IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ FKホールディングス株式会社の特許一覧

特開2024-48780伸縮式シェルター装置、当該装置を用いた建築不用物の処分方法及び建物外壁面用ソーラーパネル設置装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048780
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】伸縮式シェルター装置、当該装置を用いた建築不用物の処分方法及び建物外壁面用ソーラーパネル設置装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20240402BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20240402BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20240402BHJP
   E04B 1/344 20060101ALI20240402BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E04G21/32 A
E04G21/32 C
E04G21/14
H02S20/30 D
E04B1/344 C
E04B1/344 D
E04B1/343 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154869
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】522383241
【氏名又は名称】FKホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真俊
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174CA06
2E174CA11
2E174EA01
(57)【要約】
【課題】
伸長状態の使用時及び縮長状態の非使用時の双方において、安定した自立及び移動が可能であって、しかも落下物を天井屋根部に保持可能とすることで、使用の安全性を高めることである。
【解決手段】
開口を下側にしたコの字形の複数のフレームFがリンク機構Lにより伸縮可能に連結された伸縮フレームユニットFUが、自立可能なシェルターベースVに連結され、前記伸縮フレームユニットFUの伸長状態では、前記シェルターベースVとの間に亘ってシート単体35が伸長展開され、前記伸縮フレームユニットFUの縮長状態では、前記シート単体35は、各シート保持バーBの間に当該シート単体35が垂直方向に二つ折りで水平方向に重ねられた状態で、前記シェルターベースVに収容される構成とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築現場における安全通路、又はイベント開催時における休息・治療場所の確保のため、更には災害対策用の緊急対応施設の実現に使用される伸縮式シェルター装置であって、
開口を下側にしたコの字形の複数のフレームがリンク機構により伸縮可能に連結された伸縮フレームユニットと、
前記伸縮フレームユニットの伸縮方向に沿った一端部が連結保持され、両端に配置された各フレームの上端部に、一対のシート収納レールが前記伸縮フレームユニットの伸縮方向に沿って一体に設けられた自立可能なシェルターベースと、
前記伸縮フレームユニットの伸長状態において、各フレームの両脚体部の上端部の各レールセット部に水平となって着脱可能に支持される一対のシートスライドレールと、
シート単体に対して所定間隔をおいて複数本のシート保持バーが当該シート単体の伸縮方向と直交する幅方向に沿って取付けられて、縮長時には、各シート保持バーの間のシート単体が、垂直方向に二つ折りで折り畳まれて水平方向に重ねられた状態で前記シェルターベースに収容される伸縮シート体と、
を備え、
前記シェルターベースの一対のシート収納レールには、前記伸縮シート体が垂直方向に折り畳まれて収納され、
使用時には、伸長された前記伸縮フレームユニットの各フレームのレールセット部に一対のシートスライドレールが支持された状態で、前記シェルターベースから引き出された伸縮シート体の各支持バーが、当該シートスライドレールに支持されることで、折畳み状態の伸縮シート体は、平面状態に伸長展開されて、伸縮フレームユニット及びシェルターベースの双方の天井部が当該伸縮シート体で覆われ、
非使用時には、前記伸縮フレームユニットが縮長されると共に、伸長展開状態の伸縮シート体のシート単体が、シェルターベース内に垂直方向に折り畳まれた状態で収納されて、当該伸縮フレームユニットから一対のシートスライドレールが取り外される構成であることを特徴とする伸縮式シェルター装置。
【請求項2】
前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースを構成する各フレームの両脚体部の下端部には、キャスターが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮式シェルター装置。
【請求項3】
前記各キャスターの外側には、当該キャスターを設置面から持ち上げた状態で、全体を支持するアウトリガーが装着されていることを特徴とする請求項2に記載の伸縮式シェルター装置。
【請求項4】
前記伸縮フレームユニットを構成する各フレームは、角筒から成る左右一対の脚体部と、水平棹体部の両端に前記各脚体部に挿入可能な挿入体部が設けられた第1水平棹ユニットとから成ると共に、前記シェルターベースは、左右一対で一組となった前後二組の角筒から成る計4本の脚体部が一体化された脚体ベースと、一体化された前後2本の水平棹体部の両端部に、前記脚体ベースの各脚体部に挿入される挿入パイプ部がそれぞれ設けられた第2水平棹ユニットとから成り、
前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの第1及び第2の各水平棹ユニットは、それぞれ水平棹体部の長さのみ異なる複数種類が準備され、当該各水平棹ユニットの交換により、前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの幅が変更可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置。
【請求項5】
前記伸縮シート体は、前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの上端よりも僅かに下方に配置されて、当該伸縮フレームユニット及びシェルターベースの上端における各フレームの水平棹体部には、複数の足場板が着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置。
【請求項6】
伸長された前記伸縮フレームユニット及び前記シェルターベースの両側面及び上面には、複数のソーラーパネル板が装着可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置を用いて建築中又は増改築中の建物から発生する不用物を処分する方法であって、
前記建物の外壁に近接させて、1ないし複数の前記伸縮式シェルター装置を設置し、前記建物内から外部に放てきされて、前記伸縮式シェルター装置の屋根部を形成する前記シート単体又は前記足場板の上に落下された不用物を、そのまま保持して処分することを特徴とする伸縮式シェルター装置を用いた建築不用物の処分方法。
【請求項8】
請求項5に記載の伸縮式シェルター装置を用いて建築中又は増改築中の建物内の不用物を搬出処分する方法であって、
前記建物の外壁に近接させて、1ないし複数の前記伸縮式シェルター装置を設置し、当該伸縮式シェルター装置の複数の足場板で形成された屋根部と、建物の上階との間にバケット式コンベアを設置し、当該バケット式コンベアのバケットに収容された不用物を前記伸縮式シェルター装置の屋根部まで搬送して処分することを特徴とする伸縮式シェルター装置を用いた建築不用物の処分方法。
【請求項9】
