(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048653
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154681
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】山下 登教
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA01
2E025AA26
(57)【要約】
【課題】本来は屋外で行われる作業を屋内で快適に行うことができるとともに、アウトドア気分を屋内で気軽に味わうことができるようにする。
【解決手段】建物1が、外周に設けられた外壁6の屋内側に設けられるとともに上方には天井が設けられ、建物1内の部屋28に対して仕切壁22を介して隣接配置されたインナーテラス部21を備え、インナーテラス部21は、玄関土間部23aと、玄関土間部23aに隣接して連続する作業スペース部24,25と、を有し、インナーテラス部21の床面は土間床12によって構成され、外壁6には、屋外とインナーテラス部21とを連通する建具6b付きの屋外側開口部6aが形成され、仕切壁22には、部屋28とインナーテラス部21とを連通する建具22b付きの室内側開口部22aが形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周に設けられた外壁の屋内側に設けられるとともに上方には天井が設けられ、建物内の部屋に対して仕切壁を介して隣接配置されたインナーテラス部を備えており、
前記インナーテラス部は、玄関土間部と、前記玄関土間部に隣接して連続する作業スペース部と、を有しており、
前記インナーテラス部の床面は土間床によって構成され、
前記外壁には、屋外と前記インナーテラス部とを連通する屋外側開口部が形成されるとともに、当該屋外側開口部を開閉する建具が設けられ、
前記仕切壁には、前記部屋と前記インナーテラス部とを連通する室内側開口部が形成されるとともに、当該室内側開口部を開閉する建具が設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
請求項1に記載の建物において、
前記作業スペース部には、作業台が設置されていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項1に記載の建物において、
前記部屋は、開閉可能に構成されて屋外と前記部屋とを連通する開口部を備えており、
前記部屋の前記開口部と前記屋外側開口部と前記室内側開口部は一直線上に配置されていることを特徴とする建物。
【請求項4】
請求項3に記載の建物において、
前記インナーテラス部及び前記部屋は、建物の外周のうち北側に沿って配置され、
前記部屋の前記開口部と前記屋外側開口部と前記室内側開口部は、東西方向に沿って一直線上に配置されていることを特徴とする建物。
【請求項5】
請求項1に記載の建物において、
前記屋外側開口部の上方に設けられ、外方に向かって張り出す上方張出部を備え、
前記屋外側開口部が形成された前記外壁は、前記上方張出部における張出方向の先端部よりも屋内側に配置されていることを特徴とする建物。
【請求項6】
請求項1に記載の建物において、
前記玄関土間部と前記作業スペース部は、平面視において第一方向に並んで配置され、
前記玄関土間部は、平面視において前記第一方向と直交する第二方向に伸びて形成されていることを特徴とする建物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の建物において、
前記玄関土間部は、前記作業スペース部とは異なる方向に沿って形成された通路と隣接して配置され、前記通路は、前記部屋に接続されて行き来可能となっていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅本体における玄関出入口の屋外側に玄関ポーチを配置し、さらに、この玄関ポーチと並んで中庭を配置した住宅が知られている(特許文献1参照)。
玄関ポーチと中庭は、南側において住宅本体の間口に沿って配置されている。また、玄関ポーチの上方には二階バルコニーが設けられ、中庭の一部の上方には、二階バルコニーと並んで庇が設けられている。そして、中庭のうち庇がない部分は、吹き抜けていて上空に開口した状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、在宅勤務の拡大等により家で過ごす時間が増えたことから、いわゆるDIYや園芸等のような、住宅の庭などで行うことのできる屋外作業の需要が高まっている。その他にも、庭をリビングの延長として利用する、庭でキャンプを行う、庭でバーベキューを行う、といったアウトドア気分を味わう工夫や方法にも注目が集まっている。
