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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048675
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】流路切替装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154722
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】河井 伸二
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA13
3H067CC02
3H067CC23
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA14
3H067EA32
3H067EC29
(57)【要約】
【課題】シール部材によるシール性を確保できる流路切替装置を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、流路切替装置1において、回転ディスク40に設けられ、ハウジング11や固定ディスク50に接触して流入流路20や固定ディスク連通路70と当該流入流路20や固定ディスク連通路70に連通する回転ディスク連通路60との間を封止するシール部材81を有し、回転ディスク40を時計回りに回転させて、流路パターンを複数回切り替えた後、回転ディスク40を反時計回りに回転させて、流路パターンを複数回切り替える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
回転軸を中心に回転する回転部材と、
を有し、
前記固定部材は、固定部材流路を複数備え、
前記回転部材は、当該回転部材を前記回転軸の方向に貫通し前記固定部材流路と連通可能な回転部材連通路を複数備え、
前記回転部材を回転させて、連通させる前記固定部材流路と前記回転部材連通路との組み合わせを切り替えることにより、流体が流れる流路パターンを切り替える流路切替装置において、
前記回転部材に設けられ、前記固定部材に接触して前記固定部材流路と当該固定部材流路に連通する前記回転部材連通路との間を封止するシール部材を有し、
前記回転部材を前記回転軸を中心とする円周方向の一方の向きに回転させて、前記流路パターンを複数回切り替えた後、
前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて、前記流路パターンを複数回切り替えること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項2】
請求項1の流路切替装置において、
Xは4以上の整数であって、
前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに360度回転させると、前記流路パターンがX回切り替わる場合に、
前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに回転させて、前記流路パターンを(X-1)回切り替えた後、
前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて、前記流路パターンを(X-1)回切り替えること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項3】
固定部材と、
回転軸を中心に回転する回転部材と、
を有し、
前記固定部材は、固定部材流路を複数備え、
前記回転部材は、当該回転部材を前記回転軸の方向に貫通し前記固定部材流路と連通可能な回転部材連通路を複数備え、
前記回転部材を回転させて、連通させる前記固定部材流路と前記回転部材連通路との組み合わせを切り替えることにより、流体が流れる流路パターンを切り替える流路切替装置において、
前記回転部材に設けられ、前記固定部材に接触して前記固定部材流路と当該固定部材流路に連通する前記回転部材連通路との間を封止するシール部材を有し、
前記回転部材は、前記回転軸を中心とする円周方向に360度以上回転可能であること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項4】
請求項3の流路切替装置において、
前記回転部材を、前記円周方向の一方の向きのみ回転させること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つの流路切替装置において、
切替え可能な前記流路パターンの種類が3つ以上あり、
前記回転部材が前記円周方向の一方の向きに回転しているときに、任意の種類の前記流路パターンへの切替え要求があったとき、
任意の種類の前記流路パターンへ切り替えるために必要な前記回転部材の回転角度について、前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに回転させるときよりも、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させるときの方が小さい場合には、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて任意の種類の前記流路パターンへ切り替えること、
を特徴とする流路切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体が流れる流路パターンを切り替える流路切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータが回転するときに、ロータに備わるロータシールがステータに対して円周上に摺動する流路切替バルブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される流路切替バルブにおいて、ロータが時計回りの回転と反時計回りの回転とを反復して繰り返し行う場合、ステータにて個々のロータシールがラップ作動する範囲(すなわち、重複して作動する範囲)の部分で摩耗による段差が生じて、ロータシールによるシール性が悪化するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、シール部材によるシール性を確保できる流路切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、固定部材と、回転軸を中心に回転する回転部材と、を有し、前記固定部材は、固定部材流路を複数備え、前記回転部材は、当該回転部材を前記回転軸の方向に貫通し前記固定部材流路と連通可能な回転部材連通路を複数備え、前記回転部材を回転させて、連通させる前記固定部材流路と前記回転部材連通路との組み合わせを切り替えることにより、流体が流れる流路パターンを切り替える流路切替装置において、前記回転部材に設けられ、前記固定部材に接触して前記固定部材流路と当該固定部材流路に連通する前記回転部材連通路との間を封止するシール部材を有し、前記回転部材を前記回転軸を中心とする円周方向の一方の向きに回転させて、前記流路パターンを複数回切り替えた後、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて、前記流路パターンを複数回切り替えること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、回転部材に設けられたシール部材と、固定部材とが、円周方向について広範囲に亘って摺動する。そのため、シール部材と固定部材が、局所的に摺動して摩耗することを抑制できる。したがって、シール部材によるシール性を確保できる。
