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特開2024-48644光ファイバケーブル、それに接続されるコントローラ及びそれらを用いた光干渉測距センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048644
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル、それに接続されるコントローラ及びそれらを用いた光干渉測距センサ
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/34 20200101AFI20240402BHJP
   G01C 3/06 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
G01S17/34
G01C3/06 120Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154669
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅之
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD10
2F112BA12
2F112BA15
2F112CA12
2F112DA15
2F112DA22
2F112DA24
2F112EA00
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA45
5J084AA05
5J084BA04
5J084BA22
5J084BA51
5J084BB01
5J084BB14
5J084BB21
5J084BB31
5J084BB38
5J084BB40
5J084CA31
5J084CA32
5J084CA33
5J084CA48
5J084CA49
5J084CA70
5J084DA01
5J084DA05
5J084DA06
5J084DA07
5J084DA08
5J084DA09
5J084EA34
(57)【要約】
【課題】測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整する。
【解決手段】本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、該光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、該測定対象からの反射光と参照光とを合波する合波手段と、該合波手段により合波された干渉光を検出する干渉光検出手段と、干渉光を周波数解析することにより測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有する光干渉測距センサに用いられ、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバと、を有する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、
該光源ユニットから供給された前記光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
前記光分割手段により分割された前記測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉光を周波数解析することにより前記測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有する光干渉測距センサに用いられる光ファイバケーブルであって、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバと、
を有する光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記第1光ファイバは、前記測定光の光路を含み、
前記第2光ファイバは、前記参照光の光路を含む、
請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記第2光ファイバは、前記第1光ファイバである、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記光分割手段を更に含む、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記参照光を反射させる参照面を更に含む、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、
該光源ユニットから供給された前記光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
前記光分割手段により分割された前記測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉光を周波数解析することにより前記測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有するコントローラであって、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバに接続される第1接続部と、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバに接続される第2接続部と、
を有するコントローラ。
【請求項7】
光ファイバケーブルと、コントローラと、を有する光干渉測距センサであって、
前記コントローラは、
波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、
該光源ユニットから供給された前記光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
前記光分割手段により分割された前記測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉光を周波数解析することにより前記測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有し、
前記光ファイバケーブルは、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、
前記光源ユニットから供給された前記光と前記分割手段により分割された前記参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバと、を有する、
光干渉測距センサ。
【請求項8】
前記光ファイバケーブルは、前記参照光を反射させる参照面を更に含む、請求項7に記載の光干渉測距センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブル、それに接続されるコントローラ及びそれらを用いた光干渉測距センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で計測対象物までの距離を計測する光測距センサが普及している。例えば、光測距センサとして、波長掃引光源から投光される光から、参照光と測定光とに基づく干渉光を生成し、当該干渉光に基づいて計測対象物までの距離を計測する光干渉測距センサが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光ビーム制御器と、光ビーム制御器からの複数の光ビームを物体光と参照光に分岐する分岐手段と、複数の物体光ビームを測定対象物に照射する照射手段と、測定対象物から散乱された物体光と参照光とを干渉させ受光器に導く干渉手段と、を備える光干渉断層撮像器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/131298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような測定光と参照光との干渉光を利用した装置において、例えば、コントローラとセンサヘッドとを繋ぐ光ファイバケーブル内を測定光が導光される構成が採用される場合がある。しかしながら、光ファイバケーブルを交換した場合、測定光と参照光との光路長差が当初の設定からズレてしまうことがあるため、測定環境に応じて光ファイバケーブルの長さを調整することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整することが可能な光ファイバケーブル、それに接続されるコントローラ及びそれらを用いた光干渉測距センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る光ファイバケーブルは、波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、該光源ユニットから供給された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と参照光とを合波する合波手段と、該合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、該干渉光検出手段により検出された干渉光を周波数解析することにより測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有する光干渉測距センサに用いられる光ファイバケーブルであって、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバと、を有する。