建物の外壁面に多数枚のソーラーパネルを設置するための建物外壁面用ソーラーパネル設置装置であって、
パネル取付フレームは、下端部にキャスターが取付けられた複数本の支柱体がリンク機構により伸縮可能に連結された構成であり、
伸長状態の前記パネル取付フレームを構成する複数本の支柱体のうち特定の支柱体の上下端部は、固定金具を介して前記建物の側壁面に連結固定され、
当該パネル取付フレームの前面に縦横両方向に隣接して配置された多数枚のソーラーパネルの各コーナー部は、クランプ具を介して前記支柱体に連結固定された構成であることを特徴とする建物外壁面用ソーラーパネル設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場における安全通路、或いはイベント開催時における休息・治療場所の確保のため、更には災害対策用の緊急対応施設の実現に使用される伸縮式シェルター装置、当該装置を用いた建築不用物の処分方法及び建物外壁面用ソーラーパネル設置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近代建築では、都市型高層住宅等の高層建築物が増加しており、建築現場における居住者又は通行者との接点の増加により、建築作業中においては、作業者の事故或いは落下物による通行者等の事故が増加している。このため建築中又は増改築中の建物の所定高さの部分に、落下物が地上まで落下するのを防止する「アサガオ」と俗称されている防護柵の設置の義務化、或いは建築作業者には、ハーネスと称される安全帯の着用の義務化等が実施され、建築中又は増改築中の建物に関する安全対策が強化されている。
【0003】
この安全対策の一つとして、本発明に係る伸縮構造のシェルター装置がある。この伸縮構造のシェルター装置の主たる用途は、建築現場における安全通路の確保であり、当該用途に用いられるシェルター装置の一つとして、特許文献1に開示のものが知られている。その基本構成は、リンク機構により伸縮可能な複数の門型支持体2が伸縮方向に連結され、各門型支持体2の天井部には、複数の門型支持体2の縮長により鈍角状から鋭角状に変化される屋根10で覆われ、前記門型支持体2を構成する各脚柱2aの下端には、シェルター装置の全体を自走可能にするためのキャスター3がそれぞれ取付けられている。
【0004】
特許文献1のシェルター装置は、伸縮性を優先させた設計であるため、屋根10は、複数の門型支持体2の縮長により鈍角状から鋭角状に、又はその逆に変形する構成であるため、当該屋根10は、シェルター装置の伸長状態においても、山形を保持しているため、当該屋根10に落下した落下物は、当該屋根10に保持されずに、設置面まで落下する恐れがあり、落下物に対する安全性が確保されていない。
【0005】
シェルター装置の伸長及び縮長のいずれの状態においても、当該シェルター装置の全体は、設置面に対して門型支持体2の各脚柱2aの下端の多数のキャスター3により支持される構成であるので、使用時である伸長状態では、何らかの原因で当該シェルター装置に人体又は物体が衝突した場合には、当該シェルター装置自体が容易に移動させられ、設置安定性を欠落していると共に、非使用時の縮長状態では、自走可能ではあるが、隣接するキャスター3の間隔が狭くて、縮長されたシェルター装置の自立を支える支持体が存在しないために、シェルター装置の自立及び走行の各安定性が不十分であるため、転倒の恐れがある。
【0006】
一方、建物の窓枠、手摺り等の各種改修工事を行う場合、その都度足場を設置したり、上記した「アサガオ」と俗称される防護柵を設置することで、作業者及び通行人の双方の安全を図っており、安全性は確保されるが、作業コストを増大化させており、前記足場、防護柵を用いることなく、建築不用物の落下等から安全を図る作業方法の案出が望まれていた。また、建築物の増改築において発生した建築不用物の処理は、作業者が手で持って階段を多数回往復することで、搬出撤去している。特に建築不用物の重量が大きい場合には、その処理は過酷な労働であるのに加えて、作業者の高齢化による人材確保の困難性と相俟って、建築不用物の搬出撤去作業は、益々困難な状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-55382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、伸縮構造のシェルター装置において、伸長状態の使用時及び縮長状態の非使用時の双方において、安定した自立及び移動が可能であって、しかも落下物を天井屋根部に保持可能とすることで、使用の安全性を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建築現場における安全通路、又はイベント開催時における休息・治療場所の確保のため、更には災害対策用の緊急対応施設の実現に使用される伸縮式シェルター装置であって、
開口を下側にしたコの字形の複数のフレームがリンク機構により伸縮可能に連結された伸縮フレームユニットと、
前記伸縮フレームユニットの伸縮方向に沿った一端部が連結保持され、両端に配置された各フレームの上端部に、一対のシート収納レールが前記伸縮フレームユニットの伸縮方向に沿って一体に設けられた自立可能なシェルターベースと、
前記伸縮フレームユニットの伸長状態において、各フレームの両脚体部の上端部の各レールセット部に水平となって着脱可能に支持される一対のシートスライドレールと、
シート単体に対して所定間隔をおいて複数本のシート保持バーが当該シート単体の伸縮方向と直交する幅方向に沿って取付けられて、縮長時には、各シート保持バーの間のシート単体が、垂直方向に二つ折りで折り畳まれて水平方向に重ねられた状態で前記シェルターベースに収容される伸縮シート体と、
を備え、
前記シェルターベースの一対のシート収納レールには、前記伸縮シート体が垂直方向に折り畳まれて収納され、
使用時には、伸長された前記伸縮フレームユニットの各フレームのレールセット部に一対のシートスライドレールが支持された状態で、前記シェルターベースから引き出された伸縮シート体の各保持バーが、当該シートスライドレールに支持されることで、折畳み状態の伸縮シート体は、平面状態に伸長展開されて、伸縮フレームユニット及びシェルターベースの双方の天井部が当該伸縮シート体で覆われ、
非使用時には、前記伸縮フレームユニットが縮長されると共に、伸長展開状態の伸縮シート体のシート単体が、シェルターベース内に垂直方向に折り畳まれた状態で収納されて、当該伸縮フレームユニットから一対のシートスライドレールが取り外される構成であることを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明によれば、シェルター装置の使用時には、伸縮フレームユニットを構成する複数のフレームを伸長させた後に、当該伸縮フレームユニットにおけるシェルターベースと反対側の端部から、各フレームの両脚体部の上端部の各レールセット部に一対のシートスライドレールを挿入することで、各フレームの両脚体部の上端部に一対のシートスライドレールが水平に保持される。この状態で、前記シェルターベースから引き出された伸縮シート体の各保持バーが、当該シートスライドレールに支持されることで、折畳み状態の伸縮シート体のシート単体は、平面状態に伸長展開されて、伸縮フレームユニット及びシェルターベースの双方の天井部が当該伸縮シート体(シート単体)で覆われる。なお、伸縮フレームユニットの伸長状態は、前記シートスライドレールにより保持される。
【0011】
上記した伸長状態のシェルター装置は、その単体を、建築中又は増改築中の建築物における居住者又は通行者の通行頻度の高い部分に、当該建築物に隣接させて設置したり、或いは、その複数を、前記建築物と平行となるように隣接させて連続設置したりして使用される。後者の設置例は、既存の「アサガオ」と称される防護柵と同等以上の機能を果たす。即ち、近時の日本においては、自然災害の原因となる強風や台風が頻発しており、既存の「アサガオ」では、台風等の発生により大量の設備を都度、撤去収納する必要があって、多大な手間と時間を要するのに対して、本発明のシェルター装置によれば、フレームユニットとシートとの双方の伸縮構造によって、設置されているシェルター装置を地上においてワンタッチで収納撤去できると共に、その再設置も撤去と同様にワンタッチで可能となるので、建築業界に対する技術的貢献度は多大である。いずれの設置例においても、シェルター装置を構成する伸縮フレームユニット及びシェルターベースの天井部は、伸長展開された伸縮シート体で覆われているので、建築物からの落下物に対して通行者を保護できる。
