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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048766
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240402BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240402BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240402BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240402BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20240402BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240402BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20240402BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
C23C16/458
C23C16/46
C23C14/50 A
C23C14/50 E
H05B3/10 A
H05B3/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154846
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小野 瑛人
(72)【発明者】
【氏名】上藤 淳平
【テーマコード(参考)】
3K092
4K029
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF19
3K092RF27
3K092VV22
4K029AA11
4K029DA08
4K029JA01
4K030GA02
4K030KA23
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA04
5F045AA08
5F045BB02
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EH14
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK07
5F045EK22
5F045EM05
5F045EM07
5F045EM09
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA00
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA03
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA05
5F131EB11
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャックを提供することを目的とする。
【解決手段】処理対象物を載置するセラミック誘電体基板と、セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、を備え、ヒータ部は、複数の第1ゾーンと複数の第2ゾーンとを有し、第2ゾーンの数は、第1ゾーンの数よりも多く、第2ゾーンの1つは、第2ゾーンの別の1つとゾーン間領域を介して隣接し、第1ゾーンにおいて、第1ヒータラインが配置された第1領域の面積に対する、第1ヒータラインの面積の比は、第2ゾーンにおいて、第2ヒータラインが配置された第2領域の面積に対する、第2ヒータラインの面積の比よりも小さく、第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、Z方向においてゾーン間領域と重なり、ゾーン間領域に沿って延びる、静電チャックが提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、
前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、
前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、
を備え、
前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層と、前記第1ヒータ層とは異なる平面内に配置され、複数の第2ゾーンを有する第2ヒータ層と、を有し、
前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、
前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、
前記第1ヒータ層の発熱量は前記第2ヒータ層の発熱量より大きく、
前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、
前記複数の第2ゾーンの1つは、前記複数の第2ゾーンの別の1つとゾーン間領域を介して隣接し、
前記複数の第1ゾーンの1つにおいて、前記第1ヒータラインが配置された第1領域の面積に対する、前記第1ヒータラインの占有面積の比は、第1ヒータ面積比であり、
前記複数の第2ゾーンの1つにおいて、前記第2ヒータラインが配置された第2領域の面積に対する、前記第2ヒータラインの占有面積の比は、第2ヒータ面積比であり、
前記第1ヒータ面積比は、前記第2ヒータ面積比よりも小さく、
前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、静電チャック。
【請求項2】
前記ヒータ部は、前記Z方向に沿って見たときに、前記ヒータ部の中央に位置する中央領域と、前記中央領域よりも外側に位置し前記ヒータ部の外周端を含む外周領域と、を有し、
前記第1ヒータラインのうちの前記外周領域に設けられた一部は、Z方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記ベースプレートは、冷媒が通過可能な連通路を有し、
前記Z方向に沿って見たときに、前記第1ヒータラインのうちの前記少なくとも一部は、前記Z方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、請求項1または2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記第1ヒータ面積比は、50%以下である、請求項1または2に記載の静電チャック。
【請求項5】
処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、
冷媒が通過可能な連通路を有し、前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、
前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、
を備え、
前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層を有し、
前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、
前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、静電チャック。
【請求項6】
前記ヒータ部は、複数の第2ゾーンを有する
第2ヒータ層をさらに有し、
前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、
前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、
前記複数の第2ゾーンのうちの少なくとも一部の第2ゾーンは、Z方向に沿ってみた時に、前記第1ヒータラインの一部と前記第1ヒータラインの別の一部との間に位置する、請求項5に記載の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハやガラス基板などの処理対象物が載置される静電チャックが知られている。静電チャックは、例えばエッチング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオン注入、またはアッシングなどを行う半導体製造装置のプラズマ処理チャンバ内において、処理対象物を吸着保持する手段として用いられる。静電チャックは、例えば内蔵する電極に静電吸着用電力を印加し、シリコンウェーハ等の基板を静電力によって吸着するものである。
【0003】
静電チャックにおいては、ウェーハ等の処理対象物の面内の温度分布を制御することが求められる。そこで、例えば、複数のヒータゾーンを備える加熱プレートが検討されている(特許文献1)。各ヒータゾーンの出力を独立に調整することにより、処理対象物の面内の温度分布を制御することができる。
【0004】
例えば、ゾーンの数を増やすことにより、面内の温度分布をより細かく制御することができる。このようなゾーンの数は、近年増加傾向にあり、例えば100を超える場合もある。処理対象物の面内の温度分布の均一性の更なる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-508969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、を備え、前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層と、前記第1ヒータ層とは異なる平面内に配置され、複数の第2ゾーンを有する第2ヒータ層と、を有し、前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、前記第1ヒータ層の発熱量は前記第2ヒータ層の発熱量より大きく、前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、前記複数の第2ゾーンの1つは、前記複数の第2ゾーンの別の1つとゾーン間領域を介して隣接し、前記複数の第1ゾーンの1つにおいて、前記第1ヒータラインが配置された第1領域の面積に対する、前記第1ヒータラインの占有面積の比は、第1ヒータ面積比であり、前記複数の第2ゾーンの1つにおいて、前記第2ヒータラインが配置された第2領域の面積に対する、前記第2ヒータラインの占有面積の比は、第2ヒータ面積比であり、前記第1ヒータ面積比は、前記第2ヒータ面積比よりも小さく、前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、静電チャックである。
【0008】
隣接する第2ゾーン同士の間のゾーン間領域は、第2ヒータラインが配置されないため、温度が低いクールスポットとなり、面内の温度分布にムラが生じやすいことがある。これに対して、この静電チャックによれば、第1ヒータラインの少なくとも一部がゾーン間領域と重なり、ゾーン間領域に沿って延びることにより、第1ヒータラインの発熱によって、ゾーン間領域によって生じる面内の温度分布のムラを抑制することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記ヒータ部は、前記Z方向に沿って見たときに、前記ヒータ部の中央に位置する中央領域と、前記中央領域よりも外側に位置し前記ヒータ部の外周端を含む外周領域と、を有し、前記第1ヒータラインのうちの前記外周領域に設けられた一部は、Z方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、静電チャックである。
