(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048786
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/36 20060101AFI20240402BHJP
B65D 5/32 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65D5/36 C
B65D5/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154881
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB15
3E060AB32
3E060BA21
3E060BB01
3E060BC01
3E060BC04
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA01
3E060DA25
3E060EA03
(57)【要約】
【課題】平坦な状態から箱型の状態に変形する場合における成型性及び外観性の向上を実現できる紙容器を提供する。
【解決手段】紙容器では、第1シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第1シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第1シート部材の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下であり、第2シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第2シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第2シート部材の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である紙容器であって、
紙を材料とする第1紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第1シート部材と、
紙を材料とする第2紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第2シート部材と、を備え、
前記第1シート部材及び前記第2シート部材は、前記箱型の状態において内容物を収容可能な収容空間が形成されるように接合されており、
前記第1シート部材に開口部が形成されており、
前記平坦な状態において、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれは、
多角形状の第1面と、
前記第1面の各頂点を共有する2辺のそれぞれに設けられた第2面と、
前記第1面の周縁に沿った方向である周縁方向に互いに隣り合う前記第2面同士を繋ぐ第3面と、を有し、
前記平坦な状態において、前記第1シート部材及び前記第2シート部材は、前記第1シート部材が有する前記第1面、前記第2面及び前記第3面と、前記第2シート部材が有する前記第1面、前記第2面及び前記第3面とが重なるように配置された状態で、接合されており、
前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれには、前記第1面の各頂点に対応して前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれを折り曲げるための罫線群が設けられ、
前記罫線群は、
前記罫線群に対応する頂点である着目頂点から前記第1面及び前記第2面が共有する辺に沿って延びる第1罫線と、
前記着目頂点から前記第2面及び前記第3面が共有する辺に沿って延びる第2罫線と、
前記第3面に設けられ、前記着目頂点から前記着目頂点を共有する第2罫線同士の間に延びる第3罫線と、を有し、
前記第1シート部材が有する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線のそれぞれの上において、前記第1シート部材における前記着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、前記第1シート部材の厚さに対する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下であり、
前記第2シート部材が有する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線のそれぞれの上において、前記第2シート部材における前記着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、前記第2シート部材の厚さに対する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下である、
紙容器。
【請求項2】
箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である紙容器であって、
紙を材料とする第1紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第1シート部材と、
紙を材料とする第2紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第2シート部材と、を備え、
前記第1シート部材及び前記第2シート部材は、前記箱型の状態において内容物を収容可能な収容空間が形成されるように接合されており、
前記第1シート部材に開口部が形成されており、
前記平坦な状態において、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれは、
多角形状の第1面と、
前記第1面の各頂点を共有する2辺のそれぞれに設けられた第2面と、
前記第1面の周縁に沿った方向である周縁方向に互いに隣り合う前記第2面同士を繋ぐ第3面と、を有し、
前記平坦な状態において、前記第1シート部材及び前記第2シート部材は、前記第1シート部材が有する前記第1面、前記第2面及び前記第3面と、前記第2シート部材が有する前記第1面、前記第2面及び前記第3面とが重なるように配置された状態で、接合されており、
前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれには、前記第1面の各頂点に対応して前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれを折り曲げるための罫線群が設けられ、
前記罫線群は、
前記罫線群に対応する頂点である着目頂点から前記第1面及び前記第2面が共有する辺に沿って延びる第1罫線と、
前記着目頂点から前記第2面及び前記第3面が共有する辺に沿って延びる第2罫線と、
前記第3面に設けられ、前記着目頂点から前記着目頂点を共有する第2罫線同士の間に延びる第3罫線と、を有し、
前記第1シート部材が有する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線のそれぞれの上において、前記第1シート部材における前記着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、前記第1紙層の厚さに対する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線の罫線高さの比率は、30%以上且つ250%以下であり、
前記第2シート部材が有する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線のそれぞれの上において、前記第2シート部材における前記着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、前記第2紙層の厚さに対する前記第1罫線、前記第2罫線及び前記第3罫線の罫線高さの比率は、30%以上且つ250%以下である、
紙容器。
【請求項3】
前記第1シート部材及び前記第2シート部材のそれぞれが有する前記少なくとも1つの樹脂層のうち最も小さい引張伸びを有する樹脂層において、流れ方向に直交する垂直方向及び前記流れ方向を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上である、
請求項1又は2に記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙容器の一例として、特許文献1に記載の包装容器が知られている。特許文献1に記載の包装容器は、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定されることで構成されている。この包装容器は、天部側シートに設けられた開口部から、収容空間の内部に空気等を吹き込みながら天部側シート及び底部側シートを変形させることで、箱型の状態と平坦な状態との間で変形させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平坦な状態から箱型の状態に紙容器を変形させるに際し、シート部材の特性によっては紙容器の成型不良が生じ、結果として、所望の箱型に変形しない可能性がある。これに対し、紙容器の変形性を向上させるべく、シート部材に罫線を設けることが考えられる。しかし、この場合、シート部材において罫線を設けた部分が割れてしまういわゆる罫線割れが問題となり、紙容器の外観性が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、平坦な状態から箱型の状態に変形する場合における成型性及び外観性の向上を実現できる紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、紙容器を構成するシート部材の厚さ又はシート部材に含まれる紙層の厚さに対する罫線高さの比率を調整することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、シート部材の厚さ又は紙層の厚さに対する罫線高さの比率を所定の比率とすることで、紙容器の成型性及び外観性の向上を実現できることを見出した。本発明の一側面は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【0007】
[1]本発明の一側面に係る紙容器は、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である紙容器であって、紙を材料とする第1紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第1シート部材と、紙を材料とする第2紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第2シート部材と、を備え、第1シート部材及び第2シート部材は、箱型の状態において内容物を収容可能な収容空間が形成されるように接合されており、第1シート部材に開口部が形成されており、平坦な状態において、第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれは、多角形状の第1面と、第1面の各頂点を共有する2辺のそれぞれに設けられた第2面と、第1面の周縁に沿った方向である周縁方向に互いに隣り合う第2面同士を繋ぐ第3面と、を有し、平坦な状態において、第1シート部材及び第2シート部材は、第1シート部材が有する第1面、第2面及び第3面と、第2シート部材が有する第1面、第2面及び第3面とが重なるように配置された状態で、接合されており、第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれには、第1面の各頂点に対応して第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれを折り曲げるための罫線群が設けられ、罫線群は、罫線群に対応する頂点である着目頂点から第1面及び第2面が共有する辺に沿って延びる第1罫線と、着目頂点から第2面及び第3面が共有する辺に沿って延びる第2罫線と、第3面に設けられ、着目頂点から着目頂点を共有する第2罫線同士の間に延びる第3罫線と、を有し、第1シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第1シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第1シート部材の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下であり、第2シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第2シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第2シート部材の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、20%以上且つ150%以下である。
【0008】
[1]の紙容器では、第1シート部材の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率、又は、第2シート部材の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率が20%以上である場合、罫線を設けることによるシート部材の折れ曲がりやすさがより向上する。第1シート部材の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率、又は、第2シート部材の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率が150%以下の場合、紙容器の成型の際に各罫線においてシート部材が割れる、いわゆる罫線割れを抑制できる。そのため、上記構成によれば、成型性及び外観性の向上を実現できる。
【0009】
[2]本発明の別の一側面に係る紙容器は、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である紙容器であって、紙を材料とする第1紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第1シート部材と、紙を材料とする第2紙層と、少なくとも1つの樹脂層とを含む第2シート部材と、を備え、第1シート部材及び第2シート部材は、箱型の状態において内容物を収容可能な収容空間が形成されるように接合されており、第1シート部材に開口部が形成されており、平坦な状態において、第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれは、多角形状の第1面と、第1面の各頂点を共有する2辺のそれぞれに設けられた第2面と、第1面の周縁に沿った方向である周縁方向に互いに隣り合う第2面同士を繋ぐ第3面と、を有し、平坦な状態において、第1シート部材及び第2シート部材は、第1シート部材が有する第1面、第2面及び第3面と、第2シート部材が有する第1面、第2面及び第3面とが重なるように配置された状態で、接合されており、第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれには、第1面の各頂点に対応して第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれを折り曲げるための罫線群が設けられ、罫線群は、罫線群に対応する頂点である着目頂点から第1面及び第2面が共有する辺に沿って延びる第1罫線と、着目頂点から第2面及び第3面が共有する辺に沿って延びる第2罫線と、第3面に設けられ、着目頂点から着目頂点を共有する第2罫線同士の間に延びる第3罫線と、を有し、第1シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第1シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第1紙層の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、30%以上且つ250%未満であり、第2シート部材が有する第1罫線、第2罫線及び第3罫線のそれぞれの上において、第2シート部材における着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、第2紙層の厚さに対する第1罫線、第2罫線及び第3罫線の罫線高さの比率は、30%以上且つ250%未満である。
【0010】