ところが、このようなアウトドア需要の高まりに反して、近年は、地球温暖化の影響により猛暑日(気温35度以上)が増えたと言われている。そのため、例えば庭の一部を庇で覆う程度の対策では、夏の暑い日に屋外作業を快適に行うことが難しく、気軽にアウトドア気分を味わうことも難しい。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、本来は屋外で行われる作業を屋内で快適に行うことができるとともに、アウトドア気分を屋内で気軽に味わうことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、建物1であって、例えば
図1~
図3に示すように、建物1の外周に設けられた外壁6(2,3,4)の屋内側に設けられるとともに上方には天井が設けられ、建物1内の部屋28に対して仕切壁22を介して隣接配置されたインナーテラス部21を備えており、
前記インナーテラス部21は、玄関土間部23aと、前記玄関土間部23aに隣接して連続する作業スペース部24,25と、を有しており、
前記インナーテラス部21の床面は土間床12によって構成され、
前記外壁6には、屋外と前記インナーテラス部21とを連通する屋外側開口部6aが形成されるとともに、当該屋外側開口部6aを開閉する建具6bが設けられ、
前記仕切壁22には、前記部屋28と前記インナーテラス部21とを連通する室内側開口部22aが形成されるとともに、当該室内側開口部22aを開閉する建具22bが設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、インナーテラス部21は、外壁6(2,3,4)の屋内側に設けられるとともに上方には天井が設けられているので、屋内空間として建物1に備えられた状態となっている。そのため、建物1内にいる人にとって、インナーテラス部21は、建物1の屋内空間として認識されやすい。
その一方で、インナーテラス部21は、床面が土間床12によって構成されていて、仕切壁22及び室内側開口部22aを開閉する建具22bによって部屋28と仕切られ、さらに、外壁6の屋外側開口部6aを開放させれば容易に屋外空間と連通するので、建物1内にいる人にとって、屋外空間として認識されやすくもなる。また、インナーテラス部21は、屋外空間に最も近い存在としての玄関土間部23aと、玄関とは異なる作業空間として、玄関土間部23aに隣接して連続する作業スペース部24,25と、を有する。そのため、建物1内にいる人に対し、本来であれば屋内では行われない作業を、インナーテラス部21(作業スペース部24,25)に限っては行うことができる、という認識を持たせやすくなる。換言すれば、インナーテラス部21は、本来は屋外で行われなければならないような作業を屋内で行うという心理的障壁が、ある程度下げられた状態の屋内空間として認識されやすくなる。これにより、建物1内にいる人は、インナーテラス部21で、屋外作業を行ったり、アウトドア気分を味わえることを気軽に行ったりすることができる。
しかも、屋外側開口部6aを建具6bによって閉塞しておけば、インナーテラス部21は、屋外空間とは隔てられて、屋内空間と同様の環境となるので、たとえ夏場の暑い日であっても、屋外作業を快適に行うことができる。また、夏場の暑い日でなければ、屋外側開口部6aを開放し、開放感のある環境で屋外作業を快適に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図2に示すように、請求項1に記載の建物1において、
前記作業スペース部24(第一作業スペース部24)には、作業台24aが設置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、作業スペース部24には、作業台24aが設置されているので、建物1内にいる人に対して、作業スペース部24を、玄関土間部23aとは異なる空間として認識されやすくすることができる。また、作業スペース部24で作業を行う際に、作業台24aを使って様々な作業を行うことができるので使い勝手が良い。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項1に記載の建物1において、
前記部屋28は、開閉可能に構成されて屋外と前記部屋28とを連通する開口部4aを備えており、
前記部屋28の前記開口部4aと前記屋外側開口部6aと前記室内側開口部22aは一直線上に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、部屋28の開口部4aと屋外側開口部6aと室内側開口部22aは一直線上に配置されているので、これら各開口部4a,6a,22aを開放すれば、インナーテラス部21側の屋外空間から部屋28側の屋外空間にかけて風を通すことができる。これにより、インナーテラス部21及び居室28の換気を効率良く行うことができるので、特に夏場の暑い日でなければ、インナーテラス部21及び部屋28における屋内環境の快適性を向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1,
図2に示すように、請求項3に記載の建物1において、
前記インナーテラス部21及び前記部屋28は、建物1の外周のうち北側に沿って配置され、
