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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048791
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】固定部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B65D19/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154892
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 倫明
(72)【発明者】
【氏名】塚田 茂
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA11
3E063AA40
3E063BA05
3E063BA08
3E063DA05
3E063EE01
3E063EE06
3E063FF06
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】係合部と荷重受け部とが同じ側に設けられる場合と比較して、固定部材の取り付けに係る作業性の低下を抑制する。
【解決手段】固定部材は、キャスタを有する機器の下面を基台の上面に固定する固定部材であって、前記機器の下面に設けられた貫通孔から挿入され、前記機器の下面の上側に沿って延び、当該機器の下面に係合する係合部と、前記係合部に対向して前記基台の上面の上側に沿って延び、当該基台の上面に取り付けられる取付部と、前記貫通孔を通って前記係合部および前記取付部を接続する接続部と、前記接続部に対し、前記係合部とは反対側に設けられ、前記機器の下面の下側に接触して荷重を受ける荷重受け部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスタを有する機器の下面を基台の上面に固定する固定部材であって、
前記機器の下面に設けられた貫通孔から挿入され、前記機器の下面の上側に沿って延び、当該機器の下面に係合する係合部と、
前記係合部に対向して前記基台の上面の上側に沿って延び、当該基台の上面に取り付けられる取付部と、
前記貫通孔を通って前記係合部および前記取付部を接続する接続部と、
前記接続部に対し、前記係合部とは反対側に設けられ、前記機器の下面の下側に接触して荷重を受ける荷重受け部と、を備える固定部材。
【請求項2】
前記荷重受け部は、前記接続部と共通の板材により構成されることを特徴とする、請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
前記荷重受け部は、前記板材により形成される曲面であることを特徴とする、請求項2に記載の固定部材。
【請求項4】
前記荷重受け部は、前記板材のヘミング曲げによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の固定部材。
【請求項5】
前記接続部は、屈曲部を有することを特徴とする、請求項1に記載の固定部材。
【請求項6】
前記屈曲部は、前記係合部から離れる方向に屈曲することを特徴とする、請求項5に記載の固定部材。
【請求項7】
前記屈曲部は、前記係合部よりも前記取付部に近い位置に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の固定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャスタ付の機器を弾性支持および固定するパレットの支持構造であって、パレットの上面のデッキボードに形成される凹溝部に着脱自在に収納されキャスタを支持する弾性部材と、機器の下面とデッキボード間に挿脱可能に開設され、両社にボルト締め又はナット締めのみにより固定される固定部材とを備え、弾性部材はその上面をデッキボードの上面とほぼ面一に形成されることを特徴とする、機器搭載用パレットの支持構造について記載されている。
特許文献2には、パレット装置における固定部材として、パレット基台にねじ部材で固定され、断面コ字状で、ねじ部材が通過できる複数のスリットを形成し、これらスリットとねじ部材を利用し、製品の底面の位置を変え、固定部材を製品の下側へ入れたり、取り出したりが簡単にできるような固定部材について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-095429号公報
