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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048731
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】昇降補助装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 9/08 20060101AFI20240402BHJP
   E04F 11/104 20060101ALI20240402BHJP
   E04F 11/022 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B66B9/08 Z
E04F11/104
E04F11/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154806
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智
【テーマコード(参考)】
2E301
3F301
【Fターム(参考)】
2E301CC23
2E301CD41
2E301DD11
3F301BA12
3F301BE07
3F301DB13
(57)【要約】
【課題】利用者に恐怖心を与えることを抑制することができると共に、簡易な工事により導入が可能な昇降補助装置を提供する。
【解決手段】昇降補助装置1は、階段10の各踏板12に対して個別に設けられ、踏板12の下面と対向して配置されたベース部11と踏板12の間に配置されて、踏板12を昇降させる昇降機構20と、階段10に接近する利用者の位置を検出する利用者位置検出部52と、利用者位置検出部により検出される利用者の位置に基づいて、階段10の上りの利用に対応するか階段10の下りの利用に対応するかを判定する階段利用判定部61と、階段利用判定部61による判定結果に基づいて、昇降機構20による踏板12の昇降を制御する昇降制御部62と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高低差がある2つのフロア間に配置された階段を昇降する利用者を補助する昇降補助装置であって、
前記階段の各踏板に対して個別に設けられ、前記踏板の下面と対向して配置されたベース部と前記踏板の間に配置されて、前記踏板を昇降させる昇降機構と、
前記階段に接近する利用者の位置を検出する利用者位置検出部と、
前記利用者位置検出部により検出される前記利用者の位置に基づいて、前記階段の上りの利用に対応するか前記階段の下りの利用に対応するかを判定する階段利用判定部と、
前記階段利用判定部による判定結果に基づいて、前記昇降機構による前記踏板の昇降を制御する昇降制御部と、
を備える昇降補助装置。
【請求項2】
前記昇降制御部は、連続する所定数の前記踏板の下方の前記フロアからの高さを前記昇降機構により同一とすることによって、フラットな乗込み面を構成し、前記昇降機構により前記乗込み面を昇降させる制御を行う
請求項1に記載の昇降補助装置。
【請求項3】
前記踏板の上面を周囲よりも明るくするガイドライトを備え、
前記昇降制御部は、前記乗込み面を構成している前記踏板の上面を、前記ガイドライトにより周囲よりも明るくする
請求項2に記載の昇降補助装置。
【請求項4】
前記利用者位置検出部は、前記階段の最上段よりも高い位置に設けられている
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の昇降補助装置。
【請求項5】
前記利用者が前記踏板に乗っていることを検出する乗板検出部と、
前記乗板検出部により前記利用者が前記踏板に乗っていることが検出された時に、報知音を出力する報知制御部と、
を備える請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の昇降補助装置。
【請求項6】
前記乗板検出部は、前記踏板に加わる圧力を検出する圧力センサである
請求項5に記載の昇降補助装置。
【請求項7】
前記報知制御部は、前記乗板検出部により検出される前記利用者が乗っている前記踏板の切り替わりに応じて、前記報知音を変化させる
請求項5に記載の昇降補助装置。
【請求項8】
前記昇降制御部と前記ベース部に固定して設けられた前記昇降機構のアクチュエータとを接続する伝達ケーブルを備え、
