(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048818
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】送風機および遠心ファン
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20240402BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20240402BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/62 B
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154933
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】井内 一博
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC19
3H130BA95C
3H130BA95G
3H130BA97C
3H130BA97G
3H130CB06
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA02C
3H130EA02G
3H130EA06C
3H130EA06G
3H130EA07C
3H130EA07G
3H130EB01C
3H130ED02C
3H130ED02G
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607BB17
5H607CC05
5H607FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インペラ部が有する位置決め部に接着剤が付着することを抑制できる送風機および遠心ファンを提供する。
【解決手段】回転可能なロータと、ロータと固定され、回転可能なインペラ部と、を備える。インペラ部は、ロータの径方向外側に配置される筒状部と、ロータの軸方向一方側に配置される天板部と、ロータの軸方向他方側に開口するインペラ開口部と、を有する。筒状部は、ロータと径方向に接触する複数のリブ部を有する。複数のリブ部のそれぞれは、軸方向に延び、かつ、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。複数のリブ部同士の間には、ロータと筒状部とを接着する接着剤が配置される。天板部は、ロータを軸方向一方側から覆う天板基部と、天板基部から軸方向他方側に突出しロータと軸方向に接触する複数の位置決め部を有する。周方向において、複数の位置決め部のそれぞれは、周方向に互いに隣り合うリブ部同士の間に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転可能なロータと、
前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転可能なインペラ部と、
を備え、
前記インペラ部は、前記ロータの径方向外側に配置される筒状部と、前記ロータの軸方向一方側に配置される天板部と、前記ロータの軸方向他方側に開口するインペラ開口部と、を有し、
前記筒状部は、前記ロータと径方向に接触する複数のリブ部を有し、
複数の前記リブ部のそれぞれは、軸方向に延び、かつ、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、
複数の前記リブ部同士の間には、前記ロータと前記筒状部とを接着する接着剤が配置され、
前記天板部は、前記ロータを軸方向一方側から覆う天板基部と、前記天板基部から軸方向他方側に突出し前記ロータと軸方向に接触する複数の位置決め部を有し、
周方向において、複数の前記位置決め部のそれぞれは、周方向に互いに隣り合う前記リブ部同士の間に配置される送風機。
【請求項2】
前記ロータは、前記筒状部内に圧入されている、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記天板部は、前記天板基部から軸方向他方側に突出する環状の環状壁部を有し、
前記環状壁部は、複数の前記リブ部よりも径方向内側に配置される、請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
軸方向において、複数の前記位置決め部の軸方向他方側の端部は、前記環状壁部の軸方向他方側の端部よりも、軸方向他方側に位置する、請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記環状壁部は、複数の前記位置決め部の径方向内側に配置される、請求項3に記載の送風機。
【請求項6】
複数の前記位置決め部は、前記環状壁部と繋がる、請求項3に記載の送風機。
【請求項7】
前記ロータは、軸方向に延びる筒状のロータケースを有し、
前記ロータケースは、軸方向一方側に開口するケース開口部を有し、
前記環状壁部の径方向外側の端部は、前記ケース開口部よりも径方向外側に位置する、請求項3から6のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項8】
複数の前記位置決め部の径方向外側面は、前記天板基部に近づくにしたがって、径方向外側に位置する曲面状である、請求項3に記載の送風機。
【請求項9】