【0008】
この態様によれば、光ファイバケーブルは、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバとを有する。そのため、光ファイバケーブル内において、測定光と参照光とのいずれもが導光され、又は測定光と参照光とに分割される前の光が導光されるため、光ファイバケーブルの交換によっても測定光と参照光との光路長差の設定は変わらない。したがって、測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整することが可能となる。
【0009】
上記態様において、第1光ファイバは、測定光の光路を含み、第2光ファイバは、参照光の光路を含んでもよい。
【0010】
この態様によれば、そのため、光ファイバケーブル内において、測定光と参照光とのいずれもが導光されるため、光ファイバケーブルの交換によっても測定光と参照光との光路長差の設定は変わらず、したがって、測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整することが可能となる。
【0011】
上記態様において、第2光ファイバは、第1光ファイバであってもよい。
【0012】
この態様によれば、光ファイバケーブルの構成が簡素化される。
【0013】
上記態様において、光分割手段を更に含んでもよい。
【0014】
この態様によれば、光ファイバケーブルの設計の自由度が向上する。
【0015】
上記態様において、参照光を反射させる参照面を更に含んでもよい。
【0016】
この態様によれば、光ファイバケーブルの設計の自由度が向上する。
【0017】
本発明の一態様に係るコントローラは、波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、該光源ユニットから供給された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と参照光とを合波する合波手段と、該合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、該干渉光検出手段により検出された干渉光を周波数解析することにより測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有するコントローラであって、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバに接続される第1接続部と、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバに接続される第2接続部と、を有する。
【0018】
この態様によれば、光ファイバケーブルは、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバとを有する。そのため、光ファイバケーブル内において、測定光と参照光とのいずれもが導光され、又は測定光と参照光とに分割される前の光が導光されるため、光ファイバケーブルの交換によっても測定光と参照光との光路長差の設定は変わらない。したがって、測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整することが可能となる。
【0019】
本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、光ファイバケーブルと、コントローラと、を有する光干渉測距センサであって、コントローラは、波長を一定の周期で掃引させながら光を供給する光源ユニットと、該光源ユニットから供給された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象に照射されたときの該測定対象からの反射光と参照光とを合波する合波手段と、該合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を検出する干渉光検出手段と、該干渉光検出手段により検出された干渉光を周波数解析することにより測定対象までの距離を算出する距離算出手段と、を有し、光ファイバケーブルは、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバと、を有する、光干渉測距センサ。
【0020】
この態様によれば、光ファイバケーブルは、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された測定光とのうち少なくとも一部を導光する第1光ファイバと、光源ユニットから供給された光と分割手段により分割された参照光とのうち少なくとも一部が導光する第2光ファイバとを有する。そのため、光ファイバケーブル内において、測定光と参照光とのいずれもが導光され、又は測定光と参照光とに分割される前の光が導光されるため、光ファイバケーブルの交換によっても測定光と参照光との光路長差の設定は変わらない。したがって、測定環境に応じて容易に光ファイバケーブルの長さを調整することが可能となる。
【0021】
上記態様において、光ファイバケーブルは、参照光を反射させる参照面を更に含んでもよい。
【0022】
この態様によれば、光ファイバケーブルの設計の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、主干渉計に接続される第1光ファイバに対応して、適切な第2光ファイバを副干渉計に接続可能な光ファイバケーブル、それに接続されるコントローラ及びそれらを用いた光干渉測距センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。
図2】本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。
図3】本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。
図4】本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。
図5A】本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。
図5B】本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される別の原理を説明するための図である。
図6A】センサヘッド20の概略構成を示す斜視図である。
図6B】センサヘッド20の内部構造を示す模式図である。
図7】コントローラ30における信号処理について説明するためのブロック図である。
図8】コントローラ30における処理部59によって実行される、計測対象物Tまでの距離を算出する方法を示すフローチャートである。
図9A】波形信号(電圧vs時間)がスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換される様子を示す図である。
図9B】スペクトル(電圧vs周波数)がスペクトル(電圧vs距離)に距離変換される様子を示す図である。
図9C】スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークを検出し、それに対応する距離値が算出される様子を示す図である。
図10】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図11A】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図11B】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図12】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図13A】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図13B】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図14】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図15】光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。
図16】光ファイバケーブルの変形例について説明するための図である。
図17】光ファイバケーブルの変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な各実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0026】
[変位センサの概要]
先ず、本開示に係る変位センサの概要について説明する。
図1は、本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。図1に示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20とコントローラ30とを備え、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。
【0027】
センサヘッド20とコントローラ30とは、光ファイバケーブル40で接続されており、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられている。また、コントローラ30は、表示部31と、設定部32と、外部インタフェース(I/F)部33と、光ファイバ接続部34と、外部記憶部35とを含み、さらに、内部には、計測処理部36を有する。
