(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048713
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240402BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154782
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】大野 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】金丸 皇司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晶子
(72)【発明者】
【氏名】森(猪川) 歩惟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】生育条件に応じた紫外線の照射条件を提示することができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報提供装置は、処理部と通信部とを有する。処理部は、農作物を生育するための生育条件情報と、生育条件に基づいて生育された農作物の生育結果情報と、に基づいて生育条件の更新値を算出する。通信部は、処理部により算出した生育条件の更新値を出力する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を生育するための生育条件情報と、前記生育条件に基づいて生育された農作物の生育結果情報と、に基づいて前記生育条件の更新値を算出する処理部と;
前記処理部により算出した生育条件の更新値を出力する通信部と;
を有する情報提供装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記生育条件の更新値として紫外線の照射条件を算出する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記生育結果として前記農作物における残留農薬量を示す情報を取得し、
前記生育結果の残留農薬量に対する削減量に応じた前記紫外線の照射条件を算出する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記農作物の生育結果として前記農作物の味を示す指標値を取得し、
前記生育結果の味に対する変更内容に応じた前記紫外線の照射条件を算出する、
請求項2に記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物における病原菌や害虫を駆除することを目的とした農作物の病虫害対策として農作物に紫外線を照射させる紫外線照射装置がある。紫外線照射装置は、防除すべき病虫害に応じて、自身が照射する紫外線の照射時間および照射強度などの照射条件を設定する。照射条件は、農作物における病虫害が農薬量や環境などの生育条件によって変化すると考えられるため、病虫害対策として紫外線照射装置に適用すべき紫外線の照射条件は、実際の生育条件に応じて設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、農場によって実際の生育条件が異なるため、生育条件に応じた最適な紫外線の照射条件を設定することは簡単ではないという問題がある。また、品質の向上や収穫量(生産量)の増加などを目的として農薬量や肥料量などの生育条件を変更すると、変更後の生育条件に適した紫外線の照射条件を決定するのが容易ではないという問題もある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線の照射条件を提示することができる情報提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報提供装置は、処理部と通信部とを有する。処理部は、農作物を生育するための生育条件情報と、生育条件に基づいて生育された農作物の生育結果情報と、に基づいて生育条件の更新値を算出する。通信部は、処理部により算出した生育条件の更新値を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外線の照射条件を提示することができる情報提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報提供システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報提供システムにおける紫外線照射装置の第1の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報提供システムにおける紫外線照射装置の第1の構成例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報提供システムにおける紫外線照射装置の第2の構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報提供システムにおける紫外線照射装置の第2の構成例を示す正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報提供システムの紫外線照射装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報提供システムのサーバにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報提供システムの農場データ管理端末における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報提供システムにおけるサーバの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の情報提供装置(101)は、処理部(111)と通信部(114)とを有する。処理部(111)は、農作物を生育するための生育条件情報と、生育条件に基づいて生育された農作物の生育結果情報と、に基づいて生育条件の更新値を算出する。通信部(114)は、処理部(111)により算出した生育条件の更新値を出力する。
【0010】
実施形態の情報提供装置(101)では、前記処理部(111)は、前記生育条件の更新値として紫外線の照射条件を算出する。これにより、情報提供装置(101)は、指定される変更内容に応じた生育条件と照射条件とを提供できる。この結果、農作物の生育を行う作業者は、所望する変更内容に応じた生育条件を簡単に取得でき、紫外線照射装置(1)は、変更内容に応じた生育条件に合った照射条件を容易に設定することができる。
