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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048815
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】屋根用支持具及び二層折板屋根
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/36 20060101AFI20240402BHJP
   E04D 3/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E04D3/36 C
E04D3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154930
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】北村 雄
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AS02
2E108AZ01
2E108BB04
2E108BN06
2E108CC01
2E108DF07
2E108ER13
2E108FF03
2E108GG20
(57)【要約】
【目的】下層折板屋根と上層折板屋根との間に設置され、下層折板屋根に簡易,迅速且つ強固に装着でき、上層の折板屋根板材を極めて強固に支持することができる屋根用支持具及び二層折板屋根である。
【構成】外端を第1嵌合端縁13aとした第1頭部1と,中間に第1馳係止部22と下端に第1嵌合突片23が形成された第1脚部2とを有する第1挟持部材A1と、外端を第2嵌合端縁33aとした第2頭部3と,中間に第2馳係止部42と下端に第2嵌合突片43が形成された第2脚部4とを有する第2挟持部材A2と、締付部材52とを備える。第1脚部2と第2脚部4とを第1馳係止部22と第2馳係止部42よりも上方でX字状に交差させて枢支連結され、第1頭部1と第2頭部3との対向する面との間に所定間隔の隙間Sを有するようにして締付部材52で連結され、第1頭部1は吊子固定用とし第2頭部3よりも低位置としてなること。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外端を第1嵌合端縁とした第1頭部と,該第1頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第1馳係止部と下端に第1嵌合突片が形成された第1脚部とを有する第1挟持部材と、外端を第2嵌合端縁とした第2頭部と,該第2頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第2馳係止部と下端に第2嵌合突片が形成された第2脚部とを有する第2挟持部材と、締付部材とを備え、前記第1脚部と前記第2脚部とを前記第1馳係止部と前記第2馳係止部よりも上方の位置でX字状に交差させて枢支連結され、前記第1頭部と前記第2頭部との対向する面との間に所定間隔の隙間を有するようにして前記締付部材で連結されると共に、前記第1頭部は吊子固定用とし前記第2頭部よりも低位置としてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に下面側には内ネジ部材が固着されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項3】
請求項1に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に該吊子用固定孔に内ネジが形成されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第1垂下状片及び前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成されると共に、前記第1垂下状片には前記締付部材のボルトと螺合する内ネジ部材が固着されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成され、前記第1垂下状片の連結孔には前記ボルトと螺合する内ネジが形成されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1挟持部材の前記第1頭部と、前記第2挟持部材の前記第2頭部の折板屋根板とのそれぞれの当接箇所及び前記第1脚部の前記第1馳係止部付近より下方と、前記第2脚部の前記第2馳係止部付近より下方の部分には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項7】
主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成された折板屋根板材が複数並設され連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、外端を第1嵌合端縁とした第1頭部と,該第1頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第1馳係止部と下端に第1嵌合突片が形成された第1脚部とを有する第1挟持部材と、外端を第2嵌合端縁とした第2頭部と,該第2頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第2馳係止部と下端に第2嵌合突片が形成された第2脚部とを有する第2挟持部材とを枢支部材にてX字状に交差させて枢支連結され、前記第1頭部は、前記第2頭部よりも低位置とした屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板材の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、該屋根用支持具の前記第1脚部と前記第2脚部とで前記下層折板屋根の馳締部と両前記被嵌合屈曲部とを係止させると共に前記第1頭部と前記第2頭部との対向面との間には所定の隙間が設けられるようにして、前記第1頭部上に前記上層折板屋根用の吊子が固着されて前記上層折板屋根が設けられたことを特徴とする二層折板屋根。
【請求項8】
請求項7に記載の二層折板屋根において、前記第1挟持部材の前記第1頭部と、前記第2挟持部材の前記第2頭部の折板屋根板とのそれぞれの当接箇所、及び前記第1脚部の前記第1馳係止部付近より下方と、前記第2脚部の前記第2馳係止部付近より下方の部分には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする二層折板屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層タイプの折板屋根において、下層折板屋根と上層折板屋根との間に設置され、下層折板屋根に簡易,迅速且つ強固に装着することができると共に、上層の折板屋根板材を極めて強固に支持することができる屋根用支持具及び二層折板屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下層折板屋根と上層折板屋根にて構成される二層タイプの折板屋根屋根(急傾斜状の壁等も含む)が施工されている。特に、昨今の気象状況や、地球温暖化への対策・省エネ対策の強化として、金属屋根においても、建物の用途によっては、二層折板屋根の要求が高まっている。これらの屋根には、新設の二層タイプの屋根及び既設の屋根の上に新たに屋根を新設した改修屋根が存在する。その下層折板屋根は、金属製の折板タイプの屋根板材によって施工されている。また、折板屋根では、急傾斜に施工された略壁面状としたものも存在し、このような折板屋根も多く存在している。
