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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048662
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ガラス障子
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240402BHJP
   E06B 3/16 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154703
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】畑谷 賢吾
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BB07
2E239CA03
2E239CA04
2E239CA23
2E239CA32
2E239CA44
2E239CA67
2E239CA68
(57)【要約】
【課題】火災発生時等に下框が高熱を受けた場合でも、下框の変形を緩和してガラスの崩落を防止ないしは遅らせる。
【解決手段】下框1dは、セッティングブロック1kを介し室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bを支持するホロー部上板1d13と、そのホロー部上板1d13に対し上下方向に所定間隔を空けて設けられたホロー部下板1d21とを備え、ホロー部上板1d13には、セッティングブロック1kと干渉しない箇所に雌ネジ孔1d13aを設け、その雌ネジ孔1d13aから雄ネジ部1n11が設けられた軸部1n1を螺合して通し、その軸部1n1下端がホロー部下板1d21まで到達する下框補強ネジ1nを設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの周囲を上框と下框と左右の縦框で支持したガラス障子であって、
前記下框はホロー部を備え、
前記ホロー部は、
セッティングブロックを介し前記ガラスを支持するホロー部上板と、
前記ホロー部上板に対し上下方向に所定間隔を空けて設けられたホロー部下板とを有し、
軸部外周の雄ネジ部が前記ホロー部上板に螺合して貫通し、前記軸部下端が前記ホロー部下板の上面に到達するように下框補強ネジが設けられていることを特徴とするガラス障子。
【請求項2】
請求項1記載のガラス障子において、
前記下框補強ネジの軸部下端が前記ホロー部下板の上面に当接していることを特徴とするガラス障子。
【請求項3】
請求項1記載のガラス障子において、
前記下框補強ネジの軸部下端の雄ネジ部は、前記ホロー部下板に螺合していることを特徴とするガラス障子。
【請求項4】
請求項1記載のガラス障子において、
前記下框補強ネジは、その軸部下端が前記ホロー部下板の上面に到達していると共に、当該下框補強ネジの頭部下面と前記ホロー部上板の上面との間に隙間が空いていることを特徴とするガラス障子。
【請求項5】
請求項1記載のガラス障子において、
前記下框補強ネジは、前記ガラスの見込み方向の中心よりも屋外側に設けられていることを特徴とするガラス障子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一の請求項に記載のガラス障子において、
前記下框補強ネジは、前記セッティングブロックの近傍に設けられることを特徴とするガラス障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの周囲を上框と下框と左右の縦框で支持したガラス障子の構造に関し、特に、火災発生時等に下框の溶融によってガラスが崩落することを防止ないしは遅らせることができるガラス障子に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス障子は、ガラスの周囲を上框と下框と左右の縦框で支持して構成されており、通常、それらの框はアルミニウム等の軽金属単体やそれらと合成樹脂との複合材料で形成されている(例えば、特許文献1,2参照。)。尚、下框は、通常、上板(以下、ホロー部上板という。)とそのホロー部上板に対し上下方向に所定間隔を空けて設けた下板(以下、ホロー部下板という。)とこれらの間に設けた側板とによっていわゆるホロー部を形成しており、ホロー部上板の上に通常、セッティングブロックを設け、セッティングブロックを介してガラスを支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-166261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1,2に開示されたガラス障子では、火災等が発生して、ガラスを下方から支持している下框が高熱を受けた場合、ガラスの重量によって下框の溶融が促進され、ガラスの崩落につながるおそれがある、という問題があった。
【0005】