【0008】
上記の態様においては、Xは4以上の整数であって、前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに360度回転させると、前記流路パターンがX回切り替わる場合に、前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに回転させて、前記流路パターンを(X-1)回切り替えた後、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて、前記流路パターンを(X-1)回切り替えること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、回転部材に設けられたシール部材と固定部材とを摺動させる量を均一化できる。そのため、シール部材と固定部材との摺動による摩耗を均一化できる。したがって、より効果的に、シール部材によるシール性を確保できる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、固定部材と、回転軸を中心に回転する回転部材と、を有し、前記固定部材は、固定部材流路を複数備え、前記回転部材は、当該回転部材を前記回転軸の方向に貫通し前記固定部材流路と連通可能な回転部材連通路を複数備え、前記回転部材を回転させて、連通させる前記固定部材流路と前記回転部材連通路との組み合わせを切り替えることにより、流体が流れる流路パターンを切り替える流路切替装置において、前記回転部材に設けられ、前記固定部材に接触して前記固定部材流路と当該固定部材流路に連通する前記回転部材連通路との間を封止するシール部材を有し、前記回転部材は、前記回転軸を中心とする円周方向に360度以上回転可能であること、を特徴とする。
【0011】
この態様によれば、回転部材に設けられたシール部材と、固定部材とを、円周方向の全周に亘って摺動させることができる。そのため、シール部材と固定部材が、局所的に摺動により摩耗することを抑制できる。したがって、シール部材によるシール性を確保できる。
【0012】
上記の態様においては、前記回転部材を、前記円周方向の一方の向きのみ回転させること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、回転部材に設けられたシール部材と、固定部材とを、円周方向について均一に摺動させることができる。そのため、より効果的に、シール部材と固定部材が、局所的に摺動により摩耗することを抑制できる。したがって、より効果的に、シール部材によるシール性を確保できる。
【0014】
上記の態様においては、切替え可能な前記流路パターンの種類が3つ以上あり、前記回転部材が前記円周方向の一方の向きに回転しているときに、任意の種類の前記流路パターンへの切替え要求があったとき、任意の種類の前記流路パターンへ切り替えるために必要な前記回転部材の回転角度について、前記回転部材を前記円周方向の一方の向きに回転させるときよりも、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させるときの方が小さい場合には、前記回転部材を前記円周方向の他方の向きに回転させて任意の種類の前記流路パターンへ切り替えること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、任意の種類の流路パターンへ切り替えるために必要な回転部材の回転角度を最小限に抑制できる。そのため、回転部材に設けられたシール部材と固定部材とを摺動させる量を抑制できるので、シール部材と固定部材とが摺動して摩耗することを抑制できる。したがって、より効果的に、シール部材によるシール性を確保できる。また、回転部材の回転について良好な応答性を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の流路切替装置によれば、シール部材によるシール性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の流路切替装置(六方弁である場合)の外観斜視図である。
図2】本実施形態の流路切替装置の分解斜視図である(駆動部は図示を省略している)。
図3】本実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図4】回転ディスクの上面図である。
図5】固定ディスクの上面図である。
図6】第1の流路パターンを模式的に示す図であり、流路切替装置の上方から見たときをイメージした図である。
図7】第2の流路パターンを模式的に示す図であり、流路切替装置の上方から見たときをイメージした図である。
図8】第1実施例にて行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図9】第1実施例における流路パターンの切り替えを模式的に示す図である。
図10】第2実施例にて、流路切替装置が四方弁である場合に行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図11】第2実施例にて、流路切替装置が四方弁である場合における流路パターンの切り替えを模式的に示す図である。
図12】回転ディスクを円周方向の一方の向きのみ回転させることによるメリットに関して説明するための図である。
図13】シール部材の形状の一例を示す図である。
図14】シール部材の形状の一例を示す図である。
図15】第2実施例にて、流路切替装置が六方弁であって、かつ、流路パターンの種類が2つの場合に行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図16】第2実施例にて、流路切替装置が六方弁であって、かつ、流路パターンの種類が2つの場合における流路パターンの切り替えを模式的に示す図である。
図17】第2実施例にて、流路切替装置が六方弁であって、かつ、流路パターンの種類が3つの場合に行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図18】第2実施例にて、流路切替装置が六方弁であって、かつ、流路パターンの種類が3つの場合における流路パターンの切り替えを模式的に示す図である。
図19】第3実施例にて行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図20】第3実施例における流路パターンの切り替えを模式的に示す図である。
図21】2つのシール部材のラップ領域を示す図である。
図22】2つのシール部材のラップ領域にて、シール部材と固定ディスクが摺動により摩耗したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態である流路切替装置について説明する。
【0019】
(流路切替装置の全体の概要説明)
まず、本実施形態の流路切替装置1の全体の概要について説明する。
【0020】
図1図3に示すように、流路切替装置1は、ハウジング11と、弁体部12と、駆動部13と、制御部14を有する。
【0021】
ハウジング11は、流体が流入する流入流路20と、流体が流出する流出流路30と、を備えている。ここでは、流路切替装置1は、一例として六方弁であり、ハウジング11は、3つの流入流路20と3つの流出流路30とを備えている。そして、3つの流入流路20として、第1流入流路21と第2流入流路22と第3流入流路23とが設けられている。また、3つの流出流路30として、第1流出流路31と第2流出流路32と第3流出流路33とが設けられている。
【0022】
