインクのインク管理情報IMINF1を、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34から読み出す。これにより、制御ユニット2は、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性を把握できる。
【0083】
次に、ステップS130において、制御ユニット2は、インク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2とインク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1とを比較する。例えば、インク情報IINF1がインク情報IINF2と等しい場合、インク情報IINF1に含まれる色情報CINFがインク情報IINF2に含まれる色情報CINFと等しく、かつ、インク情報IINF1に含まれる種類情報TINFがインク情報IINF2に含まれる種類情報TINFと等しい。従って、インク情報IINF1がインク情報IINF2と等しいとは、例えば、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいことを意味する。
【0084】
このように、本実施形態では、インク情報IINF1に含まれる色情報CINFとインク情報IINF2に含まれる色情報CINFとが比較されるため、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる色のインクが混合することを抑制することができる。このため、本実施形態では、不要なフラッシング等のメンテナンス処理が実行されることを低減することができる。また、本実施形態では、インク情報IINF1に含まれる種類情報TINFとインク情報IINF2に含まれる種類情報TINFとが比較されるため、インクの溶媒同士が反応してヘッドユニット3内で固化してしまう問題を事前に回避することができる。
【0085】
なお、
図8では、上述したように、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と等しい場合を想定しているため、インク情報IINF2は、インク情報IINF1と等しい。従って、制御ユニット2は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいと判定し、処理をステップS170に進める。
【0086】
ステップS170において、制御ユニット2は、例えば、弁VALを開放状態に設定するための制御信号CTLoを弁VALに出力する。これにより、弁VALは、ステップS172において、開放状態になる。
【0087】
次に、ステップS180において、制御ユニット2は、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1を更新する。
図8に示す例では、制御ユニット2は、インク管理情報IMINF1に含まれる使用日情報DINFを更新することにより、インク管理情報IMINF1を更新する。これにより、記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1は、ステップS182において、更新される。
【0088】
このように、インクジェットプリンター1は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と等しい場合、ヘッドユニット3内に充填されているインクを排出することなく、印刷可能な状態になる。この結果、本実施形態では、インクタンク6のインクが無駄に消費されることを抑制することができる。
【0089】
次に、
図9を参照しつつ、インクタンク6の交換前後でインクの属性が異なる場合のインクジェットプリンター1の動作について説明する。
【0090】
図9は、インクジェットプリンター1の動作の別の例を示すシーケンスチャートである。
図9では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と異なる場合のインクジェットプリンター1の動作が示されている。
図8において説明した動作と同様な動作については、詳細な説明を省略する。
図9に示す動作は、ステップS140、S160及びS162の一連の処理が
図8に示したステップS170の処理の代わりに実行されることを除いて、
図8に示した動作と同様である。例えば、制御ユニット2は、ステップS140において警告部28として機能し、ステップS160及びS162において切替制御部26として機能する。
【0091】
なお、
図9においても、図を見やすくするために、制御ユニット2により実現される比較部24、切替制御部26及び警告部28の図示が省略されている。また、本実施形態では、ステップS160のインク排出処理を切替制御部26が実行する場合を想定しているが、ステップS160のインク排出処理は、切替制御部26以外の機能ブロックとして機能する制御ユニット2により実行されてもよい。例えば、ステップS160において、インク排出処理を実行するための、切替制御部26とは別の機能ブロックとして、制御ユニット2が機能してもよい。
【0092】
ステップS100からステップS130までの一連の処理は、
図8に示したステップS100からステップS130までの一連の処理と同様である。但し、ステップS130の比較結果は、
図8に示した例と異なる。
図9では、上述したように、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と異なる場合を想定しているため、インク情報IINF2は、インク情報IINF1と異なる。従って、制御ユニット2は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると判定し、処理をステップS140に進める。
【0093】
ステップS140において、制御ユニット2は、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる旨を、ユーザーに警告する。