[2]の紙容器では、第1紙層の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率、又は、第2紙層の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率が30%以上である場合、罫線を設けることによるシート部材の折れ曲がりやすさがより向上する。第1紙層の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率、又は、第2紙層の厚さに対する各罫線の罫線高さの比率が250%以下の場合、紙容器の成型の際に各罫線においてシート部材が割れる、いわゆる罫線割れを抑制できる。そのため、上記構成によれば、成型性及び外観性の向上を実現できる。
【0011】
[3]上記[1]又は[2]に記載の紙容器において、第1シート部材及び第2シート部材のそれぞれが有する少なくとも1つの樹脂層のうち最も小さい引張伸びを有する樹脂層において、流れ方向に直交する垂直方向及び流れ方向を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上であってもよい。この場合、平坦な紙容器から箱型の紙容器に変形する際に、第1シート部材及び第2シート部材にピンホールが生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、平坦な紙容器から箱型の紙容器に変形する場合の成型性及び外観性の向上を実現できる紙容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、箱型の状態における一実施形態に係る紙容器を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、平坦な状態における容器本体を模式的に示す底面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2の天部側シート部材を模式的に示す平面図である。
図3(b)は、
図2の底部側シート部材を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(a)のIVa-IVa線に沿った断面図である。
図4(b)は、
図3(b)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、容器本体を平坦な状態から箱型の状態に変形させる一過程を示す模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、シート部材の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図8】
図8は、紙層の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図9】
図9は、シート部材の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図10】
図10は、紙層の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図11】
図11は、シート部材の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図12】
図12は、紙層の厚さに対する罫線高さ比率に関する評価試験結果を示す表である。
【
図13】
図13は、樹脂層の引張強度に関する評価試験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0015】
まず、本実施形態に係る紙容器1の構成について説明する。
【0016】
図1は、箱型の状態における一実施形態に係る紙容器1を模式的に示す斜視図である。紙容器1は、液体(内容物)を収容すると共に、紙容器1の使用者の必要に応じて収容された液体を吐出する。ここで言う「液体」には、例えば水、化粧水等の低い粘性を有する液体に限らず、例えばシャンプー、リンス等の高い粘性を有する液体が含まれる。本実施形態では、「液体」は、後述するポンプディスペンサ3により吐出できる程度の粘性を有するものであればよい。「使用者」とは、紙容器1に収容された液体を必要に応じて吐出させる者を言う。「使用者」は、典型的には、液体入りの紙容器1を購入し、使用する者である。
【0017】
図1に示されるように、紙容器1は、容器本体2を備える。紙容器1は、スパウト23(
図3及び
図6参照)及びポンプディスペンサ3を備えてもよい。以下の説明では、紙容器1がスパウト23及びポンプディスペンサ3を備える形態を説明する。以下の説明において、紙容器1が箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能であることは、容器本体2をそのように変形可能であることを意味する。
【0018】
容器本体2は、全体として四角柱状(
図1の例では直方体形状)を呈する。容器本体2は、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である。容器本体2は、箱型の状態において液体を収容する収容空間(不図示)を形成する。容器本体2は、天部2aと、天部2aと対向する底部2bと、天部2a及び底部2bを互いに繋ぐ一対の第1側面部2c及び一対の第2側面部2dとを有している。一対の第1側面部2cは、互いに対向している。一対の第2側面部2dは、互いに対向している。天部2aには、スパウト23が取り付けられている。
【0019】
以下では、一対の第1側面部2cが対向する方向を第1方向D1と称し、また、一対の第2側面部2dが対向する方向を第2方向D2と称し、さらに、天部2a及び底部2bが対向する方向を第3方向D3と称する。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3のそれぞれは、互いに直交している。
【0020】
ポンプディスペンサ3は、容器本体2の収容空間の内部に収容された液体を、収容空間の外部に吐出する。ポンプディスペンサ3は、容器本体2の天部2aに設けられている。ポンプディスペンサ3は、スパウト23に取り付けられている。ポンプディスペンサ3の一部は、スパウト23に挿入されている。本実施形態では、ポンプディスペンサ3は、スパウト23に取り付けられる取付部3aと、第3方向D3に押下可能なポンプヘッド3bとを含む。
【0021】
紙容器1の使用者は、ポンプディスペンサ3のポンプヘッド3bを第3方向D3に押下することにより、ポンプヘッド3bの吐出ノズル3cから容器本体2の収容空間に収容された液体を吐出させる。これにより、使用者は、必要に応じて液体を取り出すことができる。
【0022】
ポンプディスペンサ3の構成は、上記説明したものに限定されず、公知のものが用いられ得る。また、ポンプディスペンサ3は、設けられていなくてもよい。一例として、容器本体2のスパウト23には、口栓が設けられていてもよい。この場合、使用者は、容器本体2のスパウト23を液体の注ぎ口として、容器本体2を傾けることで収容空間の内部の液体を収容空間の外部に注ぎ出すことができる。
【0023】
続いて、本実施形態に係る容器本体2の構成について説明する。
【0024】
図2は、平坦な状態における容器本体2を模式的に示す底面図である。すなわち、
図2は、箱型の状態における容器本体2の底部2b側から第3方向D3に沿って、平坦な状態における容器本体2を見た様子を示す図である。
図2に示されるように、容器本体2は、天部側シート部材(第1シート部材)21と、底部側シート部材(第2シート部材)31とを有している。
【0025】
天部側シート部材21及び底部側シート部材31は、箱型の状態において液体を収容する収容空間が形成されるように接合されている。本実施形態では、底部側シート部材31の周縁部は、全周に渡って天部側シート部材21に対して接合されている。したがって、紙容器1は、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が接合された接合部40(
図2において、2つの二点鎖線40a,40bの間の領域)を有する。本実施形態では、天部側シート部材21における第1方向D1の長さは、底部側シート部材31における第1方向D1の長さと略一致している。天部側シート部材21における第2方向D2の長さは、底部側シート部材31における第2方向D2の長さよりも長い。
【0026】
続いて、容器本体2を構成する天部側シート部材21及び底部側シート部材31について詳細に説明する。まず、天部側シート部材21について説明する。
【0027】
図3(a)は、
図2の天部側シート部材21を模式的に示す平面図である。
図3(a)に示されるように、天部側シート部材21は、全体として略四角形状を呈する。上記四角形状の例は、
図3(a)に示したような長方形状でもよいし、正方形状でもよい。天部側シート部材21の第1方向D1の長さの例は80mm以上且つ800mm以下である。天部側シート部材21の第2方向D2の長さの例は80mm以上且つ1000mm以下である。天部側シート部材21の厚さは、一例として、200μm以上且つ1500μm以下である。天部側シート部材21の厚さは、300μm以上且つ1000μm以下でもよい。天部側シート部材21の厚さは、350μm以上且つ550μm以下または400μm以上且つ500μm以下でもよい。厚さとは、平坦な状態における第3方向D3の長さを言う。
図3(a)における二点鎖線40a,40bの間の領域は、底部側シート部材31と接合される接合部40となるべき領域である。
【0028】
天部側シート部材21は、略中央に多角形状の天面(第1面)22を有している。天面22は、箱型の状態において容器本体2の天部2aを形成する。上記多角形状の例は、四角形状(例えば、長方形状、正方形状など)である。本実施形態では、天面22は、正方形状である。すなわち、天面22は、4つの頂点22aと、当該頂点22a同士を繋ぐ4つの辺22bとを有している。
【0029】
天部側シート部材21の天面22には、開口部221が形成されている。開口部221は、箱型の状態における容器本体2の収容空間の内部及び収容空間の外部を互いに連通する。開口部221には、ポンプディスペンサ3を容器本体2に取り付けるためのスパウト23が設けられている。スパウト23には、例えば、ポンプディスペンサ3の取付部3aを取り付けるための雄ネジ部(不図示)が設けられていてもよい。
【0030】
また、天部側シート部材21は、天面22の各頂点22aを共有する2つの辺22bのそれぞれに設けられた側面(第2面)を有している。すなわち、天部側シート部材21は、4つの辺22bに対応した4つの側面を有する。4つの辺22bのうち第2方向D2に延びる2つの辺22bそれぞれに設けられた側面を第1側面25aと称し、第1方向D1に延びる2つの辺22bそれぞれに設けられた側面を第2側面25bと称す。2つの第1側面25aを区別して説明する場合、2つの第1側面25aを第1側面25a1及び第1側面25a2と称す場合もある。同様に、2つの第2側面25bを区別して説明する場合、2つの第2側面25bを第2側面25b1及び第2側面25b2と称す場合もある。
【0031】
例えば、天面22の一の頂点22a(
図3(a)の例では左下の頂点22a)を共有する2つの辺22bのうち、第2方向D2に延びる辺22b(
図3(a)の例では下側の辺22b)には、第1側面25a1(
図3の例では下側の第1側面)が設けられている。また、天面22の一の頂点22aを共有する2つの辺22bのうち、第1方向D1に延びる辺22b(
図3(a)の例では左側の辺22b)には、第2側面25b1が設けられている。
【0032】
第1側面25aは、略四角形状(例えば等脚台形状、長方形状など)を呈する。第1側面25aは、箱型の状態における容器本体2の第1側面部2cの一部を形成する。第1側面25aは、天面22における第1方向D1の両端に設けられている。
【0033】
第2側面25bは、略四角形状(例えば等脚台形状、長方形状など)を呈する。第2側面25bは、箱型の状態における容器本体2の第2側面部2dの一部を形成する。第2側面25bは、天面22における第2方向D2の両端に設けられている。
【0034】
上述したように、本実施形態では、天面22は、正方形状を呈する。よって、
図3(a)に例示した形態のように、例えば、第1側面25aにおける天面22側の辺の第2方向D2の長さは、第2側面25bにおける天面22側の辺の第1方向D1の長さと略一致している。一方で、第1側面25aにおける第1方向D1の長さは、第2側面25bにおける第2方向D2の長さよりも短い。
【0035】
さらに、天部側シート部材21は、周縁方向に互いに隣り合う第1側面25a及び第2側面25bを繋ぐつなぎ面(第3面)26を有している。すなわち、天部側シート部材21は4つのつなぎ面26を有する。ここで、周縁方向とは、天面22の周縁に沿った方向を言う。
【0036】
以下では、4つのつなぎ面26のうち第1側面25a1及び第2側面25b1を繋ぐつなぎ面26を、第1つなぎ面26aと称し、第1側面25a1及び第2側面25b2を繋ぐつなぎ面26を、第2つなぎ面26bと称する。また、4つのつなぎ面26のうち第1側面25a2及び第2側面25b2を繋ぐつなぎ面26を、第3つなぎ面26cと称し、第1側面25a2及び第2側面25b1を繋ぐつなぎ面26を、第4つなぎ面26dと称する場合もある。
【0037】
天部側シート部材21には、天面22の各頂点22aに対応して天部側シート部材21を折り曲げるための罫線群27が設けられている。本実施形態では、罫線群27は、対応する頂点22a(以下、「着目頂点」と称す)から延びる5つの罫線を有している。罫線群27は、2つの第1罫線27aと、2つの第2罫線27bと、1つの第3罫線27cとを有している。
【0038】
2つの第1罫線27aは、着目頂点22pから天面22及び第1側面25aが共有する辺22b、及び、天面22及び第2側面25bが共有する辺22bに沿って延びる。2つの第2罫線27bは、着目頂点22pから第1側面25a及びつなぎ面26が共有する辺、及び、第2側面25b及びつなぎ面26が共有する辺に沿って延びる。第3罫線27cは、つなぎ面26に設けられ、着目頂点22pから着目頂点22pを共有する第2罫線27b同士の間に延びる。
【0039】
本実施形態では、第3罫線27cは、2つの第2罫線27b及び他方の第2罫線27bがなす角を2つに分ける。第3罫線27cは、つなぎ面26を折り曲げて、後述するつなぎ片の形成を容易にするための罫線である。そのため、つなぎ面26内における第3罫線27cの位置は、つなぎ面26を折り曲げて形成するつなぎ片の形状に応じた位置であればよい。
【0040】
図3(a)に示したように、天面22が有する4つの頂点22aのうち左下側の頂点22aが着目頂点22pである場合を例にして、着目頂点22pに対する2つの第1罫線27a、2つの第2罫線27b及び第3罫線27cを具体的に説明する。
【0041】
この場合、2つの第1罫線27aのうち一方の第1罫線27aは、着目頂点22pから天面22及び第1側面25a1が共有する辺22bに沿って延びており、他方の第1罫線27aは、着目頂点22pから天面22及び第2側面25b1が共有する辺22bに沿って延びている。
【0042】
2つの第2罫線27bのうち一方の第2罫線27bは、着目頂点22pから第1側面25a1及び第1つなぎ面26aが共有する辺に沿って延びており、他方の第2罫線27bは、着目頂点22pから第2側面25b1及び第1つなぎ面26aが共有する辺に沿って延びている。
【0043】
第3罫線27cは、第1つなぎ面26aにおいて、着目頂点22pから着目頂点22pを共有する第2罫線27b同士の間に延びる。
図3(a)に示した例では、第1つなぎ面26aに形成された第3罫線27cは、着目頂点22pから
図3(a)において左下側に延びている。
【0044】
天面22が有する4つの頂点22aのうち
図3(a)における左下側の頂点22aが着目頂点22pである場合を例にして、着目頂点22pに対する2つの第1罫線27a、2つの第2罫線27b及び第3罫線27cを説明したが、残りの3つの頂点22aそれぞれを着目頂点とみなした場合も同様である。
【0045】
前述したように、天部側シート部材21には、各頂点22aに対応して上記構成の罫線群27が設けられている。この場合、周縁方向において隣接する2つの頂点22aに対応した2つの罫線群27のうち、天面22の各辺22bに設けられた第1罫線27aは、上記2つの罫線群27で共通している。そのため、天部側シート部材21では、合計16本の罫線が設けられている。すなわち、天部側シート部材21では、天面22の各辺22b、第1側面25aとそれに隣接するつなぎ面26とが共有する辺、及び、第2側面25bとそれに隣接するつなぎ面26とが共有する辺に第2罫線27bが設けられると共に、各つなぎ面26内に第3罫線27cが設けられている。