【特許文献2】特開2012-062112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば画像形成装置等の下面にキャスタを有する機器を、パレット等の基台に載せて運搬する場合、固定部材を用いて機器の下面と基台の上面との間を固定した状態で搬送する。
ところで、係合部を機器の下面に設けられた貫通孔から挿入して係合させる(「係合式」と呼ぶ場合がある。)ことで、機器への取り付けが可能な固定部材がある。係合式を用いると、ボルトやナット等のねじ部材を用いて取り付ける(「ねじ式」と呼ぶ場合がある。)固定部材に比べ、機器への固定部材の取り付けが容易になる。
ここで、係合式の固定部材には、機器の下面の下側にて機器の荷重を支える荷重受け部を設ける必要がある。しかしながら、係合部と荷重受け部とが同じ方向に延びていると、係合部を貫通孔に挿入する際、荷重受け部と機器の下面とが干渉し、固定部材の取り付けに係る作業性が低下する。
本発明の固定部材は、係合部と荷重受け部とが同じ側に設けられる場合と比較して、固定部材の取り付けに係る作業性の低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、キャスタを有する機器の下面を基台の上面に固定する固定部材であって、前記機器の下面に設けられた貫通孔から挿入され、前記機器の下面の上側に沿って延び、当該機器の下面に係合する係合部と、前記係合部に対向して前記基台の上面の上側に沿って延び、当該基台の上面に取り付けられる取付部と、前記貫通孔を通って前記係合部および前記取付部を接続する接続部と、前記接続部に対し、前記係合部とは反対側に設けられ、前記機器の下面の下側に接触して荷重を受ける荷重受け部と、を備える固定部材である。
請求項2に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記接続部と共通の板材により構成されることを特徴とする、請求項1に記載の固定部材である。
請求項3に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記板材により形成される曲面であることを特徴とする、請求項2に記載の固定部材である。
請求項4に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記板材のヘミング曲げによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の固定部材である。
請求項5に記載の発明は、前記接続部は、屈曲部を有することを特徴とする、請求項1に記載の固定部材である。
請求項6に記載の発明は、前記屈曲部は、前記係合部から離れる方向に屈曲することを特徴とする、請求項5に記載の固定部材である。
請求項7に記載の発明は、前記屈曲部は、前記係合部よりも前記取付部に近い位置に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の固定部材である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、係合部と荷重受け部とが同じ側に設けられる場合と比較して、固定部材の取り付けに係る作業性の低下を抑制する。
請求項2に記載の発明によれば、荷重受け部と接続部とを異なる部材により構成する場合と比較して、固定部材の製造が容易になる。
請求項3に記載の発明によれば、荷重受け部が平面により構成される場合と比較して、接触による機器の損傷を抑制する。
請求項4に記載の発明によれば、荷重受け部の形成が容易になる。
請求項5に記載の発明によれば、接続部が屈曲部を有しない場合と比較して、固定部材が塑性変形した場合の取り外しが容易になる。
請求項6に記載の発明によれば、屈曲部が係合部に近付く方向に屈曲する場合と比較して、固定部材の取り付けが容易になる。
請求項7に記載の発明によれば、屈曲部が取付部よりも係合部に近い場合と比較して、固定部材の取り付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】固定部材により、画像形成装置をパレットに固定した様子を示す図である。
図2】本発明の実施の形態が適用される固定部材について説明する図であり、図2(a)は固定部材の斜視図、図2(b)は図2(a)のIIA-IIA面における断面図である。
図3】固定部材の取り付けの手順について説明する図であり、図3(a)は固定部材を画像形成装置の下面と基台の上面との間に挿入する様子、図3(b)は貫通孔から係合部を挿入する様子、図3(c)は係合部を係合させる様子を示す図である。
