(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048771
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】階段
(51)【国際特許分類】
E04F 11/025 20060101AFI20240402BHJP
E04F 11/09 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E04F11/025
E04F11/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154855
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】坪井 健一
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 智史
(72)【発明者】
【氏名】藤森 英樹
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CC44
2E301CC55
2E301CC57
2E301CD04
2E301DD16
2E301DD72
2E301DD93
2E301EE00
(57)【要約】
【課題】踏板を固定した状態であっても蹴込板の取付けを確実に行える構造を備えた階段を提供する。
【解決手段】本発明に係る階段1は、上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁(ササラ桁2,2)と、当該左右の桁間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板5及び蹴込板6とを備えた階段であって、下段の踏板5の上面5aに設けられた蹴込板下端側被取付部3(蹴込板下端側係合溝3A)と、上段の踏板5の下面5bよりも下方に位置するように左右の桁に取付けられた蹴込板上端側被取付部4とを備え、蹴込板6の下端6e側が蹴込板下端側被取付部3に取付けられたとともに、当該蹴込板6の上端6t側が蹴込板上端側被取付部4に取付けられたことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁と、当該左右の桁間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板及び蹴込板とを備えた階段であって、
下段の踏板の上面に設けられた蹴込板下端側被取付部と、
上段の踏板の下面よりも下方に位置するように前記左右の桁に取付けられた蹴込板上端側被取付部とを備え、
前記蹴込板の下端側が前記蹴込板下端側被取付部に取付けられたとともに、当該蹴込板の上端側が前記蹴込板上端側被取付部に取付けられたことを特徴とする階段。
【請求項2】
上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁と、当該左右の桁間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板及び蹴込板とを備えた階段であって、
下段の踏板の上面に設けられた蹴込板下端側被取付部と、
上段の踏板の下面よりも下方に位置するように前記左右の桁に設けられた踏板被取付部に取付けられた蹴込板上端側被取付部とを備え、
前記蹴込板の下端側が前記蹴込板下端側被取付部に取付けられたとともに、当該蹴込板の上端側が前記蹴込板上端側被取付部に取付けられたことを特徴とする階段。
【請求項3】
蹴込板上端側被取付部は、前記上段の踏板の前端側の下面の下側において、前記左右の桁間に亘って延在するように設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項4】
蹴込板上端側被取付部は、前記上段の踏板の前端側の下面を支持する踏板支持部として機能するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の階段。
【請求項5】
蹴込板下端側被取付部は、前記下段の踏板の上面の後端縁側において左右端に亘って連続するように形成されて蹴込板の下端側が係合する蹴込板下端側係合溝により構成されたことを特徴とする請求項4に記載の階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段の蹴込板の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁(以下、「ササラ桁」という)と、左右のササラ桁間に上下傾斜方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた踏板と、下段の踏板の後端側上面と上段の踏板の前端側下面との間に設けられた蹴込板とを備えて構成された階段が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された階段においては、左右のササラ桁に設けられた踏板被取付部に踏板をボルト等で仮止めし、下段の踏板の後端側上面の左右端間に亘って延在するように設けられた蹴込板下端側係合溝に蹴込板の下端側を係合させるとともに、上段の踏板の後端側下面の左右端間に亘って延在するように設けられた蹴込板上端側係合溝に蹴込板の上端側を係合させることによって、蹴込板を取付けるようにしている。
