(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048710
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 9/12 20060101AFI20240402BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240402BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B05C9/12
B05C11/10
B05C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154778
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱川 健史
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 久容
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊文
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA05
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA34
4F041BA57
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA19
4F042BA27
4F042DB26
4F042DD03
4F042DD33
4F042DD36
4F042DF09
4F042DF34
(57)【要約】
【課題】乾燥器によるエアの供給量のばらつきを抑えて塗布膜にムラが形成されるのを抑えることができる塗布装置を提供する。
【解決手段】基板を載置するステージと、ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、を備える塗布装置であって、塗布器によって基板上に形成された塗布膜にエアを供給することにより塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、乾燥器は、エアが供給されるエア供給口には、エア供給口に局所的にエア供給量の強弱が形成されるのを抑える多孔質部材が設けられている構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、
を備える塗布装置であって、
前記塗布器によって基板上に形成された塗布膜にエアを供給することにより塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、
前記乾燥器は、エアが供給されるエア供給口には、前記エア供給口に局所的にエア供給量の強弱が形成されるのを抑える多孔質部材が設けられていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記乾燥器は、前記塗布器に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記エア供給口には、前記多孔質部材が複数個並べて配置されており、隣接する前記多孔質部材間の継ぎ目は、前記塗布器が塗布膜を形成する際に移動する塗布方向に前記エア供給口を一直線状に横切るように形成されるのを回避して前記多孔質部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記エア供給口には、塗布方向と直交する幅方向に複数個の多孔質部材が並べて配置される多孔質配列部が設けられており、
前記多孔質配列部は、前記エア供給口に塗布方向に複数列設けられ、
隣接する前記多孔質部材間の継ぎ目は、隣接する前記多孔質配列部において、塗布方向に連続して配置されるのを回避されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に塗布液を塗布する塗布装置に関するものであり、特に、塗布液を吐出した直後から乾燥させる塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、様々な用途に基板W上に均一な薄膜が形成されたもの(塗布基板という)が使用される。例えば、基板上に一様な膜厚の塗布膜を形成する場合には、スリット状のノズルを有する塗布装置によって形成されている。この塗布装置は、
図6に示すように、基板Wを載置するステージ100と、塗布液を吐出するスリット状のノズルを有する塗布器101とを有しており、ノズルのスリットから塗布液を吐出させながら、基板Wと塗布器101とを塗布方向(X軸方向)に相対的に移動させることにより、所定厚さの塗布膜Cが基板W上に形成されるようになっている。
【0003】
