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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048651
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 13/00 20060101AFI20240402BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240402BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B05C13/00
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154679
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暁雄
(72)【発明者】
【氏名】濱川 健史
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA23
4F041BA34
4F041BA60
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA03
4F042BA08
4F042CC02
4F042CC08
4F042DF09
4F042DF28
4F042DF29
4F042DF32
4F042DF34
(57)【要約】
【課題】容易な構成で多品種の基板に対応することができる塗布装置を提供する。
【解決手段】幅寸法の異なる多品種の基板を載置可能なステージと、ステージの表面に載置された基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、を備える塗布装置であって、ステージには、基板の搬入、搬出を行う際に、ステージから所定高さに基板を保持するリフト部材を有しており、リフト部材は、基板を保持する際に基板の裏面に当接する当接部が、幅寸法の異なる基板の保持姿勢を維持可能に基板の幅方向に延びる形状を有する構成とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅寸法の異なる多品種の基板を載置可能なステージと、
前記ステージの表面に載置された前記基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより前記基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、
を備える塗布装置であって、
前記ステージには、基板の搬入、搬出を行う際に、前記ステージから所定高さに基板を保持するリフト部材を有しており、
前記リフト部材は、基板を保持する際に基板の裏面に当接する当接部が、幅寸法の異なる基板の保持姿勢を維持可能に基板の幅方向に延びる形状を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記リフト部材は、前記ステージに載置可能な幅寸法の異なる基板のうち、最大幅を有する基板の幅寸法以上の寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記ステージには、前記リフト部材を下降させて基板を前記ステージ上に載置する際に、基板の裏面縁端部に当接することにより基板をセンタリングするガイドピンが設けられており、前記ガイドピンは、前記ステージ内に収容して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記ガイドピンは、基板の幅寸法毎に設けられており、センタリングする際に、基板の幅寸法に対応する前記ガイドピンのみがステージ上に突出することによりセンタリングが行われることを特徴とする請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記ガイドピンは、先端部分が円錐形状の先鋭部を有しており、前記先鋭部は軸回りに回転可能に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布液を吐出する塗布ユニットと基板とを相対的に移動させて、基板上に塗布膜を形成する塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラスからなる基板上にレジスト液等の塗布液が塗布されたもの(塗布基板という)が使用されている。この塗布基板は、塗布液を均一に塗布する塗布装置によって形成されている。この塗布装置は、図9に示すように、基板Wを載置するステージ100と、塗布液を吐出する塗布ユニット101とを有しており、塗布ユニット101の塗布器102から塗布液を吐出させながら、ステージ100上の基板Wと塗布ユニット101とを相対的に一方向に移動させることにより、均一厚さの塗布膜が形成された基板Wが形成されるようになっている。
【0003】