しかしながら、上述した階段では、上下段の踏板をボルト等で踏板被取付部に仮止めした状態で、蹴込板を上下段の踏板の係合溝に取付けた後、上下段の踏板をボルト等で踏板被取付部に本締めして固定してしまうと、蹴込板の係合溝に対する飲み込み寸法に余裕が無くなり、蹴込板の上下端側が係合溝から外れやすい構造となってしまい、蹴込板の取付が困難になるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、踏板を固定した状態であっても蹴込板の取付けを確実に行える構造を備えた階段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る階段は、上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁と、当該左右の桁間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板及び蹴込板とを備えた階段であって、下段の踏板の上面に設けられた蹴込板下端側被取付部と、上段の踏板の下面よりも下方に位置するように前記左右の桁に取付けられた蹴込板上端側被取付部とを備え、前記蹴込板の下端側が前記蹴込板下端側被取付部に取付けられたとともに、当該蹴込板の上端側が前記蹴込板上端側被取付部に取付けられたことを特徴とするので、踏板を固定した状態であっても蹴込板の取付けを確実に行える構造を備えた階段を提供できる。
また、上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右の桁と、当該左右の桁間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板及び蹴込板とを備えた階段であって、下段の踏板の上面に設けられた蹴込板下端側被取付部と、上段の踏板の下面よりも下方に位置するように前記左右の桁に設けられた踏板被取付部に取付けられた蹴込板上端側被取付部とを備え、前記蹴込板の下端側が前記蹴込板下端側被取付部に取付けられたとともに、当該蹴込板の上端側が前記蹴込板上端側被取付部に取付けられたことを特徴とするので、踏板を固定した状態であっても蹴込板の取付けを確実に行える構造を備えた階段を提供できるとともに、前後方向に長い踏板被取付部を使用することができて、踏板の左右側の少なくとも前後の2箇所を踏板被取付部に固定する必要がある仕様に対応できるようになる。
蹴込板上端側被取付部は、前記上段の踏板の前端側の下面の下側において、前記左右の桁間に亘って延在するように設けられたので、蹴込板の上端側の取付けを確実に行えるようになる。
また、蹴込板上端側被取付部は、前記上段の踏板の前端側の下面を支持する踏板支持部として機能するように構成されたので、品質の向上、及び、コスト低減が図れるようになった。
また、蹴込板下端側被取付部は、前記下段の踏板の上面の後端縁側において左右端に亘って連続するように形成されて蹴込板の下端側が係合する係合溝により構成されたので、踏板を固定した状態であっても蹴込板の取付けを簡単かつ確実に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】階段の構成を示す分解斜視図(実施形態1)。
【
図3】蹴込板上端側被取付部を示す斜視図(実施形態1)。
【
図6】階段の構成を示す分解斜視図(実施形態2)。
【
図7】蹴込板上端側被取付部を示す斜視図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
図1乃至
図5に示すように、実施形態1に係る階段1は、上下方向に傾斜して延長するように設けられた左右のササラ桁(桁)2,2と、当該左右のササラ桁2,2間に上下斜め方向に連続するように設けられた複数の踏板5及び蹴込板6とを備えた階段、即ち、
左右のササラ桁2,2間に上下傾斜方向に沿って所定の間隔を隔てて1段毎に踏板5,5…が設置されて、上下の踏板5,5の間に蹴込板6が設置されて構成される階段である。