【0046】
続いて、底部側シート部材31について説明する。底部側シート部材31の一部の構成は、天部側シート部材21の一部の構成と同一である。したがって、上述した天部側シート部材21の構成に関する説明と重複する説明を適宜省略する。
【0047】
図3(b)は、
図2の底部側シート部材31を模式的に示す平面図である。底部側シート部材31の第1方向D1の長さの例は80mm以上且つ800mm以下である。底部側シート部材31の第2方向D2の長さの例は80mm以上且つ800mm以下である。底部側シート部材31の厚さは、一例として、200μm以上且つ1500μm以下である。底部側シート部材31の厚さは、300μm以上且つ1000μm以下でもよい。底部側シート部材31の厚さは、350μm以上且つ550μm以下または400μm以上且つ500μm以下でもよい。
図3(b)における二点鎖線40a,40bの間の領域は、天部側シート部材21と接合される接合部40となるべき領域である。
【0048】
図3(b)に示されるように、底部側シート部材31は、略中央に多角形状の底面(第1面)32を有している。底面32は、箱型の状態において容器本体2の底部2bを形成する。底面32の形状は、天面22の形状と同じである。本実施形態では、底面32は、正方形状である。すなわち、底面32は、4つの頂点32aと、当該頂点32a同士を繋ぐ辺32bとを有している。本実施形態では、底面32の大きさは、天面22の大きさと同じである。したがって、本実施形態では、底面32は、天面22と合同である。ただし、底面32は、天面22と形状が同じである一方、大きさは異なっていてもよい。すなわち、底面32は、天面22と相似であってもよい。
【0049】
また、底部側シート部材31は、天部側シート部材21が有する2つの第1側面25a及び2つの第2側面25bに対応する2つの第1側面35a及び2つの第2側面35bを有する。2つの第1側面35aを区別して説明する場合、2つの第1側面35aを第1側面35a1及び第1側面35a2と称す場合もある。同様に、2つの第2側面35bを区別して説明する場合、2つの第2側面35bを第2側面35b1及び第2側面35b2と称す場合もある。第1側面35a1、第1側面35a2、第2側面35b1及び第2側面35b2は、天部側シート部材21が有する第1側面25a1、第1側面25a2、第2側面25b1及び第2側面25b2に対応する。
【0050】
底面32に対する2つの第1側面35a(第1側面35a1,35a2)及び2つの第2側面35b(第2側面35b1,35b2)の配置関係は、天面22に対する2つの第1側面25a(第1側面25a1,25a2)及び2つの第2側面25b(第2側面25b1,25b2)の場合と同様である。
【0051】
第1側面35aは、箱型の状態における容器本体2の第1側面部2cの一部を形成する。第1側面35aは、底面32における第1方向D1の両端に設けられている。第2側面35bは、箱型の状態における容器本体2の第2側面部2dの一部を形成する。第2側面35bは、底面32における第2方向D2の両端に設けられている。
【0052】
さらに、底部側シート部材31は、天部側シート部材21が有する4つのつなぎ面26に対応する4つのつなぎ面36を有する。4つのつなぎ面36の底面32、2つの第1側面35a(第1側面35a1,35a2)及び2つの第2側面35b(第2側面35b1,35b2)の配置関係は、4つのつなぎ面26の天面22、2つの第1側面25a(第1側面25a1,25a2)及び2つの第2側面25b(第2側面25b1,25b2)の配置関係と同じである。
【0053】
底部側シート部材31においても、第1側面35a1及び第2側面35b1を繋ぐつなぎ面36を、第1つなぎ面36aと称し、第1側面35a1及び第2側面35b2を繋ぐつなぎ面36を、第2つなぎ面36bと称する場合もある。第1側面35a2及び第2側面35b2を繋ぐつなぎ面36を、第3つなぎ面36cと称し、第1側面35a2及び一方の第2側面35b1を繋ぐつなぎ面36を、第4つなぎ面36dと称する場合もある。
【0054】
底部側シート部材31には、底面32の各頂点32aに対応して底部側シート部材31を折り曲げるための罫線群37が設けられている。本実施形態では、罫線群37は、天部側シート部材21が有する罫線群27の場合と同様に、罫線群37に対応する頂点32aを着目頂点と称した場合、着目頂点から延びる5つの罫線を有している。罫線群37は、2つの第1罫線37aと、2つの第2罫線37bと、1つの第3罫線37cとを有している。2つの第1罫線37aと、2つの第2罫線37bと、1つの第3罫線37cは、天部側シート部材21における2つの第1罫線27aと、2つの第2罫線27bと、1つの第3罫線27cに対応する罫線である。
【0055】
図3(b)に示したように、底面32が有する4つの頂点32aのうち左下側の頂点32aが着目頂点32pである場合を例にして、着目頂点32pに対する2つの第1罫線37a、2つの第2罫線37b及び第3罫線37cを具体的に説明する。
【0056】
この場合、2つの第1罫線37aのうち一方の第1罫線37aは、着目頂点32pから底面32及び第1側面35a1が共有する辺32bに沿って延びており、他方の第1罫線37aは、着目頂点32pから底面32及び第2側面35b1が共有する辺32bに沿って延びている。
【0057】
2つの第2罫線37bのうち一方の第2罫線37bは、着目頂点32pから第1側面35a1及び第1つなぎ面36aが共有する辺に沿って延びており、他方の第2罫線37bは、着目頂点32pから第2側面35b1及び第1つなぎ面36aが共有する辺に沿って延びている。
【0058】
第3罫線37cは、第1つなぎ面36aにおいて、着目頂点32pから着目頂点32pを共有する第2罫線37b同士の間に延びる。
図3(b)に示した例では、第1つなぎ面36aに形成された第3罫線37cは、着目頂点32pから
図3(b)において左下側に延びている。
【0059】
底部側シート部材31には、罫線群37を構成する罫線に加え、底部側シート部材31の周縁部に設けられた4本の周縁罫線38,38,38,38が設けられていてもよい。断らない限り、本実施形態の底部側シート部材31は、4本の周縁罫線38を有する。
【0060】
底面32の周縁に沿った方向である周縁方向において隣接する2つの頂点32aに対応した2つの罫線群37のうち、底面32の各辺32bに設けられた第1罫線37aは、上記2つの罫線群37で共通している。そのため、本実施形態の底部側シート部材31には、合計20本の罫線が設けられている。すなわち、底部側シート部材31では、底面32の各辺32b、第1側面とそれに隣接するつなぎ面36とが共有する辺、及び、第2側面とそれに隣接するつなぎ面36とが共有する辺に第2罫線37bが設けられると共に、各つなぎ面36内に第3罫線37cが設けられている。更に、底部側シート部材31には、上述した4本の周縁罫線38が設けられている。
【0061】
続いて、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の層構成について説明する。
【0062】
図4(a)は、
図3(a)のIVa-IVa線に沿った断面図である。
図4(a)に示されるように、天部側シート部材21は、表面41と、表面41と第3方向D3における反対側に位置する裏面42とを有している。表面41は、箱型の状態における容器本体2の外面を形成する。裏面42は、箱型の状態における容器本体2の収容空間を画定する。
【0063】
天部側シート部材21は、第1紙層51を有する。天部側シート部材21は、少なくとも1つの樹脂層を更に備えてもよい。本実施形態における樹脂層は、樹脂フィルムである。天部側シート部材21が上記少なくとも1つの樹脂層を備える場合、天部側シート部材21の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:Poly Ethylene Terephthalate)、低密度ポリエチレン(LDPE:Low Density Polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:Linear Low Density Polyethylene)等を含む。本実施形態では、天部側シート部材21が、第1紙層の他、第1LDPE層52と、第2LDPE層53と、PET層(樹脂層)54と、LLDPE層55とを有する場合を説明する。
【0064】
第1紙層51は紙によって構成されている。第1紙層51の坪量は、例えば、120g/m2以上且つ900g/m2であってもよい。坪量とは、単位面積当たりの質量を言う。一例として、第1紙層51の坪量は、245g/m2である。また、第1紙層51の密度は、例えば、0.6g/cm3以上且つ1.1g/cm3以下であってもよい。一例として、第1紙層51の密度は、0.9g/cm3である。第1紙層51に使用される紙の例は、ノーコート紙、片面コート紙、両面コート紙等の板紙である。第1紙層51は、例えば、紙容器に用いられるカートン用紙、カップ用紙(紙カップ用の紙)等のように、耐水性、耐油性を有してもよい。
【0065】
天部側シート部材21の厚さA1に対する第1紙層51の厚さA2の比率(紙層比率)は、一例として、28%以上(一例として30%以上)且つ100%未満である。天部側シート部材21の紙層比率は、例えば、35%以上且つ95%以下でもよい。
【0066】
第1LDPE層52は、第1紙層51に接している。第1LDPE層52の材料は、LDPEである。第1LDPE層52は、天部側シート部材21の表面41を形成している。本実施形態では、第1LDPE層52は、第1紙層51における第3方向D3の一方側(
図4(a)の例では上側)に積層されている。
【0067】
第2LDPE層53は、第1紙層51に接している。第2LDPE層53の材料は、LDPEである。本実施形態では、第2LDPE層53は、第1紙層51における第3方向D3の他方側(
図4(a)の例では下側)に積層されている。
【0068】
上述したように、紙容器1は、液体を収容する。第1紙層51における第3方向D3の両側に耐水性の第1LDPE層52及び第2LDPE層53が積層されているため、紙容器1の耐水性を確保することができる。
【0069】
第1LDPE層52及び第2LDPE層53のそれぞれを第1紙層51に接着するに際しては、公知の方法を用いることができる。一例として、第1紙層51の表面をコロナ処理すると共に、当該第1紙層51の表面に酸化させた第1LDPE層52又は第2LDPE層53を接合することで、第1紙層51に対して第1LDPE層52及び第2LDPE層53を接着してもよい。
【0070】
PET層54は、第2LDPE層53に接している。PET層54の材料は、PETである。本実施形態では、PET層54は、第2LDPE層53における第3方向D3の他方側に積層されている。PET層54は、天部側シート部材21におけるベース基材である。PET層54は、容器本体2の製造時にピンホールが生じることを抑制する。
【0071】
本実施形態では、PET層54は、天部側シート部材21に含まれる上記複数の樹脂層のうち、最も小さい引張伸びを有する樹脂層(樹脂フィルム)である。ここで言う「引張伸び」は、例えば、JIS K 7161等に記載された引張試験により計測された値であってもよい。PET層54の引張伸びは、一例として、90%以上且つ150%以下である。当該引張試験におけるPET層54の引張方向は、一例として、流れ方向(MD方向)である。本実施形態において、流れ方向(MD方向)は、
図2において第1方向D1に相当する。
【0072】
PET層54において、流れ方向(MD方向)及び流れ方向に直交する垂直方向(TD方向)を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上である。当該引張強度は、一例として、23N/15mm以上且つ84.5N/15mm以下である。ここで言う「引張強度」は、例えば、JIS L 1096等に記載された引張強度試験により計測された値であってもよい。また、引張強度試験における引張速度は、例えば、300mm/minであってもよい。また、引張強度試験におけるPET層54の幅(いわゆるつかみ幅)は、例えば、15mmであってもよい。本実施形態において、上記流れ方向は、第1方向D1であり、垂直方向は第2方向D2である。
【0073】
LLDPE層55は、PET層54に接している。LLDPE層55の材料は、LLDPEである。本実施形態では、LLDPE層55は、PET層54における第3方向D3の他方側に積層されている。LLDPE層55は、天部側シート部材21の裏面42を形成している。LLDPE層55は、シーラント層として機能し得る。
【0074】
図4(b)は、
図3(b)のIVb-IVb線に沿った断面図である。本実施形態では、底部側シート部材31の層構成の一部は、天部側シート部材21の層構成の一部と同一であるから、重複する説明を省略する。底部側シート部材31は、第1紙層51に代えて、紙を材料とする第2紙層61を有する。底部側シート部材31の厚さB1に対する第2紙層61の厚さB2の比率(第2紙層比率)は、一例として、28%以上(一例として30%以上)且つ100%未満である。第2紙層比率は、例えば、35%以上且つ95%以下でもよい。
【0075】
図5は、
図3(a)のV-V線に沿った断面図である。
図5では、天部側シート部材21の第1罫線27aの断面が図示されているが、天部側シート部材21の詳細な層構成は上述の通りであるから、図示を一部省略している。第1罫線27aは、一例として、プレス成型により形成されてもよい。すなわち、天面22及び第1側面25aが共有する辺22b、及び、天面22及び第2側面25bが共有する辺22bに対し、例えばパンチを用いていわゆる絞り加工を行うことで第1罫線27aが形成されてもよい。
【0076】
図5に示されるように、第1罫線27aは、凸部43を有する。本実施形態では、凸部43は、天部側シート部材21の裏面42から第3方向D3(
図5の例では下側)に突出している。また、第1罫線27aは、凹部44を有する。本実施形態では、凹部44は、天部側シート部材21の表面41から第3方向D3(
図5の例では下側)に陥没している。
【0077】
なお、凸部43が突出する方向、及び、凹部44が陥没する方向は、
図5に図示された方向と逆であってもよい。すなわち、凸部43は、天部側シート部材21の表面41から第3方向D3(
図5の例では上側)に突出しており、凹部44は、天部側シート部材21の裏面42から第3方向D3(
図5の例では上側)に陥没していてもよい。
【0078】
天部側シート部材21が有する第1罫線27aの上において、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、天部側シート部材21の厚さA1に対する第1罫線27aの罫線高さA3の比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。天部側シート部材21における第1罫線高さ比率は、30%以上且つ100%以下でもよい。罫線高さとは、罫線が形成されたシート部材において、凸部が形成されている側の面と凸部の頂点までの距離を言う。
図5に示した例では、罫線高さは、天部側シート部材21の裏面42から凸部43の頂部45までの第3方向D3に沿った距離である。
【0079】
天部側シート部材21が有する第1罫線27aの上において、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、第1紙層51の厚さA2に対する第1罫線27aの罫線高さA3の比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。第2罫線高さ比率は、一例として、32%以上且つ250%以下である。天部側シート部材21における第2罫線高さ比率は、45%以上且つ170%以下でもよい。天部側シート部材21における第2罫線高さ比率は、一例として、47%以上且つ167%以下でもよい。
【0080】
なお、本実施形態では、天部側シート部材21が有する第2罫線27b及び第3罫線27c、底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cについても、天部側シート部材21の第1罫線27aと同様の構成を有する。すなわち、天部側シート部材21が有する第2罫線27b及び第3罫線27cのそれぞれの上において、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、天部側シート部材21の厚さA1に対する第2罫線27b及び第3罫線27cの罫線高さA3の比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。