請求項1に記載の送風機と、前記送風機を収容するケースと、を備える遠心ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機および遠心ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、OA機器などの冷却および換気を行う送風機では、周方向に配列された複数の羽根を備えるインペラ部と、インペラ部を回転させるモータと、を備える。例えば、特許文献1には、カップ状のインペラ部の内部にモータを配置し、モータが有するロータの外周面とインペラ部の内周面とを固定する構成の送風機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような送風機では、インペラ部の内周面とロータの外周面とを接着剤によって固定する場合がある。この場合、送風機の組立工程において、インペラ部の内周面に接着剤を塗布した後にインペラ部の内部にロータを軸方向に挿入する際に、接着剤がロータとともに軸方向に移動する。そのため、ロータを軸方向に支持するインペラ部の位置決め部に接着剤が付着する虞があり、インペラ部に対するロータの軸方向の位置を精度よく決めることができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、インペラ部が有する位置決め部に接着剤が付着することを抑制できる送風機および遠心ファンを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送風機の一つの態様は、中心軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転可能なインペラ部と、を備える。前記インペラ部は、前記ロータの径方向外側に配置される筒状部と、前記ロータの軸方向一方側に配置される天板部と、前記ロータの軸方向他方側に開口するインペラ開口部と、を有する。前記筒状部は、前記ロータと径方向に接触する複数のリブ部を有する。複数の前記リブ部のそれぞれは、軸方向に延び、かつ、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。複数の前記リブ部同士の間には、前記ロータと前記筒状部とを接着する接着剤が配置される。前記天板部は、前記ロータを軸方向一方側から覆う天板基部と、前記天板基部から軸方向他方側に突出し前記ロータと軸方向に接触する複数の位置決め部を有する。周方向において、複数の前記位置決め部のそれぞれは、周方向に互いに隣り合う前記リブ部同士の間に配置される。
【0007】
本発明の遠心ファンの一つの態様は、上記の送風機と、上記の送風機を収容するケースと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、送風機および遠心ファンにおいて、インペラ部が有する位置決め部に接着剤が付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の遠心ファンを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の遠心ファンを示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のインペラ部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の位置決め部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の遠心ファンの一部を示す断面図である。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態の遠心ファンのロータ固定工程を示す第1の断面図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施形態の遠心ファンのロータ固定工程を示す第2の断面図である。
【
図6C】
図6Cは、一実施形態の遠心ファンのロータ固定工程を示す第3の断面図である。
【
図6D】
図6Dは、一実施形態の遠心ファンのロータ固定工程を示す第4の断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の変形例の位置決め部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る遠心ファンについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0011】
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態のロータの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明では、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。また、
図1から
図5の説明では、「軸方向一方側(+Z側)」を「上側」と呼ぶ場合があり、「軸方向他方側(-Z側)」を「下側」と呼ぶ場合がある。なお、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、軸方向一方側(+Z側)から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。
【0013】
図1に示す本実施形態の遠心ファン10は、ケース40と、送風機11とを有する。本実施形態の、送風機11は、モータ部15と、インペラ部60と、を備える。本実施形態において、遠心ファン10は、インペラ部60が中心軸Jを中心に回転することによって、空気を径方向外側に向かって送り出す送風ファンである。
