(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048838
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154962
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】幸元 翔三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰地
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA08
3F333BD02
3F333BE02
3F333FA08
3F333FA11
3F333FA12
3F333FA21
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】昇降部の下降時に乗員に障害物を認識させやすくすることができる荷役車両を提供すること。
【解決手段】荷役車両10は、昇降部30と、マスト装置40と、荷役レバー50と、制御装置60と、障害物センサ93と、を備えている。昇降部30は、フォーク32と運転台31とが一体となることにより形成される。マスト装置40は、昇降部30を昇降させる。制御装置60は、荷役レバー50の操作に応じてマスト装置40を制御する。障害物センサ93は、運転台31の揚高が高さH1以上である場合に運転台31の下方に存在する障害物100を検知する。制御装置60は、障害物センサ93により障害物100が検知された場合、昇降部30の下降速度V2を制限するようにマスト装置40を制御する下降速度制限処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークと運転台とが一体となった昇降部と、
前記昇降部を昇降させるマスト装置と、
荷役レバーと、
前記荷役レバーの操作に応じて前記マスト装置を制御する制御装置と、を備える荷役車両であって、
前記運転台が所定の高さ以上のときに前記運転台の下方に存在する障害物を検知する障害物センサを更に備え、
前記制御装置は、前記障害物センサにより障害物が検知された場合、前記昇降部の下降速度を制限するように前記マスト装置を制御する下降速度制限処理を実行することを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記荷役レバーの下降指示方向への操作があり、前記障害物センサにより障害物が検知された場合に、前記下降速度制限処理を実行する、請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記下降速度制限処理を実行している最中に前記障害物センサにより障害物が検知されている状態から検知されない状態となった場合、前記荷役レバーの下降指示方向への操作を停止しない限り、前記下降速度制限処理を実行し続け、前記荷役レバーの下降指示方向への操作を停止すると、前記下降速度制限処理を解除する、請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
障害物の存在を乗員に報知する第1報知部と、
前記第1報知部とは異なる手段で障害物の存在を乗員に報知する第2報知部と、を備え、
前記下降速度制限処理が実行されている状態において、前記荷役レバーが下降指示方向に操作されていない場合、前記第1報知部が作動する一方で前記第2報知部が作動せず、
前記下降速度制限処理が実行されている状態において、前記荷役レバーが下降指示方向に操作されている場合、前記第1報知部及び前記第2報知部の双方が作動する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記昇降部の下降量が規定値未満である場合における前記第2報知部の報知パターンと、前記下降量が前記規定値以上である場合における前記第2報知部の報知パターンとが異なる、請求項4に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷役車両が記載されている。
上記の荷役車両は、昇降部と、マスト装置と、荷役レバーと、制御装置と、を備えている。昇降部は、フォークと運転台とが一体となっている。マスト装置は、昇降部を昇降させる。荷役レバーは、マスト装置を操作する。制御装置は、荷役レバーの操作に応じてマスト装置を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昇降部が下降するときに運転台の下方に障害物が存在すると、昇降部が下降したときに運転台が障害物に接触する虞がある。運転台に搭乗している乗員からは、運転台の下方に存在する障害物を目視しにくい。よって、昇降部の下降時に、乗員に障害物を認識させやすくすることが検討されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する荷役車両は、フォークと運転台とが一体となった昇降部と、前記昇降部を昇降させるマスト装置と、荷役レバーと、前記荷役レバーの操作に応じて前記マスト装置を制御する制御装置と、を備える荷役車両であって、前記運転台が所定の高さ以上のときに前記運転台の下方に存在する障害物を検知する障害物センサを更に備え、前記制御装置は、前記障害物センサにより障害物が検知された場合、前記昇降部の下降速度を制限するように前記マスト装置を制御する下降速度制限処理を実行する。