【0010】
ヒータ部において、外周領域の温度分布ばらつきは、中央領域の温度分布ばらつきよりも大きくなりやすい場合がある。これに対して、この静電チャックによれば、外周領域において第1ヒータラインをゾーン間領域に沿って設けることにより、外周領域における温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ベースプレートは、冷媒が通過可能な連通路を有し、前記Z方向に沿って見たときに、前記第1ヒータラインのうちの前記少なくとも一部は、前記Z方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、静電チャックである。
【0012】
第1ヒータ層の出力が第2ヒータ層の出力よりも高い(発熱量が大きい)ため、第1ヒータラインが設けられた領域がホットスポットとなる恐れがある。これに対して、第1ヒータラインの少なくとも一部が冷媒の連通路と重なり、連通路に沿って延びることにより、第1ヒータラインの発熱によって生じる面内の温度分布のムラを抑制することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。
【0013】
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記第1ヒータ面積比は、50%以下である、静電チャックである。
【0014】
この静電チャックによれば、第1ヒータ面積比を50%以下とすることで、第1ゾーン内において第1ヒータラインを部分的に配置することができ、第1ヒータラインが配置されない領域の上方の温度は、第2ヒータ層によって微調節することができる。
【0015】
第5の発明は、処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、冷媒が通過可能な連通路を有し、前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、を備え、前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層を有し、前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、静電チャックである。
【0016】
第1ゾーンにおいて第1ヒータラインが設けられた領域の上方は、第1ヒータラインの発熱によって温度が高いホットスポットとなりやすい場合がある。一方、第1ゾーンのうち第1ヒータラインが配置されない領域の上方は、温度が低くなりやすい場合がある。そのため、第1ヒータラインの配置に応じて、ゾーン内に温度分布にムラが生じる場合がある。これに対して、この静電チャックによれば、第1ヒータラインの少なくとも一部が連通路と重なり、連通路に沿って延びることにより、第1ヒータラインの発熱によって生じるゾーン内の温度分布のムラを抑制することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、前記ヒータ部は、複数の第2ゾーンを有する第2ヒータ層をさらに有し、前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、前記複数の第2ゾーンのうちの少なくとも一部の第2ゾーンは、Z方向に沿ってみた時に、前記第1ヒータラインの一部と前記第1ヒータラインの別の一部との間に位置する、静電チャックである。
【0018】
この静電チャックによれば、第1ゾーンのうち第1ヒータラインの一部と別の一部との間の、第1ヒータラインが配置されていない領域の上方の温度を、第2ゾーンによって調整することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る静電チャックを模式的に表す斜視図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態の別の例に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図4図4は、実施形態に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインゾーンを模式的に表す平面図である。
図6図6は、実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンを模式的に表す平面図である。
図7図7は、実施形態に係る第2ヒータエレメントを模式的に表す平面図である。
図8図8は、実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図9図9は、実施形態に係る第1ヒータエレメント及び第2ヒータエレメントを模式的に表す平面図である。
図10図10は、実施形態に係る第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図11図11は、実施形態に係る第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、実施形態に係る別の第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、実施形態に係る静電チャックにおける温度分布の計算結果を例示する模式図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、実施形態に係る静電チャックにおける温度分布の計算結果を例示する模式図である。
図15図15は、実施形態に係るウェーハ処理装置を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、実施形態に係る静電チャックを模式的に表す斜視図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図1では、説明の便宜上、静電チャックの一部において断面図を表している。
図2(a)は、図1に示したA1-A1線による断面図である。
図2(b)は、図2(a)に示した領域B1の拡大図である。なお、図2(b)では、処理対象物Wを省略している。
図1図2(a)、及び図2(b)に表したように、実施形態に係る静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータ部200と、ベースプレート300と、を備える。
【0023】
セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面101(載置面)と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する。
【0024】
本願明細書では、第1主面101に対して垂直な方向をZ方向とする。Z方向は、換言すれば、第1主面101と第2主面102とを結ぶ方向である。Z方向は、換言すれば、ベースプレート300からセラミック誘電体基板100に向かう方向である。また、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。本願明細書において、「面内」とは、例えばX-Y平面内である。また、本願明細書において、「平面視」とは、Z方向に沿って見た状態を示す。
【0025】
セラミック誘電体基板100に含まれる結晶の材料としては、例えばAl、Y3、YAGなどが挙げられる。このような材料を用いることで、セラミック誘電体基板100における赤外線透過性、絶縁耐性及びプラズマ耐久性を高めることができる。あるいは当該材料は、SiC、AlNであってもよい。
【0026】
セラミック誘電体基板100の内部には、電極層111が設けられている。電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されている。すなわち、電極層111は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されている。電極層111は、セラミック誘電体基板100に一体焼結されている。
【0027】
なお、電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されていることに限定されず、第2主面102に付設されていてもよい。
【0028】
静電チャック10は、電極層111に吸着保持用電圧を印加することによって、電極層111の第1主面101側に電荷を発生させ、静電力によって処理対象物Wを吸着保持する。
【0029】
電極層111は、第1主面101及び第2主面102に沿って設けられている。電極層111は、処理対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極層111は、単極型でも双極型でもよい。また、電極層111は、三極型やその他の多極型であってもよい。電極層111の数や電極層111の配置は、適宜選択される。
【0030】
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の第2主面102側に設けられ、セラミック誘電体基板100を支持する。ベースプレート300には、連通路301が設けられている。つまり、連通路301は、ベースプレート300の内部に設けられている。ベースプレート300の材料としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
【0031】
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の温度調整を行う役目を果たす。例えば、セラミック誘電体基板100を冷却する場合には、連通路301へ冷却媒体を流入し、連通路301を通過させ、連通路301から冷却媒体を流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート300の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板100を冷却することができる。
【0032】
また、セラミック誘電体基板100の第1主面101側には、必要に応じて凸部113が設けられている。互いに隣り合う凸部113の間には、溝115が設けられている。溝115は、互いに連通している。静電チャック10に搭載された処理対象物Wの裏面と、溝115と、の間には、空間が形成される。
【0033】
溝115には、ベースプレート300及びセラミック誘電体基板100を貫通する導入路321が接続されている。処理対象物Wを吸着保持した状態で導入路321からヘリウム(He)等の伝達ガスを導入すると、処理対象物Wと溝115との間に設けられた空間に伝達ガスが流れ、処理対象物Wを伝達ガスによって直接加熱もしくは冷却することができるようになる。
【0034】
ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱する。ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱することで、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱する。この例では、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100と別体であり、セラミック誘電体基板100の外に設けられている。より具体的には、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100とベースプレート300との間に設けられている。
【0035】
ベースプレート300とヒータ部200との間には、接着層403が設けられている。ヒータ部200とセラミック誘電体基板100との間には、接着層403が設けられている。接着層403の材料としては、比較的高い熱伝導性を有するシリコーン等の耐熱性樹脂が挙げられる。接着層403の厚さは、例えば約0.1ミリメートル(mm)以上、1.0mm以下程度である。接着層403の厚さは、ベースプレート300とヒータ部200との間の距離、あるいはヒータ部200とセラミック誘電体基板100との間の距離と同じである。