【0014】
ケース40は、送風機11を内部に収容する。ケース40は、第1ケース部41と、第2ケース部42と、を有する。
【0015】
第1ケース部41は、第1側壁部41aと、天壁部41bと、第1開口部41cと、吸気口41dと、を有する。
図2に示すように、第1ケース部41の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、後述する送風路40aの上側の部分を構成する。第1側壁部41aは、軸方向に延びる略円筒状である。第1側壁部41aは、下側に開口する。第1側壁部41aは、インペラ部60の上側の部分を径方向外側から囲む。天壁部41bは、第1側壁部41aの上端部から径方向内側に延びる略円環板状である。天壁部41bの板面は、軸方向を向く。天壁部41bには、吸気口41dが設けられる。吸気口41dは、天壁部41bを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、吸気口41dは、中心軸Jを中心とする略円形状である。
図1に示すように、第1開口部41cは、周方向一方側(+θ側)に開口する。
【0016】
第2ケース部42は、第2側壁部42aと、底壁部42cと、第2開口部42bと、を有する。
図2に示すように、第2ケース部42の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、送風路40aの下側の部分を構成する。第2側壁部42aは、軸方向に延びる略円筒状である。第2側壁部42aは、上側に開口する。第2側壁部42aは、インペラ部60の下側の部分を径方向外側から囲む。第2側壁部42aは、第1側壁部41aの下端と固定される。底壁部42cは、第2側壁部42aの下端から径方向内側に広がる略円環板状である。底壁部42cには、底壁孔42hが設けられる。底壁孔42hは、底壁部42cを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、底壁孔42hは、中心軸Jを中心とする略円形状である。
図1に示すように、第2開口部42bは、周方向一方側(+θ側)に開口する。軸方向に見て、第2開口部42bは、第1開口部41cと重なる。第1開口部41cと第2開口部42bは、排気口40bを構成する。送風路40aを周方向一方側に向けて流れる空気は、排気口40bを介して、遠心ファン10の外部に流れ出る。
【0017】
図2に示すように、モータ部15は、インペラ部60の内部に配置される。モータ部15は、スリーブ50と、ロータ20と、シャフト23と、ステータ30と、回路基板70と、を備える。
【0018】
スリーブ50は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。スリーブ50の下端は、底壁孔42hを軸方向に通され、底壁孔42hと固定される。これにより、スリーブ50は、ケース40に固定される。スリーブ50の内周面には、軸受91,92が保持される。
【0019】
ロータ20は、中心軸Jを中心に回転する。ロータ20は、ロータケース21と、磁石22と、を備える。ロータケース21は、インペラ部60の内部に配置される。ロータケース21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる筒状である。ロータケース21は、ケース円筒部21aと、ケース円環部21bと、を有する。ケース円筒部21aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース円筒部21aは、下側に開口する。ケース円筒部21aは、インペラ部60に固定される。これにより、ロータ20は、インペラ部60に固定される。
【0020】
ケース円環部21bは、中心軸Jを中心とする円環状板である。ケース円環部21bの板面は、軸方向を向く。ケース円環部21bの外縁は、ケース円筒部21aの上端と繋がる。ケース円環部21bには、ケース開口部21cが設けられる。ケース開口部21cは、ケース円環部21bを軸方向に貫通する孔である。ケース開口部21cは上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に開口する。軸方向に見て、ケース開口部21cは、中心軸Jを中心とする円形状である。ケース開口部21cには、シャフト23およびスリーブ50が軸方向に通される。ケース開口部21cの外縁は、ステータ30よりも径方向外側に位置する。磁石22は、ケース円筒部21aの内周面に固定される。磁石22は、周方向に沿って複数の磁極が配置される。
【0021】
シャフト23は、中心軸Jに沿って軸方向に延びる略円柱状である。シャフト23の上側の部分は、インペラ部60に固定される。シャフト23は、軸受91,92によって、中心軸J回りに回転可能に支持される。これにより、シャフト23、ロータ20およびインペラ部60が中心軸Jを中心として回転可能となる。
【0022】
ステータ30は、ロータ20の径方向内側に配置される。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、複数のコイル33と、を有する。
【0023】