【0006】
上記構成によれば、障害物を検知した場合、下降速度制限処理が実行されることにより、昇降部の下降速度が制限されるため、昇降部の下降時に乗員に障害物を認識させやすくすることができる。
【0007】
前記制御装置は、前記荷役レバーの下降指示方向への操作があり、前記障害物センサにより障害物が検知された場合に、前記下降速度制限処理を実行するとよい。
上記構成によれば、下降速度制限処理が実行されることにより、昇降部の下降速度が制限されると、荷役レバーの操作量に見合った昇降部の下降速度とならない。このため、乗員に対して荷役レバーの操作に違和感を与えることにより、乗員に障害物をより認識させやすくすることができる。
【0008】
上記の荷役車両において、前記制御装置は、前記下降速度制限処理を実行している最中に前記障害物センサにより障害物が検知されている状態から検知されない状態となった場合、前記荷役レバーの下降指示方向への操作を停止しない限り、前記下降速度制限処理を実行し続け、前記荷役レバーの下降指示方向への操作を停止すると、前記下降速度制限処理を解除するとよい。
【0009】
上記構成によれば、乗員が荷役レバーを下降指示方向に操作しているときに障害物が取り除かれた場合、下降速度制限処理が解除されない。つまり、乗員が荷役レバーを下降操作指示方向に操作しているときに障害物が取り除かれた場合であっても、昇降部の下降速度が大きくなることがないため、乗員に加わる不意なショックを防止できる。
【0010】
上記の荷役車両において、障害物の存在を乗員に報知する第1報知部と、前記第1報知部とは異なる手段で障害物の存在を乗員に報知する第2報知部と、を備え、前記下降速度制限処理が実行されている状態において、前記荷役レバーが下降指示方向に操作されていない場合、前記第1報知部が作動する一方で前記第2報知部が作動せず、前記下降速度制限処理が実行されている状態において、前記荷役レバーが下降指示方向に操作されている場合、前記第1報知部及び前記第2報知部の双方が作動するとよい。
【0011】
上記構成によれば、下降速度制限処理が実行されている状態において、運転台の下方に障害物が存在することをより明確に乗員に認識させやすくなる。特に、乗員が昇降部を下降させる意思があるときには、第1報知部に加え、第2報知部も作動するため、乗員に障害物を認識させやすくすることができる。
【0012】
上記の荷役車両において、前記昇降部の下降量が規定値未満である場合における前記第2報知部の報知パターンと、前記下降量が前記規定値以上である場合における前記第2報知部の報知パターンとが異なるとよい。
【0013】
上記構成によれば、下降速度制限処理が実行されている状態において、運転台が障害物に近づいていることをより明確に乗員に認識させやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、昇降部の下降時に乗員に障害物を認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】荷役車両の電気的構成及びマスト装置を示す概略図である。
【
図4】制御装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【
図5】制御装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、荷役車両を具体化した実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。
<荷役車両>
図1及び
図2に示すように、荷役車両10は、ピッキングリフトである。荷役車両10は、車体20と、昇降部30と、マスト装置40と、荷役レバー50と、制御装置60と、ディスプレイ81と、ディスプレイ警告器82と、作業者用警報器83と、を備えている。
【0017】
<車体>
図1に示すように、車体20は、本体部21と、一対の脚部22と、を有している。本体部21は、車体20の前部を構成している。一対の脚部22は、本体部21から後方に向けて延びている。一対の脚部22には、従動輪22aが設けられている。
【0018】
