IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本多通信工業株式会社の特許一覧

特開2024-48717終端装置の製造方法及びノイズ低減方法
<>
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図1
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図2
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図3
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図4
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図5
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図6
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図7
  • 特開-終端装置の製造方法及びノイズ低減方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048717
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】終端装置の製造方法及びノイズ低減方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240402BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240402BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H04L25/02 F
H03H7/38 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154787
(22)【出願日】2022-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000243342
【氏名又は名称】本多通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慎司
【テーマコード(参考)】
5E338
5K029
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338BB75
5E338CC02
5E338EE13
5K029JJ08
(57)【要約】
【課題】使用していない出力端子によるノイズを低減する。
【解決手段】電気レセプタクルに接続されるための電気プラグ用の部品を用意する。前記電気プラグ用の部品は、プリント配線板31を含む。プリント配線板31に抵抗器95~97を実装することにより、終端回路94を形成する。終端回路94を形成したプリント配線板31を含む前記電気プラグ用の部品を用いて、前記電気レセプタクルに接続される終端装置を作製する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気レセプタクルに接続されるための電気プラグ用の部品を用意し、
前記電気プラグ用の部品は、プリント配線板を含み、
前記プリント配線板に抵抗器を実装することにより、終端回路を形成し、
前記終端回路を形成した前記プリント配線板を含む前記電気プラグ用の部品を用いて、前記電気レセプタクルに接続される終端装置を作製し、
前記プリント配線板は、
プリント配線によって形成され、差動信号を出力する前記電気レセプタクルの一対の出力端子に入力側端部が電気接続される一対の入力側伝送路と、
プリント配線によって形成され、差動信号を伝達する前記ケーブルの一対の信号線に出力側端部が電気接続される一対の出力側伝送路と、
プリント配線によって形成され、前記電気レセプタクルの接地端子に電気接続される接地パターンと、
入力側抵抗器を実装するための一対の入力側抵抗実装用パッドと、
第一抵抗器を実装するための一対の第一抵抗実装用パッドと、
第二抵抗器を実装するための一対の第二抵抗実装用パッドと、
出力側抵抗器を実装するための一対の出力側抵抗実装用パッドと、
四つの接地抵抗器をそれぞれ実装するための四対の接地抵抗実装用パッドと
を有し、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第一の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第一の入力側伝送路の出力側端部に電気接続され、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第二の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第二の入力側伝送路の出力側端部に電気接続され、
前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第一の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第一の出力側伝送路の入力側端部に電気接続され、