【0003】
この種の二層タイプの屋根において、下馳部と上馳部とを有する折板屋根板材から構成されるものが多く使用されており、隣接する折板屋根板材同士の下馳部と上馳部とが馳締されて、折板屋根板材同士が連結されて折板屋根等が施工されるものが存在する。上層折板屋根と下層折板屋根との間には支持具が設けられており、該支持具は下層折板屋根上に装着され、前記支持具によって上層折板屋根が下層折板屋根上に支持されるものである。
【0004】
この馳締タイプの折板屋根では、支持具が下層の折板屋根の馳締部を利用して下層折板屋根上に設置されるものが多く出現している。この種の一例として特許文献1(特開20
03-49510号)をあげてみる。特許文献1の固定金具は、折板屋根等の外囲体の下
層の外囲体の馳締部等の接合凸部に係止状態で装着され、この固定金具上に上層の外囲体を施工するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-49510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、固定金具は下層外囲体の接合凸部のみに係止固着される構成のものであり、この接合凸部の強度が不足している場合には強風により、接合凸部が破損変形してしまい、固定金具が接合凸部から外れてしまうことも十分に有りうることで、上層の折板屋根が強風に吹き飛ばされてしまうというおそれは十分にあった。そこで、本発明の目的は、強風によって下層の折板屋根から極めて外れ難く、優れた耐久性を有し、しかも施工を簡単にできる屋根用支持具及びその二層折板屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、外端を第1嵌合端縁とした第1頭部と,該第1頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第1馳係止部と下端に第1嵌合突片が形成された第1脚部とを有する第1挟持部材と、外端を第2嵌合端縁とした第2頭部と,該第2頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第2馳係止部と下端に第2嵌合突片が形成された第2脚部とを有する第2挟持部材と、締付部材とを備え、前記第1脚部と前記第2脚部とを前記第1馳係止部と前記第2馳係止部よりも上方の位置でX字状に交差させて枢支連結され、前記第1頭部と前記第2頭部との対向する面との間に所定間隔の隙間を有するようにして前記締付部材で連結されると共に、前記第1頭部は吊子固定用とし前記第2頭部よりも低位置としてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項2の発明を、請求項1に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に下面側には内ネジ部材が固着されてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に該吊子用固定孔に内ネジが形成されてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項4の発明を、請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第1垂下状片及び前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成されると共に、前記第1垂下状片には前記締付部材のボルトと螺合する内ネジ部材が固着されてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項5の発明を、請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成され、前記第1垂下状片の連結孔には前記ボルトと螺合する内ネジが形成されてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項6の発明を、請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記第1挟持部材の前記第1頭部と、前記第2挟持部材の前記第2頭部の折板屋根板とのそれぞれの当接箇所及び前記第1脚部の前記第1馳係止部付近より下方と、前記第2脚部の前記第2馳係止部付近より下方の部分には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項7の発明を、主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成された折板屋根板材が複数並設され連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、外端を第1嵌合端縁とした第1頭部と,該第1頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第1馳係止部と下端に第1嵌合突片が形成された第1脚部とを有する第1挟持部材と、外端を第2嵌合端縁とした第2頭部と,該第2頭部から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第2馳係止部と下端に第2嵌合突片が形成された第2脚部とを有する第2挟持部材とを枢支部材にてX字状に交差させて枢支連結され、前記第1頭部は、前記第2頭部よりも低位置とした屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板材の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、該屋根用支持具の前記第1脚部と前記第2脚部とで前記下層折板屋根の馳締部と両前記被嵌合屈曲部とを係止させると共に前記第1頭部と前記第2頭部との対向面との間には所定の隙間が設けられるようにして、前記第1頭部上に前記上層折板屋根用の吊子が固着されて前記上層折板屋根が設けられたことを特徴とする二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項8の発明を、請求項7に記載の二層折板屋根において、前記第1挟持部材の前記第1頭部と、前記第2挟持部材の前記第2頭部の折板屋根板とのそれぞれの当接箇所、及び前記第1脚部の前記第1馳係止部付近より下方と、前記第2脚部の前記第2馳係止部付近より下方の部分には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、屋根用支持具は、第1挟持部材と第2挟持部材とが第1馳係止部と第2馳係止部よりも上方の位置でX字状に交差させて枢支連結されることにより、第1頭部と第2頭部が近接することにより第1脚部と第2脚部との間隔が狭くなり、第1馳係止部と第2馳係止部及び第1嵌合突片及び第2嵌合突片との間隔も狭くなる。そして、下層折板屋根及び上層折板屋根にそれぞれ被嵌合屈曲部を有する二層折板屋根に対して、下層折板屋根における隣接する折板屋根板材同士の対向する立上り部と山形頂部によって形成される山形状部の両被嵌合屈曲部及び馳締部を同時に係止及び嵌合することができる。