図2に示すように、車体20の本体部21には、駆動輪21aと、車載バッテリ23と、走行用モータ24とが設けられている。走行用モータ24は、車載バッテリ23により駆動する。走行用モータ24は、駆動輪21aを回転させる。これにより車体20が走行する。荷役車両10は、バッテリ車である。なお、駆動輪21aは、操舵輪を兼用している。
【0019】
<昇降部>
図1に示すように、昇降部30は、運転台31と、フォーク32と、を有している。運転台31は、乗員が搭乗する部位である。運転台31は、本体部21の後方に位置している。運転台31は、一対の脚部22の間に設けられている。フォーク32は、運転台31と一体となっている。フォーク32は、運転台31から後方に向けて延びている。
【0020】
運転台31の前部には、ネット33と、インストルメントパネル34とが設けられている。ネット33は、前方の視界を確保しながら乗員の前方をガードする。インストルメントパネル34は、ネット33の下方に配置されている。インストルメントパネル34には、荷役レバー50と、ディスプレイ81と、ディスプレイ警告器82とが設けられている。荷役レバー50は、サムレバー式である。荷役レバー50は、運転台31とともにフォーク32を昇降させるときに操作するものである。荷役レバー50の操作方向は、運転台31及びフォーク32を上昇させる上昇指示方向と、下降させる下降指示方向とからなる。昇降部30は、荷役レバー50の操作に応じて昇降する。
【0021】
ディスプレイ81は、乗員に所定のアナウンスを行う。ディスプレイ81は、例えば、文字を表示させることにより乗員に所定のアナウンスを行う。ディスプレイ81は、例えば、当該ディスプレイ81全体を点滅させることにより乗員に所定のアナウンスを行う。ディスプレイ81は、例えば、表示された文字やアイコン等を点滅させることにより乗員に所定のアナウンスを行う。
【0022】
ディスプレイ警告器82は、ディスプレイ81の一部に設けられている。ディスプレイ81及びディスプレイ警告器82は一体である。ディスプレイ警告器82は、音を発生させることにより乗員に所定のアナウンスを行う。ディスプレイ警告器82は、例えばスピーカである。なお、ディスプレイ警告器82をディスプレイ81から省略してもよい。この場合、ディスプレイ警告器82に代替した別構成のスピーカを運転台31の任意の位置に設けるとよい。
【0023】
<マスト装置>
図2示すように、マスト装置40は、マスト41を有している。マスト41は、本体部21と運転台31との間に配置されている。マスト41は、アウタマスト41aと、インナマスト41bと、を有している。アウタマスト41aは、車体20に固定されている。アウタマスト41aには、作業者用警報器83が取り付けられている。作業者用警報器83は、音を発生させることにより荷役車両10の近くにいる作業者に所定のアナウンスを行う。作業者用警報器83は、例えばスピーカである。
【0024】
インナマスト41bは、アウタマスト41aに対して上下方向に移動可能である。なお、インナマスト41bの上部には、図示しないチェーンホイールが設けられている。当該チェーンホイールには、図示しないチェーンが掛けられている。当該チェーンの一端部は、アウタマスト41aに取り付けられており、当該チェーンの他端部は、運転台31に取り付けられている。
【0025】
マスト装置40は、リフトシリンダ42と、タンク43と、電磁切替バルブ44と、油圧ポンプ45と、電動モータ46と、を有している。リフトシリンダ42は、油圧シリンダである。リフトシリンダ42への作動油の給排によりインナマスト41bが上下方向に移動する。タンク43には、作動油が貯留されている。リフトシリンダ42とタンク43とは、油路49により接続されている。
【0026】
図3に示すように、電磁切替バルブ44は、油路49に設けられている。電磁切替バルブ44は、オリフィスを有する開位置44aと、バネ付き逆止弁を有する閉位置44bとの間で切り替えられるバルブである。電磁切替バルブ44は、荷役レバー50が操作されている場合、開位置44aとなることにより油路49における電磁切替バルブ44の上流側と下流側とを連通する。電磁切替バルブ44は、荷役レバー50が操作されていない場合、閉位置44bとなることにより油路49における電磁切替バルブ44の上流側と下流側とを遮断する。
【0027】
図2に示すように、油圧ポンプ45は、油路49における電磁切替バルブ44とタンク43との間に設けられている。油圧ポンプ45は、電動モータ46により駆動する。電動モータ46は、荷役レバー50が操作されている場合に駆動する。電動モータ46が一方の方向に回転することにより油圧ポンプ45が一方の方向に回転する。これにより、油圧ポンプ45は、タンク43に貯留された作動油を引き込みつつ電磁切替バルブ44を介して作動油をリフトシリンダ42に供給する。電動モータ46が他方の方向に回転することにより油圧ポンプ45が他方の方向に回転する。これにより、油圧ポンプ45は、リフトシリンダ42に充填された作動油を引き込みつつ電磁切替バルブ44を介して作動油をタンク43へ戻す。油圧ポンプ45は、双方向に回転可能なポンプである。電動モータ46は、双方向に回転可能なモータである。