【0036】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態の別の例に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図3(b)は、図3(a)に示した領域B2の拡大図である。なお、図3(b)では、処理対象物Wを省略している。
【0037】
図3(a)及び図3(b)に表したように、この例では、ヒータ部200は、第1主面101と、第2主面102と、の間に設けられている。すなわち、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されてもよい。言い換えれば、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100に内蔵されていてもよい。この場合、接着層403は、省略される。
【0038】
図4は、実施形態に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図4においては、ヒータ部200が、セラミック誘電体基板100に設けられているが、実施形態においては、ヒータ部200の少なくとも一部は、セラミック誘電体基板100とベースプレート300との間に設けられていてもよい。
【0039】
ヒータ部200は、第1ヒータエレメント231(例えば第2ヒータ層)と、第2ヒータエレメント232(例えば第1ヒータ層)と、を有する。ヒータ部200には、適宜、ヒータエレメントを支持するための支持板が設けられてもよい。支持板とヒータエレメントとの間や、ヒータエレメント間を絶縁する絶縁層が設けられてもよい。
【0040】
第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232とは、Z方向に離れている。つまり、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231が設けられた層とは、異なる層に設けられている。例えば第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232と絶縁されており、電気的に独立している。この例では、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231よりも上方に位置する。第2ヒータエレメント232の少なくとも一部は、Z方向において、第1ヒータエレメント231と重なってもよい。
【0041】
第2ヒータエレメント232は、複数のメインゾーン600を有する。各メインゾーン600は、メインヒータライン232cを有する。第1ヒータエレメント231は、複数のサブゾーン700を有する。各サブゾーン700は、サブヒータライン231c(後述の図8参照)を有する。
【0042】
第1ヒータエレメント231がセラミック誘電体基板100に内蔵される場合、第1ヒータエレメント231(サブヒータライン231c)の材料としては、例えばチタン、クロム、ニッケル、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、パラジウム、白金、銀、タンタル、モリブデンカーバイド、及びタングステンカーバイドの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。なお第1ヒータエレメント231の材料は上記金属とセラミックス材料とを含むことが好ましい。セラミックス材料としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG_YAl12)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)等が挙げられる。第1ヒータエレメント231に含まれるセラミックス材料はセラミック誘電体基板100の成分と同じであることが好ましい。第1ヒータエレメント231がセラミック誘電体基板100の外に設けられる場合、第1ヒータエレメント231の材料としては、例えば、ステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、アルミニウム、インコネル(登録商標)、モリブデン、タングステン、パラジウム、白金、銀、タンタル、モリブデンカーバイド、及びタングステンカーバイドの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。第1ヒータエレメント231の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.01mm以上、0.20mm以下程度である。第2ヒータエレメント232(メインヒータライン232c)の材料及び厚さは、第1ヒータエレメント231の材料及び厚さとそれぞれ同様である。例えば、第2ヒータエレメント232がセラミック誘電体基板100に内部に設けられる場合の第2ヒータエレメント232の材料としては、第1ヒータエレメント231がセラミック誘電体基板100の内部に設けられる場合の第1ヒータエレメント231の材料と同じものが挙げられる。例えば、第2ヒータエレメント232がセラミック誘電体基板100に外部に設けられる場合の第2ヒータエレメント232の材料としては、第1ヒータエレメント231がセラミック誘電体基板100の外部に設けられる場合の第1ヒータエレメント231の材料と同じものが挙げられる。第2ヒータエレメント232の材料及び厚さは、第1ヒータエレメント231の材料及び厚さと異なっていてもよい。
【0043】
第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、それぞれ、電流が流れると発熱する。第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、発熱することで、セラミック誘電体基板100を加熱する。第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、例えば、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱することで、処理対象物Wの面内の温度分布を均一にする。あるいは、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、例えば外部からの入熱を相殺するためなどのために、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱することで、載置面の面内の温度に意図的に差をつけることもできる。
【0044】
具体的には、ヒータ部200は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232のそれぞれと電気的に接続される複数の給電端子(図示せず)を有する。給電端子は、静電チャック10の外部から供給された電力を、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に供給する。すなわち、給電端子を介して、メインヒータライン232c(例えば第1ヒータライン)に、外部からの電流が流される。これにより、メインヒータライン232cが発熱する。同様に、給電端子を介してサブヒータライン231c(例えば第2ヒータライン)に、外部からの電流が流される。これにより、サブヒータライン231cが発熱する。
【0045】
ヒータ部200には、適宜、バイパス層が設けられてもよい。バイパス層は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232の給電経路である。例えば、バイパス層は、メインヒータライン232cと給電端子とを電気的に接続する導電部である。例えば、バイパス層は、サブヒータライン231cと給電端子とを電気的に接続する導電部である。なお、給電端子は、例えば、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に直接的に接続されてもよい。この場合、バイパス層は省略可能である。
【0046】
例えば、第1ヒータエレメント231に流れる電流及び第2ヒータエレメント232に流れる電流は、別々に制御される。例えば、第1ヒータエレメント231に接続されるバイパス部(バイパス層の一部)は、第2ヒータエレメント232に接続されるバイパス部とは異なる。
【0047】
第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも少ない熱量を生成する。すなわち、第1ヒータエレメント231は低出力のサブヒータであり、第2ヒータエレメント232は高出力のメインヒータである。
【0048】
このように、第1ヒータエレメント231が第2ヒータエレメント232よりも少ない熱量を生成することで、第2ヒータエレメント232のパターンに起因する処理対象物Wの面内の温度ムラを、第1ヒータエレメント231によって抑制することができる。したがって、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0049】
第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、例えば、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率よりも高い。なお、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、サブヒータライン231cの体積抵抗率である。つまり、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、サブヒータライン231cの一端(後述の第1サブ給電部231a)と、他端(後述の第2サブ給電部231b)と、の間の体積抵抗率である。言い換えれば、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、第1サブ給電部231aからサブヒータライン231cを通って第2サブ給電部231bへ至る電流経路における体積抵抗率である。同様に、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、メインヒータライン232cの体積抵抗率である。つまり、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、メインヒータライン232cの一端(後述の第1メイン給電部232a)と、他端(後述の第2メイン給電部232b)と、の間の体積抵抗率である。言い換えれば、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、第1メイン給電部232aからメインヒータライン232cを通って第2メイン給電部232bへ至る電流経路における体積抵抗率である。
【0050】
このように、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率を第2ヒータエレメント232の体積抵抗率よりも高くすることで、第1ヒータエレメント231の出力(発熱量、消費電力)を、第2ヒータエレメント232の出力(発熱量、消費電力)よりも低くすることができる。これにより、第2ヒータエレメントのパターンに起因する処理対象物の面内の温度ムラを、第1ヒータエレメントによって抑制することができる。したがって、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0051】