ステータコア31は、中心軸Jを中心とする略円環状である。ステータコア31は、スリーブ50を径方向外側から囲む。ステータコア31は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向する。ステータコア31の内周面は、スリーブ50の外周面に固定される。インシュレータ32は、ステータコア31に装着される。複数のコイル33のそれぞれは、インシュレータ32を介して、ステータコア31に装着される。複数のコイル33のそれぞれは、互いに周方向に沿って間隔をあけて配置される。
【0024】
回路基板70は、複数のコイル33に供給される電流を制御する。回路基板70は、ステータ30の下側に配置される。回路基板70は径方向に広がる板状である。回路基板70の板面は、軸方向を向く。回路基板70は、ケース40の底壁部42cに固定される。回路基板70は、第1貫通孔70aを有する。第1貫通孔70aは、回路基板70を軸方向に貫通する孔である。第1貫通孔70aには、スリーブ50およびシャフト23が軸方向に通される。
【0025】
インペラ部60は、カップ部60aと、羽根64と、環状部65と、を有する。カップ部60aは、モータ部15を内部に収容する。カップ部60aは、下側に開口する。カップ部60aは、天板部61と、筒状部62と、接続部63と、を有する。本実施形態において、インペラ部60は、樹脂製である。本実施形態において、インペラ部60は、射出成形によって成形される。インペラ部60は、圧縮成型などの他の成形方法によって成形されてもよい。
【0026】
天板部61は、中心軸Jを中心とし、上側に向けて凸となる略半球殻状である。天板部61は、ロータ20の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置される。天板部61は、天板基部61aと、複数の位置決め部61dと、環状壁部61hと、を有する。天板基部61aは、中心軸Jを中心とし、上側に向けて凸となる略半球殻状である。天板基部61aは、ロータ20を上側、すなわち軸方向一方側から覆う。天板基部61aの径方向外側の端部は、ロータ20よりも径方向外側に位置する。天板基部61aには、天板基部61aを軸方向に貫通するインペラ貫通孔61bが設けられる。軸方向に見て、インペラ貫通孔61bは、中心軸Jを中心とする略円形状である。インペラ貫通孔61bの内周面には、シャフト23の上側の部分が固定される。これにより、インペラ部60は、シャフト23と固定される。
【0027】
複数の位置決め部61dのそれぞれは、天板基部61aから下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に突出する略四角柱状である。複数の位置決め部61dのそれぞれは、ケース円環部21bの上側に配置される。
図3に示すように、各位置決め部61dは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。本実施形態では、各位置決め部61dは、周方向に略等間隔をあけて配置される。図示は省略するが、本実施形態において、位置決め部61dは、9個設けられる。各位置決め部61dは、支持面61fを有する。
【0028】
図2に示すように、支持面61fは、位置決め部61dの外側面のうち、下側を向く面である。
図4に示すように、軸方向に見て、支持面61fは、略四角形状である。
図2に示すように、支持面61fは、ケース円環部21bの上側を向く面と軸方向に接触する。すなわち、複数の位置決め部61dのそれぞれは、ロータ20と軸方向に接触する。これにより、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置が決まる。
【0029】
図4に示すように、位置決め部61dの外側面のうち径方向外側を向く面である径方向外側面61gは、天板基部61aに近づくにしたがって、径方向外側に位置する曲面状である。よって、本実施形態によれば、曲面状の径方向外側面61gが天板基部61aの内周面に沿いつつ、天板基部61aと繋がり易くできる。そのため、支持面61fとロータ20とが接触することによって各位置決め部61dに加わる応力が、各位置決め部61dと天板基部61aとが繋がる部分に集中することを抑制できる。これにより、各位置決め部61dが、径方向および周方向に変形することを抑制でき、各支持面61fが向く方向が軸方向と交差する方向に傾くことを抑制できる。したがって、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置を精度よく決めることができる。なお、各位置決め部61dの外側面のうち、周方向を向く面が、天板基部61aに近づくにしたがって、周方向外側に位置する曲面状であってもよい。この場合も、各支持面61fが向く方向が軸方向と交差する方向に傾くことを抑制できるため、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置を精度よく決めることができる。
【0030】
図2に示すように、環状壁部61hは、天板基部61aから下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に突出する環状である。
図5に示すように、環状壁部61hの径方向外側の端部は、ロータケース21のケース開口部21cよりも径方向外側に位置する。環状壁部61hは、ケース円環部21bと軸方向に間隔をあけて対向する。軸方向において、複数の位置決め部61dの下側、すなわち軸方向他方側の端部は、環状壁部61hの下側の端部よりも、下側に位置する。よって本実施形態によれば、ロータ20と環状壁部61hとが軸方向に接触することを抑制できるため、ロータ20と複数の位置決め部61dのそれぞれとを安定して軸方向に接触させることができる。したがって、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置をより精度よく決めることができる。