【0028】
荷役レバー50が上昇指示方向に操作されることにより油圧ポンプ45が一方の方向に回転すると、リフトシリンダ42に作動油が供給される。リフトシリンダ42の油圧が上昇することによりインナマスト41bが上方に向けて移動する。すると、図示しないチェーンホイールが上方に移動することにより図示しないチェーンの他端部に取り付けられた運転台31が上昇する。
【0029】
荷役レバー50が下降指示方向に操作されることにより油圧ポンプ45が他方の方向に回転すると、リフトシリンダ42に充填された作動油が電磁切替バルブ44を介して油圧ポンプ45に引き込まれつつタンク43へ戻される。リフトシリンダ42の油圧が低下することによりインナマスト41bが下方に向けて移動する。すると、図示しないチェーンホイールが下方に移動することにより図示しないチェーンの他端部に取り付けられた運転台31が下降する。マスト装置40は、昇降部30を昇降させる。
【0030】
電動モータ46の回転数nの絶対値の大きさに応じて、油圧ポンプ45の回転数の絶対値の大きさが変化する。油圧ポンプ45の回転数の絶対値の大きさに応じてタンク43から引き込まれつつリフトシリンダ42へ供給される作動油の量が変化する。また、油圧ポンプ45の回転数の絶対値の大きさに応じてリフトシリンダ42から引き込まれつつタンク43へ戻される作動油の量が変化する。電動モータ46の回転数nの絶対値が低下するほど、リフトシリンダ42の油圧が上昇又は低下しにくくなる。よって、電動モータ46の回転数nの絶対値が低下するほど、昇降部30の上昇速度V1又は下降速度V2が低下する。
【0031】
<荷役車両の電気的構成>
図3に示すように、荷役車両10は、揚高センサ91と、荷役レバーセンサ92と、障害物センサ93と、回転数センサ94と、第1駆動回路95と、第2駆動回路96と、を更に備えている。揚高センサ91は、運転台31の下面の揚高Hを検出する。荷役レバーセンサ92は、荷役レバー50の操作方向とその操作量を検出する。
【0032】
図2に示すように、障害物センサ93は、アウタマスト41aに取り付けられている。障害物センサ93は、地面から高さH1の位置に配置されている。障害物センサ93は、運転台31が所定の高さ以上のときに運転台31の下方に存在する障害物100を検知する。障害物センサ93は、運転台31の揚高Hが高さH1以上である場合に運転台31の下方に存在する障害物100を検知する。障害物センサ93は、昇降部30を下降させるときに障害物100を検知する。障害物センサ93は、超音波センサ、ドップラセンサ、光学式センサ等のセンサである。障害物センサ93は、当該障害物センサ93から対象範囲に音や光もしくは電波を放射することにより、障害物100からの反射を検出することにより障害物100を検知するものが適している。障害物センサ93は、障害物100を検知するときに運転台31及び地面が上記の対象範囲に含まれないようにアウタマスト41aに設けられている。なお、高さH1は、障害物センサ93により検知される障害物100の最小の高さよりも若干小さい値である。
【0033】
図3に示すように、回転数センサ94は、電動モータ46に設けられている。回転数センサ94は、電動モータ46の回転数nを検出する。第1駆動回路95は、電磁切替バルブ44における開位置44aと閉位置44bとを切り替える回路である。第2駆動回路96は、電動モータ46を駆動させる回路である。第2駆動回路96は、電動モータ46の回転数n及び回転方向を制御するための回路である。揚高センサ91、荷役レバーセンサ92、障害物センサ93、回転数センサ94、第1駆動回路95、及び第2駆動回路96は、制御装置60に電気的に接続されている。ディスプレイ81、ディスプレイ警告器82、及び作業者用警報器83は、制御装置60に電気的に接続されている。
【0034】
制御装置60は、CPUやGPU等のプロセッサ61と、RAM及びROM等からなる記憶部62と、を備えている。記憶部62は、処理をプロセッサ61に実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。記憶部62、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置60は、ASIC:Application Specific Integrated CircuitやFPGA:Field Programmable Gate Array等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置60は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0035】
