(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048629
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/18 20060101AFI20240402BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240402BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/175 501
B41J2/01 401
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154648
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】荒深 和志
(72)【発明者】
【氏名】森田 修匠
(72)【発明者】
【氏名】藤森 亮治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC16
2C056EC17
2C056EC18
2C056EC40
2C056KA01
2C056KB08
2C056KB16
(57)【要約】
【課題】ベース部材およびダイヤフラムで構成されるポンプ室の駆動時に、ダイヤフラムがベース部材に接触すると、液体供給流路内に異物が発生する虞がある。
【解決手段】液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド41にインクを供給可能な液体供給流路101と、液体供給流路101とともに循環路CPを形成する分岐流路107と、循環路CPにN個設けられ、ベース部材22およびダイヤフラム23で構成されるポンプ室24であって、ダイヤフラム23を変位させてポンプ室24の容積Chを変化させることで循環路CPにおいてインクを循環可能なポンプ室24を備え、Kを2以上N以下の整数とするとき、K個のポンプ室24に収容されるインクの総体積Vtを、K個のポンプ室24における最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くし、K個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
液体収容体に収容される前記液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能な液体供給流路と、
前記液体供給流路に設けられる第1接続部と、前記液体供給流路のうち前記第1接続部と前記液体吐出ヘッドとの間となる位置に設けられる第2接続部と、に両端が接続されることで、前記液体供給流路とともに循環路を形成する分岐流路と、
Nを2以上の整数とするとき、前記循環路にN個設けられ、ベース部材およびダイヤフラムで構成されるポンプ室であって、前記ダイヤフラムを変位させて前記ポンプ室の容積を変化させることで前記循環路において前記液体を循環可能な前記ポンプ室と、
前記ポンプ室を駆動可能なポンプ機構と、
前記液体供給流路における前記液体収容体と前記第1接続部との間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第1開閉弁と、
前記液体供給流路における前記第2接続部と前記液体吐出ヘッドとの間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第2開閉弁と、
前記ポンプ機構を制御可能な制御部と、
を備え、
Kを2以上前記N以下の整数とするとき、
前記制御部は、
前記ダイヤフラムの位置を調整することで、K個の前記ポンプ室に収容される前記液体の総体積を、前記K個の前記ポンプ室における最大容積の総和よりも少なく、かつ前記総和の半分より多くし、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記Nは5以上であり、
前記制御部は、
前記N個の前記ポンプ室のうち半数より多い前記ポンプ室の容積を前記最大容積にし、残りの前記ポンプ室の前記容積を最小容積にし、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記N個の前記ポンプ室のうち、1個の前記ポンプ室の前記容積を前記最大容積にし、かつ1個の前記ポンプ室の前記容積を前記最小容積にし、
前記N個より2個少ない前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体供給流路、および前記分岐流路は、途中で分岐した後に合流する並列流路を有し、
前記ポンプ室は、前記並列流路のそれぞれに設けられる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
液体収容体に収容される前記液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能な液体供給流路と、
前記液体供給流路に設けられる第1接続部と、前記液体供給流路のうち前記第1接続部と前記液体吐出ヘッドとの間となる位置に設けられる第2接続部と、に両端が接続されることで、前記液体供給流路とともに循環路を形成する分岐流路と、
Nを2以上の整数とするとき、前記循環路にN個設けられ、ベース部材およびダイヤフラムで構成されるポンプ室であって、前記ダイヤフラムを変位させて前記ポンプ室の容積を変化させることで前記循環路において前記液体を循環可能な前記ポンプ室と、
前記液体供給流路における前記液体収容体と前記第1接続部との間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第1開閉弁と、
前記液体供給流路における前記第2接続部と前記液体吐出ヘッドとの間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第2開閉弁と、
を備える液体吐出装置の制御方法であって、
Kを2以上前記N以下の整数とするとき、K個の前記ポンプ室に収容される前記液体の総体積を、前記K個の前記ポンプ室における最大容積の総和よりも少なく、かつ前記総和の半分より多くすることと、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環することと、
を含む、
ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項5】
前記Nは3以上であり、Lを前記Nの半分より大きい整数とするとき、L個の前記ポンプ室の前記容積を前記最大容積にすることと、
残りの前記ポンプ室の前記容積を最小容積にすることと、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項6】
前記Nは4以上であり、前記N個の前記ポンプ室のうち半数の前記ポンプ室の前記容積を前記最大容積にすることと、
残りの半数の前記ポンプ室の前記容積を最小容積にすることと、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記循環路において前記液体を循環するときに駆動しない前記ポンプ室の前記容積を前記最小容積にすることと、
前記N個の半数より多く前記N個より少ない前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項7】
前記Nは5以上であり、前記N個の前記ポンプ室のうち半数より多い前記ポンプ室の前記容積を前記最大容積にすることと、
残りの前記ポンプ室の前記容積を最小容積にすることと、
前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記N個の前記ポンプ室のうち、1個の前記ポンプ室の前記容積を前記最大容積にし、かつ1個の前記ポンプ室の前記容積を前記最小容積にすることと、
前記N個より2個少ない前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置、および液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体を収容する液体収容体側から液体噴射ヘッド側に供給する液体供給流路と、液体供給流路に設けられるポンプと、を備える液体噴射装置が開示されている。液体噴射ヘッドは液体吐出ヘッドの一例であり、液体噴射装置は液体吐出装置の一例である。また、ポンプは流路形成部材とダイヤフラムとにより形成されるポンプ室を有し、ダイヤフラムを流路形成部材に対して進退する方向に変位させ、ポンプ室の容積を変化させるポンプ駆動により、液体収容体側から液体噴射ヘッド側に液体を供給することが開示されている。流路形成部材はベース部材の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液体噴射装置では、ポンプ駆動時に、ダイヤフラムが流路形成部材との接触を繰り返すと、液体供給流路内に異物が発生する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体収容体に収容される前記液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能な液体供給流路と、前記液体供給流路に設けられる第1接続部と、前記液体供給流路のうち前記第1接続部と前記液体吐出ヘッドとの間となる位置に設けられる第2接続部と、に両端が接続されることで、前記液体供給流路とともに循環路を形成する分岐流路と、Nを2以上の整数とするとき、前記循環路にN個設けられ、ベース部材およびダイヤフラムで構成されるポンプ室であって、前記ダイヤフラムを変位させて前記ポンプ室の容積を変化させることで前記循環路において前記液体を循環可能な前記ポンプ室と、前記ポンプ室を駆動可能なポンプ機構と、前記液体供給流路における前記液体収容体と前記第1接続部との間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第1開閉弁と、前記液体供給流路における前記第2接続部と前記液体吐出ヘッドとの間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第2開閉弁と、前記ポンプ機構を制御可能な制御部と、を備え、Kを2以上N以下の整数とするとき、前記制御部は、前記ダイヤフラムの位置を調整することで、K個の前記ポンプ室に収容される前記液体の総体積を、前記K個の前記ポンプ室における最大容積の総和よりも少なく、かつ前記総和の半分より多くし、前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環する。
【0006】
