(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048811
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】駐車システム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240402BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154926
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 公博
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB08
5H181EE12
5H181KK01
5H181KK07
(57)【要約】
【課題】災害の発生時に安全性を確保する。
【解決手段】駐車システムは、駐車スペースと、前記駐車スペースに車両を固定可能な固定機構と、前記固定機構の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、災害の発生に関する災害情報を取得した場合に、前記固定機構によって前記車両を固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースと、
前記駐車スペースに車両を固定可能な固定機構と、
前記固定機構の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、災害の発生に関する災害情報を取得した場合に、前記固定機構によって前記車両を固定する、
駐車システム。
【請求項2】
前記駐車スペースには、非接触給電装置が設けられており、
前記車両は、前記非接触給電装置により充電される電気自動車である、
請求項1に記載の駐車システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記車両に設けられる第1制御装置と、前記駐車スペースに設けられる第2制御装置とを含み、
前記災害情報は、前記第1制御装置によって受信され、
前記固定機構の動作は、前記第2制御装置によって制御され、
前記第1制御装置は、前記災害情報を受信した場合に、前記固定機構を駆動させる動作指令に相当する情報を前記第2制御装置に送信する、
請求項1に記載の駐車システム。
【請求項4】
前記車両は、前記固定機構によって固定される前に、前記固定機構によって前記車両を固定可能な固定位置まで、運転者の操作によらずに移動する、
請求項1に記載の駐車システム。
【請求項5】
前記固定機構は、前記駐車スペースに設けられている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大雨、洪水、津波または高潮等の災害の発生時に、安全性を確保するための車両に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、災害の発生時において、車両の避難、または、車両の利用者の救援を適切に行うための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大雨、洪水、津波または高潮等の災害の発生時には、駐車していた車両が水により流されて漂流する場合が考えられる。ゆえに、車両の漂流を抑制して、漂流した車両の人や物への衝突、または、漂流した車両のバッテリの火災等の二次被害を抑制することで、安全性を確保することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、災害の発生時に安全性を確保することが可能な駐車システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る駐車システムは、
駐車スペースと、
前記駐車スペースに車両を固定可能な固定機構と、
前記固定機構の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、災害の発生に関する災害情報を取得した場合に、前記固定機構によって前記車両を固定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、災害の発生時に安全性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る駐車システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る固定機構の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る第1制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る第2制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
<駐車システムの構成>
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係る駐車システム10の構成について説明する。
図1は、駐車システム10の概略構成を示す模式図である。駐車システム10は、車両1を駐車させるためのシステムである。
図1の例では、車両1は、駆動源として走行用モータのみを備える電気自動車である。ただし、後述するように、駐車システム10を利用して駐車する車両1は電気自動車以外の車両であってもよい。
【0011】
図1に示されるように、車両1は、バッテリ2と、非接触受電装置3と、第1制御装置4とを備える。車両1は、不図示の走行用モータを備えており、当該走行用モータを駆動源として利用して走行する。
【0012】
バッテリ2は、不図示の走行用モータへ供給される電力を蓄電する。バッテリ2として、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池または鉛蓄電池が用いられる。ただし、バッテリ2として、これら以外の電池が用いられてもよい。
【0013】
非接触受電装置3は、車両1の底部に設けられており、車両1の底部に向けて送電される電力を非接触で受電可能である。