あるいは、サブヒータライン231cの体積抵抗率は、例えば、メインヒータライン232cの体積抵抗率よりも低くてもよい。例えば、サブヒータライン231cの一端から他端までの電気抵抗は、メインヒータライン232cの一端から他端までの電気抵抗よりも低くてもよい。この場合であっても、第2ヒータエレメント232(例えば第1ヒータ層)の出力(発熱量)は、第1ヒータエレメント231(例えば第2ヒータ層)のそれよりも大きくなるよう構成される。
【0052】
給電端子は、ヒータ部200からベースプレート300へ向かって設けられる。そのため、ベースプレート300の下面303(図2(a)及び図2(b)参照)の側からソケットなどと呼ばれる部材を介して給電端子に電力を供給することができる。これにより、静電チャック10が設置されるチャンバ内に給電端子が露出することを抑えつつ、ヒータの配線が実現される。
【0053】
この例では、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231よりも上方に位置している。ただし、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231よりも下方に位置していてもよい。
【0054】
第1ヒータエレメント231が第2ヒータエレメント232よりも上方に位置する場合、第1ヒータエレメント231が処理対象物Wに比較的近いことにより、第1ヒータエレメント231によって処理対象物Wの温度を制御しやすくなる。すなわち、第2ヒータエレメント232のパターンに起因して生じる処理対象物Wの面内の温度ムラを、第1ヒータエレメント231によって抑制しやすくなる。したがって、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0055】
一方、第2ヒータエレメント232が第1ヒータエレメント231よりも上方に位置する場合、高出力の第2ヒータエレメント232が処理対象物Wに比較的近い。これにより、処理対象物Wの温度の応答性(昇温速度・降温速度)を向上させることができる。
【0056】
ヒータ部200が有するヒータエレメントの数は、「2」には限定されない。つまり、ヒータ部200は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232とは異なる層に設けられた、別のヒータエレメントをさらに有していてもよい。
【0057】
図5は、実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインゾーンを模式的に表す平面図である。
図5は、第2ヒータエレメント232をZ方向に垂直な平面に投影した図である。図5に表したように、第2ヒータエレメント232は、径方向Drに分割された複数のメインゾーン600(例えば第1ゾーン)を有する。第2ヒータエレメント232では、各メインゾーン600において、独立した温度制御が行われる。
【0058】
本願明細書において、「径方向Dr」とは、ヒータエレメント(ヒータ部)の中心から半径に沿って外周に向かう方向である。「周方向Dc」とは、ヒータエレメントの外周に沿う方向である。周方向Dcは、例えば、平面視におけるセラミック誘電体基板100の外周に沿う方向、または、平面視におけるベースプレート300の外周に沿う方向と実質的に同じでよい。
【0059】
この例では、複数のメインゾーン600は、径方向Drに並ぶ3つのメインゾーン601~603を有する。つまり、例えば第2ヒータエレメント232は、径方向Drにおいて3つに分割されている。各メインゾーン600は、第2ヒータエレメント232の中心CT2から径方向Drの外側に向かってメインゾーン601、メインゾーン602、メインゾーン603の順に配置されている。
【0060】
この例では、メインゾーン601は、平面視において、中心CT2を中心とする環状である。メインゾーン602は、平面視において、メインゾーン601の外側に位置し中心CT2を中心とする環状である。メインゾーン603は、平面視において、メインゾーン602の外側に位置し中心CT2を中心とする環状である。
【0061】
この例では、メインゾーン601の径方向Drの幅LM1、メインゾーン602の径方向Drの幅LM2、及びメインゾーン603の径方向Drの幅LM3は、互いに同じである。幅LM1~LM3は、互いに異なっていてもよい。
【0062】
なお、メインゾーン600の数やメインゾーン600の平面視における形状は、任意でよい。例えば、図4においては、4つのメインゾーン600が図示されている。また、メインゾーン600は、周方向Dcに分割されていてもよいし、周方向Dc及び径方向Drに分割されていてもよい。各メインゾーン600内の構成については、後述する。
【0063】
各メインゾーン600を構成するメインヒータライン232cは、互いに独立している。これにより、各メインゾーン600(メインヒータライン232c)ごとに異なる電圧を印加することができる。したがって、各メインゾーン600ごとに出力(生成する熱量)を独立して制御することができる。言い換えれば、各メインゾーン600は、互いに独立した温度制御を行うことができるヒータユニットであり、第2ヒータエレメント232は、このヒータユニットを複数有するヒータユニットの集合体である。
【0064】
各メインゾーン600は、隣接するメインゾーン600と所定間隔で配置されている。つまり、第2ヒータエレメント232は、メインゾーン間領域650を有する。メインゾーン間領域650は、互いに隣接するメインゾーン600同士の間に設けられる。メインゾーン間領域650は、互いに隣接する2つのゾーンを分離する領域である。つまり、メインゾーン600の1つは、メインゾーン600の別の1つとメインゾーン間領域650を介して隣接する。メインゾーン間領域650は、1つのメインゾーン600内のメインヒータライン232cから、そのメインゾーン600に隣接する別のメインゾーン600内のメインヒータライン232cまでの領域(メインヒータライン232c間の領域)を含む。例えば、メインゾーン間領域650には、適宜、絶縁性の材料が配置されている。
【0065】
具体的には、メインゾーン間領域650は、メインゾーン間領域651と、メインゾーン間領域652と、を有する。メインゾーン間領域651は、メインゾーン601とメインゾーン602との間に設けられた所定間隔である。つまり、メインゾーン間領域651は、メインゾーン601のメインヒータライン232cから、メインゾーン602のメインヒータライン232cまでの間隔を含む。メインゾーン間領域652は、メインゾーン602とメインゾーン603との間に設けられた所定間隔である。つまり、メインゾーン間領域652は、メインゾーン602のメインヒータライン232cから、メインゾーン603のメインヒータライン232cまでの間隔を含む。メインゾーン間領域651及びメインゾーン間領域652は、それぞれ、平面視において、中心CT2を中心とする環状である。
【0066】
メインゾーン間領域651の径方向Drの幅LMaは、幅LM1及び幅LM2のそれぞれよりも狭くてもよい。メインゾーン間領域652の径方向Drの幅LMbは、幅LM2及び幅LM3のそれぞれよりも狭くてもよい。なお、線状または帯状に延在する要素の平面視における幅とは、言い換えれば、平面視における太さであり、その延在方向に垂直な方向に沿う長さである。環状において、幅とは、内縁から外縁までの距離(内径と外径との差の半分)である。
【0067】
メインゾーン間領域650の平面視における幅(例えば幅LMaまたは幅LMb)は、任意であるが、一例として、0.5mm以上4mm以下、好ましくは1mm以上3mm以下である。メインゾーン間領域650の平面視における幅は、一定でもよいし、その延在方向に沿って変化してもよい。
【0068】
図6は、実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンを模式的に表す平面図である。
図6は、第1ヒータエレメント231をZ方向に垂直な平面に投影した図である。図6に表したように、この例では、第1ヒータエレメント231は、径方向Dr及び周方向Dcに分割された複数のサブゾーン700(例えば第2ゾーン)を有する。第1ヒータエレメント231では、各サブゾーン700において、独立した温度制御が行われる。
【0069】
この例では、複数のサブゾーン700は、第1領域701~第7領域707を含む。第1領域701は、第1ヒータエレメント231の中心CT1を中心とする円形状である。第2領域702~第7領域707は、それぞれ、中心CT1を中心とする環状である。平面視において、第1領域701~第7領域707は、中心CT1から径方向Drの外側に向かって第1領域701、第2領域702、第3領域703、第4領域704、第5領域705、第6領域706、第7領域707の順に配置されている。
【0070】
第1領域701は、1つの円形のサブゾーン700を有する。第2領域702~第7領域707は、それぞれ、周方向Dcに並ぶ複数のサブゾーン700を有する。第2領域702~第7領域707における各サブゾーン700の平面形状は、環状の一部である。
【0071】
このように、例えば、第2ヒータエレメント232は、径方向Drにおいて7つに分割されている。さらに、第2領域702~第7領域707は、それぞれ、周方向Dcにおいて複数に分割されている。
【0072】
具体的には、図6の例では、第2領域702は、周方向Dcに並ぶ5個のサブゾーン700を有する。第3領域703は、周方向Dcに並ぶ8個のサブゾーン700を有する。第4領域704は、周方向Dcに並ぶ16個のサブゾーン700を有する。第5領域705は、周方向Dcに並ぶ18個のサブゾーン700を有する。第6領域706は、周方向Dcに並ぶ24個のサブゾーン700を有する。第7領域707は、周方向Dcに並ぶ36個のサブゾーン700を有する。
【0073】
この例では、第1領域701の径方向Drの幅LS1(直径)は、第2領域702の径方向Drの幅LS2よりも広い。また、この例では、幅LS3~幅LS7(第3領域703の径方向Drの幅LS3、第4領域704の径方向Drの幅LS4、第5領域705の径方向Drの幅LS5、第6領域706の径方向Drの幅LS6、及び第7領域707の径方向Drの幅LS7)のそれぞれは、幅LS2と同じである。ただし、各領域の幅は、互いに異なっていてもよい。
【0074】
複数のサブゾーン700の数は、複数のメインゾーン600の数よりも多い。つまり、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも多くのゾーンに分割されている。
【0075】
第1ヒータエレメント231に含まれる複数のサブゾーン700の数を、第2ヒータエレメント232に含まれる複数のメインゾーン600の数よりも多くすることで、第1ヒータエレメント231によって、第2ヒータエレメント232よりも狭い領域の温度調整を行うことができる。これにより、第1ヒータエレメント231によってより細かい温度の微調整が可能となり、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0076】
サブゾーン700の数やサブゾーン700の平面視における形状は、任意でよい。また、サブゾーン700は、周方向Dcに分割されていなくてもよい。つまり、第1領域701や第2領域702は、周方向Dcに分割された複数のサブゾーン700を含まなくてもよい。各サブゾーン700内の構成については、後述する。
【0077】
各サブゾーン700を構成するサブヒータライン231cは、互いに独立している。これにより、各サブゾーン700(サブヒータライン231c)ごとに異なる電圧を印加することができる。したがって、各サブゾーン700ごとに出力(生成する熱量)を独立して制御することができる。言い換えれば、各サブゾーン700は、互いに独立した温度制御を行うことができるヒータユニットであり、第1ヒータエレメント231は、このヒータユニットを複数有するヒータユニットの集合体である。