【0081】
天部側シート部材21が有する第2罫線27b及び第3罫線27cのそれぞれの上において、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、第1紙層51の厚さA2に対する第2罫線27b及び第3罫線27cの罫線高さA3の比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。
【0082】
底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cのそれぞれの上において、底部側シート部材31における着目頂点32pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R2では、底部側シート部材31の厚さB1に対する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cの罫線高さの比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。底部側シート部材31における第1罫線高さ比率は、30%以上且つ100%以下でもよい。
【0083】
底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cのそれぞれの上において、底部側シート部材31における着目頂点32pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R2では、第2紙層61の厚さB2に対する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cの罫線高さの比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。或いは、第2罫線高さ比率は、一例として、32%以上且つ250%以下である。底部側シート部材31における第2罫線高さ比率は、45%以上且つ170%以下でもよい。第2罫線高さ比率は、一例として、47%以上且つ167%以下である。
【0084】
紙容器1の製造方法の一例を説明する。
図2に示した平坦な状態の容器本体2は、上記天部側シート部材21及び底部側シート部材31を用いて、例えば次のようにして製造される。
【0085】
まず、第3方向D3から見た場合の平坦な状態において、天部側シート部材21と底部側シート部材31とを、それらが有する対応する面が重なるように配置する。具体的には、天面22と、それに対応する底面32が互いに重なり、第1側面25a1,25a2及びそれらに対応する第1側面35a1,35a2が互いに重なり、第2側面25b1,25b2及びそれらに対応する第2側面35b1,35b2が互いに重なるように、天部側シート部材21と底部側シート部材31とが配置されている。この状態では、第1罫線27a及びそれに対応する第1罫線37aは、互いに重なっており、第2罫線27b及びそれに対応する第2罫線37bは、互いに重なっており、第3罫線27c及びそれに対応する第3罫線37cは、互いに重なっている。
【0086】
図2に示した形態では、天部側シート部材21の方が底部側シート部材31より第2方向D2の長さが長いことから、つなぎ面26とつなぎ面36とは一部重なっており、第2側面25b1及び第2側面25b2とそれらに対応する第2側面35b1及び第2側面35b2も一部重なっている。
【0087】
天部側シート部材21及び底部側シート部材31を重ねる場合には、それらの裏面42同士を対向させる。
【0088】
上記のように配置された天部側シート部材21及び底部側シート部材31を、底部側シート部材31の周縁において接合する。これによって、接合部40が形成されている。天部側シート部材21及び底部側シート部材31は、例えば、ヒートシールによって接合されていてもよいし、接着剤を用いて接合されてもよい。
【0089】
続いて、
図2に示した平坦な状態から箱型の状態に成型する方法について説明する。
図2に示した平坦な状態において、天部側シート部材21の開口部221にはスパウト23(
図3及び
図6参照)が取り付けられているとする。
【0090】
容器本体2を、
図2に示した平坦な状態から箱型の状態に成型させる場合、例えばスパウト23から容器本体2内に空気を吹き込みながら、天面22の各辺22b及び底面32の各辺32bを山折りにすると共に、4つのつなぎ面26及び4つのつなぎ面36を折り畳むことによって、まず、平坦な容器本体2を
図6に示したような箱型の状態(以下、「中間箱型状態」と称す)に成型する。
図6は、容器本体2を平坦な状態から箱型の状態に成型させる一過程を模式的に示す斜視図である。
【0091】
図6に示した中間箱型状態において容器本体2は、天部2aと、底部2bと、一対の第1側面部2c0と、一対の第2側面部2dと、4つのつなぎ片71,72,73,74を有する。平坦な状態から
図6に示した中間箱型状態への成型を具体的に説明する。
【0092】
スパウト23から容器本体2内に空気を吹き込みながら、天面22の各辺22b及び底面32の各辺32bを山折りすることによって、天面22と底面32とが離間する。これによって、天面22によって天部2aが形成され、底面32によって底部2bが形成されるとともに、天部2a(天面22)と底部2b(底面32)との間に液体を収容するための収容空間が形成される。
【0093】
また、上記のように天面22の各辺22b及び底面32の各辺32bを山折りすることによって、天部側シート部材21が有する2つの第1側面25a(第1側面25a1,25a2)及び2つの第2側面25b(第2側面25b1,25b2)並びに底部側シート部材31が有する2つの第1側面35a(第1側面35a1,35a2)及び2つの第2側面35b(第2側面35b1,35b2)が内側(収容空間側)に折れ曲がる。この際、接合部40を、接合部40のうち天面22(底面32)側の縁部に沿って折り曲げる。
図6の形態では、接合部40を底部2b側に底部側シート部材31に設けられた4つの周縁罫線38に沿って折り曲げる。接合部40を底部2b側に折り曲げていることから、第1側面25a1、第1側面25a2、第2側面25b1、第2側面25b2は、対応する第1側面35a1、第1側面35a2、第2側面35b1、第2側面35b2の一部に被さっている。
【0094】
このように平坦な容器本体2を変形する場合、第1側面25a1及びそれに対応する第1側面35a1によって一対の第1側面部2c0のうちの一方の第1側面部2c0が形成され、第2側面25b2及びそれに対応する第2側面35b2によって一対の第1側面部2c0のうちの他方の第1側面部2c0が形成される。同様に、第2側面25b1及びそれに対応する第2側面35b1によって一対の第2側面部2dのうちの一方の第2側面部2dが形成され、第2側面25b2及びそれに対応する第2側面35b2によって一対の第2側面部2dのうちの他方の第2側面部2dが形成される。
【0095】
上記のように、天面22の各辺22b及び底面32の各辺32bを山折りしながら、天部側シート部材21の4つのつなぎ面26及び底部側シート部材31の4つのつなぎ面36を折り畳むことによって、
図6に示したように、つなぎ片71、つなぎ片72、つなぎ片73及びつなぎ片74を形成する。より具体的には、第1つなぎ面26aに形成された第3罫線27cに沿って第1つなぎ面26aを折り畳むとともに、第1つなぎ面36aに形成された第3罫線37cに沿って第1つなぎ面36aを山折りすることによって、つなぎ片71を形成する。同様にして、第2つなぎ面26bと第2つなぎ面36bとによってつなぎ片72を形成し、第3つなぎ面26cと第3つなぎ面36cとによってつなぎ片73を形成し、第4つなぎ面26dと第4つなぎ面36dとによってつなぎ片74を形成する。つなぎ片71~つなぎ片74の形状は例えばフィン状である。
【0096】
続いて、
図6に示した中間箱型状態から、
図1に示した箱型(最終の箱型)の状態に成型する方法を説明する。
【0097】
つなぎ片71を、当該第1つなぎ面26aと接する第2罫線27b、及び、第1つなぎ面36aと接する第2罫線37bに沿って、第1側面25a1及び第1側面35a1によって形成される第1側面部2c0に向かって折り畳むとともに、第1側面部2c0に接合する。同様に、第2つなぎ面26b及び第2つなぎ面36bを折り畳むことで形成されたつなぎ片72を、第2罫線27b及び第2罫線37bに沿って、つなぎ片71が接合された第1側面部2c0に向かって折り畳むとともに、つなぎ片72をつなぎ片71に接合する。これによって、一対の第1側面部2cのうちの一方の第1側面部2cが形成される。
【0098】
第1側面部2c0とつなぎ片71との接合、つなぎ片71とつなぎ片72との接合は、例えばヒートシールによって行われてもよいし、接着剤によって行われていてもよい。第1側面部2c0とつなぎ片71との接合、つなぎ片71とつなぎ片72との接合がヒートシールによって行われる場合、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が有する第1LDPE層52は、シーラント層として機能し得る。第1側面部2c0、つなぎ片71及びつなぎ片72を接合する場合、中間箱型状態の容器本体2内の気圧を外部より高い気圧としてもよい。この場合、第1側面部2c0、つなぎ片71及びつなぎ片71のうち隣接する部分がより密に接しやすいので、それらの剥離が防止されやすい。第1側面部2c0、つなぎ片71及びつなぎ片72の接合は、一緒に実施されてもよい。
【0099】
同様にして、つなぎ片73及びつなぎ片74を、つなぎ片71が接合された第1側面部2c0と対をなす第1側面部2c0に向けて折り畳み、それらを接合することによって一対の第1側面部2cのうちの他方の第1側面部2cを形成する。
【0100】
以上の工程を経て、容器本体2を平坦な状態から
図1に示した箱型の状態に変形させることができる。
【0101】
容器本体2を上記のように
図1に示した箱型の状態に変形した後、スパウト23にボディディスペンサを取り付けることで、
図1に示した紙容器1を製造できる。
【0102】
続いて、本実施形態に係る紙容器1の作用効果について説明する。
【0103】
上記紙容器1では、天部側シート部材21に開口部221が形成されている。そのため、紙容器1では、例えば開口部221から収容空間内に空気を吹き込むことで、平坦な状態から箱形の状態に変形できる。したがって、例えば、ブロー製函加工を用いて、紙容器1を製造できる。更に、上記紙容器1では、例えば開口部221から収容空間内の空気を排出することで、箱型の状態から平坦な状態に変形できる。すなわち、紙容器1は、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能である。
【0104】
上記天部側シート部材21には、天面22の各頂点22aに対応して天部側シート部材21を折り曲げるための罫線群27が設けられている。上記底部側シート部材31には、底面32の各頂点32aに対応して底部側シート部材31を折り曲げるための罫線群37が設けられている。各罫線群27は、
図3(a)を用いて説明したように、2つの第1罫線27a、2つの第2罫線27b及び第3罫線27cを有する。各罫線群37は、
図3(b)を用いて説明したように、2つの第1罫線37a、2つの第2罫線37b及び第3罫線37cを有する。
【0105】
第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれは、以下の条件1を満たす。
<条件1>
罫線群に対応する頂点である着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、シート部材の厚さに対する罫線の罫線高さの比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。
【0106】
具体的には、
図3(a)に示した着目頂点22pに対して説明したように、例えば、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、天部側シート部材21の厚さA1に対する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cの罫線高さA3の比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。
【0107】
図3(b)に示した着目頂点32pに対して説明したように、底部側シート部材31における着目頂点32pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R2では、底部側シート部材31の厚さB1に対する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cの罫線高さの比率(第1罫線高さ比率)は、20%以上且つ150%以下である。
【0108】
天部側シート部材21が有する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cのそれぞれの上記第1罫線高さ比率が20%以上である場合、第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cのそれぞれを設けることによる天部側シート部材21の折れ曲がりやすさがより向上する。上記第1罫線高さ比率が30%以上である場合、天部側シート部材21の折れ曲がりやすさが更に向上する。同様に、底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれの第1罫線高さ比率が20%以上である場合、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cのそれぞれを設けることによる底部側シート部材31の折れ曲がりやすさが向上する。上記第1罫線高さ比率が30%以上である場合、底部側シート部材31の折れ曲がりやすさを更に向上できる点は、天部側シート部材21の場合と同じである。
【0109】
天部側シート部材21が有する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cそれぞれの上記第1罫線高さ比率が150%以下である場合、第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cに沿って天部側シート部材21を折り曲げても罫線割れが生じ難く、外観性が向上する。罫線割れとは、罫線でシート部材を折り曲げた際にシート部材にひび割れが生じることを言う。上記第1罫線高さ比率が100%以下である場合、外観性を更に向上できる。同様に、底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれの罫線高さ比率が150%以下である場合、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cに沿って底部側シート部材31を折り曲げても、罫線割れが生じにくく、外観性が向上する。上記第1罫線高さ比率が100%以下である場合、外観性を更に向上できる点は、天部側シート部材21の場合と同じである。
【0110】
したがって、第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれが、条件1を満たす形態では、成型性及び外観性の向上を実現できる。更に、第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれにおいて、上記条件1記載の第1罫線高さ比率が、30%以上且つ100%以下である場合、成型性及び外観性の向上を更に実現し易い。
【0111】
第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれは、以下の条件2を満たす。
<条件2>
罫線群に対応する頂点である着目頂点から10mm以上且つ15mm以下の範囲では、シート部材が有する紙層の厚さに対する罫線の罫線高さの比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。
【0112】
具体的には、
図3(a)に示した着目頂点22pに対して説明したように、例えば、天部側シート部材21における着目頂点22pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R1では、天部側シート部材21が有する第1紙層51の厚さA2に対する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cの罫線高さA3の比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。