図4】本発明の実施の形態が適用されない比較例の固定部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<固定部材による機器の固定>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態(「本実施の形態」と呼ぶ場合がある。)について説明する。
まず初めに、固定部材による機器の固定について説明する。以下では、キャスタを有する機器の一例である画像形成装置が、基台の一例であるパレットに固定される場合を例にして説明する。
図1は、固定部材1により、画像形成装置8をパレット9に固定した様子を示す図である。なお、以下では、画像形成装置8に対しパレット9が位置する側を下、パレット9に対し画像形成装置8が位置する側を上とする。
【0009】
画像形成装置8は、画像形成部等の各種機能部から構成される本体80と、本体80を移動可能に支持するキャスタ81とを備えている。
キャスタ81は、本体80の下面801に取り付けられ、車輪により本体80の前後左右斜め方向への移動を可能としている。
下面801は、本体80におけるいわゆるハウジングであり、本体80の外観において下端となる。下面801は、例えばプラスチック等の弾性材料により構成される。
【0010】
パレット9は、運搬等を行う際に画像形成装置8を載せるためのブロックであり、例えば木材やプラスチック等の弾性材料により構成される。
パレット9の側面(符号なし)には、フォークリフトの爪を差し込むための溝(いわゆるフォークポケット)が設けられており、フォークリフトによってパレット9と画像形成装置8とを持ち上げて、運搬できるようになっている。
【0011】
なお、画像形成装置8の下面801およびパレット9の上面90を、互いに対向する平面として説明するが、下面801および上面90は曲面であってもよく、溝や突起、孔等が形成された凹凸形状を有していても構わない。
【0012】
先述したように、画像形成装置8はキャスタ81を有しているため、少なくとも運搬を行う際には、パレット9上で画像形成装置8が移動しないように固定する必要がある。
図示するように、固定部材1は、画像形成装置8の下面801とパレット9の上面90とを繋ぎ留め、パレット9上で画像形成装置8が移動しないように固定する。
図1の例では、画像形成装置8に対し前後方向および左右方向に取り付けられた、4つの固定部材1により固定が行われている。ただし、このうち2つは、画像形成装置8に隠れて見えないため、図示していない。
【0013】
<固定部材1>
次に、本実施の形態が適用される固定部材1について、詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態が適用される固定部材1について説明する図であり、図2(a)は固定部材1の斜視図、図2(b)は図2(a)のIIA-IIA面における断面図である。なお、図2(b)では説明のため、固定部材1が画像形成装置8の下面801およびパレット9の上面90に取り付けられた状態(以下、「取付状態」と呼ぶ場合がある。)を示している。
図2(a)における右上側が+x方向、左上側が+y方向、上側が+z方向であり、対応して、図2(b)における右側が+x方向、紙面の裏面側(奥側)が+y方向、上側が+z方向である。
【0014】
図2(a),(b)に示すように、本実施の形態が適用される固定部材1は、取付部11と、接続部12と、係合部13と、荷重受け部14(14a,14b)と、側方支持部15(15a,15b)とを備える。
固定部材1を構成する板材としては、例えば、金属板等を用いることができる。
【0015】
取付部11は、固定部材1をパレット9に取り付けるための部分であり、図2(b)に示すように、取付状態において、パレット9の上面90の上側に沿って延びている。
本実施の形態に係る取付部11は、図2(a)に示すように、板状に構成され、ねじ孔11Aを有している。そして、このねじ孔11Aを通るねじ部材(不図示)により、上面90に取り付けられる。
なお、図2(a)では、取付部11が六角形状の例を示しているが、形状は限定されない。
【0016】
接続部12は、取付部11および係合部13を接続する部分である。より詳しくは、図2(b)に示すように、取付状態において、画像形成装置8の下面801に設けられた貫通孔801Aを通って取付部11および係合部13を接続する。
言い換えると、接続部12は、一端(図2(b)における-z方向の端)が取付部11と連続し、他端(図2(b)における+z方向の端)が係合部13と連続している。なお、接続部12の一端と連続する取付部11の端部を、端部111と記載する。
