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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048723
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240402BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L29/78 652B
H01L29/78 653A
H01L29/78 652T
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154795
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠佳
(72)【発明者】
【氏名】須藤 建瑠
(72)【発明者】
【氏名】辻川 友紀
(57)【要約】
【課題】
縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETにおいて、高いチャネル密度を維持したまま短絡耐量の向上とゲート容量の低減ができる半導体装置を提供する。
【解決手段】
平面視したとき第1の方向に長手方向を有し第2の方向に短手方向を有し第2の方向に複数配列された複数のトレンチ2と、第1導電型の第1のソース領域3と、少なくとも一部が複数のトレンチ2で区切られたフィン構造となっている領域を含む第1導電型の第2のソース領域4と、複数のトレンチ2で区切られたフィン構造の第2導電型のチャネル領域5と、トレンチ2の内部に配置されたゲート絶縁膜およびゲート電極と、第1導電型のJFET領域8と、第2導電型のボディ領域9と、を有し、縦方向にチャネル電流が流れる半導体装置1において、第2のソース領域4は、第1のソース領域3よりも表面からの深さが浅い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視したとき第1の方向に長手方向を有し第2の方向に短手方向を有し前記第2の方向に複数配列された複数のトレンチと、
前記第1の方向において、前記トレンチより外側に配置された第1導電型の第1のソース領域と、
少なくとも一部が前記複数のトレンチで区切られたフィン構造となっている領域を含む第1導電型の第2のソース領域と、
前記第2のソース領域の下面に接し、前記複数のトレンチで区切られたフィン構造の第2導電型のチャネル領域と、
前記トレンチの内部に配置されたゲート絶縁膜と、
少なくとも一部が前記トレンチの内部に配置された領域を含むゲート電極と、
前記チャネル領域の下方に配置された第1導電型のJFET領域と、
前記JFET領域の側方に配置された第2導電型のボディ領域と、を有し、
縦方向にチャネル電流が流れる半導体装置において、
前記第2のソース領域は、前記第1のソース領域よりも表面からの深さが浅いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2のソース領域は、前記第1のソース領域よりも不純物濃度が低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記JFET領域の下方に配置された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の下方に配置された第1導電型のドレイン領域と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記トレンチの内部に配置された前記ゲート電極は、前記トレンチの外部で互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2のソース領域のシート抵抗は前記第1のソース領域のシート抵抗の10倍以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第2のソース領域は、前記第2のソース領域の片側の端部のみが前記第1のソース領域に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第2のソース領域は、前記第2のソース領域の両方の端部が前記第1のソース領域に接続された第1の接続構造と、前記第2のソース領域の片側の端部のみが前記第1のソース領域に接続された第2の接続構造の2種類が存在することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記チャネル領域と前記JFET領域との間に、前記JFET領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の打ち戻し領域を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1のソース領域は、4H-SiC領域の最表面に設けられた3C-SiC領域を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型であることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トレンチ型のMOSFETの一種として、縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETが提案されている。