【0012】
一方、使用を終えたシェルター装置を撤去するには、伸縮フレームユニットの各フレームを縮長させて、伸長展開状態の伸縮シート体のシート単体をシェルターベース内に、各シート保持ローラの間のシート単体を垂直方向に二つ折りに折り畳んで水平方向に重ね合わせた状態で収納して、当該伸縮フレームユニットから一対のシートスライドレールを取り外すことで、伸縮式シェルター装置はコンパクト化されて、使用現場から移動させることで撤去可能となる。自立可能なシェルターベースに対して縮長された伸縮フレームユニットの奥側の端部がリンク機構を介して連結された構成であるため、縮長時においても横転の恐れがなく、安定して自立可能であるので、取り扱いが容易である。
【0013】
また、伸縮フレームユニットの各フレームに対して一対のシートスライドレールを着脱させることで、伸縮シート体の伸長展開、及び折畳み縮長を行っているので、伸縮シート体を構成するシート単体の伸縮作業を確実、かつ容易に行える。伸縮フレームユニット及びシェルターベースの天井部は、軽量な伸縮シート体で覆う構成であるため、シェルター装置全体の軽量化が図られる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースを構成する各フレームの両脚体部の下端部には、キャスターが装着されていることを特徴としている。
【0015】
請求項2の発明によれば、シェルター装置は、伸長時及び縮長時のいずれにおいても、任意の位置に安定して移動させられる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記各キャスターの外側には、当該キャスターを設置面から持ち上げた状態で、全体を支持するアウトリガーが装着されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3の発明によれば、伸縮フレームユニットが伸長されたシェルター装置の使用時において、各キャスターを設置面から持ち上げた状態で、当該シェルター装置の全体を複数のアウトリガーで支持することで、横転方向への支持力が大幅に高められることで、使用時におけるシェルター装置の支持が安定化する。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記伸縮フレームユニットを構成する各フレームは、角筒から成る左右一対の脚体部と、水平棹体部の両端に前記各脚体部に挿入可能な挿入体部が設けられた第1水平棹ユニットとから成ると共に、前記シェルターベースは、左右一対で一組となった前後二組の角筒から成る計4本の脚体部が一体化された脚体ベースと、一体化された前後2本の水平棹体部の両端部に、前記脚体ベースの各脚体部に挿入される挿入パイプ部がそれぞれ設けられた第2水平棹ユニットとから成り、
前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの第1及び第2の各水平棹ユニットは、それぞれ水平棹体部の長さのみ異なる複数種類が準備され、当該各水平棹ユニットの交換により、前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの幅が変更可能であることを特徴としている。
【0019】
請求項4の発明によれば、伸縮フレームユニット及びシェルターベースのいずれにおいても、水平棹体部の長さのみ異なる複数の第1及び第2の各水平棹ユニットを準備しておいて、当該第1及び第2の各水平棹ユニットのみを交換することで、伸縮フレームユニット及びシェルターベースの幅が変更可能であるので、用途に応じて、伸縮式シェルター装置の幅を変更できる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記伸縮シート体は、前記伸縮フレームユニット及びシェルターベースの上端よりも僅かに下方に配置されて、当該伸縮フレームユニット及びシェルターベースの上端における各フレームの水平棹体部には、複数の足場板が着脱可能に取付けられることを特徴としている。
【0021】
請求項5の発明によれば、シェルター装置の屋根部に足場体が着脱可能に取付けられるので、大きな重量の落下物に対処できると共に、作業者は、当該足場板で構成される屋根部に乗って諸作業を行える。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、伸長された前記伸縮フレームユニット及び前記シェルターベースの両側面及び上面には、複数のソーラーパネル板が装着可能であることを特徴としている。
【0023】
請求項6の発明によれば、例えば、シェルター装置を、イベント開催時における休息・治療場所の確保のため使用する場合には、当該シェルター装置は簡易な建物のように機能するため、その両側部及び天井部にソーラーパネル板を装着することで、発電が可能になることに加え、当該ソーラーパネル板は、側壁板又は天井壁板としても機能して、人が休息又は治療を受ける内部空間は、外部から遮断されることで、快適な空間となる。このように、移動可能なシェルター装置にソーラー設備を設置することで、移動発電所が実現され、EV車への充電、携帯電話への充電、トイレ設備、給水設備等の緊急非常設備への給電が可能となって、災害対策用の緊急対応設備を任意の場所に実現できる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置を用いて建築中又は増改築中の建物から発生する不用物を処分する方法であって、
前記建物の外壁に近接させて、1ないし複数の前記伸縮式シェルター装置を設置し、前記建物内から外部に放てきされて、前記伸縮式シェルター装置の屋根部を形成している前記シート単体又は前記足場板の上に落下された不用物を、そのまま保持して処分することを特徴としている。
【0025】
請求項7の発明によれば、請求項1なしい5のいずれかに記載の伸縮式シェルター装置の屋根部は、シート単体又は複数の足場板で構成され、いずれの場合も平面状となっている。従って、建物の外壁に近接させて、1ないし複数の前記伸縮式シェルター装置を設置しておき、建物の上階の作業者は、作業で発生した建築不用物を下方のシェルター装置を目掛けて放てきすると、当該建築不用物は、シェルター装置の屋根部であるシート単体又は複数の足場板の上に落下して、そのまま保持される。このため、通行人の安全を図ったうえで、建築不用物を迅速に処分できる。
【0026】
請求項8の発明は、請求項5に記載の伸縮式シェルター装置を用いて建築中又は増改築中の建物内の不用物を搬出処分する方法であって、
前記建物の外壁に近接させて、1ないし複数の前記伸縮式シェルター装置を設置し、当該伸縮式シェルター装置の複数の足場板で形成された屋根部と、建物の上階との間にバケット式コンベアを設置し、当該バケット式コンベアのバケットに収容された不用物を前記伸縮式シェルター装置の屋根部まで搬送して処分することを特徴としている。
【0027】
請求項8の発明によれば、請求項5に記載の伸縮式シェルター装置と、当該シェルター装置と建物の上階との間に掛け渡されたバケット式コンベアとの併用により、建物の上階の建築不用物を安全に搬出して処分できる。
【0028】
請求項9の発明は、建物の外壁面に多数枚のソーラーパネルを設置するための建物外壁面用ソーラーパネル設置装置であって、
パネル取付フレームは、下端部にキャスターが取付けられた複数本の支柱体がリンク機構により伸縮可能に連結された構成であり、
伸長状態の前記パネル取付フレームを構成する複数本の支柱体のうち特定の支柱体の上下端部は、固定金具を介して前記建物の側壁面に連結固定され、
当該パネル取付フレームの前面に縦横両方向に隣接して配置された多数枚のソーラーパネルの各コーナー部は、クランプ具を介して前記支柱体に連結固定された構成であることを特徴としている。
【0029】