液体吐出装置の制御方法は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体収容体に収容される前記液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能な液体供給流路と、前記液体供給流路に設けられる第1接続部と、前記液体供給流路のうち前記第1接続部と前記液体吐出ヘッドとの間となる位置に設けられる第2接続部と、に両端が接続されることで、前記液体供給流路とともに循環路を形成する分岐流路と、Nを2以上の整数とするとき、前記循環路にN個設けられ、ベース部材およびダイヤフラムで構成されるポンプ室であって、前記ダイヤフラムを変位させて前記ポンプ室の容積を変化させることで前記循環路において前記液体を循環可能な前記ポンプ室と、前記液体供給流路における前記液体収容体と前記第1接続部との間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第1開閉弁と、前記液体供給流路における前記第2接続部と前記液体吐出ヘッドとの間に設けられ、前記液体供給流路を開閉可能な第2開閉弁と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、Kを2以上N以下の整数とするとき、K個の前記ポンプ室に収容される前記液体の総体積を、前記K個の前記ポンプ室における最大容積の総和よりも少なく、かつ前記総和の半分より多くすることと、前記第1開閉弁、および前記第2開閉弁が閉じた状態で、前記K個の前記ポンプ室を駆動することで、前記循環路において前記液体を循環することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る液体吐出装置の概略構成を示す斜視図。
【
図4】液体吐出装置が備える液体供給装置を示す模式図。
【
図5】液体吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【
図7】循環動作における第1状態の各ポンプ室を示す模式図。
【
図8】循環動作における第2状態の各ポンプ室を示す模式図。
【
図9】循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図10】他の実施形態に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図11】実施形態2に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図12】実施形態3に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図13】実施形態4に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図14】実施形態5に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図15】実施形態6に係る液体吐出装置が備える液体供給装置を示す模式図。
【
図16】実施形態6に係る循環前処理を示す模式図。
【
図17】実施形態6に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図18】実施形態7に係る循環前状態の各ポンプ室を示す模式図。
【
図19】実施形態7に係る循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【
図20】従来技術を適用した循環動作における第1状態の各ポンプ室を示す模式図。
【
図21】従来技術を適用した循環動作における第2状態の各ポンプ室を示す模式図。
【
図22】従来技術を適用した循環制御において各ポンプ室に収容される液体の体積を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。実施形態に係る液体吐出装置は、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することで文字及び画像を印刷するインクジェットプリンターである。
【0009】
各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0010】
尚、本実施形態では、液体吐出装置10の長手方向を「幅方向」とし、液体吐出装置10の奥行方向を「前後方向」とし、脚部11の長手方向でもある液体吐出装置10の上下方向を「鉛直方向」とする。ここで、幅方向、前後方向及び鉛直方向は、互いに直交する方向である。
【0011】
1.実施形態1
図1に示すように液体吐出装置10は、一対の脚部11と、脚部11上に組み付けられる筐体12と、ロール体(不図示)に巻き重ねた媒体Mを筐体12内に向けて繰り出す繰出部13と、筐体12から排出される媒体Mを案内する案内部14と、案内部14に案内される媒体Mをロール体に巻き取る巻取部15と、を備える。また液体吐出装置10は、巻取部15に巻き取られる媒体Mにテンションを付与するテンション付与機構16と、ユーザーによって操作される操作パネル17と、を備える。
【0012】
また、液体吐出装置10は、液体収容体110を装着可能な装着部113と、後述する印刷部40に液体収容体110に収容されるインクを供給する液体供給装置100と、液体吐出装置10の各種構成部材の駆動や動作を制御する制御部60と、を備える。
【0013】
図2、
図3に示すように、液体吐出装置10は、媒体Mを支持する支持台18と、媒体Mを搬送する搬送部30と、媒体Mに印刷を行う印刷部40と、印刷部40のメンテナンスを行うメンテナンス部50とを備える。尚、媒体Mは、前後方向に沿った搬送方向に搬送される。
【0014】
支持台18は、媒体Mの搬送方向と直交する媒体Mの幅方向に延在している。また、
図2に示すように、搬送部30は、搬送方向における支持台18の両側に配置される搬送モーター(不図示)を駆動することで、搬送ローラー対31,32に挟持された媒体Mを支持台18の表面に沿って搬送方向に搬送する。
【0015】
印刷部40は、インクを吐出可能な液体吐出ヘッド41と、幅方向に沿って延設されるガイド軸42と、ガイド軸42に案内されて幅方向に往復移動可能なキャリッジ43と、を備える。キャリッジ43は、液体吐出ヘッド41を保持した状態で、キャリッジモーター(不図示)の駆動に伴い移動する。
【0016】
図4に示すように、液体吐出ヘッド41は、複数のノズル44と、ノズル44それぞれに連通する個別液室411と、個別液室411と振動板412により区画される収容部413と、収容部413に収容されるアクチュエーター414と、を備える。また、液体吐出ヘッド41は、供給されるインクを一時貯留して複数の個別液室411に供給する共通液室415と、共通液室415に供給されるインクをろ過するフィルター416と、を備える。
【0017】
アクチュエーター414は、例えば、駆動電圧が印加された場合に収縮する圧電素子である。アクチュエーター414の収縮に伴って振動板412を変形させた後、駆動電圧の印加を解除すると、容積が変化した個別液室411内のインクがノズル44から液滴として吐出される。印刷部40は、支持台18に支持される媒体Mに、幅方向に移動する液体吐出ヘッド41のノズル44からインクを吐出することで印刷する。
【0018】
図3に示すように、メンテナンス部50は、幅方向において支持台18と隣り合う領域に設けられる。メンテナンス部50は、液体吐出ヘッド41を払拭する払拭部材51を有する払拭機構52と、液体吐出ヘッド41が吐出するインクを受ける液体受け部53を有するフラッシング機構54と、液体吐出ヘッド41のノズル44(
図2参照)を覆うキャップ55を有するキャップ機構56と、を備える。払拭機構52、フラッシング機構54、およびキャップ機構56は、キャリッジ43の移動方向に並ぶように配置される。
【0019】
払拭機構52は、払拭部材51を液体吐出ヘッド41と相対移動させることにより、液体吐出ヘッド41を払拭するワイピングを行う。フラッシング機構54は、ノズル44の目詰まり防止または解消を目的として、ノズル44から液滴を吐き捨てるフラッシングを行うときに、吐き捨てられたインクを液体受け部53で受ける。液体受け部53は、例えば、回転する無端状のベルトで構成することができる。
【0020】
キャップ機構56は、液体吐出ヘッド41のノズル44が開口する空間を閉空間とするためのキャッピングを行う。キャッピングは、液体吐出ヘッド41のノズル44が乾燥することを抑制するためなどに行われる。また、キャップ機構56は、キャップ55外に、キャップ55内を吸引する吸引ポンプをさらに有し、キャッピングを行った状態で吸引ポンプを駆動させることでキャップ55内を負圧とし、液体吐出ヘッド41のノズル44を介して強制的にインクを排出させる吸引クリーニングを実行可能としてもよい。
【0021】
次に、液体供給装置100の構成について詳細に説明する。尚、以降の説明では、液体供給装置100におけるインクの流れる方向に沿って上流側および下流側と言うものとする。尚、
図4では、インクの流れる流動方向を矢印FDで示している。
【0022】
図2、
図4に示すように、液体供給装置100は、装着部113、液体供給流路101、分岐流路107、第1開閉弁106、第2開閉弁105、フィルター103、第3開閉弁108、および送液部20を備える。以下、各構成要素について順次説明する。
【0023】
装着部113は、装着される液体収容体110を保持する。液体収容体110は、液体吐出ヘッド41に供給されるインクを貯留することが可能な収容容器である。液体収容体110は、収容容器を交換することでインクを補給するカートリッジであってもよいし、インクを補充可能なタンクタイプとしてもよい。尚、液体収容体110をカートリッジタイプとする場合、装着部113は、液体収容体110を着脱可能に保持する。また、液体収容体110を補充可能なタンクタイプとする場合、装着部113は、液体収容体110を着脱不能に保持する。
【0024】
液体供給流路101は、液体供給流路101におけるインクの流動方向FDにおいて上流側となる装着部113に装着される液体収容体110から下流側となる液体吐出ヘッド41に向けてインクを供給可能な態様で、装着部113と液体吐出ヘッド41とに接続される。分岐流路107は、液体供給流路101に設けられる第1接続部101aと第2接続部101bと、に両端が接続されることで、液体供給流路101とともに循環路CPを形成する。第2接続部101bは、液体供給流路101のうち第1接続部101aと液体吐出ヘッド41との間となる位置に設けられる。
【0025】
また、液体供給流路101のうち、第1接続部101aと第2接続部101bとの間となる位置には、液体供給流路101の途中で分岐した後に流動方向FDの下流側で合流する並列流路109a,109bが設けられる。また、液体供給流路101のうち、並列流路109a,109bが合流した位置と第2接続部101bとの間となる位置には、液体供給流路101の途中で分岐した後に流動方向FDの下流側で合流する並列流路109c,109dが設けられる。また、分岐流路107には、分岐流路107の途中で分岐した後に流動方向FDの下流側で合流する並列流路109e,109fが設けられる。尚、以後の説明において、並列流路109a,109b,109c,109d,109e,109fを総称して並列流路109と言うことがある。
【0026】