このステージ100には、基板Wを支持する複数のリフトピン103が設けられており、基板Wの裏面に当接することにより基板Wを支持するように構成されている。すなわち、基板Wが水平姿勢を維持できるように所定の間隔で配置されており、リフトピン103それぞれが基板Wを載置する載置面に対して昇降動作するように構成されている。具体的には、リフトピン103には、ステージ100内でリフトピン103を昇降駆動させる駆動装置であるエアシリンダと接続されており、エアシリンダを駆動制御することにより、全てのリフトピン103が同時に上昇、下降するように構成されている。すなわち、エアシリンダを作動させることにより、リフトピン103は、基板Wが保持姿勢(水平方向に延びる姿勢)を維持した状態で基板Wを支持しつつ、基板Wを上昇、下降させることができるようになっている。
【0004】
実際の基板Wの搬入動作では、ロボットハンド105により基板Wが載置面上に搬入されると、リフトピン103が載置面から突出し、基板Wの裏面に当接することにより、基板Wが保持姿勢を維持する状態で支持される。そして、リフトピン103が下降しステージ100内に収容されることにより載置面上に基板Wが載置され、基板Wの搬入動作が完了する。また、基板W上に塗布膜が形成されると、リフトピン103が基板Wの裏面に当接しつつ上昇し、ステージ100上の基板Wがリフトピン103で持ち上げられた状態でロボットハンド105が進入することにより、リフトピン103からロボットハンド105に基板Wの受け渡しが行われ、基板Wが排出されるようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-087343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、塗布装置で取り扱う基板Wは1品種であり、用途に合わせて多面取りされることで様々な用途に対応していたが、近年では、用途に応じて幅寸法の異なる多品種の基板Wが登場し、これらに塗布膜を形成することが必要とされている。ところが、上記塗布装置では、幅寸法の異なる多品種の基板Wに対応することが困難であるという問題があった。すなわち、上記塗布装置では、リフトピン103が1品種の基板Wに対応して設けられているため、リフトピン103が設けられた位置が多品種の基板Wに対応しておらず、異なる種類の基板Wを支持すると、基板Wの保持姿勢を維持できないという問題があった。また、それぞれの種類に対応させてリフトピン103を増設した場合、特定の種類毎のリフトピン103のみを同時に昇降動作させるエアシリンダが新たに必要になる。そのため、ステージ100内に新たなエアシリンダを設置するスペースが必要になることに加え、ステージ100内の構成が複雑化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、容易な構成で多品種の基板に対応することができる塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、幅寸法の異なる多品種の基板を載置可能なステージと、前記ステージの表面に載置された前記基板に対し相対的に移動しつつ塗布液を吐出することにより前記基板上に塗布膜を形成する塗布ユニットと、を備える塗布装置であって、前記ステージには、基板の搬入、搬出を行う際に、前記ステージから所定高さに基板を保持するリフト部材を有しており、前記リフト部材は、基板を保持する際に基板の裏面に当接する当接部が、幅寸法の異なる基板の保持姿勢を維持可能に基板の幅方向に延びる形状を有することを特徴としている。
【0009】
上記塗布装置によれば、基板を支持するリフト部材は、基板の裏面に当接する当接部が基板の幅方向に延びる形状を有しているため、幅寸法の異なる多品種の基板であっても基板を支持することができる。すなわち、リフト部材の当接部が基板の幅方向に延びる形状を有しているため、基板の幅寸法が異なる場合でも、必ず基板の裏面に当接し支持することができるため、いかなる幅寸法の基板であっても水平方向に延びる保持姿勢を維持した状態で基板を支持することができる。そして、このリフト部材を昇降動作させる駆動装置(エアシリンダ等)についても幅寸法の異なる基板毎に設ける必要がないため、ステージ内の構造が複雑化することを回避することができる。したがって、従来のリフトピンに比べて、容易な構成で幅寸法の異なる基板を支持することができ、幅寸法の異なる基板であってもそのまま塗布膜を形成することができる。
【0010】
また、前記リフト部材は、前記ステージに載置可能な幅寸法の異なる基板のうち、最大幅を有する基板の幅寸法以上の寸法に設定されている構成にしてもよい。
【0011】
この構成によれば、ステージに載置可能な基板であれば、いかなる基板であってもリフト部材で支持することができる。
【0012】
また、前記ステージには、前記リフト部材を下降させて基板を前記ステージ上に載置する際に、基板の裏面縁端部に当接することにより基板をセンタリングするガイドピンが設けられており、前記ガイドピンは、前記ステージ内に収容して設けられている構成にしてもよい。
【0013】