【0015】
そして、前記第1頭部と前記第2頭部とは、これらの対向する面との間に所定間隔の隙間を有するようにして締付部材で連結されており、該締付部材を締め付けることにより、第1馳係止部と第2馳係止部とは、前記下層折板屋根の馳締部に係止し、第1嵌合突片と第2嵌合突片は、下層折板屋根の山形状部の両被嵌合屈曲部に嵌合することで強固な装着状態にできる。
【0016】
また、上層折板屋根の山形状部の両被嵌合屈曲部に対しては、第1頭部の外端側及び第2頭部の外端側がそれぞれ嵌合端縁として構成されており、上層折板屋根の山形状部の両被嵌合屈曲部に嵌合する。また、第1頭部は、第2頭部よりも低位置とすると共に馳締用の吊子を設置固着する構成としているので、上層折板屋根に対して第1頭部に吊子を装着したときに、第2頭部の頂部と吊子の吊子ベース部とが略同一面となり、屋根用支持具の頂部が略平面状となり、これによって無理なく上層折板屋根の馳締部を、吊子を介して固定することができる。
【0017】
このように、本発明における屋根用支持具は、二層折板屋根に対して下層折板屋根と上層折板屋根のそれぞれの馳締部のみを介して連結するものではなく、二層折板屋根における下層折板屋根の馳締部と被嵌合屈曲部にそれぞれ係止及び嵌合することで、本発明における屋根用支持具は二層折板屋根の下層折板屋根に対して簡易且つ迅速で且つ極めて強固な装着にすることができる。そして、本発明における屋根用支持具を介して上層折板屋根を施工することで、極めて強固な二層折板屋根を構成することができる。
【0018】
さらに、二層折板屋根に台風等の強風時において大きな負圧が上層折板屋根にかかって、上層折板屋根が上方に持ち上げられるような外力が作用したときには、上層折板屋根の山形状部の両被嵌合屈曲部が屋根用支持具の第1頭部と第2頭部の両嵌合端縁を上方に持ち上げようとする。このとき、屋根用支持具の第1頭部と第2頭部とは枢支連結点を回動中心として、相対的に回動し相互に近接する動作を行う。
【0019】
これと同時に第1脚部と第2脚部とは枢支連結点を回動中心として相互に近接するように回動する。このように、第1馳係止部と第2馳係止部及び第1嵌合突片2と第1嵌合突片とがそれぞれ相互に近接して、下層折板屋根の山形状部の馳締部及び両被嵌合屈曲部に対して、より一層強固に当接して係止及び嵌合することになり、二層折板屋根は強風に対して十分に抵抗し耐えうることができる。
【0020】
請求項2の発明では、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に下面側には内ネジ部材が固着された構成により、第1頭部に吊子を簡易且つ迅速に装着することができる。請求項3の発明では、前記第1頭部には吊子用固定孔が形成されると共に該貫通孔に内ネジが形成されたことにより、第1頭部上に吊子を装着するときにナットを不要とし、部品点数を少なくすることができ、作業効率を良好にできる。
【0021】
請求項4の発明では、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第1垂下状片及び前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成されると共に、前記第1垂下状片には前記締付部材のボルトと螺合する内ネジ部材が固着されてなる構成により、第1頭部と第2頭部との相互の近接を円滑にできる。
【0022】
請求項5の発明では、前記第1頭部及び前記第2頭部には第1垂下状片及び第2垂下状片が設けられ、前記第2垂下状片には前記締付部材のボルトよりも直径が大なる連結孔が形成され、前記第1垂下状片の連結孔には前記ボルトと螺合する内ネジが形成されてなる構成により、枢支部材からナットを不要にすることができ、部品点数を少なくし、作業効率を良好にすることができる。
【0023】
請求項6の発明では、前記第1挟持部材の前記第1頭部と、前記第2挟持部材の前記第2頭部の折板屋根板とのそれぞれの当接箇所及び前記第1脚部の前記第1馳係止部付近より下方と、前記第2脚部の前記第2馳係止部付近より下方の部分には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられたものである。そして、屋根用支持具を二層折板屋根の構成に使用した場合において、上層折板屋根から屋根用支持具に高温又は低温における熱が屋根用支持具に伝達されたとしても、前記樹脂被覆部によって、熱が下層折板屋根に伝達されることを遮断し、下層の折板屋根及びその室内に低温或いは高温が伝達されることを防止でき、外部の寒暖に影響されず、常時室内の保温性を保つことができる。
【0024】
また、上層折板屋根が夏季等の高温により上層折板屋根を構成する折板屋根板材が長手方向(X方向)に沿って熱伸縮って屋根用支持具に対する位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生することがある。このようなときに、前記樹脂被覆部によって、下層折板屋根に対する上層折板屋根の位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。
【0025】
請求項7の発明では、極めて強固な二層折板屋根を簡易且つ迅速に施工することができる。請求項8の発明では、前記樹脂被覆部によって、熱が下層折板屋根に伝達されることを遮断し、下層の折板屋根及びその室内に低温或いは高温が伝達されることを防止でき、外部の寒暖に影響されず、常時室内の保温性を保つことができる。また、前記樹脂被覆部によって、下層折板屋根に対する上層折板屋根との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(A)は本発明における屋根用支持具の第1実施形態を使用した二層折板屋根の略示正面図、(B)は(A)の(α)部拡大図である。
図2】(A)は発明における屋根用支持具の第1実施形態の斜視図、(B)は第1挟持部材の斜視図、(C)は第2挟持部材の斜視図、(D)は吊子の斜視図である。
図3】(A)は発明における屋根用支持具の第1実施形態の正面図、(B)は屋根用支持具の平面図、(C)は(A)のX1-X1矢視端面図、(D)は(A)のX2-X2矢視端面図である。
図4】(A)は第1挟持部材の縦断正面図、(B)は(A)のY1―Y1矢視図、(C)は第1挟持部材の第1頭部の別の実施形態の要部縦断正面図、(D)は第1挟持部材の第1頭部のさらに別の実施形態の要部縦断正面図、(E)は第2挟持部材の縦断正面図、(F)は(E)のY2―Y2矢視図である。
図5】(A)は発明における屋根用支持具の第1実施形態の縦断正面図、(B)は(A)の(β)部拡大図で第1頭部と第2頭部を当接させた状態である。
図6】(A)は本発明における屋根用支持具の負圧がかからない状態の正面図、(B)は本発明における屋根用支持具の負圧がかかった状態の正面図である。
図7】(A)乃至(C)は本発明の屋根用支持具を用いて二層折板屋根を施工する前半の工程図である。