【0078】
各サブゾーン700は、隣接するサブゾーン700と所定間隔で配置されている。第2ヒータエレメント232は、サブゾーン間領域750を有する。サブゾーン間領域750は、互いに隣接するサブゾーン700同士の間に設けられる。サブゾーン間領域750は、互いに隣接する2つのゾーンを分離する領域である。つまり、サブゾーン700の1つは、サブゾーン700の別の1つとサブゾーン間領域750を介して隣接する。サブゾーン間領域750は、1つのサブゾーン700内のサブヒータライン231cから、そのサブゾーン700に隣接する別のサブゾーン700内のサブヒータライン231cまでの領域(サブヒータライン231c間の領域)を含む。例えば、サブゾーン間領域750には、適宜、絶縁性の材料が配置されている。
【0079】
サブゾーン間領域750は、平面視において湾曲した複数のカーブ領域750c(カーブ領域751c~カーブ領域756c)を有する。カーブ領域750cは、例えば径方向Drにおいて隣接するサブゾーン700同士の間に設けられた所定間隔である。つまり、カーブ領域750cは、1つのサブゾーン700のサブヒータライン231cから、そのサブゾーン700と径方向Drにおいて隣接するサブゾーン700のサブヒータライン231cまでの間隔を含む。カーブ領域750cは、例えば周方向Dcに沿ってカーブし、周方向Dcに延びる。カーブ領域750cは、平面視において、中心CT1を中心とする環状である。
【0080】
具体的には、カーブ領域751cは、第1領域701と第2領域702との間に設けられ、カーブ領域752cは、第2領域702と第3領域703との間に設けられ、カーブ領域753cは、第3領域703と第4領域704との間に設けられ、カーブ領域754cは、第4領域704と第5領域705との間に設けられ、カーブ領域755cは、第5領域705と第6領域706との間に設けられ、カーブ領域756cは、第6領域706と第7領域707との間に設けられる。なお、上記に限らず、径方向Drにおいて隣接するサブゾーン700間に位置するサブゾーン間領域750の少なくとも一部は、周方向Dcとは異なる方向に沿ってカーブしてもよいし、直線状であってもよい。
【0081】
サブゾーン間領域750は、さらに、複数の直線領域750r(直線領域752r~直線領域757r)を有する。直線領域750rは、周方向Dcにおいて隣接するサブゾーン700同士の間に設けられた所定間隔である。つまり、直線領域750rは、1つのサブゾーン700のサブヒータライン231cから、そのサブゾーン700と周方向Dcにおいて隣接するサブゾーン700のサブヒータライン231cまでの間隔を含む。直線領域750rは、平面視において、径方向Drに延在する直線状である。
【0082】
具体的には、直線領域752rは、第2領域702のサブゾーン700の間に設けられ、直線領域753rは、第3領域703のサブゾーン700の間に設けられ、直線領域754rは、第4領域704のサブゾーン700の間に設けられ、直線領域755rは、第5領域705のサブゾーン700の間に設けられ、直線領域756rは、第6領域706のサブゾーン700の間に設けられ、直線領域757rは、第7領域707のサブゾーン700の間に設けられる。なお、周方向Dcにおいて隣接するサブゾーン700間に位置するサブゾーン間領域750の少なくとも一部は、直線状に限らず、湾曲してもよい。
【0083】
サブゾーン間領域750の平面視における幅は、例えば0.5mm以上3mm以下である。カーブ領域750cの幅L750c(カーブ領域750cの径方向Drに沿った長さ)は、例えば0.5mm以上3mm以下である。直線領域750rの幅L750r(直線領域750rの周方向Dcに沿った長さ)は、例えば0.5mm以上3mm以下である。サブゾーン間領域750の平面視における幅は、一定でもよいし、その延在方向に沿って変化してもよい。
【0084】
図7は、実施形態に係る第2ヒータエレメントを模式的に表す平面図である。
図7に表したように、1つのメインゾーン600は、2つのメイン給電部(1つの第1メイン給電部232a及び1つの第2メイン給電部232b)と、1つのメインヒータライン232cと、を有する。メインヒータライン232cは、2つのメイン給電部(例えば第1給電部)を電気的に接続する。メインゾーン600は、第1メイン給電部232aと第2メイン給電部232bとを繋ぐ連続するメインヒータライン232cで構成される領域である。
【0085】
1つの第1メイン給電部232aは、1つのメインヒータライン232cの一端に設けられており、給電端子(又は給電端子と電気的に接続されたバイパス層)と電気的に接続される。1つの第2メイン給電部232bは、当該メインヒータライン232cの他端に設けられており、別の給電端子(又は給電端子と電気的に接続されたバイパス層)と電気的に接続される。外部からの電流は、第1メイン給電部232aに接続された給電端子から、第1メイン給電部232aを介してメインヒータライン232cに流れる。メインヒータライン232cに流れた電流は、第2メイン給電部232bから、第2メイン給電部232bに接続された別の給電端子を介して、外部へ流れる。メインヒータライン232cは、電流が流れることにより発熱する。
【0086】
例えば、メインヒータライン232cは、主にメインゾーン600の外周部に配置される。例えば、図7に表したように、メインヒータライン232cは、径方向Drにおいて互いに離間した第1部分21と第2部分22とを有する。第1部分21は、メインゾーン600の端部(内周縁)に沿って設けられ、第2部分22は、当該メインゾーン600の別の端部(外周縁)に沿って設けられている。第1部分21と第2部分22との間には、メインヒータライン232cの別の一部が設けられていない。例えば、第1部分21と第2部分22との間の距離L2は、第1部分21の径方向Drの幅L21よりも長く、第2部分22の径方向Drの幅L22よりも長い。例えば、メインゾーン600の径方向の幅LMは、幅L21と幅L22と距離L2との和に相当する。
【0087】
この例では、メインヒータライン232cは、平面視において湾曲したメインカーブ部22cと、平面視において直線状に延在するメイン直線部22sと、を有する。メインカーブ部22cは、例えば中心CT2を中心として周方向Dcに沿ってカーブし、周方向Dcに延びる円弧状である。メイン直線部22sは、径方向Drに沿って延びる。メインヒータライン232cは、径の異なる2つのメインカーブ部22cと、これらメインカーブ部22cを接続する2つのメイン直線部22sと、を含む。
【0088】
メインヒータライン232cの平面視における幅は、例えば0.5mm以上5mm以下、好ましくは0.8mm以上3mm以下である。メインカーブ部22cの幅(メインカーブ部22cの径方向Drに沿った長さ)及び、メイン直線部22sの幅(メイン直線部22sの周方向Dcに沿った長さ)は、それぞれ、例えば0.5mm以上5mm以下、好ましくは0.8mm以上3mm以下である。メインヒータライン232cの平面視における幅は、一定でもよいし、その延在方向に沿って変化してもよい。
【0089】
平面視において、1つのメインゾーン600において、メインヒータライン232cが占める面積の割合をメインヒータ面積比(例えば第1ヒータ面積比)とする。例えば、1つのメインゾーン600において、メインヒータライン232cが配置された配置領域R1(例えば第1領域)の平面視における面積を、SR1とする。本明細書において、配置領域R1とは、当該メインゾーン600を構成するヒータラインのうち、最外部で囲われる領域を指す。配置領域R1の詳細は後述する。そして、当該メインゾーン600において、当該メインヒータライン232cの平面視における占有面積を、S232cとする。このとき、メインヒータ面積比は、メインヒータライン232cの配置領域R1の面積に対する、メインヒータライン232cの平面視における占有面積の比(すなわち、S232c/SR1)である。メインヒータ面積比は、例えば1%以上50%以下である。例えば、複数のメインゾーン600のそれぞれにおいて、メインヒータ面積比は、1%以上50%以下である。図7に示す例では、メインヒータライン232Cは、概ね配置領域R1の最外部のみに配置されている。
【0090】
ここで、面積比の算出方法について説明する。
図7のメインゾーン603を例として説明する。第2ヒータエレメント232の直径を300mm、メインゾーン603の径方向に沿う長さを55mm、メインヒータライン232cの幅(メインカーブ部22cの径方向Drに沿った長さおよびメイン直線部22sの周方向Dcに沿った長さ)を1mm、メインゾーン603のうち第2ヒータエレメント232の直線部22s同士の間の距離を2mmと仮定する。
メインゾーン603の配置領域R1の面積は、概ね、(150×150×π)-(95×95×π)-(2×55)=42201.5mmである。一方、メインヒータライン232cの平面視における占有面積は、概ね、(300×π)×1+(190×π)×1+(55-2)×1=1591.6mmである。したがって、図7のメインゾーン603におけるメインヒータ面積比は約3.8%である。
ヒータラインの幅が変化する場合や、複雑なパターンであって上記のような計算でメインヒータ面積比の算出が困難な場合には、画像解析を用いて算出してもよい。
【0091】
図8は、実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図8に表したように、1つのサブゾーン700は、2つのサブ給電部(1つの第1サブ給電部231a及び1つの第2サブ給電部231b)と、1つのサブヒータライン231cと、を有する。サブヒータライン231cは、2つのサブ給電部(例えば第2給電部)を電気的に接続する。サブゾーン700は、第1サブ給電部231aと第2サブ給電部231bとを繋ぐ連続するサブヒータライン231cで構成される領域である。
【0092】
1つの第1サブ給電部231aは、1つのサブヒータライン231cの一端に設けられており、給電端子(又は給電端子と電気的に接続されたバイパス層)と電気的に接続される。1つの第2サブ給電部231bは、当該サブヒータライン231cの他端に設けられており、別の給電端子(又は給電端子と電気的に接続されたバイパス層)と電気的に接続される。外部からの電流は、第1サブ給電部231aに接続された給電端子から、第1サブ給電部231aを介してサブヒータライン231cに流れる。サブヒータライン231cに流れた電流は、第2サブ給電部231bから、第2サブ給電部231bに接続された別の給電端子を介して、外部へ流れる。サブヒータライン231cは、電流が流れることにより発熱する。
【0093】
サブヒータライン231cの平面視における幅は、例えば0.1mm以上2mm以下、好ましくは0.3mm以上1.5mm以下である。サブヒータライン231cの平面視における幅は、一定でもよいし、その延在方向に沿って変化してもよい。
【0094】