この構成によれば、リフト部材により基板を下降させるだけでガイドピンにより基板をセンタリングすることができ、ガイドピンがステージ内に収容して設けられているため、ガイドピンを設けるためのスペースを別途設けることを回避することができる。
【0014】
また、前記ガイドピンは、基板の幅寸法毎に設けられており、センタリングする際に、基板の幅寸法に対応する前記ガイドピンのみが前記ステージ上に突出することによりセンタリングが行われる構成にしてもよい。
【0015】
この構成によれば、幅寸法の異なる基板それぞれは、専用のガイドピンによりセンタリングすることができる。
【0016】
また、前記ガイドピンは、先端部分が円錐形状の先鋭部を有しており、前記先鋭部は軸回りに回転可能に形成されている構成にしてもよい。
【0017】
この構成によれば、リフト部材により基板を下降させるだけで基板をセンタリングすることができ、ガイドピンをステージ上で移動させてセンタリングする場合に比べて、ガイドピンを移動させる駆動装置等を設ける必要がなく、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の塗布装置によれば、容易な構成で多品種の基板に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における塗布装置の正面図である。
図2】上記塗布装置における側面図である。
図3】上記塗布装置におけるステージを上方から見た図である。
図4】ステージとリフト部材を説明する図であり、(a)は、リフト部材がステージ内に収容された状態を示す図であり、(b)は、リフト部材がステージ上に突出した状態を示す図である。
図5】リフト部材が基板を支持した状態を示す図である。
図6】ステージとガイドピンを説明する図であり、(a)は、ステージ内にガイドピンが収容された状態を示す図であり、(b)は、幅寸法が最も小さい基板をセンタリングする場合にガイドピンが突出した状態を示す図であり、(c)は、幅寸法が最も大きい基板をセンタリングする場合にガイドピンが突出した状態を示す図である。
図7】ガイドピンを示す図である。
図8】ガイドピンにより基板がセンタリングされる状態を示す図であり、(a)は、幅方向(Y軸方向)から見た図であり、(b)は、上方から見た図である。
図9】従来の塗布装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図2は、本発明の一実施形態における塗布装置の外観を概略的に示す図であり、図1は、正面図、図2は、側面図である。
【0021】
塗布装置1は、基板W上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜Mを形成するものであり、基台2と、基板Wを載置するためのステージ21と、このステージ21に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット30とを備えている。そして、ロボットハンド9により、ステージ21に基板Wが供給されると、塗布ユニット30から基板W上に塗布液が吐出され、塗布液が吐出された状態で塗布ユニット30が移動することにより、基板W上に均一厚さの塗布膜が形成される。
【0022】
なお、以下の説明では、この塗布ユニット30が移動する方向をX軸方向(塗布方向)、これと水平面上で直交する方向をY軸方向(幅方向)、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0023】
基台2は、平板形状に形成されており、この基台2上にステージ21、塗布ユニット30、メンテナンス装置8(図2参照)が載置された状態で設けられている。すなわち、ステージ21とメンテナンス装置8がX軸方向に並べて配置されており、このステージ21からY軸方向に離れた位置に塗布ユニット30がX軸方向に走行可能に設けられている。すなわち、塗布ユニット30は、ステージ21とメンテナンス装置8とに走行可能に構成されている。
【0024】
ステージ21は、基板Wを載置して保持するものである。ステージ21は、直方体形状に形成されており、基板Wを載置させる載置面21a(ステージ21の表面)がほぼ平坦状に形成されている。具体的には、X軸方向に延びる形状を有しており、載置面21aに基板Wが載置されると、長尺状の基板Wが載置面21aの沿う平坦な姿勢で保持できるように形成されている。
【0025】
また、このステージ21には、基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により載置面21a上に基板Wが保持されるようになっている。基板保持手段は、基板Wを吸着して保持するものである。具体的には、基板保持手段は、ステージ21の載置面21aに形成される吸引溝と吸引孔とを有しており、この吸引溝及び吸引孔により吸引力を発生させて基板Wを載置面21aに保持できるようになっている。すなわち、ステージ21の載置面21aには、所定の深さで形成される吸引溝がX軸方向及びY軸方向にほぼ等間隔で並んで配置されており、それぞれが互いに交差するように格子状に配置されている。また、吸引溝が交差する部分には、吸引孔が設けられており、この吸引孔と真空ポンプが配管を通じて連結されている。そして、真空ポンプを作動させることにより、吸引孔に吸引力が発生し、吸引溝を通じて載置面21a全体に亘って吸引力が発生するようになっている。