なお、ハウジング11は、例えば樹脂により形成されている。また、ハウジング11は本開示の「固定部材」の一例であり、流入流路20(すなわち、第1流入流路21と第2流入流路22と第3流入流路23)は本開示の「固定部材流路」の一例である。
【0023】
弁体部12は、ハウジング11の内部に設けられている。この弁体部12は、図2図3に示すように、回転する板状の回転ディスク40と、板状の固定ディスク50と、を備えている。そして、回転ディスク40と固定ディスク50は、後述する回転ディスク40の円板部41や固定ディスク50の円板部51の中心軸L方向(以下、単に「軸方向」という。)に積層して配置されている。
【0024】
なお、回転ディスク40と固定ディスク50は、例えば樹脂により形成されている。また、回転ディスク40は本開示の「回転部材」の一例であり、固定ディスク50は本開示の「固定部材」の一例である。
【0025】
図2図4に示すように、回転ディスク40は、円板部41と回転軸部42を備えている。
【0026】
円板部41は、円板状に形成されており、回転ディスク連通路60を備えている。この回転ディスク連通路60は、円板部41を軸方向に貫通し、流入流路20や後述する固定ディスク連通路70と連通可能である。ここでは、円板部41は、3つの回転ディスク連通路60を備えている。そして、図2図4に示すように、3つの回転ディスク連通路60として、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63を備えている。なお、回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63)は、本開示の「回転部材連通路」の一例である。
【0027】
回転軸部42は、その中心軸方向について、一端側にて円板部41と接続しており、他端側にて駆動部13に接続している。この回転軸部42は、その中心軸が円板部41の中心軸Lと一致するようにして、円板部41の中央の位置に設けられている。そして、駆動部13から回転する動力を得て回転軸部42がその中心軸を中心に回転することにより、回転軸部42に接続する円板部41がその中心軸Lを中心に回転する。このようにして、回転ディスク40は、駆動部13から回転する動力を得ることにより、中心軸Lを中心に回転する。なお、中心軸Lは、本開示の「回転軸」の一例である。
【0028】
図2図3図5に示すように、固定ディスク50は、円板部51と円筒部52とを備えている。
【0029】
円板部51は、円板状に形成されており、軸方向に貫通する固定ディスク連通路70を備えている。ここでは、円板部51は、3つの固定ディスク連通路70を備えている。そして、図2図5に示すように、3つの固定ディスク連通路70として、第1固定ディスク連通路71と第2固定ディスク連通路72と第3固定ディスク連通路73を備えている。なお、固定ディスク連通路70(すなわち、第1固定ディスク連通路71と第2固定ディスク連通路72と第3固定ディスク連通路73)は、本開示の「固定部材流路」の一例である。
【0030】
円筒部52は、円板部51に接続しており、固定ディスク連通路70を囲うようにして円板部51から軸方向に延びるようにして形成されている。ここでは、円筒部52は、3つの固定ディスク連通路70のそれぞれに対応するようにして、3つ形成されている。
【0031】
駆動部13は、回転ディスク40の回転軸部42に回転する動力を与えるためのモータ(不図示)を備えている。
【0032】
制御部14は、例えば、CPUとROM,RAM等のメモリを備え、メモリに予め格納されているプログラムに応じて、流路切替装置1を制御する。
【0033】
以上のような構成の流路切替装置1は、流入流路20と回転ディスク連通路60と固定ディスク連通路70(流出流路30)とを組み合わせることで、流体が流れる流路を形成する。そして、流路切替装置1は、駆動部13により回転ディスク40を回転駆動させて、連通させる流入流路20や固定ディスク連通路70と回転ディスク連通路60との組み合わせを切り替えることにより、流体が流れる流路パターン(以下、「流路パターン」という。)を切り替える。
【0034】
例えば、図6に示すように、第1の流路パターンとして、3つの回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63)により、第1流入流路21と第1固定ディスク連通路71(第1流出流路31)とを連通させ、第2流入流路22と第2固定ディスク連通路72(第2流出流路32)とを連通させ、第3流入流路23と第3固定ディスク連通路73(第3流出流路33)とを連通させる。
【0035】
そして、図6に示す第1の流路パターンの状態から、駆動部13により回転ディスク40を回転させて、図7に示す第2の流路パターンに切り替えることができる。
【0036】
すなわち、図7に示すように、第2の流路パターンとして、3つの回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63)により、第1流入流路21と第3固定ディスク連通路73(第3流出流路33)とを連通させ、第2流入流路22と第1固定ディスク連通路71(第1流出流路31)とを連通させ、第3流入流路23と第2固定ディスク連通路72(第2流出流路32)とを連通させる。
【0037】
なお、流路切替装置1は、六方弁に限らず、四方弁などのその他の多方弁にすることもできる。
【0038】
また、本実施形態では、軸方向について、ハウジング11と回転ディスク40との間、および、回転ディスク40と固定ディスク50との間、および、固定ディスク50とハウジング11との間に、それぞれ、弾性部材を設けている。
【0039】
具体的には、図3に示すように、ハウジング11と回転ディスク40との間、および、回転ディスク40と固定ディスク50との間には、それぞれ、弾性部材としてシール部材81が設けられている。
【0040】
このシール部材81は、図2図4などに示すように、回転ディスク40における円板部41の上面41aと下面41bにて、長孔状に形成される回転ディスク連通路60の周囲を囲むようにして周状に設けられている。そして、このシール部材81は、ハウジング11や固定ディスク50に接触して、流入流路20と当該流入流路20に連通する回転ディスク連通路60との間や、固定ディスク連通路70と当該固定ディスク連通路70に連通する回転ディスク連通路60との間を、外部から封止(シール)する。
【0041】
なお、シール部材81は、例えばフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))により形成されている。また、シール部材81は、フッ素樹脂を貼付したゴムにより形成されていてもよい。さらに、シール部材81は、フッ素樹脂やゴム以外の材料により形成されていてもよい。
【0042】
また、固定ディスク50の円板部51とハウジング11との間に、弾性部材としてディスク保持スプリング82が設けられている。このディスク保持スプリング82は、固定ディスク50の3つの円筒部52のそれぞれに配置されるようにして、合計3つ設けられている。なお、3つのディスク保持スプリング82は、互いに等間隔空けて設けられている。また、3つのディスク保持スプリング82は、3つの円筒部52のそれぞれの間の位置に配置されていてもよい。また、ディスク保持スプリング82は、4つ以上設けられていてもよい。
【0043】
また、固定ディスク50の円筒部52とハウジング11との間に、固定ディスク連通路70のシール性を確保するためのリップシール83が設けられている。
【0044】
(シール部材によるシール性の確保について)