【0031】
図3に示すように、環状壁部61hは、複数の位置決め部61dそれぞれの径方向内側に配置される。環状壁部61hは、複数の位置決め部61dそれぞれの径方向内側を向く面と繋がる。つまり、複数の位置決め部61dは、環状壁部61hと繋がる。よって、本実施形態によれば、インペラ部60を射出成形によって成形する際に、複数の位置決め部61dと環状壁部61hとの間に金型の一部を配置する必要が無い。したがって、成形されたインペラ部60を金型から取り外す際に、金型が複数の位置決め部61dおよび環状壁部61hと干渉することを抑制できる。したがって、成形されたインペラ部60を金型から容易に取り外すことができるため、インペラ部60の製造工数が増大することを抑制できる。また、複数の位置決め部61dと環状壁部61hとが繋がるため、金型の内部に樹脂を流し込む際に、複数の位置決め部61dおよび環状壁部61hにおける樹脂の流れを安定させることができる。したがって、複数の位置決め部61dおよび環状壁部61hの寸法精度および形状精度を高めることができる。
【0032】
図5に示すように、環状壁部61hと、天板基部61aのうち環状壁部61hよりも径方向外側に位置する部分との間の空間は、収容空間61iである。収容空間61iは、インペラ部60の内部空間の一部である。収容空間61iは、環状壁部61hの径方向外側に位置する。収容空間61iは、天板基部61aのうち環状壁部61hよりも径方向外側に位置する部分の下側に位置する。収容空間61iは、周方向に一周に亘って設けられる。収容空間61iは、ロータケース21のケース円環部21bの上側に位置する。
【0033】
図2に示すように、筒状部62は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。筒状部62は、ロータ20の径方向外側に配置される。筒状部62は、ロータ20を径方向外側から囲む。筒状部62は、筒状基部62aと、複数のリブ部62cと、を有する。
【0034】
筒状基部62aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。筒状基部62aの上端は、天板基部61aの径方向外側の端部と繋がる。筒状基部62aは、下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に開口するインペラ開口部62bを有する。
【0035】
図3に示すように、複数のリブ部62cのそれぞれは、筒状基部62aの内周面から径方向内側に突出する。複数のリブ部62cのそれぞれは、筒状基部62aの内周面に沿って軸方向に延びる。軸方向に見て、複数のリブ部62cのそれぞれは、略四角形状である。複数のリブ部62cの上端は、天板基部61aと繋がる。軸方向において、複数のリブ部62cの下端の位置は、筒状基部62aの下端の位置とほぼ同じ位置である。
【0036】
複数のリブ部62cのそれぞれは、環状壁部61hよりも径方向外側に配置される。つまり、環状壁部61hは、複数のリブ部62cよりも径方向内側に配置される。複数のリブ部62cのそれぞれは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。本実施形態では、複数のリブ部62cのそれぞれは、周方向に略等間隔をあけて配置される。図示は省略するが、本実施形態において、リブ部62cは、9個設けられる。本実施形態では、周方向において、複数の位置決め部61dのそれぞれは、周方向に互いに隣り合うリブ部62c同士の間に配置される。複数の位置決め部61dのそれぞれは、複数のリブ部62cと離れて配置される。
図2に示すように、複数のリブ部62cのそれぞれは、ロータ20と径方向に接触する。本実施形態では、ロータケース21のケース円筒部21aは、複数のリブ部62cに対して圧入されている。すなわち、ロータ20は、筒状部62内に圧入されている。これにより、インペラ部60に対するロータ20の径方向の位置が決まるとともに、ロータ20はインペラ部60に固定される。
【0037】
図2に示すように、複数のリブ部62c同士の間には、接着剤Gが配置される。接着剤Gは、筒状基部62aの内周面およびケース円筒部21aの外周面の両方と接触する。これにより、接着剤Gは、ロータ20とインペラ部60とを接着する。これにより、ロータ20は、より強固にインペラ部60に固定される。なお、接着剤Gとしては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、およびこれらの接着剤を混合した接着剤などの熱硬化性を有する接着剤を用いることができる。本実施形態において、接着剤Gは、エポキシ樹脂系接着剤である。
【0038】
接続部63は、下側に向かうにしたがって径方向外側に位置する円筒状である。接続部63の上端は、筒状部62の外周面のうち下側の部分と繋がる。
図1に示すように、羽根64は、周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。
図3に示すように、各羽根64それぞれの径方向内側の端部のうち下側の端部は、接続部63の径方向外側の端部と繋がる。軸方向に見て、各羽根64は、径方向内側から径方向外側に向かうにしたがって、周方向一方側(+θ側)に位置する曲面状である。
図2に示すように、環状部65は、中心軸Jを中心とする円環状である。環状部65は、複数の羽根64の上側の端部のうち径方向外側の部分と繋がる。