第1開閉弁106は、液体供給流路101において、装着部113に装着される液体収容体110と第1接続部101aとの間となる位置に設けられる。第1開閉弁106は、液体供給流路101におけるインクの流動を許容する開状態と、液体供給流路101におけるインクの流動を規制する閉状態とを取り得る。尚、開状態を、液体供給流路101を開くと言うものとする。また、閉状態を、液体供給流路101を閉じると言うものとする。本実施形態の第1開閉弁106は、例えば、電磁石への通電を制御することで開状態と閉状態とを切り換え可能な電磁弁である。
【0027】
第2開閉弁105は、液体供給流路101において、第2接続部101bと液体吐出ヘッド41との間となる位置に設けられる。第2開閉弁105は、液体供給流路101におけるインクの流動を許容する開状態と、液体供給流路101におけるインクの流動を規制する閉状態とを取り得る。本実施形態の第2開閉弁105は、第2開閉弁105の下流側の圧力が所定の負圧、例えばゲージ圧で-1kPaになると開状態になる所謂減圧弁である。液体供給装置100は、第2開閉弁105の下流側の圧力に関わらず、第2開閉弁105を開状態とする開弁機構151を備えてもよい。尚、第2開閉弁105は、第1開閉弁106と同様の電磁弁であってもよい。
【0028】
フィルター103は、液体供給流路101において、並列流路109c,109dが合流する位置と第2接続部101bとの間となる位置に設けられる。フィルター103は、液体供給流路101を流れるインクに含まれる気泡や異物を捕促する。フィルター103は、交換可能に、液体供給流路101に設けられる。
【0029】
第3開閉弁108は、分岐流路107において、並列流路109e,109fが分岐する位置と第2接続部101bとの間となる位置に設けられる。第3開閉弁108は、分岐流路107におけるインクの流動を許容する開状態と、分岐流路107におけるインクの流動を規制する閉状態とを取り得る。第3開閉弁108は、循環路CPにおいてインクを循環するときに開状態にされ、循環路CPにおいてインクを循環しないときに閉状態にされる。本実施形態の第3開閉弁108は、例えば、第1開閉弁106と同様の電磁弁である。
【0030】
送液部20は、液体供給流路101および分岐流路107において、流動方向FDにインクを流動させる。送液部20は、複数のポンプ室24としてのポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fと、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fを駆動可能なポンプ機構26と、を有する。以後の説明において、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fをポンプ室24と言うことがある。
【0031】
本実施形態の送液部20は、6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fを循環路CPに有する。各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fは、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fにインクが流入および流出可能に、並列流路109a,109b,109c,109d,109e,109fのそれぞれに1個ずつ配置される。尚、循環路CPに設けられる6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。
【0032】
並列流路109a,109bに配置されるポンプ室24a,24bはポンプユニット201を構成する。また、並列流路109c,109dに配置されるポンプ室24c,24dはポンプユニット202を構成する。また、並列流路109e,109fに配置されるポンプ室24e,24fはポンプユニット203を構成する。よって、送液部20は、ポンプユニット201,202,203を有するとも言える。
【0033】
また、各並列流路109a,109b,109c,109d,109e,109fにおいて、並列流路109a,109b、並列流路109c,109d、および並列流路109e,109fがそれぞれ分岐する位置と、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fと、の間となる位置には、一方向弁28が配置される。一方向弁28は、一方向弁28側からポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fへのインクの流入を許容し、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fから一方向弁28側へのインクの流出を規制する。
【0034】
また、各並列流路109a,109b,109c,109d,109e,109fにおいて、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fと、並列流路109a,109b、並列流路109c,109d、および並列流路109e,109fがそれぞれ合流する位置と、の間となる位置には、一方向弁29が配置される。一方向弁29は、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fから一方向弁29側へのインクの流出を許容し、一方向弁29側からポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fへのインクの流入を規制する。
【0035】
ポンプ室24は、ベース部材22とダイヤフラム23とにより構成される。ベース部材22は、例えば、底面24sと上面25tとを有する円筒形状を有する。ダイヤフラム23は、可撓性を有する部材で構成される。ダイヤフラム23は、円盤状の薄膜部の中央に厚肉の円板部23pを有する。ポンプ室24は、ダイヤフラム23によりベース部材22が区画されて形成される空間のうち、底面24sを含む空間である。
【0036】
ダイヤフラム23の薄膜部が変形することで、ダイヤフラム23は、円板部23pがベース部材22の底面24sに接触する下死点と、円板部23pがベース部材22の上面25tに接触する上死点と、の間を変位可能である。また、ダイヤフラム23が下死点と上死点との間を変位することで、ポンプ室24の容積Ch、すなわちポンプ室24に収容されるインクの体積Vpが変化する。
【0037】
例えば、
図4において、ポンプ室24a,24b,24c,24dのダイヤフラム23は上死点に位置し、ポンプ室24a,24b,24c,24dの容積Chは最大容積Cdである。また、ポンプ室24e,24fのダイヤフラム23は下死点に位置し、ポンプ室24e,24fの容積Chは最小容積Csである。以後の説明において、ダイヤフラム23が上死点に位置するときの最大容積Cdの値を1とし、ダイヤフラム23が下死点に位置するときの最小容積Csの値を0として説明するものとする。また、ダイヤフラム23が上死点と下死点との間に位置するときのポンプ室24の容積Chは、最大容積Cdに対する割合、例えば0.5等として説明する。
【0038】
ダイヤフラム23が底面24s側から上面25t側に向かって変位することで、ポンプ室24の容積Chが増加する。これにより一方向弁28側からポンプ室24にインクが流入する。ダイヤフラム23が上面25t側から底面24s側に向かって変位することで、ポンプ室24の容積Chが減少する。これによりポンプ室24から一方向弁29側にインクが流出する。
【0039】
ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのいずれかにおいて、ポンプ室24の容積Chが減少する吸引動作と、ポンプ室24の容積Chが増加する排出動作と、が交互に行われることで、液体供給流路101および分岐流路107のいずれかにおいて、流動方向FDにインクが流動する。
【0040】
ポンプ機構26は、底面24sに対してダイヤフラム23を進退させることにより、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fの容積Chを増減可能である。すなわち、ポンプ機構26は、ポンプ室24を駆動可能である。ポンプ機構26は、空気流路27を介して空気室25と接続される。
【0041】
空気室25は、ダイヤフラム23によりベース部材22が区画されて形成される空間のうち、上面25tを含む空間であり、ダイヤフラム23を介してポンプ室24と隣り合う。空気流路27は、各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fと隣り合う空気室25に通じる空気流路27a,27b,27c,27d,27e,27fを含む。
【0042】
ポンプ機構26は、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fと隣り合う各空気室25を個別に加圧および減圧可能に、空気流路27a,27b,27c,27d,27e,27fと接続される。ポンプ機構26は、例えば、各空気流路27a,27b,27c,27d,27e,27fと接続される6個の加減圧ポンプ(不図示)および圧力センサー(不図示)を有する。各加減圧ポンプは、圧力センサーに検出される圧力値に基づいて、例えば、各空気室25の圧力をゲージ圧で-50kPaから+50kPaの範囲に調整可能に設けられる。
【0043】
空気室25が減圧されることにより、ダイヤフラム23が底面24s側から上面25t側に向かって変位することで、ポンプ室24の容積Chが増加する。また、空気室25が加圧されることにより、ダイヤフラム23が上面25t側から底面24s側に向かって変位することで、ポンプ室24の容積Chが減少する。
【0044】
本実施形態のポンプ機構26は、空気室25の圧力を変更することで、ダイヤフラム23を変位させてポンプ室24を駆動する。尚、
図6から
図8、
図16、
図20、
図21では、接続される空気流路27が黒塗りで示される空気室25は減圧されており、接続される空気流路27が白抜きで示される空気室25は加圧されている。また、
図6において、接続される空気流路27が破線で示される空気室25どうしは同じ圧力に調整されている。
【0045】
送液部20は、ポンプ機構26によって、ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのいずれかを駆動することで、吸引動作と排出動作とを交互に行わせる。これにより、液体供給流路101および分岐流路107のいずれかにおいて、流動方向FDにインクが流動する。
【0046】
液体供給流路101において、液体吐出ヘッド41に向けて流動方向FDにインクを流動させることを供給動作と言う。供給動作は、第1開閉弁106が開いた状態で、かつ第3開閉弁108が閉じた状態で行われる。また、循環路CPにおいて、流動方向FDにインクを流動させることを循環動作と言う。本実施形態の循環動作において、駆動するポンプ室24は、
図9に網掛けで示す4個のポンプ室24c,24d,24e,24fである。循環動作は、第1開閉弁106が閉じた状態で、かつ第3開閉弁108が開いた状態で行われる。尚、循環動作は、液体吐出ヘッド41のノズル44からインクが排出されないときに行われるので、第2開閉弁105は閉じている。
【0047】