制御装置60は、基本的に荷役レバーセンサ92の検出結果に基づき第1駆動回路95及び第2駆動回路96を駆動させる。制御装置60は、荷役レバーセンサ92により荷役レバー50が操作されている旨の検出結果を検出した場合、電磁切替バルブ44を開位置44aに切り替える指令S1onを第1駆動回路95に出力する。これにより、電磁切替バルブ44が開位置44aに切り替えられる。制御装置60は、荷役レバーセンサ92により荷役レバー50が操作されていない旨の検出結果を検出した場合、電磁切替バルブ44を閉位置44bに切り替える指令S1offを第1駆動回路95に出力する。これにより、電磁切替バルブ44が閉位置44bに切り替えられる。
【0036】
制御装置60は、荷役レバーセンサ92により検出された荷役レバー50の操作方向、及び荷役レバー50の操作量に応じて電動モータ46の回転数nにおける目標値n※を演算する。目標値n※の絶対値は、荷役レバー50の操作量により決まる。制御装置60は、電動モータ46の回転数nが目標値n※となるように指令S2を第2駆動回路96に出力する。そして、第2駆動回路96により電動モータ46の回転数nが目標値n※となる。制御装置60は、荷役レバー50の操作に応じてマスト装置40を制御する。
【0037】
<制御装置により実行される処理>
以下、制御装置60により実行される処理について説明する。なお、運転台31が上昇した状態において運転台31を下降させるときを前提として説明する。
【0038】
図4に示すように、制御装置60は、最初にステップS11の処理を実行する。制御装置60は、ステップS11の処理において、揚高Hが高さH1以上であるか否かを判定する。制御装置60は、ステップS11の処理において、揚高センサ91の検出結果を取得する。制御装置60は、ステップS11の処理において、揚高Hが高さH1以上でないと判定した場合(ステップS11:NO)には、処理を終了する。制御装置60は、ステップS11の処理において、揚高Hが高さH1以上であると判定した場合(ステップS11:YES)には、処理をステップS12へと進める。
【0039】
制御装置60は、ステップS12の処理において、障害物100が検知されたか否かを判定する。制御装置60は、ステップS12の処理において、障害物センサ93の検知結果を取得する。制御装置60は、ステップS12の処理において、障害物100が検知されていないと判定した場合(ステップS12:NO)には、処理を終了する。制御装置60は、ステップS12の処理において、障害物100が検知されたと判定した場合(ステップS12:YES)には、処理をステップS13へと進める。
【0040】
制御装置60は、ステップS13の処理において、下降速度制限処理を実行する。以下、ステップS13の処理を下降速度制限処理S13と記載する。下降速度制限処理S13は、障害物センサ93により障害物100が検知された場合に実行される処理である。制御装置60が下降速度制限処理S13を実行するとき、荷役レバー50が下降指示方向へ操作されている場合や、荷役レバー50が操作されていない場合、荷役レバー50が上昇指示方向へ操作されている場合もある。制御装置60は、荷役レバー50の下降指示方向への操作があり、障害物センサ93により障害物100が検知された場合に、下降速度制限処理S13を実行する。なお、荷役レバー50が下降指示方向に操作される時点は、ステップS12の処理の前後の任意の時点である。
【0041】
また、制御装置60は、荷役レバー50の操作がなく、障害物センサ93により障害物100が検知された場合であっても、下降速度制限処理S13を実行する。さらに、制御装置60は、荷役レバー50の上昇指示方向への操作があり、障害物センサ93により障害物100が検知された場合であっても、下降速度制限処理S13を実行する。なお、荷役レバー50が上昇指示方向に操作される時点は、ステップS12の処理の前後の任意の時点である。
【0042】
下降速度制限処理S13とは、荷役レバー50の下降指示方向への操作がある旨の検出結果が荷役レバーセンサ92から検出された場合に、目標値n※の絶対値と制限値Nthとを比較したうえで、いずれかの数値の絶対値を有する目標値n※を演算するモードを設定する処理である。制限値Nthは、記憶部62に予め記憶されている。制限値Nthは、一定値である。制限値Nthは、「0」より大きい。制限値Nthは、電動モータ46の回転数nの絶対値を示す値である。制限値Nthは、運転台31上に乗員が安定して搭乗できる昇降部30の下降速度V2となることを予め確認した値である。なお、荷役レバー50が操作されていない場合、及び荷役レバー50が上昇指示方向に操作されている場合、制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行する一方で、マスト装置40を荷役レバー50の操作方向及び操作量に応じて制御する。