図1の例では、非接触受電装置3は、後述する非接触給電装置12から電力を受電する。非接触受電装置3は、例えば、不図示の受電コイルを有しており、当該受電コイルによって電力を受電可能である。非接触受電装置3により受電された電力は、バッテリ2に供給される。それにより、バッテリ2が充電される。
【0014】
第1制御装置4は、車両1に設けられる各種装置の動作を制御する。第1制御装置4は、1つまたは複数のプロセッサ4aと、プロセッサ4aに接続される1つまたは複数のメモリ4bと、を有する。プロセッサ4aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ4bは、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0015】
図1に示されるように、駐車システム10は、駐車スペース11と、非接触給電装置12と、第2制御装置13と、固定機構14とを備える。
【0016】
駐車スペース11は、車両1を駐車させるためのスペースである。非接触給電装置12、第2制御装置13および固定機構14は、駐車スペース11に設けられる。
【0017】
非接触給電装置12は、駐車スペース11の地中に埋め込まれており、地上に向けて電力を非接触で送電可能である。
図1に示されるように、駐車スペース11において、車両1は、非接触受電装置3が非接触給電装置12と上下方向に対向する位置に駐車される。この状態で、車両1の非接触受電装置3は、非接触給電装置12から送電される電力を受電する。非接触給電装置12は、例えば、不図示の送電コイルを有しており、当該送電コイルによって電力を送電可能である。非接触給電装置12から非接触受電装置3への送電の方式として、例えば、磁気共鳴方式または電磁誘導方式が用いられる。
【0018】
第2制御装置13は、駐車スペース11に設けられる各種装置の動作を制御する。第2制御装置13は、1つまたは複数のプロセッサ13aと、プロセッサ13aに接続される1つまたは複数のメモリ13bと、を有する。プロセッサ13aは、例えば、CPUを含む。メモリ13bは、例えば、ROMおよびRAMなどを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0019】
固定機構14は、駐車スペース11に車両1を固定可能である。本実施形態では、固定機構14を活用することによって、災害の発生時に安全性を確保することが実現される。固定機構14の詳細については、後述する。
【0020】
駐車システム10では、駐車システム10に関する各種処理を実行するための制御装置100として、第1制御装置4および第2制御装置13が用いられる。つまり、駐車システム10の制御装置100は、車両1に設けられる第1制御装置4と、駐車スペース11に設けられる第2制御装置13とを含む。
【0021】
図2は、制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。第1制御装置4と第2制御装置13とは、互いに通信可能となっている。
【0022】
図2に示されるように、第1制御装置4は、例えば、通信部41と、制御部42とを有する。なお、通信部41または制御部42により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ4aによって実行され得る。詳細には、メモリ4bに記憶されているプログラムをプロセッサ4aが実行することにより、各種処理が実行される。
【0023】
通信部41は、車両1の外部の各種装置と通信する。例えば、通信部41は、災害情報を送信する装置と通信し、災害情報を取得できる。災害情報は、災害の発生に関する種々の情報を含む。例えば、災害情報は、大雨、洪水、津波または高潮等の災害が現在発生している旨を示す情報を含む。また、例えば、災害情報は、大雨、洪水、津波または高潮等の災害が近い将来において発生すると予想される旨を示す情報を含む。
【0024】
制御部42は、車両1に設けられる各種装置の動作を制御する。例えば、制御部42は、車両1の走行用モータおよびステアリング機構等の動作を制御することによって、車両1を運転者の操作によらずに自動走行させることができる。
【0025】
図2に示されるように、第2制御装置13は、例えば、通信部131と、制御部132とを有する。なお、通信部131または制御部132により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ13aによって実行され得る。詳細には、メモリ13bに記憶されているプログラムをプロセッサ13aが実行することにより、各種処理が実行される。
【0026】
通信部131は、第2制御装置13の外部の各種装置と通信する。例えば、通信部131は、第1制御装置4の通信部41と通信する。
【0027】
制御部132は、駐車スペース11に設けられる各種装置の動作を制御する。例えば、制御部132は、非接触給電装置12による送電を制御する。また、例えば、制御部132は、固定機構14の動作を制御する。
【0028】
図3は、固定機構14の一例を示す模式図である。
図3に示されるように、固定機構14は、アンカー14aと、回転軸14bとを有する。アンカー14aは、L字形状を有しており、回転軸14bを中心に回動可能である。アンカー14aは、延在部14a1と、張出部14a2とを含む。延在部14a1の基端は、回転軸14bと接続されている。延在部14a1は、回転軸14bに直交する方向に延在する。張出部14a2は、延在部14a1の先端と接続されている。張出部14a2は、延在部14a1の延在方向に直交する方向に張り出している。
【0029】
駐車スペース11には、鉛直下方に窪んだ窪み部11aが形成されている。
図3中で二点鎖線により示される退避状態において、アンカー14aは、駐車スペース11の窪み11aの内部に収容されている。退避状態は、アンカー14aによる車両1の固定が行われていない状態である。
【0030】
車両1には、水平方向に窪んだ窪み部1aが形成されている。