【0028】
センサヘッド20は、コントローラ30から出力される光を計測対象物Tに照射し、当該計測対象物Tからの反射光を受光する。センサヘッド20は、コントローラ30から出力されて光ファイバケーブル40を介して受光した光を反射させ、上述した計測対象物Tからの反射光と干渉させるための参照面を、内部に有している。
【0029】
なお、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられているが、当該対物レンズ21は着脱可能な構成となっている。対物レンズ21は、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズに交換可能であって、又は可変焦点の対物レンズを適用してもよい。
【0030】
さらに、センサヘッド20を設置する際には、ガイド光(可視光)を計測対象物Tに照射して、当該変位センサ10の計測領域内に計測対象物Tが適切に位置するようにセンサヘッド20及び/又は計測対象物Tを設置してもよい。
【0031】
光ファイバケーブル40は、コントローラ30に配置される光ファイバケーブル接続部34に接続されて延伸し、当該コントローラ30とセンサヘッド20とを接続する。光ファイバケーブル40は、参照光を導光する少なくとも1つの光ファイバ41Pと、測定光を導光する少なくとも1つの光ファイバ42Pとを含んでもよい。これにより、光ファイバケーブル40は、コントローラ30から投光される光を、光ファイバ42Pを介してセンサヘッド20に導き、さらに、センサヘッド20からの戻り光を、光ファイバ42Pを介してコントローラ30へ導くように構成されている。なお、光ファイバケーブル40は、センサヘッド20及びコントローラ30に着脱可能であって、長さ、太さ及び特性等において種々の光ファイバケーブルを適用することができる。また、光ファイバケーブル40は、1つのクラッド内に1つのコアが形成されたシングルコアとして構成されてもよいし、1つのクラッド内に複数のコアが形成されたマルチコアとして構成されてもよい。マルチコアの場合、複数の光路の距離が近くなるため、光ファイバケーブル40に加わる曲げや温度変動による測定光路と参照光路との変動を抑制することが可能となる。
【0032】
表示部31は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成される。表示部31には、変位センサ10の設定値、センサヘッド20からの戻り光の受光量、及び変位センサ10によって計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等の計測結果が表示される。
【0033】
設定部32は、例えば、機械式ボタンやタッチパネル等をユーザが操作することによって、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われる。これらの必要な設定の全部又は一部は、予め設定されていてもよいし、外部I/F部33に接続された外部接続機器(図示せず)から設定されてもよい。また、外部接続機器は、ネットワークを介して有線又は無線で接続されていてもよい。
【0034】
ここで、外部I/F部33は、例えば、Ethernet(登録商標)、RS232C、及びアナログ出力等で構成される。外部I/F部33には、他の接続機器に接続されて当該外部接続機器から必要な設定が行われたり、変位センサ10によって計測された計測結果等を外部接続機器に出力したりしてもよい。
【0035】
また、コントローラ30が外部記憶部35に記憶されたデータを取り込むことにより、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われてもよい。外部記憶部35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の補助記憶装置であって、計測対象物Tを計測するために必要な設定等が予め記憶されている。
【0036】
コントローラ30における計測処理部36は、例えば、連続的に波長を変化させながら光を投光する波長掃引光源、センサヘッド20からの戻り光を受光して電気信号に変換する受光素子、及び電気信号を処理する信号処理回路等を含む。計測処理部36では、センサヘッド20からの戻り光に基づいて、最終的には、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出されるように制御部及び記憶部等を用いて様々な処理がなされている。これらの処理についての詳細は後述する。
【0037】
図2は、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図2に示されるように、当該手順は、ステップS11~S14を含む。
【0038】
ステップS11では、センサヘッド20を設置する。例えば、センサヘッド20から計測対象物Tにガイド光を照射して、それを参考にして、センサヘッド20を適切な位置に設置する。
【0039】
具体的には、コントローラ30における表示部31に、センサヘッド20からの戻り光の受光量を表示し、ユーザは、当該受光量を確認しながら、センサヘッド20の向き及び計測対象物Tとの距離(高さ位置)等を調整してもよい。基本的には、センサヘッド20からの光を計測対象物Tに対して垂直に(より垂直に近い角度で)照射できれば、当該計測対象物Tからの反射光の光量が大きく、センサヘッド20からの戻り光の受光量も大きくなる。
【0040】
また、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズ21に交換してもよい。
【0041】
さらに、計測対象物Tを計測するに際して適切な設定ができない場合(例えば、計測に必要な受光量を得られない、又は対物レンズ21の焦点距離が不適切である等)には、エラー又は設定未完了等を、表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりして、ユーザに通知するようにしてもよい。
【0042】
ステップS12では、計測対象物Tを計測するに際して種々の計測条件を設定する。例えば、センサヘッド20が有する固有の校正データ(線形性を補正する関数等)を、ユーザがコントローラ30における設定部32を操作することによって設定する。
【0043】
また、各種パラメータを設定してもよい。例えば、サンプリング時間、計測範囲、及び計測結果を正常とするか異常とするかの閾値等が設定される。さらに、計測対象物Tの反射率及び材質等の計測対象物Tの特性に応じて測定周期が設定され、及び計測対象物Tの材質に応じた測定モード等が設定されるようにしてもよい。
【0044】
なお、これらの計測条件及び各種パラメータの設定は、コントローラ30における設定部32を操作することによって設定されるが、外部接続機器から設定されてもよいし、外部記憶部35からデータを取り込むことによって設定されてもよい。
【0045】
ステップS13では、ステップS11で設置されたセンサヘッド20で、ステップS12で設定された計測条件及び各種パラメータに従って、計測対象物Tを計測する。
【0046】
具体的には、コントローラ30の計測処理部36において、波長掃引光源から光が投光され、センサヘッド20からの戻り光を受光素子で受光し、信号処理回路によって周波数解析、距離変換及びピーク検出等がなされて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出される。具体的な計測処理についての詳細は、後述する。
【0047】
ステップS14では、ステップS13で計測された計測結果を出力する。例えば、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等を、コントローラ30における表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりする。
【0048】
また、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が、ステップS12で設定された閾値に基づいて、正常の範囲内であるか異常かについても計測結果として表示又は出力されてもよい。さらに、ステップS12で設定された計測条件、各種パラメータ及び測定モード等も共に表示又は出力されてもよい。
【0049】
[変位センサを含むシステムの概要]
図3は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、センサシステム1は、変位センサ10と、制御機器11と、制御信号入力用センサ12と、外部接続機器13とを備える。なお、変位センサ10は、制御機器11及び外部接続機器13とは、例えば、通信ケーブル又は外部接続コード(例えば、外部入力線、外部出力線及び電源線等を含む)で接続され、制御機器11と制御信号入力用センサ12とは信号線で接続される。
【0050】
変位センサ10は、図1及び図2を用いて説明したように、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。そして、変位センサ10は、その計測結果等を制御機器11及び外部接続機器13に出力してもよい。
【0051】
制御機器11は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であって、変位センサ10が計測対象物Tを計測するに際して、当該変位センサ10に対して各種の指示を与える。
【0052】