図8では、インクタンク6の交換が継続される場合を想定する。例えば、警告を確認したユーザーが図示しない操作部を操作して、インクタンク6の交換を継続することを示す情報を制御ユニット2に入力することにより、制御ユニット2は、インクタンク6の交換が継続されることを把握する。インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる状態で、インクタンク6の交換が継続される場合、制御ユニット2は、処理をステップS160に進める。
【0094】
ステップS160において、制御ユニット2は、流路64及びヘッドユニット3内に充填されているインクを排出するためのインク排出処理を実行する。例えば、制御ユニット2は、メンテナンスユニット8に含まれるチューブポンプを駆動することにより、流路64、インク取入口327、リザーバ325、インク供給口326及び吐出部D等に充填されているインクを吸引する。これにより、流路64及びヘッドユニット3内に充填されているインクが排出される。
【0095】
ステップS162において、制御ユニット2は、ヘッドユニット3にインクを再充填するためのインク再充填処理を実行する。例えば、制御ユニット2は、弁VALを開放状態に設定するための制御信号CTLoを弁VALに出力する。これにより、弁VALがステップS164において開放状態になり、交換後のインクタンク6に貯留されているインクがヘッドユニット3内に充填される。
【0096】
次に、ステップS180において、制御ユニット2は、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1を更新する。
図9に示す例では、制御ユニット2は、インク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1及び使用日情報DINFを更新することにより、インク管理情報IMINF1を更新する。これにより、記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1は、ステップS182において、更新される。
【0097】
このように、インクジェットプリンター1は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3内に充填されているインクの属性と異なる場合、ヘッドユニット3内に充填されているインクを排出する。そして、インクジェットプリンター1は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクをヘッドユニット3内に充填することにより、印刷可能な状態になる。この結果、本実施形態では、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合することを抑止することができる。このため、本実施形態では、ヘッドユニット3内のインクの流路に目詰まり等が発生することを抑制することができる。
【0098】
次に、
図10を参照しつつ、制御ユニット2の動作について説明する。
【0099】
図10は、制御ユニット2の動作の一例を示すフローチャートである。
図10では、インクタンク6又はヘッドユニット3が交換され場合の制御ユニット2の動作が示されている。
図8及び
図9において説明した動作と同様な動作については、詳細な説明を省略する。
図8において説明したように、ステップS100の処理は、インクタンク6又はヘッドユニット3がインクジェットプリンター1から取り外される前に制御ユニット2により実行される。また、ステップS110の処理は、インクタンク6又はヘッドユニット3がインクジェットプリンター1に取り付けられた後に制御ユニット2により実行される。
【0100】
先ず、ステップS100において、制御ユニット2は、切替制御部26として機能し、弁VALを閉鎖状態に設定する。
【0101】
次に、ステップS110において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、記憶ユニット5に記憶されているインク管理情報IMINF2を更新する。例えば、インクタンク6が交換された場合、比較部24は、インク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2及び使用日情報DINFを更新することにより、インク管理情報IMINF2を更新する。これにより、インク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性を示すインク情報IINF2に更新される。また、例えば、ヘッドユニット3が交換された場合、比較部24は、インク管理情報IMINF2に含まれる使用日情報DINFを更新することにより、インク管理情報IMINF2を更新する。
【0102】
次に、ステップS112において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、インク管理情報IMINF2を取得する。例えば、比較部24は、インク管理情報IMINF2を記憶ユニット5から読み出すことにより、インク管理情報IMINF2を取得する。なお、インクタンク6が交換された場合、比較部24は、ステップS110において、交換後のインクタンク6に貯留されているインクのインク管理情報IMINF2を既に把握している。このため、インクタンク6が交換された場合、インク管理情報IMINF2を記憶ユニット5から読み出す処理は、省かれてもよい。
【0103】
次に、ステップS120において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34にインク管理情報IMINF1が記憶されているか否かを判定する。例えば、本実施形態では、ヘッドユニット3の工場出荷時の状態が、ヘッドユニット3内の流路に不凍液が充填され、記憶ユニット34にはインク管理情報IMINF1が記憶されていない状態である場合を想定する。従って、ヘッドユニット3が工場出荷時の状態である場合、インク管理情報IMINF1は、記憶ユニット34に記憶されていない。
