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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048630
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】振動素子、及び水晶ウエハ
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H03H9/19 F
H03H9/19 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154649
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 敦司
(72)【発明者】
【氏名】牧 克彦
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108FF07
5J108KK02
(57)【要約】
【課題】良好な振動特性を維持することが可能な振動素子、及び水晶ウエハを提供する。
【解決手段】水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面11と第2面12、及び、第1面11と第2面12とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、第1面11に配置された第1励振電極21と、第1面11に配置され、第1励振電極21に接続された第1引出電極23と、第2面12に配置された第2励振電極と、第2面12に配置され、第2励振電極に接続された第2引出電極24と、を備え、側面は、X軸の方向における一方側に位置する第1側面13と、第1側面13に対して交差する第2側面14及び第3側面15と、を含み、第1引出電極23及び第2引出電極24の少なくとも一方は、第1側面13に延在して配置されており、第2側面14及び第3側面15の少なくとも一方が、破断面を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面と第2面、及び、前記第1面と前記第2面とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、
前記第1面に配置された第1励振電極と、
前記第1面に配置され、前記第1励振電極に接続された第1引出電極と、
前記第2面に配置された第2励振電極と、
前記第2面に配置され、前記第2励振電極に接続された第2引出電極と、
を備え、
前記側面は、前記X軸の方向における一方側に位置する第1側面と、前記第1側面に対して交差する第2側面及び第3側面と、を含み、
前記第1引出電極及び前記第2引出電極の少なくとも一方は、前記第1側面に延在して配置されており、
前記第2側面及び前記第3側面の少なくとも一方が、破断面を有する、振動素子。
【請求項2】
請求項1に記載の振動素子であって、
前記第2側面及び前記第3側面が、前記破断面を有する、振動素子。
【請求項3】
請求項1に記載の振動素子であって、
前記第1引出電極及び前記第2引出電極は、前記第1側面に延在しており、
前記第2側面及び前記第3側面は、前記破断面を有する、振動素子。
【請求項4】
水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面と第2面、及び、前記第1面と前記第2面とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、前記第1面に配置された第1励振電極と、前記第1面に配置され、前記第1励振電極に接続された第1引出電極と、前記第2面に配置された第2励振電極と、前記第2面に配置され、前記第2励振電極に接続された第2引出電極と、を備えた、複数の振動素子と、
支持フレームと、
前記振動素子と前記支持フレームとを接続する複数の保持部と、
を備え、
前記振動素子の前記側面は、前記X軸の方向における一方側に位置する第1側面と、前記第1側面に対して交差する第2側面及び第3側面と、を含み、
前記第1引出電極及び前記第2引出電極の少なくとも一方は、前記第1側面に延在して配置されており、
前記保持部は、前記第2側面及び前記第3側面の少なくとも一方の側に配置されている水晶ウエハ。
【請求項5】
請求項4に記載の水晶ウエハであって、
前記保持部は、前記振動素子における、前記第2側面側及び前記第3側面側に配置されている、水晶ウエハ。
【請求項6】
請求項4に記載の水晶ウエハであって、
前記第1引出電極及び前記第2引出電極は、前記第1側面に延在しており、
前記保持部は、前記第2側面側及び前記第3側面側に配置されている、水晶ウエハ。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の水晶ウエハであって、
前記保持部の前記第1側面に対して交差する方向に沿った幅は、前記振動素子と接続した部分が最も細い、水晶ウエハ。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の水晶ウエハであって、
前記保持部の前記第1面及び前記第2面に対して交差する部分の厚みは、前記振動素子と接続された部分が最も薄い、水晶ウエハ。
【請求項9】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の水晶ウエハであって、
