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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048826
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/94 20060101AFI20240402BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240402BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20240402BHJP
   B60T 8/42 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B60T8/94
B60T8/17 B
B60T17/18
B60T8/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154947
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】服部 文周
(72)【発明者】
【氏名】余語 和俊
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB02
3D049CC02
3D049HH11
3D049HH16
3D049HH39
3D049HH41
3D049HH51
3D049RR13
3D246BA02
3D246CA03
3D246DA01
3D246GA01
3D246LA02Z
3D246LA04Z
3D246LA15Z
3D246LA44Z
3D246LA57Z
3D246LA63Z
3D246LA67Z
3D246LA73Z
3D246LA75Z
3D246MA06
3D246MA08
(57)【要約】
【課題】制動装置に関して、電動シリンダの異常が発生している場合にホイールシリンダ内の液圧を減少させる構成を提案する。
【解決手段】制動装置20は、リザーバタンク24から供給されるブレーキ液によってホイールシリンダ11内の液圧を調整することで車輪に制動力を付与する第1制動部50と、第1制動部50を制御する制動制御装置100と、を有する。第1制動部50は、電気モータ513の駆動に応じてブレーキ液をホイールシリンダ11に供給することができる電動シリンダ51を備えている。第1制動部50は、電動シリンダ51における出力ポート516が開いている液室とリザーバタンク24とを接続するように構成されている解放流路56と、解放流路56に配置されている常閉型の電磁弁である解放弁57と、を備えている。制動制御装置100は、電動シリンダ51に異常が発生している場合に解放弁57を開弁する圧力解放処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ液を貯留するリザーバタンクと、該リザーバタンクから供給されるブレーキ液によってホイールシリンダ内の液圧を調整することで車両の車輪に制動力を付与することができる制動部と、該制動部を制御する制動制御装置と、を有する制動装置であって、
前記制動部は、
シリンダとピストンと電気モータとを有しており、前記電気モータの駆動に応じて移動する前記ピストンによってブレーキ液を前記ホイールシリンダに供給することができる出力ポートが前記シリンダに形成されている電動シリンダと、
前記電動シリンダにおける前記シリンダのうち前記出力ポートが開いている液室と、前記リザーバタンクと、を接続するように構成されている解放流路と、
前記解放流路に配置されている常閉型の電磁弁である解放弁と、を備えるものであり、
前記制動制御装置は、
前記電動シリンダに異常が発生しているか否かを判定する異常判定処理と、
前記電動シリンダに異常が発生していることが判定されている場合に前記解放弁を開弁する圧力解放処理と、を実行する制動装置。
【請求項2】
マスタピストンと該マスタピストンによって区画されている液室とを有しており、車両の運転者による制動操作部材の操作に応じて移動する前記マスタピストンによって、ブレーキ液を前記ホイールシリンダに供給できるマスタシリンダと、
前記マスタピストンによって区画されている液室のうち前記ホイールシリンダに接続されている液室であるマスタ室とは反対側の液室であるサーボ室を、前記電動シリンダの前記出力ポートと接続する流路と、を備え、
前記マスタシリンダは、前記サーボ室にブレーキ液が供給されることに応じて前記マスタ室の容積が小さくなる方向に前記マスタピストンが移動するように構成されている
請求項1に記載の制動装置。
【請求項3】
前記制動部を第1制動部として、前記電気モータを第1電気モータとするとき、
前記ホイールシリンダ内の液圧を調整することで前記車輪に制動力を付与することができるものであり、前記第1制動部と前記ホイールシリンダとの間に介在する第2制動部をさらに備え、
前記第2制動部は、
動力源として第2電気モータを有しているものであり前記ホイールシリンダに接続されている液圧回路と、
前記第1制動部と前記液圧回路とを接続する流路の間に配置されている常開型の電磁弁である差圧調整弁と、を備え、
前記制動制御装置は、前記第2制動部を制御することができ、前記圧力解放処理によって前記解放弁を開弁する際には、前記差圧調整弁が解放された状態よりも前記ホイールシリンダ内の液圧の減少速度が低くなるように、前記差圧調整弁を制御する
請求項1または2に記載の制動装置。
【請求項4】
前記制動制御装置は、
前記電動シリンダに異常が発生している場合に制動操作が検出された際には、
前記液圧回路を制御することによって、前記解放弁を開弁状態にした前記解放流路を介して前記リザーバタンクから前記ホイールシリンダにブレーキ液を供給することで前記ホイールシリンダ内の液圧を調整する助勢処理を実行する
請求項3に記載の制動装置。
【請求項5】
前記サーボ室を前記電動シリンダの前記出力ポートと接続する流路は、前記マスタ室と接続されている前記ホイールシリンダとは異なる前記ホイールシリンダに接続されている請求項2に記載の制動装置。
【請求項6】
前記制動制御装置は、前記圧力解放処理によって前記解放弁を開弁した状態で、前記差圧調整弁を閉弁させる請求項3に記載の制動装置。
【請求項7】
前記圧力解放処理は、前記電動シリンダに異常が発生していることが判定され、且つ、運転者によって制動操作部材が操作されている際に実行される請求項1に記載の制動装置。
【請求項8】
マスタピストンと該マスタピストンによって区画されている液室とを有しており、車両の運転者による制動操作部材の操作に応じて移動する前記マスタピストンによって、ブレーキ液を前記ホイールシリンダに供給できるマスタシリンダと、
前記マスタピストンによって区画されている液室のうち前記ホイールシリンダに接続されている液室であるマスタ室とは反対側の液室であるサーボ室を、前記電動シリンダの前記出力ポートと接続する流路と、を備え、