前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第二の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第二の出力側伝送路の入力側端部に電気接続され、
前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第一の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第二の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第一の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第二の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記終端回路は、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドと前記第一の対の接地抵抗実装用パッドと前記第二の対の接地抵抗実装用パッドとに抵抗器を実装することによって形成される、
終端装置の製造方法。
【請求項2】
前記一対の第一抵抗実装用パッド及び前記一対の第二抵抗実装用パッドには、抵抗器を実装しない、
請求項1の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の製造方法によって製造された終端装置を前記電気レセプタクルに接続することにより、前記電気レセプタクルの出力端子におけるノイズを低減するノイズ低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、終端装置を製造する方法及びノイズを低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回路接続部におけるEMCを改善するための電気回路を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-141437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気回路は、差動信号を伝送する伝送路の途中に挿入することにより、ノイズを削減する。
しかし、送信装置が複数の差動信号を出力する場合、受信装置がそのすべてを利用するとは限らない。
利用されない差動信号を出力する出力端子を開放したままにしておくと、そこからノイズが放射されたり、外部からのノイズを拾ったりする可能性がある。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
終端装置を製造する製造方法は、以下を含む。すなわち、電気レセプタクルに接続されるための電気プラグ用の部品を用意する。前記電気プラグ用の部品は、プリント配線板を含む。前記プリント配線板に抵抗器を実装することにより、終端回路を形成する。前記終端回路を形成した前記プリント配線板を含む前記電気プラグ用の部品を用いて、前記電気レセプタクルに接続される終端装置を作製する。前記プリント配線板は、プリント配線によって形成され、差動信号を出力する前記電気レセプタクルの一対の出力端子に入力側端部が電気接続される一対の入力側伝送路と、プリント配線によって形成され、差動信号を伝達する前記ケーブルの一対の信号線に出力側端部が電気接続される一対の出力側伝送路と、プリント配線によって形成され、前記電気レセプタクルの接地端子に電気接続される接地パターンと、入力側抵抗器を実装するための一対の入力側抵抗実装用パッドと、第一抵抗器を実装するための一対の第一抵抗実装用パッドと、
第二抵抗器を実装するための一対の第二抵抗実装用パッドと、出力側抵抗器を実装するための一対の出力側抵抗実装用パッドと、四つの接地抵抗器をそれぞれ実装するための四対の接地抵抗実装用パッドとを有する。前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第一の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第一の入力側伝送路の出力側端部に電気接続されている。前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第二の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第二の入力側伝送路の出力側端部に電気接続されている。前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第一の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第一の出力側伝送路の入力側端部に電気接続されている。前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第二の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第二の出力側伝送路の入力側端部に電気接続されている。