そして、実施形態1に係る階段1によれば、下段の踏板5の上面に設けられた蹴込板下端側被取付部3と、上段の踏板5の下面よりも下方に位置するように左右のササラ桁2,2に取付けられた蹴込板上端側被取付部4とを備え、蹴込板6の下端6e側が蹴込板下端側被取付部3に取付けられたとともに、当該蹴込板6の上端6t側が蹴込板上端側被取付部4に取付けられた構成とした。
当該階段1は、例えば屋外用の階段である。
尚、本明細書において、上、下、左、右、前、後は、各図に示した方向と定義して説明する。
また、
図5は
図4のA-A断面図であるが、断面部分のハッチングは省略した。
【0009】
図1に示すように、ササラ桁2は、例えば図外の基礎から垂直方向に立ち上がった後に上方向に傾斜して延長するように形成された側面板2aと、側面板2aの前端縁から横方向に延長するように設けられた前面板2bと、側面板2aの後端縁から横方向に延長するように設けられた後面板2cとを備えて構成される。
左のササラ桁2は、前面板2b及び後面板2cが左方向に延長するように形成されており、右のササラ桁2は、前面板2b及び後面板2cが右方向に延長するように形成されている。
【0010】
各段の踏板5,5…は、例えば
図2に示すように、矩形板状に形成された成形セメント板51の左右の端面に亘って連続する中空部52が、当該成形セメント板51の前後方向に沿って所定の間隔を隔てて複数設けられた構成のものを用いることが好ましい。
【0011】
蹴込板6は、下段の踏板5の上面5aと上段の踏板5の下面5bと左右のササラ桁2,2の内面2u,2uとで囲まれた矩形開口空間に対応する大きさに形成された矩形の鋼板等の板材により構成される。
【0012】
蹴込板下端側被取付部3は、例えば
図2に示すように、踏板5の上面5aの後端縁5r側において踏板5の左右端間に亘って連続して延在するように設けられた蹴込板下端側係合溝3Aにより形成され、当該蹴込板下端側係合溝3Aに蹴込板6の下端6e側が係合するように取付けられる。
【0013】
図5に示すように、踏板5が取付けられる踏板被取付部50は、左右のササラ桁2,2の側面板2a,2aにおいて互いに対向する面であるササラ桁2の内面2u,2uに設置されてボルト及びナット等の固定手段F1によって側面板2a,2aに固定される。
当該踏板被取付部50は、ササラ桁2の内面2uにおいて前後方向に延長するように設置される部材であって、例えば、ササラ桁2の内面2uに設置されて固定手段F1によりササラ桁2の側面板2aに固定される縦板50aと、踏板5が載置されて固定される横板50bとを備えた断面L字状の所謂アングル材により構成される。
即ち、踏板被取付部50は、縦板50aが固定手段F1によりササラ桁2の側面板2aに固定されて、縦板50aの上端より延長する横板50bの上板面がササラ桁2の内面2uと直交して前後方向に延長する水平な踏板載置面を形成するように構成される。
【0014】
蹴込板上端側被取付部4は、例えば
図4に示すように、上段の踏板5の下面5bよりも下方に位置するように、左右のササラ桁2,2間に亘って連続して延在するように構成された部材である。
蹴込板上端側被取付部4は、例えば
図3に示すように、長尺部4Aと、当該長尺部4Aの左右端に設けられた取付部4Bとを備えて構成される。
長尺部4Aは、左右のササラ桁2,2間の長さに対応した長さに形成された横板41と横板41の前端縁より下方に延長する縦板42とで構成された断面L字状の長尺材である所謂アングル材により構成される。
取付部4Bは、長尺部4Aを構成する当該アングル材の左右の両端に設けられて左右のササラ桁2,2の内面2u,2uと対向する面を備えた取付板43,43により構成される。
当該取付板43は、ササラ桁2の内面2uに設置されてボルト及びナット等の固定手段F3(
図4,
図5参照)によりササラ桁2の側面板2aに固定される例えば四角平板により形成される。
尚、取付板43には、固定手段F3を通すための通し孔Bhが形成されている。
【0015】
蹴込板上端側被取付部4は、取付板43が、踏板被取付部50よりも前方の位置に配置される。
そして、蹴込板上端側被取付部4は、取付板43が、固定手段F3によりササラ桁2に固定されて、蹴込板上端側被取付部4の横板41の上板面がササラ桁2の内面2uと直交して当該蹴込板上端側被取付部4の横板41の上板面と踏板被取付部50の横板50bの上板面とが同一水平面上に位置されて水平な踏板載置面を形成し、かつ、蹴込板上端側被取付部4の縦板42の前板面42fと下段の踏板5の蹴込板下端側係合溝3Aの後溝縁とが同一垂直面上に位置されるように構成される。
つまり、縦板42の前板面42fは垂直面に形成され、当該縦板42が、蹴込板6の上端6t側をドリルねじ等の固定手段F4を用いて取付けるための被取付板として機能するように構成される。