前記助勢処理において、前記マスタ室と接続された前記ホイールシリンダへは、前記マスタ室からブレーキ液が供給される請求項4に記載の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気モータの駆動によって液圧を発生させる電動シリンダを備える制動装置が開示されている。なお、特許文献1では、電動シリンダは「スレーブシリンダ」と記載されている。電動シリンダは、リザーバタンクからブレーキ液が供給される入力ポートと、ブレーキ液を吐出する出力ポートと、を備えている。制動装置は、電動シリンダの出力ポートからブレーキ液を供給することで、ホイールシリンダ内の液圧を増加させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6202741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような制動装置において、電動シリンダに異常が発生すると、入力ポートが閉塞されている状態から入力ポートを開放することができなくなるおそれがある。このような場合には、電動シリンダとホイールシリンダとを接続する流路が閉塞された状態になることで、電動シリンダによって加圧された当該流路の液圧を解放できないことがある。このため、ホイールシリンダ内の液圧が増加した状態が液圧の目標値にかかわらず継続することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための制動装置は、ブレーキ液を貯留するリザーバタンクと、該リザーバタンクから供給されるブレーキ液によってホイールシリンダ内の液圧を調整することで車両の車輪に制動力を付与することができる制動部と、該制動部を制御する制動制御装置と、を有する制動装置であって、前記制動部は、シリンダとピストンと電気モータとを有しており、前記電気モータの駆動に応じて移動する前記ピストンによってブレーキ液を前記ホイールシリンダに供給することができる出力ポートが前記シリンダに形成されている電動シリンダと、前記電動シリンダにおける前記シリンダのうち前記出力ポートが開いている液室と、前記リザーバタンクと、を接続するように構成されている解放流路と、前記解放流路に配置されている常閉型の電磁弁である解放弁と、を備えるものであり、前記制動制御装置は、前記電動シリンダに異常が発生しているか否かを判定する異常判定処理と、前記電動シリンダに異常が発生していることが判定されている場合に前記解放弁を開弁する圧力解放処理と、を実行することをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、電動シリンダに異常が発生している場合には、解放弁を開弁させた解放流路を介して、リザーバタンクとホイールシリンダとの間でブレーキ液が流れる流路を形成することができる。これによって、電動シリンダに異常が発生している場合でもホイールシリンダ内の液圧を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、車両の制動装置の一実施形態を示す模式図である。
図2図2は、同制動装置が備える制動制御装置を示すブロック図である。
図3図3は、同制動制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、同制動制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、変更例の制動装置が備える制動制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
制動装置の一実施形態である制動装置20について、図1図4を参照して説明する。
図1は、車両の制動装置20を示す。制動装置20は、車両の車輪に制動力を付与することができる制動部を備えている。制動装置20は、制動部を制御することができる制動制御装置100を備えている。
【0009】
図1には、車両の車輪として、前輪FL,FR及び後輪RL,RRを示している。車両は、制動操作部材21を備えている。制動操作部材21は、車両の運転者によって操作が可能である。制動操作部材21の一例は、ブレーキペダルである。
【0010】
制動制御装置100は、車両が備える処理回路の一例である。車両は、制動制御装置100に限らず、他の処理回路である制御装置を備えていてもよい。制動制御装置100が備える機能部の一部は、他の制御装置が備えていてもよい。他の制御装置としては、たとえば、車両を自動走行させるための自動運転制御装置が挙げられる。複数の制御装置は、互いに情報の送受信が可能なように接続されているとよい。たとえば、車両が備える車載ネットワークに各処理回路が接続されている構成を採用できる。車載ネットワークに接続されている各処理回路は、車載ネットワークを介して相互に通信が可能である。
【0011】
<制動装置>
制動装置20は、車輪FL,FR,RL,RRのそれぞれに対応した制動機構10を備えている。制動機構10によって、各車輪FL,FR,RL,RRに対して摩擦制動力を付与することができる。各制動機構10が車輪FL,FR,RL,RRに付与する摩擦制動力は、制動装置20によって調整することができる。
【0012】
制動装置20は、液圧式の制動装置である。制動装置20は、ブレーキ液を貯留するリザーバタンク24と、液圧発生装置22と、を備えている。制動装置20は、制動部として第1制動部50を備えている。制動装置20は、制動部として第2制動部23を備えていてもよい。
【0013】
液圧発生装置22の一例は、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式の液圧発生装置である。液圧発生装置22は、制動操作部材21の操作量に応じて液圧を発生させることができる。液圧発生装置22は、マスタ装置30と、第1制動部50と、によって構成されている。マスタ装置30は、第2制動部23にブレーキ液を供給することができる。第1制動部50は、マスタ装置30と第2制動部23とにブレーキ液を供給することができる。
【0014】
<制動機構>
制動機構10について説明する。各制動機構10におけるそれぞれの構成要素は共通である。制動機構10は、ブレーキ液が供給されるホイールシリンダ11と、車輪FL,FR,RL,RRと一体に回転する回転板12と、回転板12に対して回転板12の板厚方向に相対移動する摩擦材13と、を有している。制動機構10は、ホイールシリンダ11内の液圧であるWC圧Pwcが高いほど、摩擦材13を回転板12に強く押し付けるように構成されている。つまり、制動機構10によれば、WC圧Pwcが高いほど、車輪FL,FR,RL,RRに付与する摩擦制動力が大きくされる。
【0015】
<マスタ装置>
マスタ装置30の一例は、マスタシリンダ31と、マスタシリンダ31に繋がる複数の流路331,332,333と、ブレーキ液の流れを制御する複数の制御弁341,342と、ストロークシミュレータ32とを備えている。ストロークシミュレータ32は、制動操作部材21の操作量に応じた反力を発生させることができる。
【0016】
マスタシリンダ31は、メインシリンダ41とカバーシリンダ42とを備えている。マスタシリンダ31は、マスタピストン43と入力ピストン44とを備えている。マスタシリンダ31は、マスタピストン43を付勢するマスタスプリング45と、入力ピストン44を付勢する入力スプリング46と、を備えている。マスタピストン43及び入力ピストン44は、メインシリンダ41及びカバーシリンダ42に対して相対移動することができる。
【0017】
マスタシリンダ31の一例を、より詳しく説明する。
マスタシリンダ31が備えるメインシリンダ41は、板状の底壁411と、底壁411から底壁411の軸線に沿って延びる第1周壁412と、を有している。さらにメインシリンダ41は、第1周壁412の後端から第1周壁412の軸線に沿って延びる第2周壁413と、第2周壁413の後端から第2周壁413の軸線に向かって延びる第1環状壁414と、を有している。第1周壁412及び第2周壁413は筒状をなしている。第1環状壁414は、後述するマスタピストン43の後端部が挿し込まれている孔を備えている。第1周壁412の内径は第2周壁413の内径よりも小さくなっている。
【0018】
