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  • 特開-皮膚炎治療用の外用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048659
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】皮膚炎治療用の外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/164 20060101AFI20240402BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 5/44 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61K31/164
A61K31/573
A61P5/44
A61P17/00
A61P17/16
A61P29/00
A61P37/08
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154694
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】593050091
【氏名又は名称】ジャパンメディック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110456
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 務
(74)【代理人】
【識別番号】100117813
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 憲広
(72)【発明者】
【氏名】仙道 水月
(72)【発明者】
【氏名】松澤 優汰
(72)【発明者】
【氏名】田中 爾織
(72)【発明者】
【氏名】島倉 征一
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZC08
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA05
4C206GA25
4C206GA36
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZB13
4C206ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、皮膚炎の症状改善のために薬物を投与した場合、当該薬剤の投与を終了した後においても、皮膚炎の再発を抑制することが可能な皮膚外用塗布剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、ステロイド性抗炎症薬および、パンテノールを一定の濃度含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制する。そのため、薬剤の投与期間および投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、および
パンテノールまたはパンテノール類縁物質、
を含有する、投与期間中の炎症を抑制し、かつ投与終了後の皮膚炎の再発を抑制するための、皮膚外用塗布剤。
【請求項2】
皮膚炎が、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎から選択される、請求項1に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項3】
パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、およびアセチルパンテニルエチルエーテルからなる群から選択される、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項4】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.075~0.6重量%含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項5】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15重量%含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項6】
パンテノールまたはパンテノール類縁物質を4~6重量%含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項7】
パンテノールまたはパンテノール類縁物質を5重量%含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項8】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.075~0.6重量%、および
パンテノールまたはパンテノール類縁物質を4~6重量%
含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【請求項9】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15重量%、および
パンテノールまたはパンテノール類縁物質を5重量%
含有する、請求項1または2に記載の皮膚外用塗布剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロイド性抗炎症薬を用いた皮膚外用塗布剤に関し、特に皮膚炎の治療とその後の再発を抑制する皮膚外用塗布剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステルおよびクロベタゾン酪酸エステル等のステロイド性抗炎症薬は、湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症等、皮膚疾患の治療に広く用いられている。
【0003】
しかし、薬剤の投与期間中はステロイド性抗炎症薬の作用により高い治療効果が認められるが、薬剤の使用を終了すると皮膚症状が再発するという問題があり、患者は症状が改善された後も暫くは薬剤を投与し続ける必要があった。
【0004】
皮膚において炎症が起こると、皮膚機能の破壊が起こり、皮膚のバリア機能が低下することがしばしばみられる。皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激物質の侵入が起こり、その結果、炎症がさらに誘発されてしまうという、炎症悪化のサイクルが存在する。
【0005】
この炎症悪化サイクルを止める医療的介入として、抗炎症薬のステロイドをメインとして治療で用いることが一般的に行われている。また、炎症悪化サイクルを止めるために、医療現場では抗炎症薬のステロイドを保湿成分のヘパリン類似物質などと組み合わせて使用する場合が多い。
【0006】
しかしながら、従来の治療においては、症状が改善されて、薬剤の投与を終了すると、皮膚の炎症症状が再発することが知られており、この再発を抑制することができていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-056842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、皮膚炎の症状改善のために薬物を投与した場合、当該薬剤の投与を終了した後においても、皮膚炎の再発を抑制することが可能な皮膚外用塗布剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ステロイド性抗炎症薬および、パンテノールまたはパンテノール類縁物質を一定の濃度含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制する。そのため、薬剤の投与期間および投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができる。