前記昇降制御部は、前記伝達ケーブルを介して、前記アクチュエータに対する制御信号を出力する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の昇降補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、階段の昇降を補助する昇降補助装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、階段の各踏み段に設けたプラットフォームを、階段の側面に配置されたフレームに取り付けられた持ち上げデバイスにより垂直方向に順次変位させる移動補助デバイスが開示されている。上記移動補助デバイスは、プラットフォーム上の利用者の存在を圧力センサによって検出して、プラットフォームの持ち上げを開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-523202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術に例示した移動補助デバイスは、階段の踏み段に位置する利用者を圧力センサにより検出している。そのため、車いすを使用する利用者が階段を降りる場合に、車いすがいずれかの踏み段に進んだことが圧力センサにより検出されてから、前方の次の踏み段が上昇する。この場合、車いすを使用している利用者は、前方の次の踏み段が見えない状態で車いすを進めることになるため、利用者が恐怖心を抱くおそれがある。また、上記従来の移動補助デバイスは、階段の側面にフレームを設置する大規模な工事が必要となるという不都合がある。
本願はかかる背景に鑑みてなされたものであり、利用者に恐怖心を与えることを抑制することができると共に、簡易な工事により導入が可能な昇降補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための態様として、高低差がある2つのフロア間に配置された階段を昇降する利用者を補助する昇降補助装置であって、前記階段の各踏板に対して個別に設けられ、前記踏板の下面と対向して配置されたベース部と前記踏板の間に配置されて、前記踏板を昇降させる昇降機構と、前記階段に接近する利用者の位置を検出する利用者位置検出部と、前記利用者位置検出部により検出される前記利用者の位置に基づいて、前記階段の上りの利用に対応するか前記階段の下りの利用に対応するかを判定する階段利用判定部と、前記階段利用判定部による判定結果に基づいて、前記昇降機構による前記踏板の昇降を制御する昇降制御部と、を備える昇降補助装置が挙げられる。
【0006】
上記昇降補助装置において、前記昇降制御部は、連続する所定数の前記踏板の下方の前記フロアからの高さを前記昇降機構により同一とすることによって、フラットな乗込み面を構成し、前記昇降機構により前記乗込み面を昇降させる制御を行う、構成としてもよい。
【0007】
上記昇降補助装置において、前記踏板の上面を周囲よりも明るくするガイドライトを備え、前記昇降制御部は、前記乗込み面を構成している前記踏板の上面を、前記ガイドライトにより周囲よりも明るくする、構成としてもよい。
【0008】
上記昇降補助装置において、前記利用者検出部は、前記階段の最上段よりも高い位置に設けられている、構成としてもよい。
【0009】
上記昇降補助装置において、前記利用者が前記踏板に乗っていることを検出する乗板検出部と、前記乗板検出部により前記利用者が前記踏板に乗っていることが検出された時に、報知音を出力する報知制御部と、を備える、構成としてもよい。
【0010】
上記昇降補助装置において、前記乗板検出部は、前記踏板に加わる圧力を検出する圧力センサである、構成としてもよい。
【0011】
上記昇降補助装置において、前記報知制御部は、前記乗板検出部により検出される前記利用者が乗っている前記踏板の切り替わりに応じて、前記報知音を変化させる、構成としてもよい。
【0012】
上記昇降補助装置において、前記昇降制御部と前記ベース部に固定して設けられた前記昇降機構のアクチュエータとを接続する伝達ケーブルを備え、前記昇降制御部は、前記伝達ケーブルを介して、前記アクチュエータに対する制御信号を出力する、構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記昇降補助装置によれば、利用者に恐怖心を与えることを抑制することができると共に、簡易な工事により導入が可能な昇降補助装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、昇降補助装置の全体構成図である。