メインシリンダ41には、底壁411及び第1周壁412とマスタピストン43とによって区画されるマスタ室Rmが形成されている。以下では、マスタシリンダ31において、図1における左方、すなわちマスタ室Rmの容積を小さくするマスタピストン43の移動方向を前方とする。一方で、図1における右方、すなわちマスタ室Rmの容積を大きくするマスタピストン43の移動方向を後方とする。
【0019】
メインシリンダ41には、第2周壁413とマスタピストン43とによって区画される第1液室R1と、第2周壁413及び第1環状壁414とマスタピストン43とによって区画されるサーボ室Rsと、が形成されている。マスタ室Rmは、マスタシリンダ31の前端寄りの位置に形成されている。第1液室R1は、マスタ室Rmよりも後方に形成されている。サーボ室Rsは、第1液室R1よりも後方に形成されている。メインシリンダ41の内部において、マスタ室Rm、第1液室R1及びサーボ室Rsは、互いに接続していない。マスタ室Rmは、「マスタピストンによって区画されている液室のうちホイールシリンダに接続されている液室」に対応する。サーボ室Rsは、「マスタピストンによって区画されている液室のうちホイールシリンダに接続されている液室とは反対側の液室」に対応する。
【0020】
マスタシリンダ31が備えるカバーシリンダ42は、筒状をなす第3周壁421と、第3周壁421の後端から第3周壁421の軸線に向かって延びる第2環状壁422と、を有している。第3周壁421は、メインシリンダ41の第2周壁413と軸線が一致するように、第1環状壁414に取り付けられている。第2環状壁422は、後述する入力ピストン44の後端部が挿し込まれている孔を備えている。
【0021】
カバーシリンダ42には、メインシリンダ41の第1環状壁414と第3周壁421と入力ピストン44とによって区画される第2液室R2と、第3周壁421と第2環状壁422と入力ピストン44とによって区画される第3液室R3と、が形成されている。マスタシリンダ31において、第2液室R2は、サーボ室Rsよりも後方に形成され、第3液室R3は、第2液室R2よりも後方に形成されている。カバーシリンダ42の内部において、第2液室R2及び第3液室R3は、互いに接続していない。
【0022】
マスタピストン43は、メインシリンダ41の第1周壁412の内周面、第2周壁413の内周面及び第1環状壁414の内周面に面接触する状態で、マスタシリンダ31に収容されている。このため、マスタピストン43が軸方向に移動する場合には、マスタピストン43が第1周壁412の内周面、第2周壁413の内周面及び第1環状壁414の内周面と摺動する。マスタピストン43の後端部は、第1環状壁414よりも後方に突出して、第2液室R2内に位置している。マスタピストン43はマスタ室Rmに面してマスタ室Rmの圧力を後方に向けて受ける受圧面積と、サーボ室Rsに面してサーボ室Rsの圧力を前方に向けて受ける受圧面積とが等しくなるように構成されている。また、本実施形態のマスタピストン43は、第1液室R1に面して第1液室R1の圧力を後方に向けて受ける受圧面積と、第2液室R2に面して第2液室R2からの圧力を前方に向けて受ける受圧面積とが等しくなるように構成されている。
【0023】
入力ピストン44は、カバーシリンダ42の第3周壁421の内周面及び第2環状壁422の内周面に面接触する状態で、マスタシリンダ31に収容されている。このため、入力ピストン44が軸方向に移動する場合には、入力ピストン44が第3周壁421の内周面及び第2環状壁422の内周面と摺動する。入力ピストン44の後端部は、第2環状壁422よりも後方に突出しており制動操作部材21に連結されている。入力ピストン44は、制動操作部材21の操作量に応じて、マスタピストン43に接近する方向に移動する。また、第2液室R2において、入力ピストン44とマスタピストン43との間には隙間が形成されている。
【0024】
マスタスプリング45は、メインシリンダ41のマスタ室Rm、詳しくは、メインシリンダ41の底壁411とマスタピストン43との間に配置される。マスタスプリング45は、マスタピストン43を後方に付勢する。つまり、マスタスプリング45は、マスタピストン43が前方に移動すると、弾性的に圧縮される。
【0025】
入力スプリング46は、カバーシリンダ42の第2液室R2、詳しくは、メインシリンダ41の第1環状壁414と入力ピストン44との間に配置される。入力スプリング46は、入力ピストン44を後方に付勢する。つまり、入力スプリング46は、入力ピストン44が前方に移動すると、弾性的に圧縮される。
【0026】
マスタシリンダ31において、マスタ室Rmは、リザーバタンク24と接続されている。詳しくは、マスタ室Rmの後端寄りの部分がメインシリンダ41の第1周壁412に形成されるポートを介してリザーバタンク24と接続されている。このため、マスタピストン43が図1に示す初期位置から前方に移動する場合には、マスタ室Rmとリザーバタンク24とが接続しなくなる。その結果、マスタピストン43の前方への移動に伴い、マスタ室Rmの液圧が増大する。
【0027】
第3液室R3は、後述する第3流路333を介して、リザーバタンク24と接続されている。このため、入力ピストン44が前方に移動する場合には、リザーバタンク24から第3液室R3にブレーキ液が供給され、入力ピストン44が後方に移動する場合には、第3液室R3からリザーバタンク24にブレーキ液が排出される。
【0028】
第1流路331は、マスタ室Rmと第2制動部23とを接続している。第2流路332は、第1液室R1及び第2液室R2を接続している。第3流路333は、リザーバタンク24と第2流路332とを接続している。
【0029】
第1制御弁341は、常閉型の電磁弁である。第2制御弁342は、常開型の電磁弁である。第1制御弁341は、第2流路332における第3流路333との接続点と第2液室R2との間に設けられる。第2制御弁342は、第3流路333に設けられる。制動制御装置100が稼働している場合には、第1制御弁341は開弁され、第2制御弁342は閉弁される。
【0030】
ストロークシミュレータ32は、たとえば、第2流路332における第1液室R1と第1制御弁341との間に配置されている。ストロークシミュレータ32は、たとえば、内部にスプリングによって背面から付勢されたピストン(図示せず)を有している。ストロークシミュレータ32は、たとえば、第2流路332からブレーキ液が流入されることで内部のピストンがスプリングの付勢に抗して変位すると、ピストンの変位に応じてブレーキ液に圧力を発生させる。具体的には、第1制御弁341が開弁し且つ第2制御弁342が閉弁した状態で、制動操作部材21の操作によって入力ピストン44が前方に移動すると、ストロークシミュレータ32にブレーキ液が流入する。この結果、ストロークシミュレータ32によって、第2流路332で繋がった第2液室R2と第1液室R1とに同じ圧力が発生する。
【0031】
<第1制動部>
第1制動部50は、動力源としての第1電気モータ513を有する電動シリンダ51を備えている。第1制動部50は、第1電気モータ513の駆動量に応じて作動する電動シリンダ51によって、WC圧Pwcを調整することができる。すなわち、第1制動部50は、車両の車輪FL,FR,RL,RRに対して制動力を発生させることができる。
【0032】
第1制動部50の一例について説明する。
第1制動部50は、電動シリンダ51を備えている。
第1制動部50は、電動シリンダ51とリザーバタンク24とを接続する第4流路54を備えている。第1制動部50は、第2制動部23と電動シリンダ51とを接続する第6流路58を備えている。第1制動部50は、マスタシリンダ31のサーボ室Rsと第6流路58とを接続する第5流路55を備えている。
【0033】
<電動シリンダ>