【0113】
図3(b)に示した着目頂点32pに対して説明したように、底部側シート部材31における着目頂点32pから10mm以上且つ15mm以下の範囲R2では、底部側シート部材31が有する第2紙層61の厚さB2に対する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cの罫線高さB3の比率(第2罫線高さ比率)は、30%以上且つ250%以下である。
【0114】
天部側シート部材21が有する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cそれぞれの上記第2罫線高さ比率が30%以上(例えば、32%以上)である場合、第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cのそれぞれを設けることによる天部側シート部材21の折れ曲がりやすさがより向上する。上記第2罫線高さ比率が45%以上(例えば、47%以上)である場合、天部側シート部材21の折れ曲がりやすさが更に向上する。同様に、底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれの第2罫線高さ比率が30%以上(例えば、32%以上)である場合、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cのそれぞれを設けることによる底部側シート部材31の折れ曲がりやすさが向上する。上記第2罫線高さ比率が45%以上(例えば、47%以上)である場合、底部側シート部材31の折れ曲がりやすさを更に向上できる点は、天部側シート部材21の場合と同じである。
【0115】
天部側シート部材21が有する第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cそれぞれの上記第2罫線高さ比率が250%以下である場合、第1罫線27a、第2罫線27b及び第3罫線27cに沿って天部側シート部材21を折り曲げても罫線割れが生じ難く、外観性が向上する。上記第2罫線高さ比率が170%以下(例えば、167%以下)である場合、外観性を更に向上できる。同様に、底部側シート部材31が有する第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれの第2罫線高さ比率が250%以下である場合、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cに沿って底部側シート部材31を折り曲げても、罫線割れが生じにくく、外観性が向上する。上記第2罫線高さ比率が170%以下(例えば、167%以下)である場合、外観性を更に向上できる点は、天部側シート部材21の場合と同じである。
【0116】
したがって、第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれが、条件2を満たす形態では、成型性及び外観性の向上を実現できる。更に、第1罫線27a、第2罫線27b、第3罫線27c、第1罫線37a、第2罫線37b及び第3罫線37cそれぞれにおいて、上記条件2記載の第2罫線高さ比率が、45%以上且つ170%以下(例えば、47%以上且つ167%以下)である場合、成型性及び外観性の向上を更に実現し易い。
【0117】
本実施形態に係る紙容器1は、上記条件1及び上記条件2のいずれも満たす。しかし、紙容器1は、条件1及び条件2の少なくとも一方を満たせばよい。
【0118】
一実施形態において、天部側シート部材21及び底部側シート部材31それぞれが有するPET層54において、流れ方向及び流れ方向に直交する垂直方向を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上である。
【0119】
すなわち、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の樹脂層は、以下の条件3を満たしてよい。
【0120】
<条件3>
天部側シート部材及び底部側シート部材のそれぞれが有する少なくとも1つの樹脂層のうち最も小さい引張伸びを有する樹脂層において、流れ方向に直交する垂直方向及び当該流れ方向を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上である。
【0121】
本実施形態では、天部側シート部材21及び底部側シート部材31における複数の樹脂層のうちPET層54の引張伸びが最も小さい。紙容器1を平坦な状態から箱型の状態に変形する過程において、つなぎ片71,72,73,74(フィン状の部分)が貼り合わされる部分では、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の複数の領域を内側に保持した状態で強い力で曲げられる。この場合、上記PET層54もその内部で強い力で延ばされる力が作用する。このような力は、例えば、
図3(a)及び
図3(b)に示した斜め方向に沿った第3罫線27c,37cに直交する方向に作用し易い。上記第3罫線27c,37c及びそれらに直交する方向は、流れ方向(MD方向)及び垂直方向(TD方向)に対して斜め方向である。そのため、流れ方向及び流れ方向に直交する垂直方向を二等分する方向の引張強度は、23N/15mm以上である場合、上記のように強い力が作用する方向に対しての一定の伸びを確保し易い。そのため、平坦な状態から箱型の状態に変形する過程において、天部側シート部材21及び底部側シート部材31(特に、つなぎ片71,72,73,74となるべき部分)における損傷(例えば、ピンポールの発生)が生じにくい。
【0122】
以上、本発明の一側面に係る紙容器の種々の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれることが意図されるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0123】
上記実施形態では、天部側シート部材21の天面22及び底部側シート部材31の底面32が正方形状である例について説明した。しかし、天面22及び底面32は、多角形状であればよく、正方形状に限定されない。天面22及び底面32は、一例として、六角形状であってもよく、八角形状であってもよい。この場合、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の形状も天面22及び底面32の形状に応じたものでよい。
【0124】
上記実施形態では、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が第1紙層51或いは第2紙層61、第1LDPE層52、第2LDPE層53、PET層54及びLLDPE層55により構成されている例について説明した。しかし、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の層構成は、紙層を有していれば、例示した形態に限定されない。例えば、天部側シート部材21及び底部側シート部材31は、バリア層を有してもよい。
【0125】
天部側シート部材21及び底部側シート部材31は、紙製のシート部材であってもよい。紙製のシート部材の主成分は、例えば紙である。紙製のシート部材は、一例として、シート部材の合計質量のうち、紙の質量が50%を超えているシート部材を言う。
【0126】
内容物は、液体に限定されず、粉体、その他の固体などでもよい。
【0127】
上記実施形態及び変形例は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組合わされてもよい。
【実施例0128】
続いて、実施例を用いて本発明を更に説明する。本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。説明の便宜のため、以下の実施例及び比較例の説明では、上記実施形態における各構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0129】
<第1評価試験>
第1評価試験では、平坦な状態から箱型の状態に変形する際の成形性及び外観性をシート部材(天部側シート部材21及び底部側シート部材31)の厚さに対する罫線高さの比率(第1罫線高さ比率)に関して評価した。第1評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0130】
(実施例1a)
実施例1aでは、天部側シート部材21及び底部側シート部材31を用いて紙容器を製造した。
【0131】
天部側シート部材21は、全体として長方形状を呈していた。天部側シート部材21は、
図3(a)に示したように、正方形状の天面22と、2つの第1側面、2つの第2側面及び4つのつなぎ面26を有していた。各第1側面及び各第2側面の形状は、等脚台形状であった。天部側シート部材21には、
図3(a)を用いて説明したように、天面22の各辺22bに第1罫線27aが設けられ、各第1側面とそれに隣接するつなぎ面26とが共有する辺、及び、各第2側面とそれに隣接するつなぎ面26とが共有する辺に第2罫線27bが設けられると共に、各つなぎ面26内に第3罫線27cが設けられていた。
【0132】
天面22には、開口部221が形成されており、開口部221には、スパウト23が取り付けられていた。
【0133】
底部側シート部材31は、全体として長方形状を呈していた。底部側シート部材31は、
図3(b)に示したように、正方形状の底面32と、2つの第1側面、2つの第2側面及び4つのつなぎ面36を有していた。各第1側面及び各第2側面の形状は、等脚台形状であった。底面32の大きさは、天面22の大きさと同じであった。底部側シート部材31には、
図3(b)を用いて説明したように、天部側シート部材21の場合と同様に複数の罫線が設けられていた。すなわち、底部側シート部材31において、底面32の各辺32bに第1罫線37aが設けられ、各第1側面とそれに隣接するつなぎ面36とが共有する辺、及び、各第2側面とそれに隣接するつなぎ面36とが共有する辺に第2罫線37bが設けられると共に、各つなぎ面36内に第3罫線37cが設けられていた。また、底部側シート部材31には、4本の周縁罫線38が設けられていた。
【0134】
天部側シート部材21は、
図4(a)を用いて説明したように、LLDPE層55、PET層54、第2LDPE層53、第1紙層51及び第1LDPE層52を有していた。LLDPE層55、PET層54、第2LDPE層53、第1紙層51及び第1LDPE層52は、この順に積層されていた。
【0135】
底部側シート部材31は、
図4(b)を用いて説明したように、LLDPE層55、PET層54、第2LDPE層53、第2紙層61及び第1LDPE層52を有していた。LLDPE層55、PET層54、第2LDPE層53、第2紙層61及び第1LDPE層52は、この順に積層されていた。
【0136】
天部側シート部材21及び底部側シート部材31において対応する各層の材料及び厚さは同じであった。すなわち、天部側シート部材21及び底部側シート部材31は、以下の層構成を有していた。以下の層構成において、PET層が紙層より内側となるようにラミネーションされた多層フィルム層におけるベース基材であった。
<層構成>
第1LDPE層/紙層/第2LDPE層/PET層/LLDPE層
【0137】
実施例1aにおいて、上記層構成の各層の厚さは次の通りであった。
紙層の厚さ:250μm
第1LDPE層の厚さ:30μm
第2LDPE層の厚さ:28μm
PET層の厚さ:12μm
LLDPE層の厚さ:80μm
【0138】
上記構成では、シート部材の厚さは400μmであった。シート部材が有する各罫線の罫線高さは同じであった。実施例1aにおいて、上記罫線高さは80μmであった。したがって、第1罫線高さ比率は20%であった。
【0139】
実施例1aでは、上記天部側シート部材21及び底部側シート部材31を、
図2を用いて説明したように、互いに重ねてヒートシールによって接合することによって、平坦な状態の紙容器を製造した。
【0140】
(実施例1b)
実施例1bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを100μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1bにおいて、第1罫線高さ比率は25%であった。
【0141】
(実施例1c)
実施例1cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを120μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1cにおいて、第1罫線高さ比率は30%であった。
【0142】
(実施例1d)
実施例1dでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを160μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1dにおいて、第1罫線高さ比率は40%であった。
【0143】
(実施例1e)
実施例1eでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを200μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1eにおいて、第1罫線高さ比率は50%であった。
【0144】
(実施例1f)
実施例1fでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを280μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1fにおいて、第1罫線高さ比率は70%であった。
【0145】
(実施例1g)
実施例1gでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを360μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1gにおいて、第1罫線高さ比率は90%であった。
【0146】
(実施例1h)
実施例1hでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを400μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1hにおいて、第1罫線高さ比率は100%であった。
【0147】
(実施例1i)
実施例1iでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを600μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例1iにおいて、第1罫線高さ比率は150%であった。
【0148】
(比較例1a)
実施例1a~1iに対する比較例である比較例1aを実施した。比較例1aでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを40μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例1aにおいて、第1罫線高さ比率は10%であった。
【0149】
(比較例1b)
実施例1a~1iに対する比較例である比較例1bを実施した。比較例1bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを60μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例1bにおいて、第1罫線高さ比率は15%であった。
【0150】
(比較例1c)
実施例1a~1iに対する比較例である比較例1cを実施した。比較例1cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを800μmとした点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例1cにおいて、第1罫線高さ比率は200%であった。
【0151】
(試験及び評価方法)
実施例1aの場合を利用して評価試験方法を説明する。実施例1aに係る平坦な紙容器を100個製造した。その後、
図6を用いて説明したように、製造された各紙容器(平坦な紙容器)のスパウト23に空気を吹き込み、箱型の紙容器に成型した。この成型において、天部側シート部材21及び底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数を調査した。このとき、天部側シート部材21及び底部側シート部材31のいずれに成型不良を生じたかを調査した。また、100個の紙容器のうち罫線割れが生じた紙容器の数も調査した。