図2図2は、昇降機構の説明図である。
図3図3は、利用者が階段を上る状況の説明図である。
図4図4は、利用者が階段を下りる状況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.昇降補助装置の構成]
図1図2を参照して、本実施形態の昇降補助装置1の構成について説明する。図1に示したように、昇降補助装置1は、階段10の各段の踏板12(図1では、踏板12a,12b,12cを例示)に対して個別に設けられて、踏板12を上下方向(図1に示したY方向)に昇降させる昇降機構20を備えている。昇降機構20は、各段の踏板12と、踏板の12の下面と対向するベース部11(図1では、ベース部11a,11b,11cを例示)との間に配置されている。
【0016】
図2を参照して、昇降機構20は、中央部23が回転自在に接続された第1アーム21及び第2アーム22を備えている。第1アームの一端21aは、ベース部11の上面に設けられた支持部23に、支持部23の軸周りに回転自在に支持されている。また、第1アーム21の他端21bは、踏板12の下面に設けられた支持部24に、X方向(踏板12の長手方向)に摺動自在に支持されている。
【0017】
第2アーム22の一端22aは、踏板12の下面に設けられた支持部25に、支持部25の軸周りに回転自在に支持されている。第2アーム22の他端22bは、ベース部11の上面に設けられた支持部26に、X方向に摺動自在に支持されている。また、第2アーム22の他端22bは、アクチュエータ27(シリンダー)のロッド27aに接続され、ロッド27aの進退に応じて、第2アーム22が支持部26においてX方向に摺動する。
【0018】
これにより、第1アーム21と第2アーム22の上下方向(Y方向)の高さが変化して、ベース部11に対して踏板12が昇降する。ベース部11には、踏板12に加わる圧力を検出する圧力センサ28が設けられている。圧力センサ28は、本開示の乗板検出部に相当する。踏板12とベース部11との間には、蛇腹状のカバー30,31が設けられている。
【0019】
図1を参照して、昇降補助装置1は、階段10の各段の踏板12の上面に埋め込んで設けられたガイドライト40(図1では、ガイドライト40a,40b,40cを例示)を備えている。なお、階段10の各段に対応して階段10が接する側壁等に設けられ、踏板12の上面を側方から照射するガイドライト41(図1では、ガイドライト41a,41b,41cを例示)を備えてもよい。さらに、昇降補助装置1は、昇降補助装置1による昇降補助の制御を実行する制御ユニット50を備えている。
【0020】
制御ユニット50は、階段10が接する壁に沿って配置された伝達ケーブル2により、階段10の各段に設けられた昇降機構20、圧力センサ28、及びガイドライト40と接続されている。制御ユニット50から伝達ケーブル2を介して出力される制御信号によって、昇降機構20(より詳細にはアクチュエータ27)の作動と、ガイドライト40の作動(点灯、消灯)が制御される。また、圧力センサ28から出力される圧力検出信号が、伝達ケーブル2を介して制御ユニット50に入力される。この場合、アクチュエータ27と圧力センサ28は、変位する踏板12ではなく固定されたベース部11側に配置されているため、伝達ケーブル2は、踏板12の変位による影響を受けない。
【0021】
制御ユニット50は、表示器51、ミリ波レーダー52、スピーカー53、プロセッサ60、及びメモリ70を備えている。ミリ波レーダー52は、階段10の最上段よりも高い位置に配置され、階段10の最上段付近、最下段付近、及び最上段から最下段までの各段付近に設定された検出エリアを走査して、検出エリア内に位置する対象物(ここでは、階段10の利用者)の位置を検出する。
【0022】
プロセッサ60は、メモリ70に保存された昇降補助装置1の制御用のプログラム71を読み込んで実行することにより、階段利用判定部61、昇降制御部62、及び報知制御部63として機能する。
【0023】