第1制動部50が備える電動シリンダ51は、第4流路54と第6流路58との間に設けられている。第4流路54は、電動シリンダ51の入力ポート515に接続されている。第6流路58は、電動シリンダ51の出力ポート516に接続されている。入力ポート515及び出力ポート516については後述する。
【0034】
電動シリンダ51は、シリンダ511と、シリンダ511内で摺動可能なピストン512と、ピストン512を駆動する第1電気モータ513と、第1電気モータ513の出力軸の回転運動をピストン512の直線運動に変換する変換機構514と、を備えている。
【0035】
シリンダ511の内部には、ピストン512によって、ブレーキ液が導入される液室Reが区画されている。第1電気モータ513は、シリンダ511内でピストン512を摺動させる駆動力を発生可能である。シリンダ511の内部でのピストン512の位置は、第1電気モータ513によって変更される。ピストン512の位置の変化に応じて液室Reの容積が変化する。
【0036】
以下では、液室Reの容積を小さくするピストン512の移動方向を前進方向Zaとする。前進方向Zaの反対方向であって、液室Reの容積を大きくするピストン512の移動方向を後退方向Zbとする。また、液室Reの容積が最大となるピストン512の位置を「初期位置」という。言い換えれば、初期位置は、ピストン512が最も後退方向Zbに移動したときの位置である。
【0037】
シリンダ511には、液室Reと外部とを接続するポートとして、入力ポート515及び出力ポート516の二つのポートが形成されている。ピストン512には貫通孔517が形成されている。貫通孔517はピストン512が初期位置に位置するときに入力ポート515と液室Reとを接続する位置に形成されている。これによって、ピストン512が初期位置に位置する場合には、シリンダ511の液室Reは、入力ポート515と貫通孔517とを介して第4流路54に接続されている。すなわち、シリンダ511の液室Reは、入力ポート515と貫通孔517とを介して、リザーバタンク24に接続されている。入力ポート515は、ピストン512が初期位置に位置する際には開放されており、ピストン512が初期位置から前進方向Zaに所定量移動するとピストン512によって閉塞されるように構成されている。所定量は、入力ポート515と貫通孔517とが接続しない位置まで、ピストン512が初期位置から前進方向Zaに移動した量である。一方、シリンダ511の出力ポート516は、第6流路58を介して第2制動部23及び第5流路55に接続されている。出力ポート516は、ピストン512の位置によらず、常時開放されている。上述の第5流路55は、「マスタシリンダのサーボ室と電動シリンダの出力ポートとを接続する流路」に対応している。
【0038】
制動装置20が備える電動シリンダ51は、図1に示すように、ピストン512を後退方向Zbに付勢するスプリングを備えていない。電動シリンダ51としては、ピストン512を後退方向Zbに付勢するスプリングを備えていてもよい。
【0039】
<解放流路及び解放弁>
第1制動部50は、解放流路56を備えている。第1制動部50は、解放流路56に配置されている解放弁57を備えている。解放弁57は、常閉型の電磁弁である。すなわち、解放弁57を開弁する制御が行われていない間は、解放流路56は閉塞されている。解放弁57は、制動制御装置100によって制御されることで開弁が可能である。
【0040】
解放流路56は、電動シリンダ51を迂回するようにリザーバタンク24とホイールシリンダ11とを接続する流路として、流路における一方の端が第4流路54に接続され、流路における他方の端が第6流路58に接続されている。具体的には、解放流路56は、第4流路54におけるリザーバタンク24と入力ポート515との間と、第6流路58における出力ポート516と第2制動部23との間と、を接続している。解放流路56は、常時開放されている出力ポート516と第6流路58とを介して電動シリンダ51の液室Reとリザーバタンク24とを接続する流路を構成している。
【0041】
<第2制動部>
第2制動部23は、動力源としての第2電気モータ64を備えている。第2制動部23は、第2電気モータ64の駆動量に応じて車両の車輪FL,FR,RL,RRに対して制動力を発生させることができる。第2制動部23は、第1制動部50とホイールシリンダ11との間に介在している。
【0042】
第2制動部23の一例について説明する。
第2制動部23は、各車輪FL,FR,RL,RRのWC圧Pwcを個別に調整することができる制動アクチュエータである。第2制動部23は、ブレーキ液を吐出するポンプ631,632を備えている。ポンプ631,632は、第2電気モータ64によって駆動される。
【0043】
第2制動部23は、第1制動部50によって調圧されたブレーキ液の液圧を増大させることなくWC圧Pwcを増大させることができる。制動装置20は、第1制動部50を上流側として第2制動部23を下流側とした冗長構成を有している。
【0044】
第2制動部23には、2系統の液圧回路611,612が設けられている。第1液圧回路611には、前輪FL,FR用の2つのホイールシリンダ11が接続されている。また、第2液圧回路612には、後輪RL,RR用の2つのホイールシリンダ11が接続されている。
【0045】
第1液圧回路611は、第1流路331及びマスタ室Rmを介してリザーバタンク24に接続されている。第1液圧回路611において、第1流路331との接続点とホイールシリンダ11とを繋ぐ液路には、常開型のリニア電磁弁である第1差圧調整弁621が設けられている。前輪FL,FR用のホイールシリンダ11は、「マスタ室と接続されているホイールシリンダ」に対応する。
【0046】
第2液圧回路612は、第4流路54と電動シリンダ51と第6流路58とを介してリザーバタンク24に接続されている。第2液圧回路612において、第6流路58との接続点とホイールシリンダ11とを繋ぐ液路には、常開型のリニア電磁弁である第2差圧調整弁622が設けられている。後輪RL,RR用のホイールシリンダ11は、「マスタ室と接続されているホイールシリンダとは異なるホイールシリンダ」に対応する。サーボ室Rsを電動シリンダ51の出力ポート516と接続する流路は、第2液圧回路612を介して後輪RL,RR用のホイールシリンダ11に接続されている。
【0047】
ポンプ631は、第1液圧回路611に設けられている。ポンプ631は、第1差圧調整弁621とホイールシリンダ11とを繋ぐ液路にブレーキ液を供給する。ポンプ632は、第2液圧回路612に設けられている。ポンプ632は、第2差圧調整弁622とホイールシリンダ11とを繋ぐ液路にブレーキ液を供給する。
【0048】
液圧回路611において第1差圧調整弁621よりもホイールシリンダ11側には、液圧回路611に接続されるホイールシリンダ11と同数の経路65a,65bが設けられている。同様に、液圧回路612において第2差圧調整弁622よりもホイールシリンダ11側には、液圧回路612に接続されるホイールシリンダ11と同数の経路65c,65dが設けられている。そして、各経路65a~65dには、WC圧Pwcの増大を規制する際に閉弁される保持弁66と、WC圧Pwcを減少させる際に開弁される減圧弁67とが設けられている。すなわち、各差圧調整弁621,622よりもホイールシリンダ11側の液路に各保持弁66が配置されている。なお、各保持弁66は常開型の電磁弁であり、各減圧弁67は常閉型の電磁弁である。
【0049】
液圧回路611,612には、減圧弁67が開弁しているときにホイールシリンダ11から減圧弁67を介して流出したブレーキ液を一時的に貯留するリザーバ681,682が接続されている。各リザーバ681,682は、吸入用流路691,692を介してポンプ631,632に接続されている。
【0050】