例えば、制御機器11は、制御機器11に接続された制御信号入力用センサ12からの入力信号に基づいて、測定タイミング信号を変位センサ10に出力してもよいし、ゼロリセット命令信号(現在の計測値を0に設定するための信号)等を変位センサ10に出力してもよい。
【0053】
制御信号入力用センサ12は、変位センサ10が計測対象物Tを計測するタイミングを指示するオン/オフ信号を、制御機器11に出力する。例えば、制御信号入力用センサ12は、計測対象物Tが移動する生産ラインの近傍に設置され、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知して、制御機器11にオン/オフ信号を出力すればよい。
【0054】
外部接続機器13は、例えば、PC(Personal Computer)であって、ユーザが操作することによって、変位センサ10に対して様々な設定を行うことができる。
【0055】
具体例としては、測定モード、動作モード、測定周期、及び計測対象物Tの材質等が設定される。
【0056】
測定モードの設定として、制御機器11内部で周期的に計測開始する「内部同期計測モード」、又は制御機器11外部からの入力信号に応じて計測開始する「外部同期計測モード」等が選択される。
【0057】
動作モードの設定として、実際に計測対象物Tを計測する「運転モード」、又は計測対象物Tを計測するための計測条件を設定する「調整モード」等が選択される。
【0058】
測定周期は、計測対象物Tを測定する周期であり、計測対象物Tの反射率に応じて設定すればよいが、仮に、計測対象物Tの反射率が低い場合であっても、測定周期を長くして適切に測定周期を設定すれば、計測対象物Tを適切に測定することができる。
【0059】
計測対象物Tについて、反射光の成分として拡散反射が比較的多い場合に適した「粗面モード」、反射光の成分として鏡面反射が比較的多い場合に適した「鏡面モード」、又はこれらの中間的な「標準モード」等が選択される。
【0060】
このように、計測対象物Tの反射率及び材質に応じて、適切な設定を行うことによって、より高精度に計測対象物Tを計測することができる。
【0061】
図4は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図4に示されるように、当該手順は、上述した外部同期計測モードの場合の手順であって、ステップS21~S24を含む。
【0062】
ステップS21では、センサシステム1は、計測される対象である計測対象物Tを検知する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、生産ライン上において、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知する。
【0063】
ステップS22では、センサシステム1は、ステップS21で検知された計測対象物Tを変位センサ10によって計測するように計測指示する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、制御機器11にオン/オフ信号を出力することにより、ステップS21で検知された計測対象物Tを測定するタイミングを指示し、制御機器11は、当該オン/オフ信号に基づいて、変位センサ10に測定タイミング信号を出力して、計測対象物Tを計測するように計測指示する。
【0064】
ステップS23では、変位センサ10によって計測対象物Tが計測される。具体的には、変位センサ10は、ステップS22で受け取った計測指示に基づいて、計測対象物Tを計測する。
【0065】
ステップS24では、センサシステム1は、ステップS23で計測された計測結果を出力する。具体的には、変位センサ10は、計測処理の結果を、表示部31に表示したり、外部I/F部33を経由して制御機器11又は外部接続機器13等に出力したりする。
【0066】
なお、ここでは、図4を用いて、制御信号入力用センサ12によって計測対象物Tが検知されることにより計測対象物Tを計測する外部同期計測モードの場合についての手順を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内部同期計測モードの場合は、ステップS21及びS22に代わって、予め設定された周期に基づいて測定タイミング信号が生成されることにより、計測対象物Tを計測するように変位センサ10に指示する。
【0067】
次に、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明する。
図5Aは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。図5Aに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20、光ファイバケーブル40、及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54eと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、複数の増幅回路57a~57cと、複数のアナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58a~58cと、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。光ファイバケーブル40は、光ファイバ41Pa~41Pcと、光ファイバ42Pa~42Pcとを含む。
【0068】
波長掃引光源51は、波長を掃引したレーザ光を投光する。波長掃引光源51としては、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を電流で変調する方式を適用すれば、共振器長が短いためにモードホップを起こしにくく、波長を変化させることが容易であり、低コストで実現することができる。
【0069】
光増幅器52は、波長掃引光源51から投光される光を増幅する。光増幅器52は、例えば、EDFA(erbium-doped fiber amplifier)を適用し、例えば、1550nm専用の光増幅器であってもよい。
【0070】
アイソレータ53は、入射した光を一方向に透過させる光学素子であって、戻り光によって発生するノイズの影響を防ぐために、波長掃引光源51の直後に配置されてもよい。
【0071】
このように、波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐される。例えば、光カプラ54では、主干渉計と副干渉計とに分岐する光の割合は、主干渉計側に90%以上分岐させるようにしてもよい。
【0072】
主干渉計に分岐された光は、さらに、1段目の光カプラ54aによって、センサヘッド20の方向と2段目の光カプラ54bの方向とに分岐される。
【0073】
1段目の光カプラ54aによってセンサヘッド20の方向に分岐された光は、光カプラ62aによって、光ファイバケーブル40の1段目の光ファイバ41Pa及び光ファイバ42Paの方向に分岐される。光ファイバ41Paの方向に分岐された光は参照光となり、光ファイバ42Paの方向に分岐された光は測定光となる。すなわち、端部41Iaから光ファイバ41Paに入射した参照光は、光ファイバ41Pa内を導光され、参照面41Raで反射されて、端部41Iaに向かって光ファイバ41Pa内を導光され、端部41Iaから光カプラ62aへと供給される。一方、端部42Iaから光ファイバ42Paに入射した測定光は、光ファイバ42Pa内を導光され、端部42Oaからセンサヘッド20内の光ファイバに入射し、センサヘッド20において、コリメートレンズ22a及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、計測対象物Tによって反射された測定光は、センサヘッド20を介して光ファイバ42Paの端部42Oaに入射し、光ファイバ42Paを導光されて、端部42Iaから光カプラ62aへと供給される。そして、光ファイバケーブル40の端部41Iaから供給された参照光と、光ファイバケーブル40の端部42Iaから供給された測定光とは、光カプラ62aにおいて干渉し、干渉光が生成されて、当該干渉光の少なくとも一部が受光素子56aに供給される。受光素子56aで受光された干渉光は、電気信号に変換される。
【0074】
1段目の光カプラ54aによって2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、アイソレータ53aを介して2段目の光カプラ54bに向かい、当該2段目の光カプラ54bによって、さらにセンサヘッド20の方向と3段目の光カプラ54cの方向とに分岐される。光カプラ54bからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目と同様に、光カプラ62bによって、光ファイバケーブル40の2段目の光ファイバ41Pb及び光ファイバ42Pbの方向に分岐される。光ファイバ41Pbの方向に分岐された光は参照光となり、光ファイバ42Pbの方向に分岐された光は測定光となる。すなわち、端部41Ibから光ファイバ41Pbに入射した参照光は、光ファイバ41Pb内を導光され、参照面41Rbで反射されて、端部41Ibに向かって光ファイバ41Pb内を導光され、端部41Ibから光カプラ62bへと供給される。一方、端部42Ibから光ファイバ42Pbに入射した測定光は、光ファイバ42Pb内を導光され、端部42Obからセンサヘッド20内の光ファイバに入射し、センサヘッド20において、コリメートレンズ22b及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、計測対象物Tによって反射された測定光は、センサヘッド20を介して光ファイバ42Pbの端部42Obに入射し、光ファイバ42Pbを導光されて、端部42Ibから光カプラ62bへと供給される。そして、光ファイバケーブル40の端部41Ibから供給された参照光と、光ファイバケーブル40の端部42Ibから供給された測定光とは、光カプラ62bにおいて干渉し、干渉光が生成されて、当該干渉光の少なくとも一部が受光素子56bに供給される。受光素子56bで受光された干渉光は、電気信号に変換される。