平面視において、1つのサブゾーン700において、サブヒータライン231cが占める面積の割合をサブヒータ面積比(例えば第2ヒータ面積比)とする。例えば、1つのサブゾーン700において、サブヒータライン231cが配置された配置領域R2(例えば第2領域)の平面視における面積を、SR2とする。本明細書において配置領域R2とは、当該サブゾーン700を構成するヒータラインのうち、最外部で囲われる領域を指す。そして、当該サブゾーン700において、当該サブヒータライン231cの平面視における占有面積を、S231cとする。このとき、サブヒータ面積比は、サブヒータライン231cの配置領域R2の面積に対する、サブヒータライン231cの平面視における占有面積の比(すなわち、S231c/SR2)である。メインヒータ面積比は、サブヒータ面積比よりも小さい。言い換えれば、サブゾーン700におけるサブヒータライン231cは、メインゾーン600におけるメインヒータライン232cよりも、密に配置されている。例えば、平面視において、メインゾーン600のうちの所定面積(例えば1~5cmの程度)の領域に含まれるメインヒータライン232cの面積は、サブゾーン700のうちの当該所定面積の領域に含まれるサブヒータライン231cの面積よりも小さい。サブヒータ面積比は、例えば40%以上90%以下である。例えば、複数のサブゾーン700のそれぞれにおいて、サブヒータ面積比は、40%以上90%以下である。サブヒータライン231cは、当該サブゾーン700全体にくまなく配置されることが好ましい。
【0095】
なお、配置領域R1は、平面視において1つのメインヒータライン232cを囲む領域である。例えば、配置領域R1は、平面視において1つのメインヒータライン232cの全体を囲む所定形状の領域のうち、面積が最小の領域とすることができる。配置領域R2は、平面視において1つのサブヒータライン231cを囲む領域である。例えば、配置領域R2は、平面視において1つのサブヒータライン231cの全体を囲む所定形状の領域のうち、面積が最小の領域とすることができる。
【0096】
例えば、配置領域R1の所定形状、及び、配置領域R2の所定形状は、それぞれ、円状、環状、環状の一部、扇状、及び、矩形のいずれかとすることができる。例えば、円状は、周方向Dcに沿って延びる外周を有する。例えば、環状は、周方向Dcに沿って延びる外周と、周方向Dcに沿って延びる内周と、を有する。例えば、環状の一部は、周方向Dcに延びる外側の弧と、周方向Dcに延びる内側の弧と、これら2つの弧を接続する2つの辺(例えば径方向Drに延びる辺)と、を有する。例えば、扇状は、周方向Dcに延びる弧と、2つの辺(例えば径方向に延びる辺)と、を有する。例えば、上記の周方向Dcに延びる外周、内周又は弧は、ヒータ部200の中心(中心CT1又は中心CT2)を中心とする同心円状である。
【0097】
図7の例では、配置領域R1は、環状の一部(C字状)である。図8の例では、配置領域R2は、環状の一部(扇状の一部)である。なお、平面視において、配置領域R1の外縁の一部は、メインヒータライン232cの外縁の一部と接していてよいが、図7においては、便宜上、配置領域R1の外縁の一部と、メインヒータライン232cの外縁の一部とを、離して表示している。配置領域R2についても同様に、配置領域R2の外縁の一部は、サブヒータライン231cの外縁の一部と接していてよい。
【0098】
このように、例えば、配置領域R1は、メインヒータライン232cの全体を囲む円状のうち面積が最小の領域、当該メインヒータライン232cの全体を囲む環状のうち面積が最小の領域、当該メインヒータライン232cの全体を囲む環状の一部のうち面積が最小の領域、当該メインヒータライン232cの全体を囲む扇状のうち面積が最小の領域、及び、当該メインヒータライン232cの全体を囲む矩形のうち面積が最小の領域、のうち、最も面積が小さい領域とすることができる。配置領域R2についても同様である。
【0099】
メインヒータ面積比及びサブヒータ面積比は、静電チャック10のX線画像を取得し、画像解析によって算出することができる。例えば、X線画像において、2つのメイン給電部と、それらに接続されたメインヒータライン232cと、の像から配置領域R1を特定する。X線画像における、配置領域R1の面積と、メインヒータライン232cの面積と、の比からメインヒータ面積比を算出することができる。同様に、例えば、X線画像において、2つのサブ給電部と、それらに接続されたサブヒータライン231cと、の像から配置領域R2を特定する。X線画像における、配置領域R2の面積と、サブヒータライン231cの面積と、の比からサブヒータ面積比を算出することができる。
【0100】
図9は、実施形態に係る第1ヒータエレメント及び第2ヒータエレメントを模式的に表す平面図である。
図9においては、第1ヒータエレメント231の複数のサブゾーン700の位置と、第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cの位置と、を模式的に重ねて表す。
【0101】
図9の例では、メインヒータライン232cのメインカーブ部22cは、Z方向においてサブゾーン間領域750のカーブ領域750c(図6参照)と重なる。メインカーブ部22cは、平面視においてカーブ領域750cに沿って延びている。例えば、平面視において、メインカーブ部22cの曲率は、カーブ領域750cの曲率と同じである。なお、曲率は、例えば、平面視における外縁(内周縁または外周縁)の曲率である。曲率は、幅方向(径方向Dr)の中央線の曲率でもよい。例えば、メインカーブ部22cの外縁または中央線と、カーブ領域750cの外縁または中央線と、は、互いに一定間隔を維持しながらX-Y平面に沿って並行する曲線であり、同じ形状でもよい。
【0102】
また、例えば、メインヒータライン232cのメイン直線部22sは、Z方向においてサブゾーン間領域750の直線領域750r(図6参照)と重なってもよい。例えば、メイン直線部22sの外縁または幅方向(周方向Dc)の中央線と、直線領域750rの外縁または幅方向(周方向Dc)の中央線と、は、互いに一定間隔を維持しながらX-Y平面に沿って延在する平行線でもよい。
【0103】
このように、実施形態においては、メインヒータライン232cのうちの少なくとも一部は、Z方向においてサブゾーン間領域750と重なり、平面視においてサブゾーン間領域750に沿って延びる。
【0104】
隣接するサブゾーン700同士の間のサブゾーン間領域750は、サブヒータライン231cが配置されないため、温度が低いクールスポットとなり、面内の温度分布にムラが生じやすいことがある。これに対して、メインヒータライン232cの少なくとも一部がサブゾーン間領域750と重なり、サブゾーン間領域750に沿って延びることにより、メインヒータライン232cの発熱によって、サブゾーン間領域750によって生じる面内の温度分布のムラを抑制することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。すなわち、例えば、サブゾーン間領域750によって形成されるクールスポットの一部が、メインヒータライン232cの発熱(ホットスポット)の一部によって相殺され、均熱化される。
【0105】
上述したように、例えば、メインヒータ面積比は、50%以下である。例えば、第2ヒータエレメント232の発熱量は、第1ヒータエレメント231の発熱量よりも大きくされる。発熱量の大きいヒータで温度を制御すると、面内の温度分布の均一性を向上することが困難となる場合がある。これに対して、メインヒータ面積比を50%以下とすることで、メインゾーン600内においてメインヒータライン232cを部分的に配置し、メインヒータライン232cが配置されない領域の上方の温度を、第1ヒータエレメント231によって微調節することができる。例えば、メインヒータライン232cが配置されない領域の温度分布を、発熱量の小さい第1ヒータエレメント231の発熱で補うことができ、より効率的に面内の温度を制御することができる。
【0106】
従来、メインヒータおよびサブヒータの両方について、該当ゾーン全体にくまなくヒータラインを配置していた。一方、サブヒータのゾーン数が増え、微小面積の温度制御が必要となってくると、メインヒータの大きな発熱を、サブヒータの微小面積の発熱で制御することが困難となる。そこで、本発明では、ゾーン内(配置領域R1)におけるメインヒータの配置を部分的とする、つまりメインヒータ面積比を小さくし、1つのゾーンにおいてメインヒータのみで発熱する部分と、サブヒータのみで発熱する部分と、を設けるように工夫している。そのため、メインヒータの大きな発熱の影響を受けずにサブヒータを用いた温度の微調整が可能となり、載置面のより微細領域を効率的に温度制御することができる。また、例えば、メインヒータ面積比がサブヒータ面積比よりも小さいことにより、メインヒータライン232cとサブヒータライン231cとがZ方向において重なる範囲が広くなることを抑制することができる。これにより、例えば、サブヒータライン231cの発熱にメインヒータライン232cの発熱が重なって温度が高いホットスポットが形成されることが抑制される。
【0107】
例えば、1つのサブゾーン700内の外側領域では、そのサブゾーン700内の中央領域に比べて温度が低くなりやすい。そこで、例えば、サブゾーン700の外側の境界に沿って(すなわちサブゾーン間領域750に沿って)メインヒータライン232cを配置することで、メインヒータライン232cの発熱によって温度分布の均一性を向上させている。一方、サブゾーン700においてはサブヒータ面積比が比較的大きく、サブゾーン700の中央領域では、外側領域に比べて温度が高くなりやすい。これに対して、メインヒータ面積比が比較的小さいことで、サブゾーン700の中央領域のサブヒータライン231cにメインヒータライン232cが重なることが抑制され、サブゾーン700の中央領域上方にホットスポットが形成されることを抑制できる。したがって、面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。例えば、Z方向に沿って見たときに、メインヒータライン232cは、サブゾーン700の中心と重ならないように配置される。一例として、配置領域R1の外周に沿ってメインヒータライン232cを配置し、当該メインヒータライン232cの領域内に配置領域R2を配置することで、今まで以上にサブヒータによる微細な温度制御が実現される。
【0108】
また、図9に表したように、ヒータ部200は、中央領域200Cと、中央領域200Cよりも外側に位置する外周領域200Dと、を有する。中央領域200Cは、平面視において、中心CT1を中心とする半径RCの円形領域である。半径RCは、ヒータ部200の平面視における半径の半分の長さである。外周領域200Dは、中央領域200Cの外周端200Cpに接し、中央領域200Cを囲む環状領域である。外周領域200Dは、ヒータ部200の外周端200pを含む。
【0109】
実施形態においては、メインヒータライン232cのうちの、少なくとも外周領域200Dに設けられた一部が、Z方向においてサブゾーン間領域750と重なり、サブゾーン間領域750に沿って延びることが好ましい。
【0110】
ヒータ部200において、外周領域200Dの温度分布ばらつきは、中央領域200Cの温度分布ばらつきよりも大きくなりやすい場合がある。これに対して、外周領域200Dにおいてメインヒータライン232cをサブゾーン間領域750に沿って設けることにより、外周領域200Dにおける温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0111】
図10は、実施形態に係る第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図10においては、第1ヒータエレメント231の複数のサブゾーン700の位置と、第2ヒータエレメント232の複数のメインゾーン600(601~603)の位置と、ベースプレート300の連通路301の位置と、を模式的に重ねて表す。
なお、図10では、メインゾーン600の境界と連通路301とを僅かにずらして表示している。ただし、これに限らず、メインゾーン600(601~603)の境界は、連通路301やサブゾーン間領域750とZ方向において重なってもよい。
【0112】