そのため、例えば、図7に示すようにガラス外障子1’のホロー部1d3’内にスチール又はステンレス製の曲物補強材1d4’を入れネジ1d5’で固定してガラス外障子1’のガラス1a’,1b’の崩落を防止する従来方法が提案されている。しかし、この従来方法では、図8(a)の要部拡大断面図に示すようにホロー部1d3’内に曲物補強材1d4’を挿入するため曲物補強材1d4’の下部1d41’とホロー部下板1d21’との間にクリアランスが必要であるので、屋外の火災時の熱等によってガラス外障子1’の下框1d’が屋外に面した部分が変形した場合、図8(b)に示すように曲物補強材1d4’の下部とホロー部下板1d21’との間のクリアランスが無くなるまでガラス1a’,1b’の重量によって下框1d’の変形が促進され、ガラス1a’,1b’の崩落を効果的に防止することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、火災発生時等に下框が高熱を受けた場合でも、下框の変形を緩和してガラスの崩落を防止ないしは遅らせることができるガラス障子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るガラス障子は、ガラスの周囲を上框と下框と左右の縦框で支持したガラス障子であって、前記下框はホロー部を備え、前記ホロー部は、セッティングブロックを介し前記ガラスを支持するホロー部上板と、前記ホロー部上板に対し上下方向に所定間隔を空けて設けられたホロー部下板とを有し、軸部外周の雄ネジ部が前記ホロー部上板に螺合して貫通し、前記軸部下端が前記ホロー部下板の上面に到達するように下框補強ネジが設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るガラス障子では、前記下框補強ネジの軸部下端が前記ホロー部下板の上面に当接していることも特徴とする。
また、本発明に係るガラス障子では、前記下框補強ネジの軸部下端の雄ネジ部は、前記ホロー部下板に螺合していることも特徴とする。
また、本発明に係るガラス障子では、前記下框補強ネジは、その軸部下端が前記ホロー部下板の上面に到達していると共に、当該下框補強ネジの頭部下面と前記ホロー部上板の上面との間に隙間が空いていることも特徴とする。
また、本発明に係るガラス障子では、前記下框補強ネジは、前記ガラスの見込み方向の中心よりも屋外側に設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るガラス障子では、前記下框補強ネジは、前記セッティングブロックの近傍に設けられることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るガラス障子では、下框のホロー部上板とホロー部下板との間に、軸部外周の雄ネジ部がホロー部上板に螺合して貫通し、軸部下端がホロー部下板の上面に到達するように下框補強ネジが設けられている。
そのため、火災発生時等に下框が高熱を受けた場合でも、下框補強ネジによってホロー部上板とホロー部下板との間の間隔を保持することでホロー部の形状が保持され、下框の変形が緩和ないしは抑制されるので、ガラスの崩落を防止ないしは遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るガラス障子の実施形態であるガラス外障子を含む窓全体を屋外側から見た際の構成例を示す正面図(外観図)である。
図2】本発明に係るガラス障子の実施形態であるガラス外障子を含む窓全体の縦断面図である。
図3図2における下框のホロー部近傍の拡大縦断面図である。
図4】本発明に係るガラス障子の実施形態であるガラス外障子の横断面図である。
図5】本発明に係るガラス障子の実施形態であるガラス外障子下部の一部切欠正面図(外観図)である。
図6図2における下框のホロー部近傍の他の構成例を示す拡大縦断面図である。
図7】火災時における従来のガラス外障子のガラス崩落防止方法の一例を示す縦断面図である。
図8】(a),(b)それぞれ図7に示す従来方法おけるガラス外障子の下框のホロー部周辺を拡大して示す要部拡大断面図、屋外側での火災発生時に図7に示す従来方法によってもガラス崩落を招いてしまう理由等を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態のガラス障子1について図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態のガラス障子1はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施形態のガラス障子1に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
本発明に係る実施形態のガラス障子は、図1図4に示すように、建物の開口部に設けた窓枠2を構成する上枠2aに設けられた上側外レール2a1と、下枠2bに設けられた下側外レール2b1とに従って走行するガラス外障子1であって、上枠2aに設けられた上側内レール2a2と、下枠2bに設けられた下側内レール2b2とに従って走行するガラス内障子1’とでいわゆる引き違い障子を構成している。尚、上枠2aと下枠2bの両側それぞれには、図1図4に示すように一対の縦枠2c,2dが設けられている。
【0012】
<実施形態のガラス外障子1の構成>
