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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048636
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】空調機の点検扉用のハンドル締付装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F24F1/02 411Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154656
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】宮内 紳祐
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BH00
3L051BJ02
(57)【要約】
【課題】空調機のケーシングの点検扉の隙間からの空気漏れを防止する。
【解決手段】空調機のケーシング2の点検扉8に取り付けるハンドル締付装置1であって、点検扉8の面と直交する方向に軸方向を向けて点検扉8に取り付け、軸回りに回動しかつ軸方向に移動するハンドル軸11と、ハンドル軸11の軸方向一方端に取り付け、ハンドル軸11と一体に回動しかつハンドル軸11の回りに回動して点検扉8の開閉操作を行うハンドル12と、ハンドル軸11の軸方向他方端に取り付け、ハンドル軸11と一体に回動するとともにハンドル軸11と一体に軸方向に移動してケーシング2の機内側の面に保持する止め金具13を有し、止め金具13は止め部132と押さえ部133を備え、点検扉8を閉めた状態でハンドル12をハンドル軸11の回りで回動したとき、止め部132をケーシング2の機内側の面に、押さえ部133を点検扉8の機内側の面にそれぞれ押し付ける。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機のケーシングの点検扉に取り付けるハンドル締付装置であって、
点検扉の面と直交する方向に軸方向を向けて点検扉に取り付け、軸回りに回動しかつ軸方向に移動するハンドル軸と、
ハンドル軸の軸方向の一方端に取り付け、ハンドル軸と一体に回動するとともにハンドル軸の回りに回動して、点検扉の開閉操作を行うハンドルと、
ハンドル軸の軸方向の他方端に取り付け、ハンドル軸と一体に回動するとともにハンドル軸と一体に軸方向に移動して、点検扉を閉めた状態でケーシング2の機内側の面に保持する止め金具とを有し、
止め金具は、止め部と押さえ部とを備え、点検扉を閉めた状態でハンドルをハンドル軸の回りで回動したとき、止め金具がハンドル軸と一体に軸方向に移動して、止め部をケーシングの機内側の面に押し付けるとともに、押さえ部を点検扉の機内側の面に押し付けることを特徴とする空調機の点検扉用のハンドル締付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の点検扉用のハンドル締付装置に関し、特に空調機のケーシングの機内側の圧力の状態に関わらず密封性を維持し点検扉の隙間から空気が漏れるのを防止する点検扉用のハンドル締付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機のケーシングは、その機内に、熱交換器であるコイル(加熱コイル、冷却コイル)、送風機、フィルターなどの機器を設置する。具体的には、図7に示すように、空調機のケーシング2には、その片側に還気ダクトなどに接続して空気を吸い込む吸込口3を設けるとともに、反対側に給気ダクトに接続して空気を吹き出す吹出口4を設ける。これにより、空調機では、吸込口3より吸い込んだ空気を、機内に設置したフィルターで塵埃を除去しつつ、熱交換器で熱交換して空気を調和し、この調和された空気を吹出口4より吐き出すようにしている。
【0003】
空調機のケーシング2は、その機内を、仕切板9により第一室5、第二室6、第三室7の3つに区画する。第一室5は、空気を吸い込む吸込口3を設けた側に位置し、機内に複数のフィルター(図示せず)などを設置する。また、第二室6は、ケーシング2の中央に位置し、機内に熱交換器であるコイル(加熱コイル、冷却コイル)(図示せず)などを設置する。また、第三室7は、空気を吹き出す吹出口4を設けた側に位置し、機内に送風機(図示せず)などを設置する。つまり、ケーシング2内には、第一室5、第二室6、第三室7をその順で上流側から下流側に向ってそれぞれ設けている。ここでの上流側と下流側とは、空気の流れに沿って空気の流入方向を上流側、流出方向を下流側という。
【0004】
空調機のケーシング2には、機内に設置した各機器(熱交換器、送風機、フィルターなど)の点検、修理、交換などのメンテナンスを行うために、第一室5、第二室6、第三室7ごとに点検扉8を設けている。
【0005】