前記保持部の前記振動素子と接続された部分は、凹溝又は貫通孔を有する、水晶ウエハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子、及び水晶ウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、折り取り部を介して複数の振動片が支持フレームに接続されたウエハにおいて、折り取り部を切断することによって、複数の振動片を個片化することが開示されている。ウエハは、励振電極と、励振電極と接続された引出電極と、を備える。引出電極は、折り取り部が形成された側面を介して、引き回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-152476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、引出電極と折り取り部とが同じ側面にあるため、振動片を個片化した際、引出電極の引き回された部分が剥離する恐れがある。更に、振動片の滑り振動する方向に折り取り部がある場合、切断によってバリなどが形成されると、振動特性に影響を及ぼすという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動素子は、水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面と第2面、及び、前記第1面と前記第2面とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、前記第1面に配置された第1励振電極と、前記第1面に配置され、前記第1励振電極に接続された第1引出電極と、前記第2面に配置された第2励振電極と、前記第2面に配置され、前記第2励振電極に接続された第2引出電極と、を備え、前記側面は、前記X軸の方向における一方側に位置する第1側面と、前記第1側面に対して交差する第2側面及び第3側面と、を含み、前記第1引出電極及び前記第2引出電極の少なくとも一方は、前記第1側面に延在して配置されており、前記第2側面及び前記第3側面の少なくとも一方が、破断面を有する。
【0006】
水晶ウエハは、水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面と第2面、及び、前記第1面と前記第2面とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、前記第1面に配置された第1励振電極と、前記第1面に配置され、前記第1励振電極に接続された第1引出電極と、前記第2面に配置された第2励振電極と、前記第2面に配置され、前記第2励振電極に接続された第2引出電極と、を備えた、複数の振動素子と、支持フレームと、前記振動素子と前記支持フレームとを接続する複数の保持部と、を備え、前記振動素子の前記側面は、前記X軸の方向における一方側に位置する第1側面と、前記第1側面に対して交差する第2側面及び第3側面と、を含み、前記第1引出電極及び前記第2引出電極の少なくとも一方は、前記第1側面に延在して配置されており、前記保持部は、前記第2側面及び前記第3側面の少なくとも一方の側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】振動素子を有する水晶ウエハの構成を示す平面図。
図2図1に示す水晶ウエハのA部を拡大して示す平面図。
図3】振動素子の構成を示す平面図。
図4】振動素子の構成を示す斜視図。
図5】振動素子の製造方法の一部を示す平面図。
図6】振動素子の製造方法の一部を示す斜視図。
図7】振動素子の製造方法の一部を示す斜視図。
図8】変形例の水晶ウエハの構成を示す平面図。
図9図8に示す変形例の水晶ウエハのB部を拡大して示す平面図。
図10】変形例の振動素子の構成を示す斜視図。
図11】変形例の振動素子の構成を示す斜視図。
図12】変形例の振動素子の構成を示す斜視図。
図13】変形例の振動素子の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、及びZ軸として説明する。X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Y方向を「上」又は「上方」、-Y方向を「下」又は「下方」ということもあり、+Y方向及び-Y方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Y方向+側の面を上面、これと反対側となるY方向-側の面を下面として説明する。
【0009】
まず、図1及び図2を参照しながら、複数の振動素子100を有する水晶ウエハ1000の構成を説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、水晶ウエハ1000は、複数の振動素子100が水晶基板に接続された状態、言い換えれば、振動素子100が個片化される前の状態を示している。図2に示すように、水晶ウエハ1000は、X方向に沿って並んだ支持部40及び振動部50を有する振動素子100と、支持部40におけるZ方向の端部14a,15aと接続された保持部60と、を備えている。
【0011】
水晶ウエハ1000は、X方向に沿って並んだ複数の振動素子100と、Z方向に沿って並んだ複数の振動素子100と、を有する。振動素子100のそれぞれには、端部14a,15aに保持部60が接続されている。Z方向において隣り合う保持部60と保持部60とは、連結部61によって接続されている。X方向において隣り合う保持部60と保持部60とは、支持フレーム62に接続されている。
【0012】
連結部61の上面には、第1引出電極23の一部、及び第2引出電極24の一部、が配置されている。これにより、例えば、電気的な検査を行う際、直接、引出電極23,24に端子を当てることなく、検査を行うことができ、引出電極23,24に損傷を与えることを抑えることができる。また、保持部60の強度を向上させることが可能となり、安定して水晶ウエハ1000を取り扱うことができる。また、個片化工程に進むまで安定して水晶ウエハ1000を製造することができる。
【0013】
次に、図3及び図4を参照しながら、振動素子100の構成を説明する。
【0014】