【0043】
制御装置60は、下降速度制限処理S13において、荷役レバー50の下降指示方向への操作があるとき、目標値n※の絶対値が制限値Nthを上回る場合、目標値n※の絶対値を制限値Nthに置き換える。そして、制御装置60は、絶対値が制限値Nthに置き換えられた目標値n※を演算した後、当該目標値n※に応じた指令S2を第2駆動回路96に出力する。そして、第2駆動回路96により電動モータ46の回転数nの絶対値が制限値Nthとなる。つまり、制御装置60は、下降速度制限処理S13において、荷役レバー50の下降指示方向への操作があるときに目標値n※の絶対値が制限値Nthを上回る場合、荷役レバー50の操作量に基づく下降速度V2よりも低い下降速度V2となるようにマスト装置40を制御する。
【0044】
制御装置60は、下降速度制限処理S13において、荷役レバー50の下降指示方向への操作があるとき、目標値n※の絶対値が制限値Nth以下である場合、目標値n※の絶対値を制限値Nthに置き換えない。そして、制御装置60は、演算した目標値n※に応じた指令S2を第2駆動回路96に出力する。そして、第2駆動回路96により電動モータ46の回転数nが目標値n※となる。制御装置60は、下降速度制限処理S13において、荷役レバー50の下降指示方向への操作があるときに目標値n※の絶対値が制限値Nth以下となる場合、荷役レバー50の操作量に応じた下降速度V2となるようにマスト装置40を制御する。
【0045】
目標値n※の絶対値が制限値Nth以下であることは、運転台31上に乗員が安定して搭乗できる昇降部30の下降速度V2となることと同義である。下降速度制限処理S13は、昇降部30の下降速度V2を制限するようにマスト装置40を制御する処理である。「昇降部30の下降速度V2を制限する」とは、昇降部30の下降速度V2を、運転台31上に乗員が安定して搭乗できる大きさに制限することを意味している。制御装置60は、障害物センサ93により障害物100が検知された場合、昇降部30の下降速度V2を制限するようにマスト装置40を制御する。制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行した後、処理をステップS14へと進める。
【0046】
制御装置60は、ステップS14の処理において、障害物100がなくなったか否かを判定する。制御装置60は、ステップS14の処理において、障害物センサ93の検知結果を取得する。制御装置60は、ステップS14の処理において、障害物100がなくなっていないと判定した場合(ステップS14:NO)には、下降速度制限処理S13を継続する。制御装置60は、ステップS14の処理において、障害物100がなくなったと判定した場合(ステップS14:YES)には、処理をステップS15へと進める。
【0047】
制御装置60は、ステップS15の処理において、荷役レバー50の操作が停止しているか否かを判定する。制御装置60は、ステップS15の処理において、荷役レバーセンサ92の検出結果を取得する。制御装置60は、ステップS15の処理において、荷役レバー50の操作が停止していないと判定した場合(ステップS15:NO)には、下降速度制限処理S13を継続する。
【0048】
制御装置60は、ステップS15の処理において、荷役レバー50の操作が停止していると判定した場合(ステップS15:YES)には、処理をステップS16へと進める。なお、ステップS15の処理においてYESとなる場合とは、下降速度制限処理S13の実行前から荷役レバー50が下降指示方向に操作され続けた後に停止した場合や、下降速度制限処理S13の実行後に荷役レバー50が下降指示方向に操作され続けた後に停止した場合が想定される。また、ステップS15の処理においてYESとなる場合とは、下降速度制限処理S13の実行前から荷役レバー50が操作されていない場合が想定される。さらに、ステップS15の処理においてYESとなる場合とは、下降速度制限処理S13の実行前から荷役レバー50が上昇指示方向に操作され続けた後に停止した場合や、下降速度制限処理S13の実行後に荷役レバー50が上昇指示方向に操作され続けた後に停止した場合が想定される。
【0049】
制御装置60は、ステップS16の処理において、下降速度制限処理S13を解除する。制御装置60は、ステップS14の処理において障害物100がなくなったと判定され、且つステップS15の処理において荷役レバー50の操作が停止したと判定されるまで、下降速度制限処理S13を継続する。
【0050】
制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50が停止した状態でない限り、下降速度制限処理S13を実行し続ける。そして、制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50が停止した状態であれば、下降速度制限処理S13を解除する。