前記部屋28の前記開口部4aと前記屋外側開口部6aと前記室内側開口部22aは、東西方向に沿って一直線上に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、部屋28の開口部4aと屋外側開口部6aと室内側開口部22aは東西方向に沿って一直線上に配置されているので、これら各開口部4a,6a,22aを開放すれば、東西方向に沿って建物1内に風を通すことができる。さらに、インナーテラス部21及び部屋28は、建物1の外周のうち北側に沿って配置されているので、南側よりも比較的温度の低い北側の位置で、東西方向に沿って建物1内に風を通すことができ、インナーテラス部21及び部屋28における屋内環境の快適性をより一層向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1~
図3に示すように、請求項1に記載の建物1において、
前記屋外側開口部6aの上方に設けられ、外方に向かって張り出す上方張出部16(バルコニー16)を備え、
前記屋外側開口部6aが形成された前記外壁6は、前記上方張出部16における張出方向の先端部(手摺壁17)よりも屋内側に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、屋外側開口部6aが形成された外壁6は、上方張出部16における張出方向の先端部よりも屋内側に配置されているので、日光が、上方張出部16によって遮られ、インナーテラス部21に日光が射し込みにくくなる。これにより、特に夏場の日中では、インナーテラス部21における屋内環境の快適性を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図2に示すように、請求項1に記載の建物1において、
前記玄関土間部23aと前記作業スペース部24,25は、平面視において第一方向に並んで配置され、
前記玄関土間部23aは、平面視において前記第一方向と直交する第二方向に伸びて形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、玄関土間部23aと作業スペース部24,25は、平面視において第一方向に並んで配置され、玄関土間部23aは、平面視において第一方向と直交する第二方向に伸びて形成されているので、玄関から建物1内に入ってきた人を、第一方向と第二方向のいずれかに誘導することができる。これにより、玄関23からその奥に至る少なくとも二つ分の動線を確保することができるので、必要に応じて各動線を使い分けることができて使い勝手が良い。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図2に示すように、請求項1から6のいずれか一項に記載の建物1において、
前記玄関土間部23aは、前記作業スペース部24,25とは異なる方向に沿って形成された通路23b,26(玄関ホール部23b、一階廊下26)と隣接して配置され、前記通路23b,26は、前記部屋28に接続されて行き来可能となっていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、玄関土間部23aは、作業スペース部24,25とは異なる方向に沿って形成された通路23b,26と隣接して配置され、通路23b,26は、部屋28に接続されて行き来可能となっているので、玄関から建物1内に入ってきた人を、作業スペース部24,25側と通路23b,26側のいずれかに誘導することができる。これにより、玄関23から部屋28に至る少なくとも二つ分の動線を確保することができるので、必要に応じて各動線を使い分けることができて使い勝手が良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本来は屋外で行われる作業を屋内で快適に行うことができるとともに、アウトドア気分を屋内で気軽に味わうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
本実施形態の建物1は、
図1~
図3に示すように、北側と南側に設けられた開口部が少なく、採光に用いられる主要な開口部が西側に設けられた西向きの住宅である。
建物1の北側外壁2及び南側外壁3は、基礎から二階床14よりも上方に突出する高さとなっているが、二階床14よりも上方に突出する部分の高さは低く設定されている。すなわち、バルコニー16の手摺壁17と略等しい高さに設定されている。
【0024】
屋根は、切妻屋根とされており、北側外壁2の上端部に北側屋根8が設けられ、南側外壁3の上端部に南側屋根9が設けられている。本実施形態の屋根は、切妻屋根であるとしたが、あたかも合掌造りの屋根のように急勾配の屋根とされており、このような屋根の小屋裏空間が、建物1の二階部分となっている。屋根の種類は、切妻屋根に限られるものではないが、切妻屋根のように妻面が露出し、かつ、小屋裏空間を居住スペースとして利用できる屋根であるものとする。
なお、建物1の二階部分は、急勾配の北側屋根8及び南側屋根9の下方に形成されるため、天井は、北側屋根8及び南側屋根9の下面を利用した勾配天井とされており、北側及び南側に向かうにつれて天井高が低くなる。
【0025】