このような空調機のケーシング2では、第三室7に設置した送風機を運転すると、空気は第三室7の上流側となる第一室5の吸込口3から吸引され、第二室6に空気が流れ、最終的に第三室7の吹出口4から吐き出される。そのため、空気が第三室7に吸引される第一室5、第二室6の機内側は、その機内側の圧力が機外側の圧力よりも低くなる陰圧状態(マイナス圧状態)になる。また、第三室7では、送風機から空気を押し出す力がかかるため、その機内側は陽圧状態(プラス圧状態)になる。
【0006】
このように、空調機のケーシング2において、第一室5と第二室6の機内側では、陰圧状態になり、第三室7の機内側では、陽圧状態になる。そのため、いずれの点検扉8においても機内側と機外側での圧力差が生じるために、それぞれの点検扉8は密封性能を備える必要がある。
【0007】
図7では、現在用いられている第一室5、第二室6、第三室7の点検扉8を示している。図示のように、第一室5と第二室6の機内側では陰圧状態のため、第一室5と第二室6の点検扉8は、外開き式の点検扉8を採用することにより、機外側から機内側に押さえ付けられて密封性が維持されるので、一般的に点検扉8を片手で開閉操作がし易くかつメンテナンスもしやすいリフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置を取り付けて、点検扉8をさらにケーシング2の開口枠に締め付けるようにしている。
【0008】
これに対し、第三室7の機内側では陽圧状態のため、第三室7の点検扉8は、扉板をケーシング2の機外側から第三室7を覆うように当接して、機外側からねじ81を締めることで密封して取り付けるねじ止め外付け式の点検扉8、あるいは機内側から機外側に押さえ付けられて密封性が維持される内開き式の点検扉8を採用している。
第三室7の点検扉8を、このように第一室5、第二室6の点検扉8と異なる取付構造にしたのは、第三室7では機内側の空気圧で点検扉8を機外側に押し出そうとする力が生じ、第一室5と第二室6の点検扉8に用いられているリフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置では、十分な密封性能が得られないため、第三室7の点検扉8に用いることができないからである。
【0009】
ところで、第三室7において採用しているねじ止め外付け式の点検扉8では、点検扉8の開閉時には上述の操作用ハンドルのように片手で操作できないだけでなく、閉扉時には点検扉8を手でケーシング2に押し付けた状態に維持しながらねじ81を締め、また開扉時にはケーシング2から外した点検扉8をねじ81とともに保管場所を考慮しなければならない等の煩雑な作業を必要としており不便である。
また、第三室7に内開き式の点検扉8を採用すれば、第一室5と第二室6の点検扉8と同様のハンドル締付装置を用いることができ、そのような問題はなくなるが、機内に設置している機器と内開き式の点検扉8とがぶつかり合うのを防ぐために、点検扉8を開閉するためのスペースを、第三室7の機内に設けなくてはならず、そのため空調機のケーシング2が大きくなるという問題がある。また、機内の機器のメンテナンスを行う際、点検扉8が機内側に位置するため、点検扉8が邪魔になってメンテナンスがし難いという問題もある。
【0010】
そこで、本発明では、上記のリフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置を、第三室7の点検扉8の密封用として使用できるように改良を加えたものであるが、ここでは、本発明の前提となる従来のリフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置をまず説明する。
【0011】
従来のハンドル締付装置は、図8に示すように、点検扉8の面と直交する方向に軸方向(図8中にXで示す)を向けて点検扉8に取り付けるハンドル軸11と、ハンドル軸11の軸方向の一方端(機外側に位置する部分)にハンドル軸11と一体に回動するように取り付けられて点検扉8の開閉操作を行うハンドル12と、ハンドル軸11の軸方向の他方端(機内側に位置する部分)に取り付けられて点検扉8を閉めた状態でケーシング2の機内側に圧接するための止め金具13を有している。
【0012】
ハンドル軸11は、丸棒状で、点検扉8に設けた孔14に機内側より嵌め込んだ円筒状のソケット15と、点検扉8の機外側に固着した取付板16の孔161を介して点検扉8に対して一体に回動可能かつ軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0013】
ハンドル軸11は、そのケーシング2の機内側の軸方向一端にネジ部111を備えかつ軸方向中間にリング状部材112を備える。ハンドル軸11の外周には、圧縮ばね17がリング状部材112と取付板16の間に配置され、この圧縮ばね17によりハンドル軸11をケーシング2の機内側に向って付勢し、ハンドル軸端に取り付けたハンドル12を扉に対して押圧して位置保持している。また、ハンドル軸11の周りから、空気の漏れるのを防ぐために、点検扉8の機内側では点検扉8とソケット15の間にゴムパッキン18が、点検扉8の機外側では点検扉8と取付板16の間にゴムパッキン19が設けられている。
【0014】