実施形態のガラス外障子1は、図1図5に示すように、所定間隔を空けて複数枚(ここでは、例えば、2枚とするが、本発明では、2枚に限定されるものではなく、1枚でも良いし3枚以上でも良い。)のガラス1a,1b(複層ガラス)の上下の端部にそれぞれ上框1cと下框1dとを備えると共に、左右の端部には縦框である戸先框1eと召合框1fを備えて構成されている。
【0013】
複数のガラス1a,1bは、それぞれ、網線入りの室外側ガラス1aと、網線無しの室内側ガラス1bであり、室外側ガラス1aと室内側ガラス1bとの間には、それぞれ、スペーサー1gと封着シール材1hとを設け、複数のガラス1a,1b間で所定の間隔と密閉状態を保持している。
【0014】
また、室外側ガラス1a端部の外側および室内側ガラス1b端部の内側には、シーリング材1iおよび不燃バッカーであるバックアップ材1jが設けられ、スペーサー1gや封着シール材1h、シーリング材1i、バックアップ材1j等が設けられた室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの上端部を上框1cが支持する一方、それらが設けられた室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの下端部はセッティングブロック1kを介して下框1dが支持してガラス外障子1を構成している。
【0015】
(下框1d)
下框1dは、主にアルミニウム等の軽金属の形材で構成され、図2図3に示すように、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの下端部が収納されるガラス下端支持部1d1と、戸車1mを収納する戸車収納部1d2と、ガラス下端支持部1d1と戸車収納部1d2との間に設けられたホロー部1d3等を備えている。
【0016】
(ガラス下端支持部1d1)
ガラス下端支持部1d1は、室外側ガラス1a下端部で起立して室外側ガラス1a側のシーリング材1iおよびバックアップ材1jを室外側(屋外側)から支持する室外側起立壁板1d11と、室外側起立壁板1d11下端部から室内方向に延びる水溜め板1d12と、その水溜め板1d12を水溜凹溝の底部とするため数mm上がった後、室内方向に延び、セッティングブロック1kを介し室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bを下方から支持するホロー部上板1d13と、ホロー部上板1d13の室内側端部から起立して室内側ガラス1b側のシーリング材1iおよびバックアップ材1jを室内側(屋内側)から支持する室内側起立壁板1d14等で構成されている。
【0017】
水溜め板1d12には、室外側起立壁板1d11と水溜め板1d12とホロー部上板1d13の立ち上がり部分とで囲まれた水溜凹溝に溜まった雨水や室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの結露等で貯まった水を室外へ排出する水抜き孔(図示せず。)を設けている。尚、実施形態では水溜め板1d12を設けているが、ホロー部上板1d13を室外側起立壁板1d11まで延ばして、ホロー部上板1d13に水抜き孔を設けてもよい。
【0018】
また、水溜め板1d12の室内側端部およびホロー部上板1d13の室外側端部に突起を設けて下框1dを戸先框1eや召合框1fに固定するタッピングビス等の框固定ビス(図示せず。)を受けるビス受け部を設けており、そのビス受け部には、その長手方向に所定間隔で下框補強ネジ1nの軸部1n1の雄ネジ部1n11が螺合する雌ネジ孔1d13aを設けている。
【0019】
雌ネジ孔1d13aは、図5に示すように所定間隔で設けられたセッティングブロック1kに干渉しないよう、セッティングブロック1kが設けられていない箇所にセッティングブロック1kから例えば10mm程度離して設ける。尚、実施形態ではセッティングブロック1kとセッティングブロック1kの間(セッティングブロック1kの一方側)に設けているが、セッティングブロック1kと縦框(戸先框1e、召合框1fとの間(セッティングブロック1kの他方側)に設けてもよく、その両方(セッティングブロック1kの両側)を設けてもよい。
【0020】
尚、雌ネジ孔1d13aは、ホロー部上板1d13に予め設けたものでも良いし、下框補強ネジ1nとしてタッピングネジ(セルフタッピングスクリュー)等を使用して下框補強ネジ1nによって開けた雌ネジ孔でも良く、下框補強ネジ1nが螺合する雌ネジ孔であれば良い。また、雌ネジ孔1d13aは、セッティングブロック1k,1k同士の間だけでなく、セッティングブロック1kの一部を切欠したり、あるいはセッティングブロック1kに孔を開ける等してセッティングブロック1kに干渉しないように設けても勿論良い。
【0021】
また、雌ネジ孔1d13aは、図2図3に示すようにホロー部上板1d13の見込み方向の中心よりも屋外側に設け、下框補強ネジ1nがセッティングブロック1kの見込み方向の中心および室外側ガラス1aの見込み方向の中心よりも屋外側にずれた箇所に位置するようにしている。
【0022】
(戸車収納部1d2)