図8】(D)乃至(F)は本発明の屋根用支持具を用いて二層折板屋根を施工する後半の工程図である。
図9】(A)は本発明における第1実施形態の屋根用支持具の一部に樹脂被覆部を設けた縦断正面図、(B)は(A)のY3-Y3矢視端面図、(C)は(A)のX3-X3矢視端面図、(D)は樹脂被覆部を設けた第1実施形態の屋根用支持具を使用した二層折板屋根の要部拡大縦断正面図である。
図10】(A)は本発明における第2実施形態の屋根用支持具の縦断正面図、(B)は第2実施形態の屋根用支持具を使用した二層折板屋根の要部拡大縦断正面図である。
図11】(A)は本発明における屋根用支持具を使用した三層折板屋根の略示正面図、(B)は(A)の(γ)部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の屋根用支持具A及び該屋根用支持具Aを使用した二層折板屋根Bの実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明における屋根用支持具Aの説明を行い、次に該屋根用支持具Aを用いた二層折板屋根Bについて説明する。屋根用支持具Aは、主に折板タイプの金属屋根板から構成される二層折板屋根Bの使用に好適とされる(図1参照)。特に、屋根用支持具Aは、馳締タイプの折板屋根の使用に対して好適である。
【0028】
本発明では、方向を示す文言としてX方向及びY方向を使用する。本発明の屋根用支持具Aによって施工される二層折板屋根Bは、該二層折板屋根Bを構成する複数の折板屋根板材8,8,…の並列される方向をY方向としている〔図1(A),図11(A)等参照〕。また、各折板屋根板材8の長手方向となる方向をX方向とする。したがって、本発明の屋根用支持具が装着される構造材9の長手方向はY方向となる〔図1(A),図11(A)等参照〕。このX方向及びY方向は、屋根用支持具Aにも適用され、二層折板屋根Bに組込まれた状態で、二層折板屋根BのX方向及びY方向に倣うものとする。また、X方向は前後方向と認識されても構わない。X方向及びY方向については、図中に記載した。
【0029】
本発明における屋根用支持具Aは、主に第1挟持部材A1と第2挟持部材A2と枢支部材51と締付部材52とを有するものであり(図1図2図3等参照)、金属製である。第1挟持部材A1と第2挟持部材A2とはY方向において略左右対称の同等形状である〔図1(B),図2(A),図3(A),図5(A)等参照〕。第1挟持部材A1は、第1頭部1
と第1脚部2とを有し、第1頭部1を上方にして、該第1頭部1から下方に向かって傾斜状に第1脚部2が延在形成されている。第2挟持部材A2は、第2頭部3と第2脚部4と
を有し、第2頭部3を上方にして、該第2頭部3から下方に向かって傾斜状に第2脚部4が延在形成されている(図2図4参照)。
【0030】
第1挟持部材A1の第1頭部1は、幅方向(Y方向)の一方が垂直状面で他方が傾斜状面
であり、略台形状の筐体形状をなしている。そして、第1頭部1は、平坦状の頂面11,垂直側面12,傾斜側面13及び前後方向の両壁側面14,14を有している。前記傾斜面13の下端の縁は第1嵌合端縁13aとして形成されている(図2乃至図4参照)。該第1嵌合端縁13aは、後述する折板屋根板材8の被嵌合屈曲部84の内方側に嵌合する部位である。前記第1嵌合端縁13aは、第1頭部1の外端と都なる位置に形成されたものであり、ここで第1頭部1の外端とは、該第1頭部1の幅方向(Y方向)において外方の端部のことを言う〔図3(A),図4(A)等参照〕。
【0031】
同様に、第2挟持部材A2の第2頭部3は、幅方向一方が垂直状で他方が傾斜状である
略台形状の筐体形状をなしており、平坦状の頂面31,垂直側面32,傾斜側面33及び前後方向の両壁側面34,34を有している。前記傾斜面33の下端の縁は第2嵌合端縁33aとして形成されている(図2乃至図4参照)。該第2嵌合端縁33aは、第2頭部3の外端と都なる位置に形成されたものであり、ここで第2頭部3の外端とは、該第2頭部3の幅方向(Y方向)において外方の端部のことを言う〔図3(A),図4(E)等参照〕。
【0032】
第1挟持部材A1の第1脚部2は、同一形状の2つの脚板21,21が一組となって構
成されており、両脚板21,21は前記第1頭部1の前後方向(X方向)の両端に平行状態且つ並列状態で形成されている〔図2図3(B),図4等参照〕。第1脚部2の両脚板21,21には中間箇所に第1馳係止部22と、下端に第1嵌合突片23とを有している。また、第1馳係止部22には突起状部分の上方箇所に、略半円(湾曲)状に窪む凹み部22aが形成されている(図1乃至図4等参照)。該凹み部22aは、前記第1嵌合突片23に含まれるものであり、凹み部22aは後述する二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1の馳締部Jの幅方向(Y方向)の半分の部分を包持する役目をなすものである〔図1(B)参照〕。
【0033】
同様に、第2挟持部材A2の第2脚部4は、同一形状の2つの脚板41,41が一組と
なって構成され、両脚板41,41は前記第2頭部3の前後(X方向)方向両端に平行状態且つ並列状態で形成されている。第2脚部4の両脚板41,41には中間箇所に第2馳係止部42と、下端に第2嵌合突片43とを有している。
【0034】
また、第2馳係止部42の上方箇所は、下層折板屋根B1の馳締部Jの幅方向半分を包
持するように略半円状に窪む凹み部42aが形成されている(図1乃至図4等参照)。該凹み部42aは第2嵌合突片43に含まれる部位である。なお、馳締部Jは、隣接する折板屋根板材8,8同士の下馳部85と上馳部86とが馳締されて構成される部位のことである。また、二層折板屋根Bにおいて吊子87が設置される箇所では、馳締部Jには吊子87の舌片87bが含まれる部分の存在する。
【0035】
第1挟持部材A1の第1馳係止部22と、第2挟持部材A2の第2馳係止部42とは、相互に近接することによって、下層折板屋根B1の馳締部Jの首部Jnを幅方向両側から挟
持し、屋根用支持具Aが下層折板屋根B1の馳締部Jに固定される。前記首部Jnは、馳
締部Jの下方の括れた部分であり、この首部Jnは下馳部85と上馳部86とからこうせいされる。また、第1挟持部材A1の凹み部22aと、第2挟持部材A2の凹み部42aとによって、馳締部Jの上方部分が包持される〔図1(B)参照〕。
【0036】
第1挟持部材A1の第1馳係止部22は、第1脚部2の両脚板21,21の内方側に向
かって突起状に形成されており、第2挟持部材A2の第2馳係止部42は、第2脚部4の
両脚板41,41の内方側に向かって突起状に形成されている(図1乃至図4等参照)。つまり、第1挟持部材A1の第1馳係止部22と第1嵌合突片23と、第2挟持部材A2の第2馳係止部42と第2嵌合突片43とは左右対称で同一形状(略同一形状も含む)であり対向するように構成されている(図1乃至図4等参照)。
【0037】
前記第1挟持部材A1の第1頭部1と第1脚部2は、金属板から一体的な構造となるよ
うにプレス或いは折り曲げ形成されている(図2図4参照)。また、同様に、前記第2挟持部材A2の第2頭部3と第2脚部4は、金属板から一体的な構造となるようにプレス或
いは折り曲げ形成されている。
【0038】
第1挟持部材A1の第1脚部2(脚板21,21)と、第2挟持部材A2の第2脚部4(脚