【0010】
より具体的には、本件出願は、前述した課題を解決するため、以下の態様を提供する:
[1]: プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、およびパンテノールまたはパンテノール類縁物質、を含有する、投与期間中の炎症を抑制し、かつ投与終了後の皮膚炎の再発を抑制するための、皮膚外用塗布剤;
[2]: 皮膚炎が、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎から選択される、[1]に記載の皮膚外用塗布剤;
[3]: パンテノール類縁物質が、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、およびアセチルパンテニルエチルエーテルからなる群から選択される、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤。
[4]: プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.075~0.6重量%含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤;
[5]: プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15重量%含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤;
[6]: パンテノールまたはパンテノール類縁物質を4~6重量%含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤;
[7]: パンテノールまたはパンテノール類縁物質を5重量%含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤;
[8]: プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.075~0.6重量%、およびパンテノールまたはパンテノール類縁物質を4~6重量%、含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤;
[9]: プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15重量%、およびパンテノールまたはパンテノール類縁物質を5重量%、含有する、[1]または[2]に記載の皮膚外用塗布剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、ステロイド性抗炎症薬およびパンテノールまたはパンテノール類縁物質を含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制することができる薬剤を提供することができる。そのため、薬剤の投与期間および投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、感作物質による感作後の経過日数と皮膚炎スコアを、比較例と調製例とを比較して示すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、上述したように、皮膚炎の症状改善のために薬物を投与した場合、当該薬剤の投与を終了した後においても、皮膚炎の再発を抑制することが可能な皮膚外用塗布剤を提供することを目的として、鋭意研究・開発を行った。その結果、ステロイド性抗炎症薬および、パンテノールまたはパンテノール類縁物質を一定の濃度含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制することができることを示し、本発明を完成させるに至った。その結果として、薬剤の投与期間および投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができることも示した。
【0014】
具体的には、本発明は、上述した課題を解決するため、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、およびパンテノールまたはパンテノール類縁物質、を含有する、投与期間中の炎症を抑制し、かつ投与終了後の皮膚炎の再発を抑制するための、皮膚外用塗布剤を提供する。
【0015】
本発明の皮膚外用塗布剤において、有効成分として、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが含まれる。我が国における医薬品で使用されるステロイド多数のものが知られており、効果の強弱によって5段階に分類される。
【0016】
【表1】
【0017】
これらのステロイドのうち、「4:とても強い(very strong)」と「5:最も強い(strongest)」に分類されるステロイド外用薬は、その取り扱いに医師や薬剤師など専門家の管理が必要であるため、医療用医薬品(医師の診察を経て処方される薬剤)としてのみ用いられる。一方、ドラッグストアなどで購入できる市販のステロイド外用薬(OTC医薬品)は、弱いほうから3ランク(「1:弱い(weak)」「2:普通(medium)」「3:強い(strong)」)に属する成分のものに限られる。
【0018】
本発明者らの検討の結果、投与期間中の炎症を抑制し、かつ投与終了後の皮膚炎の再発を抑制する効果は、「3:強い(strong)」以上のランクに属する強いステロイドでは得られないことが明らかになった。従って、本発明の皮膚外用塗布剤において使用されるステロイドとしては、「2:普通(medium)」に属するステロイド薬であることが好ましい。
【0019】
また、ステロイドには、アンテドラッグに分類される薬剤(すなわち、特定の部位でのみ強く作用し、体内に吸収されて全身系で代謝され、活性が低下する薬剤)と、そうでない薬剤とが存在している。アンテドラッグはこのような特徴から、副腎分泌機能低下や免疫抑制作用等の全身性副作用を軽減しつつ、皮膚での高い効果を発揮する。本発明においては、全身性副作用が少なく、かつ皮膚での高い効果を得られるものとして、「2:普通(medium)」のアンテドラッグのステロイドが好ましいと判断した。こうした背景から「2:普通(medium)」のアンテドラッグのステロイドを配合し、投与期間中の炎症を抑制するとともに、投与終了後においても患部での皮膚炎の再発を抑制するものを開発することを目的とした。
【0020】
したがって、本発明の皮膚外用塗布剤において使用されるステロイドは、「2:普通(medium)」に属するステロイド薬であり、これらのステロイド薬の中でもアンテドラッグである薬剤であることを特徴とする。このようなステロイドとして、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステルなどを例として挙げることができるが、これらの中でも特にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用塗布剤において使用されるステロイドとしてプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを使用する場合、本発明の皮膚外用塗布剤中における、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの含有量は、0.075~0.6重量%、より好ましくは0.1~0.5重量%、さらに好ましくは0.15~0.4重量%である。本発明において、例えば、0.15重量%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを使用することができる。なお、一般的に医薬品において、試験誤差等を考慮し、有効成分表示量の±10%の範囲で用量を管理することが一般的である。したがって、例えば0.15重量%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを使用する場合、0.135~0.165重量%の範囲を許容することを意味する。