【0011】
実施形態の情報提供装置(101)では、前記処理部(111)は、前記生育結果として前記農作物における残留農薬量を示す情報を取得し、前記生育結果の残留農薬量に対する削減量に応じた前記紫外線の照射条件を算出する。これにより、情報提供装置(101)は、残留農薬量を削減できる生育条件とその生育条件に合った照射条件とを提供できる。この結果、農作物の生育を行う作業者は、残留農薬量を削減できる生育条件を簡単に取得でき、紫外線照射装置(1)は、残留農薬量を削減できる生育条件に合った照射条件を容易に設定することができる。
【0012】
実施形態の情報提供装置(101)では、前記処理部(111)は、前記農作物の生育結果として前記農作物の味を示す指標値を取得し、前記生育結果の味に対する変更内容に応じた前記紫外線の照射条件を算出する。これにより、情報提供装置(101)は、味を変更できる生育条件とその生育条件に合った照射条件とを提供できる。この結果、農作物の生育を行う作業者は、味を変更できる生育条件を簡単に取得でき、紫外線照射装置(1)は、味を変更できる生育条件に合った照射条件を容易に設定することができる。
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
次に、実施形態に係る情報提供システム100の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報提供システム100の構成例を示す図である。
実施形態に係る情報提供システム100は、情報提供装置(又は情報収集装置)としてのサーバ101を有する。サーバ101は、1又は複数のコンピュータにより構成される。
【0014】
図1に示すように、サーバ101は、情報収集機能と情報分析機能と情報提供機能とを有する。
サーバ101は、情報収集機能として、農場(生産者)、検査場、外部サーバなどから情報を収集する。サーバ101は、情報分析機能として、収集した情報を分析することによって生産目標とする農作物を生育するために適した条件(紫外線の照射条件および生育条件などを含む条件)を算出(特定)する。サーバ101は、情報提供機能として、収集した情報の分析結果として得られた紫外線の照射条件および生育条件などを含む条件を農場に提供する。
【0015】
図1に示す構成例において、サーバ101は、農場データ管理端末102と通信接続する。農場データ管理端末102は、紫外線照射装置1、表示装置103、データ入力装置104、および、監視カメラ105などが接続される。ただし、紫外線照射装置1、表示装置103、データ入力装置104および監視カメラ105の一部又は全部は、農場データ管理端末102を介さずにサーバ101と通信接続する構成としても良い。農場データ管理端末102は、据置型であっても、携帯型であってもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯電話などが例として挙げられる。
【0016】
図1に示す構成において、サーバ101は、農場データ管理端末102を介して紫外線照射装置1、表示装置103、データ入力装置104、監視カメラ105などから農場における各種のデータを収集する。
図1に示す構成例において、農場データ管理端末102は、農場における農作物の生育に関するデータおよび農場から出荷する農作物(生育結果)に関するデータなどの各種のデータを管理する。例えば、サーバ101が農場から取得するデータには、農作物の生育に用いた生育条件を示す情報と生育中に農作物に対して紫外線照射装置1が照射した紫外線の照射条件(以下、単に照射条件とも称する)を示す情報とが含まれる。また、サーバ101は、農作物の生育結果に関する情報の一部又は全部を農場データ管理端末102から取得する。
【0017】
紫外線照射装置1は、農作物における病気や害虫などの病虫害を防除するために農作物に紫外線を照射する装置である。紫外線照射装置1は、設定される紫外線の照射条件に従って農作物に対する紫外線の照射動作を実行する。紫外線の照射条件としては、照射時間、照射時期、照射方向、および、照射強度などの情報が含まれる。サーバ101は、紫外線照射装置1による農作物に対する実施した紫外線の照射動作の結果を示す動作ログ(照射条件を含む情報)を農場データ管理端末102又は紫外線照射装置1から取得する。
【0018】
サーバ101が取得する農作物の生育に用いた生育条件を示す情報は、農場データ管理端末102が各装置から取得する情報によって生成される。例えば、農作物の生育に用いた生育条件に含まれる情報は、肥料使用量(頻度および量)、農薬使用量(頻度および量)、気温、湿度、気圧、天候、日照時間、位置情報、高度、水やりの量(頻度および量)、土壌の性質(phなど)などの情報である。
【0019】
サーバ101へ供給する生育条件に含まれる情報は、オペレータ(作業者)がデータ入力装置104を用いて入力するようにしても良いし、各種のセンサ又は装置によって検出するようにしても良い。データ入力装置104は、農場においてオペレータが情報を入力するための装置である。データ入力装置104は、農場データ管理端末102に接続する。農場データ管理端末102は、オペレータが情報をデータ入力装置104に入力した情報を取得する。また、農場で生育する農作物に対する生育条件に含まれる各種の情報を取得するための各種のセンサ又は装置は、農場データ管理端末102に接続する。これにより、農場データ管理端末102は、各種のセンサ又は装置から情報を取得する。
【0020】
また、サーバ101は、監視カメラ105が撮影する画像を取得するようにしても良い。監視カメラ105は、農場において生育される農作物あるいは農場から出荷される農作物の画像を撮影するカメラである。サーバ101は、農場データ管理端末102を介して(又は、介さずに)監視カメラ105が撮影する画像を監視カメラ105から取得する。監視カメラ105を農場において生育中の農作物を撮影するように設置すれば、サーバ101は、生育中の農作物を監視カメラ105で撮影した画像を取得することができる。また、監視カメラ105が撮影した画像を受け取ったサーバ101または農場データ管理端末102は、当該画像から生育条件を推定してもよい。
【0021】
また、サーバ101は、情報提供機能として、農場(生産者)に対して情報を提供する。サーバ101は、農場に対して提供する情報を農場データ管理端末102へ供給する。農場データ管理端末102は、サーバ101から提供される情報として、紫外線照射装置1に適用すべき紫外線の照射条件を示す情報および生育条件を示す情報などの情報を取得する。農場データ管理端末102は、サーバ101から提供された紫外線の照射条件を示す情報を紫外線照射装置1へ供給し、生育条件を示す情報を表示装置103に表示させる。表示装置103は、サーバ101から提供される情報を表示する装置である。