【0026】
塗布ユニット30は、基板W上に塗布液を吐出することにより塗布膜Mを形成するものである。塗布ユニット30は、塗布液を吐出する塗布器31と、塗布器31を支持する支持ユニット40を有している。そして、塗布ユニット30は、塗布器31が支持された状態でX軸方向に移動するように形成されている。すなわち、塗布器31がステージ21上に載置された基板Wと対向した状態で塗布器31から塗布液を吐出しつつ、移動することにより基板W上に均一厚さの塗布膜Mが形成されるようになっている。
【0027】
塗布器31は、塗布液を吐出して基板W上に塗布膜Mを形成するものである。この塗布器31は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット30の走行方向(X軸方向)とほぼ直交するY軸方向(幅方向)に延びるように設けられている。この塗布器31には、ステージ21と対向する面に長手方向に延びるスリットノズル31aが形成されており、塗布器31に供給された塗布液がスリットノズル31aから長手方向に亘って一様に吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル31aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30をX軸方向に走行させることにより、スリットノズル31aの長手方向に亘って基板W上に一定厚さの塗布膜M(図2参照)が形成されるようになっている。
【0028】
支持ユニット40は、塗布器31の姿勢を保ちつつ、塗布器31を支持するためのものである。支持ユニット40は、支柱部41と、この支柱部41から水平方向に延伸されるビーム部42とを有している。本実施形態では、ビーム部42は、支柱部41により片持ち梁構造により支持されている。そして、ビーム部42には塗布器31が取り付けられており、塗布器31のスリットノズル31aがステージ21の載置面21aに向く姿勢で支持されている。そして、図示しない駆動装置によりビーム部42が昇降動作するように形成されており、塗布器31が、ステージ21に保持された基板Wに対して接離可能に支持されている。
【0029】
また、支柱部41が載置されるベース43には、駆動部5が設けられている。この駆動部5により支持ユニット40がX軸方向に移動できるようになっている。具体的には、基台2上には、X軸方向に延びる2本のレール51(本発明のガイド部材)が設けられており、ベース43がスライダ52を介してレール51にスライド自在に取り付けられている。そして、基台2にはリニアモータが取り付けられており、リニアモータを駆動制御することにより、ベース43に取り付けられた支柱部41、ひいては塗布ユニット30がレール51に沿ってX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。本実施形態では、塗布器31がステージ21とメンテナンス装置8のそれぞれの位置に停止することができ、塗布器31がステージ21と対向する姿勢でステージ21上を移動できるようになっている。
【0030】
また、ステージ21のX軸方向に離れた位置には、メンテナンス装置8が配置されている。メンテナンス装置8は、塗布器31を清掃、初期化するものである。すなわち、所定量の塗布液を吐出した後、拭き取り部材で塗布器31のスリットノズル31aが拭き取られることにより、塗布器31内の塗布液がスリットノズル31aの先端部分にまで長手方向に渡って均一に充填されている状態が形成される。これにより、スリットノズル31aの清掃と、次の塗布膜Mを形成するための初期化が行われる。
【0031】
また、ステージ21には、供給された基板Wを昇降動作させる基板昇降機構が設けられている。本実施形態では、図3図4に示すように、基板昇降機構は、基板Wを支持可能なリフト部材11と、このリフト部材11を昇降させる昇降部12により構成されている。具体的には、リフト部材11は、ステージ21内に収容されて設けられており、エアシリンダなどの駆動装置である昇降部12が作動することにより、リフト部材11が上昇し、ステージ21から所定高さに上昇するように形成されている。すなわち、リフト部材11は、図4(a)に示すように、ステージ21の載置面21aよりも低い位置に収容されており、昇降部12で上昇させることにより、載置面21aよりも高い位置、すなわち、基板W受け渡し位置まで上昇するように形成されている(図4(b))。これにより、リフト部材11が基板W受け渡し位置に待機した状態でロボットハンド等により基板Wがステージ21上に搬入され、さらにロボットハンド等が下降することにより、基板Wの裏面rがリフト部材11に当接することにより、基板Wが支持されるようになっている。
【0032】