前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第一の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第二の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第一の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第二の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続されている。前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続されている。前記終端回路は、前記一対の入力側抵抗実装用パッドと前記第一の対の接地抵抗実装用パッドと前記第二の対の接地抵抗実装用パッドとに抵抗器を実装することによって形成される。
前記一対の第一抵抗実装用パッド及び前記一対の第二抵抗実装用パッドには、抵抗器を実装しなくてもよい。
前記製造方法によって製造された終端装置を前記電気レセプタクルに接続することにより、前記電気レセプタクルの出力端子におけるノイズを低減してもよい。
【発明の効果】
【0006】
電気プラグ用の部品を使用して終端装置を製造するので、部品在庫を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
使用していない出力端子に終端装置を接続するので、ノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ハーネスの一例を示す図。
図2】プリント回路の一例を示す図。
図3】抵抗整合回路の一例を示す回路図。
図4】プリント配線板の一例を示す図。
図5】終端装置の一例を示す図。
図6】プリント回路の一例を示す図。
図7】終端回路の一例を示す回路図。
図8】通信システムの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照して、ハーネス10について説明する。
ハーネス10は、例えば、差動信号を出力する送信装置(不図示)と、送信装置が出力した差動信号を入力する受信装置(不図示)との間を接続して、差動信号を伝達する。
ハーネス10は、例えば、ケーブル11と、二つの電気プラグ12,13とを有する。
ケーブル11は、差動信号を伝達する一対の信号線(不図示)を有する。
【0009】
電気プラグ12は、ケーブル11の一方の端部に結合され、送信装置に設けられた電気レセプタクルに嵌合して接続される。
電気プラグ12は、例えば、ケース21と、接続部22と、プリント回路23とを有する。
ケース21は、接続部22やプリント回路23を収容する。
接続部22は、電気プラグ12が電気レセプタクルに接続されたとき、電気レセプタクルに設けられた一対の出力端子や接地端子と接触して電気接続される複数の端子を有する。
プリント回路23は、接続部22の端子やケーブル11の信号線に電気接続されている。
【0010】
電気プラグ13は、ケーブル11の他方の端部に結合され、受信装置に設けられた電気レセプタクルに嵌合して接続される。
電気プラグ13は、電気プラグ12と同様の構成を有するので、説明を省略する。
【0011】
図2を参照して、プリント回路23について説明する。
プリント回路23は、例えば、プリント配線板31と、その上に実装された複数の抵抗器61~68とを有する。
プリント配線板31の表面には、接地パターン32、入力側伝送路34、出力側伝送路35などが、プリント配線によって形成されている。また、抵抗器61~68は、プリント配線板31の表面に設けられたプリント配線によって接続されて、抵抗整合回路36を形成している。
接地パターン32は、電気レセプタクルの接地端子に接触する端子に電気接続されている。
【0012】
入力側伝送路34は、一対の入力側伝送路パターン41及び42を有する。入力側伝送路パターン41は、電気レセプタクルの一対の出力端子のうち第一の出力端子に接続される端子に入力側の端部(不図示)が電気接続されている。入力側伝送路パターン42は、電気レセプタクルの一対の出力端子のうち第二の出力端子に接続される端子に入力側の端部(不図示)が電気接続されている。これにより、入力側伝送路34は、送信回路の一対の出力端子が出力した差動信号を伝達する。
【0013】
出力側伝送路35は、一対の出力側伝送路パターン51及び52を有する。出力側伝送路パターン51は、ケーブル11の一対の信号線のうち第一の信号線に出力側の端部(不図示)が電気接続されている。出力側伝送路パターン52は、ケーブル11の一対の信号線のうち第二の信号線に出力側の端部(不図示)が電気接続されている。これにより、出力側伝送路35は、抵抗整合回路36が出力した差動信号をケーブル11に伝達する。
【0014】
図3を参照して、抵抗整合回路36について説明する。
上述したとおり、抵抗整合回路36は、プリント配線板31に設けられたプリント配線と、その上に実装された抵抗器61~68とによって形成されている。
入力側抵抗器65は、一端が入力側伝送路パターン41の出力側の端部に電気接続され、他端が入力側伝送路パターン42の出力側の端部に電気接続されている。