【0022】
なお、サーバ101は、農場データ管理端末102を介さずに紫外線照射装置1に紫外線の照射条件を供給するようにしても良い。また、サーバ101は、農場データ管理端末102を介さずに表示装置103に通信接続するように構成し、情報の分析結果として得られた生育条件を示す情報などを表示装置103に表示するようにしても良い。サーバ101もしくは農場データ管理端末102から紫外線の照射条件を示す情報を受け取った紫外線照射装置1では、受け取った情報を元に、紫外線の照射条件が自動で切り替わるように構成されてもよく、例えば、照射条件を切り替えるかどうかをオペレータに確認するように構成されてもよい。
【0023】
また、サーバ101は、
図1に示す構成例において、生育結果の検査場に設置した検査装置106と通信接続する。検査装置106は、農場で収穫(生育)された農作物の状態や品質を示す指標値を検査する装置である。検査装置106は、サーバ101を含む情報提供システム100に農作物に対する検査結果を供給できるものであれば良く、どこに設置しても良い。例えば、検査装置106は、検査場に設置するものに限定されず、農場に設置しても良いし、選果場あるいは市場などに設置しても良い。
【0024】
検査装置106は、例えば、生育結果として得られた農作物について、残留農薬量、味の指標値(糖度、水分量)、実の状態、葉の状態、規格の適合、病気の発生の有無などを検査する。
図1に示す構成例において、検査装置106は、検査結果を示す情報を農場データ管理端末102又はサーバ101に供給する。農作物の生育結果を示す情報としては、検査装置106による検査によって得られる情報が含まれる。例えば、農作物の生育結果を示す情報は、検査装置106による検査結果に農場(同一条件で生育した農作物)ごとの収穫量や規格合格率などの統計的な情報などを加えた情報として生成するようにしても良い。
【0025】
また、サーバ101は、
図1に示す構成例において、入出力端末107に接続する。入出力端末107は、オペレータが操作する情報端末装置である。例えば、サーバ101は、システムの管理者であるオペレータが入出力端末107を用いて入力する情報を取得し、オペレータの操作に応じて情報分析および情報提供などを実行するようにしても良い。また、サーバ101は、入出力端末107から文献情報、研究情報、生育情報などを取得するようにしても良い。
【0026】
また、サーバ101は、
図1に示す構成例において、外部データサーバ108に接続する。サーバ101は、ネットワークを介して外部データサーバ108に接続される。外部データサーバ108は、農作物の生育条件および生育条件に応じた紫外線の照射条件を決定するための情報を開示する装置を含む。サーバ101は、外部データサーバ108が開示する情報をダウンロードしてメモリに保存しても良いし、情報分析を実行する場合に適宜外部データサーバ108が開示する情報を参照するようにしても良い。
【0027】
例えば、外部データサーバ108は、文献情報および研究情報を提供(開示)するサーバである。文献情報および研究情報としては、例えば、「農病に効果のある紫外線の照射条件に関する情報(研究結果)」、「病虫発生予報に関する情報」、「農作物の輸出国における残留農薬基準を示す情報」などの情報がある。
【0028】
また、外部データサーバ108は、実地試験で得られた農作物の生育に関する情報(生育情報)を提供(開示)するサーバであっても良い。実地試験に基づく生育情報としては、生育条件(環境(位置情報、気候)、肥料使用状況(種類、量、頻度)、農薬使用状況(種類、量、頻度))に対する生育結果(収穫量、規格合格率、味(糖度、水分量)、病気の発生有無など)を示す情報が提供される。
【0029】
また、サーバ101は、
図1に示す構成例において、販売店端末109に接続する。販売店端末109は、農作物の販売を行う販売店に設けられる装置を想定する。販売店端末109は、サーバ101の情報を受信する機能を有する情報処理装置であれば良く、サーバ101から取得した情報を農作物の消費者(購入者)や販売店の店員などに提示する。サーバ101は、情報提供機能として、情報収集機能によって収集した情報を販売店端末109に提供する機能を有する。サーバ101が販売店端末109に提供する情報は、例えば、生育条件、検査装置106での検査結果、外部データサーバ108から入手したデータである。
【0030】
例えば、販売店端末109は、サーバ101から販売する農作物に関する残留農薬量あるいは農薬の使用回数などの使用された農薬を示す情報を取得する。これにより、販売店においては、販売店端末109がサーバ101から取得した農作物に使用された農薬を示す情報として残留農薬量あるいは農薬の使用回数などの情報を販売支援情報として提示できる。
具体例としては、販売店で販売する農作物について、生育する際に用いた各種の農薬ごとの「種類」、「用途」、「使用量(例えば、基準値に対する百分率)」、「残留農薬(例えば、基準値に対する百分率)」などを示す情報を販売支援情報としてサーバ101から販売店端末109に提供することが可能である。
【0031】
また、サーバ101は、生育条件および生育結果などに含まれる農作物に使用した農薬に関する情報を農薬使用量証明書として発行し、発行した農薬使用量証明書を販売店端末109あるいは農作物を取り扱う商社などに提供するようにしても良い。これにより、販売店や商社では、農作物に使用された農薬に関する情報を明確に取得することができる。
【0032】
さらに、サーバ101は、農作物に関する生育条件、照射条件、生育結果などに含まれる情報を詳細データ(開示情報)として消費者などの任意の人物に提供するようにしても良い。例えば、サーバ101は、農作物に関する生育条件、照射条件および生育結果に含まれる情報から消費者などに提供する情報を集約した開示情報を生成し、開示情報をインターネットなどのネットワーク上で公開するようにしても良い。
【0033】
この場合の運用形態例としては、サーバ101が特定の農作物に関する開示情報にアクセスするための二次元コードを販売店端末109に提供し、販売店端末109がサーバ101から取得した二次元コードを一般の消費者に提示する。これにより、一般の消費者は、販売店などで提示された二次元コードを自身が所持するスマートフォンなどの携帯情報端末で読み取ることにより、当該農作物に関する開示情報を取得することができる。
【0034】
以下、実施形態に係る情報提供システム100における紫外線照射装置1について説明する。