東側第一外壁4は、東側に位置する一階の外壁であり、東側第二外壁5は、東側に位置する二階の外壁である。東側第二外壁5の上部側は、北側屋根8及び南側屋根9に沿って三角形状に形成されているものとする。
東側第一外壁4と東側第二外壁5は、同一鉛直面に沿って設けられた外壁である。
また、これら東側第一外壁4及び東側第二外壁5は、北側外壁2及び南側外壁3の東側端部間に亘って設けられている。
【0026】
西側第一外壁6は、西側に位置する一階の外壁であり、西側第二外壁7は、西側に位置する二階の外壁である。西側第一外壁6と西側第二外壁7は、同一鉛直面に沿って設けられていない。
西側第一外壁6は、大開口である屋外側開口部6aが形成された部分や、平断面視凹型に形成された部分(第一凹型スペースS1の部分)、玄関出入口6cが形成された部分等を有しており、後述するインナーテラス部21の屋外側面を形成している。
西側第二外壁7は、西側第二外壁7の上部側は、バルコニー16に面し、北側屋根8及び南側屋根9に沿って三角形状に形成されている。また、この西側第二外壁7は、西側第一外壁6よりも室内側(東側)に寄せられて配置されている。つまり、西側第一外壁6よりも室内側に後退した位置に配置されるので、その分、北側屋根8及び南側屋根9は、軒の出が深くなる。バルコニー16は、このような深い軒部分8a,9aの下に設けられている。
【0027】
建物1の外周はおおよそ以上のように形成されている。建物1の外周部分におけるその他の構成としては、以下のような点が挙げられる。
北側屋根8及び南側屋根9の西側端面と、北側外壁2及び南側外壁3の西側端面は面一となっている。また、北側屋根8及び南側屋根9の東側端面と、北側外壁2及び南側外壁3の東側端面は面一となっている。
また、南側屋根9には、略全面に亘って太陽電池パネル(図示省略)が設けられているものとする。一方、北側屋根8には、天窓(図示省略)が設けられているものとする。
さらに、北側外壁2には、一階に1つの窓2aが形成されており、南側外壁3には、階段室33に1つの窓3aが形成されている。換言すれば、北側外壁2及び南側外壁3に形成される開口部は、数が極めて少ない。これにより、夏場は、強い日差しが屋内に差し込むことを極力防ぐことができ、冬場は、コールドドラフト現象を抑制することができる。
【0028】
建物1における一階の床は、屋外土間床11と、屋内土間床12と、一階室内床13からなる。
屋外土間床11は、地面から屋外階段10を上がった位置であって、かつ、西側第一外壁6の屋外側に位置する部分の土間床である。
屋内土間床12は、西側第一外壁6の屋内側に位置する部分の土間床である。
これら屋外土間床11と屋内土間床12は、床レベルが略等しく設定されているが、これら屋外土間床11及び屋内土間床12は屋外側に向かって水勾配が形成されていることが望ましい。また、図示はしないが、屋外土間床11及び屋内土間床12は、床仕上げ面よりも下方に、水を屋外又は排水管に排出する排水設備を具備していると尚望ましい。
また、一階室内床13は、一階の室内に設けられた各部屋の床を構成しており、各部屋の床はフラットに形成されている。また、床仕上げとしてフローリング材が用いられている。この一階室内床13の床レベルは、屋外土間床11及び屋内土間床12よりも一段高くなっている。その床レベルの差(段差の高さ)は、例えば18~20cmとされているが、これに限られるものではなく、例えば10cm程度でもよいし、10cm以下とされてもよい。
なお、建物1の一階における室内とは、一階室内床13上に設けられた各部屋、又は各部屋が設けられたエリア全体を指しており、インナーテラス部21は含まれない。
【0029】
建物1における二階の床は、二階室内床14と、バルコニー床15からなる。
二階室内床14は、二階に設けられた各部屋の床を構成しており、各部屋の床はフラットに形成されている。また、床仕上げとしてフローリング材が用いられている。
バルコニー床15は、西側第二外壁7の屋外側に位置する部分の土間床である。バルコニー床15と、北側屋根8及び南側屋根9における軒部分8a,9aとの間がバルコニー16とされている。バルコニー床15の西側端部には、手摺壁17が設けられている。
なお、本実施形態においては、二階室内床14とバルコニー床15の床レベルは略等しく設定されているが、バルコニー床15が下方に位置していてもよい。また、バルコニー床15は、水勾配が形成されており、かつ、排水溝や樋などの排水設備を具備している。
また、ここで言う室内とは、二階室内床14上に設けられた各部屋、又は各部屋が設けられたエリア全体を指しており、バルコニー16は含まれない。
【0030】
次に、建物1の間取り等について説明する。
建物1のうち西側第一外壁6の屋外側には、屋外土間床11を床面とする正面ポーチ部20が設けられている。正面ポーチ部20は、北側外壁2と南側外壁3との間に亘って設けられている。
正面ポーチ部20の南側部分は、玄関ポーチとして機能する部分である。この玄関ポーチの部分には、西側第一外壁6に形成された玄関出入口6cの横に、例えば傘等を収納できる収納部20aが設けられている。
【0031】