【0152】
第1評価試験における天部側シート部材21及び底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器とは、第1罫線、第2罫線、第3罫線及び周縁罫線のいずれかから、5mm以上ずれた位置で折れ曲がった紙容器を言う。
【0153】
成型数(100個)に対する良品数(すなわち、成型不良を生じなかった紙容器1の数)の比率及び罫線割れが生じた比率に応じて、紙容器1の評価を実施した。より具体的には、成型性評価では、良品数の比率が95%よりも大きい場合、評価を「A」とし、良品数の数が0%よりも大きく且つ95%以下である場合、評価を「B」とし、良品数の数が0%である場合、評価を「C」とした。また、罫線割れ評価では、100個の紙容器に対して罫線割れが生じた紙容器1の数の比率が3%未満の場合、評価を「A」とし、罫線割れが生じた紙容器1の数の比率が55%以上且つ95%未満である場合、評価を「B」とし、罫線割れが生じた紙容器の数の比率が95%以上の場合、評価を「C」とした。
【0154】
上記実施例1aに対する評価試験方法と同様の方法を実施例1b~1i及び比較例1a~1cの場合に実施して、実施例1aの場合と同様に評価した。
【0155】
実施例1a~1i及び比較例1a~1cの評価結果は
図7に示した通りであった。
図7におけるシート部材の厚さは、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の厚さである。シート部材の罫線高さは、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の罫線高さである。シート部材の厚さに対する罫線高さ比率は、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の厚さに対する天部側シート部材21及び底部側シート部材31の罫線高さの比率である。
【0156】
図7に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例1a、実施例1b、実施例1c、実施例1d、実施例1e、実施例1f、実施例1g、実施例1h及び実施例1iではそれぞれ、49個、33個、5個、1個、0個、2個、0個、1個及び2個であった。したがって、実施例1a、実施例1b、実施例1c、実施例1d、実施例1e、実施例1f、実施例1g、実施例1h及び実施例1iの良品数の比率のそれぞれは、51%、67%、95%、99%、100%、98%、100%、99%及び98%であった。これに対し、比較例1a及び比較例1bでは100個であり、比較例1cでは2個であった。したがって、比較例1a、比較例1b及び比較例1cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0157】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例1a、実施例1b、実施例1c、実施例1d、実施例1e、実施例1f、実施例1g、実施例1h及び実施例1iではそれぞれ、48個、28個、3個、2個、2個、0個、3個、1個及び2個であった。したがって、実施例1a、実施例1b、実施例1c、実施例1d、実施例1e、実施例1f、実施例1g、実施例1h及び実施例1iの良品数の比率のそれぞれは、52%、72%、97%、98%、98%、100%、97%、99%及び98%であった。これに対し、比較例1a及び比較例1bでは100個であり、比較例1cでは1個であった。したがって、比較例1a、比較例1b及び比較例1cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び99%であった。
【0158】
実施例1a~1h及び比較例1a,1bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例1iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例1cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例1cの罫線割れの比率は100%であった。
【0159】
以上のことから、成型性評価は、実施例1c~1i、比較例1cでは「A」であり、実施例1a,1bでは「B」であり、比較例1a,1bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例1a~1h及び比較例1a,1bでは「A」であり、実施例1iでは「B」であり、比較例1cでは「C」であった。
【0160】
<第2評価試験>
第2評価試験では、平坦な状態から箱型の状態に変形する際の成型性及び外観性をシート部材の紙層の厚さに対する罫線高さ比率に関して評価した。第2評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0161】
(実施例2a)
実施例2aでは、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2aにおいて、上記罫線高さは80μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は32%であった。
【0162】
(実施例2b)
実施例2bでは、実施例1bと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2bにおいて、上記罫線高さは100μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は40%であった。
【0163】
(実施例2c)
実施例2cでは、実施例1cと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2cにおいて、上記罫線高さは120μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は48%であった。
【0164】
(実施例2d)
実施例2dでは、実施例1dと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2dにおいて、上記罫線高さは160μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は64%であった。
【0165】
(実施例2e)
実施例2eでは、実施例1eと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2eにおいて、上記罫線高さは200μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は80%であった。
【0166】
(実施例2f)
実施例2fでは、実施例1fと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2fにおいて、上記罫線高さは280μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は112%であった。
【0167】
(実施例2g)
実施例2gでは、実施例1gと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2gにおいて、上記罫線高さは360μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は144%であった。
【0168】
(実施例2h)
実施例2hでは、実施例1hと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2hにおいて、上記罫線高さは400μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は160%であった。
【0169】
(実施例2i)
実施例2iでは、実施例1iと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例2iにおいて、上記罫線高さは600μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は240%であった。
【0170】
(比較例2a)
実施例2a~2iに対する比較例である比較例2aを実施した。比較例2aでは、比較例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例2aにおいて、上記罫線高さは40μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は、16%であった。
【0171】
(比較例2b)
実施例2a~2iに対する比較例である比較例2bを実施した。比較例2bでは、比較例1bと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例2bにおいて、上記罫線高さは60μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は、24%であった。
【0172】
(比較例2c)
実施例2a~2iに対する比較例である比較例2cを実施した。比較例2cでは、比較例1cと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例2cにおいて、上記罫線高さは800μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は320%であった。
【0173】
(試験及び評価方法)
第2評価試験では、第1評価試験の試験及び評価方法を採用した。
【0174】
実施例2a~2i及び比較例2a~2cの評価結果は
図8に示した通りであった。
図8における紙層の厚さは、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が有する紙層の厚さである。シート部材の罫線高さは、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の罫線高さである。シート部材が有する紙層の厚さに対する罫線高さ比率は、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が有する紙層に対する天部側シート部材21及び底部側シート部材31の罫線高さの比率である。
【0175】
図8に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例2a~2iではそれぞれ、49個、33個、5個、1個、0個、2個、0個、1個及び2個であった。したがって、実施例2a~2iの良品数の比率のそれぞれは、51%、67%、95%、99%、100%、98%、100%、99%及び98%であった。これに対し、比較例2a,2bでは100個であり、比較例2cでは2個であった。したがって、比較例2a~2cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0176】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例2a~2iではそれぞれ、48個、28個、3個、2個、2個、0個、3個、1個及び2個であった。したがって、実施例2a~2iの良品数の比率のそれぞれは、52%、72%、97%、98%、98%、100%、97%、99%及び98%であった。これに対し、比較例2a,2bでは100個であり、比較例2cでは1個であった。したがって、比較例2a~2cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び99%であった。
【0177】
実施例2a~2h及び比較例2a,2bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例2iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例2cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例2cの罫線割れの比率は100%であった。
【0178】
以上のことから、成型性評価は、実施例2c~2i、比較例2cでは「A」であり、実施例2a,2bでは「B」であり、比較例2a,2bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例2a~2h及び比較例2a,2bでは「A」であり、実施例2iでは「B」であり、比較例2cでは「C」であった。
【0179】
<第3評価試験>
第3評価試験では、シート部材の厚さを変更して、第1評価試験と同様の試験及び評価を行った。第3評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0180】
(実施例3a)
実施例3aでは、紙層及びLLDPE層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。
紙層の厚さ:190μm
LLDPE層の厚さ:40μm
【0181】
実施例3aにおいて、シート部材の厚さは300μmであった。実施例1aにおいて説明したように、シート部材が有する各罫線の罫線高さは同じであった。実施例3aにおいて、上記罫線高さは60μmであった。したがって、第1罫線高さ比率は20%であった。
【0182】
(実施例3b)
実施例3bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを80μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3bにおいて、第1罫線高さ比率は27%であった。
【0183】
(実施例3c)
実施例3cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを90μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3cにおいて、第1罫線高さ比率は30%であった。
【0184】
(実施例3d)
実施例3dでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを120μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3dにおいて、第1罫線高さ比率は40%であった。
【0185】
(実施例3e)
実施例3eでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを180μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3eにおいて、第1罫線高さ比率は60%であった。
【0186】
(実施例3f)
実施例3fでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを250μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3fにおいて、第1罫線高さ比率は83%であった。
【0187】
(実施例3g)
実施例3gでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを280μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3gにおいて、第1罫線高さ比率は93%であった。
【0188】
(実施例3h)
実施例3hでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを300μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3hにおいて、第1罫線高さ比率は100%であった。
【0189】
(実施例3i)
実施例3iでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを450μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例3iにおいて、第1罫線高さ比率は150%であった。
【0190】
(比較例3a)
実施例3a~3iに対する比較例である比較例3aを実施した。比較例3aでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを30μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例3aにおいて、第1罫線高さ比率は10%であった。