尚、蹴込板6及び縦板42には、固定手段F4を通すための下穴hを形成しておくことが好ましい。
【0016】
図5に示すように、踏板5は、踏板5の下面5bが、踏板被取付部50の横板50bの上板面と蹴込板上端側被取付部4の横板41の上板面とで形成された水平な踏板載置面に例えばパッキンP等の緩衝板を介して載置され、固定手段F2により踏板被取付部50の横板50bに固定される。
固定手段F2は、例えば、成形セメント板51に形成された中空部52の1つ以上に設置された板ナット53と、踏板被取付部50の横板50b及び当該横板50bの上面に敷設されたパッキンP等の緩衝板に形成されたボルト通し孔、及び、セメント板51の下面と中空部52とに到達するように形成されたボルト通し孔を貫通して、板ナット53に螺着されたボルト54とで構成される。
つまり、ササラ桁2の側面板2aに取付けられた踏板被取付部50の横板50bの下側からボルト通し孔に挿通されたボルト54が板ナット53に螺着されることで、踏板5が踏板被取付部50の横板50bに固定される。
【0017】
そして、蹴込板6の下端6e側が蹴込板下端側係合溝3Aに挿入された後に、蹴込板6の上端6t側の後板面6rと蹴込板上端側被取付部4の縦板42の前板面42fとが接触した状態でドリルねじなどの固定手段F4により蹴込板6の上端6t側が縦板42に取付けられることで、蹴込板6の取付が完了する。
このように、蹴込板6の下端6e側が蹴込板下端側係合溝3Aに挿入して下端側の位置決めを行った後に、蹴込板6の上端6t側を縦板42に取付けるので、踏板5を固定した状態であっても蹴込板6の取付けを簡単かつ確実に行えるようになった。
また、蹴込板上端側被取付部4は、上段の踏板5の前端5f側の下面5bの下側において、左右のササラ桁2,2間に亘って延在するように設けられたので、蹴込板6の上端側の取付けを確実に行えるようになった。
尚、
図1においては、蹴込板6の上端6t側の左右端側のみを固定手段F4により縦板42に取付ける形態を図示しているが、蹴込板上端側被取付部4は、左右のササラ桁2,2間に亘って延在するように設けられているので、蹴込板6の上端6t側の中央側も固定手段F4により縦板42に取付ける構成とすることが可能となり、蹴込板6の上端6t側の取付けを確実に行えるようになる。
【0018】
また、蹴込板上端側被取付部4の横板41の上板面により形成された踏板載置面には、例えばパッキンP等の緩衝板を介して踏板5の前端5f側の下面5bが載置されるので、左右のササラ桁2,2間に亘って延在するように設けられた横板41と縦板42とを備えた断面L字状の蹴込板上端側被取付部4が、上段の踏板5の前端5f側の下面5bを支持して踏板5を補強する踏板補強板として機能するように構成される。
従来、成形セメント板により形成された踏板を構成する場合、1つ以上の中空部52に鋼管(パイプ)等の補強材を設置することにより、踏板5の強度を補強する場合があった(特許文献1参照)。
しかしながら、鋼管等の補強材を用いて踏板を構成する場合、鋼管からの錆の発生による品質低下や、踏板5のコストアップ等の問題があった。
実施形態1によれば、上段の踏板5の前端5f側の下面5bを支持する踏板補強板として機能する蹴込板上端側被取付部4を用いたことにより、中空部52に、鋼管等の補強材を設置して踏板5を補強しなくても、踏板5を補強できるようになるため、構成を簡単にできるとともに、鋼管等の補強材を用いることによる錆の発生の問題を解消できるようになり、品質の向上、コスト低減が図れるようになった。
【0019】
実施形態1に係る階段1の施工は、例えば以下の手順で行う。
(1)先に施工されている図外の踊り場や廊下等の桁に左右のササラ桁2,2の上端側を取付けるとともに、左右のササラ桁2,2の下端側を図外のアンカーボルト等を用いて図外の基礎コンクリート等に固定する。
(2)各段の踏板5,5…を取付けるための踏板被取付部50,50…を固定手段F1で左右のササラ桁2,2に取付けるとともに、各段の踏板被取付部50の前方側にそれぞれ蹴込板上端側被取付部4,4…を配置して、当該蹴込板上端側被取付部4,4…を固定手段F3でササラ桁2,2に固定する。
(3)踏板5の左右側の下面5bをパッキンP等を介して踏板被取付部50の横板50bの踏板載置面に載置するとともに、踏板5の前側の下面5bをパッキンP等を介して蹴込板上端側被取付部4の横板41の踏板載置面に載置して、踏板5と踏板被取付部50の横板50bとを固定手段F2で固定する。
(4)下段の踏板5の後端縁5r側の上面5aに左右端間に亘って形成された蹴込板下端側係合溝3Aに蹴込板6の下端6e側を挿入するとともに、蹴込板6の上端6t側の後板面6rを蹴込板上端側被取付部4の縦板42の前板面42fに接触させた状態で蹴込板6の上端6t側と蹴込板上端側被取付部4の縦板42とを固定手段F4で固定する。