【0039】
本実施形態において、インペラ部60は、ロータ20およびシャフト23とともに中心軸J回りに周方向一方側(+θ側)に向けて回転する。
図1に示すように、インペラ部60が中心軸J回りに周方向一方側に向けて回転すると、吸気口41dを介して、空気が送風機11の内部に取り込まれ、空気は複数の羽根64によって、インペラ部60から径方向外側、かつ、周方向一方側に送り出され、排気口40bを介して、遠心ファン10の外部に送り出される。
【0040】
次に、本実施形態において、インペラ部60にロータ20を固定する、ロータ固定工程について説明する。ロータ固定工程は、送風機11および遠心ファン10の製造工程の一部である。本実施形態において、ロータ固定工程は、筒状部62に接着剤Gを塗布する第1工程と、インペラ部60の内部にロータ20を挿入し、ロータ20をインペラ部60に固定する第2工程と、を含む。なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。また、
図6Aから
図6Dに示すように、ロータ固定工程において、インペラ部60は、天板部61を鉛直方向下側にして、図示しない治具等に保持される。以下のロータ固定工程の説明では、軸方向一方側(+Z側)を鉛直方向下側と呼び、軸方向他方側(-Z側)を鉛直方向下側と呼ぶ場合がある。また、以下の説明では、複数のリブ部62cの径方向内側を向く面上の接着剤Gを、複数のリブ部62c上の接着剤Gと呼ぶ場合がある。
【0041】
第1工程では、作業者等は、予め、シャフト23が固定されたインペラ部60の筒状部62の内周面に接着剤Gを塗布する。軸方向において、接着剤Gは、筒状部62の内周面の一部に塗布されてもよいし、筒状部62の内周面鉛直方向上側の端部から鉛直方向下側の端部に亘って塗布されてもよい。接着剤Gは、筒状部62の内周面に周方向一周に亘って塗布される。すなわち、接着剤Gは、筒状基部62aの内周面および複数のリブ部62cの径方向内側を向く面に塗布される。筒状基部62aの内周面に塗布される接着剤Gの径方向の厚さの寸法は、複数のリブ部62cそれぞれの径方向の寸法よりも大きい。これにより、接着剤Gを、筒状基部62aの内周面およびケース円筒部21aの外周面の両方と接触させることができる。接着剤Gの塗布が終了すると、第1工程は終了する。
【0042】
第2工程では、作業者等は、予め、ロータケース21に複数の磁石22が固定されたロータ20を、ケース円環部21bの軸方向一方側(+Z側)を向く面を鉛直方向下側に向けつつ、インペラ部60の鉛直方向上側から鉛直方向下側に向けて移動させる。これにより、
図6Bに示すように、ロータ20を、インペラ開口部62bを介してインペラ部60の内部に挿入できる。このとき、筒状基部62aの内周面に塗布された接着剤Gのうち複数のリブ部62cよりも径方向外側の部分の接着剤G、および複数のリブ部62cに塗布された接着剤Gは、ケース円環部21bの軸方向一方側を向く面と軸方向に接触する。そのため、これらの接着剤Gは、ロータ20が鉛直方向下側に移動するにしたがって、鉛直方向下側に移動する。また、ケース円筒部21aは、複数のリブ部62cに対して圧入されつつ、鉛直方向下側に移動する。そのため、複数のリブ部62cに塗布されたほぼ全ての接着剤Gは、鉛直方向下側に移動する。つまり、複数のリブ部62c上の接着剤Gは、鉛直方向下側に移動し易い。そのため、複数のリブ部62c上の接着剤Gは、筒状基部62aの内周面上の接着剤Gよりも下側に位置する。
【0043】
図6Cに示すように、ロータ20をさらに鉛直方向下側に移動させると、ロータ20の移動に伴って、接着剤Gはさらに鉛直方向下側に移動する。これにより、複数のリブ部62c上の接着剤Gが、複数のリブ部62cの鉛直方向下側の端部に達する。このとき、複数のリブ部62c上の接着剤Gは、天板基部61aの径方向外縁部に達する。
【0044】
図6Dに示すように、ロータ20をさらに鉛直方向下側に移動させると、ケース円環部21bの軸方向一方側(+Z側)を向く面が、複数の位置決め部61dの支持面61fと軸方向に接触する。このとき、複数のリブ部62cの径方向内側を向く面上を鉛直方向下側に向けて移動する接着剤Gは、複数のリブ部62cよりも鉛直方向下側に達する。
【0045】
次に、作業者等は、ケース円環部21bと複数の位置決め部61dとが軸方向に接触した状態で、ロータ20およびインペラ部60を図示しない治具等によって互いに固定し、図示しない加熱炉において、接着剤Gを加熱して硬化させる。作業者等は、接着剤Gが硬化して、ロータ20とインペラ部60とが、互いに固定されると、ロータ20およびインペラ部60を加熱炉から取り出し、ロータ固定工程が完了する。
【0046】
本実施形態によれば、送風機11および遠心ファン10において、天板部61は、ロータ20を軸方向一方側から覆う天板基部61aと、天板基部61aから軸方向他方側(-Z側)に突出しロータ20と軸方向に接触する複数の位置決め部61dを有し、周方向において、複数の位置決め部61dのそれぞれは、周方向に互いに隣り合うリブ部62c同士の間に配置される。よって、上述のように、複数のリブ部62cよりも鉛直方向下側に接着剤Gが達しても、複数の位置決め部61dのそれぞれが、複数のリブ部62cと周方向にずれて配置されため、接着剤Gが複数の位置決め部61dに付着することを好適に抑制できる。したがって、位置決め部61dの支持面61fとケース円環部21bの軸方向一方側を向く面とを直接的に接触させることができるため、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置を精度良く決めることができる。