リザーバ681は、第1差圧調整弁621とマスタ室Rmとを繋ぐ液路にタンク側流路701を介して接続されている。リザーバ682は、第2液圧回路612における第6流路58との接続点と第2差圧調整弁622とを繋ぐ液路にタンク側流路702を介して接続されている。
【0051】
各ポンプ631,632は、リザーバ681,682を介してリザーバタンク24内のブレーキ液を汲み取ることができる。各ポンプ631,632は、汲み取ったブレーキ液を差圧調整弁621,622と保持弁66との間の液路に吐出する。当該液路とポンプ631,632との間の液路を、中間液路711,712という。
【0052】
<センサ>
制動装置20は、各種センサを備えている。
図1には、各種センサの例として、複数の液圧センサ351,352,353、ストロークセンサSE1及び回転角センサSE2を示している。各種センサからの検出信号は、制動制御装置100に入力される。制動制御装置100は、各種センサからの検出信号に基づいて、車両の状態量を取得することができる。
【0053】
マスタ液圧センサ351は、マスタ室Rm内の液圧を検出することができる。たとえば、マスタ液圧センサ351は、第1流路331に設けられている。たとえば、第2制動部23がマスタ液圧センサ351を備えている。以下では、マスタ液圧センサ351が検出する液圧を「マスタ圧」という。
【0054】
入力液圧センサ352は、第2液室R2内の液圧を検出することができる。たとえば、入力液圧センサ352は、第2流路332において、第1制御弁341と第2液室R2との間の位置に接続されている。
【0055】
制御圧センサ353は、電動シリンダ51によって加圧される液圧を検出することができる。たとえば、制御圧センサ353は、電動シリンダ51における出力ポート516の近くに設けられている。一例として図1には、第4流路54及び第6流路58に接続している解放流路56において、解放弁57と出力ポート516との間に制御圧センサ353が接続されている構成を示している。以下では、制御圧センサ353が検出する液圧を「制御圧」という。
【0056】
ストロークセンサSE1は、制動操作部材21の操作量を検出することができる。
回転角センサSE2は、電動シリンダ51が有する第1電気モータ513の回転角を検出することができる。回転角センサSE2は、たとえば、電動シリンダ51に取り付けられている。回転角センサSE2が検出する回転角に基づいて、第1電気モータ513の回転数を算出することができる。
【0057】
<制動制御装置>
図2を用いて制動制御装置100について説明する。制動制御装置100は、各種の制御を実行する複数の機能部によって構成されている。図2には、機能部の一例として、第1制御部101、第2制御部102及び異常判定部103を示している。制動制御装置100が備える各機能部は、互いに情報の送受信が可能である。
【0058】
第1制御部101及び第2制御部102は、制動要求に基づいて制動装置20を作動させることができる。制動要求は、たとえば制動操作部材21の操作によって発生して制動操作部材21の操作が解消されることで解消される。この場合には、第1制御部101及び第2制御部102は、制動操作部材21の操作量に基づいて算出される要求制動力を用いて制動装置20を作動させることができる。また、制動要求は、自動運転制御装置によって出力されることもある。この場合には、第1制御部101及び第2制御部102は、自動運転制御装置が算出する要求制動力に基づいて制動装置20を作動させることができる。
【0059】
第1制御部101及び第2制御部102は、要求制動力をホイールシリンダ11における液圧の目標値に変換した値、すなわち、WC圧Pwcの目標値に基づいて制動装置20を作動させる。以下では、WC圧Pwcの目標値のことを「目標WC圧」ということもある。目標WC圧に基づいて車輪FL,FR,RL,RRのWC圧Pwcが調整されることによって、要求制動力に対応した制動力が車輪FL,FR,RL,RRに付与される。
【0060】
<第1制動部によるWC圧の調整>
第1制御部101について説明する。第1制御部101は、第1制動部50を制御する機能を備えている。第1制御部101は、第1制動部50を作動させて制動力を発生させることができる。
【0061】
第1制御部101は、電動シリンダ51を作動させてWC圧Pwcを調整することができる。これによって、第1制動部50によって車両の車輪FL,FR,RL,RRに対して制動力を発生させることができる。各車輪FL,FR,RL,RRのWC圧Pwcについて第1制動部50によって加圧される分を第1制動圧P1という。
【0062】
第1制御部101は、目標WC圧が増大される場合には、マスタ圧が目標WC圧に応じた液圧まで増大するように、電動シリンダ51を制御する。具体的には、第1電気モータ513を制御することによってピストン512を前進方向Zaに移動させることで入力ポート515を閉塞させる。ピストン512の移動によって電動シリンダ51の出力ポート516から第6流路58を介して第5流路55にブレーキ液が供給される。第5流路55のブレーキ液は、マスタシリンダ31のサーボ室Rsに供給される。サーボ室Rsにブレーキ液が供給されることで、マスタピストン43が前方に移動する。すなわち、マスタシリンダ31は、電動シリンダ51からサーボ室Rsに供給されるブレーキ液によってマスタピストン43を前方に移動させることができる。続いて、第2制動部23の第1液圧回路611を介して、マスタ室Rmから前輪FL,FR用のホイールシリンダ11内にブレーキ液が供給される。その結果、前輪FL,FRのWC圧Pwcが目標WC圧まで増大される。また、電動シリンダ51の出力ポート516から第6流路58を介して第2制動部23の第2液圧回路612にブレーキ液が供給される。すなわち、第2制動部23の第2液圧回路612を介して、第6流路58から後輪RL,RR用のホイールシリンダ11内にブレーキ液が供給される。その結果、後輪RL,RRのWC圧Pwcが目標WC圧まで増大される。
【0063】
第1制御部101は、目標WC圧が維持される場合には、電動シリンダ51の作動を継続する。
第1制御部101は、目標WC圧が減少される場合には、マスタ圧が目標WC圧に応じた液圧まで減少するように電動シリンダ51を制御する。具体的には、第1電気モータ513を制御することによってピストン512を後退方向Zbに移動させることで、サーボ室Rsに供給されるブレーキ液の圧力を減少させる。また、ブレーキが解除された場合には、ピストン512を初期位置まで移動させて、貫通孔517と入力ポート515とを接続する。すなわち、入力ポート515を開放して液室Reとリザーバタンク24とを接続する。前述の様に、ピストン512を後退方向Zbに移動させること、あるいは、貫通孔517と入力ポート515を接続することによって、ブレーキ液がサーボ室Rsから液室Reに流入することができる。すると、マスタピストン43が後方に移動して、第2制動部23の第1液圧回路611を介して、ブレーキ液が前輪FL,FR用のホイールシリンダ11内からマスタ室Rmに流入することができる。その結果、前輪FL,FRのWC圧Pwcが目標WC圧まで減少する。また、ブレーキ液が後輪RL,RR用のホイールシリンダ11内から第6流路58を介して液室Reに流入する。その結果、後輪RL,RRのWC圧Pwcが目標WC圧まで減少する。
【0064】
<第2制動部によるWC圧の調整>
第2制御部102について説明する。第2制御部102は、第2制動部23を制御する機能を備えている。第2制御部102は、第2制動部23を作動させて制動力を発生させることができる。
【0065】