【0020】
実施形態1に係る階段1によれば、踏板5を固定した状態であっても蹴込板6の取付けを確実に行える構造を備えた階段を提供できるようになった。
また、固定手段F4を着脱することにより、蹴込板6の着脱が可能となるので、蹴込板6の取付作業や、蹴込板6の交換時等の着脱作業を容易に行えるようになった。
尚、踏板5の補強材として鋼管を用いた場合、鋼管は踏板内部に配置してあるため、鋼管の交換などのメンテナンスができなかったり、鋼管に錆が発生して、鋼管の交換が必要かどうかの確認ができない等の課題があった。
一方、実施形態1に係る階段1によれば、上段の踏板5の前端5f側の下面5bを支持して補強する踏板補強板として機能するように構成された蹴込板上端側被取付部4を用いたことで、鋼管等の補強材を用いずに踏板5を補強できるようになるため、鋼管を用いた場合の上述した課題を解消できるとともに、品質の向上、コスト低減が図れる。
【0021】
実施形態2
実施形態2に係る階段を、
図6乃至
図9に基づいて説明する。
尚、
図6乃至
図9において
図1乃至
図5の実施形態1と同一部分は同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
また、
図9は
図8のA-A断面図であるが、断面部分のハッチングは省略した。
実施形態1では、左右のササラ桁2,2に取付けられた蹴込板上端側被取付部4を用いた場合を例示したが、実施形態2では、
図6乃至
図9に示すように、左右の取付部43,43が、左右のササラ桁2,2に設けられた踏板被取付部50A,50Aに取付けられた蹴込板上端側被取付部4Xを用いるようにした。
即ち、実施形態2では、左右の取付部43,43が左右のササラ桁2,2に取付けられた構成ではなく、左右の取付部43X,43Xが、左右のササラ桁2,2に取付けられた左右の踏板被取付部50A,50Aを介して左右のササラ桁2,2に取付けられるように構成された蹴込板上端側被取付部4Xを用いるようにした。
【0022】
図6に示すように、踏板被取付部50Aは、ササラ桁2の内面2uにおいて前後方向に延長するように設置される部材であって、例えば、固定手段F1によりササラ桁2の側面板2aに固定される縦板50aと、踏板5が載置されて固定される横板50bとを備えた断面L字状の所謂アングル材に、蹴込板上端側被取付部4Xの取付部43Xを取付けるための被取付部としての被取付板50cを備えた構成とした。
即ち、実施形態2では、蹴込板上端側被取付部4Xの取付部43Xが取付けられる被取付部としての被取付板50cを、踏板被取付部50Aに設けた構成としたものである。
被取付板50cは、縦板50aの前端側より縦板50aの板面と直交する板面を有した縦板により形成される。
踏板被取付部50Aは、縦板50aが固定手段F1によりササラ桁2の側面板2aに固定されて、例えば横板50bの上板面がササラ桁2の内面2uと直交して前後方向に延長する水平な踏板載置面を形成し、かつ、被取付板50cの前板面が垂直な被取付面を形成するように構成される。
【0023】
蹴込板上端側被取付部4Xは、ササラ桁2,2間に亘って連続する長さに形成された縦板42Xと当該縦板42Xの上端縁より後方に延長する横板41Xとで構成された断面L字状の長尺材である所謂アングル材により構成される。
尚、蹴込板上端側被取付部4Xは、縦板42の左右の両端部が取付部43X,43Xとして機能し、当該取付部43Xの上端縁から後方に延長する横板41Xの部分が除去された除去部dに形成されている。
即ち、蹴込板上端側被取付部4Xの横板41Xの左右の端部側の下板面を被取付板50cの上端縁50dに載置して取付部43Xの後板面と被取付板50cの前板面とが接触するように、取付部43Xがねじ等の固定手段F4Xにより被取付板50cに取付けられた場合、除去部dに踏板被取付部50Aの横板50bが入り込むとともに、横板41Xの上板面が踏板被取付部50Aの横板50bの上板面と同一水平面上に位置されるように構成される。
【0024】
例えば、準耐火仕様と呼ばれる仕様における踏板5の固定形態としては、踏板5の左右側において、少なくとも前後の2箇所を上述した固定手段F2で踏板被取付部50Aの横板50bに固定する必要がある。
この場合、実施形態1のように、左右のササラ桁2,2に固定するような蹴込板上端側被取付部4を用いた場合、蹴込板上端側被取付部4の取付部43,43を設置する位置に踏板被取付部50Aの縦板50aの前端側が位置されるため、蹴込板上端側被取付部4の取付部43,43をササラ桁2,2に取付けることが困難となる。