図3及び図4に示すように、振動素子100は、振動片10を備えている。振動片10は、例えば、ATカット水晶基板である。振動片10は、表裏関係にある第1面11と第2面12、及び、第1面11と第2面12とを繋いでいる側面13,14,15を有する。第1面11には、第1励振電極21が配置されている。第2面12には、第1励振電極21と平面視で重なるように、第2励振電極22が配置されている。
【0015】
また、第1面11には、第1励振電極21と電気的に接続された第1引出電極23が配置されている。第2面12には、第2励振電極22と電気的に接続された第2引出電極24が配置されている。振動素子100と支持フレーム62とは、上記したように、複数の保持部60を介して接続されている。
【0016】
振動素子100の側面13,14,15は、X軸の方向における一方側に位置する第1側面13、言い換えれば、Z軸方向に沿う側面のうち一方の第1側面13と、第1側面13に対して交差する第2側面14及び第3側面15と、を含む。本実施形態は、第1引出電極23及び第2引出電極24の両方が、第1側面13に延在して配置されている。また、保持部60は、第2側面14及び第3側面15の両方に配置されている(図1図2参照)。
【0017】
振動片10は、水晶片をはじめとする種々の圧電材料からなる。振動片10は、ATカット水晶片である。本実施形態では、振動片10は、平面形状が四角形状、具体的には長方形状のATカット水晶片としてある。そのため、図中のX軸、Y軸、及びZ軸の+方向は、それぞれ水晶の結晶軸のX軸、Y’軸、及びZ’軸の+方向に一致する。つまり、振動片10の第1面11及び第2面12は、水晶結晶のX軸及びZ’軸沿って形成されている。なお、必ずしもこれに限られず、少なくともいずれかの軸が-方向と一致していても良い。
【0018】
振動片10は、振動部50と、振動部50から離間して配置された支持部40と、振動部50と支持部40とを接続する接続配線21a,22aと、を有する。
【0019】
第1励振電極21は、接続配線21aを介して、第1引出電極23と電気的に接続されている。第2励振電極22は、接続配線22aを介して、第2引出電極24と電気的に接続されている。具体的には、第1引出電極23は、支持部40に設けられており、第1励振電極21と電気的に接続されている。第2引出電極24は、支持部40に設けられており、第2励振電極22と電気的に接続されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、振動素子100の第2側面14の端部14aには、例えば、水晶ウエハ1000から振動素子100を個片化した際に形成された、破断部60aが設けられている。つまり、端部14aが、個片化した際の破断面となる。また、振動素子100の第3側面15の端部15aには、例えば、水晶ウエハ1000から振動素子100を個片化した際に形成された、破断部60bが設けられている。つまり、端部15aが、個片化した際の破断面となる。
【0021】
このように、第1引出電極23や第2引出電極24が第1側面13に延在し、第1側面13と交差する第2側面14や第3側面15に破断面があることにより、引出電極23,24の延在した部分と破断面とが異なる面にあるため、例えば、水晶ウエハ1000から振動素子100を破断した際に、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響(バリ、剥がれなど)を受けることを抑えることができる。よって、良好な振動特性を維持することができる。
【0022】
次に、図5図7を参照しながら、振動素子100の製造方法を説明する。
【0023】
まず、図5及び図6に示す工程では、複数の振動素子100を有する水晶ウエハ1000を準備する。水晶ウエハ1000は、上記したように、X方向に沿って並んだ支持部40及び振動部50を有する振動素子100と、支持部40におけるZ方向の端部14a,15aとに接続された保持部60と、を備える。水晶ウエハ1000は、X方向及びZ方向に、複数の振動素子100が並べられて配置されている。
【0024】
水晶ウエハ1000は、図5に示すように、例えば、フォトリソグラフィ技術、及び、エッチング技術によって、振動素子100の形状に外形がくり抜かれた状態になっている。また、水晶ウエハ1000には、Z方向において、複数の保持部60を繋ぐ連結部61が設けられている。
【0025】
次に、図5に示すように、水晶ウエハ1000のうち、少なくとも支持部40及び保持部60を、接着剤201を介してフィルム202に固定する。具体的には、第2面12における、支持部40と重なる領域には、接着剤201を介してフィルム202が固定されている。接着剤201としては、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系などが挙げられる。フィルム202としては、例えば、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0026】
次に、図5及び図7に示す工程では、水晶ウエハ1000から複数の振動素子100を同時に個片化する。具体的には、水晶ウエハ1000、具体的には、フィルム202を、Z方向に沿って伸張させる。これにより、図7に示すように、接続されていた振動素子100と保持部60との接続部分が引っ張られて破断する。よって、接続部分が分離し、複数の振動素子100が同時に個片化される(これを、エキスパンド法と称する)。また、図5に示すように、支持フレーム62をX方向に沿った部分のみで構成することにより、フィルム202の伸張が容易となり効率的に個片化できる。
【0027】
なお、図2に示すように、保持部60の第1側面13に対して交差する方向に沿った幅は、振動素子100と接続した部分の幅W1が最も細いことが好ましい。具体的には、保持部60は、フィルム202をZ方向に引っ張った際に、端部14a,15aと保持部60との接続部分に亀裂が生じやすいように、保持部60における接続部分の幅W1が、その他の幅W2と比較して細い。よって、接続部分が破断しやすくなり、振動素子100の個片化を容易にすることができる。