請求項9の発明によれば、パネル取付フレームは、ソーラーパネルの設置部である建物の部分までは縮長状態で搬入させ、当該パネル取付フレームを伸長させた状態で、複数本の支柱体のうち特定の支柱体の上下端部を固定金具を介して建物の外壁面に固定する。この状態で、伸長されたパネル取付フレームの前面に多数枚のソーラーパネルを縦横両方向に隣接配置させて、各ソーラーパネルのコーナー部をクランプ具を介して前記支柱体に連結固定させることで、建物の外壁面に多数枚のソーラーパネルを簡単に設置できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る伸縮式シェルター装置は、伸縮フレームユニットを構成する複数のフレームを伸長させた後に、当該伸縮フレームユニットにおけるシェルターベースの反対側の端部から、各フレームの両脚体部の上端部の各レールセット部に一対のシートスライドレールを挿入することで、各フレームの両脚体部の上端部に一対のシートスライドレールが水平に保持され、この状態で、前記シェルターベースから引き出された伸縮シート体の各保持バーが、当該シートスライドレールに支持されることで、折畳み状態の伸縮シート体のシート単体は、平面状態に伸長展開されて、伸縮フレームユニット及びシェルターベースの双方の天井部が当該伸縮シート体で覆われる構成であるので、既存の「アサガオ」と称される防護柵と同等の機能を果し、建築中又は増改築中の建築物の必要箇所に設置することで、天井部に平面状に配置された伸縮シート体により、建築物からの落下物に対して通行者を保護できる。
【0031】
また、使用を終えたシェルター装置を撤去するには、伸縮フレームユニットの各フレームを縮長させて、伸長展開状態の伸縮シート体をシェルターベース内に、複数箇所で垂直方向に二重に折り畳まれた状態で収納し、当該伸縮フレームユニットから一対のシートスライドレールを取り外すことで、コンパクト化されて、使用現場から移動させることで撤去可能となる。自立可能なシェルターベースに対して縮長された伸縮フレームユニットの一端部が連結された構成であるため、縮長時においても横転の恐れがなく安定して自立可能である。
【0032】
本発明に係る伸縮式シェルター装置を用いた建築不用物の処分方法によれば、通行人の安全を確保した上で、伸縮式シェルター装置の屋根部を構成するシート単体又は複数枚の足場板の上に建物不用物を落下収容又は搬送収容して処分できる。
【0033】
本発明に係る建物外壁面用ソーラーパネル設置装置によれば、縮長状態で作業現場に搬入されたパネル取付フレームを伸長させて、建物の外壁面に固定して、その前面に多数枚のソーラーパネルを縦横に隣接して配置することで、建物外壁面にソーラーパネルを簡単に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】(a)~(d)は、伸縮フレームユニットFU及び伸縮シート体Sの双方を伸長させて、伸縮式シェルター装置SDを使用可能な状態に組み立てる順序を示す側面概略図である。
図2】伸縮フレームユニットFU及び伸縮シート体Sの双方が縮長されて折り畳まれた非使用状態の伸縮式シェルター装置SDの斜視図である。
図3】伸縮フレームユニットFUが伸長されて、各フレームFのレール受部21に一対のシートスライドレールR1 をセットする前の状態の伸縮式シェルター装置SDの斜視図である。
図4】各フレームFのレール受部21に一対のシートスライドレールR1 がセットされた状態の伸縮式シェルター装置SDの斜視図である。
図5】シェルターベースVに垂直方向に折畳み状態で収納されている伸縮シート体Sのシート単体35を伸長展開させて、天井部が当該シート単体35で覆われて、各フレームFの両脚体部1がアウトリガーGで支持された状態の伸縮式シェルター装置SDの斜視図である。
図6】伸縮フレームユニットFUを構成する複数のフレームFがリンク機構Lにより縮長された状態の部分斜視図である。
図7】同じく伸長された状態の部分斜視図である。
図8】伸縮フレームユニットFUを構成する複数のフレームFを連結して伸縮させるリンク機構Lの部分正面図である。
図9】伸長された伸縮フレームユニットFUに対してシートスライドレールR1 をセットする状態を示す伸縮式シェルター装置SDの部分斜視図である。
図10】同様の状態の部分拡大斜視図である。
図11】伸長された伸縮フレームユニットFUのフレームFの両脚体部1のレール受部21にシートスライドレールR1 がセットされた状態の部分斜視図である。
図12】同様の状態の縦断面図である。
図13】フレームFを構成する一対の脚体部1に対して第1水平棹ユニットRU1 を着脱する構造を示す斜視図である。
図14】(a)は、アウトリガーGの平面図であり、(b),(c)は、それぞれ伸長された伸縮フレームユニットFUのフレームFの両脚体部1の下端部にアウトリガーGをセットする前後の正面図である。
図15】伸長された伸縮フレームユニットFUにセットされた左右一対のシートスライドレールR1 に対して伸縮シート体Sのシート単体35が平面状に伸長展開された状態の部分斜視図である。
図16】シェルターベースVのシート収納レールR2 に伸縮シート体Sのシート単体35が垂直方向に折り畳まれて収納された状態の部分斜視図である。
図17】(a),(b)は、それぞれシェルターベースVに収納された伸縮シート体Sのシート単体35を引き出す前後の側面図である。
図18】(a),(b)は、それぞれ建築中又は増改築中の建物Hに対して伸縮式シェルター装置SDをスボット的に及び連続的に設置した斜視図である。
図19】屋根部に多数枚の足場板N1 ,N2 が敷設された伸縮式シェルター装置SDの斜視図である。
図20】第1水平棹ユニットRU1 よりも広幅の第1水平棹ユニットRU2 を用いたフレームFの正面図である。
図21】第1水平棹ユニットRU1 よりも狭幅の第1水平棹ユニットRU3 を用いたフレームFの正面図である。
図22】本発明に係る建築不用物Dの処分方法を示す側面図である。
図23】本発明に係る建築不用物Dの別の処分方法を示す側面図である。
図24】(a)は、上面及び両側面にソーラーパネルPが取付けられた伸縮式シェルター装置SDの斜視図であり、(b)は、フレームFの第1水平棹体部3に対してソーラーパネルPが取付けられた状態を斜下方から見た部分斜視図である。
図25】第1水平棹体部3に対するソーラーパネルPの連結状態の断面図である。
図26】(a),(b)は、それぞれパネル取付フレームEの縮長状態及び伸長状態の正面図である。
図27】(a)は、パネル取付フレームEに対するソーラーパネルPの配置を示す正面図であり、(b)は、パネル取付フレームEを使用して建物Hの外壁面にソーラーパネルPを設置した状態の斜視図である。
図28】建物Hの外壁面に対するソーラーパネルPの取付状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。最初に、図1図5を参照して、本発明の実施例の伸縮式シェルター装置SDの全体構成について説明し、その後に、当該伸縮式シェルター装置SDを構成する各部分について詳細に説明する。伸縮式シェルター装置SDは、開口を下側にしたコの字形の複数のフレームFが連結リンク機構Lにより伸縮可能に連結された伸縮フレームユニットFUと、当該伸縮フレームユニットFUの伸縮方向に沿った一端部が連結され、両端に配置された各フレームFの一対の脚体部1の上端部に、一対のシート収納レールR2 が前記伸縮フレームユニットFUの伸縮方向に沿って一体に配置されたシェルターベースVと、前記伸縮フレームユニットFUの伸長状態において、各フレームFの一対の脚体部1の上端部の各レール受部21に水平を保持して着脱可能に支持される一対のシートスライドレールR1 と、シート単体35に対して所定間隔をおいて複数本のシート保持バーBが当該シート単体35の伸縮方向と直交する方向に幅方向に沿って取付けられて、縮長時には、各シート保持バーBの間のシート単体35がそれぞれ二つ折りとなって垂れ下がって折り畳まれることで、折り畳まれたシート単体35が水平方向に重ね合わせて、前記シェルターベースVに収納される伸縮シート体Sとを備えている。シート単体35の材料としては、建築中又は増改築中の建物から落下する建築不用物Dを受容できる張り強度を有していることが必要であって、例えば、トラックの荷台の幌に用いられるポリエステル帆布等が挙げられる。