【0047】
本実施形態によれば、ロータ20は、筒状部62内に圧入されている。より詳細には、ケース円筒部21aは、複数のリブ部62cに対して圧入されている。そのため、インペラ部60に対するロータ20の径方向の位置を精度よく決めることができる。また、上述のように、複数の位置決め部61dのそれぞれは、複数のリブ部62cと周方向にずれて配置されている。そのため、複数の位置決め部が複数のリブ部と繋がる構成のインペラ部と比較して、ロータ20が複数のリブ部62cに対して圧入されることによって、複数のリブ部62cに加わる応力が複数の位置決め部61dに伝わることを抑制できる。これにより、複数の位置決め部61dのそれぞれの支持面61fが向く方向が軸方向と交差する方向に傾くことを抑制できる。したがって、インペラ部60に対するロータ20の位置を精度良く決めることができる。
【0048】
本実施形態によれば、天板部61は、天板基部61aから軸方向他方側(-Z側)に突出する環状の環状壁部61hを有し、環状壁部61hは、複数のリブ部62cよりも径方向内側に配置される。よって、上述のように、環状壁部61hの径方向外側に位置する収容空間61iに、複数のリブ部62cよりも鉛直方向下側に達した接着剤Gを収容することができる。そのため、該接着剤Gが、環状壁部61hよりも径方向内側に移動することを抑制できる。なお、収容空間61iには、筒状基部62aの内周面を鉛直方向下側に移動して天板基部61aに達した接着剤Gも収容される。
【0049】
本実施形態によれば、ロータ20は、軸方向に延びる筒状のロータケース21を有し、ロータケース21は、軸方向一方側(+Z側)に開口するケース開口部21cを有し、環状壁部61hの径方向外側の端部は、ケース開口部21cよりも径方向外側に位置する。したがって、環状壁部61hによって、接着剤Gがケース開口部21cよりも径方向内側に移動することを好適に抑制できる。そのため、硬化した接着剤Gが、ケース開口部21cを介して、ロータケース21の内部に入り込むことを好適に抑制できる。よって、接着剤Gがロータ20とステータ30との間に入り込むことを抑制できるため、ロータ20を安定して中心軸J回りに回転させることができる。したがって、送風機11および遠心ファン10を安定して動作させることができる。
【0050】
本実施形態によれば、環状壁部61hは、複数の位置決め部61dの径方向内側に配置される。そのため、環状壁部61hが複数の位置決め部61dの径方向外側に配置される場合と比較して、環状壁部61hの径方向外側に位置する収容空間61iの径方向の寸法を大きくし易い。これにより、収容空間61iの容積を大きくし易いため、収容空間61iに収容できる接着剤Gの体積を増大させ易い。したがって、接着剤Gが、環状壁部61hよりも径方向内側に漏れ出ることをより好適に抑制し易くなる。そのため、硬化した接着剤Gが、ケース開口部21cを介して、ロータケース21の内部に入り込むことを好適に抑制できる。したがって、送風機11および遠心ファン10を安定して動作させることができる。
【0051】
<変形例>
図7は、上述の第1実施形態の変形例の遠心ファン210および送風機211の位置決め部261dを示す斜視図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図7に示すように、本変形例のインペラ部260の天板部261は、複数の位置決め部261dを有する。図示は省略するが、周方向において、複数の位置決め部261dのそれぞれが設けられる位置は、第1実施形態の複数の位置決め部61dのそれぞれが設けられる位置と同じ位置である。図示は省略するが、複数の位置決め部261dのそれぞれは、ケース円環部21bの上側に配置される。複数の複数の位置決め部261dのそれぞれは、第1部分261mと、第2部分261nと、支持面261fと、を有する。
【0053】
第1部分261mは、天板基部61aから下側に突出する略四角柱状である。第1部分261mは、環状壁部61hの径方向外側に配置される。第1部分261mの径方向内側の端部は、環状壁部61hの外周面と繋がる。第1部分261mの下側の端部は、環状壁部61hの下側の端部よりも下側に位置する。
【0054】
第2部分261nは、環状壁部61hの下側を向く面から下側に突出する略直方体状である。第2部分261nは、第1部分261mの径方向内側に位置する。第2部分261nは、第1部分261mと径方向に繋がる。軸方向において、第2部分261nの下側の端部の位置は、第1部分261mの下側の端部の位置と同じ位置である。第2部分261nの下側を向く面は、第1部分261mの下側を向く面と径方向に繋がる。第2部分261nの周方向の寸法は、第1部分261mの周方向の寸法と略同じ寸法である。第2部分261nの周方向一方側を向く面は、第1部分261mの周方向一方側を向く面と径方向に繋がる。第2部分261nの周方向他方側を向く面は、第1部分261mの周方向他方側を向く面と径方向に繋がる。第2部分261nの径方向内側を向く面は、環状壁部61hの内周面と軸方向に繋がる。
【0055】