戸車収納部1d2は、戸車1mを収納して回転可能に支持する部位で、ガラス下端支持部1d1を構成する水溜め板1d12およびホロー部上板1d13に対し所定間隔を空けて設けられたホロー部下板1d21と、ホロー部下板1d21の室内側端部から数mm上がって下框1dを戸先框1eや召合框1fに固定するタッピングビス等の框固定ビス(図示せず。)を受けるビス受け部が設けられたビス受板1d22と、ホロー部下板1d21の室外側端部から鉛直方向に降下した後、室内側へ斜めに延び、その後下方へ延びて戸車1mの室外側を覆う戸車前側覆い板1d23と、ビス受板1d22の室内側端部から降下して戸車1mの室内側を覆う戸車後側覆い板1d24と、戸車前側覆い板1d23と戸車後側覆い板1d24との間に設けられ、戸車1mの一部を開口部(図示せず。)から下方に突出させて支持する戸車支持板1d25等で構成されている。
【0023】
(ホロー部1d3)
ホロー部1d3は、ガラス下端支持部1d1と戸車収納部1d2との間に形成される中空部(空間部)であって、ガラス下端支持部1d1を構成する室外側起立壁板1d11と面一に設けられたホロー部前板1d31と、ガラス下端支持部1d1を構成する室内側起立壁板1d14と面一に設けられたホロー部後板1d32と、ガラス下端支持部1d1を構成する水溜め板1d12およびホロー部上板1d13と、戸車収納部1d2を構成するホロー部下板1d21およびビス受板1d22等で囲まれ構成されている。尚、実施形態ではビス受板1d22を設けているが、ホロー部下板1d21をホロー部後板1d32まで延ばして、ホロー部下板1d21にビス受け部を設けてもよい。
【0024】
ここで、ホロー部1d3の高さHは、ホロー部上板1d13とホロー部下板1d21との間の上下方向の間隔となる。
【0025】
(下框補強ネジ1n)
下框補強ネジ1nは、図3等に示すように雄ネジ部1n11が設けられた軸部1n1と、軸部1n1上端部に設けられた頭部1n2とを有しており、ホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13aに軸部1n1の雄ネジ部1n11を螺合させて通し、軸部1n1下端がホロー部下板1d21上面に当接するように設けている。
【0026】
ここで、下框補強ネジ1nの軸部1n1下端がホロー部下板1d21上面に当接した場合でも、その頭部1n2下面とホロー部上板1d13上面との間に所定の隙間が空くように、下框補強ネジ1nの軸部1n1の長さLは、ホロー部1d3の上下方向の間隔Hよりも大きく、L>Hの関係が成立している。
【0027】
(ガラス内障子1’)
尚、ガラス内障子1’もガラス外障子1と同様、図2等に示すように室外側ガラス1a’、室内側ガラス1b’、上框1c’、下框1d’、戸先框1e’、召合框1f’、スペーサー1g’、封着シール材1h’、シーリング材1i’、バックアップ材1j’、戸車1m’等で構成され、下框1d’はガラス下端支持部1d1’、戸車収納部1d2’を有しているもののホロー部1d3は設けていない。そのため、ガラス内障子1’は、ガラス外障子1とは異なり、下框補強ネジ1n等を設けない。
【0028】
<実施形態のガラス外障子1の下框1dが火災等により高熱を受けた場合>
次に、アルミニウム等の軽金属単体やそれらと合成樹脂との複合材料で形成された実施形態のガラス外障子1の下框1dが火災等により高熱を受けた場合について説明する。
【0029】
火災等が発生し、下框1dを構成するガラス下端支持部1d1や戸車収納部1d2、ホロー部1d3が高熱を受け始めると、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの重量により、セッティングブロック1kを介し室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bを支持しているホロー部上板1d13が沈下しようとする。
【0030】
しかし、実施形態のガラス外障子1では、ホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13aに下框補強ネジ1nの軸部1n1の雄ネジ部1n11が螺合し、その軸部1n1下端はホロー部下板1d21の上面に当接し、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1b等の荷重をホロー部1d3のみでなく下框補強ネジ1nでも受け、その下框補強ネジ1nがホロー部上板1d13とホロー部下板1d21との間の間隔を保持する支えとして機能することでホロー部1d3の形状が保持されるので、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの崩落を防止ないしは遅らせることができる。
【0031】
特に、実施形態のガラス外障子1では、図3に示すように下框補強ネジ1nの軸部1n1の長さLをホロー部1d3の上下方向の間隔Hよりも大きくしているため、下框補強ネジ1nの頭部1n2下面とホロー部上板1d13上面との間に所定の隙間が空けている。
【0032】
そのため、下框補強ネジ1nの軸部1n1下端がホロー部下板1d21上面に確実に当接するので、下框補強ネジ1nは、ホロー部上板1d13とホロー部下板1d21とを支える柱として機能する。それにより、ホロー部1d3の上下方向の間隔Hが、下框補強ネジ1nによって保持される。よって、火災等によりホロー部上板1d13およびホロー部下板1d21が高熱を受けても、ホロー部上板1d13とホロー部下板1d21との間の間隔を保持することでホロー部1d3の形状が保持され、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの崩落を防止ないしは遅らせることが可能となる。