ハンドル12は、図9に示すように、その軸方向(図9中にXで示す)と直交する方向に設けたピン21でハンドル軸11に枢着されている。これにより、ハンドル12はハンドル軸11と一体に回動可能であるととも、ハンドル軸11に対しても回動可能となっている。ハンドル12は、点検扉8の開閉操作を行うための握り部121と握り部121の外側に、ピン21の中心から距離が徐々に変化する形状、つまり楕円状又は放物線状の輪郭を備えたカム面からなるカム部122を備え、ハンドル12のカム部122と当接する側(取付板16側)にはカム部122の支持部となる板状の支持部材162が取り付けられている。
【0015】
ハンドル軸11の機内側に位置する部分には、止め金具13が取り付けられている。取り付ける止め金具13は、図10に示すように、ハンドル軸11に取り付ける取付部131と、ケーシング2の機内側の面に密着して点検扉8がケーシング2の機内側の圧力で機外側に移動しないようにその移動を止める止め部132と、その両者をつなぐ連結部135を備え、細長長方形状の板材をクランク形に折り曲げて形成している。取付部131には、ハンドル軸11を挿入する角孔134が設けられている。止め金具13は、角孔134にハンドル軸12を挿入しかつ2つのナット22により挟持した状態でハンドル軸12のネジ部111に取り付けられ、止め金具13は、ハンドル操作時にハンドル軸11と一体に回動するとともにハンドル軸11と一体に軸方向に移動するようになっている。
【0016】
ハンドル操作時には、ハンドル12を回動して止め金具13の止め部132をケーシング2の機内側の面に対向する当接位置に回動する。次に、図9に示すように、ハンドル12をピン21の回りで回動すると、カム部122のカム面が支持部材162に摺接しつつ移動し、これに伴ってハンドル軸11は圧縮バネ17の圧縮力に抗して軸方向に移動する。つまり、ハンドル12を、ピン21の回りで下向き回動すると、ハンドル12がカム面に従って点検扉8の機内側から機外側の方向に移動し、ハンドル軸11も点検扉8の機外側の方向に移動する。同時に当接位置にある止め部132をケーシング2の機内側の面に圧接し、機内側の圧力で開放する方向に動こうとする点検扉8を止めて気密な閉扉状態に維持する。
なお、図9では、ハンドル12を逆に上向き回動したときのピン21、ハンドル軸11、止め金具13の移動を矢印Sで、また、ピン21、ハンドル軸11、止め金具13の移動した後の状態を破線で示している。この場合は上記と逆に止め金具13の止め部132は回動しかつケーシング2の機内側の面から離れる。
【0017】
ところが、上記で説明した従来の点検扉のリフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置を、第三室7に設ける点検扉8に採用した場合、以下のような問題が生じる。
第三室7では、機内に設置した送風機を運転すると、機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態(プラス圧状態)になり、送風機の回転数が上がるにつれて、機内側の圧力と機外側の圧力との差(圧力差)が大きくなる。そのため、点検扉8を機外側に押し出そうとする力も大きくなる。つまり、点検扉8が受ける力が大きくなることで、止め金具13に作用する点検扉8のヒンジ回りのモーメントが大きくなる。その場合、従来の止め金具13では、止め部132のみがケーシング2の機内側の面に当接する状態、つまりクランク形の止め金具13がハンドル軸11に片持ち状に支持されているだけであるため、止め金具13が傾くことがある。すなわち、止め金具13では、その取付部131が点検扉8及びケーシング2の機内側の面と平行になっているが、点検扉8に機外側に押し出そうとする力が加わると、取付部131が点検扉8及びケーシング2の機内側の面と平行にならずに斜めにずれた状態になり、止め金具13が傾く。
【0018】
止め金具13が傾くことで、図11に示すように、止め金具13を取り付けているハンドル軸11が点検扉8に対して垂直な状態(正常な位置)から傾く。ハンドル軸11が傾くと、ハンドル軸11とソケット15との間に隙間ができ、この隙間から空気が漏れることがある。また、ハンドル軸11の傾きがさらに進むと、点検扉8が機外側に向ってずれて、点検扉8の周囲とケーシング2の間にも隙間ができ、ここからも空気が漏れる。このように、第三室7に設ける点検扉8において、点検扉8の隙間から空気が漏れるという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ハンドル締付装置において止め金具での簡易な構成によりハンドル軸が傾くのを防ぎ空調機のケーシングに設ける点検扉の隙間から空気が漏れるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、空調機のケーシングの点検扉に取り付けるハンドル締付装置であって、点検扉の面と直交する方向に軸方向を向けて点検扉に取り付け、軸回りに回動しかつ軸方向に移動するハンドル軸と、ハンドル軸の軸方向の一方端に取り付け、ハンドル軸と一体に回動するとともにハンドル軸の回りに回動して、点検扉の開閉操作を行うハンドルと、ハンドル軸の軸方向の他方端に取り付け、ハンドル軸と一体に回動するとともにハンドル軸と一体に軸方向に移動して、点検扉を閉めた状態でケーシングの機内側の面に保持する止め金具とを有し、止め金具は、止め部と押さえ部とを備え、点検扉を閉めた状態でハンドルをハンドル軸の回りで回動したとき、止め金具がハンドル軸と一体に軸方向に移動して、止め部をケーシングの機内側の面に押し付けるとともに、押さえ部を点検扉の機内側の面に押し付ける空調機の点検扉用のハンドル締付装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空調機のケーシングの点検扉に取り付けるハンドル締付装置において止め金具での簡易な構成によりハンドル軸が傾くのを防ぎ空調機のケーシングに設ける点検扉の隙間から空気が漏れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る空調機のケーシングの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るハンドル締付装置の分解斜視図である。
図3】上記ハンドル締付装置の止め金具の斜視図である。
図4】上記ハンドル締付装置における点検扉を閉めたときの状態を上から見た図である。
図5】上記ハンドル締付装置における点検扉を閉めたときの状態を機内側から見た斜視図である。
図6】上記ハンドル締付装置を取り付けた点検扉に、点検扉を機外側に押す力が加わっている状態を説明する図である。
図7】従来の空調機のケーシングの斜視図である。
図8】従来のハンドル締付装置の分解斜視図である。
図9】従来のハンドル締付装置の動きを説明する図である。
図10】従来のハンドル締付装置の止め金具の斜視図である。
図11】従来のハンドル締付装置を取り付けた第三室の点検扉の隙間から空気が漏れる状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の空調機の点検扉用のハンドル締付装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の空調機の点検扉用のハンドル締付装置は、空調機のケーシングの点検扉に取り付けるもので、ケーシングの機内側の圧力の状態(機内側の圧力が機外側の圧力よりも低くなる陰圧状態(マイナス圧状態)・機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態(プラス圧状態))に関わらず点検扉の密封性を維持し隙間から空気が漏れるのを防止できるものである。
【0024】
空調機のケーシングは、図1に示すように、その機内を、仕切板9により第一室5、第二室6、第三室7の3つに区画し、各機器(熱交換器、送風機、フィルターなど)を設置する。ここまでは、従来で説明したものと同様である。
ただし、次の点で、従来と相違する。第一室5や第二室6の点検扉8は、従来と同じくケーシング2における第一室5と第二室6の側面部分と同じ大きさにし、その側面部分全体を覆うように取り付けているが、第三室7の点検扉8は、ケーシング2における第三室7の側面部分において、中央を開口し、その周囲に枠部10を設けて、中央の開口する部分に点検扉8を嵌め込むようにして取り付ける。これにより、第三室7の点検扉8では、中央の開口する部分に点検扉8を嵌め込むだけであることから、点検扉8取付時の調整も簡単に行うことができる。
【0025】
次に、空調機のケーシングの点検扉8に取り付ける本発明の実施形態に係るハンドル締付装置について説明する。
ハンドル締付装置は、その止め金具13以外の構成及び動作は、既に説明した従来のもの(リフトアップハンドル機構を有するハンドル締付装置)と同様である。よって、ここでは説明を省略して相違する本発明の実施形態に係る止め金具13について説明する。なお、本発明の実施形態において用いる符号については、従来と共通しているものは同じ符号を付ける。
【0026】
止め金具13は、従来のものと同様に、図2に示すように、ハンドル軸11の軸方向の他方端(機内側)に備えたネジ部111において、2つのナット22に挟持されて取り付け、ハンドル軸11と一体に軸回りに回動可能で、点検扉8を閉めた状態で保持する。
【0027】
止め金具13は、図3に示すように、ハンドル軸11に取り付ける取付部131と、ケーシング2の機内側の面に密着して点検扉8が機内側の圧力で機外側に移動しないようにその移動を止める止め部132と、この取付部131と止め部132をつなぐ連結部135と、点検扉8の機内側の面に密着する押さえ部133とを備え、細長長方形状の板材をクランク形に折り曲げて形成している。
止め金具13は、その取付部131にハンドル軸11を挿入する角孔134を設けてハンドル軸11に取り付ける。また、取付部131の一方から直角に折り曲げて連結部135とし、連結部135の先から逆に折り曲げて、ここが止め部132になり、止め部132がケーシング2の機内側の面に当接する。また、取付部131の他方から直角に折り曲げて、ここが押さえ部133になり、この押さえ部133の先端が点検扉8の機内側の面に当接する。
【0028】