出力側抵抗器68は、一端が出力側伝送路パターン51の入力側の端部に電気接続され、他端が出力側伝送路パターン52の入力側の端部に電気接続されている。
接地抵抗器61は、一端が入力側抵抗器65の一端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
接地抵抗器62は、一端が入力側抵抗器65の他端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
接地抵抗器63は、一端が出力側抵抗器68の一端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
接地抵抗器64は、一端が出力側抵抗器68の他端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
第一抵抗器66は、一端が入力側抵抗器65の一端に電気接続され、他端が出力側抵抗器68の一端に電気接続されている。
第二抵抗器67は、一端が入力側抵抗器65の他端に電気接続され、他端が出力側抵抗器68の他端に電気接続されている。
なお、抵抗整合回路36の詳細については、特許文献1に開示されているので、説明を省略する。
【0015】
図4を参照して、プリント配線板31について説明する。
プリント配線板31には、上述した接地パターン32、入力側伝送路34、出力側伝送路35に加えて、更に、抵抗器61~68を実装するためのパッド71~78及び81~88が設けられている。
一対のパッド75及び85は、入力側抵抗器65を実装するためのものであり、パッド75は、入力側伝送路パターン41に電気接続され、パッド85は、入力側伝送路パターン42に電気接続されている。
一対のパッド78及び88は、出力側抵抗器68を実装するためのものであり、パッド78は、出力側伝送路パターン51に電気接続され、パッド88は、出力側伝送路パターン52に電気接続されている。
一対のパッド71及び81は、接地抵抗器61を実装するためのものであり、パッド71は、パッド75に電気接続され、パッド81は、接地パターン32に電気接続されている。
一対のパッド72及び82は、接地抵抗器62を実装するためのものであり、パッド72は、パッド85に電気接続され、パッド82は、接地パターン32に電気接続されている。
一対のパッド73及び83は、接地抵抗器63を実装するためのものであり、パッド73は、パッド78に電気接続され、パッド83は、接地パターン32に電気接続されている。
一対のパッド74及び84は、接地抵抗器64を実装するためのものであり、パッド74は、パッド88に電気接続され、パッド84は、接地パターン32に電気接続されている。
一対のパッド76及び86は、第一抵抗器66を実装するためのものであり、パッド76は、パッド75に電気接続され、パッド86は、パッド78に電気接続されている。
一対のパッド77及び87は、第二抵抗器67を実装するためのものであり、パッド77は、パッド85に電気接続され、パッド87は、パッド88に電気接続されている。
【0016】
次に、図5を参照して、終端装置90について説明する。
終端装置90は、送信装置の出力端子から出力される差動信号が未使用である電気レセプタクルに接続することにより、出力端子から外部にノイズが放射されたり、外部からのノイズが送信装置に入ったりするのを防ぐ。
【0017】
終端装置90は、例えば、ケース91と、接続部92と、プリント回路93とを有する。
ケース91は、接続部92やプリント回路93を収容する。
接続部92は、終端装置90が電気レセプタクルに接続されたとき、電気レセプタクルに設けられた一対の出力端子や接地端子と接触して電気接続される複数の端子を有する。
ケース91や接続部92には、電気プラグ12のケース21や接続部22を流用する。
プリント回路93は、接続部92の端子に電気接続されている。
【0018】
図6を参照して、プリント回路93について説明する。
プリント回路93は、例えば、プリント配線板31と、その上に実装された抵抗器95~97とを有する。抵抗器95~97は、プリント配線板31の表面に設けられたプリント配線によって接続されて、終端回路94を形成している。
【0019】
プリント配線板31は、電気プラグ12のプリント配線板31を流用したものである。
抵抗器95は、プリント配線板31の一対のパッド75及び85に実装されている。
抵抗器96は、プリント配線板31の一対のパッド71及び81に実装されている。
抵抗器97は、プリント配線板31の一対のパッド72及び82に実装されている。
それ以外のパッド73,74及び76~78,83,84及び86~88には、抵抗器を実装しない。
【0020】
図7を参照して、終端回路94について説明する。
終端回路94は、例えば、Π型終端回路である。
抵抗器95は、一端が入力側伝送路パターン41に電気接続され、他端が入力側伝送路パターン42に電気接続されている。
抵抗器96は、一端が抵抗器95の一端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
抵抗器97は、一端が抵抗器95の他端に電気接続され、他端が接地パターン32に電気接続されている。
【0021】
ここで、抵抗器95~97の抵抗値は、例えば、以下の式を満たす。
R6=R7=2Zc
R5=4ZdZc/(4Zc-Zd)