図2乃至5は、実施形態に係る紫外線照射装置1(1A、1B)の構成例を示す図である。
紫外線照射装置1は、農作物に対して病原菌および害虫を駆除するための紫外線を照射する装置である。紫外線照射装置1Aは、農作物に照射する紫外線を照射する紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)に加えて、農作物の葉の裏面に紫外線の直接光を照射させるための照射位置調整手段を備える。
【0035】
まず、実施形態に係る紫外線照射装置1の第1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る紫外線照射装置1Aの第1の構成例を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る紫外線照射装置1Aの第1の構成例を示す正面図である。
図2および
図3に示すように、紫外線照射装置1Aは、筐体10、紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)、移動機構12、送風機構13、フィルタ14、カメラ15、高さ調整機構16、幅調整機構17、および、制御部18を備える。
【0036】
筐体10は、照射対象とする農作物22の周囲に配置され、移動機構12によって移動する。
図3に示す構成例において、筐体10は、台21上に生育した農作物22を覆うようなアーチ状のフレームによって形成される。筐体10は、フレームを用いて構成しても良いし、アーチ状の板などを用いて構成しても良いし、中空の部材をアーチ状に形成した構成であっても良い。筐体10には、紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)、移動機構12、送風機構13、フィルタ14、カメラ15、および、制御部18が取り付けられる。
【0037】
紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)は、農作物22から病原菌および害虫を駆除するための紫外線を照射する。紫外線照射器11が照射する光は、特定の周波数帯の紫外線に限定されるものではなく、例えば、380nm以下の光である。また、紫外線照射器11は、特定の波長の紫外線を照射するようにしても良いし、制御部18からの制御指示に応じて照射する紫外線の波長を調整できるようにしても良い。
【0038】
紫外線照射器11は、照射する紫外線が農作物に照射されるように筐体10に設置される。
図2および
図3に示す構成例において、紫外線照射器11a、11bは、農作物の上方から農作物に紫外線を照射するように設けられ、紫外線照射器11c、11dは、農作物の側方から農作物に紫外線を照射するように設けられる。
【0039】
移動機構12は、紫外線照射装置1を移動させる。移動機構12は、紫外線の照射対象となる農作物に沿って各部が設置される筐体10を移動させる。例えば、移動機構12は、筐体10を畑内の畝に沿って移動させるものであっても良いし、農作物が栽培される棚に筐体10を沿って移動するものであっても良い。
図2および
図3に示す構成例において、移動機構12は、駆動機構とタイヤとを有し、駆動機構によってタイヤが回転することにより筐体10を移動させる。
【0040】
移動機構12を構成するタイヤは、紫外線照射装置1の使用環境によって適宜変更されてもよい。例えば、紫外線照射装置1を畑などの整備されていない面において移動させる場合、移動機構12は、オフロード用のタイヤあるいはトラクターに用いられるようなタイヤを用いて移動する。また、植物工場などの整備された面において紫外線照射装置1を移動させる場合、移動機構12は、オンロード用のタイヤを用いて移動する。
【0041】
送風機構13は、紫外線の照射対象となる農作物に向けて風を送り出す。送風機構13は、農作物の葉の裏面に紫外線の直接光を照射する照射位置調整手段の一例である。送風機構13は、風量および風向などを調整できるようにしても良い。農作物は、紫外線を照射する部位として葉を有する。農作物の葉は、上方からの光を受ける表面(第1面)と表面に対向する裏面(第2面)とを備える。送風機構13からの風を受けた農作物の葉は、葉の向きが変えられる。
【0042】
図2および
図3に示す構成例において、送風機構13は、農作物の下方から農作物に対して風を送り出すように送風口を設ける。農作物の下方に設けた送風口からの風を受けた農作物の葉の裏面は、紫外線照射器11(例えば、紫外線照射器11c、11d)に向くように向きが変わる。これにより、送風機構13によって向きが変えられた農作物の葉の裏面には紫外線照射器11からの紫外線が直接的に照射される。
【0043】
フィルタ14は、風を通し、害虫などを捕獲するように形成されたフィルタである。フィルタ14は、送風機構13からの風によって農作物から飛ばされた害虫を捕獲する。
図2に示す構成例において、フィルタ14は、筐体10に設けられる。この場合、筐体10のフィルタ14以外の部分は、防風の構造とするようにしても良い。これにより、フィルタ14は、送風機構13からの風によって農作物から飛ばされた害虫を捕獲しやくすることができる。
【0044】
カメラ15は、紫外線の照射対象とする農作物を撮影する。カメラ15は、農作物における葉の状態を判別できるような画像が撮影できるように構成されるものであれば良い。
図2および
図3に示す構成例において、カメラ15は、筐体10に設けられる。また、カメラ15は、複数設置しても良い。
【0045】
筐体10は、高さ調整機構16および幅調整機構17を備える。
高さ調整機構16は、筐体10の高さを調整する。
図2および
図3に示す構成例では、高さ調整機構16は、筐体10を矢印a方向(高さ方向)に伸縮することにより筐体10の高さを伸縮できるように構成する。また、高さ調整機構16は、農作物の上方に設ける紫外線照射器11a、11bの高さ(地面からの高さ)を調整するものであっても良い。高さ調整機構16は、制御部18からの制御指示に応じて筐体10又は紫外線照射器11の高さを変更できるようにしても良い。
【0046】
幅調整機構17は、筐体10の幅を調整する。
図2および
図3に示す構成例では、幅調整機構17は、筐体10を矢印b方向(幅方向)に伸縮することにより筐体10の幅を伸縮できるように構成する。また、幅調整機構17は、農作物の側方に設ける紫外線照射器11c、11d間の幅(幅方向の位置)を調整するものであっても良い。また、幅調整機構17は、制御部18からの制御指示に応じて筐体10の幅又は紫外線照射器11の幅方向の位置を変更できるようにしても良い。
【0047】