西側第一外壁6の屋内側には、屋内土間床12を床面とするインナーテラス部21が設けられている。インナーテラス部21は、正面ポーチ部20と同様に、北側外壁2と南側外壁3との間に亘って設けられている。また、インナーテラス部21は、室内側仕切壁22によって室内側(居室28)と仕切られている。さらに、インナーテラス部21は、西側第一外壁6の屋内側に設けられており、この西側第一外壁6によって屋外と仕切られている。
また、インナーテラス部21は、上方に必ず天井又は屋根がある状態となっている。すなわち、屋外である上空には直接開口していない。ただし、屋根に、開閉可能な天窓や煙突、換気塔などはあってもよい。本実施形態においては、インナーテラス部21の上方には天井及び屋根がある。天井の上には、建物1における二階部分のうち、バルコニー16と部屋38と二階廊下34がある。
インナーテラス部21は、屋内に設けられていながら、本来は屋外で行われる作業、又は屋外(室外)で行うのが好ましい作業(以下、屋外作業)を行うことを目的とした部屋であり、屋外空間と室内の部屋との中間エリア(緩衝エリア)として認識される。
ここで、屋外作業とは、DIYや園芸を始め、キャンプ用品を広げてのキャンプ、バーベキュー、自転車や機械類のメンテナンス等が挙げられる。また、絵画や工作、彫刻、縫製などといった作業を指してもよいものとする。すなわち、室内が汚れることを避けるために室外で行われる作業全般を指すものとする。
【0032】
インナーテラス部21は、玄関出入口6cから屋内に入った位置の玄関23と、玄関23の北側に位置する第一作業スペース部24と、第一作業スペース部24の北側に位置する第二作業スペース部25と、を備える。
これら玄関23と第一作業スペース部24と第二作業スペース部25は、同一の屋内土間床12上に設けられるとともに隔てなく連続した空間となっている。そのため、本実施形態においては、第一作業スペース部24と第二作業スペース部25とを別スペースとして説明しているが、同一スペースであってもよい。
【0033】
玄関23は、屋内土間床12を床面とする玄関土間部23aと、玄関土間部23aに隣接し、室内側に位置する玄関ホール部23bと、を有する。玄関ホール部23bは、一階室内床13を床面としている。
ここで、インナーテラス部21は、玄関23のうち、屋内土間床12を床面とする玄関土間部23aのみを含むものとする。
玄関土間部23aは、玄関出入口6c側から後述する階段室33までの範囲となっていて、間口方向と直交する奥行方向に長尺に形成されている。ただし、これに限られるものではなく、玄関土間部23aは、玄関出入口6cから室内側仕切壁22の延長線上までの範囲で形成されたものであってもよい。
【0034】
玄関ホール部23bの北側には、室内側仕切壁22と直交する壁を含んで構成された玄関収納部23cが設けられている。
玄関23は、上方空間が南側屋根9まで吹き抜けた吹抜部とされている。ただし、本実施形態においては、このように玄関23は、上方が吹き抜けているものとしたが、吹き抜けていなくてもよい。つまり、玄関23の上方には天井があってもよい。
【0035】
第一作業スペース部24は、西側第一外壁6のうち平断面視凹型に形成された第一凹型スペースS1と、室内側仕切壁22のうち平断面視凹型に形成された第二凹型スペースS2との間に位置するエリアを指している。
第一凹型スペースS1には、作業台24a及び椅子24bが設置されており、椅子24bに座りながらの屋外作業を行うことができる。
第二凹型スペースS2は、左右に分かれた収納部24c,24dとなっており、インナーテラス部21で行われる屋外作業に必要な機械や器具、材料等を収納しておくことができる。
第一凹型スペースS1と第二凹型スペースS2との間は、作業スペース兼通路となっており、玄関23と第二作業スペース部25とを接続している。
【0036】
第二作業スペース部25は、テーブルやベンチ等を設置して寛いだり、キャンプ用品を広げたりするようなスペースであり、第一作業スペース部24よりも広い作業スペースを確保することができる。
この第二作業スペース部25は、西側第一外壁6に形成された屋外側開口部6aと、室内側仕切壁22に形成された室内側開口部22aとの間に位置している。
【0037】
屋外側開口部6aは、折戸6bによって開閉される。折戸6bであるため、屋外側開口部6aを広く開口することができる。
折戸6bは、障子にガラス等の透光性・透視性材料が設けられており、屋外から日光を採り入れたり、屋外の風景を見たりすることができる。
【0038】
室内側開口部22aは、二つの引き違い戸22bによって開閉される。引き違い戸22bであるため、室内側開口部22aを開放したときに、折戸とは異なり、第二作業スペース部25側や室内側に突出しない。
引き違い戸22bは、障子にガラス等の透光性・透視性材料が設けられており、屋外から日光を採り入れたり、第一作業スペース部24や第二作業スペース部25、屋外の風景を見たりすることができる。
【0039】
屋外側開口部6aと室内側開口部22aを同時に開放すると、屋外と室内(居室28)とを連通させることができる。
【0040】