例えば、前記の図6図7に示すように、流路パターンを第1の流路パターンと第2の流路パターンに1回毎に交互に繰り返し切り替えた場合、図21に示すように、個々のシール部材81とその隣のシール部材81とが局所的に重複して摺動するラップ領域αが生じる。そして、このラップ領域αでは、個々のシール部材81やハウジング11や固定ディスク50の材質や面粗度などのバラツキにより、図22に示すように、シール部材81や固定ディスク50(やハウジング11)にて、局所的に摺動による摩耗が生じるおそれがある。
【0045】
そうすると、シール部材81によるシール性が低下するおそれがある。ここで、「シール部材81によるシール性」とは、シール部材81により流入流路20と当該流入流路20に連通する回転ディスク連通路60との間を封止するシール性や、シール部材81により固定ディスク連通路70と当該固定ディスク連通路70に連通する回転ディスク連通路60との間を封止するシール性である。
【0046】
そこで、本実施形態では、シール部材81やハウジング11や固定ディスク50にて局所的に摺動による摩耗が生じることを抑制して、シール部材81によるシール性を確保する。
【0047】
(第1実施例)
本実施例では、回転ディスク40を中心軸Lを中心とする円周方向(以下、単に「円周方向」という。)の一方の向きに回転させて、流路パターンを複数回切り替えた後、回転ディスク40を円周方向の他方の向きに回転させて、流路パターンを複数回切り替える。
【0048】
具体的には、制御部14は、図8のフローチャートに示す内容の制御を行う。ここでは、一例として、流路切替装置1は四方弁とする。
【0049】
図8に示すように、まず、制御部14は、回転ディスク40の停止位置を取込む(ステップS1)。
【0050】
ここで、回転ディスク40の停止位置は、例えば、図9に示す位置である。そして、図9の(A)に示す位置を「停止位置_1(A)」とし、図9の(B)に示す位置を「停止位置_2(B)」とし、図9の(C)に示す位置を「停止位置_3(A)」とし、図9の(D)に示す位置を「停止位置_4(B)」とする。
【0051】
また、図9の(A)と(C)に示す流路パターンを、パターンAとする。このパターンAでは、2つの回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62)により、第1流入流路21と第1固定ディスク連通路71(第1流出流路31)とが連通し、かつ、第2流入流路22と第2固定ディスク連通路72(第2流出流路32)とが連通している。
【0052】
さらに、図9の(B)と(D)に示す流路パターンを、パターンBとする。このパターンBでは、2つの回転ディスク連通路60により、第1流入流路21と第2固定ディスク連通路72とが連通し、かつ、第2流入流路22と第1固定ディスク連通路71とが連通している。
【0053】
図8の説明に戻って、次に、制御部14は、流路パターンの切替え要求があるか否かを判断する(ステップS2)。
【0054】
そして、流路パターンの切替え要求がある場合(ステップS2:YES)には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求であるか否かを判断する(ステップS3)。ここで、「A→B切替え要求」とは、パターンAからパターンBへの流路パターンの切替え要求である。
【0055】
そして、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求である場合(ステップS3:YES)には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)(図9の(A)に示す位置)であるか否かを判断する(ステップS4)。
【0056】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)である場合(ステップS4:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回り(の向き)に90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を2(B)位置(すなわち、停止位置_2(B)、図9の(B)に示す位置)に切り替える(ステップS5)。そして、これにより、回転ディスク40を時計回りに回転させる制御を開始する。ここで、「時計回り(の向き)」は、本開示の「円周方向の一方の向き」の一例である。
【0057】
次に、制御部14は、時計回りフラグ(X時計回り)を「1」にする(ステップS6)。このように、時計回りフラグは、回転ディスク40を時計回りに回転させるときに「1」とする一方、回転ディスク40を反時計回りに回転させるときに「0」とする。
【0058】
また、ステップS4において、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)でない場合(ステップS4:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_3(A)(図9の(C)に示す位置)である場合には、制御部14は、時計回りフラグが「1」であるか否かを判断する(ステップS7)。
【0059】
そして、時計回りフラグが「1」である場合(ステップS7:YES)、すなわち、回転ディスク40を時計回りに回転させている場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を4(B)位置(すなわち、停止位置_4(B)、図9の(D)に示す位置)に切り替える(ステップS8)。
【0060】
一方、時計回りフラグが「0」である場合(ステップS7:NO)、すなわち、回転ディスク40を反時計回りに回転させている場合には、制御部14は、回転ディスク40を反時計回り(の向き)に90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を2(B)位置に切り替える(ステップS9)。ここで、「反時計回り(の向き)」は、本開示の「円周方向の他方の向き」の一例である。
【0061】
また、ステップS3において、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求でない場合(ステップS3:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)であるか否かを判断する(ステップS10)。ここで、「B→A切替え要求」とは、パターンBからパターンAへの流路パターンの切替え要求である。
【0062】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)である場合(ステップS10:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を反時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を3(A)位置(すなわち、停止位置_3(A))に切り替える(ステップS11)。そして、これにより、回転ディスク40を反時計回りに回転させる制御を開始する。
【0063】
次に、制御部14は、時計回りフラグを「0」にする(ステップS12)。
【0064】
また、ステップS10において、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)でない場合(ステップS10:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_2(B)である場合には、制御部14は、時計回りフラグが「0」であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0065】