第2制御部102は、第2電気モータ64の駆動量に応じてポンプ631,632を作動させてWC圧Pwcを調整することができる。これによって、車輪FL,FR,RL,RRに対して第2制動部23によって制動力を発生させることができる。各車輪FL,FR,RL,RRのWC圧Pwcについて第2制動部23によって加圧される分を第2制動圧P2という。以下、第2制動部23によってWC圧Pwcを調整する例を説明する。
【0066】
第1液圧回路611に設けられているポンプ631が作動する場合には、リザーバタンク24から、マスタ室Rm、第1流路331、タンク側流路701、リザーバ681及び吸入用流路691を介して、中間液路711にブレーキ液が吐出される。あるいは、マスタ室Rmから、第1流路331、タンク側流路701、リザーバ681及び吸入用流路691を介して、中間液路711にブレーキ液が吐出される。
【0067】
第2液圧回路612に設けられているポンプ632が作動する場合には、リザーバタンク24から、第4流路54、液室Re、第6流路58、タンク側流路702、リザーバ682及び吸入用流路692を介して、中間液路712にブレーキ液が吐出される。あるいは、液室Reから、第6流路58、タンク側流路702、リザーバ682及び吸入用流路692を介して、中間液路712にブレーキ液が吐出される。
【0068】
第2制動部23において、第1差圧調整弁621を作動させて、且つ、ポンプ631からブレーキ液を吐出させると、第1流路331内のブレーキ液と中間液路711内のブレーキ液との間に差圧が発生する。また、第2制動部23において、第2差圧調整弁622を作動させて、且つ、ポンプ632からブレーキ液を吐出させると、第6流路58内のブレーキ液と中間液路712内のブレーキ液との間に差圧が発生する。
【0069】
第2制御部102は、第2制動部23において上記差圧を発生させることで、第1制動部50によって調圧されたブレーキ液の液圧に対して差圧分だけWC圧Pwcを増大させることができる。すなわち、当該差圧分が第2制動圧P2に対応する。第1制動圧P1と第2制動圧P2との和がWC圧Pwcに対応する。
【0070】
ポンプ632、第2電気モータ64及び第2差圧調整弁622は、リザーバタンク24から取り込んだブレーキ液をホイールシリンダ11内に供給することによって後輪RL,RRのWC圧Pwcを増大させる後輪加圧部72を構成している。後輪加圧部72は、リザーバタンク24に対して、第4流路54、電動シリンダ51、第6流路58、タンク側流路702、リザーバ682及び吸入用流路692を介して接続されている。ポンプ631、第2電気モータ64及び第1差圧調整弁621は、リザーバタンク24から取り込んだブレーキ液をホイールシリンダ11内に供給することによって前輪FL,FRのWC圧Pwcを増大させる前輪加圧部73を構成している。後輪加圧部72及び前輪加圧部73は、第2電気モータ64を共用している。
【0071】
<異常判定処理>
異常判定部103は、異常判定処理を実行することができる。異常判定処理は、電動シリンダ51に異常が発生しているか否かを判定する処理である。
【0072】
電動シリンダ51の異常とは、たとえば、電動シリンダ51による加圧を行っている際にピストン512が後退方向Zbに移動することができない状態である。言い換えれば、入力ポート515が閉塞されている場合において入力ポート515を開放することができない状態である。異常の要因としては、たとえば、ピストン512の固着、第1電気モータ513の駆動力を伝達する機構の不調等が挙げられる。上記異常が発生すると、電動シリンダ51とホイールシリンダ11との間における液圧を解放することができないことがある。すなわち、WC圧Pwcを減少させることができない場合がある。
【0073】
異常判定処理の一例を説明する。
異常判定処理では、たとえば、ストロークセンサSE1が検出する制動操作部材21の操作量と、回転角センサSE2の検出値から算出できる第1電気モータ513の回転数と、制御圧センサ353が検出する制御圧と、に基づいて判定を行うことができる。第1電気モータ513に異常が生じていない場合には、制御圧は、制動操作部材21の操作量及び第1電気モータ513の回転数に対して規定の相関関係が成立する。異常判定処理では、規定の相関関係が成立していない場合に、第1電気モータ513に異常が生じていると判定することができる。より具体的には、たとえば、ピストン512を後退方向Zbに移動させるために電気モータ513を駆動しようとしても回転角センサSE2の検出値が変わらない場合に、電動シリンダ51に異常が発生していると判定することができる。
【0074】
<圧力解放処理>
第1制御部101は、圧力解放処理を実行することができる。
圧力解放処理は、電動シリンダ51に異常が発生していることが判定されている場合に解放弁57を開弁する処理である。
【0075】
図3を用いて、圧力解放処理の一例を説明する。図3は、圧力解放処理を実行する際の処理の流れを示す。本処理ルーチンは、たとえば、所定の周期毎に繰り返し実行される。後述するフラグF1がONである場合には本処理ルーチンを実行しなくてもよい。
【0076】
本処理ルーチンが開始されると、まずステップS101では、制動制御装置100は、異常判定部103に異常判定処理を実行させる。そして、制動制御装置100は、異常判定処理の結果として電動シリンダ51に異常が発生しているか否かを判定する。
【0077】
ステップS101において、電動シリンダ51に異常が発生していない場合、すなわち電動シリンダ51が正常である場合には(S101:NO)、制動制御装置100は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方で、電動シリンダ51に異常が発生している場合には(S101:YES)、制動制御装置100は、処理をステップS102に移行する。
【0078】
ステップS102では、制動制御装置100は、フラグF1をONに設定する。フラグF1の初期値はOFFである。フラグF1がONであることは、電動シリンダ51に異常が発生していることを示す。たとえば、フラグF1は、一度ONにされると、フラグF1を初期化しない限りはONに設定されている状態が継続される。一例として、診断機等の車外の装置を制動制御装置100に接続してフラグF1を初期化することができる。制動制御装置100は、フラグF1をONに設定すると、処理をステップS103に移行する。
【0079】
ステップS103では、制動制御装置100は、第2制御部102に第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622を閉弁させる。この結果として、第2制動部23の第1液圧回路611及び第2液圧回路612は、第1制動部50から遮断される。その後、制動制御装置100は、処理をステップS104に移行する。
【0080】
ステップS104では、制動制御装置100は、第1制御部101に解放弁57を開弁させる。この結果として、解放流路56を介して、第6流路58における出力ポート516とホイールシリンダ11との間の部分と、第4流路54における入力ポート515とリザーバタンク24との間の部分とが接続される。その後、制動制御装置100は、処理をステップS105に移行する。
【0081】
ステップS103及びステップS104の処理に関して、たとえば、制動制御装置100は、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622の開度が「0」になってから、処理をステップS104に移行する。すなわち、制動制御装置100は、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622が閉弁し終わってから、解放弁57を開弁させ始める。言い換えれば、制動制御装置100は、解放弁57が開弁し始める前に第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622閉弁させる。