【0104】
ステップS120における判定の結果が肯定の場合、制御ユニット2は、処理をステップS122に進める。一方、ステップS120における判定の結果が否定の場合、制御ユニット2は、ステップS170において弁VALを開放状態に設定し、その後、処理をステップS180に進める。なお、ステップS170では、制御ユニット2は、切替制御部26として機能する。
【0105】
ステップS122において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、インク管理情報IMINF1を取得する。例えば、比較部24は、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34からインク管理情報IMINF1を読み出すことにより、インク管理情報IMINF1を取得する。
【0106】
次に、ステップS130において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、インク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1がインク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2と等しいか否かを判定する。ステップS130における判定の結果が肯定の場合、制御ユニット2は、ステップS170において弁VALを開放状態に設定し、その後、処理をステップS180に進める。一方、ステップS130における判定の結果が否定の場合、制御ユニット2は、処理をステップS140に進める。
【0107】
ステップS140において、制御ユニット2は、警告部28として機能し、インクタンク6に貯留されているインクの属性とヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とが異なる旨を、ユーザーに警告する。
【0108】
次に、ステップS150において、制御ユニット2は、切替制御部26として機能し、インクタンク6又はヘッドユニット3の交換が継続されるか否かを判定する。例えば、切替制御部26は、インクタンク6又はヘッドユニット3の交換を継続することを示す情報がユーザー操作により制御ユニット2に入力された場合、インクタンク6又はヘッドユニット3の交換が継続されると判定する。ステップS150における判定の結果が肯定の場合、制御ユニット2は、処理をステップS160に進める。一方、ステップS150における判定の結果が否定の場合、制御ユニット2は、インクタンク6又はヘッドユニット3の交換に関する処理を終了する。
【0109】
ステップS160において、制御ユニット2は、切替制御部26として機能し、流路64及びヘッドユニット3内に充填されているインクを排出するためのインク排出処理を実行する。
【0110】
次に、ステップS162において、制御ユニット2は、切替制御部26として機能し、ヘッドユニット3にインクを再充填するためのインク再充填処理を実行する。例えば、切替制御部26は、弁VALを開放状態に設定する。これにより、インクタンク6に貯留されているインクがヘッドユニット3内に充填される。制御ユニット2は、ステップS162のインク再充填処理を実行した後、処理をステップS180に進める。
【0111】
ステップS180において、制御ユニット2は、比較部24として機能し、ヘッドユニット3に含まれる記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1を更新する。
【0112】
例えば、ステップS120における判定の結果が否定の場合、記憶ユニット34にインク管理情報IMINF1が記憶されていないため、比較部24は、ステップS180において、インク管理情報IMINF1を新規に生成する。具体的には、比較部24は、インクタンク6に貯留されているインクの属性を示すインク情報IINF2と同じ情報をインク情報IINF1とし、現在の日付を示す情報を使用日情報DINFとして、インク管理情報IMINF1を生成する。なお、本実施形態では、インク管理情報IMINF1の更新は、記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1の更新のほかに、インク管理情報IMINF1を新規に生成することも含む。
【0113】
また、例えば、ステップS160及びS162の一連の処理が実行された場合、比較部24は、ステップS180において、インク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1を、インク情報IINF2と同じ情報に更新する。さらに、比較部24は、インク管理情報IMINF1に含まれる使用日情報DINFを、現在の日付を示す情報に更新する。
【0114】
また、例えば、ステップS130における判定の結果が否定の場合、比較部24は、ステップS180において、インク管理情報IMINF1に含まれる使用日情報DINFを、現在の日付を示す情報に更新する。
【0115】
このように、本実施形態では、記憶ユニット34及び5にそれぞれ記憶されているインク情報IINF1及びIINF2を用いて、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性とインクタンク6に貯留されているインクの属性とを容易に比較することができる。また、本実施形態では、インク情報IINF1を記憶する記憶ユニット34をヘッドユニット3が有する。このため、本実施形態では、例えば、ヘッドユニット3が、インクジェットプリンター1から取り外されて、単体で保管されている場合においても、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性が分からなくなることを防止することができる。これにより、例えば、本実施形態では、単体で保管されていたヘッドユニット3が再利用される場合においても、ヘッドユニット3内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合することを抑止することができる。あるいは、本実施形態では、再利用されるヘッドユニット3内に充填されているインクの属性がインクタンク6に貯留されているインクの属性と等しい場合に、ヘッドユニット3内に充填されているインクを無駄に排出することを抑止することができる。