【0191】
(比較例3b)
実施例3a~3iに対する比較例である比較例3bを実施した。比較例3bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを40μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例3bにおいて、第1罫線高さ比率は13%であった。
【0192】
(比較例3c)
実施例3a~3iに対する比較例である比較例3cを実施した。比較例3cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを600μmとした点以外は、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例3cにおいて、第1罫線高さ比率は200%であった。
【0193】
(試験及び評価方法)
第3評価試験では、第1評価試験の試験及び評価方法を採用した。実施例3a~3i及び比較例3a~3cの評価結果は
図9に示した通りであった。
【0194】
図9に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例3a~3iではそれぞれ、40個、30個、4個、1個、0個、0個、0個、2個及び3個であった。したがって、実施例3a~3iの良品数の比率のそれぞれは、60%、70%、96%、99%、100%、100%、100%、98%及び97%であった。これに対し、比較例3a,3bでは100個であり、比較例3cでは4個であった。したがって、比較例3a~3cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び96%であった。
【0195】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例3a~3iではそれぞれ、42個、28個、4個、1個、2個、1個、3個、3個及び3個であった。したがって、実施例3a~3iの良品数の比率のそれぞれは、58%、72%、96%、99%、98%、99%、97%、97%及び97%であった。これに対し、比較例3a,3bでは100個であり、比較例3cでは2個であった。したがって、比較例3a~3cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0196】
実施例3a~3h及び比較例3a,3bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例3iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例3cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例3cの罫線割れの比率は100%であった。
【0197】
以上のことから、成型性評価は、実施例3c~3i、比較例3cでは「A」であり、実施例3a,3bでは「B」であり、比較例3a,3bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例3a~3h及び比較例3a,3bでは「A」であり、実施例3iでは「B」であり、比較例3cでは「C」であった。
【0198】
<第4評価試験>
第4評価試験では、シート部材の厚さを変更して、第2評価試験と同様の試験及び評価を行った。第4評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0199】
(実施例4a)
実施例4aでは、実施例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4aにおいて、上記罫線高さは60μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は32%であった。
【0200】
(実施例4b)
実施例4bでは、実施例3bと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4bにおいて、上記罫線高さは80μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は42%であった。
【0201】
(実施例4c)
実施例4cでは、実施例3cと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4cにおいて、上記罫線高さは90μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は47%であった。
【0202】
(実施例4d)
実施例4dでは、実施例3dと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4dにおいて、上記罫線高さは120μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は63%であった。
【0203】
(実施例4e)
実施例4eでは、実施例3eと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4eにおいて、上記罫線高さは180μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は95%であった。
【0204】
(実施例4f)
実施例4fでは、実施例3fと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4fにおいて、上記罫線高さは250μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は132%であった。
【0205】
(実施例4g)
実施例4gでは、実施例3gと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4gにおいて、上記罫線高さは280μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は147%であった。
【0206】
(実施例4h)
実施例4hでは、実施例3hと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4hにおいて、上記罫線高さは300μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は158%であった。
【0207】
(実施例4i)
実施例4iでは、実施例3iと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例4iにおいて、上記罫線高さは450μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は237%であった。
【0208】
(比較例4a)
実施例4a~4iに対する比較例である比較例4aを実施した。比較例4aでは、比較例3aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例4aにおいて、上記罫線高さは30μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は16%であった。
【0209】
(比較例4b)
実施例4a~4iに対する比較例である比較例4bを実施した。比較例4bでは、比較例3bと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例4bにおいて、上記罫線高さは40μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は21%であった。
【0210】
(比較例4c)
実施例4a~4iに対する比較例である比較例4cを実施した。比較例4cでは、比較例3cと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例4cにおいて、上記罫線高さは600μmであった。第2罫線高さ比率は316%であった。
【0211】
(試験及び評価方法)
第4評価試験では、第2評価試験の試験及び評価方法を採用した。実施例4a~4i及び比較例4a~4cの評価結果は
図10に示した通りであった。
【0212】
図10に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例4a~4iではそれぞれ、40個、30個、4個、1個、0個、0個、0個、2個及び3個であった。したがって、実施例4a~4iの良品数の比率のそれぞれは、60%、70%、96%、99%、100%、100%、100%、98%及び97%であった。これに対し、比較例4a,4bでは100個であり、比較例4cでは4個であった。したがって、比較例4a~4cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び96%であった。
【0213】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例4a~4iではそれぞれ、42個、28個、4個、1個、2個、1個、3個、3個及び3個であった。したがって、実施例4a~4iの良品数の比率のそれぞれは、58%、72%、96%、99%、98%、99%、97%、97%及び97%であった。これに対し、比較例4a,4bでは100個であり、比較例4cでは2個であった。したがって、比較例4a~4cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0214】
実施例4a~4h及び比較例4a,4bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例4iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例4cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例4cの罫線割れの比率は100%であった。
【0215】
以上のことから、成型性評価は、実施例4c~4i、比較例4cでは「A」であり、実施例4a,4bでは「B」であり、比較例4a,4bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例4a~4h及び比較例4a,4bでは「A」であり、実施例4iでは「B」であり、比較例4cでは「C」であった。
【0216】
<第5評価試験>
第5評価試験では、シート部材の厚さを変更して、第1評価試験と同様の試験及び評価を行った。第5評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0217】
(実施例5a)
実施例5aでは、紙層及びLLDPE層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例1aと同様にして平坦な紙容器を得た。
紙層の厚さ:300μm
LLDPE層の厚さ:130μm
【0218】
実施例5aにおいて、シート部材の厚さは500μmであった。実施例1aにおいて説明したように、シート部材が有する各罫線の罫線高さは同じであった。実施例5aにおいて、上記罫線高さは100μmであった。したがって、第1罫線高さ比率は20%であった。
【0219】
(実施例5b)
実施例5bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを130μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5bにおいて、第1罫線高さ比率は26%であった。
【0220】
(実施例5c)
実施例5cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを150μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5cにおいて、第1罫線高さ比率は30%であった。
【0221】
(実施例5d)
実施例5dでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを180μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5dにおいて、第1罫線高さ比率は36%であった。
【0222】
(実施例5e)
実施例5eでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを250μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5eにおいて、第1罫線高さ比率は50%であった。
【0223】
(実施例5f)
実施例5fでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを330μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5fにおいて、第1罫線高さ比率は66%であった。
【0224】
(実施例5g)
実施例5gでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを400μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5gにおいて、第1罫線高さ比率は80%であった。
【0225】
(実施例5h)
実施例5hでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを500μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5hにおいて、第1罫線高さ比率は100%であった。
【0226】
(実施例5i)
実施例5iでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを750μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例5iにおいて、第1罫線高さ比率は150%であった。
【0227】
(比較例5a)
実施例5a~5iに対する比較例である比較例5aを実施した。比較例5aでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを60μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例5aにおいて、第1罫線高さ比率は12%であった。
【0228】
(比較例5b)
実施例5a~5iに対する比較例である比較例5bを実施した。比較例5bでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを80μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例5bにおいて、第1罫線高さ比率は16%であった。
【0229】
(比較例5c)
実施例5a~5iに対する比較例である比較例5cを実施した。比較例5cでは、シート部材が有する各罫線の罫線高さを1000μmとした点以外は、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例5cにおいて、第1罫線高さ比率は200%であった。
【0230】
(試験及び評価方法)
第5評価試験では、第1評価試験の試験及び評価方法を採用した。実施例5a~5i及び比較例5a~5cの評価結果は
図11に示した通りであった。
【0231】
図11に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例5a~5iではそれぞれ、44個、30個、4個、0個、0個、1個、0個、2個及び3個であった。したがって、実施例5a~5iの良品数の比率のそれぞれは、56%、70%、96%、100%、100%、99%、100%、98%及び97%であった。これに対し、比較例5a,5bでは100個であり、比較例5cでは3個であった。したがって、比較例5a~5cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び97%であった。
【0232】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例5a~5iではそれぞれ、38個、25個、2個、2個、1個、1個、1個、1個及び1個であった。したがって、実施例5a~5iの良品数の比率のそれぞれは、62%、75%、98%、98%、99%、99%、99%、99%及び99%であった。これに対し、比較例5a,5bでは100個であり、比較例5cでは2個であった。したがって、比較例5a~5cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0233】