【0075】
2段目の光カプラ54bによって3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、アイソレータ53bを介して3段目の光カプラ54cに向かい、当該3段目の光カプラ54cによって、さらにセンサヘッド20の方向と減衰器55の方向とに分岐される。光カプラ54cからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目及び2段目と同様に、光カプラ62cによって、光ファイバケーブル40の3段目の光ファイバ41Pc及び光ファイバ42Pcの方向に分岐される。光ファイバ41Pcの方向に分岐された光は参照光となり、光ファイバ42Pcの方向に分岐された光は測定光となる。すなわち、端部41Icから光ファイバ41Pcに入射した参照光は、光ファイバ41Pc内を導光され、参照面41Rcで反射されて、端部41Icに向かって光ファイバ41Pc内を導光され、端部41Icから光カプラ62cへと供給される。一方、端部42Icから光ファイバ42Pcに入射した測定光は、光ファイバ42Pc内を導光され、端部42Ocからセンサヘッド20内の光ファイバに入射し、センサヘッド20において、コリメートレンズ22c及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、計測対象物Tによって反射された測定光は、センサヘッド20を介して光ファイバ42Pcの端部42Ocに入射し、光ファイバ42Pcを導光されて、端部42Icから光カプラ62cへと供給される。そして、光ファイバケーブル40の端部41Icから供給された参照光と、光ファイバケーブル40の端部42Icから供給された測定光とは、光カプラ62cにおいて干渉し、干渉光が生成されて、当該干渉光の少なくとも一部が受光素子56cに供給される。受光素子56cで受光された干渉光は、電気信号に変換される。
【0076】
なお、3段目の光カプラ54cによってセンサヘッド20でない方向に分岐された光は、計測対象物Tの計測に用いられないため、反射して戻ってこないように、例えば、ターミネータ等の減衰器55によって減衰されるとよい。
【0077】
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれセンサヘッド20の光ファイバの先端(端面)から計測対象物Tまでの距離の2倍(往復)を光路長差とした干渉計であり、それぞれ光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
【0078】
受光素子56a~56cは、上述したように主干渉計からの干渉光を受光し、当該受光した受光量に応じた電気信号を生成する。
【0079】
増幅回路57a~57cは、それぞれ受光素子56a~56cから出力される電気信号を増幅する。
【0080】
AD変換部58a~58cは、それぞれ増幅回路57a~57cによって増幅された電気信号を受信して、当該電気信号に関してアナログ信号からデジタル信号に変換する(AD変換)。ここで、AD変換部58a~58cは、副干渉計における補正信号生成部61からの補正信号に基づいて、AD変換する。
【0081】
副干渉計では、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を補正するために、副干渉計にて干渉信号を取得し、Kクロックと呼ばれる補正信号を生成する。
【0082】
具体的には、光カプラ54によって副干渉計に分岐された光は、光カプラ54dによって、さらに分岐される。ここで、分岐された各光の光路は、例えば、光カプラ54dと光カプラ54eとの間において異なる長さの光ファイバを用いて光路長差を有するように構成されて、当該光路長差に応じた干渉光が光カプラ54eから出力される。そして、バランスディテクタ60は、光カプラ54eからの干渉光を受光し、その逆位相の信号との差分を取ることによってノイズを除去しつつ、光信号を増幅して電気信号に変換する。
【0083】
なお、光カプラ54d及び光カプラ54eは、いずれも50:50の割合で光を分岐すればよい。
【0084】
補正信号生成部61は、バランスディテクタ60からの電気信号に基づいて、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を把握し、当該非線形に応じたKクロックを生成し、AD変換部58a~58cに出力する。
【0085】
波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性から、主干渉計においてそれぞれAD変換部58a~58cに入力されるアナログ信号の波の間隔は等間隔ではない。AD変換部58a~58cでは、波の間隔が等間隔になるように、上述したKクロックに基づいてサンプリング時間を補正してAD変換(サンプリング)される。
【0086】
なお、Kクロックは、上述したように、主干渉計のアナログ信号をサンプリングするために用いられる補正信号であるため、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要がある。具体的には、副干渉計における光カプラ54dと光カプラ54eとの間で設けられた光路長差を、主干渉計における光ファイバの先端(端面)と計測対象物Tとの間で設けられた光路長差よりも長くしてもよいし、補正信号生成部61で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
【0087】
処理部59は、それぞれAD変換部58a~58cによって非線形性が補正されつつAD変換されたデジタル信号を取得し、当該デジタル信号に基づいて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を算出する。具体的には、処理部59では、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)を用いてデジタル信号を周波数変換し、それらを解析することによって距離が算出される。処理部59における詳細な処理については後述する。
【0088】
なお、処理部59では、高速処理が要求されることから、FPGA(field-programmable gate array)等の集積回路で実現される場合が多い。
【0089】
また、ここでは、主干渉計において3段の光路を設けて、センサヘッド20によってそれぞれの光路から計測対象物Tに対して測定光が照射され、それぞれから得られる干渉光(戻り光)に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。主干渉計におけるチャネルは、3段に限定されるものではなく、1段又は2段であってもよいし、4段以上であってもよい。
【0090】
図5Bは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される別の原理を説明するための図である。図5Bに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20、光ファイバケーブル40、及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54jと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、複数の増幅回路57a~57cと、複数のアナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58a~58cと、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。光ファイバケーブル40は、光ファイバ42Pa~42Pcと、光ファイバ43Pa~43Pcとを含む。
【0091】
波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計側と副干渉計側とに分岐されるが、主干渉計側に分岐された光は、さらに、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐される。
【0092】
測定光は、1段目の光カプラ54aを介して、光ファイバケーブル40の光ファイバ42Pa、センサヘッド20のコリメートレンズ22a及び対物レンズ21を順次に通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射する。計測対象物Tによって反射された測定光は、センサヘッド20を介して光ファイバ42Paの端部42Oaに入射し、光ファイバ42Paを導光されて、端部42Iaから光カプラ54aを介して光カプラ54hへと供給される。
【0093】