【0036】
伸縮フレームユニットFUは、図1図8に示されるように、開口を下側にしたコの字形の複数のフレームFの両側の各脚体部1が、一対のリンク片2が交差連結されたリンク機構Lを介して伸縮可能に連結された構成である。図10図12に示されるように、伸縮式シェルター装置SDは、長さが同一で幅の異なる形態のものを実現可能なように、共通の各脚体部1に対して幅の異なる第1水平棹ユニットRU1 (RU2 ,RU3 )〔第1水平棹ユニットRU2 ,RU3 は、それぞれ図20及び図21に図示されている〕が連結可能になっている。第1水平棹ユニットRU1 は、直状の円形パイプ体の両端を直角に屈曲形成することで、第1水平棹体部3の両端部に、前記各脚体部1に下端部が挿入される各挿入パイプ部4が形成され、図13に示されるように、各脚体部1に各挿入パイプ部4の下端部が挿入された状態で、挿入パイプ部4の中間部及び脚体部1の上端部にそれぞれ設けられた各連結ブラケット5,6が連結ボルト7及び連結ナット8を介して連結されることで、共通の左右一対の各脚体部1に対して幅の異なる第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 が組付け可能となる。角筒で形成された第2水平棹体部11の両端部は、第1水平棹ユニットRU1 の各挿入パイプ部4の内側に溶接等により固着されている。なお、相上下する第1及び第2の各水平棹体部3,11の間は、水平方向に沿って所定間隔をおいた複数の垂直補強柱部12で連結された構造とすることで、第1及び第2の各水平棹体部3,11と各挿入パイプ部4との形成される枠体部の剛性を高めている。
【0037】
前記連結リンク機構Lは、図6図8に示されるように、フレームFを構成する角筒状の各脚体部1の外側面に、各リンク片2の両端部を回動可能に連結する第1及び第2の各リンク片端連結体13,14が一体に設けられている。第1リンク片端連結体13は、脚体部1の中央よりも下方に配置されて、リンク片2の下端部がスライド不能な状態で第1連結ピン15を介して回動可能に連結されると共に、第2リンク片端連結体14は、脚体部1の上端部に配置されて、リンク片2の上端部がスライド可能な状態で第2連結ピン16を介して回動可能に連結される。リンク機構Lを構成する一対のリンク片2の中央部は、第3連結ピン17を介して連結されている。伸縮フレームユニットFUを構成する複数のフレームFのうち最も奥側のフレームFは、シェルターベースVの前側のフレームFを兼用している。複数のリンク機構Lのうち、伸縮フレームユニットFUの伸縮方向に沿った両端のリンク機構Lを構成する一対のリンク片2の外側のリンク連結部を除く残りの全てのリンク片連結部は、隣接する異なるリンク機構Lの各リンク片2が重なった状態でピン連結されている。
【0038】
次に、図9図13を参照して、シートスライドレールR1 及び伸長された伸縮式シェルター装置SDに前記シートスライドレールR1 を着脱可能に支持する構造について説明する。シートスライドレールR1 は、前記シェルターベースVに、複数箇所で垂直方向に折り畳まれて水平方向に重ねられた状態で収納されている伸縮シート体Sを引き出して、当該伸縮シート体Sを構成するシート保持バーBの両端部を支持することで、折畳み状態の伸縮シート体Sを、伸長状態の伸縮フレームユニットFUの天井部を覆うための部材である。シートスライドレールR1 は、伸長状態の伸縮フレームユニットFUの対応する長さを有する直線ロッド状の部材であって、フレームFを構成する各脚体部1の上端部の内側に固着されたフック状のレール受部21に、部分的にセット支持される角筒状のセット基部22と、当該セット基部22の上面に一体に固着されて、前記シート保持バーBの両端のローラ23を収容支持するためのローラ支持部24とから成る。ローラ支持部24は、ローラ23のみを収容保持した状態で、シート保持バーBの両端部を支持可能とするために、角筒の内側が欠落された形状となっている。伸長状態の伸縮式シェルター装置SDの各フレームFの各レール受部21にシートスライドレールR1 がセットされた状態で、当該シートスライドレールR1 の手前側の端部は、そのローラ支持部24が、第2水平棹体部11のナット体25に螺着されたレール固定ボルト26により上方から押し付けられることで、長手方向の移動が防止されている(図11参照)。換言すると、図4及び図5に示されるように、伸縮フレームユニットFUが伸長された状態で、各フレームFのレール受部21にセットされて、前記レール固定ボルト26により手前側の端部がフレームFに固定されることで、前記伸縮フレームユニットFUの伸長状態が保持される。
【0039】
シェルターベースVは、図1図5に示されるように、自身の手前側のフレームFと、伸縮フレームユニットFUの最も奥側のフレームFとが共用されることで、当該伸縮フレームユニットFUと前記リンク機構Lを介して連結された構造である。シェルターベースVは、前記伸縮フレームユニットFUと異なり、伸縮はしないが、当該伸縮フレームユニットFUと同様に、その伸縮方向に沿った長さ寸法を一定にして、幅寸法を変更可能な構造になっており、脚体部1並びに第1及び第2の水平棹体部3,11は、前記伸縮フレームユニットFUを構成するものと同一であるので、同一符号を使用する。
【0040】
即ち、シェルターベースVは、左右一対で一組となった前後二組の角筒からなる計4本の脚体部1が複数の第1水平補強棹部34aで連結された脚体ベース30と、当該脚体ベース30の各脚体部1に挿入される計4本の挿入パイプ部4を備えていて、当該計4本の挿入パイプ部4を介して前記脚体ベース30の上部に組み付けられる第2水平棹ユニットRU11とから成る。第2水平棹ユニットRU11は、伸縮フレームユニットFUの第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 と同様に、前後一組であって計4本の第1及び第2の各水平棹体部3,11が複数の第2水平補強棹部34bで一体に連結されて、上方に配置された各第1水平棹体部3の両端に挿入パイプ部4が下方に向けて設けられた構成である。脚体ベース30の計4本の各脚体部1に、第2水平棹ユニットRU11の計4本の各挿入パイプ部4が挿入されて、一体化させることで、シェルターベースVが形成される。シェルターベースVの脚体ベース30の前後の各脚体部1の上端部の内側における前記伸縮フレームユニットFUに着脱可能に支持されるシートスライドレールR1 と同一高さの位置に、当該シートスライドレールR1 と同一構造のシート収納レールR2 が固定配置されている。シート収納レールR2 の前端の連結フランジ板28は、前側のフレームFに対して所定長だけ突出した位置に配置されている。なお、シート収納レールR2 の両端部は、前記シートスライドレールR1 の手前側の端部と同様に、レール固定ボルト26により前後の各フレームFに固定されている。
【0041】
伸縮フレームユニットFUが幅のみ異なる複数種類の第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 を備えていると同様に、シェルターベースVにおいても、各第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 と同一幅の第2水平棹ユニットRU11を含む複数の第2水平棹ユニットを備えている。なお、シェルターベースVに関しては、伸縮フレームユニットFUの第1水平棹ユニットRU1 に対応する第2水平棹ユニットRU11のみが図示されている。
【0042】
伸長状態の伸縮フレームユニットFUに支持されるシートスライドレールR1 は、シェルターベースVに一体に設けられたシート収納レールR2 に連結されて、一連のレールとなることで、当該シェルターベースVに、複数箇所で垂直方向に折り畳まれて水平方向に重ねられた状態で収納された伸縮シート体Sの引き出しが可能となる。図9図15及び図16に示されるように、シートスライドレールR1 の奥側の端面には、上下方向に沿って一対の連結フランジ板27が設けられていると共に、前記シート収納レールR2 の手前側の端面には、上下方向に沿って一対の連結フランジ板28が設けられ、各レールR1 ,R2 の連結フランジ板27,28を互いに当接させて、連結ボルト31及び連結ナット32で互いに連結することで、各レールR1 ,R2 は、直線状となって連結される。なお、シートスライドレールR1 の手前側の端部、及びシート収納レールR2 の奥側の端部には、それぞれ伸縮シート体Sの手前側及び最も奥側の各シート保持バーBの抜け出しを防止するストッパ板33が設けられている。