リフト部材11は、一方向(本実施形態ではY軸方向)に延びる棒状部材であり、本実施形態では、図3図4に示すように、幅方向(Y軸方向)に延びるように配置されている。リフト部材11は、上面部分には、基板Wの裏面rに当接する当接部11aを有しており、所定長さを有するように形成されている。本実施形態では、当接部11aは、搬入された基板Wの幅方向寸法(Y軸方向寸法)よりも大きい寸法に形成されている。すなわち、当接部11aは、図5に示すように、塗布装置で取り扱う多品種の基板Wのうち、最も幅方向寸法が大きい種類の基板Wの幅寸法aよりも大きい寸法Aに形成されている。これにより、aよりも幅寸法が小さいbの基板W(幅寸法a以下の基板W)が搬入された場合でも、共通のリフト部材11が基板Wの幅方向端部を越えた状態で当接し、その当接部11aが基板Wの裏面rを幅方向に亘って確実に当接し支持することができる。すなわち、リフト部材11により基板Wが支持された状態では、幅方向において、いずれの種類の基板Wであってもほぼ水平に延びる姿勢(保持姿勢)を維持できるようになっている。
【0033】
また、リフト部材11の当接部11aは、曲面に形成されている。具体的には、図4図5に示すように、当接部11aは、断面が半月形状に形成されており、当接部11aが基板Wの裏面rに当接した場合に、基板Wの裏面rとの接触する面積を抑えつつ、また、先鋭形状のピンに比べて接触箇所に傷がつくのを抑えられるようになっている。
【0034】
また、リフト部材11は、本実施形態では、2本設けられており、それぞれX軸方向に離れて配置されている。すなわち、これらのリフト部材11は、基板Wの長手方向(X軸方向)両端部分を支持するように調節されており、基板Wを支持した状態では、2本のリフト部材11の間から基板Wがずれ落ちることなく、基板Wがほぼ水平に延びる姿勢(保持姿勢)で支持されるようになっている。ここで、基板Wが保持される保持姿勢は、完全に水平方向に延びる姿勢だけでなく、基板Wの長手方向中央位置が僅かに撓む姿勢も含まれる。これにより、リフト部材11が下降すると支持される基板Wは、大きく位置ずれを生じることなく載置面21aに載置される。このように、リフト部材11は、当接部11aが基板Wの幅方向に沿って当接するように設定されていることにより、幅寸法の異なる多品種の基板Wであっても安定して支持することができるようになっている。そして、載置面21aに載置された基板Wは、リフト部材11が上昇することにより基板W受け渡し位置まで基板Wを上昇させて保持し、ロボットハンド等が基板Wの裏面rから保持することにより基板Wが排出される。このように、リフト部材11の昇降動作によりステージ21上に基板Wを搬入、搬出することができるようになっている。なお、本実施形態では、リフト部材11が最も幅方向寸法が大きい種類の基板Wの幅寸法よりも大きい寸法に設定されているが、最も幅方向寸法が大きい種類の基板Wの幅寸法と同じ寸法に設定されていてもよい。
【0035】
また、ステージ21には、搬入された基板Wをセンタリングするガイドピン6が設けられている。ガイドピン6は、ステージ21に収容されて設けられており、載置面21aから突出した状態でリフト部材11により基板Wを下降させることによりセンタリングされるように構成されている。このガイドピン6は、取り扱う基板Wの種類毎に設けられており、本実施形態では、図3に示す例では3種類の基板Wに対応したガイドピン6が設けられており、6本のガイドピン6が基板Wに当接することによりセンタリングされるように構成されている。
【0036】
ガイドピン6は、基板Wの長手方向(X軸方向)端部に当接する長手方向ピン61と、基板Wの幅方向(Y軸方向)端部に当接する幅方向ピン62を有しており、それぞれ個別にピン孔に収容されて設けられている。長手方向ピン61は、本実施形態では、図3に示すように、長手方向ピン61を収容するピン孔61aがステージ21の幅方向中央位置であって、X軸方向に離れた位置に2カ所形成されている。そして、図示しないエアシリンダ等の駆動装置を駆動させることにより、ピン孔61aから長手方向ピン61が突出、収容できるようになっている。すなわち、基板Wが搬入された場合には、長手方向ピン61が載置面21aから突出し、基板Wの長手方向端部に当接することにより、基板WのX軸方向の位置決めが行われるようになっている。
【0037】
また、幅方向ピン62は、基板Wの幅方向端部に当接することにより基板Wの幅方向の位置決めを行うものである。幅方向ピン62は、取り扱う基板Wの種類毎に基板Wの幅寸法に合わせて設けられており、本実施形態では、図3に示すように、基板Wの種類毎に専用のピン孔62aがY軸方向に離れて設けられており、それぞれのピン孔に幅方向ピン62が収容されて設けられている。本実施形態では、幅方向ピン62は、基板Wの種類毎に4本1組として設けられており、塗布方向(X軸方向)に沿って基板Wの種類毎に並べて配置されて設けられている。図3の例では、ステージ21には、塗布方向(X軸方向)外側から順に、最小幅の基板W(対応するピン孔62a1)、中間幅の基板W(対応するピン孔62a2)、最大幅の基板W(対応するピン孔62a3)に対応した計4本ずつの幅方向ピン62が配列されて設けられている。すなわち、基板Wが搬入されると、この基板Wに対応した4本の幅方向ピン62が選択され、これらの幅方向ピン62が突出することにより基板Wの幅方向端部に当接し、幅方向(Y軸方向)のセンタリングが行われるようになっている。