本実施形態では、
図7から
図9に示すように、循環動作において、
図7に示す第1状態から
図8に示す第2状態への移行により、ポンプ室24d,24fの容積Chを0.5から1に増加させる駆動が吸引動作である。すなわち、第1状態から第2状態への移行により、ポンプ室24d,24fに収容されるインクの体積Vpを増加させる駆動が吸引動作である。また、循環動作において、
図8に示す第2状態から
図7に示す第1状態への移行により、ポンプ室24d,24fの容積Chを1から0.5に減少させる駆動が排出動作である。すなわち、第2状態から第1状態への移行により、ポンプ室24d,24fに収容されるインクの体積Vpを減少させる駆動が排出動作である。
【0048】
また、循環動作において、
図7に示す第1状態から
図8に示す第2状態への移行により、ポンプ室24c,24eの容積Chを1から0.5に減少させる駆動が排出動作である。すなわち、第1状態から第2状態への移行により、ポンプ室24c,24eに収容されるインクの体積Vpを減少させる駆動が排出動作である。また、循環動作において、
図8に示す第2状態から
図7に示す第1状態へのポンプ室24c,24eの容積Chを0.5から1に増加させる駆動が吸引動作である。第2状態から第1状態への移行により、ポンプ室24c,24eに収容されるインクの体積Vpを増加させる駆動が吸引動作である。
【0049】
本実施形態では、
図9に示すように、第1状態から第2状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、第2状態から第1状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、を繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作が行われる。
【0050】
尚、
図9から
図14、
図17、
図19、
図22におけるVaは、送液部20が有するポンプ室24に収容されるインクの総体積である。また、Vtは、循環動作において駆動するポンプ室24に収容されるインクの総体積である。また、Ctは、循環動作において駆動するポンプ室24の最大容積Cdの総和である。また、循環動作において駆動するポンプ室24は、
図9から
図14、
図17、
図19、
図22において網掛けで示される。
【0051】
また、本実施形態の循環動作において、駆動するポンプ室24c,24dが構成するポンプユニット202において、ポンプ室24c,24dのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24において排出動作が行われる。また、駆動するポンプ室24e,24fが構成するポンプユニット203において、ポンプ室24e,24fのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24において排出動作が行われる。これにより、循環路CPを流動するインクの流量変化を抑制しつつ、循環路CPにおける循環動作を行うことができる。
【0052】
制御部60は、不図示のCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリー(不図示)とを有する。メモリーは記憶部の一例である。CPUは、メモリーに記憶される各種プログラムを実行することができ、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0053】
メモリーには、例えば、媒体Mを搬送するためのプログラム、媒体Mに印刷するためのプログラム、液体収容体110のインクを液体吐出ヘッド41に向けて供給する供給動作を行うためのプログラム、印刷部40のメンテナンスを行うためのプログラム、循環路CPにおいてインクの循環を行うためのプログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、メモリーには、ポンプ機構26により空気室25を加減圧するときの圧力調整値、循環動作におけるポンプ室24の吸引動作および排出動作の繰り返し間隔、その他各種テーブル、各種カウンター値等が記憶されている。
【0054】
制御部60のCPUは、メモリーに格納される各種プログラムを実行することで液体吐出装置10の全体を制御する。例えば、制御部60は、搬送部30の搬送モーターを制御することで、媒体Mを搬送方向に搬送する。また、例えば、制御部60は、印刷部40を制御することで、支持台18に支持される媒体Mに、幅方向に移動する液体吐出ヘッド41のノズル44からインクを吐出することで印刷する。
【0055】
また、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、液体供給流路101を介して、液体収容体110から液体吐出ヘッド41に向けてインクを供給する供給動作を行う。また、制御部60は、メンテナンス部50を制御することで、印刷部40の液体吐出ヘッド41および液体供給流路101のいずれかのメンテナンスを行う。また、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CP内のインクを循環する。
【0056】
ところで、循環動作において駆動する2個以上のポンプ室24に収容されるインクの総体積Vtが駆動するポンプ室24の最大容積Cdの総和Ctの半分と同じかそれより小さい状態で、循環動作を行うと、ダイヤフラム23がポンプ室24の底面24sと接触する虞がある。例えば、
図22に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtが駆動するポンプ室24c,24d,24e,24fの最大容積Cdの総和Ctの半分である状態で、循環動作を行うとする。
【0057】
上述のように、循環動作は液体吐出ヘッド41のノズル44からインクが排出されないときに行われる。このため、循環動作は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で行われる。また、循環動作において駆動しないポンプ室24a,24bと隣り合う空気室25の圧力はゲージ圧で-50kPaに調整される。そして、循環動作において駆動するポンプ室24c,24d,24e,24fと隣り合う空気室25の圧力はゲージ圧で-30kPaから+30kPaの間で加減圧されるものとする。
【0058】
この場合、第1状態では、
図20、
図22に示すように、隣り合う空気室25が-30kPaに減圧されるポンプ室24c,24eのダイヤフラム23は上死点に位置し、ポンプ室24c,24eに総体積Vtのインクが収容される。このため、ポンプ室24d,24fに収容可能なインクが無くなる。そして、隣り合う空気室25が+30kPaに加圧されるポンプ室24d,24fのダイヤフラム23は下死点に位置し、底面24sに接触する。
【0059】
また、第2状態では、
図21、
図22に示すように、隣り合う空気室25が-30kPaに減圧されるポンプ室24d,24fのダイヤフラム23は上死点に位置し、ポンプ室24d,24fに総体積Vtのインクが収容される。このため、ポンプ室24c,24eに収容可能なインクが無くなる。そして、隣り合う空気室25が+30kPaに加圧されるポンプ室24c,24eのダイヤフラム23は下死点に位置し、底面24sに接触する。
【0060】
循環動作において、循環路CP内にあるインクが循環している間に、ダイヤフラム23とベース部材22の底面24sとの接触が繰り返されると、インクに含まれる成分が凝集すること、あるいはダイヤフラム23およびベース部材22のいずれかに含まれる成分が析出すること、等によりインク中の異物が増加する虞がある。そして、循環動作において、フィルター103が捕捉した異物により目詰まると、正常な供給動作が行えない虞がある。
【0061】
このため、本実施形態において、制御部60は、循環路CPにおいて循環動作を行う前に、液体供給装置100を制御することで、循環前処理を行う。循環前処理を行うことにより、循環動作において、ダイヤフラム23とベース部材22の底面24sとの接触が繰り返されることを抑制する。
【0062】
次に、
図5に示すフローチャートを参照し、循環路CPにおいてインクの循環を行うときに、各ステップにおいて制御部60が実行する制御を順に説明する。本実施形態において、制御部60が、循環路CPにおいてインクの循環を行うときに実行する処理の流れは、液体吐出装置10の制御方法に該当する。
【0063】
ステップS101において、制御部60は、循環前処理を行う。循環前処理において、制御部60は、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtが、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なくかつ総和Ctの半分より多いか、否かを確認する。
【0064】
尚、循環路CPに設けられる6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、循環路CPに設けられる6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fは、Nを5以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fは、N個より2個少ないK個のポンプ室24の一例である。
【0065】
本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのうち、液体供給流路101に配置される4個のポンプ室24a,24b,24c,24dの容積Chを最大容積Cdにし、分岐流路107に配置される残りのポンプ室24e,24fの容積Chを最小容積Csにする。
【0066】
よって、本実施形態では、
図4、
図9に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分である。
【0067】
このため、循環前処理において、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのダイヤフラム23の位置を調整する。これにより、制御部60は、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtが、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くする。
【0068】
具体的には、制御部60は、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を制御することで、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態にする。そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fと隣り合う空気室25の圧力を0kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24aと隣り合う空気室25の圧力を-50kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24bと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。