【0082】
ステップS105では、制動制御装置100は、第2制御部102に第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622の開弁を開始させる。たとえば、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622を通過するブレーキ液の流量が徐々に大きくなるように第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622の開度を徐々に大きくさせる。この結果として、第1液圧回路611及び第2液圧回路612からブレーキ液が流出することができる。その後、制動制御装置100は、本処理ルーチンを終了する。
【0083】
本実施形態では、ステップS103、S104及びS105の処理が圧力解放処理に対応する。圧力解放処理としては、解放弁57を開弁すればよい。すなわち、ステップS104の処理を実行すればよく、ステップS103及びS105の処理を実行することは必須ではない。
【0084】
<助勢処理>
制動制御装置100は、助勢処理を実行することができる。助勢処理は、電動シリンダ51に異常が発生している場合にWC圧Pwcを調整する処理である。具体的には、助勢処理では、第2制動部23の液圧回路611,612を制御することによって、解放弁57を開弁状態にした解放流路56を介してリザーバタンク24からホイールシリンダ11にブレーキ液を供給することでWC圧Pwcを調整する。
【0085】
図4を用いて、助勢処理の一例を説明する。図4は、助勢処理を実行する際の処理の流れを示す。本処理ルーチンは、たとえば、所定の周期毎に繰り返し実行される。
本処理ルーチンが開始されると、まずステップS201では、制動制御装置100は、制動操作があるか否かを判定する。たとえば、制動制御装置100は、目標WC圧が「0」よりも大きい場合に制動操作があると判定することができる。
【0086】
ステップS201において、制動操作がない場合には(S201:NO)、制動制御装置100は、本処理ルーチンを一旦終了する。一方で、制動操作がある場合には(S201:YES)、制動制御装置100は、処理をステップS202に移行する。
【0087】
ステップS202では、制動制御装置100は、フラグF1がONに設定されているか否かを判定する。
フラグF1がOFFである場合、すなわち電動シリンダ51が正常である場合には(S202:NO)、制動制御装置100は、処理をステップS203に移行する。
【0088】
ステップS203では、制動制御装置100は、通常制動制御を実施する。すなわち、制動制御装置100は、第1制動圧P1と第2制動圧P2との和によって目標WC圧を満たすように、第1制動部50及び第2制動部23を作動させてWC圧Pwcを調整する。その後、制動制御装置100は、本処理ルーチンを終了する。
【0089】
一方で、ステップS202の処理においてフラグF1がONである場合、すなわち電動シリンダ51に異常が発生している場合には(S202:YES)、制動制御装置100は、処理をステップS204に移行する。
【0090】
ステップS204では、制動制御装置100は、第1制御部101に解放弁57を開弁状態にさせる。すなわち、解放流路56を介してリザーバタンク24と第2制動部23とが接続された状態にさせる。その後、制動制御装置100は、処理をステップS205に移行する。
【0091】
ステップS205では、制動制御装置100は、制動要求に応じてWC圧Pwcを調整するように第2制御部102に第2制動部23を作動させる。この結果として、第2制動部23の作動によって制動力を発生させる。その後、制動制御装置100は、本処理ルーチンを終了する。
【0092】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
制動装置20によれば、電動シリンダ51に異常が発生している場合には、解放弁57を開弁させた解放流路56を介して、リザーバタンク24とホイールシリンダ11との間でブレーキ液が流れる流路を形成することができる。これによって、電動シリンダ51に異常が発生している場合でも、解放弁57を開弁させた解放流路56及びマスタ室Rmを介して、WC圧Pwcを減少させることができる。
【0093】
まず、後輪RL,RR用のホイールシリンダ11に関して説明する。
解放弁57の開弁によって、第6流路58及び第5流路55のブレーキ液がリザーバタンク24に流入することができる。また、このとき、入力ポート515が閉塞された状態であっても液室Reの液圧が減少する。これによって、第6流路58と解放流路56と第4流路54とを介して、第2液圧回路612に接続されている後輪RL,RR用のホイールシリンダ11からリザーバタンク24にブレーキ液が流入することができる。制動装置20によれば、このようにして、後輪RL,RRのWC圧Pwcを減少させることができる。
【0094】
続いて、前輪FL,FR用のホイールシリンダ11に関して説明する。
解放弁57の開弁によって、第5流路55のブレーキ液が第6流路58と解放流路56と第4流路54とを介してリザーバタンク24に流入することができる。このため、サーボ室Rsのブレーキ液が第5流路55に流出できる。サーボ室Rsの液圧が減少することで、マスタピストン43が後方に移動できる。これによって、第1流路331及びマスタ室Rmを介して、第1液圧回路611に接続されている前輪FL,FR用のホイールシリンダ11からリザーバタンク24にブレーキ液が流入することができる。制動装置20によれば、このようにして、前輪FL,FRのWC圧Pwcを減少させることができる。
【0095】
制動制御装置100は、解放弁57を開弁させる処理(S104)を実行する前に、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622を閉弁させる(S103)。その後、解放弁57を開弁させてから、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622を開弁させる(S105)。
【0096】
仮に、電動シリンダ51に異常が発生している場合に第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622が開弁している状態で解放弁57を開弁すると、次のようなおそれがある。すなわち、電動シリンダ51の異常によって解放されることなく電動シリンダ51とホイールシリンダ11との間に留まっていたブレーキ液がリザーバタンク24に向かって急激に流れ込むおそれがある。この結果、たとえば、減速度の低下やペダルショックが発生し、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0097】
これに対して、制動制御装置100を備える制動装置20によれば、解放弁57を開弁させてから、第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622の開度を徐々に大きくすることができる。これによって、まず液室Reの液圧を減少させてから、次に第1差圧調整弁621及び第2差圧調整弁622とホイールシリンダ11との間の液圧を減少させることができる。このように構成した制動装置20によれば、解放弁57を開弁する際に減速度の低下やペダルショックの発生を抑制することができる。
【0098】