【0033】
また、実施形態のガラス外障子1では、ホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13aは、ホロー部上板1d13の見込み方向の中心よりも屋外側で、室外側ガラス1aの見込み方向の中心よりも屋外側にズラして設けている。
【0034】
そのため、火災発生時等にガラス外障子1の室外側が室内側より先に高熱を受けた場合、下框補強ネジ1nに近い程、原形が保持されるので、室外側(屋外側)への室外側ガラス1aや室内側ガラス1bの倒伏や落下等を防止することが可能となる。
【0035】
さらに、本発明に係る実施形態のガラス外障子1を構成する下框1dは、セッティングブロック1kを介し室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bを支持している。つまり、室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの重量をガラス外障子1に伝えるセッティングブロック1kの近傍(実施形態では長手方向に10mm程度離した一方側)に下框補強ネジ1nを設けている。
【0036】
そのため、下框1dが室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの重量を最も受ける箇所の近傍に下框補強ネジ1nを設けているので、見込み方向のみならず長手方向においてもホロー部の形状が保持される。この点でも、火災発生時等に、下框1dのホロー部1dの変形を遅らせて室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの崩落を防止ないしは遅らせることができる。
【0037】
尚、上記実施形態では、図2図3に示すように下框補強ネジ1nの軸部1n1下端は、ホロー部下板1d21の上面に当接させて説明したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、図6に示すようにホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13a下方のホロー部下板1d21に下框補強ネジ1nの軸部1n1の雄ネジ部1n11が螺合する雌ネジ孔1d21aを設け、下框補強ネジ1n’の軸部1n1’のネジ部1n11’がホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13aとホロー部下板1d21の雌ネジ孔1d21aとに螺合するように構成しても勿論良い。図6に示す例では下框補強ネジ1n’ ホロー部下板1d21を貫通しているが、貫通せずにネジ部1n11’と雌ネジ孔1d21aと螺合してもよい。尚、この場合、下框補強ネジ1n’の軸部1n1’の長さL’はホロー部上板1d13とホロー部下板1d21との間の上下方向の間隔であるホロー部1d3の高さHよりも大きくして、下框補強ネジ1n’の軸部1n1’のネジ部1n11’がホロー部上板1d13の雌ネジ孔1d13aとホロー部下板1d21の雌ネジ孔1d21aとに螺合した状態でも、頭部1n2’下面とホロー部上板1d13上面との間に隙間が空くようにすると良い。
【0038】
また、上記実施形態では、ホロー部上板1d13において下框補強ネジ1nの軸部1n1の雄ネジ部1n11が螺合する雌ネジ孔1d13aをセッティングブロック1kに干渉しない箇所に設けて説明したが、下框補強ネジ1nは室外側ガラス1aおよび室内側ガラス1bの崩落を防止ないしは遅らせることが目的であるため、本発明ではこれに限らず、例えば、セッティングブロック1kに凹み又は貫通孔を形成し、セッティングブロック1kに重なる位置に設けても良い。
【0039】
また、本発明に係る実施形態のガラス障子は、図1図4に示すように引き違い障子を構成するガラス外障子1を一例に説明したが、本発明ではこれに限定されず、ガラス内障子1’側にも本発明を適用して下框補強ネジ1n等を設けても良いし、さらには、引き違い窓のガラス障子のみでなく、開き窓のガラス障子や滑り出し窓、上げ下げ窓、FIX窓等の引き違い窓以外のガラス障子に適用しても勿論良い。
【符号の説明】
【0040】
1 ガラス外障子(ガラス障子)
1a 室外側ガラス
1b 室内側ガラス
1c 上框
1d 下框
1d1 ガラス下端支持部
1d11 室外側起立壁板
1d12 水溜め板
1d13 ホロー部上板
1d13a 雌ネジ孔
1d14 室内側起立壁板
1d2 戸車収納部
1d21 ホロー部下板
1d21a 雌ネジ孔
1d22 ビス受板
1d23 戸車前側覆い板
1d24 戸車後側覆い板
1d25 戸車支持板
1d3 ホロー部
1d31 ホロー部前板
1d32 ホロー部後板
1e 戸先框(縦框)
1f 召合せ框(縦框)
1g スペーサー
1h 封着シール材
1i シーリング材
1j バックアップ材
1k セッティングブロック
1m 戸車
1n 下框補強ネジ
1n1 軸部
1n11 雄ネジ部
1n2 頭部
2 窓枠
2a 上枠
2b 下枠
2c,2d 縦枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8