同様に、1段目の光カプラ54aから2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、当該2段目の光カプラ54bを介して、光ファイバケーブル40の光ファイバ42Pb、センサヘッド20のコリメートレンズ22b及び対物レンズ21を順次に通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射した上で、2段目の光カプラ54bに戻り、光カプラ54bを介して光カプラ54iへと供給される。2段目の光カプラ54bから3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、当該3段目の光カプラ54cを介して、光ファイバケーブル40の光ファイバ42Pc、センサヘッド20のコリメートレンズ22c及び対物レンズ21を順次に通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射した上で、3段目の光カプラ54cに戻り、光カプラ54cを介して光カプラ54jへと供給される。
【0094】
一方、光カプラ54fによって分岐された参照光は、さらに、光カプラ54gによって光ファイバケーブル40の端部43Ia~43Icのそれぞれの方向に分岐される。光ファイバケーブル40の端部43Ia~43Icのそれぞれに入射した参照光は、光ファイバケーブル40の光ファイバ43Pa~43Pc内をそれぞれ導光される。光ファイバ43Pa~43Pcの端部43Ia~43Icとは反対側には、端部43Oa~43Ocが設けられている。光ファイバ43Pa~43Pc内を導光された参照光は、端部43Oa~43Ocから光カプラ54h、54i及び54jのそれぞれに供給される。
【0095】
光カプラ54hでは、光カプラ54aから出力される計測対象物Tで反射された測定光と、光カプラ54gから出力され光ファイバケーブル40内の光ファイバ43Paを導光された参照光とが干渉し、干渉光が生成されて、受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。換言すれば、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐され、当該測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、光ファイバ42Pa、コリメートレンズ22a、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54hまで到達する光路)と、当該参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光ファイバ43Paを導光された上で光カプラ54hまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。
【0096】
光カプラ54iでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、光ファイバ42Pb、コリメートレンズ22b、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54iまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光ファイバ43Pbを導光された上で光カプラ54iまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56bで受光されて電気信号に変換される。
【0097】
光カプラ54jでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、54c、光ファイバ42Pc、コリメートレンズ22c、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54jまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光ファイバ43Pcを導光された上で光カプラ54jまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56cで受光されて電気信号に変換される。なお、受光素子56a~56cは、例えば、バランスフォトディテクタであってもよい。
【0098】
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれ計測対象物Tで反射されて光カプラ54h、54i及び54jに入力される測定光と、光カプラ54f及び54gを介して光ファイバケーブル40を経由してそれぞれ光カプラ54h、54i及び54jに入力される参照光との光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
【0099】
なお、測定光と参照光との光路長差は、3チャネルにおいてそれぞれ異なるように、例えば、光カプラ54gと、各光カプラ54h、54i及び54jとの光路長を異なるように設定してもよい。
【0100】
そして、それぞれから得られる干渉光に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。
【0101】
[センサヘッドの構造]
ここで、変位センサ10に用いられるセンサヘッドの構造について説明する。
図6Aは、センサヘッド20の概略構成を示す斜視図であり、図6Bは、センサヘッドの内部構造を示す模式図である。
【0102】
図6Aに示されるように、センサヘッド20は、レンズホルダ23に対物レンズ21及びコリメートレンズが格納されている。例えば、レンズホルダ23のサイズは、対物レンズ21を囲う一辺の長さが20mm程度であり、光軸方向への長さが40mm程度である。センサヘッド20には、光ファイバケーブル40が接続される。
【0103】
図6Bに示されるように、レンズホルダ23には、1つの対物レンズ21及び3つのコリメートレンズ22a~22cが格納されている。光ファイバケーブル40に含まれる測定光を導光する光ファイバからの光は、それぞれがコリメートレンズ22a~22cに導かれるように構成されており、さらに、3つのコリメートレンズ22a~22cを通過した光は、対物レンズ21を介して計測対象物Tに照射される。なお、図6Bに示す例では、コリメートレンズの数は3つを示したが、コリメートレンズの数は、光ファイバケーブル40が含む測定光を導光する光ファイバの数に応じた数であってよい。
【0104】
このように、これらの光ファイバケーブル40、及びコリメートレンズ22a~22cは、対物レンズ21とともに、レンズホルダ23によって保持されて、センサヘッド20を構成している。
【0105】
また、センサヘッド20を構成するレンズホルダ23は、高強度で、また高精度に加工できる金属(例えば、A2017)で作製されていてもよい。
【0106】
図7は、コントローラ30における信号処理について説明するためのブロック図である。図7に示されるように、コントローラ30は、複数の受光素子71a~71eと、複数の増幅回路72a~72cと、複数のAD変換部74a~74cと、処理部75と、差動増幅回路76と、補正信号生成部77とを備える。
【0107】
コントローラ30では、図5Aで示されたように、波長掃引光源51から投光された光を光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐し、それぞれより得られる主干渉信号及び副干渉信号を処理することによって、計測対象物Tまでの距離値を算出している。
【0108】
複数の受光素子71a~71cは、図5Aに示された受光素子56a~56cに相当し、主干渉計からの主干渉信号をそれぞれ受光して、電流信号としてそれぞれ増幅回路72a~72cに出力する。
【0109】
複数の増幅回路72a~72cは、電流信号を電圧信号に変換(I-V変換)して増幅する。
【0110】
複数のAD変換部74a~74cは、図5Aに示されたAD変換部58a~58cに相当し、後述する補正信号生成部77からのKクロックに基づいて、電圧信号をデジタル信号に変換する(AD変換)。
【0111】
処理部75は、図5Aに示された処理部59に相当し、AD変換部74a~74cからのデジタル信号をFFTを用いて周波数に変換し、それらを解析して、計測対象物Tまでの距離値を算出する。
【0112】
複数の受光素子71d~71e及び差動増幅回路76は、図5Aに示されたバランスディテクタ60に相当し、副干渉計における干渉光をそれぞれ受光して、一方は位相の反転した干渉信号を出力し、2つの信号の差分を取ることによってノイズを除去しつつ、干渉信号を増幅して電圧信号に変換する。
【0113】
補正信号生成部77は、図5Aに示された補正信号生成部61に相当し、電圧信号をコンパレータで2値化し、Kクロックを生成し、AD変換部74a~74cに出力する。Kクロックは、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要があるため、補正信号生成部77で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
【0114】
図8は、コントローラ30における処理部59によって実行される、計測対象物Tまでの距離を算出する方法を示すフローチャートである。図8に示されるように、当該方法は、ステップS31~S34を含む。
【0115】
ステップS31では、処理部59は、下記FFTを用いて、波形信号(電圧vs時間)をスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換する。図9Aは、波形信号(電圧vs時間)がスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換される様子を示す図である。