【0043】
伸縮シート体Sは、伸縮式シェルター装置SDの平面形状に対応した長方形状のシート単体35に対して当該シート単体35の折畳み方向に沿って一定間隔をおいて複数のシート保持バーBが、前記折畳み方向と直交する幅方向に沿って一体に取付けられて、当該シート保持バーBの両端の各ローラ23が、当該シート単体35の幅方向の両端部から突出して設けられ、各シート保持バーBの両端のローラ23が、シェルターベースVに一体に配置された一対の各シート収納レールR2 に収容保持されることで、シート単体35は、各シート保持バーBのシートが垂直方向に二つ折りにより折り畳まれた状態で、水平方向に重ねられて、当該シェルターベースVに収納される構造である(図12参照)。このため、図4に示されるように、伸長された伸縮フレームユニットFUの両端に着脱可能にセットされた一対のシートスライドレールR1 と、シェルターベースVに一体に配置された一対のシート収納レールR2 とを、各連結フランジ板27,28を介して連結した状態で、シェルターベースVに収納されている伸縮シート体Sを引き出すと、当該伸縮シート体Sを構成する複数のシート保持バーBは、両レールR1 ,R2 を転動することで、折畳み状態のシート単体35は、図5に示されるように、平面状に伸長展開されることで、伸縮式シェルター装置SDの天井部の全体が、伸長展開されたシート単体35で覆われる。なお、シート単体35に対するシート保持バーBの取付けは、当該シート単体35に伸縮方向に沿って一定間隔をおいて複数の中空筒状の保持バー挿入袋部を形成して、当該各保持バー挿入袋部にそれぞれシート保持バーBを挿入して、保持バー挿入袋部の適宜箇所をシート保持バーBに固定することで、シート単体35に対してシート保持バーBが軸方向に移動しない構造にしてある。
【0044】
ここで、シェルターベースVに伸縮シート体Sが折り畳まれて収納された状態では、図16に示されるように、シート収納レールR2 には、最も奥側のシート保持バーBが定位置から前方に移動するのを防止するストッパボルト36aが設けられると共に、シート単体35の折畳み状態において全てのシート保持バーBが、当該シート収納レールR2 から抜け出るのを防止するストッパボルト36bが設けられている。折畳み状態のシート単体35を引き出す際には、前記ストッパボルト36bを取り外して行い、シート単体35を平面状に伸長展開させた後には、図15に示されるように、シートスライドレールR1 の手前側の端部に達した先頭のシート保持バーBの後退を防止するために、シートスライドレールR1 における当該先頭のシート保持バーBの背後にストッパボルト36cを配置する。図15に示されるように、伸縮シート体Sの先頭のシート保持バーBには、その長手方向の中央部に、引き出しを容易にするための一対の引出しフック37が設けられている。なお、各図において、Jは、各連結フランジ板27,28を連結ボルト31及び連結ナット32で連結されたシートスライドレールR1 とシート収納レールR2 との連結部(ジョイント部)を示す。
【0045】
また、図7及び図14に示されるように、伸縮フレームユニットFUを構成する各フレームFの下端部には、キャスター41が取付けられて、伸縮式シェルター装置SDが自走可能になっていると共に、各フレームFの脚体部1の下端部の外側には、ジャッキ構造のアウトリガーGが装着され、伸縮式シェルター装置SDの使用時には、設置面Kに対して各フレームFを上昇させて、各フレームFは、その脚体部1の外側においてアウトリガーGで支持される構造とすることで、設置面Kに対する伸縮式シェルター装置SDの支持を安定化させている。
【0046】
即ち、アウトリガーGは、フレームFの脚体部1の下端部の外側に取付け板42を介して一体に取付けられた雌ねじ筒保持体43と、当該雌ねじ筒保持体43の内部に、下端部が下方に突出した状態で嵌入された雌ねじ筒44に螺合されて、下端部に設置板45と回転ハンドル46とが取付けられた雄ねじ体47とで構成される。従って、伸縮式シェルター装置SDの搬入出及び組立て準備の段階では、図7及び図14(b)に示されるように、アウトリガーGの設置板45は、キャスター41よりも高い位置に配置されており、伸縮式シェルター装置SDの設置位置確定後には、回転ハンドル46が雄ねじ体47の下端面に当接した状態で、当該回転ハンドル46を回転させることで、雌ねじ筒44に対する雄ねじ体47の突出長を長くすることで、設置面に対して設置板45を設置させることで、キャスター41を当該設置板45に対して高い位置に配置させて、図14(c)に示されるように、各フレームFの各脚体部1をアウトリガーGで支持することで、フレームFの支持を安定化させる。なお、図7及び図14において、48は、アウトリガーGの非使用時において、脚体部1に対して雄ねじ体47が下降しないように支持するための吊下チェーンを示す。
【0047】
また、シェルターベースVの脚体ベース30を構成する各脚体部1の下端部にも、同様のアウトリガーGが装着されている。
【0048】
そして、縮長されている伸縮フレームユニットFUを伸長させて、伸縮式シェルター装置SDを使用可能とする作業順序について説明する。本発明に係る伸縮式シェルター装置SDの用途は、後述のように種々存在するが、例えば、図18(a)に示されるように、建築中又は増改築中の建物Hにおける居住者又は関係者の出入りが多い部分に、当該建物Hに近接させて、1台の伸縮式シェルター装置SDを伸長させて「スポット的」に設置する場合について説明する。設置現場に搬入された状態では、図1(a)及び図2に示されるように、伸縮式シェルター装置SDの伸縮フレームユニットFUは縮長されているが、各脚体部1の下端に装着されたキャスター41を利用して、建物Hに近接した設置場所まで移動させて、出入口71を結ぶ方向が建物Hの壁面に対して直交するように配置させる。その後に、図1(b)及び図3に示されるように、縮長されている伸縮フレームユニットFUを引っ張って、折り畳まれたリンク機構Lを開くことで、当該伸縮フレームユニットFUを最大まで伸長させる。図6図7及び図18に示されるように、伸長操作により、リンク機構Lを構成する一対のリンク片2の上端部は、各脚体部1に固定された第2リンク片端連結体14に対して下方にスライドされ、スライド端が規制されていることで、リンク機構Lの最大開角が定められる。なお、縮長状態の伸縮フレームユニットFUは、図2及び図6に示されるように、複数のフレームFのうち手前側と最も奥側の各フレームFに上下して設けられた2本一組となった各嵌合ピン18を、各縮長保持バー19の両端のピン孔(図示せず)に挿入することで、2本の当該縮長保持バー19を介して伸縮フレームユニットFUの縮長状態が保持されている。
【0049】
次に、前記縮長保持バー19を取外して、縮長されている伸縮フレームユニットFUを伸長させ、左右一対のシートスライドレールR1 を、伸長された伸縮フレームユニットFUの各脚体部1の上端部の内側に設けられた各レール受部21に水平にセットして、図16に示されるように、各シートスライドレールR1 の奥側端部の連結フランジ板27と、シェルターベースVの各脚体部1に水平に固定されている各シート収納レールR2 の連結フランジ板28とを、連結ボルト31及び連結ナット32を用いて連結すると、図1(c)及び図4に示されるように、2本の各レールR1 ,R2 は、直線状となって連結される。シートスライドレールR1 の手前側の端部は、図10図12及び図15に示されるように、第2水平棹体部11に固着されたナット体25に螺合されたレール固定ボルト26により上方から押し付けられることで、長手方向への移動が防止されて、伸縮式シェルター装置SDの伸縮フレームユニットFUの伸長状態が保持される。なお、縮長保持バー19は、シェルターベースVの前後の各フレームFに設けられた嵌合ピン18を利用して、当該シェルターベースVに保持させておく。