図3中で実線により示される固定状態において、アンカー14aは、退避状態から回動し、張出部14a2が車両1の窪み部1aに挿入される。これにより、車両1がアンカー14aにより係止されて、駐車スペース11に固定される。固定状態は、アンカー14aによる車両1の固定が行われている状態である。
【0031】
窪み部1aの断面形状は、張出部14a2の断面形状と対応する形状となっている。例えば、窪み部1aの断面形状、および、張出部14a2の断面形状は、いずれも矩形状である。ただし、窪み部1aの断面形状、および、張出部14a2の断面形状は、矩形状以外の形状(例えば、円形状または楕円形状等)であってもよい。固定状態において、アンカー14aの張出部14a2の下面と車両1の窪み部1aとの間のクリアランスは、できるだけ小さい方が好ましい。これにより、アンカー14aにより車両1を安定的に係止できる。車両1の窪み部1aの上下方向の位置に合わせて、アンカー14aの延在部14a1の長さが調整されている。これにより、アンカー14aの張出部14a2を車両1の窪み部1aに円滑に挿入可能となる。
【0032】
図1の例では、車両1の前部および後部にアンカー14aが挿入される例が示されている。この場合、車両1の前部および後部に、窪み部1aがそれぞれ形成され、車両1の前方および後方に、アンカー14aがそれぞれ配置される。そして、各窪み部1aに各アンカー14aの張出部14a2が挿入され、車両1が駐車スペース11に固定される。
【0033】
ただし、アンカー14aの数、および、車両1においてアンカー14aが挿入される位置は、この例に限定されない。例えば、車両1の前部および後部に加えて、車両1の左側部および右側部に、アンカー14aが挿入されてもよい。また、車両1の前部、後部、左側部および右側部のうちの少なくとも1つに対して、複数の窪み部1aが形成され、複数のアンカー14aが挿入されてもよい。また、アンカー14aは、車両1の車体に挿入されてもよく、車両1のうち車体より下方の部材(例えば、バッテリ2を収納する部材)に挿入されてもよい。
【0034】
上記では、アンカー14aにより車両1を固定する固定機構14が一例として示されている。ただし、固定機構14は、車両1を駐車スペース11に固定できる機構であればよく、アンカー14aを利用しない機構であってもよい。例えば、固定機構14は、車両1の一部を把持することによって、車両1を駐車スペース11に固定する機構であってもよい。また、例えば、固定機構14は、車両1の一部を吸着することによって、車両1を駐車スペース11に固定する機構であってもよい。
【0035】
<駐車システムの動作>
図4および
図5を参照して、本発明の実施形態に係る駐車システム10の動作について説明する。
【0036】
図4は、第1制御装置4が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示される制御フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返される。
【0037】
図4に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS101において、第1制御装置4は、災害情報を受信したか否かを判定する。
【0038】
災害情報を受信したと判定された場合(ステップS101でYESと判定された場合)、ステップS102に進む。一方、災害情報を受信していないと判定された場合(ステップS101でNOと判定された場合)、
図4に示される制御フローは終了する。
【0039】
ステップS101でYESと判定された場合、ステップS102において、第1制御装置4の制御部42は、車両1を固定機構14の固定位置まで自動走行させる。固定機構14の固定位置は、固定機構14によって車両1を固定可能な位置である。例えば、
図3の例では、各アンカー14aを車両1の各窪み部1aに挿入できるような位置が固定位置となる。
【0040】
なお、ステップS101でYESと判定された場合、車両1が既に固定位置に位置している場合、ステップS102の処理は省略されてもよい。上述したように、駐車スペース11において、車両1は、非接触給電装置12を用いた充電を実行可能な充電位置に駐車される。当該充電位置が固定位置と一致する場合、ステップS102の処理は省略されてもよい。
【0041】
ステップS102の次に、ステップS103において、第1制御装置4の通信部41は、固定機構14の動作指令を第2制御装置13の通信部131に送信し、
図4に示される制御フローは終了する。固定機構14の動作指令は、固定機構14を駆動させる動作指令である。
【0042】
図5は、第2制御装置13が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に示される制御フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返される。
【0043】
図5に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS201において、第2制御装置13は、固定機構14の動作指令を第1制御装置4から受信したか否かを判定する。
【0044】
固定機構14の動作指令を受信したと判定された場合(ステップS201でYESと判定された場合)、ステップS202に進む。一方、固定機構14の動作指令を受信していないと判定された場合(ステップS201でNOと判定された場合)、
図5に示される制御フローは終了する。
【0045】
ステップS201でYESと判定された場合、ステップS202において、第2制御装置13の制御部132は、固定機構14によって車両1を駐車スペース11に固定し、
図5に示される制御フローは終了する。例えば、
図3の例では、ステップS202において、各アンカー14aが車両1の各窪み部1aに挿入されることによって、車両1が駐車スペース11に固定される。
【0046】
以上説明したように、駐車システム10では、制御装置100は、災害の発生に関する災害情報を取得した場合に、固定機構14によって車両1を固定する。それにより、大雨、洪水、津波または高潮等の災害の発生時に、車両1が水により流されて漂流することを抑制できる。ゆえに、漂流した車両1の人や物への衝突、および、漂流した車両1のバッテリ2の火災等の二次被害を抑制できる。よって、災害の発生時に安全性を確保することができる。