【0003】
図9は、従来の縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETの構造を模式的に説明する斜視図である。なお、図9では、ゲート電極、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極は図示を省略している。
【0004】
図9に示す従来の半導体装置1は、平面視したとき第1の方向に長手方向を有し第2の方向に短手方向を有し第2の方向に複数配列された複数のトレンチ2を有している。なお、図9の手前の断面における点線で示したトレンチ2は、他の構成要素とトレンチ2との位置関係を説明するために仮想的にトレンチ2に対応する位置を示したものである。
【0005】
第1導電型のソース領域は、一部が複数のトレンチ2で区切られたフィン構造となっている。説明の便宜上、図9では、区切られていない部分を第1のソース領域3とし、区切られた部分を第2のソース領域4として説明する。
【0006】
第2のソース領域4の下面には、第2のソース領域4に接して、複数のトレンチ2で区切られたフィン構造の第2導電型のチャネル領域5が形成されている。チャネル領域5の下方には、第1導電型のJFET領域8が形成されており、JFET領域8の側方には第2導電型のボディ領域9が形成されている。JFET領域8の下方には、第1導電型のドリフト領域10が形成されており、ドリフト領域10の下方には第1導電型のドレイン領域11が形成されている。
【0007】
そして、図9に示す従来の半導体装置1は、トレンチ2の側面に形成されたゲート絶縁膜を介してトレンチ2の内部にゲート電極が埋め込まれ、トレンチ2の側面を深さ方向に電流が流れるチャネル構造を有する。なお、トレンチ2の内部に埋め込まれたゲート電極は、トレンチ2の外部で互いに接続されている。
【0008】
本構造によれば、トレンチピッチを縮小してチャネル密度を上げることで、オン抵抗を低減することができる。
【0009】
なお、このような技術に関連する特許文献としては、例えば特許文献1があり、各構成要素の名称や細部の構造は異なるが、特許文献1の段落0048~0052、図3図14図18には、先ほど説明した図9に類似する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-207289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図9に示した従来の半導体装置1は、チャネル密度が高い分、オン抵抗は低いが、その分、短絡耐量が低いという課題がある。また、チャネル密度が高い分、ゲート容量が大きくなり、その結果、スイッチング速度が遅いという課題がある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETにおいて、高いチャネル密度を維持したまま短絡耐量の向上とゲート容量の低減ができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、例えば、平面視したとき第1の方向に長手方向を有し第2の方向に短手方向を有し前記第2の方向に複数配列された複数のトレンチと、前記第1の方向において、前記トレンチより外側に配置された第1導電型の第1のソース領域と、少なくとも一部が前記複数のトレンチで区切られたフィン構造となっている領域を含む第1導電型の第2のソース領域と、前記第2のソース領域の下面に接し、前記複数のトレンチで区切られたフィン構造の第2導電型のチャネル領域と、前記トレンチの内部に配置されたゲート絶縁膜と、少なくとも一部が前記トレンチの内部に配置された領域を含むゲート電極と、前記チャネル領域の下方に配置された第1導電型のJFET領域と、前記JFET領域の側方に配置された第2導電型のボディ領域と、を有し、縦方向にチャネル電流が流れる半導体装置において、前記第2のソース領域は、前記第1のソース領域よりも表面からの深さが浅いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体装置によれば、短絡が発生してソース-ドレイン間に高電圧がかかって飽和電流が流れる場合でも、第2のソース領域は第1のソース領域よりも浅いので抵抗が高く、高温時には抵抗が増大するため、第1のソース領域よりも電位が高くなり、その分だけJFET領域の電圧が上がり、それによってJFET領域とボディ領域との間のPN接合の逆バイアスが強くなってJFET領域をより空乏化させることができるので、第2のソース領域の深さが第1のソース領域と同じ場合に比べて飽和電流を低減することができ、短絡耐量が向上する。