【0069】
これにより、
図6、
図9に示すように、循環前処理後において、循環動作において駆動する4個のポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くなる。ステップS101を実行すると、制御部60は、ステップS102に移行する。
【0070】
ステップS102において、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環動作を行う。循環動作において、制御部60は、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fを駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環する。
【0071】
具体的には、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動するポンプ室24c,24d,24e,24fと隣り合う空気室25の圧力をゲージ圧で-30kPaから+30kPaの間で加減圧する。
【0072】
これにより、制御部60は、
図9に示すように、第1状態から第2状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、第2状態から第1状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、を繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。
【0073】
循環動作における第1状態では、
図7、
図9に示すように、隣り合う空気室25が-30kPaに減圧されるポンプ室24c,24eのダイヤフラム23は上死点に位置するが、ポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より多い。このため、隣り合う空気室25が+30kPaに加圧されるポンプ室24d,24fのダイヤフラム23は下死点まで変位せず、底面24sに接触しない。
【0074】
また、第2状態においても、
図8、
図9に示すように、隣り合う空気室25が-30kPaに減圧されるポンプ室24d,24fのダイヤフラム23は上死点に位置するが、ポンプ室24c,24d,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24c,24d,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より多い。このため、隣り合う空気室25が+30kPaに加圧されるポンプ室24c,24eのダイヤフラム23は下死点まで変位せず、底面24sに接触しない。
【0075】
よって、本実施形態の循環動作では、
図9に示すように、第1状態から第2状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、第2状態から第1状態への移行によるポンプ室24c,24d,24e,24fの駆動と、を繰り返す場合も、ポンプ室24c,24d,24e,24fのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。ステップS102を実行すると、制御部60は、ステップS103に移行する。
【0076】
ステップS103において、制御部60は、循環後処理を行う。循環後処理において、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのダイヤフラム23の位置を調整する。これにより、
図9に示すように、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fに収容されるインクの体積Vpと同じにする。制御部60は、ステップS103を実行すると、フローを終了する。
【0077】
以上述べたように、実施形態1に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0078】
液体吐出装置10は、インクを吐出可能な液体吐出ヘッド41と、液体収容体110に収容されるインクを液体吐出ヘッド41に供給可能な液体供給流路101と、液体供給流路101に設けられる第1接続部101aと、液体供給流路101のうち第1接続部101aと液体吐出ヘッド41との間となる位置に設けられる第2接続部101bと、に両端が接続されることで、液体供給流路101とともに循環路CPを形成する分岐流路107と、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPにN個設けられ、ベース部材22およびダイヤフラム23で構成されるポンプ室24であって、ダイヤフラム23を変位させてポンプ室24の容積Chを変化させることで循環路CPにおいてインクを循環可能なポンプ室24と、ポンプ室24を駆動可能なポンプ機構26と、液体供給流路101における液体収容体110と第1接続部101aとの間に設けられ、液体供給流路101を開閉可能な第1開閉弁106と、液体供給流路101における第2接続部101bと液体吐出ヘッド41との間に設けられ、液体供給流路101を開閉可能な第2開閉弁105と、ポンプ機構26を制御可能な制御部60と、を備える。そして、Kを2以上N以下の整数とするとき、制御部60は、ダイヤフラム23の位置を調整することで、K個のポンプ室24に収容されるインクの総体積Vtを、K個のポンプ室24における最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くし、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、K個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環する。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環するときに、ダイヤフラム23がベース部材22に接触することを抑制できる。
【0079】
Nは5以上であり、制御部60は、N個のポンプ室24のうち半数より多いポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにし、残りのポンプ室24の容積Chを最小容積Csにし、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、N個のポンプ室24のうち、1個のポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにし、かつ1個のポンプ室24の容積Chを最小容積Csにし、N個より2個少ないK個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環する。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環する前に行う循環路CP内における液体量の調整が容易に行える。
【0080】
液体供給流路101、および分岐流路107は、途中で分岐した後に合流する並列流路109を有し、ポンプ室24は、並列流路109のそれぞれに設けられる。これによれば、循環時の圧力損失を低減することができる。
【0081】
液体吐出装置10の制御方法は、インクを吐出可能な液体吐出ヘッド41と、液体収容体110に収容されるインクを液体吐出ヘッド41に供給可能な液体供給流路101と、液体供給流路101に設けられる第1接続部101aと、液体供給流路101のうち第1接続部101aと液体吐出ヘッド41との間となる位置に設けられる第2接続部101bと、に両端が接続されることで、液体供給流路101とともに循環路CPを形成する分岐流路107と、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPにN個設けられ、ベース部材22およびダイヤフラム23で構成されるポンプ室24であって、ダイヤフラム23を変位させてポンプ室24の容積Chを変化させることで循環路CPにおいてインクを循環可能なポンプ室24と、液体供給流路101における液体収容体110と第1接続部101aとの間に設けられ、液体供給流路101を開閉可能な第1開閉弁106と、液体供給流路101における第2接続部101bと液体吐出ヘッド41との間に設けられ、液体供給流路101を開閉可能な第2開閉弁105と、を備える液体吐出装置10の制御方法であって、Kを2以上N以下の整数とするとき、K個のポンプ室24に収容されるインクの総体積Vtを、K個のポンプ室24における最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くすることと、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、K個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環することと、を含む。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環するときに、ダイヤフラム23がベース部材22に接触することを抑制できる。
【0082】
液体吐出装置10の制御方法は、Nは5以上であり、N個のポンプ室24のうち半数より多いポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにすることと、残りのポンプ室24の容積Chを最小容積Csにすることと、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、N個のポンプ室24のうち、1個のポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにし、かつ1個のポンプ室24の容積Chを最小容積Csにし、N個より2個少ないK個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環することと、を含む。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環する前に行う循環路CP内における液体量の調整が容易に行える。
【0083】
2.実施形態2
実施形態2に係る液体吐出装置10の送液部20は、上記実施形態1の送液部20が有するポンプ室24c,24d,24fを備えない。すなわち、本実施形態の送液部20は、循環路CPに、3個のポンプ室24a,24b,24eを有する。実施形態2に係る液体吐出装置10におけるその他の構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10と同じである。また、
図11に示すように、循環前処理において、本実施形態の制御部60は、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24b,24eに収容されるインクの総体積Vtを循環前状態から変更しない。