【0017】
本実施の形態に係る接続部12は、屈曲部123にて係合部13から離れる方向(+x方向)に屈曲した板材であり、屈曲部123よりも下側(つまり、取付部11に近い側)の下部121と、上側(つまり、係合部13に近い側)の上部122を有する。
下部121は、屈曲部123から-x方向かつ-z方向である斜め方向に向かって延びている。
上部122は、屈曲部123から-x方向かつ+z方向である斜め方向に向かって延びている。
【0018】
係合部13は、固定部材1を画像形成装置8の下面801に係合するための部分であり、図2(b)に示すように、取付状態において、下面801の上側に沿って、取付部11と対向するように延びている。図2(b)の例では、取付部11および係合部13は、-x方向に向かって対向するように延びている。
本実施の形態に係る係合部13は、図2(a)に示すように、接続部12の上端122Aから折り曲げられた板状に構成されている。詳細は図3(c)を用いて後述するが、係合部13は、下面801に設けられた貫通孔801Aを通って下面801の上側に位置し、下面801に対して係合する。
【0019】
なお、画像形成装置8の下面801における貫通孔801Aのy方向の幅は、係合部13および接続部12において貫通孔801Aを通る部分のy方向の幅よりも大きくなっている。
【0020】
荷重受け部14は、接続部12に対し、係合部13とは反対側(+x方向)に設けられ、画像形成装置8の荷重を受ける部分である。より詳しくは、図2(b)に示すように、取付状態において、下面801に接触し、画像形成装置8の荷重を受ける。
図2(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る荷重受け部14は、曲面により構成されている。言い換えると、取付状態において、荷重受け部14として画像形成装置8の下面801に接触する部分は、曲率を有している。
【0021】
なお、画像形成装置8の下面801における貫通孔801Aのy方向の幅は、2つの荷重受け部14a,14bの間の距離よりも小さくなっている。これにより、荷重受け部14a,14bと、下面801における貫通孔801Aが形成されていない部分と、が接触し、荷重を受けられるようになっている。
【0022】
本実施の形態に係る固定部材1は、1枚の板材により形成されている。つまり、荷重受け部14は、隣接する部分である接続部12と共通の板材により構成されている。
【0023】
また、荷重受け部14は、接続部12の上端122Aから連続して延びる板材が、屈曲部123に向かってヘミング曲げで曲げられることによって構成された曲面である。
これにより、荷重受け部14の形成が容易になっている。また、ヘミング曲げを用いない場合と比較して、荷重受け部14が大きくなることが抑制されて、固定部材1の取り付けに係る作業性の向上に寄与する。
【0024】
側方支持部15は、接続部12の側方に延びる部分であって、固定部材1の荷重による変形量が大きくなった(図3(c)を用いて後述する。)際に、画像形成装置8の荷重を支持する。これにより、固定部材1の変形量が予め定められた量よりも大きくなることを抑制する。
本実施の形態に係る側方支持部15は、接続部12の上部122から連続する板材の折り曲げにより形成され、-x方向へ向かって延びる部分である。
【0025】
<固定部材1の取り付け>
次に、固定部材1を取り付ける手順について説明する。
図3は、固定部材1の取り付けの手順について説明する図であり、図3(a)は固定部材1を画像形成装置8の下面801とパレット9の上面90との間に挿入する様子、図3(b)は貫通孔801Aから係合部13を挿入する様子、図3(c)は係合部13を係合させる様子を示す図である。なお、何れも、図2(b)と同様のIIA-IIA断面に対応する断面図である。
【0026】
まず、図3(a)に示すように、固定部材1が取付部11の端部111を中心に(図3(a)の例では時計回りに)傾けられる。なお、固定部材1では、高さ(図2におけるz方向の寸法)が、下面801と上面90との間の距離よりも大きくなるので、このように傾けることが必要になる。
そして、白抜きの矢印で示すように、固定部材1が下面801と上面90との間の空間に差し込まれる。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、固定部材1の係合部13の先端131を、下面801の貫通孔801Aに通す。
そして、白抜きの矢印で示すように、固定部材1を端部111を中心にして図3(a)とは逆に(図3(b)における反時計回りに)傾け、角度を調整する。