板41,41)とは、X字状に交差させて枢支連結されている。さらに具体的には、第1
脚部2(脚板21,21)の第1馳係止部22と、第2脚部4(脚板41,41)の第2馳係止部42の位置よりも上方の位置に枢支連結される箇所が設けられ、この部分を枢支連結点Pと称する。第1挟持部材A1と第2挟持部材A2とは前記枢支連結点Pを交差中心としてX字状に交差させて枢支連結される〔図2図3(A),図5参照〕。つまり、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2とは枢支連結点Pによって第1頭部1と第2頭部3とを幅方向(Y方向)に相互に離間させたときに、略X字状の形状となる(図1乃至図4等参照)。
【0039】
第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との枢支連結は、枢支部材51によって連結される。枢支部材51は、ボルト51a・ナット51bにより構成され、また必要に応じてワッシャー51cが使用される。第1脚部2の両脚板21,21と、第2脚部4の両脚板41,41の枢支連結点Pにはそれぞれ枢支孔21a及び枢支孔41aがそれぞれ形成されており、枢支部材51のボルト51aのネジ軸が挿通され、ナット51bによって第1脚部2(脚板21,21)と第2脚部4(脚板41,41)とが枢支連結される(図2及び図3参照)。
【0040】
第1脚部2の両脚板21,21の前後方向の間隔と、第2脚部4の両脚板41,41との間隔は等しく設定されている。そして、枢支連結点Pにおいて両脚板21,21と、両脚板41,41とは互い違いに重なるようにして枢支連結される〔図2図3(B),(C),(D)参照〕(図2図3参照)。また、特に図示しないが、第1脚部2の両脚板21,21と、第2脚部4の両脚板41,41との間隔を異なるものとし、何れか一方の間隔を他方の間隔よりも狭くすることもある。
【0041】
この場合では、第1脚部2の両脚板21,21の間隔を広くし、第2脚部4の両脚板41,41との間隔を小さくして、第1脚部2の両脚板21,21の間に第2脚部4の両脚板41,41が収められるようにして枢支連結される。また、その反対に、第1脚部2の両脚板21,21の間隔を大きくし、第2脚部4の両脚板41,41との間隔を小さくして、第2脚部4の両脚板41,41の間に第1脚部2の両脚板21,21が収められるようにして枢支連結されることもある。
【0042】
第1挟持部材A1と第2挟持部材A2とが上述したように枢支連結され且つ両第1頭部1と第2頭部3とが近接した状態において、第1頭部1は、第2頭部3よりも低位置となるように構成されている(図1乃至図3等参照)。具体的には、第1頭部1と第2頭部3とが近接した状態のときに、両者の頂部には高さ方向において高低差Hが存在し、第1頭部1の頂面11は、第2頭部3の頂面31よりも低位置に設定されている〔図3(A),図5(A)参照〕。前記高低差Hは、後述する吊子87の吊子ベース87aの高さと略同等である〔図1(A),図6(A)参照〕。
【0043】
そして、低位置である第1頭部1の頂面11は、後述する吊子87の吊子ベース87aが設置固着される部位となり、前記頂面11には、吊子用固定孔11aが形成されている〔図2図3(B),図4(A),(C),(D)等参照〕。吊子用固定孔11aは、後述する吊子87が、第1頭部1の頂面11上に固定するための固定用ボルト53のネジ軸部が挿通する部分となる。具体的には、吊子用固定孔11aの直径は、前記固定用ボルト53のネジ軸部が遊挿(余裕をもって挿入)することができる程度が好適である。
【0044】
第1挟持部材A1の第1頭部1と、第2挟持部材A2の第2頭部3とは、締付部材52によって相互に近接するように連結されている。具体的な構造としては、第1頭部1の内方側の垂直側面12の下端から垂直板状とした部位が下方に延在形成され、第1垂下状片15が形成され、該第1垂下状片15には連結孔15aが形成されている〔図2(B),図3(C),図4図5等参照〕。
【0045】
該連結孔15aは、前記締付部材52のボルト52aのネジ軸よりも直径が大なる貫通孔である。同様に、第2頭部3の内方側の垂直側面32の下端から垂直板状とした部位が下方に延在形成され、第2垂下状片35が形成され、該第2垂下状片35には連結孔35aが形成されている。該連結孔35aは、前記締付部材52のボルト52aのネジ軸よりも直径が大なる貫通孔である。
【0046】
また、前記第1垂下状片15の連結孔15aと、前記第2垂下状片35の連結孔35aは、共に前後方向(X方向)に長尺となる長孔とすることが好適である〔図2(B),図4(B),(F)参照〕。前記連結孔15aと前記連結孔35aとを共に長孔とすることにより、連第1垂下状片15と第2垂下状片35とが対向した状態で、結孔15aと連結孔35aとは前後方向(X方向)において必ず交わり合い、連結孔15aと連結孔35aにボルト52aのネジ軸部が容易に貫通することができるものである。
【0047】
そして第1頭部1の第1垂下状片15と、第2頭部3の第2垂下状片35とが、それぞれの連結孔15a及び連結孔35aと締付部材52のボルト52a及びナット52bを介して第1頭部1と第2頭部3とが連結される〔図3(A),(C),図5参照〕。締付部材52のボルト52a及びナット52bによる締付にて、第1垂下状片15と第2垂下状片35とを介して第1頭部1と第2頭部3とが近接すると共に、枢支連結点Pを回動中心として第1脚部2と第2脚部4との下方部分が回動により近接し、第1馳係止部22と第2馳係止部42及び第1嵌合突片23及び第1嵌合突片23が相互に近接する(図5参照)。
【0048】
また、前記締付部材52のボルト52aの頭部とネジ軸部との間の付根箇所には立方体状の空転防止部52a’が形成されることもある〔図2(C),図3(C)参照〕。そして、このような構成により、ボルト52aのネジ軸部と共に前記空転防止部52a’が第1垂下状片15の連結孔15aに挿入されることによって、ボルト52aとナット52bとを締め付けるときには、供回りすることなく、効率的に締付けができるものである。このような空転防止部52a’を有するボルトを角根ボルトと称することもある。また、締付部材52には、ボルト52aとナット52bに加えてワッシャ―52cが備えられることもある。該ワッシャ―52cは、スプリングワッシャ―であることが好適である。
【0049】
また、第1垂下状片15の連結孔15aには、締付部材52のボルト52aと螺合する内ネジ部材が溶接等にて固着される構成とすることもある〔図4(D)参照〕。ここで内ネジ部材とはナット52bのことである。つまり、ナット52bが第1垂下状片15の連結孔15aの内方側に溶接にて固着される構成である〔図4(D)参照〕。さらに、第2垂下状片35には締付部材52のボルト52aのネジ軸径よりも直径が大なる連結孔35aが形成され、前記第1垂下状片15の締付部材52には締付部材52のボルト52aと螺合する内ネジが形成される構成とすることもある〔図4(C)参照〕。この場合では、締付部材52はボルト52aのみであり、ナット52bは不要となる。
【0050】