そして、形成された塗布基板Wは、塗布装置から搬出された後、塗布装置とは別の乾燥装置102によって乾燥させられる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記塗布装置では、形成された塗布膜Cの機能性が十分に発揮できないという問題があった。すなわち、近年では、材料の特性として、塗布膜Cとして塗布された後、すぐに乾燥させることにより安定して機能性を発揮するものがあり、例えば、ペロブスカイト太陽電池の材料には、そのような材料が使用されている。上記塗布装置では、塗布膜Cが形成された後、別の乾燥装置102に搬送される間、時間を要してしまうため、この時間が塗布膜Cの結晶状態に影響し、材料の機能性が安定して発揮されにくいという問題があった。
【0006】
そこで、塗布された直後の塗布膜Cに対し、エアを吹き付けて乾燥させることも考えられる。すなわち、
図7(a)に示すように、塗布器101と同様に、幅方向に延びるスリット形状の吹出口を有する乾燥器103(エアブロー装置)を使用し、形成された塗布膜にエアを吹き付けることにより塗布膜が形成された直後から乾燥させることができる。すなわち、乾燥器103によりエアを吹き付けつつ、塗布方向に移動することにより塗布膜C全面にエアが供給され、乾燥させることができる。
【0007】
しかし、
図7(b)に示すように、このような乾燥器103では、長手方向に均一にエアを吹き出させることは困難であり、局所的にエア量にムラが存在する(
図7(b)2点鎖線部分)。そのため、塗布膜Cがエア量のムラの影響を受けることにより、塗布膜Cに塗布方向に沿った筋ムラが形成される虞があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、乾燥器によるエアの供給量のばらつきを抑えて塗布膜にムラが形成されるのを抑えることができる塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、基板を載置するステージと、前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、を備える塗布装置であって、前記塗布器によって基板上に形成された塗布膜にエアを供給することにより塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、前記乾燥器は、エアが供給されるエア供給口には、前記エア供給口に局所的にエア供給量の強弱が形成されるのを抑える多孔質部材が設けられていることを特徴としている。
【0010】
上記塗布装置によれば、乾燥器のエア供給口に多孔質部材が設けられているため、エアが多孔質部材を通過し、エアの勢いが抑えられることにより、エア供給口から吐出されるエアがエア供給口全体に亘って均一化され、エア供給量の局所的な強弱を抑えることができる。これにより、従来エア供給量にばらつきが生じることが抑えられ、塗布膜にムラが形成される問題を回避することができる。
【0011】
また、前記乾燥器は、前記塗布器に設けられている構成にしてもよい。
【0012】
この構成によれば、塗布器から塗布液が吐出され、基板に着液された直後から乾燥を開始させることができる。
【0013】
また、前記エア供給口には、前記多孔質部材が複数個並べて配置されており、隣接する前記多孔質部材間の継ぎ目は、前記塗布器が塗布膜を形成する際に移動する塗布方向に前記エア供給口を一直線状に横切るように形成されるのを回避して前記多孔質部材が配置されている構成にしてもよい。
【0014】
この構成によれば、多孔質部材同士の間に形成される継ぎ目は、エアが供給されないため、多孔質部材直下の塗布膜領域に比べてエア供給量が少ない。そのため、乾燥器を塗布方向に移動させると、継ぎ目直下の塗布膜の乾燥状態が多孔質部材直下と異なり、筋ムラが生じるが、塗布方向に前記エア供給口を一直線状に横切るように形成されるのを回避されることにより、乾燥器が塗布方向に移動することにより、継ぎ目直下であった塗布膜上の位置に、必ず多孔質部材が通過するため、塗布膜に筋ムラが形成されるのを回避することができる。
【0015】
具体的な態様としては、前記エア供給口には、塗布方向と直交する幅方向に複数個の多孔質部材が並べて配置される多孔質配列部が設けられており、前記多孔質配列部は、前記エア供給口に塗布方向に複数列設けられ、隣接する前記多孔質部材間の継ぎ目は、隣接する前記多孔質配列部において、塗布方向に連続して配置されるのを回避されているように構成することにより、継ぎ目が塗布方向に常に通過する領域が塗布膜に形成されることが回避され、塗布膜に筋ムラが形成されるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塗布装置によれば、乾燥器によるエアの供給量のばらつきを抑えて塗布膜にムラが形成されるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置を示す斜視図である。
【
図2】塗布ユニットの脚部付近を示す概略図である。
【
図4】上記塗布器から塗布液を吐出した状態を示す図である。
【
図5】上記乾燥器のエア供給口を示す図であり、(a)は、多孔質プレートが敷き詰められた状態を示す図、(b)は、多孔質プレートの継ぎ目が一直線状に連結された状態を示す図、(c)は、(b)の状態でエアを吐出させた状態を示す図である。
【