これにより、係合部13が貫通孔801Aを通り抜ける。また、接続部12の上端が貫通孔801Aに通った状態となる。
【0028】
固定部材1の角度の調整は、図3(c)に示すように、取付部11と上面90とが略平行になるまで行う。
そして、白抜きの矢印で示すように、接続部12が貫通孔801Aの縁(図3(c)における左端)に突き当たるまで、固定部材1の位置を調整する。これにより、係合部13が下面801に係合する。
【0029】
以上、図3(a)~(c)に示す手順が完了した後、ねじ部材(不図示)をねじ孔11Aに通して締めることで、固定部材1の取り付けが完了し、取付状態となる。
なお、本実施の形態においては、図3(c)の手順中および取付状態の荷重受け部14は、下面801の下側に接触している。
【0030】
ここで、図4を用いて、本実施の形態が適用されない固定部材について説明する。
図4は、本発明の実施の形態が適用されない比較例の固定部材2を示す図である。なお、図4は、図2(b)や図3(c)に示す断面図に対応する図であり、固定部材2における画像形成装置8の下面801およびパレット9の上面90への取付状態を示している。
固定部材2は、パレット9の上面90に取り付けられる取付部21と、画像形成装置8の下面801に係合する係合部23と、取付部21および係合部23を接続する接続部22と、画像形成装置8の荷重を受ける荷重受け部24を有している。なお、固定部材2では、簡単のため、接続部22が屈曲部を有しない(平面状である)こととしている。
【0031】
図示するように、比較例の固定部材2では、荷重受け部24が、接続部22に対し係合部23と同じ方向(-x方向)に設けられている。
したがって、本実施の形態が適用される固定部材1と同様にして取り付けを行う場合、係合部23を貫通孔801Aに通して係合させる手順(図3(b)と同様。)において、荷重受け部24と下面801とが干渉する。したがって、固定部材2の取り付けに係る作業性が低下してしまう。
【0032】
これに対し、本発明の実施の形態が適用される固定部材1では、荷重受け部14が、接続部12に対し係合部13とは反対側(図2(b)における+x方向)に設けられている。
したがって、係合部13を貫通孔801Aに通して係合させる手順(図3(b)参照。)において、荷重受け部14が下面801に干渉し難く、固定部材1の取り付けに係る作業性が低下することが抑制される。
【0033】
また、本発明の実施の形態が適用される固定部材1では、接続部12において、係合部13から離れる方向(図2(b)における+x方向)に屈曲するように、屈曲部123が設けられている。
これにより、屈曲部123が係合部13に近づく方向(図2(b)における-x方向)に屈曲するように設けられる場合と比較して、例えば図3(b)の手順における固定部材1の傾けが行い易くなり、固定部材1の取り付けが容易になる。
【0034】
さらに、本実施の形態に係る接続部12では、屈曲部123は、係合部13よりも取付部11に近い位置に設けられている。
これにより、屈曲部123が取付部11よりも係合部13に近い位置に設けられる場合と比較して、例えば図3(a)の手順における固定部材1の傾けが行い易くなり、固定部材1の取り付けが容易になる。
【0035】
<荷重受け部14の作用>
ここで、図3(c)を用いて、荷重受け部14の作用について詳細に説明する。
図3(c)に示すように、固定部材1の取付状態において、荷重受け部14は下面801の下側に接触している。画像形成装置8およびパレット9が静止した状態で、外力がかかっていない場合、画像形成装置8の荷重は、キャスタ81(図1参照。)によって支持されており、荷重受け部14にかかる荷重はそれよりも小さく、例えば略ゼロである。
【0036】
取付状態において、例えば画像形成装置8およびパレット9を運搬する場合等、画像形成装置8およびパレット9に揺れや衝撃等の外力が加わることがある。
外力が加わると、画像形成装置8の下面801およびパレット9の上面90が弾性変形を起こし、下面801から上面90に向かう力(下面801と上面90とを近付けようとする力)がはたらく。この力は、荷重受け部14によって支持されることとなる。
【0037】
したがって、例えば、荷重受け部14を有しない場合と比較して、外力が加わった場合にキャスタ81で支持する荷重が小さくなり、キャスタ81の損傷が防止される。
また例えば、荷重受け部14によって下面801が支持されるため、下面801の変形量が小さくなり、下面801の損傷が抑制される。