ただし、R5は抵抗器95の抵抗値、R6は抵抗器96の抵抗値、R7は抵抗器97の抵抗値、Zcは入力側伝送路34のコモンモード等価インピーダンス、Zdは入力側伝送路34のディファレンシャルモード等価インピーダンスを表す。
【0022】
送信装置が出力する差動信号が例えば四種類あるとすると、そのうちのいくつかを使用するパターンは、15(=2-1)通りある。したがって、それぞれのパターンに対応して送信装置の出力端子の数を変えると、15種類の送信装置を製造する必要があり、送信装置の製造コストが高くなる。
そこで、送信装置には、四種類の差動信号をそれぞれ出力する四対の出力端子を設けておく。
しかし、使用していない出力端子をそのまま開放しておくと、そこからノイズが放出されたり、外部のノイズを拾ったりする可能性がある。
使われていない出力端子に終端装置90を接続することにより、未使用の出力端子からノイズが放出されたり、外部からのノイズを拾ったりするのを防ぐことができ、ノイズを低減することができる。
【0023】
また、電気プラグ12の部品を使用して終端装置90を製造することにより、終端装置90専用の部品を用意しておく必要がないので、部品在庫を減らすことができ、終端装置90の製造コストを抑えることができる。
なお、この例では、ハーネス10用の電気プラグ12の部品を用いて、終端装置90を製造しているが、電気プラグ12は、ハーネス10用のものに限らず、例えば、中継アダプタ用のものや、変換アダプタ用のものであってもよい。
【0024】
なお、この例では、プリント配線板31に三つの抵抗器95~97を実装することによりΠ型終端回路94を構成しているが、もっと多くの抵抗器を実装して終端回路を構成してもよい。
また、抵抗整合回路36を終端回路として利用してもよい。その場合、抵抗整合回路36の減衰効果によって、出力側伝送路35からのノイズ放射やノイズ侵入を抑えることができる。抵抗整合回路36の減衰効果を高めるため、第一抵抗器66及び第二抵抗器67の抵抗値は、なるべく大きくすることが好ましい。
【0025】
更に、終端回路として利用する抵抗整合回路36にケーブル11の信号線を接続してもよい。更に、ケーブル11の反対側に電気プラグ13を接続してもよい。すなわち、ハーネス10をそのまま終端装置90として使用してもよい。その場合、電気プラグ13を受信装置に接続してもよく、受信装置の側で増幅回路などの受信回路をオフにすることにより、差動信号を受信しないよう構成してもよい。そのように構成した場合であっても、抵抗整合回路36の減衰効果によってノイズを低減することができる。
【0026】
また、この例では、送信装置の一対の出力端子に対して一つのハーネス10や終端装置90を接続する構成としているが、送信装置の複数対の出力端子に対して一つのハーネス10や終端装置90を接続する構成としてもよい。複数対の出力端子のうちのいくつかだけを使用する場合、一つのハーネス10のなかに、抵抗整合回路36と終端回路とが混在してもよい。すなわち、使用する出力端子には抵抗整合回路36が接続され、使用しない出力端子には終端回路が接続されるように構成してもよい。
【0027】
なお、終端回路94を終端装置90に設けるのではなく、送信装置のなかに設けてもよい。その場合、使用しない出力端子には、ハーネス10や終端装置90を接続しなくてもよい。また、抵抗整合回路36を終端回路として送信装置のなかに設けてもよい。
【0028】
図8を参照して、通信システム100について説明する。
通信システム100は、例えば、差動信号を送信する送信装置130と、送信装置130が送信した差動信号を伝達するハーネス110と、ハーネス110を介して伝達された差動信号を受信する受信装置140とを有する。
【0029】
送信装置130は、例えば、プリント配線板131と、その上に実装された抵抗器によって構成された三つの抵抗整合回路136と、三つの電気レセプタクル138とを有する。
この例において、送信装置130は、三種類の差動信号を出力する。三つの電気レセプタクル138は、それぞれ、異なる種類の差動信号を出力するためのものである。三つの抵抗整合回路136は、それぞれ、プリント配線板131の上に実装された送信回路(不図示)から電気レセプタクル138に差動信号を伝達するための伝送路の途中に設けられている。
【0030】
受信装置140は、例えば、プリント配線板141と、電気レセプタクル148とを有する。
この例において、受信装置140は、送信装置130が出力する三種類の差動信号のうちの一つを、電気レセプタクル138を介して入力する。
【0031】
ハーネス110は、例えば、ケーブル111と、その両端に接続された電気プラグ112,113とを有する。電気プラグ112は、送信装置130の電気レセプタクル138に係合して電気接続される。電気プラグ113は、受信装置140の電気レセプタクル148に係合して電気接続される。
【0032】
この例において、送信装置130が出力する差動信号は、三種類のうちの一つだけが利用され、残りの二つは利用されていない。ただし、利用されていない差動信号を出力するための二つの電気レセプタクル138のうちの一つには、ハーネス110が接続されている。
【0033】