図7】従来の乾燥器からエアを吐出させた状態を示す図であり、(a)は塗布方向と直交する方向から見た図、(b)は塗布方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態における塗布装置を概略的に示す斜視図であり、
図2は、塗布ユニットの脚部付近を示す図であり、
図3は、乾燥器が設けられた塗布器を示す図である。
【0020】
図1~
図3に示すように、塗布装置は、基板W上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜を形成するものであり、基台2と、基板Wを載置するためのステージ21と、このステージ21に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット30とを備えている。
【0021】
なお、以下の説明では、塗布ユニット30が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0022】
前記基台2には、その中央部分にステージ21が配置されている。このステージ21は、搬入された基板Wを載置するものである。このステージ21には、基板Wを載置する基板載置面21aと、図示しない基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により基板Wが保持されるようになっている。具体的には、ステージ21の基板載置面21aに形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板Wを基板載置面21aに吸着させて保持できるようになっている。
【0023】
また、ステージ21には、基板Wを昇降動作させる基板昇降機構が設けられている。具体的には、ステージ21の表面には複数のピン孔が形成されており、このピン孔にはZ軸方向に昇降動作可能なリフトピン(不図示)が埋設されている。すなわち、ステージ21の表面からリフトピンを突出させた状態で基板Wが搬入されるとリフトピンの先端部分が基板Wに当接して基板Wを保持することができる。そして、その状態からリフトピンを下降させてピン孔に収容させることにより、基板Wを基板載置面21aに載置することができるようになっている。
【0024】
また、塗布ユニット30は、基板W上に塗布液を吐出して塗布膜Cを形成するものである。この塗布ユニット30は、
図1、
図2に示すように、基台2と連結される脚部31とY軸方向に延びる塗布器34とを有しており、基台2上をY軸方向に跨いだ状態でX軸方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、基台2のY軸方向両端部分にはそれぞれX軸方向に延びるレール22が設置されており、脚部31がこのレール22にスライド自在に取り付けられている。そして、脚部31にはリニアモータが取り付けられており、このリニアモータを駆動制御することにより、塗布ユニット30がX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。
【0025】
また、塗布ユニット30の脚部31には、
図2に示すように、塗布液を塗布する塗布器34が取り付けられている。具体的には、この脚部31にはZ軸方向に延びるレール37と、このレール37に沿ってスライドするスライダ35が設けられており、これらのスライダ35と塗布器34とが連結されている。そして、スライダ35にはサーボモータにより駆動されるボールねじ機構が取り付けられており、このサーボモータを駆動制御することにより、スライダ35がZ軸方向に移動するとともに、任意の位置で停止できるようになっている。すなわち、塗布器34が、ステージ21に保持された基板Wに対して接離可能に支持されている。
【0026】
また、
図1~3に示すように、塗布器34は、塗布液を吐出して基板W上に塗布膜Cを形成するものである。この塗布器34は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット30の走行方向とほぼ直交するように設けられている。この塗布器34は、鉛直方向に延びる側面部34bを有しており、この側面部34bから傾斜状に形成される斜面部34cを経て基板Wと対向する基板対向面34dを有している。そして、基板対向面34dには、スリットノズル34aが形成されており、スリットノズル34aから塗布液が吐出されるようになっている。すなわち、塗布器34の基板対向面34dには、スリットノズル34aが長手方向に延びるように形成されており、塗布器34に供給された塗布液がスリットノズル34aから長手方向に亘って一様に吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30をX軸方向に走行させることにより、スリットノズル34aの長手方向に亘って基板W上に一定厚さの塗布膜Cが形成されるようになっている。なお、塗布液を塗布するために、スリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30を移動させる方向を本実施形態では塗布方向と呼び、塗布方向側を塗布進行側と呼ぶことにする。