そして、第1挟持部材A1の第1頭部1と、第2挟持部材A2の第2頭部3とは、前記締付部材52の締付により、相互に近接する。このとき、第1頭部1と第2頭部3とが近接して実際に当接するまでの間隔として、第1頭部1の垂直側面12と第2頭部3の垂直側面32との間には所定の隙間 (クリアランス)Sが設けられている〔図3(A),図5(A
)等参照〕。該隙間Sは、本発明の屋根用支持具Aが二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1に適正に装着された状態で、さらに、第1頭部1と第2頭部3とが近接することが
できる余裕を持たせるものである。
【0051】
この隙間Sは、外部の風による負圧等の外力によって、さらに第1頭部1と第2頭部3とが近接し両者の間隔が狭まることができるようにしたものであり、この第1脚部2と第2脚部4とがさらに近接し、第1馳係止部22と第2馳係止部42及び第1嵌合突片23と第2嵌合突片43とがさらに近接できる構成となっている。ここで、前記隙間Sは、第1頭部1の頂面11に装着された吊子87の垂直状部と、第2挟持部材A2の第2頭部3の垂直側面32との間に生じる隙間とすることもある。
【0052】
本発明における屋根用支持具Aの第2実施形態として、第1挟持部材A1の第1頭部1の頂面11と、第2挟持部材A2の第2頭部3の頂面31とは、上下方向において同一高さとなるように構成されるものが存在する(図10参照)。屋根用支持具Aの第2実施形態は、具体的には、第1頭部1と第2頭部3とが近接した状態のときに、両者の頂部同士が同一面又は略同一面となり、上層折板屋根B2の山形状部の両被嵌合屈曲部84,84が第1頭部1の第1嵌合端縁13a及び第2頭部3の第2嵌合端縁33aにそれぞれ嵌合するものである。この実施形態では上層折板屋根B2には吊子87は不要となる。
【0053】
ここで、下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2の山形状部とは、下層折板屋根B1及び
上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8が隣接し、一方の折板屋根板材8の下馳部8
5と他方の折板屋根板材8の上馳部86とが馳締されて馳締部Jが構成された状態で両立上り部82,と両山形頂部83,83によって構成される台形状の山形状部分のことである(図1図11参照)。
【0054】
次に、本発明における屋根用支持具Aの第1実施形態において、第1挟持部材A1と第
2挟持部材A2に樹脂が被覆された構成であり、又は樹脂がコーティングされる構成としたものが存在する。そして、第1挟持部材A1における樹脂が被覆又はコーティングされた部分を、第1樹脂被覆部61と称し、第2挟持部材A2における樹脂が被覆又はコーティングされた部分を、第2樹脂被覆部62と称する(図9参照)。
【0055】
具体的には、第1樹脂被覆部61と第2樹脂被覆部62とは、第1挟持部材A1と第2
挟持部材A2とが二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋根板材8,8,…において、その隣接する折板屋根板材8,8同士の馳締部Jを中心とする山形状部上に適正に装着された状態で、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2における折板屋根板材8と直接、当接(接触)する部分に樹脂による被覆が行われている部分のことである〔図9(D)参照〕。
【0056】
第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62は、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2の全体に設けられるものではなく、少なくとも一部の部分のみでよく、この一部とは、具体的には、前述したように、屋根用支持具Aと下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2とのそれぞれの接触(当接)箇所のことである。第1挟持部材A1に設けられた第1樹脂被覆部6
1及び第2挟持部材A2に設けられた第2樹脂被覆部62は、二層折板屋根Bにおける上
層折板屋根B2から下層折板屋根B1への温度の流れを遮断する断熱としての役目をなすものである〔図4(A),(B)参照〕。
【0057】
第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62によって、低温又は高温等の外気温が二層折板屋根Bの上層折板屋根B2から屋根用支持具Aに伝達されたとしても、該屋根用支持
具Aから下層折板屋根B1には熱の伝達をほとんど遮断し、熱伝達を防止すると共に、下
層折板屋根B1下の室内の温度を略一定にすることができるものである。
【0058】
さらに、屋根用支持具Aに第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62が設けられることによって、上層折板屋根B2における板鳴り現象を低減させる役目をなすものである。
これによって、上層折板屋根B2は、外気温の影響を受けて、特に夏季では高温により上
層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8は長手方向(X方向)に沿って熱伸縮を行う。こ
の場合、上層折板屋根B2と該上層折板屋根B2を支持する屋根用支持具Aとの間で位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生する。そして、第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62は、上層折板屋根B2との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制する役目をなすものである。
【0059】
ここで、第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62は、流動浸漬式ポリエチレンにより行われ、さらに具体的には、紛体樹脂塗料が収容されている容器(又は「槽」)に第1挟持部材A1,第2挟持部材A2の一部を漬け込むことにより、被覆(コーティング)が行われ、第1樹脂被覆部61及び第2樹脂被覆部62が形成されるものである。第1樹脂被覆部61及び第2挟持部材A2は、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2において、二層折板屋根Bの下層折板屋根B1と上層折板屋根B2に直接的に当接する部位に設けられる。
【0060】
具体的には、第1頭部1と第2頭部3では、上層折板屋根B2を構成する複数の折板屋
根板材8,8,…において、その隣接する折板屋根板材8,8同士の馳締部Jを中心とする山形状部がその下面から屋根用支持具Aによって適正に支持された状態で、第1頭部1と第2頭部3における上層折板屋根B2と直接的に接触する部分に樹脂による被覆が行わ
れている部分のことである〔図1(A)及び図9(B)参照〕。
【0061】
さらに具体的には、第1樹脂被覆部61は第1頭部1の傾斜側面13(第1嵌合端縁1