そして、時計回りフラグが「0」である場合(ステップS13:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を反時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を1(A)位置(すなわち、停止位置_1(A))に切り替える(ステップS14)。
【0066】
一方、時計回りフラグが「1」である場合(ステップS13:NO)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を3(A)位置に切り替える(ステップS15)。
【0067】
また、ステップS2において、流路パターンの切替え要求がない場合(ステップS2:NO)には、制御部14は、バルブ切替え位置を保持(ステップS16)、すなわち、回転ディスク40の停止位置をそのまま維持する。
【0068】
以上のようにして、本実施例では、制御部14は、図9に示すように、回転ディスク40を時計回りに回転させて、流路パターンを3回切り替える。そして、その後、制御部14は、回転ディスク40を反時計回りに回転させて、流路パターンを3回切り替える。
【0069】
このようにして、回転ディスク40について、時計回りの回転と反時計回りの回転を1回毎に交互に繰り返すのではなく、時計回りの回転を行って流路パターンを複数回切り替えた後に、反時計回りの回転を行って流路パターンを複数回切り替える。
【0070】
これにより、回転ディスク40に設けられたシール部材81と、ハウジング11や固定ディスク50とが、円周方向について広範囲に亘って摺動する。そのため、シール部材81とハウジング11と固定ディスク50が、局所的に摺動して摩耗することを抑制できる。したがって、シール部材81によるシール性を確保できる。
【0071】
また、シール部材81がハウジング11や固定ディスク50と摺動する方向が、時計回りの向きと反時計回りの向きの両方向になるので、シール部材81が偏摩耗することを抑制できる。
【0072】
また、回転ディスク40を時計回りに360度回転させると、図9の(A)から(D)へ流路パターンが切り替わった後に、さらに図9(A)へ流路パターンが切り替わり、流路パターンが4回切り替わることになる。しかしながら、本実施例では、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに回転させて、流路パターンを3回切り替えた後、回転ディスク40を反時計回りに回転させて、流路パターンを3回切り替える。すなわち、図9の(A)から(D)へ流路パターンを切り替えた後、図9の(D)から(A)へ流路パターンを切り替える。
【0073】
このようにして、本実施例では、Xが4以上の整数であって、回転ディスク40を時計回りに360度回転させると、流路パターンがX回切り替わる場合に、回転ディスク40を時計回りに回転させて、流路パターンを(X-1)回切り替えた後、回転ディスク40を反時計回りに回転させて、流路パターンを(X-1)回切り替える。
【0074】
すなわち、回転ディスク40を時計回りに360度回転させるよりも前に、反時計回りに回転させている。
【0075】
これにより、回転ディスク40に設けられたシール部材81と、ハウジング11や固定ディスク50とを摺動させる量を均一化できる。そのため、シール部材81とハウジング11や固定ディスク50との摺動による摩耗を均一化できる。したがって、より効果的に、シール部材81によるシール性を確保できる。
【0076】
なお、回転ディスク40を反時計回りに回転させて、流路パターンを(X-1)回切り替えた後、回転ディスク40を時計回りに回転させて、流路パターンを(X-1)回切り替えてもよい。
【0077】
(第2実施例)
本実施例では、回転ディスク40を円周方向に360度以上回転可能とし、回転ディスク40を円周方向の一方の向きのみ回転させるようにする。
【0078】
具体的には、制御部14は、図10のフローチャートに示す内容の制御を行う。ここでは、一例として、流路切替装置1は四方弁とする。
【0079】
図10に示すように、まず、制御部14は、回転ディスク40の停止位置を取込む(ステップS101)。
【0080】
ここで、回転ディスク40の停止位置は、図11に示す位置である。そして、図11の(A)に示す位置を「停止位置_1(A)」とし、図11の(B)に示す位置を「停止位置_2(B)」とし、図11の(C)に示す位置を「停止位置_3(A)」とし、図11の(D)に示す位置を「停止位置_4(B)」とする。また、図11の(A)と(C)に示す流路パターンを、パターンAとする。さらに、図11の(B)と(D)に示す流路パターンを、パターンBとする。
【0081】
図10の説明に戻って、次に、制御部14は、流路パターンの切替え要求があるか否かを判断する(ステップS102)。
【0082】
そして、流路パターンの切替え要求がある場合(ステップS102:YES)には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求であるか否かを判断する(ステップS103)。
【0083】
そして、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求である場合(ステップS103:YES)には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)(図11の(A)に示す位置)であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0084】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)である場合(ステップS104:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を2(B)位置(すなわち、停止位置_2(B)、図11の(B)に示す位置)に切り替える(ステップS105)。
【0085】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)でない場合(ステップS104:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_3(A)(図11の(C)に示す位置)である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を4(B)位置(すなわち、停止位置_4(B)、図11(D)に示す位置)に切り替える(ステップS106)。
【0086】
また、ステップS103において、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求でない場合(ステップS103:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0087】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)である場合(ステップS107:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を1(A)位置(すなわち、停止位置_1(A))に切り替える(ステップS108)。
【0088】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)でない場合(ステップS107:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_2(B)である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置を3(A)位置(すなわち、停止位置_3(A))に切り替える(ステップS109)。