【0038】
すなわち、ステージ21上に搬送された基板Wは、長手方向端部に長手方向ピン61が当接し、幅方向端部に幅方向ピン62が当接することにより、6本のガイドピン6によりセンタリングが行われる。具体的には、図6(a)~図6(c)に示すように、収容されていたガイドピン6(図6(a))は、最小幅の基板Wが搬入されると、長手方向ピン61と、X軸方向において最も外側に位置する幅方向ピン62が突出することにより基板Wがセンタリングされる(図6(b))。一方、最大幅の基板Wが搬入されると、長手方向ピン61と、X軸方向において最も内側に位置する幅方向ピン62が突出することにより基板Wがセンタリングされる(図6(c))。このように、基板Wは、2本の長手方向ピン61と、基板Wの種類毎に設定された4本の幅方向ピン62により基板Wがセンタリングされるようになっている。
【0039】
また、ガイドピン6は、先端が先鋭形状のピン部材で形成されている。具体的には、図7に示すように、ガイドピン6は、円筒形状のピン本体部6aと、ピン本体部6aに取り付けられた円錐形状の先端部6bとを有している。この先端部6bは、軸周りに回転するようになっており、基板Wが当接することにより、従動的に回転するように構成されている。これにより、リフト部材11に支持された基板Wが下降することにより基板Wの姿勢が矯正されるようになっている。
【0040】
すなわち、図8(a)に示すように、搬送された基板Wがリフト部材11に支持されるより基板Wの受け渡しが完了し基板Wがステージ21上に搬入されると(図8(a)破線で示す)、長手方向ピン61と、基板Wの種類に応じて選択された幅方向ピン62とが、突出した状態で待機する。そして、リフト部材11が下降することにより、基板Wが突出して待機している長手方向ピン61及び幅方向ピン62に当接する。すなわち、基板Wの裏面縁端部r1が、長手方向ピン61、幅方向ピン62の先端部6bに当接することにより、先端部6bが回転しつつ、図8(b)に示すように、実線で示す基板Wが2点鎖線で示す基板Wの位置に矯正され、基板Wが長手方向ピン61、幅方向ピン62の間に誘導される。すなわち、リフト部材11が下降することにより、リフト部材11で支持された基板Wは基板Wの位置が矯正され、6本のガイドピン6の間に誘導されることにより基板Wがセンタリングされるようになっている。
【0041】
このように、上記塗布装置によれば、基板Wを支持するリフト部材11は、基板Wの裏面rに当接する当接部11が基板Wの幅方向に延びる形状を有しているため、幅寸法の異なる多品種の基板Wであっても基板Wを支持することができる。すなわち、リフト部材11の当接部11aが基板Wの幅方向に延びる形状を有しているため、基板Wの幅寸法が異なる場合でも、必ず基板Wの裏面rに当接し支持することができるため、いかなる幅寸法の基板Wであっても水平方向に延びる保持姿勢を維持した状態で基板Wを支持することができる。そして、このリフト部材11を昇降動作させる駆動装置(エアシリンダ等)についても幅寸法の異なる基板W毎に設ける必要がないため、ステージ21内の構造が複雑化することを回避することができる。したがって、従来のリフトピンに比べて、容易な構成で幅寸法の異なる基板Wを支持することができ、幅寸法の異なる基板Wであってもそのまま塗布膜を形成することができる。そして、リフト部材11により基板Wを下降させるだけでガイドピン6により基板Wをセンタリングすることができ、ガイドピン6がステージ21内に収容して設けられているため、ガイドピン6を設けるためのスペースを別途設けることを回避することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、長手方向ピン61が2本、幅方向ピン62が4本の例について説明したが、本数は特に限定せず、基板Wの長手方向端部、幅方向端部にガイドピン6を当接させてセンタリングできれば、ガイドピン6の本数は限定しない。
【0043】
また、上記実施形態では、ガイドピン6の先鋭部が軸周りに回転可能である例について説明したが、先鋭部が回転しない構成であってもよい。この場合、基板Wと当接させることにより基板Wがセンタリングされるため、ガイドピン6における基板Wが当接する部分の材質は摺動抵抗の小さい材質を使うことが望ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 塗布装置
6 ガイドピン
9 ロボットハンド
11 リフト部材
21 ステージ
21a 載置面
30 塗布ユニット
31 塗布器
61 長手方向ピン
62 幅方向ピン
W 基板
r 裏面
r1 裏面縁端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9