連通路301は、例えば冷媒が連通路301内に流入する流入口301aと、冷媒が連通路301から流出する流出口301bと、を有する。流入口301aは、連通路301の一端に位置し、流出口301bは、連通路301の他端に位置する。この例では、連通路301は、分岐せずに、流入口301aから流出口301bまで続いている。流入口301aは、ベースプレート300の平面視における中心に位置する。流出口301bは、ベースプレート300の平面視における外周部に位置する。流入口301aから連通路301内に導入された冷媒は、連通路301内を通って、流出口301bから外部へ流出する。
【0113】
なお、流出口301bから流入口301aに向けて冷媒を流してもよい。言い換えれば、流出口301bを流入口とし、流入口301aを流出口としてもよい。また、連通路301は、流入口301aと流出口301bとの間で分岐した網状でもよい。流入口301a及び流出口301bは、それぞれ、複数設けられてもよい。
【0114】
この例では、連通路301は、平面視において湾曲したカーブ流路部30cと、平面視において直線状に延在する直線流路部30sと、を有する。カーブ流路部30cは、例えばベースプレート300の平面視における中心CT3を中心として周方向Dcに沿ってカーブし、周方向Dcに延びる円弧状である。直線流路部30sは、径方向Drに沿って延びる。連通路301は、径の異なる6つのカーブ流路部30cと、これらカーブ流路部30c及び流入口301aを接続する6つの直線流路部30sと、を含む。なお、上記に限らず、例えば、連通路301は、周方向Dcとは異なる方向に沿ってカーブする部分や、径方向Drとは異なる方向に沿って直線状に延びる部分を含んでいてもよい。
【0115】
連通路301の平面視における幅は、例えば2mm以上5mm以下である。カーブ流路部30cの幅(カーブ流路部30cの径方向Drに沿った長さ)及び、直線流路部30sの幅(直線流路部30sの周方向Dcに沿った長さ)は、それぞれ、例えば2mm以上5mm以下である。連通路301の平面視における幅は、一定でもよいし、その延在方向に沿って変化してもよい。
【0116】
例えば、図9に表したメインヒータライン232cのメインカーブ部22cは、Z方向において連通路301のカーブ流路部30c(図10参照)と重なる。メインカーブ部22cは、平面視においてカーブ流路部30cに沿って延びている。例えば、平面視において、メインカーブ部22cの曲率は、カーブ流路部30cの曲率と同じである。なお、曲率は、例えば、平面視における外縁(内周縁または外周縁)の曲率である。曲率は、幅方向(径方向Dr)の中央線の曲率でもよい。例えば、メインカーブ部22cの外縁または中央線と、カーブ流路部30cの外縁または中央線と、は、互いに一定間隔を維持しながらX-Y平面に沿って並行する曲線であり、同じ形状でもよい。
【0117】
また、例えば、メインヒータライン232cのメイン直線部22sは、Z方向において連通路301の直線流路部30s(図10参照)と重なってもよい。例えば、メイン直線部22sの外縁または幅方向(周方向Dc)の中央線と、直線流路部30sの外縁または幅方向(周方向Dc)の中央線と、は、互いに一定間隔を維持しながらX-Y平面に沿って延在する平行線でもよい。
【0118】
このように、実施形態においては、メインヒータライン232cのうちの少なくとも一部は、Z方向において連通路301と重なり、平面視において連通路301に沿って延びる。
【0119】
メインゾーン600においてメインヒータライン232cが設けられた領域の上方は、メインヒータライン232cの発熱によって温度が高いホットスポットとなりやすい場合がある。一方、メインゾーン600のうちメインヒータライン232cが配置されない領域の上方は、温度が低くなりやすい場合がある。そのため、メインヒータライン232cの配置に応じて、ゾーン内に温度分布にムラが生じる場合がある。例えば、第2ヒータエレメント232の出力が高い(発熱量が大きい)場合、メインヒータライン232cが設けられた領域がホットスポットとなる恐れがある。これに対して、メインヒータライン232cの少なくとも一部が連通路301と重なり、連通路301に沿って延びることにより、メインヒータライン232cの発熱によって生じる面内の温度分布のムラを抑制することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。
【0120】
例えば、図4に表したように、メインヒータライン232cの少なくとも一部は、Z方向において連通路301の一部及びサブゾーン間領域750の一部の両方と重なる。また、例えば、メインヒータライン232cの少なくとも一部は、連通路301の一部及びサブゾーン間領域750の一部の両方に沿って延びる。
【0121】
図11は、実施形態に係る第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図11は、図9に示す領域Aの拡大図に対応する透視平面図である。図11においては、第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cの位置と、第1ヒータエレメント231のサブゾーン700の位置と、連通路301の位置と、を模式的に重ねて表す。なお、図11(及び図12(a)、図12(b))においては、便宜上、周方向Dcを直線的に表示している。
【0122】
例えば、サブゾーン700は、平面視における縁700e(例えば外周端)と縁700fとを有する。図11に表したように、1つのサブゾーン700の縁700eと、そのサブゾーン700に隣接する別のサブゾーン700の縁700fとの間が、サブゾーン間領域750となる。サブゾーン間領域750の幅L750は、1つのサブゾーン700の縁700eと、そのサブゾーン700に隣接するサブゾーン700の縁700fと、の間の距離である。
【0123】
メインヒータライン232cは、幅方向(例えば径方向Dr)の一端232ceと、幅方向の他端232cfと、を有する。メインヒータライン232cの幅L232cは、一端232ceと他端232cfとの間の距離である。連通路301は、(例えば径方向Dr)の一端301eと、幅方向の他端301fと、を有する。連通路301の幅L301は、一端301eと他端301fとの間の距離である。
【0124】
この例では、連通路の幅L301は、サブゾーン間領域750の幅L750よりも広く、メインヒータライン232cの幅L232cは、連通路の幅L301よりも広い。
【0125】
例えば、サブゾーン700の縁700eは、Z方向において、メインヒータライン232cと重なる。このとき、当該縁700eに対向する別のサブゾーン700の縁700fは、Z方向において、メインヒータライン232cと重なることが望ましい。例えば、平面視において、メインヒータライン232cの一端232ceと他端232cfとの間に、当該縁700e及び当該縁700fが位置する。これにより、例えば、サブゾーン間領域750の上方における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0126】
例えば、サブゾーン700の縁700eは、Z方向において、連通路301と重なる。このとき、当該縁700eに対向する別のサブゾーン700の縁700fは、Z方向において、連通路301と重なることが望ましい。例えば、平面視において、連通路301の一端301eと他端301fとの間に、当該縁700e及び当該縁700fが位置する。これにより、例えば、サブゾーン間領域750の上方における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0127】
図12(a)及び図12(b)は、実施形態に係る別の第1ヒータエレメント、第2ヒータエレメント及び連通路を模式的に表す平面図である。
図12(a)は、図11と同様に、第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cの位置と、第1ヒータエレメント231のサブゾーン700の位置と、連通路301の位置と、を模式的に重ねて表す。同様に、図12(b)は、サブゾーン700の位置と、メインヒータライン232cの位置と、を模式的に重ねて表す。
【0128】
図12(a)に表したように、この例では、連通路301の幅L301は、メインヒータライン232cの幅L232cよりも広く、サブゾーン間領域750の幅L750は、連通路301の幅L301よりも広い。
【0129】
例えば、サブゾーン700の縁700eは、Z方向において、メインヒータライン232cと重ならない。このとき、当該縁700eに対向する別のサブゾーン700の縁700fは、Z方向において、メインヒータライン232cと重ならないことが望ましい。例えば、平面視において、当該縁700eと当該縁700fとの間に、メインヒータライン232cの一端232ceと他端232cfが位置する。これにより、例えば、サブゾーン間領域750の上方における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0130】
例えば、サブゾーン700の縁700eは、Z方向において、連通路301と重ならない。このとき、当該縁700eに対向する別のサブゾーン700の縁700fは、Z方向において、連通路301と重ならないことが望ましい。例えば、平面視において、当該縁700eと当該縁700fとの間に、連通路301の一端301eと他端301fとが位置する。これにより、例えば、サブゾーン間領域750の上方における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0131】
例えば、図12(b)に表したように、複数のサブゾーン700のうちの少なくとも一部のサブゾーン700は、Z方向に沿って見たときに、メインヒータライン232cの一部24aと、メインヒータライン232cの別の一部24bと、の間に位置する。すなわち、少なくとも一部のサブゾーン700は、平面視において、メインヒータライン232cの間の領域と重なり、メインヒータライン232cとは重ならなくてよい。
【0132】
メインヒータライン232cの一部24aと別の一部24bとの間の、メインヒータライン232cが配置されていない領域の上方の温度を、サブゾーン700によって調整することができる。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一性をより向上させることができる。なお、一部24aを含むメインゾーン600(メインヒータライン232c)は、別の一部24bを含むメインゾーン600(メインヒータライン232c)と同じメインゾーン600でもよいし、異なるメインゾーン600でもよい。
【0133】
図13(a)、図13(b)、図14(a)及び図14(b)は、実施形態に係る静電チャックにおける温度分布の計算結果を例示する模式図である。
図13(a)及び図14(a)のそれぞれは、静電チャック10の平面視における温度分布を表す。これらの図は、1つのサブゾーン700の周辺の領域を拡大して表している。色が濃い(黒い)ほど温度が低いことを表し、色が薄い(白い)ほど温度が高い。
【0134】
図13(b)は、図13(a)に示したr1-r2線に沿った温度分布を例示するグラフ図である。図14(b)は、図14(a)に示したr3-r4線に沿った温度分布を例示するグラフ図である。
【0135】
図13(a)は、連通路301に冷媒を流しながら、第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cを通電し発熱させた場合を示す。図13(a)においては、第1ヒータエレメント231のサブヒータライン231cは通電されておらず発熱していない。この場合、図13(a)及び図13(b)に示すように、1つのサブゾーン700の中央付近上方の載置面において温度が低く、サブゾーン700の外周付近上方の載置面において温度が高くなる。
【0136】