【0050】
最後に、シェルターベースVに折り畳み状態で収納されている伸縮シート体Sを、伸長された伸縮フレームユニットFUの側に引き出す。即ち、シェルターベースVに設けられたストッパボルト36bを取り外し、伸縮シート体Sを構成する複数のシート保持バーBのうち先頭のシート保持バーBに設けられた一対の引出しフック37を把持して、伸縮シート体Sを引き出すと、シート単体35に対して一定間隔をおいて一体に取付けられている複数本のシート保持バーBは、その両端のローラ23がシート収納レールR2 及びシートスライドレールR1 を転動することで、複数箇所で垂直方向に二重となって折り畳まれていたシート単体35は、徐々に伸長展開されて、先頭のシート保持バーBが、伸縮フレームユニットFUの最も手前側のフレームFに達すると、垂直方向に折り畳まれていたシート単体35は、平面状に伸長展開されて、図1(b)及び図3に示されるように、伸縮フレームユニットFU及びシェルターベースVの双方の天井部の全体が覆われる。なお、シート単体35が最大に伸長された後に、ストッパボルト36cを用いて、先頭のシート保持バーBの後退を阻止しておく。
【0051】
これにより、図18(a)に示されるように、伸長された伸縮式シェルター装置SDは、建築中又は増改築中の建物Hに対して出入口71を結ぶ方向が当該建物Hの壁面に対して直交するようにして、当該建物Hに近接して配置され、居住者又は通行者は、伸長された伸縮式シェルター装置SDを通して当該建物Hに出入りすることで、建築中の落下物が伸縮式シェルター装置SDに対して落下した場合でも、その天井部全体を覆う伸長されたシート単体35の上に落下物が落下保持されるので、居住者又は通行者の出入りの安全が図られる。
【0052】
一方、建物Hの建築又は増改築が終了して、伸長された伸縮式シェルター装置SDを撤去するには、上記の逆の順序で各作業を行えばよい。簡潔に述べると、伸縮シート体Sの各シート保持バーBを転動させて、全てのシート保持バーBを、シェルターベースVの一対のシート収納レールR2 上に移動させると、平面状に伸長されていたシート単体35は、垂直方向に折り畳まれることで、水平方向に重ねられて、シェルターベースV内に収納される。その後に、伸長された伸縮フレームユニットFUの一対のシートスライドレールR1 と、シェルターベースVの一対のシート収納レールR2 との連結部Jの連結を解いて、伸縮フレームユニットFUの一対のシートスライドレールR1 を取り外した後に、各脚体部1のアウトリガーGの設置板45をキャスター41に対して上昇させることで、各脚体部1をキャスター41で支持させる。この状態で、伸長されている伸縮フレームユニットFUを縮長させて、縮長保持バー19を用いて、当該伸縮フレームユニットFUの縮長状態を保持させることで、全長が短い状態で搬出が可能となる。このように、既存の「アサガオ」では、台風等の発生により大量の設備を都度、撤去収納する必要があって、多大な手間と時間を要するのに対して、本発明のシェルター装置によれば、フレームユニットとシートとの双方の伸縮構造によって、設置されているシェルター装置を地上においてワンタッチで収納撤去できると共に、その再設置も撤去と同様にワンタッチで可能となる。
【0053】
なお、伸縮式シェルター装置SDは、伸長状態において、(縦×横×高さ)=(4,500 ×4,440 ×2,700 )mmであり、縮長時において、(縦×横×高さ)=(1,800 ×4,440 ×2,675 )mmである。
【0054】
ここで、図19に示されるように、伸縮式シェルター装置SDを構成する伸長状態の伸縮フレームユニットFUの各フレームFの第1水平棹ユニットRU1 の各第1水平棹体部3は、当該伸縮フレームユニットFUの伸縮方向に沿って一定間隔をおいて水平を保持して互いに平行に配置されている。足場板N1,N2 は、金属製であって、いずれも相隣接する第1水平棹体部3の間隔に対応した長辺を有する長方形状であって、短辺の長さのみが異なり、本体板部51,52における短辺部の両端部に引掛フック53が長辺の方向に沿って一体に設けられた構成である。各フレームFの隣接する各第1水平棹体部3に、足場板N1,N2 を敷設して、前記各引掛フック53を当該第1水平棹体部3に係止させると、伸縮式シェルター装置SDの最上部となる屋根部の前面に多数枚の足場板N1,N2 が平面状に敷設される。足場板N1,N2 の利用により、当該足場板N1,N2 の上に直接に建築不用物Dを落下させられるのに加えて、伸縮式シェルター装置SDの全体の連結剛性が高まって、より大きな重量の落下物に対処できると共に、作業者は、多数枚の足場板N1,N2 の屋根部に乗って諸作業を行える。なお、図19の使用状態では、伸縮シート体Sは、シェルターベースVに収納されたままで、引き出されていない。
【0055】
上記した図18(a)のように、伸縮式シェルター装置SDを建物Hに対して「スポット的」に設置した場合において、伸縮シート体Sは、シェルターベースVから引き出されていて、伸縮式シェルター装置SDにおける建物Hに近接した側の数列(図示例では3列)にのみ足場板N1,N2 が敷設されている。
【0056】
また、図18(b)に示される設置例は、建物Hの壁面に近接させて複数基の伸縮式シェルター装置SDを、出入口71を結ぶ方向が建物Hの壁面と平行になるように設置したものであり、通行人は、連続した伸縮式シェルター装置SDの内部を安全に通行できる。本設置例においても、シート単体35は、全て引き出されて全天井部が覆われていると共に、建物Hに近接した部分にのみ数列の足場板N1 ,N2 が敷設されることで、建物Hに近接した部分の安全の強化が図られている。また、隣接する伸縮式シェルター装置SDの間隔を、足場板N1 ,N2 の長辺の寸法とすることで、隣接する伸縮式シェルター装置SDの間にも足場板N1 ,N2 が設置されており、当該足場板N1 ,N2 は、隣接する伸縮式シェルター装置SDを連結する機能も果たしている。
【0057】
また、上記した第1水平棹ユニットRU1 の幅はW1(図2参照)であるが、左右一対の脚体部1を共用して、用途に応じて幅(W2 ,W3 )の異なる別の第1水平棹ユニットRU2 ,RU3 の使用も可能となる。図13図20及び図21に示されるように、幅の異なる各第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 は、共通の左右一対の脚体部1に対して両端部の一対の挿入パイプ部4を挿入して、当該一対の脚体部1に対して連結ブラケット5,6を介して連結する構成は同一であって、第1及び第2の各水平棹体部3(3’,3”),11(11’,11”)の長さを異ならしめることで、各第1水平棹ユニットRU1 ~RU3 の幅(W1 ~W3 )〔W2 >W1 >W3]を異ならしめている。
【0058】
全く同様にして、第2水平棹ユニットRU11に関しても、幅W1 の第2水平棹ユニットRU11の他に、当該幅のみが前記第2水平棹ユニットRU11に対して異なる幅W2 ,同W3 の別の第2水平棹ユニットを製作して準備しておく必要がある。
【0059】
次に、図22及び図23を参照して、本発明に係る伸縮式シェルター装置SDを使用して、建物Hの上階から投下又は放てきされた建築不用物Dの処分方法について説明する。図22に示される例は、建物Hの外壁面に沿って1ないし複数台の伸縮式シェルター装置SDを、出入口71を結ぶ方向が建物Hの外壁面に沿うようにして設置しておく。伸縮式シェルター装置SDには、シート単体35は、引き出されているが、足場板N1 ,N2 は敷設されていない。この状態で、建物Hの上階から作業者M1 が建築不用物Dを投下又は放てきすると、当該建築不用物Dは、伸縮式シェルター装置SDの屋根部を構成しているシート単体35の上面に落下して受容される。また、伸縮式シェルター装置SDにおける出入口71を結ぶ方向に沿った両端のフレームFの第1水平棹ユニットRU1 及び第2水平棹ユニットRU11を構成する各第1水平棹体部3及び各垂直補強柱部12、並びに第2水平棹ユニットRU11を構成する幅方向の両端の第2水平補強棹部34bは、シート単体35の上面に達した後に反発した建築不用物Dが伸縮式シェルター装置SDの屋根部から落下するのを防止する作用を果す。また、上記した建築不用物Dの投下又は放てきの作業中においても、通行人M3 は、伸縮式シェルター装置SDの内部の通路空間72を安全に歩行できる。