【0116】
ここで、ヘッドユニット3と対比される対比例のヘッドユニットとして、例えば、使用済みのヘッドユニットが再整備され、再整備されたヘッドユニットが再生品として利用される態様に対応するヘッドユニットが考えられる。この種の対比例のヘッドユニットは、例えば、残存寿命を推測するための情報が記憶される不揮発性メモリーを含む場合がある。ヘッドユニットの残存寿命を推測するための情報は、例えば、記録用紙Pの累積印刷面数等を示す情報である。なお、対比例のヘッドユニットに含まれる不揮発性メモリーには、ヘッドユニットに充填されているインクの属性を示す情報は記憶されていない。このため、対比例のヘッドユニットが取り付けられたインクジェットプリンターが、ヘッドユニットに充填されているインクの属性を把握することは困難である。従って、対比例のヘッドユニットでは、本実施形態の上述した効果と同様の効果を得ることは困難である。
【0117】
なお、制御ユニット2の動作は、
図10に示す例に限定されない。例えば、制御ユニット2は、ステップS130における判定の結果が否定の場合、ステップS140及びS150の処理を実行することなく、処理をステップS160に進めてもよい。すなわち、ステップS140及びS150の処理は省かれてもよい。また、例えば、記憶ユニット34に記憶されているインク管理情報IMINF1の更新は、弁VALが開放状態に設定される前に、実行されてもよい。
【0118】
以上、本実施形態では、インクジェットプリンター1は、インクを吐出する吐出部D、吐出部Dにインクを供給する流路、及び、流路を流れるインクに関するインク情報IINF1を記憶する記憶ユニット34を含むヘッドユニット3と、ヘッドユニット3に供給されるインクを貯留するインクタンク6と、インクタンク6に貯留されているインクに関するインク情報IINF2を記憶する記憶ユニット5と、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較する比較部24と、を有する。なお、吐出部Dにインクを供給する流路は、例えば、インク取入口327、リザーバ325及びインク供給口326を含む流路である。
【0119】
このように、本実施形態では、ヘッドユニット3は、ヘッドユニット3内に残留しているインクに関するインク情報IINF1を記憶する記憶ユニット34を有する。また、インクジェットプリンター1は、インクタンク6に貯留されているインクに関するインク情報IINF2を記憶する記憶ユニット5を有する。このため、本実施形態では、比較部24は、記憶ユニット34及び5にそれぞれ記憶されているインク情報IINF1及びIINF2を用いて、ヘッドユニット3内に残留しているインクの属性とインクタンク6に貯留されているインクの属性とを容易に比較できる。
【0120】
これにより、本実施形態では、インクタンク6が交換される場合、又は、ヘッドユニット3が交換される場合においても、ヘッドユニット3内に残留しているインクと、これからヘッドユニット3に供給されるインクとの整合を容易に確認することができる。2箇所のインクの整合がとれるとは、例えば、2箇所のインクの属性が互いに等しいことである。従って、本実施形態では、ヘッドユニット3内に残留しているインクと異なるインクがヘッドユニット3に供給されることを抑制することができる。また、本実施形態では、ヘッドユニット3内に残留しているインクと、これからヘッドユニット3に供給されるインクとの整合がとれた場合、ヘッドユニット3内に残留しているインクを排出せずに、インクジェットプリンター1を使用することができる。従って、本実施形態では、インクが無駄に消費されることを抑制しつつ、ヘッドユニット3内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3に供給されることを抑制することができる。この結果、本実施形態では、ヘッドユニット3の使いまわし、及び、インクタンク6の交換等を簡便にすることができる。
【0121】
また、本実施形態では、インクジェットプリンター1は、インクタンク6からヘッドユニット3にインクを供給する流路64と、インクタンク6と流路64との間に位置し、ヘッドユニット3にインクを供給するか否かを切り替える弁VALと、をさらに有する。弁VALは、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいと比較部24が判定した場合、インクタンク6に貯留されているインクを流路64を経由してヘッドユニット3に供給する開放状態に設定され、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部24が判定した場合、インクタンク6に貯留されているインクのヘッドユニット3への供給を止める閉鎖状態に設定される。これにより、本実施形態では、インクタンク6又はヘッドユニット3が交換される場合に、インクが無駄に消費されることを抑制しつつ、ヘッドユニット3内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3に供給されることを抑制することができる。
【0122】
また、本実施形態では、ヘッドユニット3の工場出荷時の状態は、吐出部Dにインクを供給する流路に不凍液が充填され、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていない状態である。弁VALは、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていないと比較部24が判定した場合、開放状態に設定される。このように、本実施形態では、工場出荷時のヘッドユニット3内には、ヘッドユニット3の交換等の支障となるインクが存在しないため、弁VALが開放状態に設定される。これにより、本実施形態では、工場出荷時のヘッドユニット3が、如何なるインクの供給でも受け付けることができ、ヘッドユニット3を簡便に使いまわすことができる。