止め金具13では、ハンドル12が、ハンドル軸11の軸回りに回動することで、止め部132がケーシング2の機内側の面に掛止するようにして、点検扉8を閉めた状態にする。続いて、点検扉8を閉めた状態でハンドル12を下向きに回動する。これにより、図4、5に示すように、止め金具13がハンドル軸11と一体に軸方向に移動(ここでは点検扉8の機外側の方向に移動)して、止め部132をケーシング2の機内側の面に強く押し付ける。これとともに、押さえ部133を点検扉8の機内側の面に強く押し付ける。これにより点検扉8をケーシング2に密着して、点検扉8の気密性を維持することができる。
【0029】
この止め金具13において、止め部132と押さえ部133をケーシング2の機内側の面と点検扉8の機内側の面にそれぞれ押し付けているとき、この止め部132と押さえ部133は、ハンドル軸11を中心に対称となる位置で、ケーシング2の機内側の面と点検扉8の機内側の面に、ハンドル12のカム部122のカム面による強い押圧力で押圧される。つまり、ハンドル軸11を、止め部132と押さえ部133とで両側から強い押圧力で支える。
【0030】
これにより、例えば、空調機のケーシング2の第三室7では、図6に示すように、ケーシング2の機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態(プラス圧状態)になると、その圧力差によって、点検扉8に、そのヒンジの回りで点検扉8を機外側に押す方向のモーメントが働き、このモーメントが、止め金具13に作用するが、止め金具13は、止め部132がケーシング2の機内側の面にに当接するとともに押さえ部133が点検扉8の機内側の面に当接する。そのため、ヒンジの回りで点検扉8を機外側に押す方向のモーメントにより、止め金具13が傾こうとしても、止め金具13の押さえ部133が点検扉8の機内側の面に当接することで、この押さえ部133により、止め金具13が傾くのを抑える。つまり、この止め金具13は、ハンドル軸11を中心に、その両側に止め部132と押さえ部133があることで、ハンドル軸11に両持ち状に支持される。これにより、止め金具13が傾くことが抑制され、止め金具13を取り付けているハンドル軸11を点検扉8に対して垂直な状態(正常な位置)で維持することができる。
【0031】
よって、ハンドル締付装置1での止め金具13の傾き及びハンドル軸11の傾きを防止することで、点検扉8が点検扉8の機外側に向ってずれることがなくなり、これにより、ハンドル軸11とソケット15との間の隙間が大きくなるのを防止し、この隙間から空気が漏れるのをなくす。つまり、ハンドル締付装置1において止め金具13での簡易な構成によりハンドル軸11が傾くのを防ぎ空調機のケーシング2に設ける点検扉8の密封性を維持し隙間から空気が漏れるのを防止することができる。
【0032】
また、ハンドル締付装置1では、上述の通り、ケーシングの機内側の圧力の状態(機内側の圧力が機外側の圧力よりも低くなる陰圧状態(マイナス圧状態)・機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態(プラス圧状態))に関わらず、点検扉8の隙間から空気が漏れるのを防止できるので、空調機のケーシング2のすべての点検扉8に取り付けることができる。
【0033】
すなわち、空調機のケーシング2において、従来は機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態になる場所(第三室7)の点検扉8には、点検扉8の隙間から空気が漏れるおそれがあるため、機外側からねじ81を締めて取り付けるねじ止め外付け式の点検扉8を採用して、その他の場所(第一室5と第二室6)の点検扉8とは、その開閉操作が異なっていた。しかしながら、このハンドル締付装置1では、ケーシング2の機内側の圧力が機外側の圧力よりも高くなる陽圧状態になっていても空気が漏れるのを防止できることから、空調機のケーシング2のすべての点検扉8に取り付けることで、その開閉操作を統一することができる。
【0034】
つまり、空調機のケーシング2のすべての点検扉8に、同じハンドル締付装置1を取り付けることで、空調機のケーシング2の機内に設置した各機器の点検、修理、交換などのメンテナンスを行う場合、作業者にとっては点検扉8の開閉操作をすべて同じ操作で行える。しかも、点検扉8の開閉操作はハンドル12を操作するだけで可能であるから、操作が簡単であり、その作業性が向上する。
【符号の説明】
【0035】
1…締付ハンドル装置、2…ケーシング、3…吸込口、4…吹出口、5…第一室、6…第二室、7…第三室、8…点検扉、81…ねじ、9…仕切板、10…枠部、11…ハンドル軸、111…ネジ部、112…凸部、12…ハンドル、121…握り部、122…カム部、13…止め金具、131…取付部、132…止め部、133…押さえ部、134…角孔、135…連結部、14…孔、15…ソケット、151…断部、16…取付板、161…孔、162…受け部材、17…圧縮ばね、18…ゴムパッキン、19…ゴムパッキン、21…ピン、22…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11