【0051】
下降速度制限処理S13の実行前から、又は下降速度制限処理S13の実行後に荷役レバー50が下降指示方向に操作され続けている状況を想定する。この状況において、制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50の下降指示方向への操作を停止しない限り、下降速度制限処理S13を実行し続ける。そして、この状況において、制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50の下降指示方向への操作を停止すると、下降速度制限処理S13を解除する。
【0052】
<下降速度制限処理を実行しているときの乗員へのアナウンス>
以下、下降速度制限処理S13を実行しているときの乗員へのアナウンスについて、制御装置60が実行する処理と合わせて説明する。なお、以下説明する制御装置60が実行する処理は、ステップS16により下降速度制限処理S13が解除された場合に終了する。
【0053】
図5に示すように、制御装置60は、下降速度制限処理S13が実行された時点でステップS21の処理を実行する。制御装置60は、ステップS21の処理において、ディスプレイ81に下降速度制限処理S13が実行されている旨の文字を表示する。ディスプレイ81は、下降速度制限処理S13が実行されている旨を乗員に報知する。つまり、ディスプレイ81は、障害物100の存在を乗員に報知する。制御装置60は、ステップS21の処理を実行した後、処理をステップS22へと進める。
【0054】
制御装置60は、ステップS22の処理において、荷役レバー50が操作されているか否かを判定する。制御装置60は、ステップS22の処理において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されているか否かを判定する。制御装置60は、ステップS22の処理において、荷役レバーセンサ92の検出結果を取得する。制御装置60は、ステップS22の処理において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されていないと判定した場合(ステップS22:NO)には、ディスプレイ81に下降速度制限処理S13が実行されている旨の文字を表示した状態で処理を終了する。制御装置60は、ステップS22の処理において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されていると判定した場合(ステップS22:YES)には、処理をステップS23へと進める。
【0055】
制御装置60は、ステップS23の処理において、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上であるか否かを判定する。制御装置60は、下降速度制限処理S13が実行された時点から電動モータ46の回転数nを積算している。制御装置60の記憶部62には、電動モータ46の回転数nの積算値と昇降部30の下降量Dとの関係を示すマップが記憶されている。制御装置60は、ステップS23の処理において、回転数nの積算値を上記マップに参照することにより昇降部30の下降量Dを演算する。制御装置60は、ステップS23の処理において、下降量Dが規定値Dth以上ではないと判定した場合(ステップS23:NO)には、処理をステップS24へと進める。制御装置60は、ステップS23の処理において、下降量Dが規定値Dth以上であると判定した場合(ステップS23:YES)には、処理をステップS25へと進める。なお、規定値Dthとは、高さH1よりも小さい数値である。
【0056】
制御装置60は、ステップS24の処理において、ディスプレイ警告器82を作動させる。制御装置60は、ステップS24の処理において、ディスプレイ警告器82から第1期間毎に音を発生させる。第1期間とは、例えば、2秒である。第1期間は、2秒に限らず適宜変更してもよい。ディスプレイ警告器82は、下降速度制限処理S13が実行されている旨を乗員に報知する。ディスプレイ警告器82は、障害物100の存在を乗員に報知する。ディスプレイ警告器82から第1期間毎に音を発生させる報知パターンを第1パターンとする。制御装置60は、ステップS24の処理を実行した後、再びステップS23の処理を実行する。
【0057】
制御装置60は、ステップS25の処理において、ディスプレイ警告器82を作動させるとともに作業者用警報器83を作動させる。制御装置60は、ステップS25の処理において、ディスプレイ警告器82から第2期間毎に音を発生させる。第2期間とは、例えば、1秒である。第2期間は、第1期間よりも短ければ適宜変更してもよい。ディスプレイ警告器82から第2期間毎に音を発生させる報知パターンを第2パターンとする。
【0058】