【0015】
また、第2のソース領域が浅いため、トレンチの深さ方向に延在するゲート電極と第2のソース領域とのオーバーラップ容量が低減し、ゲート容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の半導体装置の斜視図。
図2】実施例1の半導体装置における図1のX1-X1’断面図。
図3】実施例1の半導体装置における図1のX2-X2’断面図。
図4】実施例1の半導体装置における図1のY1-Y1’断面図。
図5】実施例2の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図。
図6】実施例3の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図。
図7】実施例3の半導体装置における図6のZ1-Z1’方向の深さに対する不純物濃度プロファイル。
図8】実施例4の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図。
図9】従来の縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETの構造を模式的に説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0018】
図1は、実施例1の半導体装置の斜視図であり、図2は、実施例1の半導体装置における図1のX1-X1’断面図であり、図3は、実施例1の半導体装置における図1のX2-X2’断面図であり、図4は、実施例1の半導体装置における図1のY1-Y1’断面図である。なお、図1では、ゲート電極7、ゲート絶縁膜6、層間絶縁膜14、ソース電極12、ドレイン電極13は図示を省略している。
【0019】
図1に示すように、実施例1の半導体装置1は、平面視したとき第1の方向に長手方向を有し第2の方向に短手方向を有し第2の方向に複数配列された複数のトレンチ2を有する。
【0020】
さらに、半導体装置1は、第1の方向において、トレンチ2よりも外側に配置された第1導電型(図2ではn型)の第1のソース領域3と、少なくとも一部が複数のトレンチ2で区切られたフィン構造となっている領域を含む第1導電型の第2のソース領域4と、第2のソース領域4の下面に接し、複数のトレンチ2で区切られたフィン構造の第2導電型(図2ではp型)のチャネル領域5とを有する。
【0021】
なお、実施例1では第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明するが、これに限られず、第1導電型がp型、第2導電型がn型としてもよい。また、図1図2の断面における点線で示したトレンチ2は、他の構成要素とトレンチ2との位置関係を説明するために仮想的にトレンチ2に対応する位置を示したものである。
【0022】
実施例1の半導体装置1が図9の従来の構造と異なる点は、図2に示すように、第2のソース領域4は、第1のソース領域3よりも不純物濃度が低く、第1のソース領域3よりも表面からの深さが浅い点である。実施例1では、一例として、第1のソース領域3は高濃度のn+型、第2のソース領域4はそれよりも濃度が低いn型、チャネル領域5はp型として図示しているが、実施例1で意図した動作を実現可能であればこれに限られない。
【0023】
実施例1では、第2のソース領域4の一部がフィン構造となっており、それ以外の部分で、第1のソース領域3と接続する構造を例に図示しているが、これに限られず、第2のソース領域4の全体がフィン構造となっていてもよい。
【0024】
また、半導体装置1は、図3および図4に示すように、トレンチ2の内部に配置されたゲート絶縁膜6と、少なくとも一部がトレンチ2の内部に配置された領域を含むゲート電極7とを有する。例えば、図4に示すように、トレンチ2の内部に配置されたゲート電極7は、トレンチ2の外部で互いに接続されている。ゲート電極7の互いに接続している部分と第2のソース領域4との間には、層間絶縁膜14が形成されている。この層間絶縁膜14は、ゲート電極7の互いに接続している部分の上部や側部も覆うように形成されている。ゲート電極7は、例えばポリシリコンで形成することができる。
【0025】
さらに、図2に示すように、半導体装置1は、チャネル領域5の下方に配置された第1導電型のJFET領域8と、JFET領域8の側方に配置された第2導電型のボディ領域9と、JFET領域8の下方に配置された第1導電型のドリフト領域10と、ドリフト領域10の下方に配置された第1導電型のドレイン領域11と、第1のソース領域3の上面側に接続されたソース電極12と、ドレイン領域11の下面側に接続されたドレイン電極13とを有する。チャネル領域5は、ボディ領域9と電気的に接続されている。JFET領域8は、ドリフト領域10と電気的に接続されている。トレンチ2は、図2のように、長手方向の長さがJFET領域8を挟む両側のボディ領域9に重なるように形成されている。トレンチ2の深さは、ボディ領域9よりも浅く、チャネル領域5よりも深い。