【0028】
また、支持部40及び保持部60と接着されている接着剤201は、支持部40及び保持部60と接触する部分のみに付着されていてもよいし、フィルム202の全面に付着されていてもよい。
【0029】
以上述べたように、本実施形態の振動素子100は、水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面11と第2面12、及び、第1面11と第2面12とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、第1面11に配置された第1励振電極21と、第1面11に配置され、第1励振電極21に接続された第1引出電極23と、第2面12に配置された第2励振電極22と、第2面12に配置され、第2励振電極22に接続された第2引出電極24と、を備え、側面は、水晶結晶のX軸の方向における一方側に位置する第1側面13と、第1側面13に対して交差する第2側面14及び第3側面15と、を含み、第1引出電極23及び第2引出電極24の少なくとも一方は、第1側面13に延在して配置されており、第2側面14及び第3側面15の少なくとも一方が、破断面を有する。
【0030】
この構成によれば、第1引出電極23や第2引出電極24が第1側面13に延在し、第1側面13と交差する第2側面14や第3側面15に破断面があることにより、引出電極23,24の延在した部分と破断面とが異なる面にあるため、例えば、振動素子100を破断した際に、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響(バリ、剥がれなど)を受けることを抑えることができる。よって、良好な振動特性を維持することができる。
【0031】
また、本実施形態の振動素子100において、第2側面14及び第3側面15が、破断面を有することが好ましい。この構成によれば、第2側面14と第3側面15との両方に破断面があり、第1側面13とは異なる面に破断面があるので、例えば、振動素子100を破断した際に、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響を受けることを抑えることができる。
【0032】
また、本実施形態の振動素子100において、第1引出電極23及び第2引出電極24は、第1側面13に延在しており、第2側面14及び第3側面15は、破断面を有することが好ましい。この構成によれば、第1引出電極23や第2引出電極24の両方が第1側面13に延在し、第2側面14と第3側面15との両方に破断面がある場合でも、引出電極23,24の延在した部分と破断面とは異なる側面にあるため、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響を受けることを抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態の水晶ウエハ1000は、水晶結晶のX軸及びZ’軸に沿っており、表裏関係にある第1面11と第2面12、及び、第1面11と第2面12とを繋いでいる側面を備えたATカット水晶基板と、第1面11に配置された第1励振電極21と、第1面11に配置され、第1励振電極21に接続された第1引出電極23と、第2面12に配置された第2励振電極22と、第2面12に配置され、第2励振電極22に接続された第2引出電極24と、を備えた、複数の振動素子100と、支持フレーム62と、振動素子100と支持フレーム62とを接続する複数の保持部60と、を備え、振動素子100の側面は、水晶結晶のX軸の方向における一方側に位置する第1側面13と、第1側面13に対して交差する第2側面14及び第3側面15と、を含み、第1引出電極23及び第2引出電極24の少なくとも一方は、第1側面13に延在して配置されており、保持部60は、第2側面14及び第3側面15の少なくとも一方の側に配置されている。
【0034】
この構成によれば、第1引出電極23や第2引出電極24が第1側面13に延在し、第1側面13と交差する第2側面14や第3側面15に保持部60が配置された場合でも、引出電極23,24の延在した部分と保持部60とは異なる側面にあるため、例えば、水晶ウエハ1000から振動素子100を切断して個片化するべく、保持部60を破断したときに、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響(バリ、剥がれなど)を受けることを抑えることができる。よって、良好な振動特性を維持することができる。
【0035】
また、本実施形態の水晶ウエハ1000において、保持部60は、振動素子100における、第2側面14側及び第3側面15側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、第2側面14及び第3側面15の両方に保持部60が配置されている、言い換えれば、一つの保持部60の両側に振動素子100が配置することにより、水晶結晶のX軸方向に対して交差する方向に沿って振動素子100を複数配置することが可能となる。その結果、X軸方向に対して交差する方向に水晶ウエハ1000を延伸させることにより、複数の振動素子100を容易に個片化できるため、エキスパンド法による個片化が可能となる。
【0036】
また、本実施形態の水晶ウエハ1000において、第1引出電極23及び第2引出電極24は、第1側面13に延在しており、保持部60は、第2側面14側及び第3側面15側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、第2側面14及び第3側面15の両方に保持部60が配置されている、言い換えれば、一つの保持部60の両側に振動素子100が配置することにより、水晶結晶のX軸方向に対して交差する方向に沿って振動素子100を複数配置することが可能となる。その結果、X軸方向に対して交差する方向に水晶ウエハ1000を延伸させることにより、複数の振動素子100を容易に個片化できるため、エキスパンド法による個片化が可能となる。