【0084】
本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される3個のポンプ室24a,24b,24eのうち、液体供給流路101に配置される2個のポンプ室24a,24bの容積Chを最大容積Cdにし、分岐流路107に配置される残りのポンプ室24eの容積Chを最小容積Csにする。この供給動作の後に行われる処理は循環動作の前に行われる処理とも言える。
【0085】
尚、循環路CPに設けられる3個のポンプ室24a,24b,24eは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24a,24b,24eは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24a,24b,24eは、Nを3以上の整数とするときのN個のポンプ室24の一例であり、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、2個のポンプ室24a,24bは、LをNの半分より大きい整数とするときのL個のポンプ室24の一例である。また、ポンプ室24eは、残りのポンプ室24の一例である。
【0086】
本実施形態では、
図11に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24b,24eに収容されるインクの総体積Vtは、供給動作の後に行われる処理によって、3個のポンプ室24a,24b,24eにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より多くなっている。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、3個のポンプ室24a,24b,24eに収容されるインクの総体積Vtを変更しない。
【0087】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、3個のポンプ室24a,24b,24eを駆動する。これにより、制御部60は、
図11に示す第1状態、第2状態、第1状態、および第3状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。本実施形態においても、循環動作において、3個のポンプ室24a,24b,24eのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0088】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24eに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24eに収容されるインクの体積Vpと同じにする。
【0089】
以上述べたように、実施形態2に係る液体吐出装置10の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0090】
液体吐出装置10の制御方法は、Nは3以上であり、LをNの半分より大きい整数とするとき、L個のポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにすることと、残りのポンプ室24の容積Chを最小容積Csにすることと、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、N個と同じK個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環することと、を含む。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環する前に行う循環路CP内における液体量の調整が容易に行える。
【0091】
3.実施形態3
実施形態3に係る液体吐出装置10の送液部20は、上記実施形態1の送液部20が有するポンプ室24c,24dを備えない。すなわち、本実施形態の送液部20は、循環路CPに、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fを有する。実施形態3に係る液体吐出装置10におけるその他の構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10と同じである。また、
図12に示すように、循環前処理において、本実施形態の制御部60は、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtを循環前状態から変更しない。
【0092】
本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される4個のポンプ室24a,24b,24e,24fのうち、3個のポンプ室24a,24b,24eの容積Chを最大容積Cdにし、残りのポンプ室24fの容積Chを最小容積Csにする。この供給動作の後に行われる処理は循環動作の前に行われる処理とも言える。
【0093】
尚、循環路CPに設けられる4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Nを3以上の整数とするときのN個のポンプ室24の一例であり、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24a,24b,24eは、LをNの半分より大きい整数とするときのL個のポンプ室24の一例である。また、ポンプ室24fは、残りのポンプ室24の一例である。
【0094】
本実施形態では、
図12に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、供給動作の後に行われる処理によって、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より多くなっている。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtを変更しない。
【0095】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fを駆動する。これにより、制御部60は、
図12に示す第1状態、および第2状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。本実施形態においても、循環動作において、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0096】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの体積Vpと同じにする。以上述べたように、実施形態3に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0097】
4.実施形態4
実施形態4に係る液体吐出装置10の送液部20は、上記実施形態1の送液部20が有するポンプ室24c,24dを備えない。すなわち、本実施形態の送液部20は、循環路CPに、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fを有する。実施形態4に係る液体吐出装置10におけるその他の構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10と同じである。また、
図13に示すように、循環動作において、本実施形態の制御部60は、3個のポンプ室24a,24e,24fを駆動する。
【0098】
本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される4個のポンプ室24a,24b,24e,24fのうち、液体供給流路101に配置される2個のポンプ室24a,24bの容積Chを最大容積Cdにし、分岐流路107に配置される残りの2個のポンプ室24e,24fの容積Chを最小容積Csにする。
【0099】
尚、循環路CPに設けられる4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24a,24e,24fは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Nを4以上の整数とするときのN個のポンプ室24の一例である。また、2個のポンプ室24a,24bは、N個のポンプ室24のうち半数のポンプ室24の一例であり、2個のポンプ室24e,24fは、残りの半数のポンプ室24の一例である。また、ポンプ室24bは、循環動作において駆動しないポンプ室24の一例である。また、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24e,24fは、N個の半数より多くN個より小さいK個のポンプ室24の一例である。
【0100】
本実施形態では、
図13に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、3個のポンプ室24a,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より少ない。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を制御することで、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態にする。そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24e,24fと隣り合う空気室25の圧力を0kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24bと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。
【0101】
これにより、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24bの容積Chを最小容積Csにする。また、これにより、制御部60は、循環動作において駆動する3個のポンプ室24a,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtを、3個のポンプ室24a,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くする。
【0102】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、3個のポンプ室24a,24e,24fを駆動する。これにより、制御部60は、
図13に示す第1状態、第2状態、第1状態、および第3状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。本実施形態においても、循環動作において、3個のポンプ室24a,24e,24fのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0103】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの体積Vpと同じにする。