【数1】
【0116】
ステップS32では、処理部59は、スペクトル(電圧vs周波数)をスペクトル(電圧vs距離)に距離変換する。図9Bは、スペクトル(電圧vs周波数)がスペクトル(電圧vs距離)に距離変換される様子を示す図である。
【0117】
ステップS33では、処理部59は、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークに対応する距離値を算出する。図9Cは、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークを検出し、それに対応する距離値が算出される様子を示す図である。図9Cに示されるように、ここでは、3チャネルにおいて、それぞれスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出され、それぞれピークに対応する距離値が算出される。
【0118】
ステップS34では、処理部59は、ステップS33で算出された距離値を平均化する。具体的には、処理部59は、ステップS33で3チャネルにおいてそれぞれスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出され、それに対応する距離値が算出されているため、それらを平均化して、当該平均化した算出結果を計測対象物Tまでの距離として出力する。
【0119】
なお、ステップS34では、処理部59は、ステップS33で算出された距離値を平均化する際に、SNRが閾値以上である距離値平均化することが好ましい。例えば、3チャンネルのうち、いずれかのチャンネルにおいて、そのスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出されたものの、SNRが閾値未満の場合には、当該スペクトルに基づいて算出される距離値は、信頼性が低いと判断し、採用しない。
【0120】
次に、本開示に関して、より特徴的な構成、機能及び性質を中心に、具体的な実施形態として詳細に説明する。なお、以下に示される光干渉測距センサは、図1図9を用いて説明した変位センサ10に相当し、当該光干渉測距センサに含まれる基本的な構成、機能及び性質の全部又は一部は、図1図9を用いて説明した変位センサ10に含まれる構成、機能及び性質と共通している。
【0121】
<実施形態>
[光ファイバケーブルの構成]
図10~12に示す光ファイバケーブルは、例えば図5Aに示す変位センサ10に適用可能である。
【0122】
図10は、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル110は、3本の測定光用の光ファイバ110Fsと、3本の参照光用の光ファイバ110Frと、光ファイバ110Fs、110Frに接続されたコネクタ部110Cとを有する。コネクタ部110Cの内部には、3本の光導波路111pと、3本の光導波路112pとが形成されている。光導波路111p及び112pは、クラッドとなる周囲よりも屈折率の大きいコアとして、光を導光することが可能に構成される。
【0123】
光導波路111pは、光ファイバ110Frと光学的に接続されており、光ファイバ110Fr内を伝搬してきた参照光を端部111rに向けて導光する。端部111rは、アルミニウム等の金属によるコートが施されており、参照面となっている。このため、光導波路111p内を導光され端部111rに到達した参照光は、端部111rによって反射され、光導波路111p内を光ファイバ110Frに向かって導光される。
【0124】
光導波路112pは、光ファイバ110Fsと光学的に接続されており、光ファイバ110Fs内を伝搬してきた測定光を端部112oに向けて導光する。端部112oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は112oを介して光導波路112p内に導光された上で、光ファイバ120Fs内を伝搬していく。
【0125】
コネクタ部110C及び光導波路111p、112pの作成方法は特に限定されないが、例えば、ガラスを用いた火炎堆積法によって作成されてもよい。或いは、光導波路111p、112pは、光ファイバとして形成され、コネクタ部110Cの基部を形成するガラスによって当該光ファイバが挟持されて構成されてもよい。
【0126】
図11Aは、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル120は、3本の測定光用の光ファイバ120Fsと、3本の参照光用の光ファイバ120Frと、光ファイバ120Fs、120Frに接続されたコネクタ部120Cと、ミラー123とを有する。コネクタ部120Cの内部には、3本の光導波路121pと、3本の光導波路122pとが形成されている。光導波路121p及び122pは、クラッドとなる周囲よりも屈折率の大きいコアとして、光を導光することが可能に構成される。
【0127】
光導波路121pは、光ファイバ120Frと光学的に接続されており、光ファイバ120Fr内を伝搬してきた参照光を端部121oに向けて導光する。端部121oに到達した参照光は、端部121oから出射され、端部121oの前方に設けられたミラー123によって反射される。ミラー123によって反射された参照光は、端部121oに入射し、光導波路121p内を光ファイバ120Frに向かって導光される。
【0128】
ここで、図11Bは、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。図11Bに示す様に、コネクタ部120Cの端部121oから出射された参照光は、レトロリフレクタ125とミラー124とに順次に反射され、更に再びレトロリフレクタ125に反射された上で、端部121oに入射し、光導波路121p内を光ファイバ120Frに向かって導光されてもよい。
【0129】
図11Aに戻り、光導波路122pは、光ファイバ120Fsと光学的に接続されており、光ファイバ120Fs内を伝搬してきた測定光を端部122oに向けて導光する。端部122oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は122oを介して光導波路122p内に導光された上で、光ファイバ120Fs内を伝搬していく。
【0130】
コネクタ部120C及び光導波路121p、122pの作成方法は特に限定されないが、例えば、ガラスを用いた火炎堆積法によって作成されてもよい。或いは、光導波路121p、122pは、光ファイバとして形成され、コネクタ部120Cの基部を形成するガラスによって当該光ファイバが挟持されて構成されてもよい。
【0131】
図12は、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル130は、3本の測定光用の光ファイバ130Fsと、3本の参照光用の光ファイバ130Frとを有する。3本の測定光用の光ファイバ130Fsと、3本の参照光用の光ファイバ130Frとは、不図示の樹脂等により互いに固定されている。光ファイバ130Fs及び光ファイバ130Frはそれぞれ、光ファイバの先端がフェルールに固定してハウジングに装着されている。
【0132】
光ファイバ130Frの端部131rは、アルミニウム等の金属によるコートが施されており、参照面となっている。このため、光ファイバ130Fr内を導光され端部131rに到達した参照光は、端部131rによって反射され、光ファイバ130Fr内を反対方向に向かって導光される。
【0133】
光ファイバ130Fsの端部132oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は132oを介して光ファイバ130Fs内に導光された上で、光ファイバ130Fs内を伝搬していく。
【0134】
図13A図15に示す光ファイバケーブルは、例えば図5Bに示す変位センサ10に適用可能である。
【0135】
図13Aは、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル210は、3本の測定光用の光ファイバ210Fsと、3本の参照光用の光ファイバ210Frと、光ファイバ210Fs、210Frに接続されたコネクタ部210Cとを有する。コネクタ部210Cの内部には、3本の光導波路211pと、3本の光導波路212pとが形成されている。光導波路211p及び212pは、クラッドとなる周囲よりも屈折率の大きいコアとして、光を導光することが可能に構成される。
【0136】
光導波路211pは、光ファイバ210Frと光学的に接続されており、光ファイバ210Frの一端から光ファイバ210Fr内を伝搬してきた参照光を導光し、略U字状に形成された折り返し部211mを介して、光ファイバ210Frの他端へと導光する。折り返し部211mの形状は特に限定されず、測定光と参照光との光路長差の設定値に基づいて任意に構成可能であってよい。
【0137】
光導波路212pは、光ファイバ210Fsと光学的に接続されており、光ファイバ210Fs内を伝搬してきた測定光を端部212oに向けて導光する。端部212oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は212oを介して光導波路212p内に導光された上で、光ファイバ210Fs内を伝搬していく。
【0138】
コネクタ部210C及び光導波路211p、212pの作成方法は特に限定されないが、例えば、ガラスを用いた火炎堆積法によって作成されてもよい。或いは、光導波路211p、212pは、光ファイバとして形成され、コネクタ部210Cの基部を形成するガラスによって当該光ファイバが挟持されて構成されてもよい。