【0123】
また、本実施形態では、弁VALは、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較部24が比較する場合、閉鎖状態に設定される。例えば、インクタンク6又はヘッドユニット3が交換される場合、比較部24による比較が終了するまで、ヘッドユニット3内に充填されているインクとインクタンク6に貯留されているインクとの整合がとれているか分からない。このため、本実施形態では、弁VALが閉鎖状態に設定された状態で、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較部24が比較する。これにより、本実施形態では、ヘッドユニット3内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3に供給されることを効率的に抑制することができる。
【0124】
また、本実施形態では、インクジェットプリンター1は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部24が判定した場合に、警告する警告部28をさらに有する。従って、本実施形態では、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性がインクタンク6に貯留されているインクの属性と異なる場合に、ユーザーに警告することができる。すなわち、本実施形態では、ヘッドユニット3内に充填されているインクの属性がインクタンク6に貯留されているインクの属性と異なる旨を、ユーザーに認知させることができる。これにより、本実施形態では、インクタンク6又はヘッドユニット3の交換をユーザーに適切に実行させることができる。
【0125】
[2.変形例]
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0126】
[第1変形例]
上述した実施形態では、制御ユニット2が比較部24として機能する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、比較部24は、ヘッドユニット3に設けられてもよい。
【0127】
図11は、第1変形例におけるインクジェットプリンター1Aの構成の一例を示すブロック図である。
図1から
図10において説明した要素と同様の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0128】
インクジェットプリンター1Aは、
図1に示したヘッドユニット3の代わりにヘッドユニット3Aを有することを除いて、
図1に示したインクジェットプリンター1と同様である。ヘッドユニット3Aは、制御ユニット36を有することを除いて、
図1に示したヘッドユニット3と同様である。ヘッドユニット3Aは、「プリントヘッド」の例である。
【0129】
制御ユニット36は、例えば、制御ユニット2と同様に構成される。例えば、制御ユニット36は、記憶ユニット34に記憶されている制御プログラムを実行することによって、比較部38として機能する。なお、比較部38は、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0130】
比較部38は、例えば、弁VALの状態を設定するための設定情報として、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性との比較結果を示す情報RINFを、制御ユニット2に出力する。情報RINFは、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていないことを示す情報であってもよい。なお、比較部38は、情報RINFを制御ユニット2に出力することを除いて、
図1に示した比較部24と同様である。すなわち、本変形例では、制御ユニット2が
図1に示した比較部24として機能する代わりに、制御ユニット36が比較部38として機能する。
【0131】
なお、インクジェットプリンター1Aの構成は、
図11に示す例に限定されない。例えば、警告部28の機能は、制御ユニット36により実現されてもよい。
【0132】
次に、
図12及び
図13を参照しつつ、インクタンク6が交換された場合のインクジェットプリンター1Aの動作について説明する。
【0133】
図12は、
図11に示したインクジェットプリンター1Aの動作の一例を示すシーケンスチャートである。なお、
図12では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と等しい場合のインクジェットプリンター1Aの動作が示されている。すなわち、
図12は、
図8に示したシーケンスチャートに対応する。
図8において説明した動作と同様な動作については、詳細な説明を省略する。
【0134】
図12においても、図を見やすくするために、制御ユニット2により実現される切替制御部26の図示、及び、制御ユニット36により実現される比較部38の図示が省略されている。例えば、制御ユニット2は、ステップS100、S110、S170及びS180において切替制御部26として機能し、制御ユニット36は、ステップS114、S124、S132及びS134において比較部38として機能する。なお、本変形例では、記憶ユニット5及び34に対する処理を切替制御部26又は比較部38が実行する場合を想定しているが、記憶ユニット5及び34に対する処理は、切替制御部26及び比較部38以外の機能ブロックにより実行されてもよい。例えば、記憶ユニット5及び34に対する処理は、切替制御部26以外の機能ブロックとして機能する制御ユニット2により実行されてもよいし、比較部38以外の機能ブロックとして機能する制御ユニット36により実行されてもよい。
【0135】
ステップS100からステップS110までの一連の処理は、
図8に示したステップS100からステップS110までの一連の処理と同様である。