制御部18は、コンピュータなどの情報処理装置である。制御部18は、紫外線照射装置1における各部を制御する。また、制御部18は、上位装置としてのサーバとのデータ通信、又は、カメラ15が撮影した画像の解析処理などの情報処理を実行する。なお、制御部18は、筐体10に設置するものとしたが、各部と通信できるようにすれば筐体10外に設けても良い。
【0048】
次に、実施形態に係る紫外線照射装置1Bの第2の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る紫外線照射装置1Bの第2の構成例を示す斜視図である。
図5は、実施形態に係る紫外線照射装置1Bの第2の構成例を示す正面図である。
図4および
図5に示すように、紫外線照射装置1Bは、筐体10、紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)、移動機構12、カメラ15、高さ調整機構16、幅調整機構17、制御部18、および、照射アーム19を備える。
【0049】
図4および
図5に示す第2の構成例の紫外線照射装置1Bにおいて、筐体10、紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)、移動機構12、カメラ15、高さ調整機構16、幅調整機構17および制御部18は、
図2および
図3に示す第1の構成例の紫外線照射装置1Aと同様な構成を有する。
【0050】
ただし、
図4および
図5に示す第2の構成例において、紫外線照射器11a、11bは、農作物の上方から農作物に紫外線を照射するように設けられ、紫外線照射器11c、11dは、農作物の斜め上方から農作物に紫外線を照射するように設けられる。また、
図4および
図5に示す第2の構成例の紫外線照射装置1Bにおける制御部18は、照射アーム19を制御する機能を備える。
【0051】
照射アーム(移動照射部)19は、紫外線を照射する小型の照射部19aと照射部を取り付けたアームを駆動させるアーム駆動部19bとを備える。移動照射部としての照射アーム19は、農作物の葉の裏面に紫外線の直接光を照射する照射位置調整手段の一例である。
図4および
図5に示す構成例において、照射部19aは、アーム駆動部19bにより駆動されるアームの先端に設けられる。アーム駆動部19bは、アームを駆動することによりアームの先端に設けた照射部19aの位置を移動させる。
【0052】
照射部19aは、農作物の葉の裏面に照射する紫外線の光を照射する。照射部19aは、例えば、紫外線を照射するLEDなどで構成される。照射部19aが照射する光は、上述した紫外線照射器11が照射する光と同様に、特定の周波数帯の紫外線に限定されるものではない。ただし、照射部19aが照射する光は、上述した紫外線照射器11が照射する光とは異なる波長の紫外線であっても良い。
【0053】
第2の構成例において、照射アーム19のアーム駆動部19bは、筐体10に対するアームの取り付け位置を起点にアームを
図5に示す矢印c方向に駆動させる。照射部19aは、駆動部19bにより駆動するアームの駆動に応じて位置が移動する。照射部19aは、農作物の状態に応じて農作物の下方側(農作物を挟んで紫外線照射器11a、11bと対向する側)を移動する。これにより、照射部19aが照射する紫外線は、農作物の葉の裏面に直接光として照射される。
【0054】
また、照射アーム19の照射部19aおよび駆動部19bは、制御部18からの制御指示に応じて動作する。例えば、制御部18は、照射部19aにより紫外線の光を照射させる。また、制御部18は、照射部19aの位置を移動させるために駆動部19bによりアームを駆動させる。制御部18は、照射部19aが照射する紫外線が直接光として農作物の葉の裏面に照射させるように、アーム駆動部19bでアームを駆動させることによって照射部19aの位置を調整する。
【0055】
なお、実施形態に係る紫外線照射装置1は、
図2および
図3に示す第1の構成例と
図4および
図5に示す第2の構成例とを組み合わせた構成としても良い。すなわち、実施形態に係る紫外線照射装置1は、照射位置調整手段として、送風機構13と照射アーム19との両方を備える構成としても良い。
【0056】
次に、実施形態に係わる紫外線照射装置1(1A、1B)における制御系の構成について説明する。
図6は、実施形態に係わる紫外線照射装置1(1A、1B)における制御系の構成例を示すブロック図である。
第1の構成例の紫外線照射装置1Aは、プロセッサ51、システムメモリ52、データメモリ53、通信部54、紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)、移動機構12、送風機構13、カメラ15、高さ調整機構16、および、幅調整機構17を有する。第2の構成例の紫外線照射装置1Bは、紫外線照射装置1Aにおいて送風機構13の代わりに、照射アーム19(照射部19aおよびアーム駆動部19b)を備える。
【0057】
紫外線照射装置1の制御部18は、プロセッサ51、システムメモリ52、データメモリ53および通信部54により構成される。
プロセッサ51は、システムメモリ52又はデータメモリ53などに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を実現する。プロセッサ51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、および、DSP(Digital Signal processor)などで構成される。
【0058】
プロセッサ51は、プログラムを実行することにより農作物に紫外線を照射する紫外線の照射動作を制御する。プロセッサ51は、紫外線の照射動作を実行する場合、紫外線照射器11による紫外線の照射条件、および、移動機構12による移動条件などを含む照射条件を設定する。プロセッサ51は、設定した照射条件に従って各部を動作させることにより紫外線の照射動作を実行する。
【0059】
また、プロセッサ51は、紫外線の照射条件を外部装置から取得する機能を有する。例えば、プロセッサ51は、通信部54により農場データ管理端末102を介して(又は介さずに)サーバ101から供給される紫外線の照射条件を受信する。また、プロセッサ51は、紫外線の照射動作に用いた紫外線の照射条件を示す情報を通信部54により農場データ管理端末102を介して(又は介さずに)サーバ101へ供給する機能も有する。
【0060】
システムメモリ52は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NVMなどの記憶装置により構成される。システムメモリ52は、プロセッサ51が処理を実行するための使用するメモリを含む。例えば、システムメモリ52は、プロセッサ51が実行するプログラムあるいは設定データなどを記憶する。