支持面261fは、位置決め部261dの外側面のうち、下側を向く面である。軸方向に見て、支持面61fは、略四角形状である。軸方向において、支持面261fは、環状壁部61hよりも下側に位置する。本変形例において、支持面261fは、第1部分261mの下側を向く面と第2部分261nの下側を向く面とによって構成される。よって、本変形例によれば、上述の第1実施形態の支持面61fと比較して、支持面261fの面積を大きくできるため、ロータ20と支持面261fとの接触面積を大きくできる。したがって、ロータ20と複数の位置決め部261dのそれぞれとを安定して軸方向に接触させることができるため、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置をより精度よく決めることができる。
【0056】
また、本変形例では、上述のように、支持面261fは、環状壁部61hよりも下側に位置する。これにより、ロータ20と環状壁部61hとが軸方向に接触することを抑制できるため、ロータ20と複数の位置決め部261dのそれぞれとを安定して軸方向に接触させることができる。したがって、インペラ部60に対するロータ20の軸方向の位置をより精度よく決めることができる。
【0057】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、上述した実施形態に示した送風機、および遠心ファンの用途は、特に限定されない。
【0058】
例えば、インペラ部が有する位置決め部の個数およびリブ部の個数はそれぞれ9個に限定されるものではなく、8個以下であってもよいし、10個以上であってもよい。また、位置決め部の個数とリブ部の個数は異なる個数であってもよい。
【0059】
インペラ部の天板部の形状は本実施形態の形状に限定されず、例えば、軸方向と直交する方向に延びる円環板状であってもよい。この場合、収容空間は、環状壁部と、環状壁部よりも径方向外側に位置する天板基部と、筒状部の上側の部分によって構成される。
また、環状壁部は、複数の位置決め部よりも径方向外側に配置されていてもよい。この場合、環状壁部によって、接着剤が複数の位置決め部に付着することをより好適に抑制できる。
また、環状壁部の軸方向他方側を向く面がロータケースと軸方向に接触することによって、インペラ部に対するロータの軸方向の位置を決める構成も採用できる。この構成の場合、環状壁部を複数のリブ部から軸方向もしくは径方向に離れて配置することによって、環状壁部の軸方向他方側を向く面に接着剤が付着することを抑制できる。また、この構成の場合、インペラ部に複数の位置決め部を設ける必要が無いため、インペラ部の形状の簡素化を図ることができる。
【0060】
ロータは、複数のリブ部に対して圧入されている必要は無く、例えば、複数のリブ部に隙間嵌めされていてもよい。この場合においても、ロータとインペラ部とを接着剤によって互いに固定することによって、インペラ部に対するロータの位置を決めることができる。
本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0061】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸を中心に回転可能なロータと、前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転可能なインペラ部と、を備え、前記インペラ部は、前記ロータの径方向外側に配置される筒状部と、前記ロータの軸方向一方側に配置される天板部と、前記ロータの軸方向他方側に開口するインペラ開口部と、を有し、前記筒状部は、前記ロータと径方向に接触する複数のリブ部を有し、複数の前記リブ部のそれぞれは、軸方向に延び、かつ、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、複数の前記リブ部同士の間には、前記ロータと前記筒状部とを接着する接着剤が配置され、前記天板部は、前記ロータを軸方向一方側から覆う天板基部と、前記天板基部から軸方向他方側に突出し前記ロータと軸方向に接触する複数の位置決め部を有し、周方向において、複数の前記位置決め部のそれぞれは、周方向に互いに隣り合う前記リブ部同士の間に配置される送風機。
(2) 前記ロータは、前記筒状部内に圧入されている、(1)に記載の送風機。
(3) 前記天板部は、前記天板基部から軸方向他方側に突出する環状の環状壁部を有し、前記環状壁部は、複数の前記リブ部よりも径方向内側に配置される、(1)または(2)に記載の送風機。
(4) 軸方向において、複数の前記位置決め部の軸方向他方側の端部は、前記環状壁部の軸方向他方側の端部よりも、軸方向他方側に位置する、(3)に記載の送風機。
(5) 前記環状壁部は、複数の前記位置決め部の径方向内側に配置される、(3)または(4)に記載の送風機。
(6) 複数の前記位置決め部は、前記環状壁部と繋がる、(3)から(5)のいずれか一項に記載の送風機。
(7) 前記ロータは、軸方向に延びる筒状のロータケースを有し、前記ロータケースは、軸方向一方側に開口するケース開口部を有し、前記環状壁部の径方向外側の端部は、前記ケース開口部よりも径方向外側に位置する、(3)から(6)のいずれか一項に記載の送風機。
(8) 複数の前記位置決め部の径方向外側面は、前記天板基部に近づくにしたがって、径方向外側に位置する曲面状である、(3)から(7)のいずれか一項に記載の送風機。
(9) (1)から(8)のいずれか一項に記載の送風機と、前記送風機を収容するケースと、を備える遠心ファン。
【符号の説明】
【0062】
10,210…遠心ファン、11,211…送風機、20…ロータ、21…ロータケース、21c…ケース開口部、40…ケース、60,260…インペラ部、61,261…天板部、61a…天板基部、61d,261d…位置決め部、61h…環状壁部、62…筒状部、62b…インペラ開口部、62c…リブ部、G…接着剤、J…中心軸