実施例5a~5h及び比較例5a,5bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例5iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例5cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例5cの罫線割れの比率は100%であった。
【0234】
以上のことから、成型性評価は、実施例5c~5i、比較例5cでは「A」であり、実施例5a,5bでは「B」であり、比較例5a,5bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例5a~5h及び比較例5a,5bでは「A」であり、実施例5iでは「B」であり、比較例5cでは「C」であった。
【0235】
<第6評価試験>
第6評価試験では、シート部材の厚さを変更して、第2評価試験と同様の試験及び評価を行った。第6評価試験における実施例及び比較例を説明する。
【0236】
(実施例6a)
実施例6aでは、実施例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6aにおいて、上記罫線高さは100μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は33%であった。
【0237】
(実施例6b)
実施例6bでは、実施例5bと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6bにおいて、上記罫線高さは130μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は43%であった。
【0238】
(実施例6c)
実施例6cでは、実施例5cと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6cにおいて、上記罫線高さは150μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は50%であった。
【0239】
(実施例6d)
実施例6dでは、実施例5dと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6dにおいて、上記罫線高さは180μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は60%であった。
【0240】
(実施例6e)
実施例6eでは、実施例5eと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6eにおいて、上記罫線高さは250μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は83%であった。
【0241】
(実施例6f)
実施例6fでは、実施例5fと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6fにおいて、上記罫線高さは330μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は110%であった。
【0242】
(実施例6g)
実施例6gでは、実施例5gと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6gにおいて、上記罫線高さは400μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は133%であった。
【0243】
(実施例6h)
実施例6hでは、実施例5hと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6hにおいて、上記罫線高さは500μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は167%であった。
【0244】
(実施例6i)
実施例6iでは、実施例5iと同様にして平坦な紙容器を得た。実施例6iにおいて、上記罫線高さは750μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は250%であった。
【0245】
(比較例6a)
実施例6a~6iに対する比較例である比較例6aを実施した。比較例6aでは、比較例5aと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例6aにおいて、上記罫線高さは60μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は20%であった。
【0246】
(比較例6b)
実施例6a~6iに対する比較例である比較例6bを実施した。比較例6bでは、比較例5bと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例6bにおいて、上記罫線高さは80μmであった。したがって、第2罫線高さ比率は27%であった。
【0247】
(比較例6c)
実施例6a~6iに対する比較例である比較例6cを実施した。比較例6cでは、比較例5cと同様にして平坦な紙容器を得た。比較例6cにおいて、上記罫線高さは1000μmであった。第2罫線高さ比率は333%であった。
【0248】
(試験及び評価方法)
第6評価試験では、第2評価試験の試験及び評価方法を採用した。実施例6a~6i及び比較例6a~6cの評価結果は
図12に示した通りであった。
【0249】
図12に示されるように、天部側シート部材21に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例6a~6iではそれぞれ、44個、30個、4個、0個、0個、1個、0個、2個及び3個であった。したがって、実施例6a~6iの良品数の比率のそれぞれは、56%、70%、96%、100%、100%、99%、100%、98%及び97%であった。これに対し、比較例6a,6bでは100個であり、比較例6cでは3個であった。したがって、比較例6a~6cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び97%であった。
【0250】
また、底部側シート部材31に成型不良を生じた紙容器の個数は、実施例6a~6iではそれぞれ、38個、25個、2個、2個、1個、1個、1個、1個及び1個であった。したがって、実施例6a~6iの良品数の比率のそれぞれは、62%、75%、98%、98%、99%、99%、99%、99%及び99%であった。これに対し、比較例6a,6bでは100個であり、比較例6cでは2個であった。したがって、比較例6a~6cの良品数の比率のそれぞれは、0%、0%及び98%であった。
【0251】
実施例6a~6h及び比較例6a,6bにおける罫線割れの比率は、50%以下であった。実施例6iにおける罫線割れの比率は、55%以上且つ95%未満であった。一方、比較例6cでは、100個全ての紙容器において罫線割れが生じた。よって、比較例6cの罫線割れの比率は100%であった。
【0252】
以上のことから、成型性評価は、実施例6c~6i、比較例6cでは「A」であり、実施例6a,6bでは「B」であり、比較例6a,6bでは「C」であった。また、罫線割れ評価は、実施例6a~6h及び比較例6a,6bでは「A」であり、実施例6iでは「B」であり、比較例6cでは「C」であった。
【0253】
以上より、第1、3、5評価試験では、紙容器を構成する天部側シート部材21の厚さA1及び底部側シート部材31の厚さB1に対する罫線高さ比率のそれぞれを20%以上且つ150%以下とすることで、成型性及び外観性の向上を実現できることが確認された。更に、
図7、9、11に示された結果より、紙容器を構成する天部側シート部材21の厚さA1及び底部側シート部材31の厚さB1それぞれに対する罫線高さ比率が30%以上且つ100%以下である場合、成型性及び外観性の向上を一層確実に実現できることが理解できる。よって、成型性及び外観性の向上の観点から、天部側シート部材21の厚さA1及び底部側シート部材31の厚さB1それぞれに対する罫線高さ比率が30%以上且つ100%以下であることが好ましいことが理解され得る。
【0254】
また、第2、4、6評価試験では、紙容器を構成する天部側シート部材21が有する紙層の厚さA2及び底部側シート部材31が有する紙層の厚さB2に対する罫線高さ比率のそれぞれを30%以上(例えば、32%以上)且つ250%以下とすることで、成型性及び外観性の向上を実現できることが確認された。更に、
図8、10、12に示された結果より、紙容器を構成する天部側シート部材21が有する紙層の厚さA2及び底部側シート部材31が有する紙層の厚さB2に対する罫線高さ比率が45%以上(例えば、47%以上)且つ170%以下(例えば、167%以下)である場合、成型性及び外観性の向上を一層確実に実現できることが理解できる。よって、成型性及び外観性の向上の観点から、天部側シート部材21が有する紙層の厚さA2及び底部側シート部材31が有する紙層の厚さB2に対する罫線高さ比率が45%以上(例えば、47%以上)且つ170%以下(例えば、167%以下)であることが好ましいことが理解され得る。
【0255】
<第7評価試験>
第7評価試験では、天部側シート部材21及び底部側シート部材31が有する複数の樹脂層のうち最も引張伸びが小さい樹脂層の、流れ方向(MD方向)及び垂直方向(TD方向)を二等分する方向の引張強度(以下、単に「引張強度」と称す)の影響を評価した。第7評価試験における実施例及び参考例を説明する。第7評価試験において、上記最も引張伸びが小さい樹脂層は、天部側シート部材21及び底部側シート部材31のそれぞれが有するベース基材であった。
【0256】
(実施例7a)
実施例7aでは、PET層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例1aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PET層の厚さ:9μm
【0257】
実施例7aにおいて、天部側シート部材21及び底部側シート部材31の厚さは397μmであり、紙層比率は63%であった。実施例7aにおいて、ベース基材であるPET層54における引張強度は、26.5N/15mmであった。引張強度は、JIS L 1096に記載された引張強度試験により計測された値であった。引張強度試験における引張速度は、300mm/minであった。引張強度試験におけるPET層54の幅(いわゆるつかみ幅)は、15mmであった。
【0258】
(実施例7b)
実施例7bでは、PET層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PET層の厚さ:12μm
【0259】
実施例7bにおいて、シート部材の厚さは400μmであり、紙層比率は63%であった。実施例7bにおいて、PET層の引張強度は、38.3N/15mmであった。
【0260】
(実施例7c)
実施例7cでは、PET層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PET層の厚さ:25μm
【0261】
実施例7cにおいて、シート部材の厚さは413μmであり、紙層比率は61%であった。実施例7cにおいて、PET層の引張強度は、84.5N/15mmであった。
【0262】
(実施例7d)
実施例7dでは、PET層に代えてPP(polypropylene)を材料とするPP層をベース基材に用い、PP層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PP層の厚さ:15μm
【0263】
実施例7dにおいて、シート部材の厚さは403μmであり、紙層比率は62%であった。実施例7dにおいて、PP層の引張強度は、35.8N/15mmであった。
【0264】
(実施例7e)
実施例7eでは、PET層に代えてNy(nylon)を材料とするNy層をベース基材に用い、Ny層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
Ny層の厚さ:15μm
【0265】
実施例7eにおいて、シート部材の厚さは403μmであり、紙層比率は62%であった。実施例7eにおいて、Ny層の引張強度は、26.8N/15mmであった。
【0266】
(参考例7a)
実施例7a~7eに対する参考例7aを実施した。参考例7aでは、PET層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PET層の厚さ:6μm
【0267】
参考例7aにおいて、シート部材の厚さは394μmであり、紙層比率は63%であった。参考例7aにおいて、PET層の引張強度は、18.5N/15mmであった。
【0268】
(参考例7b)
また、実施例7a~7eに対する参考例7bを実施した。参考例7bでは、PET層に代えてPP層をベース基材に用い、PP層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
PP層の厚さ:12μm
【0269】
参考例7bにおいて、シート部材の厚さは400μmであり、紙層比率は63%であった。参考例7bにおいて、PP層の引張強度は、22.6N/15mmであった。
【0270】
(参考例7c)
さらに、実施例7a~7eに対する参考例7cを実施した。参考例7cでは、PET層に代えてNy層をベース基材に用い、Ny層の厚さを以下のように変更した点以外は、実施例7aと同様にして、平坦な紙容器を得た。
Ny層の厚さ:12μm
【0271】
参考例7cにおいて、シート部材の厚さは400μmであり、紙層比率は63%であった。参考例7cにおいて、Ny層の引張強度は、12.5N/15mmであった。
【0272】
(試験及び評価方法)
実施例7aの場合を利用して試験及び評価方法を説明する。実施例7aに係る平坦な紙容器1を10個製造した。その後、
図6を用いて説明したように、製造された各紙容器(平坦な紙容器1)のスパウト23に空気を吹き込み、箱型(直方体状)の紙容器に成型した。箱型の紙容器1に成型中において実施する接合には、ヒートシールを用いた。上記成型において、ピンホールを生じた紙容器1の数を調べた。
【0273】
なお、紙容器1にピンホールを生じたか否かは下記の通り判断した。まず、製造した箱型の紙容器の内面に浸透液を塗布した。そして、2時間以内に浸透液が紙容器の外面に漏れたことが確認された場合、当該紙容器にピンホールが生じたと判断した。
【0274】
成型数(10個)に対する良品数(すなわち、ピンホールを生じなかった紙容器の数)の比率に応じて、紙容器の総合評価を実施した。より具体的には、良品数の比率が100%である場合、評価を「A」とし、良品数の比率が100%よりも小さい場合、評価を「C」とした。
【0275】
上記実施例7aに対する試験方法と同様の方法を実施例7b~7e及び参考例7a~7cの場合に実施して、実施例7aの場合と同様に評価した。実施例7a~7e及び参考例7a~7cの評価結果は
図13に示した通りであった。
【0276】
図13に示されるように、ピンホールを生じた紙容器1は、実施例7a~7eでは0個であった。したがって、実施例7a~7eの良品数の比率は、いずれも100%であった。これに対し、ピンホールを生じた紙容器1は、参考例7aでは5個であり、参考例7bでは4個であり、参考例7cでは2個であった。したがって、参考例7a~7cの良品数の比率のそれぞれは、95%、96%及び98%であった。よって、総合評価は、実施例7a~7eでは「A」であり、参考例7a~7cでは「C」であった。
【0277】
以上より、第7評価試験では、最も小さい引張伸びを有する樹脂層において、第1方向D1及び第2方向D2を二等分する方向の引張強度を23N/15mm以上とすることで、ピンホールの発生を抑制できることが確認された。
1…紙容器、21…天部側シート部材(第1シート部材)、22…天面(第1面)、22a,32a…頂点、22b,32b…辺、22p…着目頂点、25a,35a…第1側面(第2面)、25b,35b…第2側面(第2面)、26,36…つなぎ面(第3面)、27,37…罫線群、27a,37a…第1罫線、27b,37b…第2罫線、27c,37c…第3罫線、31…底部側シート部材(第2シート部材)、32…底面(第1面)、51…第1紙層、54…PET層(樹脂層)、61…第2紙層、221…開口部、A3,B3…罫線高さ、R1,R2…範囲。