【0026】
実施例1では、一例として、JFET領域8はn型、ボディ領域9はp型、ドリフト領域10は低濃度のn-型、ドレイン領域11は高濃度のn+型として図示しているが、実施例1で意図した動作を実現可能であればこれに限られない。例えば、JFET領域8は低濃度のn-型であってもよい。
【0027】
実施例1の半導体装置1は、トレンチ2の内部のゲート電極7にゲート駆動信号を入力して制御することで、フィン構造のチャネル領域5に縦方向にチャネル電流が流れる。すなわち、縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETとなっている。そのため、トレンチピッチを詰めてトレンチ2の密度を上げることでチャネル密度を上げることができ、チャネル抵抗を低減し、オン抵抗を低減することができる。
【0028】
実施例1の半導体装置1によれば、短絡が発生してソース-ドレイン間に高電圧がかかって飽和電流が流れる場合でも、深いボディ領域9により短絡時にJFET領域8が空乏化し、空乏層が右と左から伸びてつながり電流経路がなくなるピンチオフによって飽和電流を低減することができる。さらに、第2のソース領域4は第1のソース領域3よりも浅いので抵抗が高く、短絡が発生した場合のような高温時には抵抗が増大するため、第1のソース領域3よりも電位が高くなり、その分だけJFET領域8の電圧が上がり、それによってJFET領域8とボディ領域9との間のPN接合の逆バイアスが強くなってJFET領域8をより空乏化させることができるので、図9のような第2のソース領域4の深さが第1のソース領域3と同じ場合に比べて飽和電流を低減することができ、短絡耐量が向上する。
【0029】
なお、実施例1のように、第2のソース領域4の不純物濃度を第1のソース領域3の不純物濃度よりも低くすることが望ましい。これにより、抵抗をより高くすることができるので、より大きな効果を得ることができる。ただし、これに限られず、第2のソース領域4の不純物濃度を第1のソース領域3の不純物濃度と同じにしてもよい。
【0030】
また、第2のソース領域4が浅いため、トレンチ2の深さ方向に延在するゲート電極7と第2のソース領域4とのオーバーラップ容量が低減し、ゲート容量を低減することができる。その結果、スイッチング速度も速くできる。
【0031】
したがって、一般的に、縦チャネルフィン構造のトレンチMOSFETでは、チャネル密度が高いと、オン抵抗は低いが、短絡耐量が低く、ゲート容量が大きく、スイッチング速度が遅いというトレードオフの関係があるが、実施例1の半導体装置1によれば、高いチャネル密度を維持したまま短絡耐量の向上とゲート容量の低減ができ、スイッチング速度も速くできる。
【0032】
ここで、短絡耐量の向上の効果を十分に得るためには、第2のソース領域4のシート抵抗は、第1のソース領域3のシート抵抗の10倍以上であることが望ましい。
【0033】
実施例1の半導体装置1は、例えばn+型のSiC基板で形成することが可能であるが、これに限られない。また、例えばn+型のSiC基板でn+型のドレイン領域11を形成し、エピタキシャル成長でn-型のドリフト領域10を形成するなど、一般的な半導体装置の製造方法で製造が可能であるため、詳細な説明は省略する。
【実施例0034】
図5は、実施例2の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図である。
【0035】
実施例2は、実施例1の変形例であり、実施例2は、第2のソース領域4と第1のソース領域3との接続構造が異なる点で実施例1と相違する。これ以外は基本的には実施例1と同じであるため、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0036】
実施例2の半導体装置1は、図5に示すように、第2のソース領域4は、第2のソース領域4の片側の端部のみが第1のソース領域3に接続されている。なお、図5では第2のソース領域4の左側の端部が第1のソース領域3に接続されている例を示しているが、その逆でもよい。また、場所によって接続する端部を変え、第2のソース領域4の左側の端部を接続する構造と、第2のソース領域4の右側の端部を接続する構造の両方が存在するようにしてもよい。
【0037】
このように、接続を間引くことでより大きな抵抗を付けることができるため、短絡耐量がさらに向上する。
【0038】
また、間引く頻度をチップ面内で調整してもよい。例えば、短絡時に高温になりやすい箇所では間引く頻度を上げて、発熱量が小さくなるようにしてもよい。