【0027】
また、塗布器34には、乾燥器40が設けられている。この乾燥器40は、基板W上に形成された塗布膜Cを乾燥させるものである。ここで、乾燥とは、完全乾燥の意味だけでなく、半乾き状態の乾燥、及び、大気に放置して乾燥させる場合よりも材料の結晶化が促進される程度の乾燥も含まれるものとする。
【0028】
乾燥器40は、本実施形態では、塗布器34において、塗布進行側と反対側に隣接するように一体的に取り付けられている。すなわち、塗布器34が塗布液を吐出しつつ塗布進行方向に移動すると、乾燥器40が塗布器34と一体的に移動しつつ、基板W上に塗布膜Cが形成された直後から、乾燥器40により塗布膜Cが乾燥されるようになっている。
【0029】
乾燥器40は、塗布器34の長手方向に沿って設けられており、エアを供給する送風部41を有している。本実施形態では、塗布器34に隣接するように送風部41が配置され構成されている。
【0030】
送風部41は、基板W上に形成された塗布膜Cにエアを供給するものである。本実施形態では、送風本体部411と、エア吐出部42とを有しており、送風本体部411で貯留されたエアがエア吐出部42を通じてエアが吹き出されるようになっている。
【0031】
送風本体部411は、ボックス形状を有しており、塗布器34の側面部34bに沿って長手方向に延びる形状に形成されている。本実施形態では、スリットノズル34aの長手方向寸法よりも長い寸法を有するように形成されている。また、送風本体部411には、塗布膜Cに供給するためのエアを溜めるキャビティ41bが設けられており、図示しないエア供給源から供給されたエアがキャビティ41bで一時的に貯留できるようになっている。キャビティ41bは、長手方向に延びる形状に形成されており、キャビティ41bより狭く形成された連通流路43によりエア吐出部42と連通して接続されている。したがって、エアがキャビティ41bに供給されるとキャビティ41b全体に広がって一時的に貯留され、狭い連通流路43を通過することにより、エア吐出部42に対して長手方向に渡って一様にエアが供給されるようになっている。
【0032】
エア吐出部42は、送風本体部411に供給されたエアを塗布膜Cに導くためのものである。エア吐出部42は、エアが吐出されるエア供給口41cを有しており、エア供給口41cの高さ位置は、スリットノズル34a付近まで延びて形成されている。
図3の例では、スリットノズル34aの高さ位置よりもわずかに高い位置、すなわち、基板Wに形成される塗布膜Cに当接しない高さ位置まで延びて形成されている。そして、エア吐出部42は、連通流路43により、送風本体部411のキャビティ41bと、エア供給口41cとが接続されている。すなわち、エア吐出部42は、エア供給源を作動させると、連通流路43を通じてキャビティ41bのエアをエア供給口41cまで導くことができるようになっている。
【0033】
また、エア吐出部42は、複数の多孔質プレート51が収容されて形成されている。この多孔質プレート51は、多孔質部材を平板形状に形成したものである。本実施形態では、
図5(a)に示すように、矩形状に形成されたエア供給口41cに矩形状の多孔質プレート51が複数並べて配列されることによって形成されている。具体的には、エア供給口41cの長手方向に延びる多孔質配列部5が3列設けられており、多孔質配列部5に複数の多孔質プレート51が長手方向に並べて配置されて形成されいる。そして、これらの多孔質プレート51同士は、例えば、接着部材で連結されており、多孔質配列部5に複数の多孔質プレート51が長手方向に並べて配置されて形成されいる。すなわち、エア供給口41cは、複数の多孔質プレート51が隙間が形成されることなく敷き詰められて形成されている。
【0034】
これにより、キャビティ41bから連通流路43を通過して供給されるエアは、エア供給口41cにおいて、多孔質プレート51を通過するため、エアの供給量が均一化される。すなわち、多孔質プレート51は、ランダムに形成される多数の細孔が形成されており、供給されたエアは、その細孔を通過しつつ基板W側に通過する。そのため、供給されたエアがエア供給口41cを直線的に通過することが抑えられるため、基板Wに直接的にエアが吐出されることを抑え、エア供給口41cの長手方向に亘って局所的にエア供給量の強弱が形成されるのを抑えることができる。
【0035】
また、送風部41は、塗布器34と昇降部材49と接続されており、塗布器34に対してZ方向に高さ調節ができるようになっている。すなわち、形成された塗布膜Cに対してエア供給口41cを接離可能に変位させることができ、塗布膜Cとエア供給口41Cとの距離を調節できるようになっている。これにより、多孔質プレート51から吐出されるエアは、指向性がない静圧膜に近いエアになるため、このエアを塗布膜Cに作用させるように昇降部材49により送風部41の高さ位置を調節することができる。
【0036】