ハーネス110を介して受信装置140に接続された電気レセプタクル138を通る信号やノイズは、抵抗整合回路136を通ることで減衰する。これにより、ハーネス110からノイズが放射されたり、ハーネス110が拾ったノイズが送信装置130に影響したりするのを抑えることができる。
ハーネス110だけが接続された電気レセプタクル138を通る信号やノイズも、抵抗整合回路136を通ることで減衰する。これにより、ハーネス110からノイズが放射されたり、ハーネス110が拾ったノイズが送信装置130に影響したりするのを抑えることができる。
また、ハーネス110が接続されていない電気レセプタクル138を通る信号やノイズも、抵抗整合回路136を通ることで減衰する。これにより、電気レセプタクル138のなかに設けられた端子からノイズが放射されたり、端子が拾ったノイズが送信装置130に影響したりするのを抑えることができる。
【0034】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【0035】
装置単独でEMC試験を満たしても、使用環境(複数の装置が配置している工場や医療現場等)により想定以上にノイズの影響(ノイズ周波数やノイズ強度)を受ける場合がある。特に未使用伝送路は一般的に開放状態になっていることが多く、その開放端がノイズの出入り口となりEMC性能が低下する。
抵抗整合回路のパッドを流用してπ型終端を実装することにより、終端回路専用基板が不要でEMC対策が可能となる。差動信号、コモン信号ともにほとんど反射しないので、SIを改善できる。エネルギーは略すべてGNDに落ちるので、未使用伝送路のノイズ放射経路を遮断できる。未使用伝送路の開放端が終端するので、開放端からのノイズ侵入経路を遮断できる。
抵抗整合回路をそのまま終端機能として使用してもよい。ハーネスの中間部品(ケーブル未接続)で製品化できる。中間部品まで製造しておき、要望によりケーブルを接続すれば、部品在庫を削減し、製品リードタイムを短縮できる。
終端機能として使用する抵抗整合回路は、送信装置や受信装置のなかに設けてもよい。その場合、ソフトスイッチやDIPスイッチ、プログラム等で増幅回路をオフにしてもよいし、ハーネスを削除してもよい。伝送路末端のインピーダンス値に関係なく、最小反射損失≒|抵抗整合回路固有減衰量の概ね2倍以上|であり、SIの改善が期待できる。抵抗整合回路(固有減衰量)によりノイズ透過を抑制することにより、未使用伝送路からのノイズの放射を抑制できる。また、回路以降と末端インピーダンスの差(不整合損失)でノイズ透過を抑制することにより、未使用伝送路からのノイズの放射を抑制できる。また、抵抗整合回路により多重反射を抑制することにより、未使用伝送路からのノイズの放射を抑制できる。開放単からノイズが侵入しても、少なくとも抵抗整合回路(固有減衰量)によりノイズ透過を抑制できる。
【0036】
抵抗整合回路には、減衰機能、整合機能、終端機能の三つの機能がある。このうち、減衰機能及び整合機能は、使用伝送路(送信側ICから受信側ICまで電気信号が伝達している伝送路)のEMC対策となる。また、終端機能は、未使用伝送路(送信側IC~受信側ICの間で電気信号が遮断(開放または短絡)している伝送路)のEMC対策となる。
減衰機能では、抵抗整合回路をノイズ(及び信号)が通過するたび、整合条件固有の減衰が発生する。
整合機能では、抵抗整合回路自体の反射は略0となり、抵抗整合回路以降の反射を整合条件固有の減衰で抑制する。
終端機能では、減衰機能と整合機能の組み合わせで、SI対策及びEMC対策の疑似終端(あるいは簡易終端)として機能する。
使用伝送路のEMC対策としては、CMF(CMノイズ減衰の専用回路)とほぼ同様の整合を提供できるので、CM(ノイズ)及びDM(信号)の反射を抑制できる。また、CMFよりも広帯域でCMを減衰できる。なお、DMも同様に減衰するので、増幅回路で対応する。
未使用伝送路のEMC対策としては、Π型又はT型終端回路に比べるとやや劣るものの、反射を抑制し、減衰効果もあるので、疑似終端として活用できる。したがって、先端開放回路に有効である。
【0037】
例えば、自動車内部の機器の間を接続するハーネスは、空間が限られているため、オプションで必要な配線がすべて接続されている場合がある。例えば、機器Aが四つの機器B~Eに接続される可能性があり、このうち機器C~Eはオプション対応であったとしても、機器Aに接続されるハーネスは、機器B~Eすべてに接続される配線を含む。したがって、実際に機器C~Eが搭載されていない場合、機器C~Eに接続される配線は、先端が開放されている。これがアンテナとして機能し、ノイズを放射したりノイズの侵入源となったりする可能性がある。
抵抗整合回路を、ハーネスの機器Aに接続される側のプラグコネクタの内部に設け、あるいは、機器Aの基板上に設けられるレセプタクルコネクタの近傍に外装すれば、機器Bに接続された配線上に設けられた抵抗整合回路は、使用伝送路のEMC対策として機能し、機器C~Eに接続されるべき(そして実際には接続されていない)配線上に設けられた抵抗整合回路は、未使用伝送路のEMC対策として機能するので、ノイズを抑えることができる。
また、ハーネスが未使用の配線を含まない場合や、未使用のレセプタクルコネクタにプラグコネクタを接続しない場合であっても、コネクタ内部の配線や端子がアンテナとして機能し、ノイズ放射したりノイズの侵入源となったりする可能性がある。