階段利用判定部61は、ミリ波レーダー52により検出される階段10の利用者の位置と、利用者の位置の変化に基づいて、階段10の上りの利用に対応するか階段10の下りの利用に対応するかを判定する。階段利用判定部61は、ミリ波レーダー52による検出状況から、利用者が階段10の最下段側のフロアに位置していて、利用者が階段に接近していると判断できる場合に、階段10の上りの利用に対応すると判定する。また、階段利用判定部61は、ミリ波レーダー52による検出状況から、利用者が階段10の最上段側のフロアに位置していて、利用者が階段10に接近していると判断できる場合に、階段10の下りの利用に対応すると判定する。階段利用判定部61は、判定結果を表示器51に表示する。
【0024】
昇降制御部62は、階段利用判定部61による判定結果に基づいて、利用者の上り又は下りの進行に合わせて、各踏板12を昇降機構20により順次昇降させることにより、利用者による階段10の上り下りを補助する。昇降制御部62による各踏板12の昇降の制御の詳細については後述する。昇降制御部62は、各踏板12の昇降の制御の実施状況を表示器51に表示する。
【0025】
報知制御部63は、階段10の各段の圧力センサ28により、利用者が踏板12に乗ったことが検出された時に、スピーカー53から報知音を出力する。報知制御部63は、利用者の上り又は下りの進行に応じて、利用者が乗ったことが圧力センサ28により検出される踏板12が切り替わるタイミングで、報知音を変化させる。利用者が階段10を上っている場合、報知制御部63は、利用者が踏板12に乗ったことが検出される圧力センサ28が切り替わるタイミングで報知音を1度ずつ高くして、上がる音階が出力されるようにする。また、利用者が階段10を下っている場合、報知制御部63は、利用者が踏板12に乗ったことが検出される圧力センサ28が切り替わるタイミングで報知音を1度ずつ低くして、下がる音階が出力されるようにする。
【0026】
[2.階段の上りの補助制御]
図3を参照して、階段10の上りの利用に対応した昇降制御部62による補助制御について説明する。図3は利用者U1が階段10を上っている状況を示している。階段10の手前には、他の踏板12a~12kよりも幅が広い踏板12lが配置されている。
【0027】
踏板12lには、他の踏板12a~12kと同様に昇降機構20と圧力センサ28が備えられている。踏板12lについては、利用者U1が踏板12lの中央部に乗っていることを検出する圧力センサ28と、利用者U1が踏板12lの前部に乗っていることを検出する圧力センサ28が設けられている。
【0028】
昇降制御部62は、ミリ波レーダー52による検出状況から利用者U1が階段10の最下段に接近したことを認識したときに、踏板12lの上面(踏み面)をガイドライト40で照射して踏板12lの上面を周囲よりも明るくする。これにより、利用者U1を踏板12lに誘導する。そして、昇降制御部62は、利用者U1が踏板12lの中央部に乗ったことが踏板12lの圧力センサ28により検出された時に、踏板12lを最下段の踏板12kと同じ高さHkまで上昇させる。この時、上述したように、報知制御部63によってスピーカー53から報知音が出力されるため、利用者U1は、報知音により踏板12lが上昇を開始するタイミングを認識することができる。
【0029】
次に、昇降制御部62は、踏板12kの上面をガイドライト40で照射して踏板12kの上面を周囲よりも明るくすることにより、利用者U1を踏板12kの方向へ誘導する。そして、昇降制御部62は、利用者U1が踏板12lの前方に乗ったことが圧力センサ28により検出された時に、踏板12lと踏板12kを次の段の踏板12jの高さHjまで、同じ速度で上昇させる。この時、上述したように、報知制御部63によって、スピーカー53から度数が上がった報知音が出力されるため、利用者U1は、報知音により踏板12k,12lが上昇することと踏板12k,12lが上昇を開始するタイミングを認識することができる。
【0030】
このように、昇降制御部62は、利用者U1が階段10を進んでいることを各踏板12に対応した圧力センサ28により検出して、利用者U1が乗っている踏板12iとその前後の踏板12h,12jによる3枚の踏板12(本開示の所定数の踏板に相当する)からなるフラットな乗込み面Fを構成する。そして、昇降制御部62は、フラットな乗込み面Fを維持して踏板12を上昇させる。そのため、利用者U1に安心感を与えることができる。なお、乗込み面Fを構成する連続する踏板12の枚数は、2枚或いは4枚以上であってもよい。
【0031】
[3.階段の下りの補助制御]