玄関23と第一作業スペース部24と第二作業スペース部25を備えたインナーテラス部21は、室内側仕切壁22よりも屋外側には位置するものの、西側第一外壁6よりも屋内側に設けられている。すなわち、インナーテラス部21は、あくまでも屋内空間とされている。そのため、このインナーテラス部21は、屋外にせり出したサンルームとは異なる構成となっている。
インナーテラス部21にはエアコンを設置してもよいし、室内側開口部22aを開放すれば、室内(居室28)のエアコンによって空調を行うこともできる。
【0041】
玄関ホール部23bの東側は一階廊下26となっている。すなわち、玄関出入口6cから屋内に入り、玄関土間部23aから玄関ホール部23bに移動すると、その先は、玄関ホール部23bから一階廊下26を含む通路となっている。このような通路である一階廊下26の北側には、室内側仕切壁22と直交する壁に形成された居室側出入口27が設けられている。この居室側出入口27は、両開き戸27aによって開閉される。
【0042】
居室側出入口27を抜けた先には、キッチンとダイニングとリビングの機能を一室に併存させた居室28が設けられている。居室28は、第二作業スペース部25の東側に位置している。
居室28の最も東側はキッチンとなっており、キッチン台28aが、東側第一外壁4に沿って設置されている。東側第一外壁4には、キッチン台28aよりも上方に位置する部分に、開閉可能に構成された開口部4aが形成されている。
キッチンの西側は、ダイニングテーブル28bが設置されたダイニングとなっている。
ダイニングの西側は、ソファ28cが設置されたリビングとなっており、このリビングが、室内側仕切壁22を介して第二作業スペース部25と隣接している。
なお、居室側出入口27の東側には、冷蔵庫置き場29が設けられている。
【0043】
一階廊下26及び冷蔵庫置き場29の東側には、洗面台及び洗濯機置き場を有する洗面脱衣所30が設けられている。
洗面脱衣所30は、一階廊下26側の出入口30aと、居室28側の出入口30bを備えている。これにより、一階廊下26と居室28と洗面脱衣所30には、冷蔵庫置き場29の周りを移動できる回遊動線が形成されることとなる。
また、洗面脱衣所30の南側には、浴室31が設けられている。
また、浴室31の西側であって、かつ、一階廊下26の南側には、トイレ32が設けられている。
【0044】
一階廊下26の南側であって、玄関23の東側(トイレ32の西側)には、廻り階段が備えられた階段室33が設けられている。階段室33は、玄関23側に位置する壁が手摺壁とされており、階段室33と玄関23の吹抜部が連通した状態となっている。
【0045】
階段室33の階段を上がった先には、東西方向に沿って伸びる二階廊下34が設けられている。
二階廊下34の南側縁部には、机34a及び椅子が設けられており、テレワークや子供の学習用として用いることができる。
【0046】
二階廊下34の東側には、例えば子供部屋として利用される二つの部屋35,36と、二階用のトイレ37が設けられている。二つの部屋35,36のうち、北側の部屋35には、北側外壁2に沿って机35a及び椅子が設けられている。
【0047】
二階廊下34の北側には、例えば主寝室として利用される部屋38が設けられている。この部屋38にも、北側外壁2に沿って机38a及び椅子が設けられている。
【0048】
部屋38と二階廊下34の西側には、西側第二外壁7を介してバルコニー16が設けられている。このバルコニー16は、西側第一外壁6に対して西側方に張り出した上方張出部であり、屋外側開口部6aにとっては庇としても機能することとなる。なお、このバルコニー16における張出方向の先端部には、手摺壁17が設けられており、この手摺壁17は、西側第一外壁6のどの部分よりも西側に位置している。
西側第二外壁7には、バルコニー16と部屋38とを連通する第一出入口7aと、バルコニー16と二階廊下34とを連通する第二出入口7bが形成されている。
【0049】
次に、インナーテラス部21について、より詳細に説明する。
インナーテラス部21は、特に第二作業スペース部25が、居室28と隣接しており、居室28の延長空間として利用しやすい。そして、室内側開口部22aを開放すれば、第二作業スペース部25と居室28は、一つの部屋として認識されやすい。
また、第一作業スペース部24も、居室28から見える位置にあるため、居室28及び第二作業スペース部25と連続する一つの部屋として認識されやすくなる。
【0050】
また、インナーテラス部21と居室28は、互いに平行に配置された東側第一外壁4と室内側仕切壁22と西側第一外壁6の間にそれぞれ設けられている。
その上、東側第一外壁4には開口部4aが形成され、室内側仕切壁22には室内側開口部22aが形成され、西側第一外壁6には屋外側開口部6aが形成されていて、しかも、これら各開口部4a,22a,6aは正対した状態となっている。つまり、開口部4aと、室内側開口部22aと、屋外側開口部6aが一直線上に配置された状態となっている。
したがって、これらの開口部4a,22a,6aを開放すれば、東西方向に風が通り抜けることとなる。また、南側よりも比較的温度の低い北側の位置で、東西方向に風を通り抜けさせることができる。
【0051】