【0089】
また、ステップS102において、流路パターンの切替え要求がない場合(ステップS102:NO)には、制御部14は、バルブ切替え位置を保持する(ステップS110)。
【0090】
以上のようにして、本実施例では、回転ディスク40は円周方向に360度以上回転可能とする。すなわち、回転ディスク40は時計回りの向きに360度以上回転可能とする。なお、回転ディスク40は反時計回りの向きに360度以上回転可能としてもよい。
【0091】
これにより、回転ディスク40に設けられたシール部材81と、ハウジング11や固定ディスク50とを、円周方向の全周に亘って摺動させることができる。そのため、シール部材81とハウジング11と固定ディスク50が、局所的に摺動により摩耗することを抑制できる。したがって、シール部材81によるシール性を確保できる。
【0092】
また、制御部14は、回転ディスク40を時計回りのみ回転させるように制御する。なお、制御部14は、回転ディスク40を反時計回りのみ回転させるように制御してもよい。
【0093】
これにより、回転ディスク40に設けられたシール部材81と、ハウジング11や固定ディスク50とを、円周方向について均一に摺動させることができる。そのため、より効果的に、シール部材81とハウジング11と固定ディスク50が、局所的に摺動により摩耗することを抑制できる。したがって、より効果的に、シール部材81によるシール性を確保できる。
【0094】
また、このように回転ディスク40を円周方向の一方の向きにのみ回転させるので、シール部材81の先端81aが反転する不具合がなくなる。そのため、シール部材81の先端81aについて、回転ディスク40を円周方向の一方の向きに回転させることに適した仕様にすることができる。
【0095】
すなわち、図12に示すように、シール部材81を低剛性として、回転ディスク40の回転時にシール部材81の先端81aが図中にて矢印で示す摺動方向とは反対方向に向かせることができる。そして、これにより、固定ディスク50(やハウジング11)に対するシール部材81の摺動抵抗を低減できる。
【0096】
また、図12に示す角度θ(固定ディスク50の面とシール部材81の先端81aとがなす角度)を、小さくすることができる。そのため、回転ディスク40の回転時に、シール部材81の先端81aが、固定ディスク連通路70の内部から固定ディスク50の面(および、流入流路20の内部からハウジング11の面)に乗り上がり易くなる。したがって、シール部材81の先端81aが流入流路20の内部や固定ディスク連通路70の内部から固定ディスク50の面に乗り上がるときに、シール部材81の先端81aが受けるダメージを低減できる。
【0097】
なお、図13に示すように、シール部材81の先端81aの形状を、予め図中にて矢印で示す摺動方向とは反対方向に向くように形成しておいてもよい。あるいは、図14に示すように、シール部材81を高剛性として、シール部材81の先端81aの摺動方向側にテーパ形状を形成してもよい。
【0098】
なお、前記の図10図11では流路切替装置1が四方弁である場合について説明したが、本実施例において、流路切替装置1が六方弁である場合には、制御部14は、図15のフローチャートに示す内容の制御を行う。
【0099】
図15に示すように、まず、制御部14は、回転ディスク40の停止位置を取込む(ステップS201)。
【0100】
ここで、回転ディスク40の停止位置は、図16に示す位置である。そして、図16の(A)に示す位置を「停止位置_1(A)」とし、図16の(B)に示す位置を「停止位置_2(B)」とし、図16の(C)に示す位置を「停止位置_3(A)」とし、図16の(D)に示す位置を「停止位置_4(B)」とし、図16の(E)に示す位置を「停止位置_5(A)」とし、図16の(F)に示す位置を「停止位置_6(B)」とする。
【0101】
また、図16の(A)と(C)と(E)に示す流路パターンを、パターンAとする。このパターンAでは、3つの回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63)により、第1流入流路21と第1固定ディスク連通路71とが連通し、かつ、第2流入流路22と第2固定ディスク連通路72とが連通し、かつ、第3流入流路23と第3固定ディスク連通路73とが連通する。
【0102】
さらに、図16の(B)と(D)と(F)に示す流路パターンを、パターンBとする。このパターンBでは、3つの回転ディスク連通路60により、第1流入流路21と第3固定ディスク連通路73とが連通し、かつ、第2流入流路22と第1固定ディスク連通路71とが連通し、かつ、第3流入流路23と第2固定ディスク連通路72とが連通する。
【0103】
図15の説明に戻って、次に、制御部14は、流路パターンの切替え要求があるか否かを判断する(ステップS202)。
【0104】
そして、流路パターンの切替え要求がある場合(ステップS202:YES)には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求であるか否かを判断する(ステップS203)。
【0105】
そして、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求である場合(ステップS203:YES)には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)(図16の(A)に示す位置)であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0106】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)である場合(ステップS204:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置を2(B)位置(すなわち、停止位置_2(B)、図16の(B)に示す位置)に切り替える(ステップS205)。
【0107】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_1(A)でない場合(ステップS204:NO)には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_3(A)(図16の(C)に示す位置)であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0108】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_3(A)である場合(ステップS206:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置を4(B)位置(すなわち、停止位置_4(B)、図16の(D)に示す位置)に切り替える(ステップS207)。
【0109】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_3(A)でない場合(ステップS206:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_5(A)(図16の(E)に示す位置)である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、6(B)位置(すなわち、停止位置_6(B)、図16の(F)に示す位置)に切り替える(ステップS208)。
【0110】