【0037】
また、本実施形態の水晶ウエハ1000において、保持部60の第1側面13に対して交差する方向に沿った幅は、振動素子100と接続した部分(図2では、幅W1)が最も細いことが好ましい。この構成によれば、振動素子100と接続された保持部60の部分が最も細くなっているので、接続した部分が破断しやすくなり、振動素子100の個片化を容易にすることができる。
【0038】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0039】
上記したように、破断面が、第2側面14及び第3側面15の両方に有することに限定されず、図8図10に示すように、どちらか一方に有するようにしてもよい。
【0040】
具体的には、図8及び図9に示すように、変形例の水晶ウエハ1000Aは、振動素子100Aの第2側面14に、2つの保持部60が接続されている。所謂、片持ちの状態で、振動素子100Aが支持フレーム62に接続されている。第2側面14側の支持フレーム62には、第1引出電極23と第2引出電極24とが延在して配置されている。
【0041】
このような水晶ウエハ1000Aから振動素子100Aを個片化すると、第2側面14の端部14aに、破断面を有する。なお、図9及び図10に示すように、振動素子100Aの端部14aに破断部60c,60dが発生することもある。また、第2側面14のみに破断面を有することに限定されず、第3側面15のみに破断面を有するようにしてもよい。
【0042】
また、上記したように、振動素子100Aの第1側面13が、Y軸と平行、言い換えれば、第1面11に対して垂直に形成されていることに限定されず、図11に示す振動素子100Bのように、三角形状に形成されていてもよい。
【0043】
具体的には、振動素子100Bの第1側面13は、第1面11に繋がる第1傾斜面13aと、第2面12に繋がる第2傾斜面13bと、を有する。第1傾斜面13a及び第2傾斜面13bには、第1引出電極23及び第2引出電極24が延在して配置されている。破断面は、上記実施形態と同様に、第2側面14及び第3側面15である。
【0044】
このような形態においても、引出電極23,24の延在した部分と破断面とが異なる面にあるため、振動素子100Bを破断した際に、第1引出電極23や第2引出電極24が破断の影響(バリ、剥がれなど)を受けることを抑えることができる。よって、良好な振動特性を維持することができる。
【0045】
また、上記したように、第1引出電極23及び第2引出電極24の両方が、第1側面13に延在していることに限定されず、図12に示すように、どちらか一方が第1側面13に延在していてもよい。図12に示す振動素子100Cは、第2引出電極24のみが第1側面13に延在している。なお、図12に示す第1側面13は、変形例の振動素子100Bと同様に傾斜面13a,13bを有しているが、上記した実施形態のように、Y軸と平行な第1側面の場合も同様である。
【0046】
また、図13に示すように、片持ちタイプの変形例の振動素子100Dにおいても、第1側面13が、三角形状の第1傾斜面13a及び第2傾斜面13bを有していてもよい。
【0047】
また、保持部60における、Y軸方向の厚みは、支持部40と接続された部分が、言い換えれば、振動素子100の端部14a,15aと接続された部分が、最も薄く形成されていることが好ましい。この方法によれば、支持部40と接続された保持部60の部分が薄く形成されているので、フィルム202を伸張した際に、薄く形成された部分から容易に振動素子100を分離させることができる。
【0048】
このように、変形例の水晶ウエハ1000において、保持部60の第1面11及び第2面12に対して交差する部分の厚みは、振動素子100と接続された部分が最も薄いことが好ましい。この構成によれば、振動素子100と接続された保持部60の部分が薄いので、薄い部分から容易に振動素子100を個片化することができる。
【0049】
また、保持部60における、支持部40と接続された部分には、凹溝又は貫通孔が形成されていることが好ましい。この方法によれば、支持部40と接続された保持部60の部分に凹溝や貫通孔が形成されているので、強度を弱くすることが可能となり、フィルム202を伸張した際に、強度の弱い部分から破断しやすくなり、容易に振動素子100を個片化することができる。
【0050】
このように、変形例の水晶ウエハ1000において、保持部60の振動素子100と接続された部分は、凹溝又は貫通孔を有することが好ましい。この構成によれば、振動素子100と接続された保持部60の部分に凹溝や貫通孔を有するので、強度を弱くすることが可能となり、容易に振動素子100を個片化することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…振動片、11…第1面、12…第2面、13…第1側面、13a…第1傾斜面、13b…第2傾斜面、14…第2側面、14a…端部、15…第3側面、15a…端部、21…第1励振電極、21a…接続配線、22…第2励振電極、22a…接続配線、23…第1引出電極、24…第2引出電極、40…支持部、50…振動部、60…保持部、60a,60b,60c…破断部、61…連結部、62…支持フレーム、100,100A,100B,100C,100D…振動素子、201…接着剤、202…フィルム、1000…水晶ウエハ。
図1
図2
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図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図13