【0022】
本発明の皮膚外用塗布剤において、もう一つの有効成分として、パンテノールまたはパンテノール類縁物質が含まれる。ここで、パンテノールは、体内でビタミンB5(パントテン酸)に変換されるプロビタミンB5とも呼ばれる水溶性のプロビタミンであり、保湿作用、組織修復促進作用、抗炎症作用を有することが知られている物質である。また、パンテノール類縁物質は、生体内でパンテノールと同様の活性を有するパンテノールの誘導体物質群であり、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパンテニルエチルエーテルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の皮膚外用塗布剤中における、パンテノールまたはパンテノール類縁物質の含有量は、1.0~8.0質量%、より好ましくは2~7質量%であり、さらに好ましくは4~6質量%である。本発明において、例えば、5重量%のパンテノールまたはパンテノール類縁物質を使用することができる。なお、一般的に医薬品において、試験誤差等を考慮し、有効成分表示量の±10%の範囲で用量を管理することが一般的である。したがって、例えば5重量%のパンテノールまたはパンテノール類縁物質を使用する場合、4.5~5.5重量%の範囲を許容することを意味する。
【0024】
本発明の皮膚外用塗布剤中は、具体的には、
・プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.075~0.6重量%、および
・パンテノールまたはパンテノール類縁物質を4~6重量%
含有する、皮膚外用塗布剤として提供すること;または
・プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15重量%、および
・パンテノールまたはパンテノール類縁物質を5重量%
含有する、皮膚外用塗布剤として提供することができる。
【0025】
上述した構成を有する皮膚外用塗布剤は、その投与期間中において炎症を抑制し、かつ投与終了後の皮膚炎の再発を抑制することができる。ここで、本発明の皮膚外用塗布剤が標的とする皮膚炎としては、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎などから選択されるものを挙げることができるが、これらのものには限定されない。
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。下記に示す実施例はいかなる方法によっても本発明を限定するものではない。
【実施例0027】
実施例1:ステロイド薬の長期的な薬効の推移
本実施例においては、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを有効成分とする外用薬を製造し、長期的な薬効の推移を確認した。
【0028】
以下の表2に記載の通り、A成分およびB成分を調製し、それぞれ70~80℃で加温溶解した。そして、撹拌しながらA成分にB成分を徐々に加えて乳化した後、撹拌しながら冷却してクリーム剤を得た。なお、各調製物についての名称は、この実施例の結果に基づいて調製例、比較例1~3としたものである。
【0029】
【表2】
【0030】
調製例および比較例1~3の試験方法および評価方法は以下に示す同一の方法により行った。
【0031】
<試験準備>
・マウスの準備
試験は、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて行った。このモデルマウスはNCマウスと呼ばれるマウスであり、アレルゲンによって、ヒトのアトピー性皮膚炎と類似したアトピー性皮膚炎様症状を発症することから、皮膚炎のモデルマウスとして用いられている。
【0032】
本試験においては、9週齢のNC/NgaTndCrljマウスを、麻酔下で胸部、腹部、および背部を電気バリカンおよび除毛クリームを用いて剃毛して用いた。
【0033】
・感作物質の調製
ピクリルクロライド(2,4,6-trinitrochlorobenzene)を5%(w/v)の濃度となるよう、エタノールとアセトンの混合液(体積割合4:1)に溶解して、感作物質を調製した。
【0034】
・惹起物質の調製
ピクリルクロライド(2,4,6-trinitrochlorobenzene)を1%(w/v)の濃度となるよう、加温しながら食用オリーブ油に溶解して惹起物質を調製した。
【0035】
<処置開始>
・感作
剃毛翌々日に、マウスを麻酔下において、感作物質を150μL/匹の液量で、胸腹部および両足の裏に塗布することにより感作した。感作日を試験0日目とした。
【0036】
・皮膚炎の誘発
試験4日目、11日目、18日目(薬剤投与の前々日)、27日(最終の薬剤投与日の翌日)に、皮膚炎の誘発を行った。皮膚炎の誘発を行う前日にマウスの背部を剃毛し、皮膚炎の誘発日に麻酔下で、惹起物質を150μL/匹の液量で背部に塗布することで、皮膚炎を誘発させた。
【0037】
・薬剤の投与
感作物質による感作日から20日目から26日目まで、1日1回、7日間連続で、背部皮膚に1匹あたり100 mgの調製例および比較例1~3の各皮膚外用塗布剤を塗布した。
【0038】
<評価方法>
皮膚炎の重症度を、以下の表3~5に示す皮膚炎スコアに基づいて評価し、評点の合計にて結果を比較した。評価は第19日から第34日まで毎日行った。
【0039】
感作後の経過日数と皮膚炎スコアを示すグラフを図1に示す。なお、図1に示すそれぞれの値は、8例の平均値±標準誤差を表す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
この図1において、それぞれの薬剤の概要は以下の通りであった:
比較例1:基剤(有効成分なし)
比較例2:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル0.15%配合
比較例3:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル0.15%およびパンテノール1%配合
調製例:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル0.15%およびパンテノール5%配合
【0044】
図1に示す結果に示すように、皮膚外用塗布剤の投与期間中は薬効成分を含む調製例および比較例2~3で低いスコアを示し、炎症症状を抑えた。
【0045】
さらに、皮膚外用塗布剤の投与終了後(27日目)に惹起物質を投与して再度皮膚炎を誘発した際には、比較例1~3では27日目からスコアが上昇しているのに対し、調製例ではスコアの上昇率が抑えられ、低いスコアを維持された。このように、調製例は皮膚外用塗布剤の投与中および投与終了後において比較例1~3よりも低い値を示し、有意な皮膚炎の再発抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明において、ステロイド性抗炎症薬およびパンテノールを含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制することができる薬剤を提供することができる。そのため、薬剤の投与期間および投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができる。
図1