また、ステップS203において、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求でない場合(ステップS203:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_6(B)であるか否かを判断する(ステップS209)。
【0111】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_6(B)である場合(ステップS209:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置を1(A)位置(すなわち、停止位置_1(A))に切り替える(ステップS210)。
【0112】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_6(B)でない場合(ステップS209:NO)には、制御部14は、回転ディスク40の停止位置が停止位置_2(B)であるか否かを判断する(ステップS211)。
【0113】
そして、回転ディスク40の停止位置が停止位置_2(B)である場合(ステップS211:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置を3(A)位置(すなわち、停止位置_3(A))に切り替える(ステップS212)。
【0114】
一方、回転ディスク40の停止位置が停止位置_2(B)でない場合(ステップS211:NO)、すなわち、回転ディスク40の停止位置が停止位置_4(B)である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置を5(A)位置(すなわち、停止位置_5(A))に切り替える(ステップS213)。
【0115】
また、ステップS202において、流路パターンの切替え要求がない場合(ステップS202:NO)には、制御部14は、バルブ切替え位置を保持する(ステップS214)。
【0116】
また、前記の図10図11図15図16では、流路パターンの種類が2つ(パターンAとパターンB)である場合について説明したが、本実施例において、流路パターンの種類が3つ(パターンAとパターンBとパターンC)である場合には、制御部14は、図17のフローチャートに示す内容の制御を行う。ここでは、一例として、流路切替装置1を六方弁とする。
【0117】
図17に示すように、まず、制御部14は、回転ディスク40の停止位置を取込む(ステップS301)。
【0118】
ここで、回転ディスク40の停止位置は、図18に示す位置である。そして、図18の(A)と(E)と(I)に示す流路パターンを、パターンAとする。このパターンAでは、3つの回転ディスク連通路60(すなわち、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63)により、第1流入流路21と第1固定ディスク連通路71とが連通し、かつ、第2流入流路22と第2固定ディスク連通路72とが連通し、かつ、第3流入流路23と第3固定ディスク連通路73とが連通する。
【0119】
また、図18の(B)と(D)と(F)と(H)と(J)と(L)に示す流路パターンを、パターンBとする。このパターンBでは、3つの回転ディスク連通路60と3つの回転ディスク連通路65により、第1流入流路21と第2固定ディスク連通路72とが連通し、かつ、第2流入流路22と第3固定ディスク連通路73とが連通し、かつ、第3流入流路23と第1固定ディスク連通路71とが連通する。なお、回転ディスク連通路65は、図18にて点線で示すように、回転ディスク40の内部にて径方向に形成される流路であり、3つ形成されている。
【0120】
さらに、図18の(C)と(G)と(K)に示す流路パターンを、パターンCとする。このパターンCでは、3つの回転ディスク連通路60により、第1流入流路21と第3固定ディスク連通路73とが連通し、かつ、第2流入流路22と第1固定ディスク連通路71とが連通し、かつ、第3流入流路23と第2固定ディスク連通路72とが連通する。
【0121】
図17の説明に戻って、次に、制御部14は、流路パターンの切替え要求があるか否かを判断する(ステップS302)。
【0122】
そして、流路パターンの切替え要求がある場合(ステップS302:YES)には、制御部14は、切替え要求パターンを取込み(ステップS303)、Aパターン停止であるか否かを判断する(ステップS304)。ここで、「Aパターン停止である」とは、流路パターンがパターンAとなる位置(図18の(A)と(E)と(I)に示す位置)で回転ディスク40が停止している、ということである。
【0123】
そして、Aパターン停止である場合(ステップS304:YES)には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求であるか否かを判断する(ステップS305)。
【0124】
そして、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求である場合(ステップS305:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をBパターン位置に切り替える(ステップS306)。ここで、「Bパターン位置」とは、流路パターンがパターンBとなる位置(図18の(B)と(D)と(F)と(H)と(J)と(L)に示す位置)である。
【0125】
一方、流路パターンの切替え要求がA→B切替え要求でない場合(ステップS305:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がA→C切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置をCパターン位置に切り替える(ステップS307)。ここで、「A→C切替え要求」とは、パターンAからパターンCへの流路パターンの切替え要求である。また、「Cパターン位置」とは、流路パターンがパターンCとなる位置(図18の(C)と(G)と(K)に示す位置)である。
【0126】
また、ステップS304において、Aパターン停止でない場合(ステップS304:NO)には、制御部14は、Bパターン停止であるか否かを判断する(ステップS308)。ここで、「Bパターン停止である」とは、流路パターンがパターンBとなる位置で回転ディスク40が停止している、ということである。
【0127】
そして、Bパターン停止である場合(ステップS308:YES)には、制御部14は、A~C間停止であるか否かを判断する(ステップS309)。ここで、「A~C間停止である」とは、流路パターンがパターンAからパターンCへ切替わる途中の位置(図18の(B)と(F)と(J)に示す位置)で回転ディスク40が停止している、ということである。
【0128】
そして、A~C間停止である場合(ステップS309:YES)には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求であるか否かを判断する(ステップS310)。ここで、「B→C切替え要求」とは、パターンBからパターンCへの流路パターンの切替え要求である。
【0129】
そして、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求である場合(ステップS310:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をCパターン位置に切り替える(ステップS311)。
【0130】
そして、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求でない場合(ステップS310:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置をAパターン位置に切り替える(ステップS312)。ここで、「Aパターン位置」とは、流路パターンがパターンAとなる位置(図18の(A)と(E)と(I)に示す位置)である。