そこで、抵抗整合回路をレセプタクルコネクタの近傍に外装すれば、同様に、ノイズを抑えることができる。
【符号の説明】
【0038】
10,110 ハーネス、11,111 ケーブル、12,13,112,113 電気プラグ、21,91 ケース、22,92 接続部、23,93 プリント回路、31,131,141 プリント配線板、32 接地パターン、34 入力側伝送路、35 出力側伝送路、36,136 抵抗整合回路、41,42 入力側伝送路パターン、51,52 出力側伝送路パターン、61,62,63,64 接地抵抗器、65 入力側抵抗器、66 第一抵抗器、67 第二抵抗器、68 出力側抵抗器、71~78,81~88 パッド、90 終端装置、94 終端回路、95~97 抵抗器、100 通信システム、130 送信装置、138,148 電気レセプタクル、140 受信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気レセプタクルに接続されるための電気プラグ用の部品を用意し、
前記電気プラグ用の部品は、プリント配線板を含み、
前記プリント配線板に抵抗器を実装することにより、終端回路を形成し、
前記終端回路を形成した前記プリント配線板を含む前記電気プラグ用の部品を用いて、前記電気レセプタクルに接続される終端装置を作製し、
前記プリント配線板は、
プリント配線によって形成され、差動信号を出力する前記電気レセプタクルの一対の出力端子に入力側端部が電気接続される一対の入力側伝送路と、
プリント配線によって形成され、差動信号を伝達する前記ケーブルの一対の信号線に出力側端部が電気接続される一対の出力側伝送路と、
プリント配線によって形成され、前記電気レセプタクルの接地端子に電気接続される接地パターンと、
入力側抵抗器を実装するための一対の入力側抵抗実装用パッドと、
第一抵抗器を実装するための一対の第一抵抗実装用パッドと、
第二抵抗器を実装するための一対の第二抵抗実装用パッドと、
出力側抵抗器を実装するための一対の出力側抵抗実装用パッドと、
四つの接地抵抗器をそれぞれ実装するための四対の接地抵抗実装用パッドと
を有し、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第一の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第一の入力側伝送路の出力側端部に電気接続され、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドのうち第二の入力側抵抗実装用パッドは、前記一対の入力側伝送路のうち第二の入力側伝送路の出力側端部に電気接続され、
前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第一の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第一の出力側伝送路の入力側端部に電気接続され、
前記一対の出力側抵抗実装用パッドのうち第二の出力側抵抗実装用パッドは、前記一対の出力側伝送路のうち第二の出力側伝送路の入力側端部に電気接続され、
前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第一の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第一抵抗実装用パッドのうち第二の第一抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第一の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記一対の第二抵抗実装用パッドのうち第二の第二抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第一の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の入力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第二の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第一の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第三の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第一の接地抵抗実装用パッドは、前記第二の出力側抵抗実装用パッドに電気接続され、
前記四対の接地抵抗実装用パッドのうち第四の対の第二の接地抵抗実装用パッドは、前記接地パターンに電気接続され、
前記終端回路は、
前記一対の入力側抵抗実装用パッドと前記第一の対の接地抵抗実装用パッドと前記第二の対の接地抵抗実装用パッドとに抵抗器を実装することによって形成され
作製した前記終端装置を前記電気レセプタクルに接続することにより、前記電気レセプタクルの出力端子におけるノイズを低減する、
ノイズ低減方法。
【請求項2】
前記一対の第一抵抗実装用パッド及び前記一対の第二抵抗実装用パッドには、抵抗器を実装しない、
請求項1のノイズ低減方法。