図12に示す動作では、
図8に示したステップS112の処理の代わりにステップS114の処理が実行される。
【0136】
ステップS114において、制御ユニット36は、インク管理情報IMINF2を記憶ユニット5から読み出す。これにより、制御ユニット36は、インクタンク6に貯留されているインクの属性を把握できる。
【0137】
次に、ステップS124において、制御ユニット36は、ヘッドユニット3A内に充填されているインクのインク管理情報IMINF1を、記憶ユニット34から読み出す。これにより、制御ユニット2は、ヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性を把握できる。
【0138】
次に、ステップS132において、制御ユニット36は、インク管理情報IMINF2に含まれるインク情報IINF2とインク管理情報IMINF1に含まれるインク情報IINF1とを比較する。なお、ステップ132の処理は、制御ユニット2の代わりに制御ユニット36により実行されることを除いて、ステップS130の処理と同様である。
【0139】
上述したように、
図12では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と等しい場合を想定しているため、インク情報IINF2は、インク情報IINF1と等しい。従って、制御ユニット36は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいと判定し、処理をステップS134に進める。
【0140】
ステップS134において、制御ユニット36は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいことを示す情報RINTを制御ユニット2に出力する。これにより、制御ユニット2は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と等しいことを把握できる。
【0141】
ステップS170からステップS182までの一連の処理は、
図8に示したステップS170からステップS182までの一連の処理と同様である。例えば、制御ユニット2は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と等しいため、ステップS170において、弁VALを開放状態に設定するための制御信号CTLoを弁VALに出力する。これにより、弁VALは、ステップS172において、開放状態になる。
【0142】
このように、本変形例においても、インクジェットプリンター1Aは、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と等しい場合、ヘッドユニット3A内に充填されているインクを排出することなく、印刷可能な状態になる。この結果、本変形例においても、インクタンク6のインクが無駄に消費されることを抑制することができる。
【0143】
次に、
図13を参照しつつ、インクタンク6が交換された場合のインクジェットプリンター1Aの動作の別の例について説明する。
【0144】
図13は、インクジェットプリンター1Aの動作の別の例を示すシーケンスチャートである。
図13では、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と異なる場合のインクジェットプリンター1Aの動作が示されている。すなわち、
図13は、
図9に示したシーケンスチャートに対応する。
図9及び
図12において説明した動作と同様な動作については、詳細な説明を省略する。
図13に示す動作は、ステップS140、S160及びS162の一連の処理が
図8に示したステップS170の処理の代わりに実行されることを除いて、
図12に示した動作と同様である。なお、ステップS140、S160及びS162の一連の処理は、
図9に示したステップS140、S160及びS162の一連の処理と同様である。例えば、制御ユニット2は、ステップS140において警告部28として機能し、ステップS160及びS162において切替制御部26として機能する。
【0145】
なお、
図13においても、図を見やすくするために、制御ユニット2により実現される切替制御部26及び警告部28の図示、及び、制御ユニット36により実現される比較部38の図示が省略されている。
【0146】
ステップS100からステップS132までの一連の処理は、
図12に示したステップS100からステップS132までの一連の処理と同様である。但し、ステップS132の比較結果は、
図12に示した例と異なる。
図13では、上述したように、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と異なる場合を想定しているため、インク情報IINF2は、インク情報IINF1と異なる。従って、制御ユニット36は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると判定し、処理をステップS134に進める。
【0147】
ステップS134において、制御ユニット36は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なることを示す情報RINTを制御ユニット2に出力する。これにより、制御ユニット2は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と異なることを把握できる。
【0148】
ステップS140からステップS182までの一連の処理は、
図9に示したステップS140からステップS182までの一連の処理と同様である。例えば、制御ユニット2は、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と異なるため、ステップS140において、ユーザーに警告する。これにより、弁VALは、ステップS172において、開放状態になる。
【0149】