【0060】
図23に示される建築不用物Dの受容方向は、伸縮式シェルター装置SDの出入口71を結ぶ方向が建物Hの外壁面に対して直交し、しかも建物Hの外壁面との間には、バケット式コンベアCの設置角度を確保可能なように所定の間隔Tを確保して設置しておく。伸縮式シェルター装置SDの端部と建築物の外壁面との間の間隔Tの部分には、落下物を防止可能な天井部を有する足場70が設けられている。伸縮式シェルター装置SDのシート単体35は引き出されていると共に、当該シート単体35の上方に所定間隔をおいて多数の足場板N1 ,N2 が敷設されており、伸縮式シェルター装置SDの幅方向の両端の各挿入パイプ部4並びに建物Hに対して最も離れた側のフレームFの第1水平棹ユニットRU1 を構成する両端の2本の挿入パイプ部4及びその間の複数の垂直補強柱部12には、それぞれクランプ具73によって柵体74が設置されている。この結果、伸縮式シェルター装置SDの屋根部を構成する多数の足場板N1 ,N2 の上の作業者M2 は、建物Hと対向する面を除く残りの3面が柵体74で囲まれた空間内を移動することで安全が図られている。この状態で、伸縮式シェルター装置SDの屋根部における建物Hと対向する端部と、建物Hの上階との間には、バケット式コンベアCが傾斜して配置されている。バケット式コンベアCは、周回走行が可能なチェーン(図示せず)にバケット75が一体に取付けられ、当該チェーンの周回走行により各バケット75が傾斜通路を昇降する構成のコンベアである。
【0061】
このため、建築物の各階において、バケット式コンベアCのバケット75に建築不用物Dを収納して、当該バケット75を伸縮式シェルター装置SDの屋根部を構成する各足場板N1 ,N2 の部分まで搬送して、当該バケット75内の建築不用物Dを当該屋根部に取り出せばよい。また、高さの異なる各階に対しては、バケット式コンベアCを伸縮させて対応する。伸縮式シェルター装置SDの屋根部において、バケット75から建築物不用物Dを取り出す際に、サイズの小さな建築不用物Dは、隣接する足場板N1 ,N2 の隙間から下方に落下しても、多数枚の足場板N1 ,N2 で構成される屋根部の直下に平面状に展開されて配置されているシート単体35の上に落下するので、通行人M3 の安全が図られる。
【0062】
このように、バケット式コンベアCを使用する場合、及び建築物の各階から建築不用物Dを投下又は放てきする場合のいずれにおいても、従来のように、作業者が建築不用物Dを手で持って階段を降りる必要がなくなるので、建築不用物Dの搬出撤去作業の大幅な改善が図られる。
【0063】
次に、図24を参照して、伸縮式シェルター装置SDの上面(屋根部となる面)及び両側面にソーラーパネルPを取付けることで、発電させる実施例について説明する。伸縮式シェルター装置SDの上面にソーラーパネルPを取付けるには、前記足場板N1 ,N2 を取付けるのに使用した複数本の第1水平棹体部3を利用する。ソーラーパネルPは、長方形状であって、その裏面の周縁部に内側に向けて薄板状の係止板部55が設けられていると共に、第1水平棹体部3に取付けられたクランプ具56には、ソーラーパネルPの係止板部55が挿入される挿入溝57を備えた被挿入係止具58a,58bが取付けられている。被挿入係止具58aは、隣接する2枚のソーラーパネルPの各係止板部55を挿入可能な2つの挿入溝57が対向して設けられて、被挿入係止具58bは、端面が露出する端部のソーラーパネルPの当該端面の係止板部55が挿入される1つの挿入溝57のみが設けられている。
【0064】
これにより、伸縮式シェルター装置SDの上面には、各ソーラーパネルPの各コーナー部の計4箇所がそれぞれクランプ具56及び被挿入係止具58(59)を介して第1水平棹体部3に取付けられて、伸縮式シェルター装置SDの上面には、多数枚のソーラーパネルPが縦横に連続して水平に敷設される。また、伸縮式シェルター装置SDの両側面に対しても各脚体部1に対応したクランプ具及び被挿入係止具を介しても多数枚のソーラーパネルPが垂直に連続配置される。これにより、伸縮式シェルター装置SDを多数枚のソーラーパネルPの設置対象として利用することで、発電が可能となる。
【0065】
また、上記したように上面及び両側面に多数のソーラーパネルPを取付けた状態の伸縮式シェルター装置SDをイベント会場に設置して、内部空間に椅子類或いは簡易な医療設備を設置することで、来訪者の一時的な休憩場所又は不意の体調不良等に対する治療場所としても利用できる。このように、移動可能なシェルター装置にソーラー設備を設置することで、移動発電所が実現され、EV車への充電、携帯電話への充電、トイレ設備、給水設備等の緊急非常設備への給電が可能となって、災害対策用の緊急対応設備を任意の場所に実現できる。
【0066】
次に、図26図28を参照して、建物Hの外壁面61に多数枚のソーラーパネルPを縦横に連続させて設置するための建物外壁面用ソーラーパネル設置装置について説明する。なお、上記した各実施例と同一部分には、同一符号を使用して説明する。パネル取付フレームEは、ベース体62に対して断面円形のパイプ体から成る複数本の支柱体64がリンク機構63を介して伸縮可能に連結された構成である。ベース体62は、2本の支柱体64が複数の連結棹体65を介して連結されており、複数本の支柱体64は、建物Hの外壁面61に取付けられた状態の対向側となる部分の上端部と中央部よりもやや下方の部分との2箇所においてリンク機構を介して連結されることで、全体が伸縮可能となってベース体62に連結されている。各支柱体64の下端部には、前記伸縮式シェルター装置SDの脚体部1と同様に、キャスター41とアウトリガーGとが取付けられている。
【0067】
そして、パネル取付フレームEを現場に搬入する際には、図26(a)に示されるように、ベース体62を構成する複数の支柱体64を除く部分を縮長させることで嵩張らない状態にして、各キャスター41を利用して搬入し、その後に、縮長していた複数の支柱体64を伸長させて、当該伸長状態を維持すべく、各支柱体64の上端部に伸長保持バー66を配置して、その奥側端部(ベース体62の側)を、上端の連結棹体65に連結すると共に、基端側(手前側)を、当該基端側の支柱体64に連結させて、複数の支柱体64の伸長状態を保持させる。この伸長状態のパネル取付フレームEを建物Hの外壁面61に近接配置させて、各支柱体64の上下端部を固定金具67a,67bを介して当該外壁面61に固定することで、パネル取付フレームEを建物Hの外壁面61に固定する。固定金具67a,67bは、それぞれ建物Hの外壁面61及び支柱体64に固定され、各固定金具67a,67bは、ボルト68を介して互いに連結されている。建物Hの外壁面61にパネル取付フレームEが固定された状態では、各支柱体64の下端部は、設置面Kに対してアウトリガーGの設置板45で支持されている。
【0068】
そして、前記した図24及び図25に示される第1水平棹体部3に対するソーラーパネルPの取付けと同様にして、各支柱体64に嵌着されたクランプ具56と、当該クランプ具56に一体に取付けられた被挿入係止具58(59)を介して各ソーラーパネルPの各コーナー部をパネル取付フレームEの各支柱体64に連結固定することで、パネル取付フレームEに多数枚のソーラーパネルPが縦横に連続して設置される。
【符号の説明】
【0069】
B:シート保持バー
C:バケット式コンベア
D:建築不用物
E:パネル取付フレーム
FU:伸縮フレームユニット
F:フレーム
G:アウトリガー
H:建物
K:設置面
L:リンク機構
1 ,N2 :足場板
P:ソーラーパネル
1 :シートスライドレール
2 :シート収納レール
RU1 ~RU3 :第1水平棹ユニット
RU11:第2水平棹ユニット
S:伸縮シート体
SD:伸縮式シェルター装置
V:シェルターベース
1:脚体部
3:第1水平棹体部
4:挿入パイプ部(挿入体部)
30:脚体ベース
35:シート単体
41:キャスター
56:クランプ具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28