【0061】
データメモリ53は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの書き換え可能な不揮発性の記憶装置により構成される。例えば、データメモリ53は、画像データ、プロセッサ51による処理結果、あるいは、設定情報などを記憶する。
【0062】
通信部54は、外部装置と通信するためのインターフェースである。通信部54は、農場データ管理端末102を介して(又は介さずに)サーバ101と通信する。
図1に示す構成例において、通信部54は、農場データ管理端末102に通信接続する。この場合、通信部54は、農場データ管理端末102を介してサーバ101から供給される照射条件(紫外線の照射条件、移動機構による移動条件などを含む)を受信する。また、通信部54は、実施した照射条件を示す情報を農場データ管理端末102を介してサーバ101へ送信する。
【0063】
紫外線照射器11(11a、11b、11c、11d)は、上述したように、紫外線を照射する。紫外線照射器11は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続され、プロセッサ51からの制御命令に応じて照射状態が制御される。例えば、紫外線照射器11は、プロセッサ51からの制御指示によってオンオフが制御されたり、プロセッサ51からの制御指示によって紫外線の照射条件が制御されたりする。また、各紫外線照射器11a、11b、11c、11dは、それぞれ独立してプロセッサ51からの制御指示によって制御されるようにしても良い。
【0064】
移動機構12は、上述したように、紫外線照射装置1を移動させる。移動機構12は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続され、プロセッサ51からの制御命令に応じて駆動が制御される。例えば、移動機構12は、プロセッサ51からの移動条件に基づく制御指示に応じて紫外線照射装置1の移動および停止を制御したり、紫外線照射装置1の移動速度を制御したりする。
【0065】
送風機構13は、上述したように、紫外線の照射対象とする農作物に対して風を送り出す。送風機構13は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続され、プロセッサ51からの制御命令に応じて駆動が制御される。例えば、送風機構13は、プロセッサ51からの制御指示に応じて送風口からの送風量を制御する。また、送風機構13が送風方向(風向)を調整する機構を有する場合、送風機構13は、プロセッサ51からの制御指示に応じて風向を調整する。
【0066】
カメラ15は、上述したように、紫外線の照射対象とする農作物を撮影する。カメラ15は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続される。カメラ15が撮影した画像は、プロセッサ51へ供給される。また、カメラ15は、プロセッサ51からの制御指示に応じて制御されるようにしても良い。
【0067】
高さ調整機構16は、上述したように、筐体10又は紫外線照射器11の高さを調整する。高さ調整機構16は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続され、プロセッサ51からの制御命令に応じて駆動が制御される。例えば、高さ調整機構16は、プロセッサ51からの制御指示に応じて筐体10又は紫外線照射器11の高さを調整する。
【0068】
幅調整機構17は、上述したように、筐体10の幅又は紫外線照射器11の幅方向の位置を調整する。幅調整機構17は、インターフェースを介してプロセッサ51に接続され、プロセッサ51からの制御命令に応じて筐体10の幅又は紫外線照射器11の幅方向の位置を調整する。
なお、高さ調整機構16および幅調整機構17は、人手によって調整する構成としても良い。
【0069】
照射部19aおよびアーム駆動部19bを備える照射アーム19は、上述したように、紫外線の照射対象とする農作物の葉の裏面に紫外線を照射する。照射部19aおよびアーム駆動部19bは、インターフェースを介してプロセッサ51に接続される。照射部19aは、プロセッサ51からの制御命令に応じて紫外線の照射状態が制御される。また、アーム駆動部19bは、プロセッサ51からの制御命令に応じて駆動が制御される。
【0070】
次に、実施形態に係る情報提供装置としてのサーバ101における制御系の構成について説明する。
図7は、実施形態に係る情報提供装置としてのサーバ101における制御系の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、サーバ101は、プロセッサ111、システムメモリ112、データメモリ113、通信部114、および、端末インターフェース(I/F)115を有する。
【0071】
プロセッサ111は、システムメモリ112又はデータメモリ113などに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を実現する。プロセッサ111は、例えば、CPUなどで構成される。プロセッサ111は処理部の一例である。
【0072】
システムメモリ112は、ROM、RAM、NVMなどの記憶装置により構成される。システムメモリ112は、プロセッサ111が処理を実行するための使用するメモリを含む。例えば、システムメモリ112は、プロセッサ111が実行するプログラムあるいは設定データなどを記憶する。
【0073】
データメモリ113は、HDD、SSDなどの書き換え可能な不揮発性の記憶装置により構成される。例えば、データメモリ113は、収集したデータを保存するメモリとして機能する。
【0074】
通信部114は、外部装置と通信するためのインターフェースである。通信部114は、農場データ管理端末102、検査装置106、および、外部データサーバ108と通信するための通信インターフェースを含む。プロセッサ111は、通信部114を介して農場データ管理端末102、検査装置106、および、外部データサーバ108と通信する。
【0075】
次に、実施形態に係る情報提供システム100における農場データ管理端末102の制御系の構成について説明する。
図8は、実施形態に係る情報提供システム100における農場データ管理端末102の制御系の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、農場データ管理端末102は、プロセッサ121、システムメモリ122、データメモリ123、通信部124、照射装置インターフェース(I/F)125、表示装置インターフェース(I/F)126、入力装置インターフェース(I/F)127、および、カメラインターフェース(I/F)128を有する。