【0139】
図13Bは、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル220は、3本の測定光用の光ファイバ220Fsと、6本の参照光用の光ファイバ220Frと、光ファイバ220Fs、220Frに接続されたコネクタ部220Cとを有する。コネクタ部220Cの内部には、6本の光導波路221pと、3本の光導波路222pとが形成されている。光導波路221p及び222pは、クラッドとなる周囲よりも屈折率の大きいコアとして、光を導光することが可能に構成される。
【0140】
光導波路221pは、光導波路221p1及び光導波路221p2を含む。光導波路221p1は、光ファイバ220Frと光学的に接続されており、光ファイバ220Frの一端から光ファイバ220Fr内を伝搬してきた参照光を導光し、光導波路221p1の端部221sから出射する。端部221sから出射された参照光は、レトロリフレクタ224に反射された上で、端部221tに入射し、光導波路221p2内を光ファイバ120Frに向かって導光される。
【0141】
光導波路222pは、光ファイバ220Fsと光学的に接続されており、光ファイバ220Fs内を伝搬してきた測定光を端部222oに向けて導光する。端部222oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は222oを介して光導波路222p内に導光された上で、光ファイバ220Fs内を伝搬していく。
【0142】
コネクタ部220C及び光導波路221p、222pの作成方法は特に限定されないが、例えば、ガラスを用いた火炎堆積法によって作成されてもよい。或いは、光導波路221p、222pは、光ファイバとして形成され、コネクタ部220Cの基部を形成するガラスによって当該光ファイバが挟持されて構成されてもよい。
【0143】
図14は、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル230は、3本の測定光用の光ファイバ230Fsと、3本の参照光用の光ファイバ230Fr1と、3本の参照光用の光ファイバ230Fr2とを有する。3本の測定光用の光ファイバ230Fsと、3本の参照光用の光ファイバ230Fr1と、3本の参照光用の光ファイバ230Fr2とは、樹脂等で形成された固定部234により互いに固定されている。
【0144】
光ファイバ230Fsの端部232oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は232oを介して光ファイバ230Fs内に導光された上で、光ファイバ230Fs内を伝搬していく。
【0145】
光ファイバ230Fr1は、光ファイバ230Fr1内を伝搬してきた参照光を導光し、光ファイバ230Fr1の端部231sから出射する。端部231sから出射された参照光は、レトロリフレクタ233に反射された上で、端部231tに入射し、光ファイバ230Fr2内を導光される。
【0146】
図15は、光ファイバケーブルの構成の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル240は、3本の測定光用の光ファイバ240Fsと、3本の参照光用の光ファイバ240Frとを有する。3本の測定光用の光ファイバ240Fsと、3本の参照光用の光ファイバ240Frとは、樹脂等で形成された固定部243により互いに固定されている。
【0147】
光ファイバ240Frは、光ファイバ240Frの一端から光ファイバ240Fr内を伝搬してきた参照光を導光し、略U字状に形成された折り返し部241mを介して、光ファイバ240Frの他端へと導光する。折り返し部241mの形状は特に限定されず、測定光と参照光との光路長差の設定値に基づいて任意に構成可能であってよい。
【0148】
光ファイバ240Fsは、光ファイバ240Fs内を伝搬してきた測定光を端部242oに向けて導光する。端部242oに到達した測定光は、センサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は242oを介して光ファイバ240Fs内に導光された上で、光ファイバ240Fs内を伝搬していく。
【0149】
[変形例]
図16は、光ファイバケーブルの変形例について説明するための図である。
【0150】
光ファイバケーブル41は、光ファイバ44Pa~44Pc、45Pa~45Pc、46Pa~46Pc、47Pa~47Pc、及び光カプラ63a~63cを有する。波長掃引光源51から投光された光は、光カプラ54a~54cのそれぞれから、端部44Ia~44Icを介して光ファイバ44Pa~44Pcの各々に供給される。光ファイバ44Pa~44Pcは、当該光を光カプラ63a~63cまで導光させ、光カプラ63a~63cは、当該光を、光ファイバ45Pa~45Pcを経由する参照光と、光ファイバ47Pa~47Pcを経由する測定光とに分岐させる。
【0151】
光ファイバ45Pa~45Pc内を導光された参照光は、光ファイバ45Pa~45Pcの端部に設けられた参照面45Ra~45Rcによって反射されると、光ファイバ45Pa~45Pc内を導光されて再び光カプラ63a~63cへと供給される。光ファイバ47Pa~47Pc内を導光された測定光は、光ファイバ47Pa~47Pcの端部47Oa~47Ocからセンサヘッド20内に供給され、光導波路や光ファイバ等の内部を導光され、計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は再びセンサヘッド20内に入射され、当該測定光は端部47Oa~47Ocを介して光ファイバ47Pa~47Pc内に導光された上で、光カプラ63a~63cに供給される。
【0152】
光ファイバ45Pa~45Pcから供給された参照光と、光ファイバ47Pa~47Pcから供給された測定光とは、光カプラ62a~62cにおいて干渉し、干渉光が生成されて、当該干渉光の少なくとも一部が光ファイバ46Pa~46Pcを介して受光素子56a~56cに供給される。受光素子56a~56cで受光された干渉光は、電気信号に変換される。
【0153】
図17は、光ファイバケーブルの変形例について説明するための図である。
【0154】
光ファイバケーブル42は、光ファイバ48Pa~48Pc、及び49Pa~49Pcを有する。波長掃引光源51から投光された光は、光カプラ54a~54cのそれぞれから、端部48Ia~48Icを介して光ファイバ48Pa~48Pcの各々に供給される。光ファイバ48Pa~48Pcは、当該光を端部48Oa~48Ocまで導光させる。端部48Oa~48Ocからセンサヘッド20に供給された光は、センサヘッド20の光ファイバ24Pa~24Pcを介して光カプラ23a~23cに供給される。光カプラ23a~23cは、供給された光を、光ファイバ25Pa~25Pcを経由する参照光と、光ファイバ27Pa~27Pcを経由する測定光とに分岐させる。
【0155】
光ファイバ25Pa~25Pc内を導光された参照光は、光ファイバ25Pa~25Pcの端部に設けられた参照面25Ra~25Rcによって反射されると、光ファイバ25Pa~25Pc内を導光されて再び光カプラ23a~23cへと供給される。光ファイバ27Pa~27Pc内を導光された測定光は、コリメートレンズ22a~22c、及び対物レンズ21を介して計測対象物Tに照射される。計測対象物Tによって反射された測定光は光ファイバ27Pa~27Pc内に導光された上で、光カプラ23a~23cに供給される。
【0156】
光ファイバ25Pa~25Pcから供給された参照光と、光ファイバ27Pa~27Pcから供給された測定光とは、光カプラ23a~23cにおいて干渉し、干渉光が生成されて、当該干渉光の少なくとも一部が光ファイバ26Pa~26Pc、及び光ファイバケーブル42の光ファイバ49Pa~49cを介して受光素子56a~56cに供給される。受光素子56a~56cで受光された干渉光は、電気信号に変換される。
【0157】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0158】
1…センサシステム、10…変位センサ、11…制御機器、12…制御信号入力用センサ、13…外部接続機器、20…センサヘッド、21…対物レンズ、22a~22c…コリメートレンズ、23…レンズホルダ、30…コントローラ、31…表示部、32…設定部、33…外部インタフェース(I/F)部、34…光ファイバ接続部、35…外部記憶部、36…計測処理部、40、41、42…光ファイバケーブル、51…波長掃引光源、52…光増幅器、53,53a~53b…アイソレータ、54,54a~54e…光カプラ、55…減衰器、56a~56c…受光素子、58…AD変換部、59…処理部、60…バランスディテクタ、61…補正信号生成部、62a~62c…光カプラ、63a~63c…光カプラ、71a~71e…受光素子、72a~72c…増幅回路、74a~74c…AD変換部、75…処理部、76…差動増幅回路、77…補正信号生成部、100~105…光干渉測距センサ、110…コントローラ、111…波長掃引光源、112…主干渉計、112a~112c…光カプラ、113,113a~113c…第1フォトディテクタ(受光部)、114…副干渉計、114a,114b,114d…光カプラ、114c…サーキュレータ、115…第2フォトディテクタ(受光部)、116…処理部、T…計測対象物
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17