図4を参照して、階段10の下りの利用に対応した昇降制御部62による補助制御について説明する。図4は、車いすを使用する利用者U2が階段10を下り始め、大きな荷物(ここでは布団)抱えているために前方見づらくなっている利用者U3が、階段10を下りている途中である状況を示している。
【0032】
昇降制御部62は、ミリ波レーダー52による検出状況から、利用者U2が検出範囲AR2内で階段10の最上段に接近したことを認識したときに、踏板12a,12b,12cを最上段側の床面Tと同じ高さまで上昇させて、フラットな乗込みFを形成する。そして、昇降制御部62は、踏板12a,12b,12cからなる乗込み面Fの上面をガイドライト40により照射して、踏板12a,12b,12cの上面を周囲よりも明るくすることにより、利用者U2を面Fに誘導する。この場合、利用者U2は、上昇した乗込み面Fを確認して、乗込み面Fに進むことができるため、利用者U2が恐怖心を抱くことを抑止することができる。
【0033】
また、昇降制御部62は、次の踏板12dを予め次の段の高さHaまで上昇させ、その次の踏板12eを予め次の段の高さHbまで上昇させる。そして、昇降制御部62は、利用者U2が踏板12bに乗ったことが圧力センサ28により検出された時に、踏板12a,12b,12cからなる乗込み面Fを、次の段の高さHaまで1段分下降させる。この時、上述したように、報知制御部63によって、スピーカー53から報知音が出力されるため、利用者U2は、報知音により乗込み面Fが下降を開始するタイミングを認識することができる。
【0034】
次に、昇降制御部62は、利用者U2が踏板12cに乗ったことが圧力センサ28により検出された時に、踏板12a,12b,12cからなる乗込み面Fを次の段の高さHbまで1段分下降させる。この時、上述したように、報知制御部63によって、度数が下がった報知音が出力されるため、利用者U2は、報知音により乗込み面Fが下降することと乗込み面Fが下降を開始するタイミングを認識することができる。
【0035】
このように、昇降制御部62は、利用者U2が進んでいることを各踏板12に対応した圧力センサ28により検出して、利用者U2が乗っている踏板12bとその前後の踏板12a,12cからなり、進行方向にある程度の幅を有するフラットな乗込み面Fを下降させる。これにより、車いすを使用していて視線が低くなっているために前方が見えにくい利用者U2に対して安心感を与えることができる。同様に、荷物を抱えているために前方が見えにくい利用者U3に対しても、利用者U3が乗っている踏板12hとその前後の踏板12g,12iからなる乗込み面Fを下降させることにより、安心感を与えることができる。
【0036】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、本開示の利用者位置検出部としてミリ波レーダー52を示したが、本開示の利用者位置検出部は、階段10に接近する利用者を検出できるものであればよく、LiDAR(Light Detection and Ranging)等の光反射センサ、レーザーレーダー、超音波センサ等を用いてもよい。或いは、カメラによる利用者の撮影画像から、利用者の位置を検出してもよい。
【0037】
上記実施形態では、報知制御部63は、利用者による階段の上り下りの移動に応じて、報知音を音階により変化させた。他の実施形態として、利用者による階段の上り下りの移動に応じて、所定のメロディーにより報知音を変化させてもよい。
【0038】
上記実施形態では、図2に示したパンダグラフ形状の昇降機構20を示したが、他の構成による昇降機構を用いてもよい。
【0039】
上記実施形態では、利用者が踏板12に乗っていることを圧力センサ28により検出したが、近接センサ、光反射センサ、光透過センサ等により検出してもよい。或いは、ミリ波レーダー52により検出される利用者の位置や、カメラによる撮影画像から、利用者が踏板12に乗っていることを検出してもよい。
【0040】
なお、図1は、本開示の発明の理解を容易にするために、昇降補助装置1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、昇降補助システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図1に示した制御ユニット50の各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0041】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0042】