【0076】
プロセッサ121は、システムメモリ122又はデータメモリ123などに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を実現する。プロセッサ121は、例えば、CPUなどで構成される。
【0077】
システムメモリ122は、ROM、RAM、NVMなどの記憶装置により構成される。システムメモリ122は、プロセッサ121が処理を実行するための使用するメモリを含む。例えば、システムメモリ122は、プロセッサ121が実行するプログラムあるいは設定データなどを記憶する。
【0078】
データメモリ123は、HDD、SSDなどの書き換え可能な不揮発性の記憶装置により構成される。例えば、データメモリ123は、特定の農作物に対する情報として、紫外線照射装置1が当該農作物に紫外線を照射する場合に設定した照射条件を示す情報、当該農作物の生育条件を示す情報、あるいは、検査装置106による検査結果を含む生育結果を示す情報などを保持する。
【0079】
通信部124は、外部装置と通信するためのインターフェースである。通信部114は、サーバ101、および、検査装置106と通信するための通信インターフェースを含む。プロセッサ121は、通信部124を介してサーバ101、および、検査装置106と通信する。
【0080】
照射装置インターフェース125は、紫外線照射装置1と接続するためのインターフェースである。プロセッサ121は、照射装置インターフェース125を介して紫外線照射装置1と通信する。ただし、紫外線照射装置1がサーバ101と直接通信する構成する場合、照射装置インターフェース125は省略される。
【0081】
表示装置インターフェース(I/F)126は、表示装置103と接続するためのインターフェースである。表示装置103は、サーバ101から提供される情報が表示できるものであれば良く、液晶パネルや有機ELパネルの表示装置であっても良いし、ディスプレイを備える携帯情報端末などであっても良い。
【0082】
入力装置インターフェース(I/F)127は、データ入力装置104と接続するためのインターフェースである。プロセッサ121は、入力装置インターフェース127を介してデータ入力装置104を用いて入力されたデータを取得する。
【0083】
なお、表示装置103とデータ入力装置104とは、入力装置としてのタッチパネルを設けた表示装置などを備える情報端末であっても良く、その場合には表示装置インターフェース126および入力装置インターフェース127に代えて情報端末と通信するインターフェースを設ければ良い。
【0084】
カメラインターフェース(I/F)128は、監視カメラ105と接続するためのインターフェースである。プロセッサ121は、カメラインターフェース128を介して監視カメラ105が撮影した画像を取得する。
【0085】
次に、実施形態に係る情報提供システム100におけるサーバ101の動作例について説明する。
図9は、実施形態に係る情報提供システム100におけるサーバ101の動作例を説明するためのフローチャートである。
情報提供システム100において、サーバ101のプロセッサ111は、通信部114により通信可能な各装置からの情報を収集する(ST11)。ここでは、プロセッサ111は、農場で生育された農作物に関するデータを収集するものとするが、外部データサーバ108などから任意のタイミングで文献情報、研究情報、実地試験に基づく生育情報などの情報を収集しても良い。
【0086】
プロセッサ111は、農作物に関するデータとして、各農場で生育された農作物(収穫した農作物)ごとに、生育条件を示す情報、紫外線照射装置1による紫外線の照射条件を示す情報、生育結果を示す情報などを収集する。プロセッサ111は、収集した各農場で生育された農作物ごとの生育条件を示す情報、照射条件を示す情報、生育結果を示す情報をデータメモリ113などのメモリに蓄積して保存する(ST12)。
【0087】
例えば、プロセッサ111は、農場で生育した農作物の収穫(出荷)があった場合、実際に収穫した農作物に関する生育条件および照射条件などの情報を農場データ管理端末102から収集する。生育条件としては、肥料の使用状況、農薬の使用状況、水やりの状況、生育中の気候情報、生育した土壌に関する情報、位置情報、および、高度などの情報がある。照射条件としては、紫外線の照射時間、紫外線を照射した時期、照射した紫外線の強度などの情報がある。プロセッサ111は、生育条件および照射条件として収集した情報を農作物の識別情報に対応づけてデータメモリ113に保存する。
【0088】
また、プロセッサ111は、実際に収穫した農作物に関する生育結果を農場データ管理端末102および検査装置106から収集する。生育結果の情報としては、残集農薬量、味を示す指標値(糖度、水分量)、収穫量、規格合格率、実の状態、葉の状態などの情報がある。プロセッサ111は、生育結果として収集した情報を農作物の識別情報に対応づけてデータメモリ113に保存する。これにより、データメモリ113には、収穫した農作物ごとの生育条件、照射条件および生育結果などの情報が保存される。
【0089】
サーバ101のプロセッサ111は、情報収集を継続しながら、農作物の生育に関する改善内容(変更内容)の入力を受け付ける(ST13)。例えば、プロセッサ111は、入出力端末107又は農場データ管理端末102からの実際の農作物の生育結果に対して改善(変更)する内容の入力を受け付ける。
【0090】
改善内容の具体例としては、残留農薬の削減、味の改善(例えば、糖度の向上、水分量の向上)、農薬散布回数の削減などを改善内容として受け付ける。なお、プロセッサ111は、改善内容として、生育条件あるいは照射条件に含まれる特定の条件に対する具体的な改善指示(例えば、残留農薬量の削減量、肥料の増加量など)を受け付けるようにしても良い。
【0091】
プロセッサ111は、特定の農作物に対する改善内容の入力を受けた場合(ST13、YES)、入力(指定)された改善内容に応じた改善目標値を設定する(ST14)。
【0092】
例えば、改善内容が特定の国の基準に応じた残留農薬の削減である場合、プロセッサ111は、特定の国における残留農薬の基準値を特定し、特定した残留農薬の基準値を下回るような残留農薬量を改善目標値とする。ここで、プロセッサ111は、特定の国の残留農薬基準値を外部データサーバ108が開示する情報を参照することにより特定しても良い。
【0093】