このように、本変形例においても、インクジェットプリンター1Aは、交換後のインクタンク6に貯留されているインクの属性がヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性と異なる場合、ヘッドユニット3A内に充填されているインクを排出する。そして、インクジェットプリンター1Aは、交換後のインクタンク6に貯留されているインクをヘッドユニット3A内に充填することにより、印刷可能な状態になる。従って、本変形例においても、ヘッドユニット3A内のインクの流路において、互いに異なる属性のインクが混合することを抑止することができるため、ヘッドユニット3A内のインクの流路に目詰まり等が発生することを抑制することができる。
【0150】
なお、インクジェットプリンター1Aの動作は、
図12及び
図13に示す例に限定されない。例えば、比較部38として機能する制御ユニット36は、記憶ユニット34にインク管理情報IMINF1が記憶されていない場合、弁VALを開放状態に設定する設定情報として、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていないことを示す情報RINFを、制御ユニット2に出力してもよい。この場合、制御ユニット2は、切替制御部26として機能し、弁VALを開放状態に設定する。
【0151】
以上、本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、本変形例では、ヘッドユニット3Aは、インクを吐出する吐出部Dと、吐出部Dにインクを供給する流路と、流路を流れるインクに関するインク情報IINF1を記憶する記憶ユニット34と、インクタンク6に貯留されているインクに関するインク情報IINF2を取得し、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較する比較部38と、を有する。これにより、本変形例においても、インクが無駄に消費されること、及び、ヘッドユニット3A内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3Aに供給されることを抑制しつつ、ヘッドユニット3Aを簡便に使いまわすことができる。
【0152】
また、本変形例では、インクジェットプリンター1Aは、インクタンク6からヘッドユニット3Aにインクを供給する流路64と、インクタンク6と流路64との間に位置し、ヘッドユニット3Aにインクを供給するか否かを切り替える弁VALと、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と等しいと比較部38が判定した場合、インクタンク6に貯留されているインクを流路64を経由してヘッドユニット3Aに供給する開放状態に弁VALを設定し、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部38が判定した場合、インクタンク6に貯留されているインクのヘッドユニット3Aへの供給を止める閉鎖状態に弁VALを設定する切替制御部26と、を有する。比較部38は、弁VALの状態を設定するための設定情報として、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性との比較結果を示す情報RINFを、制御ユニット2に出力する。
【0153】
なお、情報RINFを受信した制御ユニット2は、切替制御部26として機能する。従って、情報RINFを制御ユニット2に出力することは、情報RINFを切替制御部26に出力することに該当する。本変形例においても、インクタンク6又はヘッドユニット3Aが交換される場合に、インクが無駄に消費されることを抑制しつつ、ヘッドユニット3A内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3Aに供給されることを抑制することができる。
【0154】
また、本変形例では、比較部38は、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていない場合、弁VALを開放状態に設定する設定情報として、記憶ユニット34にインク情報IINF1が記憶されていないことを示す情報RINFを、制御ユニット2に出力する。これにより、本変形例においても、工場出荷時のヘッドユニット3Aが、如何なるインクの供給でも受け付けることができ、ヘッドユニット3Aを簡便に使いまわすことができる。
【0155】
また、本変形例では、比較部38がインク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性とを比較する場合、弁VALが閉鎖状態に設定されている。これにより、本変形例においても、ヘッドユニット3A内に充填されているインクと異なるインクがヘッドユニット3Aに供給されることを効率的に抑制することができる。
【0156】
また、本変形例では、比較部38は、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なる場合、吐出部Dにインクを供給する流路を流れるインクがインクタンク6に貯留されているインクと異なることをインクジェットプリンター1Aの警告部28がユーザーに警告するように、インク情報IINF1により示されるインク属性とインク情報IINF2により示されるインク属性との比較結果を示す情報RINFを、警告部28に出力する。これにより、本変形例においても、ヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性がインクタンク6に貯留されているインクの属性と異なる旨を、ユーザーに認知させることができる。従って、本変形例においても、インクタンク6又はヘッドユニット3Aの交換をユーザーに適切に実行させることができる。
【0157】
また、本変形例では、ヘッドユニット3Aは、インク情報IINF1により示されるインク属性がインク情報IINF2により示されるインク属性と異なると比較部38が判定した場合に、警告する警告部をさらに有してもよい。この場合においても、ヘッドユニット3A内に充填されているインクの属性がインクタンク6に貯留されているインクの属性と異なる旨をユーザーに認知させることができ、インクタンク6又はヘッドユニット3Aの交換をユーザーに適切に実行させることができる。