【0104】
以上述べたように、実施形態4に係る液体吐出装置10の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0105】
液体吐出装置10の制御方法は、Nは4以上であり、N個のポンプ室24のうち半数のポンプ室24の容積Chを最大容積Cdにすることと、残りの半数のポンプ室24の容積Chを最小容積Csにすることと、第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、循環路CPにおいてインクを循環するときに駆動しないポンプ室24の容積Chを最小容積Csにし、N個の半数より多くN個より少ないK個のポンプ室24を駆動することで、循環路CPにおいてインクを循環することと、を含む。これによれば、循環路CPにおいてインクを循環する前に行う循環路CP内における液体量の調整が容易に行える。
【0106】
5.実施形態5
実施形態5に係る液体吐出装置10の送液部20は、上記実施形態1の送液部20が有するポンプ室24fを備えない。すなわち、本実施形態の送液部20は、循環路CPに、5個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24eを有する。実施形態5に係る液体吐出装置10におけるその他の構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10と同じである。また、
図14に示すように、循環動作において、本実施形態の制御部60は、3個のポンプ室24c,24d,24eを駆動する。
【0107】
本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される5個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24eのうち、3個のポンプ室24a,24b,24cの容積Chを最大容積Cdにし、残りの2個のポンプ室24d,24eの容積Chを最小容積Csにする。
【0108】
尚、循環路CPに設けられる5個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24eは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24c,24d,24eは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。また、循環路CPに設けられる5個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24eは、Nを5以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、3個のポンプ室24c,24d,24eは、N個より2個少ないK個のポンプ室24の一例である。
【0109】
本実施形態では、
図14に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する3個のポンプ室24c,24d,24eに収容されるインクの総体積Vtは、3個のポンプ室24c,24d,24eにおける最大容積Cdの総和Ctの半分より少ない。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を制御することで、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態にする。
【0110】
そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動する3個のポンプ室24c,24d,24eと隣り合う空気室25の圧力を0kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24bと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24aと隣り合う空気室25の圧力を-50kPaに調整する。
【0111】
これにより、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24bの容積Chを最小容積Csにする。また、これにより、制御部60は、循環動作において駆動する3個のポンプ室24c,24d,24eに収容されるインクの総体積Vtを、3個のポンプ室24c,24d,24eにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くする。
【0112】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、3個のポンプ室24c,24d,24eを駆動する。これにより、制御部60は、
図14に示す第1状態、第2状態、第1状態、および第3状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。本実施形態においても、循環動作において、3個のポンプ室24c,24d,24eのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0113】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24eに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24eに収容されるインクの体積Vpと同じにする。以上述べたように、実施形態5に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0114】
6.実施形態6
図15から
図17に示すように、実施形態6に係る液体吐出装置10の送液部20は、上記実施形態1の送液部20が有するポンプ室24c,24d,24e,24fを備えない。すなわち、本実施形態の送液部20は、循環路CPに、2個のポンプ室24a,24bを有する。また、上記実施形態1の液体供給装置100が備える構成に加え、本実施形態の液体供給装置100は、液体供給流路101において、第2接続部101bと第2開閉弁105との間となる位置に、液体貯留部130をさらに備える。実施形態6に係る液体吐出装置10におけるその他の構成は、実施形態1に係る液体吐出装置10と同じである。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0115】
液体貯留部130は、ベース部材132、可撓性を有するダイヤフラム133、およびスプリング135を有する。液体貯留部130は、ベース部材132とダイヤフラム133とにより形成される容積可変の貯留室134を有する。スプリング135は、貯留室134の容積が小さくなる方向にダイヤフラム133を押す。このため、貯留室134に貯留されるインクは加圧されている。
【0116】
例えば、液体収容体110内のインクが無くなり、送液部20から液体吐出ヘッド41に向けてインクが供給されない場合、貯留室134が貯留するインクが液体吐出ヘッド41に向けて供給される。尚、本実施形態の第2開閉弁105は、第1開閉弁106と同様の電磁弁である。このため、例えば、不図示の圧力センサーに検出される共通液室415の圧力に基づいて、制御部60が第2開閉弁105の開閉を制御することで、液体吐出ヘッド41に供給されるインクの圧力を調整する。
【0117】
また、
図15、
図16に示すように、本実施形態の送液部20は、ポンプ室24a,24bのダイヤフラム23の位置を検出可能なセンサー141を有する。センサー141は、例えば、ダイヤフラム23に向けて光を出射する発光部142と、ダイヤフラム23に反射された光を受光する受光部143と、を備える反射型のフォトセンサーである。センサー141は、受光部143が受光した光の受光部143上における位置に基づいて、ダイヤフラム23の位置を検出する。このため、本実施形態のベース部材22は透明の部材で形成される。また、本実施形態のダイヤフラム23は光を反射する部材で形成される。制御部60は、センサー141が検出するダイヤフラム23の位置から各ポンプ室24a,24bの容積Chを求める。
【0118】
図17に示すように、循環動作において、本実施形態の制御部60は、2個のポンプ室24a,24bを駆動する。本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される2個のポンプ室24a,24bのうち、ポンプ室24aの容積Chを最大容積Cdにし、ポンプ室24bの容積Chを最小容積Csにする。尚、循環路CPに設けられる2個のポンプ室24a,24bは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、2個のポンプ室24a,24bは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。
【0119】
本実施形態では、循環前状態において、循環動作において駆動する2個のポンプ室24a,24bに収容されるインクの総体積Vtは、2個のポンプ室24a,24bにおける最大容積Cdの総和Ctの半分である。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、第1開閉弁106、第2開閉弁105、および第3開閉弁108を制御することで、第1開閉弁106が開き、かつ第3開閉弁108および第2開閉弁105が閉じた状態にする。そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、2個のポンプ室24a,24bと隣り合う空気室25の圧力を-30kPaに調整する。これにより、
図16に流動方向FDで示すように、液体収容体110のインクが、液体供給流路101および並列流路109bを介して、ポンプ室24bに流入する。
【0120】
制御部60は、センサー141が検出するポンプ室24bのダイヤフラム23の位置から、ポンプ室24bの容積Chが0.1になると、第1開閉弁106を閉じる。これにより、制御部60は、循環動作において駆動する2個のポンプ室24a,24bに収容されるインクの総体積Vtを、2個のポンプ室24a,24bにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くする。尚、ポンプ室24a,24bを除く循環路CPを構成する構成要素に、インクの圧力変動によって伸縮するような構成要素を含む場合、ポンプ室24bの容積Chは、0.1より大きい値、例えば0.6にしてもよい。
【0121】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108を制御して、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態にする。そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、2個のポンプ室24a,24bを駆動する。これにより、制御部60は、