屋外側開口部6aを開閉する建具と、室内側開口部22aを開閉する建具を、いわゆる二重サッシ(三重サッシでもよい)にすると、西日の熱を居室28側に伝えにくくなる。そのため、本実施形態の折戸6bや引き違い戸22bは、二重サッシとされているものとする。
また、西日は、緩衝空間である第二作業スペース部25を通過してから居室28へと到達するため、折戸6b及び引き違い戸22bをしっかりと閉めておけば、第二作業スペース部25である程度は断熱される。したがって、夏場は、折戸6b及び引き違い戸22bをしっかりと閉めておけば、居室28が暑くなるのを防ぐことができ、冬場は、引き違い戸22bを開けておけば、西日の熱によって居室28を温めることができる。
【0052】
さらに、屋外側開口部6aが形成された西側第一外壁6は、バルコニー16における張出方向の先端部(手摺壁17の位置)よりも屋内側に配置されている。これにより、日光は、バルコニー16によって遮られることとなるので、インナーテラス部21には日光が射し込みにくくなる。
【0053】
続いて、建物1の動線について説明する。
本実施形態における建物1の一階は、玄関出入口6cから屋内に入った場合、玄関23から室内(一階廊下26)に入るルートと、第一作業スペース部24及び第二作業スペース部25を通過してから室内(居室28)に入るルートがある。
さらに、屋外側開口部6aから屋内に入った場合は、第二作業スペース部25から室内(居室28)に入るルートと、第一作業スペース部24及び玄関23を通過してから室内(一階廊下26)に入るルートがある。
また、上記のように冷蔵庫置き場29の周囲には回遊動線が形成されている。
【0054】
以上のような動線が建物1の一階に形成されていると、例えば感染症対策を考慮した住人の移動が可能となる。
すなわち、会社や学校などで発症して建物1に帰宅した場合に、感染者である住人は、玄関出入口6cから屋内に入り、一階廊下26を通過して洗面脱衣所30に行き、手洗い等を行う。必要に応じて浴室31で身を清めてもよい。その後は、階段室33を通過して二階の自室で療養を開始する。
【0055】
一方、健常者(非感染者)である住人は、玄関出入口6c又は屋外側開口部6aから屋内に入り、居室28から室内に入るようにする。手洗い等は、やむを得ずキッチン台28aで行うか、十分な換気が行われた後の洗面脱衣所30で行うものとする。浴室31の使用も、十分な換気が行われた後にする。さらに、二階に行く場合も、階段室33や二階廊下34の換気が十分に行われた後にする。
【0056】
このような住人の移動はあくまでも一例であるが、建物1の一階でいくつかのルートを使って洗面脱衣所30や二階に行くことができるので、感染者である住人と、健常者である住人の接触を避けやすい、という利点がある。
【0057】
以上のように構成された建物1は、住宅であるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば公共施設、商業施設、宿泊施設、保育・教育施設、介護施設などの様々な用途の建物であってもよい。
また、インナーテラス部21は、複数階建ての建物だけでなく、平屋の建物にも採用することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の建物1は、複数の柱及び複数の横架材(梁、桁、胴差等)を組み上げて建物の軸組を施工する木造軸組工法(構法)によって建築されているが、これに限られるものではない。例えば、壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの建築用パネルを組み立てることにより建物を構築するといったパネル工法で建築されてもよいし、壁式工法、ツーバイフォー工法等で構築されるものとしてもよい。
なお、本実施形態の建物1は木造とされ、このような木造の建物1にインナーテラス部21は適用されているが、インナーテラス部21は、木造だけでなく、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等、いずれの構造の建物にも適用することができる。
【0059】
本実施形態においては、各開口部を開放・閉塞する建具について、その種類は特に限定されないものとする。例えば屋外側開口部6aを開閉する建具は、折戸6bであるとしたが、折戸6b以外の種類の建具でもよい。また、室内側開口部22aを開閉する建具は、引き違い戸22bであるとしたが、引き違い戸22b以外の種類の建具でもよい。
【0060】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、インナーテラス部21は、北側外壁2、南側外壁3、東側第一外壁4、西側第一外壁6の屋内側に設けられるとともに上方には天井が設けられているので、屋内空間として建物1に備えられた状態となっている。そのため、住人にとって、インナーテラス部21は、建物1の屋内空間として認識されやすい。