制動装置20によれば、電動シリンダ51に異常が発生している場合に、助勢処理によってWC圧Pwcを調整して制動力を発生させることができる。助勢処理では、解放弁57を開弁状態にしつつ、第2制動部23を作動させる。これによって、リザーバタンク24から、マスタシリンダ31のマスタ室Rmを介して、第1液圧回路611に接続されたホイールシリンダ11にブレーキ液を供給することができる。また、電動シリンダ51を迂回する解放流路56を介してリザーバタンク24から第2液圧回路612に接続されたホイールシリンダ11にブレーキ液を供給することができる。すなわち、電動シリンダ51に異常が発生している場合でも、WC圧Pwcを速やかに増大させることができる。また、第1液圧回路611に接続されたホイールシリンダ11からマスタシリンダ31のマスタ室Rmを介して、リザーバタンク24にブレーキ液を流出することができる。また、解放流路56を介して第2液圧回路612に接続されたホイールシリンダ11からリザーバタンク24にブレーキ液を流出させることもできる。このため、WC圧Pwcを減少させることもできる。
【0099】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0100】
・処理回路である制動制御装置100及び他の処理回路は、以下[a]~[c]のいずれかの構成であればよい。[a]コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備える。プロセッサは、処理装置を備える。処理装置の例は、CPU、DSP及びGPU等である。プロセッサは、メモリを備える。メモリの例は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等である。メモリは、処理を処理装置に実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。[b]各種処理を実行する一つ以上のハードウェア回路を備える。ハードウェア回路の例は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等である。[c]各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうち残りの処理を実行するハードウェア回路と、を備える回路である。
【0101】
・制動制御装置100は、圧力解放処理において解放弁57を開弁させることでWC圧Pwcを減少させた後に、解放弁57を閉弁するようにしてもよい。
なお、上記のように解放弁57を閉弁する構成を採用する場合には、助勢処理のステップS204における処理において解放弁57を再び開弁させる。一方で、解放弁57を閉弁する構成を採用しない場合には、ステップS204の処理では、解放弁57を操作することなく解放弁57を開弁させたままにするとよい。
【0102】
また、電動シリンダ51と第2制動部23を共に作動させず、制動操作部材21の操作によって機械的にマスタピストン43を前進後退させて制動力を発生させる場合において、少なくとも制動操作部材21の操作中には解放弁57を開弁させたままにするとよい。
【0103】
また、制動制御装置100は、圧力解放処理において解放弁57を開弁する前に、必ずしも、第1差圧調整弁621と第2差圧調整弁622を閉弁しなくてもよい。たとえば、制動制御装置100は、圧力解放処理において、解放弁57を開弁すると同時に、WC圧Pwcの減少速度が、差圧調整弁621,622が解放された状態よりも低くなるように、差圧調整弁621,622を制御するようにしてもよい。あるいは制動制御装置100は、圧力解放処理において、解放弁57を開弁した後に、WC圧Pwcの減少速度が、差圧調整弁621,622が解放された状態よりも低くなるように、差圧調整弁621,622を制御するようにしてもよい。差圧調整弁621,622が解放された状態とは、たとえば差圧調整弁621,622が全開にされている状態である。制動制御装置100は、圧力解放処理において、解放弁57を開弁した状態で差圧調整弁621,622を閉弁するようにしてもよい。
【0104】
・制動制御装置100は、助勢処理によって付与した制動力を解消させた後には、解放弁57を閉弁するようにしてもよい。たとえば、ステップS205の処理の後に、制動要求が解消しており且つWC圧Pwcが減少した場合に、解放弁57を閉弁することができる。
【0105】
・制動制御装置100は、圧力解放処理を、電動シリンダ51に異常が発生していることが判定され、且つ、運転者によって制動操作部材21が操作されている際に実行しても良い。
【0106】
・制動制御装置100は、助勢処理を実施しなくても良い。助勢処理が実施されない場合に、圧力解放処理が実施された後では、たとえば下記のように運転者の操作に応じた制動力が発生する。運転者の制動操作部材21への操作力が入力ピストン44と第2液室R2を介してマスタピストン43に伝達されることで、前輪FL及びFRの制動機構10によって運転者の操作に応じた制動力が発生する。あるいは、運転者の制動操作部材21への操作力が入力ピストン44から直接マスタピストン43に伝達されることで、前輪FL及びFRの制動機構10によって運転者の操作に応じた制動力が発生する。
【0107】
・制動制御装置100は、圧力解放処理後に助勢処理を実施してもよく、圧力解放処理と同時、あるいは、圧力解放処理から遅れて圧力解放処理と重なるように助勢処理を実施してもよい。上記のように助勢処理を実施する際には、差圧調整弁621,622は、圧力解放処理による閉弁及び制御を実施せずに、助勢処理の制御に従って作動するようにしてもよい。あるいは、差圧調整弁621,622は、圧力解放処理による閉弁及び制御を一部実施した後、助勢処理の制御に従って作動するようにしてもよい。
【0108】
・上記実施形態では、第1制御部101及び第2制御部102を備える制動制御装置100を例示した。すなわち、一つの制動制御装置100によってマスタ装置30、第1制動部50及び第2制動部23を制御する例を示した。制動装置が備える制動制御装置としては、第1制御部101に相当する機能を有する第1制御装置と、第1制御装置とは別の制御装置であり第2制御部102に相当する機能を有する第2制御装置と、によって構成される制動制御装置を採用してもよい。
【0109】
図5には、第1制御装置210と、第2制御装置220と、によって構成されている制動制御装置200を例示している。第1制御装置210は、機能部として、第1制御部101を備えている。第1制御装置210は、機能部として、異常判定部103を備えていてもよい。第2制御装置220は、機能部として、第2制御部102を備えている。第1制御装置210と第2制御装置220とは、たとえば、車載ネットワークを介して相互に通信することができる。第1制御装置210と第2制御装置220とは、相互に通信することができるように、信号線によって接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…制動機構
11…ホイールシリンダ
12…回転板
13…摩擦材
20…制動装置
21…制動操作部材
22…液圧発生装置
23…第2制動部
24…リザーバタンク
30…マスタ装置
31…マスタシリンダ
43…マスタピストン
50…第1制動部
51…電動シリンダ
511…シリンダ
512…ピストン
513…第1電気モータ
515…入力ポート
516…出力ポート
517…貫通孔
54…第4流路
55…第5流路
56…解放流路
57…解放弁
58…第6流路
611…第1液圧回路
612…第2液圧回路
621…第1差圧調整弁
622…第2差圧調整弁
100…制動制御装置
101…第1制御部
102…第2制御部
103…異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5