なお、本実施の形態が適用される固定部材1では、側方支持部15を設けており、変形量が大きくなると側方支持部15によっても荷重が支持されるため、変形量がそれ以上大きくなり難くなっている。つまり、変形量が予め定められた量を超えることを抑制する。
【0038】
ここで、外力が加わった際、下面801から上面90に向かう力が大き過ぎると、固定部材1が塑性変形を起こす場合がある。
本実施の形態が適用される固定部材1では、屈曲部123を設けているため、塑性変形の方向が屈曲部123の屈曲が大きくなる方向にガイドされる。
これにより、固定部材1が不規則に塑性変形することが抑制され、屈曲部123を設けない場合と比較して、塑性変形を起こした場合であっても固定部材1を取り外し易くなっている。
【0039】
<変形例等>
上記した本実施の形態では、接続部12に屈曲部123を設けることとしたが、屈曲部123は必須ではない。例えば、図4に示した比較例の固定部材2のように、屈曲部を有しないこととし、接続部12を平面状にしても良い。
【0040】
また、荷重受け部14を曲面により構成したが、平面としても良い。例えば、図2(b)において、+x方向に延びる平面状の荷重受け部14を設けても良い。ヘミング曲げとは異なる加工方法によって、曲面を形成しても良い。
さらに、荷重受け部14を曲げによって構成するのではなく、接続部12の上部122の+x方向側の面に突出部を設け、この突出部を荷重受け部14としても良い。
さらにまた、荷重受け部14の個数は限定されず、1個であっても2個以上であっても良い。なお、固定部材1を1枚の板材から構成する例を示したが、固定部材1を複数の部分の組み合わせから構成しても構わない。
【0041】
<付記>
(((1)))に記載の発明は、キャスタを有する機器の下面を基台の上面に固定する固定部材であって、前記機器の下面に設けられた貫通孔から挿入され、前記機器の下面の上側に沿って延び、当該機器の下面に係合する係合部と、前記係合部に対向して前記基台の上面の上側に沿って延び、当該基台の上面に取り付けられる取付部と、前記貫通孔を通って前記係合部および前記取付部を接続する接続部と、前記接続部に対し、前記係合部とは反対側に設けられ、前記機器の下面の下側に接触して荷重を受ける荷重受け部と、を備える固定部材である。
(((2)))に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記接続部と共通の板材により構成されることを特徴とする、(((1)))に記載の固定部材である。
(((3)))に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記板材により形成される曲面であることを特徴とする、(((2)))に記載の固定部材である。
(((4)))に記載の発明は、前記荷重受け部は、前記板材のヘミング曲げによって形成されることを特徴とする、(((3)))に記載の固定部材である。
(((5)))に記載の発明は、前記接続部は、屈曲部を有することを特徴とする、(((1)))~(((4)))に記載の固定部材である。
(((6)))に記載の発明は、前記屈曲部は、前記係合部から離れる方向に屈曲することを特徴とする、(((5)))に記載の固定部材である。
(((7)))に記載の発明は、前記屈曲部は、前記係合部よりも前記取付部に近い位置に設けられることを特徴とする、(((6)))に記載の固定部材である。
【0042】
(((1)))に記載の固定部材によれば、係合部と荷重受け部とが同じ側に設けられる場合と比較して、固定部材の取り付けに係る作業性の低下を抑制する。
(((2)))に記載の固定部材によれば、荷重受け部と接続部とを異なる部材により構成する場合と比較して、固定部材の製造が容易になる。
(((3)))に記載の固定部材によれば、荷重受け部が平面により構成される場合と比較して、接触による機器の損傷を抑制する。
(((4)))に記載の固定部材によれば、荷重受け部の形成が容易になる。
(((5)))に記載の発明によれば、接続部が屈曲部を有しない場合と比較して、固定部材が塑性変形した場合の取り外しが容易になる。
(((6)))に記載の固定部材によれば、屈曲部が係合部に近付く方向に屈曲する場合と比較して、固定部材の取り付けが容易になる。
(((7)))に記載の固定部材によれば、屈曲部が取付部よりも係合部に近い場合と比較して、固定部材の取り付けが容易になる。
【符号の説明】
【0043】
1…固定部材、8…画像形成装置、9…パレット、11…取付部、12…接続部、13…係合部、14…荷重受け部、90…上面、801…下面、801A…貫通孔
図1
図2
図3
図4