(構成1)高低差がある2つのフロア間に配置された階段を昇降する利用者を補助する昇降補助装置であって、前記階段の各踏板に対して個別に設けられ、前記踏板の下面と対向して配置されたベース部と前記踏板の間に配置されて、前記踏板を昇降させる昇降機構と、前記階段に接近する利用者の位置を検出する利用者位置検出部と、前記利用者位置検出部により検出される前記利用者の位置に基づいて、前記階段の上りの利用に対応するか前記階段の下りの利用に対応するかを判定する階段利用判定部と、前記階段利用判定部による判定結果に基づいて、前記昇降機構による前記踏板の昇降を制御する昇降制御部と、を備える昇降補助装置。
構成1の昇降補助装置によれば、利用者に恐怖心を与えることを抑制することができると共に、簡易な工事により導入が可能な昇降補助装置を提供することができる。
【0043】
(構成2)前記昇降制御部は、連続する所定数の前記踏板の下方の前記フロアからの高さを前記昇降機構により同一とすることによって、フラットな乗込み面を構成し、前記昇降機構により前記乗込み面を昇降させる制御を行う、構成1に記載の昇降補助装置。
構成2の昇降補助装置によれば、連続する所定数の踏板からなるフラットな乗込み面を昇降させることにより、利用者は、1枚の踏板よりも広い乗込み面に乗って階段を上り下りすることができるため、利用者に安心感を与えることができる。
【0044】
(構成3)前記踏板の上面を周囲よりも明るくするガイドライトを備え、前記昇降制御部は、前記乗込み面を構成している前記踏板の上面を、前記ガイドライトにより周囲よりも明るくする、構成2に記載の昇降補助装置。
構成3の昇降補助装置によれば、乗込み面を周囲よりも明るくすることによって、階段を上り下りする利用者を、乗込み面に誘導することできる。
【0045】
(構成4)前記利用者検出部は、前記階段の最上段よりも高い位置に設けられている、構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の昇降補助装置。
構成4の昇降補助装置によれば、利用者検出部による検出範囲を、階段全体をカバーする範囲として、階段に接近する利用者の位置を検出することができる。
【0046】
(構成5)前記利用者が前記踏板に乗っていることを検出する乗板検出部と、前記乗板検出部により前記利用者が前記踏板に乗っていることが検出された時に、報知音を出力する報知制御部と、を備える、構成1から構成4のいちいずれか1つの構成に記載の昇降補助装置。
構成5の昇降補助装置によれば、利用者に対して、階段の上り下りによる移動状況を報知音により認識させることができる。
【0047】
(構成6)前記乗板検出部は、前記踏板に加わる圧力を検出する圧力センサである、構成5に記載の昇降補助装置。
構成6の昇降補助装置によれば、圧力センサを用いた簡易な構成により、利用者が踏板に乗ったことを検出することができる。
【0048】
(構成7)前記報知制御部は、前記乗板検出部により検出される前記利用者が乗っている前記踏板の切り替わりに応じて、前記報知音を変化させる、構成5又は構成6に記載の昇降補助装置。
構成7の昇降補助装置によれば、階段を上り下りする利用者に対して、報知音の変化によって、上り下りの状況を容認に認識させることができる。
【0049】
(構成8)前記昇降制御部と前記ベース部に固定して設けられた前記昇降機構のアクチュエータとを接続する伝達ケーブルを備え、前記昇降制御部は、前記伝達ケーブルを介して、前記アクチュエータに対する制御信号を出力する、構成1から構成7のうちいずれか1つの構成に記載の昇降補助装置。
構成8の昇降補助装置によれば、踏板の昇降の影響を回避して、昇降制御部から昇降機構のアクチュエータに対して、伝達ケーブルを介して制御信号を送信することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…昇降補助装置、2…伝達ケーブル、10…階段、11…ベース部、12…踏板、20…昇降機構、27…アクチュエータ、28…圧力センサ(乗板検出部)、40…ガイドライト、50…制御ユニット、51…表示器、52…ミリ波レーダー(利用者位置検出部)、53…スピーカー、60…プロセッサ、61…階段利用判定部、62…昇降制御部、63…報知制御部、70…メモリ、71…プログラム、U1,U2,U3…利用者。
図1
図2
図3
図4