【0047】
なお、制御装置100は、固定機構14によって車両1を固定した後において、例えば、災害情報が取得されなくなった場合、災害に関する警報や注意報等の解除を表す情報を取得した場合、または、固定機構14による固定の解除を指示する情報を取得した場合等に、固定機構14による車両1の固定を解除する。それにより、例えば、災害が治まった後に、車両1の固定が解除されるので、運転者は、車両1を運転して、駐車スペース11から出庫することができる。
【0048】
<駐車システムの効果>
本発明の実施形態に係る駐車システム10の効果について説明する。
【0049】
本実施形態に係る駐車システム10は、駐車スペース11と、駐車スペース11に車両1を固定可能な固定機構14と、固定機構14の動作を制御する制御装置100と、を備える。そして、制御装置100は、災害の発生に関する災害情報を取得した場合に、固定機構14によって車両1を固定する。それにより、大雨、洪水、津波または高潮等の災害の発生時に、車両1が水により流されて漂流することを抑制でき、車両1の漂流に伴う二次被害を抑制できる。よって、災害の発生時に安全性を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る駐車システム10では、駐車スペース11には、非接触給電装置12が設けられており、車両1は、非接触給電装置12により充電される電気自動車であることが好ましい。電気自動車である車両1には、比較的大型のバッテリ2が搭載されている。ゆえに、車両1が水により流されて漂流し、漂流した車両1のバッテリ2の火災を抑制する必要性が特に高い。よって、固定機構14を活用して車両1の漂流を抑制することにより、バッテリ2の破損に起因した火災の発生を抑制でき、安全性をより効果的に確保することができる。
【0051】
さらに、駐車スペース11において、電気自動車である車両1は、非接触給電装置12を用いた充電を実行可能な充電位置に駐車される。当該充電位置が固定位置と一致する場合、車両1を固定機構14の固定位置まで自動走行させる処理を省略できる。
【0052】
さらに、災害時に、電気自動車である車両1の漂流を抑制することによって、災害が発生した地域の生活用の電力として、車両1のバッテリ2に蓄電されている電力を利用できる。災害時に車両1のバッテリ2をこのように利用する観点では、バッテリ2には、水の侵入による故障(例えば、短絡等)に対する対策が施されていることが好ましい。当該対策としては、例えば、バッテリ2の端子をOリング等のシール部材で液密に保護する対策等が挙げられる。
【0053】
ただし、車両1は、電気自動車以外の車両であってもよい。例えば、車両1は、エンジンのみを駆動源として備えるエンジン車両であってもよいし、ハイブリッド車両であってもよい。この場合には、例えば、エンジン車両である車両1を駐車させるための駐車スペース11に固定機構14が設けられる。
【0054】
また、本実施形態に係る駐車システム10では、制御装置100は、車両1に設けられる第1制御装置4と、駐車スペース11に設けられる第2制御装置13とを含み、災害情報は、第1制御装置4によって受信され、固定機構14の動作は、第2制御装置13によって制御され、第1制御装置4は、災害情報を受信した場合に、固定機構14を駆動させる動作指令に相当する情報を第2制御装置13に送信することが好ましい。それにより、外部装置から発信される災害情報を迅速かつ適切に取得して、固定機構14を作動できる。よって、大雨、洪水、津波または高潮等の災害の発生時に、車両1が水により流されて漂流することを抑制することが適切に実現される。ゆえに、災害の発生時に安全性を確保することが適切に実現される。
【0055】
ただし、災害情報は、車両1の第1制御装置4を介さずに、駐車スペース11に設けられた第2制御装置13によって直接的に受信されてもよい。この場合、第2制御装置13は、災害情報を送信する外部装置と通信可能となっている。例えば、災害情報を受信した場合に、第2制御装置13は、車両1を固定機構14の固定位置まで自動走行させる動作指令を第1制御装置4に送信する。そして、車両1が固定位置まで移動した後に、第2制御装置13は、固定機構14によって車両1を固定する。
【0056】
また、本実施形態に係る駐車システム10では、車両1は、固定機構14によって固定される前に、固定機構14によって車両1を固定可能な固定位置まで、運転者の操作によらずに移動することが好ましい。それにより、災害情報が受信された際に、車両1が固定位置に位置していなかった場合であっても、車両1を固定位置まで移動させることができる。ゆえに、固定機構14によって車両1を固定することが適切に実現される。
【0057】
また、本実施形態に係る駐車システム10では、固定機構14は、駐車スペース11に設けられていることが好ましい。それにより、車両1に対して大きな変更を施すことなく、災害の発生時において、固定機構14によって車両1を固定し、安全性を確保することができる。
【0058】
ただし、固定機構14は、車両1に設けられていてもよい。例えば、車両1にアンカー14aが搭載されており、第1制御装置4がアンカー14aを駆動させることによって、車両1のアンカー14aを、駐車スペース11に設けられた窪み部に挿入し、車両1を駐車スペース11に固定してもよい。
【0059】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0060】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 車両
1a 窪み部
2 バッテリ
3 非接触受電装置
4 第1制御装置
4a プロセッサ
4b メモリ
10 駐車システム
11 駐車スペース
11a 窪み部
12 非接触給電装置
13 第2制御装置
13a プロセッサ
13b メモリ
14 固定機構
14a アンカー
14a1 延在部
14a2 張出部
14b 回転軸
41 通信部
42 制御部
100 制御装置
131 通信部
132 制御部