3aを含む)の略全面、及び両壁側面14及び頂面11の外方側一部に施される(図9参照)。また、第2樹脂被覆部62は、前記第1樹脂被覆部61と同様に第2頭部3の傾斜側面33(第2嵌合端縁33aを含む)の略全面、及び両壁側面34及び頂面31の外方側一部に施される(図9参照)。また、第1脚部2においては、第1樹脂被覆部61は、第1馳係止部22及びその周囲、そして第1嵌合突片23及びその周囲の部分にそれぞれ設けられる(図9参照)。第1馳係止部22には、凹み部22aも含まれ、この凹み部22aにも一部又は全部に樹脂が被覆されることもある。
【0062】
さらに、第2脚部4においては、第2樹脂被覆部62は、第2馳係止部42及びその周囲,そして、第2嵌合突片43及びその周囲の部分にそれぞれ設けられる(図9参照)。第2馳係止部42には、凹み部42aも含まれ、この凹み部42aにも一部又は全部に樹脂が被覆されることもある。
【0063】
第1挟持部材A1において第1樹脂被覆部61が施された部分で、第1嵌合端縁13a
,第1馳係止部22,第1嵌合突片23の部分は、その表面に樹脂が被覆されたとしても、単に第1嵌合端縁13a,第1馳係止部22,第1嵌合突片23と称しても構わない。同様に、第2挟持部材A2において第2樹脂被覆部62が施された部分で、第2嵌合端縁33a,第2馳係止部42,第2嵌合突片43の部分は、その表面に樹脂が被覆されたとしても単に嵌合端縁43a,第2馳係止部42,第2嵌合突片43と称しても構わない。
【0064】
第1頭部1及び第1脚部2において第1樹脂被覆部61が施された部分の断面は、金属の部分を全面囲むように構成されている〔図9(B),(C)参照〕。同様に第2頭部3及び第2脚部4において第2樹脂被覆部62が施された部分の断面は、金属の部分を全面囲むように構成されている。なお、必要に応じて、吊子87にも樹脂が被覆されることもある。
【0065】
次に、二層折板屋根Bについて説明する。まず、二層折板屋根Bの構成を述べる。該二層折板屋根Bは、幅方向一方側に下馳部85を他方側に上馳部86を有する折板屋根板材8が複数並設され,隣接する両該折板屋根板材8,8同士の前記下馳部85と前記上馳部86とが馳締連結されてなる下層折板屋根B1と,該下層折板屋根B1と同等の構成を有する上層折板屋根B2とからなる二層折板屋根Bと、外端を第1第1嵌合端縁13aとした
第1頭部1と,該第1頭部1から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第1馳係止部22と下端に第1嵌合突片23が形成された第1脚部2とを有する第1挟持部材A1と
、外端を第2第2嵌合端縁33aとした第2頭部3と,該第2頭部3から下方に向かって傾斜状に延在形成され中間に第2馳係止部42と下端に第2嵌合突片43が形成された第2脚部4とを有する第2挟持部材A2とを枢支部材51にてX字状に交差させて枢支連結
され、前記第1頭部1は、前記第2頭部3よりも低位置とした屋根用支持具Aとを備え、前記下層折板屋根B1における隣接する両前記折板屋根板材8の対向する両前記82,8
2上に前記屋根用支持具Aが配置され、該屋根用支持具Aの前記第1脚部2と前記第2脚部4とで前記下層折板屋根B1の馳締部Jと両前記被嵌合屈曲部84,84とを係止させ
ると共に前記第1頭部1と前記第2頭部3との対向面との間には所定の隙間 (クリアランス)sが設けられるようにして、前記第1頭部1上に前記上層折板屋根B2用の吊子87が固着されて前記上層折板屋根B2が設けられた構成としたものである。
【0066】
さらに、二層折板屋根Bの詳細について説明する。二層折板屋根Bは、主に、下層折板屋根B1と上層折板屋根B2と屋根用支持具Aとから構成される(図1参照)。なお下層折板屋根は下弦屋根と称することがあり、上層折板屋根は上弦屋根と称することもある。下層折板屋根B1と上層折板屋根B2の構成は同一又は略同一であり、下層折板屋根B1と上層
折板屋根B2を構成するそれぞれの折板屋根板材8についても同一又は略同一である。下
層折板屋根B1及び上層折板屋根B2は、同一の馳締タイプの折板屋根板材8により構成される。
【0067】
下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8は同一なので、同一符号を付与する。そして、折板屋根板材8については、下層折板屋根B1を構成する折板屋
根板材8及び上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8と称する。下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2を構成するそれぞれの折板屋根板材8の構成は、平坦状の主板81が設
けられ、該主板81の幅方向両側に立上り部82,82が形成され、該立上り部82,82の上端から山形頂部83,83が形成されている。そして、折板屋根板材8の幅方向(Y方向)の両側の立上り部82と山形頂部83によって、半山形状部分が形成される。
【0068】
折板屋根板材8の幅方向一方側の山形頂部83には、下馳部85が形成され、他方側の山形頂部83には上馳部86が形成されている。下馳部85及び上馳部86は、その断面形状に円弧形状の部分が存在する丸馳形状に形成されたものであるが、その他に形状を略方形状とした角馳タイプのものや、形状を略逆L字形状とした立馳タイプのものが存在する。
【0069】
また、前記主板81の幅方向(Y方向)の中心箇所には断面略扁平V字形状としたV字状底部81aが形成されている〔図1(A)参照〕。該V字状底部81aは、主板81の中でも特に最も深い部分であり〔図1(A)参照〕、主板81の長手方向(X方向)に連続して形成されている。
【0070】
次に、両前記立上り部82には、被嵌合屈曲部84がそれぞれ形成されている。該被嵌合屈曲部84は、両前記立上り部82の高さ方向の中間箇所に段状部として形成されたものであり、該立上り部82において、前記段状部の上方側が下方側よりも外方に突出するように形成された部位である〔図1(B),図7参照〕。或いは、換言するならば、立上り部82において、前記段状部の下側が上方側よりも内方側に凹むように突出するように形成された部位である。折板屋根板材8における被嵌合屈曲部84は、屋根用支持具Aの第1頭部1の第1嵌合端縁13a及び第2頭部3の第2嵌合端縁33aと嵌合する役目をなす部位である〔図1(B)参照〕。
【0071】
次に、二層折板屋根Bにおいて、下層折板屋根B1上に屋根用支持具Aが設置され、該
屋根用支持具A上に上層折板屋根B2が施工される工程を図7及び図8に基づいて説明す
る。ここで、図7及び図8では下層折板屋根B1は、既に施工完了した状態とする。まず
、下層折板屋根B1について説明する。下層折板屋根B1は、折板屋根板材8とタイトフレーム71と構造材9にて屋根(壁状も含む)により構成される。下層折板屋根B1を支持するタイトフレーム71は、屋根用支持具Aの嵌合取付部材72を有している。
【0072】
下層折板屋根B1を支持する構造材9上に複数のタイトフレーム71,71,…が配置
される。そして下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋根板材8,8,…は、下馳部8
5と上馳部86とが馳締連結され、隣接する折板屋根板材8,8の連結箇所の対向する被嵌合屈曲部84,84がタイトフレーム71の嵌合取付部材72によって折板屋根板材8の被嵌合屈曲部84が嵌合されて、折板屋根板材8がタイトフレーム71に固定される。
【0073】