また、多孔質配列部5を構成する多孔質プレート51は、隣接する多孔質プレート51同士で形成される継ぎ目51aが、塗布方向にエア供給口41cを一直線状に横切ることのないように配列されている。すなわち、隣接する多孔質プレート51同士の間には継ぎ目51aが形成されるが、この継ぎ目51aは、接着部材、多孔質部材を保持する枠体等、多孔質部材で形成されていない部分が存在するか、又は、多孔質部材で形成されていた場合でも多孔質部材の均一性が中央部分に比べて粗く形成されている。その継ぎ目51aが、
図5(b)の2点鎖線で示すように、エア供給口41cにおいて、塗布方向に一直線状に配列されると、エアが十分に供給されない領域が直線状に形成されてしまう。すなわち、
図5(c)に示すように、継ぎ目51a部分は、他の多孔質プレート51と比べてエアの供給量が少ないため、この継ぎ目51a部分が塗布方向に移動すると、継ぎ目51a部分に対応する塗布膜Cの領域は、他の領域に比べて乾燥しにくい。そのため、継ぎ目51a部分が塗布方向に移動すると、乾燥しにくい領域が塗布方向に直線状に形成されてしまい、塗布膜Cに筋ムラが形成されるという問題が生じる。したがって、本実施形態では、多孔質プレート51の配置は、継ぎ目51aがエア供給口41cを一直線状に横切ることのないように構成される。
【0037】
具体的には、
図5(a)に示すように、隣接する多孔質配列部5の多孔質プレート51同士の継ぎ目51aが塗布方向に直線状に並ぶことがないように多孔質プレート51の大きさを調節し、配列される。これにより乾燥器40が塗布方向に移動しつつエアを供給した場合に、塗布膜Cには必ずいずれかの多孔質配列部5の多孔質プレート51からのエアが供給されることになるため、エアが全く供給されない領域が形成されることにより筋ムラが形成される問題を回避することができる。
【0038】
なお、隣接する多孔質プレート51の継ぎ目51aは、エア供給口41cを端から端まで塗布方向に一直線状に横切るように設けることを回避していればよく、継ぎ目51aが直線状に連結されていても、塗布方向に部分的に連続している状態であれば他の多孔質プレート51からエアが供給されるため許容される。
【0039】
このように、上記塗布装置によれば、乾燥器40のエア供給口41cに多孔質部材が設けられているため、エアが多孔質部材を通過し、エアの勢いが抑えられることにより、エア供給口から吐出されるエアがエア供給口全体に亘って均一化され、エア供給量の局所的な強弱を抑えることができる。これにより、従来エア供給量にばらつきが生じることが抑えられ、塗布膜にムラが形成される問題を回避することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、乾燥器40が塗布器34に取り付けられる例について説明したが、塗布ユニット30とは独立した状態で塗布器34を設け、塗布ユニット30が走行して基板W上に塗布膜Cが形成された直後から乾燥器40を駆動させ、塗布膜Cを乾燥させる構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、多孔質配列部5が3列設けられる例について説明したが、多孔質配列部5が3列以上のものであってもよい。隣接するの多孔質配列部5同士における多孔質プレート51の継ぎ目51aがエア供給口41cを端から端まで塗布方向に一直線状に横切ることのないように、多孔質配列部5は2列以上設けることが好ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、送風部41から供給されるエアは、エア供給源の温度(塗布装置が設置される空間の温度)である例について説明したが、エア供給源と送風部41との間にヒータを設け、ヒータにより加熱されたエアを供給するものであってもよい。例えば、塗布装置が設置される空間の温度よりも少し高い35℃~45℃程度に設定することにより、エア供給源のエアをそのまま使用する場合に比べて塗布膜Cの乾燥を促進させることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、1つの送風部41におけるエア供給口41cに多孔質配列部5が塗布方向に複数列配置される例について説明したが、送風部41を塗布方向に複数配列されることにより、多孔質配列部5が複数列配置されるように構成してもよい。このように複数の送風部41を用いた場合、それぞれの送風部41に設ける多孔質配列部5は、1つであっても複数であってもよく、これらを組み合わせて構成されるものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、塗布器34がスリットノズル34aを有する例について説明したが、一方向に移動し、塗布膜Cを形成した直後から乾燥が必要な塗布器(例えば、インクジェット)であればよく、吐出方式は特に限定されない。
【0045】
また、上記実施形態では、ステージ21に基板Wを固定して載置する塗布装置に適用する例について説明したが、ステージ21から基板Wを浮上させた状態でステージ21上に基板Wを載置する塗布装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
5 多孔質配列部
21 ステージ
30 塗布ユニット
34 塗布器
40 乾燥器
41C エア供給口
51 多孔質プレート
51a 継ぎ目
C 塗布膜
W 基板