図17に示す第1状態、第2状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。
【0122】
尚、循環動作において第1状態、第2状態を繰り返すときに、制御部60は、センサー141が検出するポンプ室24a,24bのダイヤフラム23の位置に基づいてポンプ機構26を制御しなくてもよい。この場合も、循環前処理を行うことにより、循環動作において、2個のポンプ室24a,24bのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0123】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24bに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24bに収容されるインクの体積Vpと同じにする。尚、本実施形態のように、各ポンプ室24a,24bに収容されるインクの体積Vpが循環動作後と循環前状態とで実質同じ場合は、制御部60は、循環後処理を行わなくてもよい。以上述べたように、実施形態6に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0124】
7.実施形態7
図18に示すように、実施形態7に係る液体吐出装置10は、上記実施形態1と同じ構成であるが、
図19に示すように、循環動作において、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fを駆動する。
図18、
図19に示すように、本実施形態では、供給動作を行った後、制御部60は、液体供給装置100を制御することで、循環路CPに配置される6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fのうち、3個のポンプ室24b,24d,24fの容積Chを最大容積Cdにし、3個のポンプ室24a,24c,24eの容積Chを最小容積Csにする。
【0125】
尚、循環路CPに設けられる6個のポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fは、Nを2以上の整数とするとき、循環路CPに設けられるN個のポンプ室24の一例である。また、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fは、Kを2以上N以下の整数とするとき、循環動作において駆動するK個のポンプ室24の一例である。
【0126】
本実施形態では、
図19に示すように、循環前状態において、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctの半分である。このため、
図5のステップS101において実行される循環前処理において、制御部60は、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を制御することで、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態にする。
【0127】
そして、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24e,24fと隣り合う空気室25の圧力を0kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24cと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。また、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24dと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。
【0128】
これにより、制御部60は、循環動作において駆動しないポンプ室24c,24dの容積Chを最小容積Csにする。また、これにより、制御部60は、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24e,24fに収容されるインクの総体積Vtを、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くする。
【0129】
そして、ステップS102において実行される循環動作において、制御部60は、第3開閉弁108が開き、かつ第1開閉弁106、および第2開閉弁105が閉じた状態で、ポンプ機構26を制御することで、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fを駆動する。これにより、制御部60は、
図19に示す第1状態、第2状態を順次繰り返すことで、循環路CPにおいて、インクが流動方向FDに流動する循環動作を行う。本実施形態においても、循環動作において、4個のポンプ室24a,24b,24e,24fのダイヤフラム23は、底面24sに接触しない。
【0130】
循環動作を行った後、ステップS103において実行される循環後処理において、制御部60は、各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fに収容されるインクの体積Vpを、循環前状態において各ポンプ室24a,24b,24c,24d,24e,24fに収容されるインクの体積Vpと同じにする。以上述べたように、実施形態7に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0131】
本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置10、および液体吐出装置10の制御方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0132】
上記実施形態における循環前処理において、制御部60は、ポンプ機構26を制御することで、循環動作において駆動するポンプ室24と隣り合う空気室25の圧力を0kPaに調整しなくてもよい。
【0133】
上記実施形態において、制御部60は、循環前状態において、ポンプ室24に収容されるインクの総体積Vtが、ポンプ室24における最大容積Cdの総和Ctと同じになる複数のポンプ室24を駆動することで、循環動作を行ってもよい。例えば、上記実施形態1であれば、制御部60は、4個のポンプ室24a,24b,24c,24dを駆動することで、循環動作を行ってもよい。この場合、制御部60は、循環前処理において、ポンプ室24a,24b,24c,24dのうちいずれか1個のポンプ室24の容積Chを最小容積Csにする。
【0134】
具体的には、制御部60は、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を制御することで、第1開閉弁106、および第3開閉弁108を閉じた状態にする。そして、制御部60は、開弁機構151、およびポンプ機構26を制御することで、第3開閉弁108が閉じ、かつ第2開閉弁105が開いた状態で、例えばポンプ室24dと隣り合う空気室25の圧力を+50kPaに調整する。これにより、ポンプ室24dに収容されるインクは、液体吐出ヘッド41のノズル44から排出され、ポンプ室24dの容積Chは最小容積Csになる。その結果、循環動作において駆動する4個のポンプ室24a,24b,24c,24dに収容されるインクの総体積Vtは、4個のポンプ室24a,24b,24c,24dにおける最大容積Cdの総和Ctよりも少なく、かつ総和Ctの半分より多くなる。
【0135】
上記実施形態1において、制御部60は、循環動作において、ポンプ室24c,24dのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24において排出動作が行われるように、ポンプ機構26を制御しなくてもよい。また、制御部60は、循環動作において、ポンプ室24e,24fのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24において排出動作が行われるように、ポンプ機構26を制御しなくてもよい。例えば、
図10に示すように、制御部60は、循環動作において、ポンプ室24c,24dのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24においても吸引動作が行われるように、ポンプ機構26を制御してもよい。また、制御部60は、循環動作において、ポンプ室24e,24fのうち、一方のポンプ室24において吸引動作が行われるとき、もう一方のポンプ室24においても吸引動作が行われるように、ポンプ機構26を制御してもよい。
【0136】
上記実施形態6において、液体貯留部130は、スプリング135を備えなくてもよい。例えば、ダイヤフラム133を介して貯留室134と隣り合う空間にポンプを接続する。そして、ポンプにより貯留室134と隣り合う空間を加圧することで、貯留室134の容積が小さくなる方向にダイヤフラム133を変形させる。これにより、貯留室134に貯留されるインクを加圧してもよい。また、液体供給装置100は、液体供給流路101において、並列流路109a,109bが合流する位置と第2接続部101bとの間となる位置に、液体貯留部130を備えてもよい。また、上記実施形態6を除く他の上記実施形態の液体供給装置100に、液体貯留部130を設けてもよい。
【符号の説明】
【0137】
10…液体吐出装置、11…脚部、12…筐体、13…繰出部、14…案内部、15…巻取部、16…テンション付与機構、17…操作パネル、18…支持台、20…送液部、22…ベース部材、23…ダイヤフラム、23p…円板部、24,24a,24b,24c,24d,24e,24f…ポンプ室、24s…底面、25…空気室、25t…上面、26…ポンプ機構、27,27a,27b,27c,27d,27e,27f…空気流路、28,29…一方向弁、30…搬送部、31,32…搬送ローラー対、40…印刷部、41…液体吐出ヘッド、42…ガイド軸、43…キャリッジ、44…ノズル、50…メンテナンス部、51…払拭部材、52…払拭機構、53…液体受け部、54…フラッシング機構、55…キャップ、56…キャップ機構、60…制御部、100…液体供給装置、101…液体供給流路、101a…第1接続部、101b…第2接続部、103…フィルター、105…第2開閉弁、106…第1開閉弁、107…分岐流路、108…第3開閉弁、109,109a,109b,109c,109d,109e,109f…並列流路、110…液体収容体、113…装着部、130…液体貯留部、132…ベース部材、133…ダイヤフラム、134…貯留室、135…スプリング、141…センサー、142…発光部、143…受光部、151…開弁機構、201,202,203…ポンプユニット、411…個別液室、412…振動板、413…収容部、414…アクチュエーター、415…共通液室、416…フィルター、FD…流動方向、M…媒体、CP…循環路、Ch…容積、Cd…最大容積、Cs…最小容積、Ct…総和、Va…総体積、Vt…総体積、S101,S102,S103…ステップ。