【0131】
また、ステップS309において、A~C間停止でない場合(ステップS309:NO)、すなわち、C~A間停止である場合には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求であるか否かを判断する(ステップS313)。ここで、「C~A間停止である」とは、流路パターンがパターンCからパターンAへ切替わる途中の位置(図18の(D)と(H)と(L)に示す位置)で回転ディスク40が停止している、ということである。
【0132】
そして、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求である場合(ステップS313:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに90度回転させて、回転ディスク40の停止位置をCパターン位置に切り替える(ステップS314)。
【0133】
一方、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求でない場合(ステップS313:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をAパターン位置に切り替える(ステップS315)。
【0134】
また、ステップS308において、Bパターン停止でない場合(ステップS308:NO)、すなわち、Cパターン停止である場合には、制御部14は、流路パターンの切替え要求がC→B切替え要求であるか否かを判断する(ステップS316)。ここで、「C→B切替え要求」とは、パターンCからパターンBへの流路パターンの切替え要求である。
【0135】
そして、流路パターンの切替え要求がC→B切替え要求である場合(ステップS316:YES)には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をBパターン位置に切り替える(ステップS317)。
【0136】
一方、流路パターンの切替え要求がC→B切替え要求でない場合(ステップS316:NO)、すなわち、流路パターンの切替え要求がC→A切替え要求である場合には、制御部14は、回転ディスク40を時計回りに60度回転させて、回転ディスク40の停止位置をAパターン位置に切り替える(ステップS318)。ここで、「C→A切替え要求」とは、パターンCからパターンAへの流路パターンの切替え要求である。
【0137】
また、ステップS302において、流路パターンの切替え要求がない場合(ステップS302:NO)には、制御部14は、バルブ切替え位置を保持する(ステップS319)。
【0138】
(第3実施例)
本実施例では、流路パターンを切り替えるために必要な回転ディスク40の回転角度について、回転ディスク40を時計回りに回転させるときよりも、回転ディスク40を反時計回りに回転させるときの方が小さい場合には、回転ディスク40を反時計回りに回転させて流路パターンへ切り替える。
【0139】
具体的には、制御部14は、図19のフローチャートに示す内容の制御を行う。ここでは、一例として、流路切替装置1を六方弁とし、流路パターンの種類を3つ(パターンAとパターンBとパターンC)とする。なお、以下の説明では、前記の図17との相違点のみを説明し、前記の図17と共通する点の説明は省略する。
【0140】
図19に示すように、前記の図17と異なる点として、Bパターン停止であり(ステップS408:YES)、A~C間停止であり(ステップS409:YES)、流路パターンの切替え要求がB→A切替え要求である場合(ステップS410:NO)に、制御部14は、回転ディスク40を、時計回りに90度ではなく、反時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をAパターン位置に切り替える(ステップS412)。
【0141】
これにより、例えば、回転ディスク40の停止位置が図20の(B)の位置である場合に、流路パターンをパターンBからパターンAへ切り替えるときに、回転ディスク40の停止位置を、図20の(E)の位置ではなく、図20の(A)の位置へ切り替える。そのため、回転ディスク40の回転角度を小さくすることができる。
【0142】
また、Bパターン停止であり(ステップS408:YES)、C~A間停止であり(ステップS409:NO)、流路パターンの切替え要求がB→C切替え要求である場合(ステップS413:YES)に、制御部14は、回転ディスク40を、時計回りに90度ではなく、反時計回りに30度回転させて、回転ディスク40の停止位置をCパターン位置に切り替える(ステップS414)。
【0143】
これにより、例えば、回転ディスク40の停止位置が図20の(D)の位置である場合に、流路パターンをパターンBからパターンCへ切り替えるときに、回転ディスク40の停止位置を、図20の(G)の位置ではなく、図20の(C)の位置へ切り替える。そのため、回転ディスク40の回転角度を小さくすることができる。
【0144】
以上のように、本実施例では、切り替え可能な流路パターンの種類がパターンAとパターンBとパターンCの3つあるときに、制御部14は、回転ディスク40が時計回りに回転しているときに、パターンBからパターンAまたはパターンCへの流路パターンの切替え要求があったとき、流路パターンを切り替えるために必要な回転ディスク40の回転角度について、回転ディスク40を時計回りに回転させるときよりも反時計回りに回転させるときの方が小さい場合には、回転ディスク40を反時計回りに回転させてパターンBからパターンAまたはパターンCの流路パターンへ切り替える。
【0145】
このようにして、切り替え可能な流路パターンの種類が3つあり、回転ディスク40が円周方向の一方の向きに回転しているときに、任意の種類の流路パターンへの切替え要求があったとき、任意の種類の流路パターンへ切り替えるために必要な回転ディスク40の回転角度について、回転ディスク40を円周方向の一方の向きに回転させるときよりも、回転ディスク40を円周方向の他方の向きに回転させるときの方が小さい場合には、回転ディスク40を円周方向の他方の向きに回転させて任意の種類の流路パターンへ切り替える。
【0146】
これにより、任意の種類の流路パターンへ切り替えるために必要な回転ディスク40の回転角度を最小限に抑制できる。そのため、回転ディスク40に設けられたシール部材81と、ハウジング11や固定ディスク50とが摺動して摩耗することを抑制できる。したがって、より効果的に、シール部材81によりシール性を確保できる。また、回転ディスク40の回転について良好な応答性を確保できる。
【0147】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0148】
1 流路切替装置
11 ハウジング
12 弁体部
13 駆動部
14 制御部
20 流入流路
21 第1流入流路
22 第2流入流路
23 第3流入流路
30 流出流路
31 第1流出流路
32 第2流出流路
33 第3流出流路
40 回転ディスク
41 円板部
50 固定ディスク
51 円板部
60 回転ディスク連通路
61 第1回転ディスク連通路
62 第2回転ディスク連通路
63 第3回転ディスク連通路
70 固定ディスク連通路
71 第1固定ディスク連通路
72 第2固定ディスク連通路
73 第3固定ディスク連通路
81 シール部材
L 中心軸
図1
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