また、改善内容が味の改善(一例として、糖度の向上とする)である場合、プロセッサ111は、当該農作物の糖度を向上させるための条件(一例として、肥料量とする)を特定する。プロセッサ111は、糖度を向上させるための条件として特定した肥料量を改善目標値とする。ここで、プロセッサ111は、当該農作物の糖度を向上させるための条件を外部データサーバ108が開示する情報に基づいて特定しても良い。
【0094】
なお、改善目標値は、オペレータが入出力端末107を用いて指定しても良い。この場合、プロセッサ111は、入出力端末107に改善目標として入力された値を取得して改善目標値に設定する。また、改善目標値は、農場の作業者がデータ入力装置104を用いて指定するようにしても良い。この場合、プロセッサ111は、データ入力装置104に改善目標として入力された値を農場データ管理端末102を介して受信して改善目標値に設定する。
【0095】
プロセッサ111は、改善目標値を設定すると、当該農作物に関する現在の条件として当該農作物の生育条件を示す情報と照射条件を示す情報とを取得する(ST15)。また、プロセッサ111は、当該農作物に関する生育結果を示す情報を取得する(ST16)。例えば、プロセッサ111は、上述した情報収集によって収集した情報を保存したデータメモリ113から当該農作物に関する生育条件、照射条件および生育結果を示す情報を取得する。
【0096】
プロセッサ111は、当該農作物に関する生育条件、照射条件および生育結果を取得すると、設定した改善目標値を達成するために適した改善条件(最適条件となることが好ましい)となる生育条件とその生育条件に応じた照射条件とを算出する(ST17)。プロセッサ111は、改善目標値を達成するための生育条件を算出し、改善目標値を応じた生育条件によって生じる病虫害を抑えるための照射条件を算出する。
【0097】
例えば、改善目標値を達するための生育条件、改善目標値に応じた生育条件の変更によって生じる病虫害発生の予測、および、予測される病虫害を防除するための照射条件などは、外部データサーバ108が開示する情報(文献情報、研究情報、実地試験結果など)を参照することにより推定する。
【0098】
また、生育条件の変更によって生じる病虫害は、外部データサーバ108が開示する情報を参照するとともに、当該農作物に関する現在の生育条件、照射条件および生育結果を参照して予測するようにしても良い。さらに、生育条件の変更によって予測される病虫害を防除するための照射条件は、外部データサーバ108が開示する情報を参照するとともに、当該農作物に関する現在の生育条件、照射条件および生育結果を参照して算出しても良い。
【0099】
具体例として、改善目標値が農薬の削減量である場合、現在の生育条件よりも農薬量を削減した生育条件が算出される。農薬の削減量(使用量又は回数)を減らすと、病虫害が発生し易くなることが予測されるため、紫外線の照射による病虫害の防除効果が高くなる照射条件とすることが考えられる。すなわち、改善目標値が農薬の削減量である場合、プロセッサ111は、改善目標値に従って農薬量を削減した生育条件を算出し、農薬の削減を含む生育条件に応じて病虫害の防除効果を高めた照射条件を算出する。
【0100】
また、改善目標値が肥料の増加量である場合、現在の生育条件よりも肥料量を増加させた生育条件が算出される。肥料の増加によって害虫の発生などの病虫害が発生し易くなることが予測されるため、紫外線の照射による病虫害の防除効果が高くなる照射条件を算出する。すなわち、改善目標値が肥料の増加量である場合、プロセッサ111は、改善目標値に従って肥料量を増加させた生育条件を算出し、肥料の増加を含む生育条件に応じて病虫害の防除効果を高めた照射条件を算出する。
【0101】
プロセッサ111は、設定した改善目標値に応じた改善条件となる生育条件と照射条件とを算出すると、算出した改善条件となる生育条件と照射条件とを含む改善提案を示す情報を出力(提供)する(ST18)。例えば、プロセッサ111は、生育条件と照射条件とを含む改善提案を示す情報を通信部54により農場データ管理端末102へ送信する。農場データ管理端末102は、サーバ101からの生育条件と照射条件とを含む改善提案を表示装置103に表示する。これにより、農場の作業者は、サーバ101が改善内容に応じて算出した生育条件と照射条件とを知ることができ、農作物の生育を改善することができ、農作物の生育に掛かる作業負担を軽減できる。
【0102】
また、農場データ管理端末102は、サーバ101からの照射条件を紫外線照射装置1に設定するようにしても良い。さらに、紫外線照射装置1は、農場データ管理端末102を介さずにサーバ101から照射条件を取得し、サーバ101から供給された照射条件を設定するようにしても良い。これにより、紫外線照射装置1に対して生育条件に応じた照射条件の設定を簡単に行うことができ、農作物に病虫害の防除を効率良く行うことでき、農場の作業者の作業負担を軽減することも期待できる。紫外線照射装置1では、照射条件に基づいて、紫外線照射器11、送風機構13、高さ調整機構16、幅調整機構17、照射アーム19、照射位置調整手段などの駆動条件(強度、時間、位置など)が変更される。
【0103】
以上のように、実施形態に係る情報提供装置としてのサーバは、農作物の生育結果と前記生育結果となった前記農作物の生育条件と前記農作物に対して実施した紫外線の照射条件とを収集し、生育結果に対する改善内容に応じた生育条件と前記生育条件に応じた紫外線の照射条件とを算出し、算出した生育条件と照射条件とを含む改善提案を出力する。
【0104】
これにより、実施形態に係る情報提供装置としてのサーバは、農作物の生育に関する改善内容に応じた生育条件と照射条件とを提供することができる。この結果として、農作物の生育を行う作業者は所望する改善内容に応じた生育条件を簡単に取得でき、紫外線照射装置には改善内容に応じた生育条件に適した照射条件を設定することができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1(1A、1B)…紫外線照射装置、11(11a、11b、11c、11d)…紫外線照射器、12…移動機構、13…送風機構(照射位置調整手段)、14…フィルタ、15…カメラ、16…高さ調整機構、17…幅調整機構、18…制御部、19…照射アーム(移動照射部、照射位置調整手段)、19a…照射部、19b…アーム駆動部、21…台、22…農作物、51…プロセッサ、52…システムメモリ、53…データメモリ、54…通信部、100…情報提供システム、101…サーバ(情報提供装置)、103…表示装置、104…データ入力装置、105…監視カメラ、106…検査装置、107…入出力端末、108…外部データサーバ、109…販売店端末、111…プロセッサ、112…システムメモリ、113…データメモリ(メモリ)、114…通信部、115…端末インターフェース。