そこで、実施形態2では、前後方向に長い寸法に形成された踏板被取付部50Aを使用するようにして、踏板5の左右側の少なくとも前後の2箇所を踏板被取付部50Aの横板50bに固定できるように構成した。
そして、踏板被取付部50Aに蹴込板上端側被取付部4Xの取付部43Xが取付けられる被取付部としての被取付板50cを設けたことにより、当該被取付板50cに、蹴込板上端側被取付部4Xの取付部43Xをねじ等の固定手段F4Xで取付けるように構成したものである。
【0025】
実施形態2においては、左右のササラ桁2,2に、各段の踏板5を取付けるための踏板被取付部50A,50A…を取付けた後、踏板5の左右側の下面を踏板被取付部50の横板50bの上板面にパッキンP等を介して載置して、踏板5と踏板被取付部50の横板50bとを固定手段F2で固定する。この場合、
図9に示すように、踏板5と踏板被取付部50とを前後2箇所で固定手段F2により固定する。
次に、各段の踏板被取付部50の前方側にそれぞれ蹴込板上端側被取付部4X,4X…を設置する(
図9参照)。
即ち、蹴込板上端側被取付部4Xの横板41Xを、踏板被取付部50Aに取付けられた踏板5の下面5bと左右の被取付板50cの上端縁50d,50dとの間に挿入して、取付部43Xの後板面と被取付板50cの前板面とが接触するように設置することで、除去部dに踏板被取付部50Aの横板50bが入り込むとともに、横板41Xの上板面と踏板被取付部50Aの横板50bの上板面とが同一水平面上に位置されるように蹴込板上端側被取付部4Xを設置する。尚、この場合、予め横板41Xの上板面にパッキンP等を取付けておくことが好ましい。
その後、下段の踏板5の後端縁5r側の上面5aに左右端間に亘って形成された蹴込板下端側係合溝3Aに蹴込板6の下端6e側を挿入するとともに、蹴込板6の上端6t側の後板面を蹴込板上端側被取付部4Xの縦板42Xの前板面に接触させた状態に設定して、蹴込板6の上端6t側と蹴込板上端側被取付部4Xの縦板42Xと踏板被取付部50の被取付板50cとを固定手段F4で固定する。
【0026】
尚、蹴込板上端側被取付部4Xの縦板42Xを踏板被取付部50の被取付板50cにねじ等で取付けた後に、蹴込板6の上端6t側を蹴込板上端側被取付部4Xの縦板42Xにねじ等の固定手段F4で固定するようにしてもよい。
【0027】
実施形態2に係る階段1によれば、実施形態1と同じ効果が得られるとともに、前後方向に長い踏板被取付部50Aを使用することができるようになるため、踏板5の左右側の少なくとも前後の2箇所を踏板被取付部50Aに固定する必要がある仕様(例えば準耐火仕様と呼ばれる仕様)に対応できるようになる。
【0028】
実施形態3
上述した各実施形態では、蹴込板上端側被取付部として、上側の踏板5の下面5bを支持して踏板5を補強する踏板支持部として機能するように構成されたものを例示したが、蹴込板上端側が取付けられる被取付部としての機能を備えていれば、踏板支持部としての機能を備えていなくても構わない。
【0029】
実施形態4
上述した各実施形態では、前記左右のササラ桁2,2間に亘って延在するように設けられた蹴込板上端側被取付部を例示したが、本発明に係る蹴込板上端側被取付部は、左右のササラ桁2,2にそれぞれ別々に取付けられる左右の蹴込板上端側被取付部で構成しても構わない。
【0030】
つまり、本発明の階段において、蹴込板上端側被取付部は、左右のササラ桁2,2間に亘って延在するように設けられて被取付部としての機能を備えた構成、又は、左右のササラ桁2,2側に別々に設けられて被取付部としての機能を備えた左右の蹴込板上端側被取付部を備えた構成であればよい。
即ち、本発明の階段は、踏板5を踏板被取付部に固定した状態であっても蹴込板6の取付けを確実に行える構造を備えた階段であればよいので、蹴込板上端側被取付部は、上段の踏板5の下面5bよりも下方に位置するように左右のササラ桁に取付けられるか、あるいは、上段の踏板5の下面5bよりも下方に位置するように左右のササラ桁2,2に設けられた踏板被取付部50Aに取付けられて、少なくとも蹴込板6の上端6t側が取付けられる被取付部を備えた構成であればよい。
【0031】
また、上記では、蹴込板下端側被取付部3が蹴込板下端側係合溝3Aにより形成された例を示したが、蹴込板下端側被取付部3は、下段の踏板5の上面5aより突出するように設けられた蹴込板下端側被取付部であってもよい。
【0032】
また、本発明において、踏板及び蹴込板の構成、材質等は特に限定されない。
【符号の説明】
【0033】
1 階段
2 ササラ桁(桁)
3 蹴込板下端側被取付部
3A 蹴込板下端側係合溝
4 蹴込板上端側被取付部
5 踏板
5a 踏板の上面
5b 踏板の下面
6 蹴込板
6e 蹴込板の下端
6t 蹴込板の上端
50A 踏板被取付部