下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋根板材8,8,…の下馳部85と上馳部86
とによる連結箇所を中心とする山形状部上に、屋根用支持具Aが設置される。屋根用支持具Aは、下層折板屋根B1を構成する複数の並列された折板屋根板材8,8,…のY方向
及びX方向に沿って所定の間隔をおいて行列状態で設置される。
【0074】
屋根用支持具Aの下層折板屋根B1への設置は、第1頭部1と第2頭部3とを締付部材
52を緩めて相互に離間させる。これによって、第1脚部2と第2脚部4とが開いて相互に離間し、第1馳係止部22と第2馳係止部42及び第1嵌合突片23及び第2嵌合突片43が相互に開いて離間する〔図7(A)参照〕。そして、そのまま、ボルト52a及びナット52bからなる締付部材52を締め付けて、第1脚部2と第2脚部4との間隔を狭くして、馳締部Jの首部Jnを挟持状態で係止すると共に、凹み部22aと、凹み部42aとで馳締部Jの上方部分を包持する。
【0075】
さらに、第1馳係止部22と第2馳係止部42との近接に伴い、第1挟持部材A1の嵌
合突片23と、第2挟持部材A2の第2嵌合突片43とも近接し、下層折板屋根B1の隣
接する折板屋根板材8,8からなる山形状部の両被嵌合屈曲部84,84に挟持状態で嵌合することになり、屋根用支持具Aを下層折板屋根B1の山形状部上に設置固定される〔
図7(B),(C)参照〕。
【0076】
次に、上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8を前記下層折板屋根B1上に設置固定された複数の屋根用支持具Aにおける隣接する屋根用支持具A,A間に配置し両被嵌合屈曲部84,84に対して、第1挟持部材A1の第1頭部1の第1嵌合端縁13aと、第2
挟持部材A2の第2頭部3の第2嵌合端縁33aにて適正に嵌合することができるように
設定される。
【0077】
そして、吊子87が屋根用支持具Aの第1頭部1の頂面11上に設置され〔図8(D)参照〕、下層折板屋根B1上で隣接する屋根用支持具A,A間に折板屋根板材8が配置され
、該折板屋根板材8を押し込むようにして、その両被嵌合屈曲部84,84と、隣接する屋根用支持具A,Aの対向する第1挟持部材A1の第1嵌合端縁13aと、第2挟持部材
A2の第2嵌合端縁33aとを嵌合させる〔図8(E)参照〕。
【0078】
そして、上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材8の下馳部85を、吊子87の舌片
87bに馳締し、屋根用支持具Aの第1挟持部材A1の第1脚部2の頂面11に、吊子8
7の吊子ベース87aを固定用ボルト53と内ネジ部材(ナット等)54によって固着する。吊子ベース部87aには、取付孔87cが形成され、該取付孔87cには、前記固定用ボルト53が挿通する構成となっている。次いで、隣接する折板屋根板材8,8同士の下馳部85と上馳部86とを馳締して二層折板屋根Bにおける上層折板屋根B2を施工するものである〔図1図8(F)参照〕。
【0079】
前記吊子87は、前述したように、基本的な構成として吊子ベース部87aと舌片87bとを備えている。該吊子ベース部87aは、平面より見て略長方形状とし、断面を逆門形状とした形状である。前記舌片87は、長手方向に直交する断面が略「?」字形状に形成されたものであり、吊子ベース部87aは、その長手方向において上方が開放された逆門形状に形成されている〔図2(D)参照〕。吊子ベース部87aには、固定用ボルト53が貫通する固定用貫通孔87cが形成されている。吊子ベース部87aは第1頭部1の頂面11上に載置され、固定用ボルト53と内ネジ部材54(ナット等)によって吊子ベース部87aが固着されるものである。
【0080】
また、隣接する折板屋根板材8,8の下馳部85と上馳部86とは、吊子87の舌片87bを挟むようにして馳締される。また、吊子87は、舌片87bと固定用ボルト53のみで構成される実施形態も存在する。吊子87は、その他の形状として吊子ベース部87aの上方部分が開放された筐体状としたものや、又は方形状の所定の板厚を有する座金状としたもの等が存在する。
【0081】
このように、馳締タイプの折板屋根板材8は、吊子87を介して、本発明の屋根用支持具Aの第1挟持部材A1の頂面11に固定支持されると共に、屋根用支持具Aの両第1嵌
合端縁13a,第2嵌合端縁33aによって、上層折板屋根B2を構成する折板屋根板材
8の被嵌合屈曲部84,84が嵌合部固定されるものである。これによって、本発明の屋根用支持具Aは、折板屋根板材8,8,…によって施工された屋根又は壁等の外囲体を極めて強固に支持固定し、特に強風による負圧に対して優れた耐久性を発揮できるものである。
【0082】
本発明における屋根用支持具Aは、二層折板屋根Bに対して下層折板屋根B1と上層折
板屋根B2のそれぞれの馳締部Jと被嵌合屈曲部84にそれぞれ係止及び嵌合することで
極めて強固な二層折板屋根を構成することができる。さらに、二層折板屋根Bに台風等の強風時において大きな負圧Qが上層折板屋根B2にかかって、該上層折板屋根B2が上方に持ち上げられるような負圧Qによる外力が作用したときには、上層折板屋根B2の山形状
部の両被嵌合屈曲部84が屋根用支持具Aの第1頭部1の第1嵌合端縁13aと、第2頭部3の第2嵌合端縁33aを上方に持ち上げようとする〔図6(B)参照〕。
【0083】
このとき、屋根用支持具の第第1頭部1と第2頭部3とは枢支連結点Pを回動中心として、相互に近接するように回動する。これと同時に第1脚部2と第2脚部4とは枢支連結点Pを回動中心として相互に近接するように回動し、第1馳係止部22と第2馳係止部42及び第1嵌合突片23と第2嵌合突片43とがそれぞれ相互に近接して、下層折板屋根B1の山形状部の馳締部J及び両被嵌合屈曲部84,84により強固に係止及び嵌合することになり、強風に十分に耐え得るものにできる〔図6(B)参照〕。
【0084】
二層折板屋根Bに、さらに、折板屋根を1つ加えて三層折板屋根とすることもある(図11参照)。この場合、上層折板屋根B2に、さらに三層目となる、最上層折板屋根B3が設置され、三層の折板屋根となる。下層折板屋根B1と上層折板屋根B2との間及び上層折板屋根B2と最上層折板屋根B3との間に屋根用支持具Aが設けられる。また、下層折板屋根B1,上層折板屋根B2及び最上層折板屋根B3のそれぞれの馳締部の位置は全て一致(略一致も含む)し、馳締部が上中下に揃う支持箇所において屋根用支持具Aは、上下2個使
用される(図11参照)
【符号の説明】
【0085】
A…屋根用支持具、A1…第1挟持部材、A2…第2挟持部材、1…第1頭部、
11a…吊子用固定孔、13a…第1嵌合端縁、15…第1垂下状片、15a…連結孔、
2…第1脚部、22…第1馳係止部、23…第1嵌合突片、3…第2頭部、
33a…第2嵌合端縁、35…第2垂下状片、4…第2脚部、42…第2馳係止部、
43…第2嵌合突片、52…締付部材、54…内ネジ部材、61…第1樹脂被覆部、
62…第2樹脂被覆部、B…二層折板屋根、B1…下層折板屋根、B2…上層折板屋根、
8…折板屋根板材、85…下馳部、86…上馳部、87…吊子。
図1
図2
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図11