【0158】
[第2変形例]
上述した実施形態及び変形例では、インク情報IINF1及びIINF2の各々が色情報CINF及び種類情報TINFを含む場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、インク情報IINF1及びIINF2の各々は、色情報CINF及び種類情報TINFのうちの一方のみを含んでもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0159】
例えば、インク情報IINF1及びインク情報IINF2の各々は、吐出部Dにインクを供給する流路を流れるインクの色に関する色情報CINFであってもよい。この場合、ヘッドユニット3又は3A内のインクの流路において、互いに異なる色のインクが混合することを抑制することができるため、不要なフラッシング等のメンテナンス処理が実行されることを低減することができる。
【0160】
また、例えば、インク情報IINF1及びインク情報IINF2の各々は、ソルベントインク及び水性インクを含む複数の種類のインクの中から各インクの種類を識別するためのインク物性に関する種類情報TINFであってもよい。この場合、ヘッドユニット3又は3A内のインクの流路において、互いに異なる種類のインクが混合することを抑制することができるため、インクの溶媒同士が反応してヘッドユニット3又は3A内で固化してしまう問題を事前に回避することができる。
【0161】
[第3変形例]
上述した実施形態及び変形例では、ヘッドユニット3又は3Aにインクを供給するか否かを切り替える弁VALが、インクタンク6と流路64との間に位置する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット3又は3Aにインクを供給するか否かの切り替えは、インクタンク6から流路64にインクを圧送するポンプにより実行されてもよい。具体的には、当該ポンプを駆動することにより、ヘッドユニット3又は3Aにインクが供給され、ポンプの駆動を停止することにより、ヘッドユニット3又は3Aへのインクの供給が停止されてもよい。この場合、インクタンク6から流路64にインクを圧送するポンプは、「切替機構」の例である。ヘッドユニット3又は3Aにインクを供給するか否かの切り替えがポンプにより実行される場合、弁VALは省かれてもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0162】
[第4変形例]
上述した実施形態及び変形例では、駆動信号COMが1つの場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、駆動信号COMは、
図7に示した駆動信号COMの他に、駆動信号COMの波形PAとは異なる波形を有する駆動信号を含んでもよい。この場合、
図6に示した供給回路31に、駆動信号COMの波形PAとは異なる波形を有する駆動信号を吐出部D[m]に供給するか否かを切り替えるスイッチが追加される。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0163】
[第5変形例]
上述した実施形態及び変形例では、個別駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することにより、圧電素子PZが-Z方向に変位する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、個別駆動信号Vin[m]の電位が高電位から低電位に変化することにより、-Z方向に変位する圧電素子PZが用いられてもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0164】
[第6変形例]
上述した実施形態及び変形例では、各ヘッドユニット3が1本のノズル列NLを有する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、各ヘッドユニット3は、複数のノズル列NLを有してもよい。同様に、各ヘッドユニット3Aは、複数のノズル列NLを有してもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0165】
[第7変形例]
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1が4個のヘッドユニット3を有する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、インクジェットプリンター1は、1個以上3個以下のヘッドユニット3を有してもよいし、5個以上のヘッドユニット3を有してもよい。同様に、インクジェットプリンター1Aは、1個以上3個以下のヘッドユニット3Aを有してもよいし、5個以上のヘッドユニット3Aを有してもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0166】
[第8変形例]
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、インクジェットプリンター1又は1Aは、ヘッドユニット3又は3Aにおいて、複数のノズルNが、記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0167】
1、1A…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3、3A…ヘッドユニット、4…駆動信号生成ユニット、5…記憶ユニット、6…インクタンク、7…搬送ユニット、8…メンテナンスユニット、22…駆動制御部、24…比較部、26…切替制御部、28…警告部、31…供給回路、32…記録ヘッド、34…記憶ユニット、36…制御ユニット、38…比較部、D…吐出部、N…ノズル。