【0039】
この場合、第2のソース領域4は、図2のように第2のソース領域4の両方の端部が第1のソース領域3に接続された第1の接続構造と、図5のように第2のソース領域4の片側の端部のみが第1のソース領域3に接続された第2の接続構造の2種類が存在するようにすればよい。
【実施例0040】
図6は、実施例3の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図である。
【0041】
実施例3は、実施例1の変形例であり、実施例3は、打ち戻し領域15を有する点で実施例1と相違する。これ以外は基本的には実施例1と同じであるため、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。なお、実施例3は、実施例2に適用してもよい。
【0042】
実施例3の半導体装置1は、チャネル領域5とJFET領域8との間に、JFET領域8よりも不純物濃度が高い第1導電型の打ち戻し領域15を有する。図6では、打ち戻し領域15はn型として図示しているが、実施例3で意図した動作を実現可能であればこれに限られない。
【0043】
図7は、実施例3の半導体装置における図6のZ1-Z1’方向の深さに対する不純物濃度プロファイルである。縦軸は不純物濃度ICであり、横軸は深さDPである。
【0044】
チャネル領域5をイオン注入で形成する場合、例えばp型ドーパントであるアルミニウムのプロファイルは裾を引きやすく、必要以上にチャネル領域5が深くなってしまう。その分、トレンチ2も深くする必要があり、ゲート容量が増大するとともに、実効的なJFET領域8の長さが短くなってしまうため、短絡耐量が低下してしまう。
【0045】
そこで、打ち戻し領域15のイオン種として例えば窒素を用い、JFET領域8よりも不純物濃度が高い第1導電型の打ち戻し領域15をチャネル領域5とJFET領域8との間に配置することで、打ち戻し領域なしの場合のチャネル領域深さd1を打ち戻し領域ありの場合のチャネル領域深さd2に小さくでき、チャネル領域5の低濃度領域(裾の領域)を減らすことができるため、必要な電荷量を保ったうえでチャネル領域5の深さを浅くすることができる。これにより、ゲート容量を低減でき、JFET領域8の深さ方向の寸法も大きくすることができるため、短絡耐量も向上する。
【実施例0046】
図8は、実施例4の半導体装置における図2に対応するX1-X1’断面図である。
【0047】
実施例4は、実施例1の変形例であり、実施例4は、3C-SiC領域16を有する点で実施例1と相違する。これ以外は基本的には実施例1と同じであるため、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。なお、実施例4は、実施例2または実施例3に適用してもよい。
【0048】
実施例4の半導体装置1では、第1のソース領域3は、4H-SiC領域の最表面に設けられた3C-SiC領域16を有する。
【0049】
通常、パワーデバイスに用いるSiCは、4H-SiCというポリタイプであり、バンドギャップが広く高耐圧化に適している反面、オーミックコンタクトがとるのが難しく、一般に900℃以上の熱処理が必要である。これに対し、3C-SiCはバンドギャップが小さいため、低温でオーミックコンタクトととることが可能である。4H-SiCの表面を3C-SiCにするにはリンなど質量の大きいイオンを高ドーズで注入し再結晶化させることで実現可能である。ここで、リンの高ドーズ注入層がチャネル領域5の近傍にあるとチャネル特性を悪化させる。一方、本実施例では、チャネル領域5の近傍には第2のソース領域4があり、第1のソース領域3とチャネル領域5とが接していないため、3C-SiCを用いた低温オーミックコンタクトの適用が可能となる。低温オーミックコンタクトを適用すると、高温プロセスでの酸化膜の劣化を回避できるので、酸化膜の信頼性も向上するため、短絡耐量も向上する。
【0050】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体装置
2 トレンチ
3 第1のソース領域
4 第2のソース領域
5 チャネル領域
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
8 JFET領域
9 ボディ領域
10 ドリフト領域
11 ドレイン領域
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14 層間絶縁膜
15 打ち戻し領域
16 3C-SiC領域
IC 不純物濃度
DP 深さ
d1 打ち戻し領域なしの場合のチャネル領域深さ
d2 打ち戻し領域ありの場合のチャネル領域深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9