図14(a)は、第1ヒータエレメント231のサブヒータライン231cを通電し発熱させた場合を示す。図14(a)においては、連通路301に冷媒は流されておらず、メインヒータライン232cは通電されておらず発熱していない。この場合、図14(a)及び図14(b)に示すように、1つのサブゾーン700の中央付近上方の載置面において温度が高く、サブゾーン700の外周付近上方の載置面において温度が低くなる。
【0137】
例えば、連通路301に冷媒を流しながら、サブヒータライン231c及びメインヒータライン232cの両方を通電し発熱させる。この場合、例えば、載置面の温度分布は、図13(a)及び図13(b)のような温度分布と、図14(a)及び図14(b)のような温度分布との重ね合わせに対応した分布となる。これにより、載置面の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0138】
図15は、実施形態に係るウェーハ処理装置を模式的に表す断面図である。
図15に表したように、実施形態に係るウェーハ処理装置500は、処理容器501と、上部電極510と、静電チャック10と、を備えている。処理容器501の天井には、処理ガスを内部に導入するための処理ガス導入口502が設けられている。処理容器501の底板には、内部を減圧排気するための排気口503が設けられている。また、上部電極510及び静電チャック10には高周波電源504が接続され、上部電極510と静電チャック10とを有する一対の電極が、互いに所定の間隔を隔てて平行に対峙するようになっている。
【0139】
ウェーハ処理装置500において、上部電極510と静電チャック10との間に高周波電圧が印加されると、高周波放電が起こり処理容器501内に導入された処理ガスがプラズマにより励起、活性化されて、処理対象物Wが処理されることになる。なお、処理対象物Wとしては、半導体基板(ウェーハ)を例示することができる。ただし、処理対象物Wは、半導体基板(ウェーハ)には限定されず、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス基板等であってもよい。
【0140】
高周波電源504は、静電チャック10のベースプレート300と電気的に接続される。ベースプレート300には、前述のように、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。すなわち、ベースプレート300は、導電性を有する。これにより、高周波電圧は、上部電極410とベースプレート300との間に印加される。
【0141】
また、この例では、ヒータ部200において、第1支持板210、第1絶縁層220、第1ヒータエレメント231、第2絶縁層240、第2ヒータエレメント232、第3絶縁層245、バイパス層250、第4絶縁層260、第2支持板270、が、この順に積層されている。ベースプレート300は、第1支持板210及び第2支持板270と電気的に接続されている。これにより、ウェーハ処理装置500では、第1支持板210と上部電極510との間、及び、第2支持板270と上部電極510との間にも高周波電圧が印加される。
【0142】
このように、各支持板210、270と上部電極510との間に高周波電圧を印加する。これにより、ベースプレート300と上部電極510との間のみに高周波電圧を印加する場合に比べて、高周波電圧を印加する場所を処理対象物Wにより近付けることができる。これにより、例えば、より効率的かつ低電位でプラズマを発生させることができる。
【0143】
ウェーハ処理装置500のような構成の装置は、一般に平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるが、実施形態にかかる静電チャック10は、この装置への適用に限定されるわけではない。例えば、EC(Electron Cyclotron Resonance)エッチング装置、誘電結合プラズマ処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置、プラズマ分離型プラズマ処理装置、表面波プラズマ処理装置、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )装置などのいわゆる減圧処理装置に広く適応することができる。このようなウェーハ処理装置500は、例えば、半導体装置の製造に用いられる。ウェーハ処理装置500は、例えば、半導体製造装置として使用される。
【0144】
また、実施形態にかかる静電チャック10は、露光装置や検査装置のように大気圧下で処理や検査が行われる基板処理装置に広く適用することもできる。ただし、実施形態にかかる静電チャック10の有する高い耐プラズマ性を考慮すると、静電チャック10をプラズマ処理装置に適用させることが好ましい。なお、これらの装置の構成の内、実施形態にかかる静電チャック10以外の部分には公知の構成を適用することができるので、その説明は省略する。
【0145】
実施形態に係るウェーハ処理装置500(半導体製造装置)によれば、上述の静電チャック10を備えることで、ヒータ部200の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
【0146】
本願明細書において、「電気的に接続」には、直接接触して接続される場合の他に、他の導電性部材などを介して接続される場合も含む。
本願明細書において、「同じ」及び「一定」とは、厳密に同じ及び一定であることのみならず、略同じ及び略一定であればよい。例えば、「同じ」及び「一定」は、例えば製造工程におけるばらつきなどの範囲を含んでもよい。
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0147】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、
前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、
前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、
を備え、
前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層と、前記第1ヒータ層とは異なる平面内に配置され、複数の第2ゾーンを有する第2ヒータ層と、を有し、
前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、
前記第1ヒータ層の発熱量は前記第2ヒータ層の発熱量より大きく、
前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、
前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、
前記複数の第2ゾーンの1つは、前記複数の第2ゾーンの別の1つとゾーン間領域を介して隣接し、
前記複数の第1ゾーンの1つにおいて、前記第1ヒータラインが配置された第1領域の面積に対する、前記第1ヒータラインの占有面積の比は、第1ヒータ面積比であり、
前記複数の第2ゾーンの1つにおいて、前記第2ヒータラインが配置された第2領域の面積に対する、前記第2ヒータラインの占有面積の比は、第2ヒータ面積比であり、
前記第1ヒータ面積比は、前記第2ヒータ面積比よりも小さく、
前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、静電チャック。
(構成2)
前記ヒータ部は、前記Z方向に沿って見たときに、前記ヒータ部の中央に位置する中央領域と、前記中央領域よりも外側に位置し前記ヒータ部の外周端を含む外周領域と、を有し、
前記第1ヒータラインのうちの前記外周領域に設けられた一部は、Z方向において前記ゾーン間領域と重なり、前記ゾーン間領域に沿って延びる、構成1に記載の静電チャック。
(構成3)
前記ベースプレートは、冷媒が通過可能な連通路を有し、
前記Z方向に沿って見たときに、前記第1ヒータラインのうちの前記少なくとも一部は、前記Z方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、構成1または2に記載の静電チャック。
(構成4)
前記第1ヒータ面積比は、50%以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の静電チャック。
(構成5)
処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、
冷媒が通過可能な連通路を有し、前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、
前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、
を備え、
前記ヒータ部は、複数の第1ゾーンを有する第1ヒータ層を有し、
前記複数の第1ゾーンのそれぞれは、2つの第1給電部と、前記2つの第1給電部を電気的に接続する第1ヒータラインと、を有し、
前記第1ヒータラインのうちの少なくとも一部は、前記第1主面に対して垂直なZ方向において前記連通路と重なり、前記連通路に沿って延びる、静電チャック。
(構成6)
前記ヒータ部は、複数の第2ゾーンを有する第2ヒータ層をさらに有し、
前記複数の第2ゾーンのそれぞれは、2つの第2給電部と、前記2つの第2給電部を電気的に接続する第2ヒータラインと、を有し、
前記複数の第2ゾーンの数は、前記複数の第1ゾーンの数よりも多く、
前記複数の第2ゾーンのうちの少なくとも一部の第2ゾーンは、Z方向に沿ってみた時に、前記第1ヒータラインの一部と前記第1ヒータラインの別の一部との間に位置する、構成5に記載の静電チャック。
【0148】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0149】
10 静電チャック
21 第1部分
22 第2部分
22c メインカーブ部
22s メイン直線部
24a 一部
24b 一部
30c カーブ流路部
30s 直線流路部
100 セラミック誘電体基板
101 第1主面
102 第2主面
111 電極層
113 凸部
115 溝
200 ヒータ部
200C 中央領域
200Cp 外周端
200D 外周領域
200p 外周端
210 第1支持板
220 第1絶縁層
231 第1ヒータエレメント
231a サブ給電部
231b サブ給電部
231c サブヒータライン
232 第2ヒータエレメント
232a メイン給電部
232b メイン給電部
232c メインヒータライン
232ce 一端
232cf 他端
240 第2絶縁層
245 第3絶縁層
250 バイパス層
260 第4絶縁層
270 第2支持板
300 ベースプレート
301 連通路
301a 流入口
301b 流出口
301e 一端
301f 他端
303 下面
321 導入路
403 接着層
410 上部電極
500 ウェーハ処理装置
501 処理容器
502 処理ガス導入口
503 排気口
504 高周波電源
510 上部電極
600、601~603 メインゾーン
650、651、652 メインゾーン間領域
700 サブゾーン
700e、700f 縁
701~707 第1~第7領域
750 サブゾーン間領域
750c、751c~756c カーブ領域
750r、752r~757r 直線領域
CT1 中心
CT2 中心
CT3 中心
Dc 周方向
Dr 径方向
L2 距離
L21 幅
L22 幅
L232c 幅
L301 幅
L750 幅
L750c 幅
L750r 幅
LM1~LM3 幅
LMa、LMb 幅
LS1~LS7 幅
R1 配置領域
R2 配置領域
RC 半径
W 処理対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15