その一方で、インナーテラス部21は、床面が土間床12によって構成されていて、仕切壁22及び室内側開口部22aを開閉する建具22bによって居室28と仕切られ、さらに、外壁6の屋外側開口部6aを開放させれば容易に屋外空間と連通するので、住人にとって、屋外空間として認識されやすくもなる。また、インナーテラス部21は、屋外空間に最も近い存在としての玄関土間部23aと、玄関23とは異なる作業空間として、玄関土間部23aに隣接して連続する作業スペース部24,25と、を有する。そのため、住人に対し、本来であれば屋内では行われない作業を、インナーテラス部21(作業スペース部24,25)に限っては行うことができる、という認識を持たせやすくなる。換言すれば、インナーテラス部21は、本来は屋外で行われなければならないような作業を屋内で行うという心理的障壁が、ある程度下げられた状態の屋内空間として認識されやすくなる。これにより、住人は、インナーテラス部21で、屋外作業を行ったり、アウトドア気分を味わえることを気軽に行ったりすることができる。
しかも、屋外側開口部6aを建具6bによって閉塞しておけば、インナーテラス部21は、屋外空間とは隔てられて、屋内空間と同様の環境となるので、たとえ夏場の暑い日であっても、屋外作業を快適に行うことができる。また、夏場の暑い日でなければ、屋外側開口部6aを開放し、開放感のある環境で屋外作業を快適に行うことができる。
【0061】
また、第一作業スペース部24には、作業台24aが設置されているので、住人に対して、第一作業スペース部24を、玄関土間部23aとは異なる空間として認識されやすくすることができる。また、第一作業スペース部24で作業を行う際に、作業台24aを使って様々な作業を行うことができるので使い勝手が良い。
【0062】
また、居室28の開口部4aと屋外側開口部6aと室内側開口部22aは一直線上に配置されているので、これら各開口部4a,6a,22aを開放すれば、インナーテラス部21側の屋外空間(西側)から居室28側の屋外空間(東側)にかけて風を通すことができる。これにより、インナーテラス部21及び居室28の換気を効率良く行うことができるので、特に夏場の暑い日でなければ、インナーテラス部21及び居室28における屋内環境の快適性を向上させることができる。
【0063】
また、居室28の開口部4aと屋外側開口部6aと室内側開口部22aは東西方向に沿って一直線上に配置されているので、これら各開口部4a,6a,22aを開放すれば、東西方向に沿って建物1内に風を通すことができる。さらに、インナーテラス部21及び居室28は、建物1の外周のうち北側に沿って配置されているので、南側よりも比較的温度の低い北側の位置で、東西方向に沿って建物1内に風を通すことができ、インナーテラス部21及び居室28における屋内環境の快適性をより一層向上させることができる。
【0064】
また、屋外側開口部6aが形成された西側第一外壁6は、上方張出部16であるバルコニー16における張出方向の先端部よりも屋内側に配置されているので、日光が、バルコニー16によって遮られ、インナーテラス部21に日光が射し込みにくくなる。これにより、特に夏場の日中では、インナーテラス部21における屋内環境の快適性を向上させることができる。
【0065】
また、玄関土間部23aと、第一作業スペース部24及び第二作業スペース部25は、平面視において第一方向(間口方向)に並んで配置され、玄関土間部23aは、平面視において第一方向と直交する第二方向(奥行方向)に伸びて形成されているので、玄関23から建物1内に入ってきた人を、第一方向と第二方向のいずれかに誘導することができる。これにより、玄関23からその奥に至る少なくとも二つ分の動線を確保することができるので、必要に応じて各動線を使い分けることができて使い勝手が良い。特に、感染症対策を考慮した住人の移動や、居室28に来客があった場合の住人の移動において動線を使い分けることができ、使い勝手が良い。
【0066】
また、玄関土間部23aは、作業スペース部24,25とは異なる方向に沿って形成された通路23b,26と隣接して配置され、通路23b,26は、居室28に接続されて行き来可能となっているので、玄関から建物1内に入ってきた人を、作業スペース部24,25側と通路23b,26側のいずれかに誘導することができる。これにより、玄関23から居室28に至る少なくとも二つ分の動線を確保することができるので、必要に応じて各動線を使い分けることができて使い勝手が良い。特に、感染症対策を考慮した住人の移動や、居室28に来客があった場合の住人の移動において動線を使い分けることができ、使い勝手が良い。
【0067】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。本実施形態の建物1は、木造軸組工法によって構築されているので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 建物
2 北側外壁
3 南側外壁
4 東側第一外壁
4a 開口部
6 西側第一外壁
6a 屋外側開口部
6c 玄関出入口
8 北側屋根
9 南側屋根
12 屋内土間床
13 一階室内床
21 インナーテラス部
22 室内側仕切壁
22a 室内側開口部
23 玄関
23a 玄関土間部
23b 玄関ホール部
24 第一作業スペース部
24a 作業台
25 第二作業スペース部
28 居室
S1 第一凹型スペース
S2 第二凹型スペース