下降速度制限処理S13が実行されている状態において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されていない場合、ディスプレイ81が作動する一方でディスプレイ警告器82が作動しない。下降速度制限処理S13が実行されている状態において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されている場合、ディスプレイ81及びディスプレイ警告器82の双方が作動する。ディスプレイ81は、第1報知部である。ディスプレイ警告器82は、ディスプレイ81とは異なる手段で障害物100の存在を乗員に報知する第2報知部である。
【0059】
昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合、ディスプレイ警告器82が第1パターンで作動する。昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合、ディスプレイ警告器82が第2パターンで作動する。つまり、昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターン(第1パターン)と、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターン(第2パターン)とが異なる。
【0060】
制御装置60は、ステップS25の処理において、作業者用警報器83から音を発生させる。作業者用警報器83は、下降速度制限処理S13が実行されている旨を乗員及び荷役車両10の近くにいる作業者に報知する。作業者用警報器83は、障害物100の存在を荷役車両10の近くにいる作業者に報知する。制御装置60は、ステップS25の処理を実行した後、処理を終了する。制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行し続けている限り、乗員へのアナウンスに関する各ステップS21,S22,S23,S24,S25の処理を繰り返し実行する。
【0061】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)下降速度制限処理S13が実行されることにより、昇降部30の下降速度V2が制限されると、荷役レバー50の操作量に見合った昇降部30の下降速度V2とならない。このため、乗員に対して荷役レバー50の操作に違和感を与えることにより、乗員に障害物100を認識させやすくすることができる。
【0062】
(2)制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50の下降指示方向への操作を停止しない限り、下降速度制限処理S13を実行し続ける。そして、制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、荷役レバー50の下降指示方向への操作を停止すると、下降速度制限処理S13を解除する。このため、乗員が荷役レバー50を下降指示方向に操作しているときに障害物100が取り除かれた場合、下降速度制限処理S13が解除されない。つまり、乗員が荷役レバー50を下降指示方向に操作しているときに障害物100が取り除かれた場合であっても、昇降部30の下降速度V2が大きくなることがないため、乗員に加わる不意なショックを防止できる。
【0063】
(3)下降速度制限処理S13が実行されている状態において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されていない場合、ディスプレイ81が作動する一方でディスプレイ警告器82が作動しない。下降速度制限処理S13が実行されている状態において、荷役レバー50が下降指示方向に操作されている場合、ディスプレイ81及びディスプレイ警告器82の双方が作動する。このため、下降速度制限処理S13が実行されている状態において、運転台31の下方に障害物100が存在することをより明確に乗員に認識させやすくなる。特に、乗員が昇降部30を下降させる意思があるときには、ディスプレイ81に加え、ディスプレイ警告器82も作動するため、乗員に障害物100を認識させやすくすることができる。
【0064】
(4)昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンと、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンとが異なる。このため、下降速度制限処理S13が実行されている状態において運転台31が障害物100に近づいていることをより明確に乗員に認識させやすくなる。
【0065】
(5)音により障害物100の存在を乗員にアナウンスする場合、乗員が音に慣れてしまうと、乗員のアナウンスに対する意識が低下する。つまり、乗員に対する過剰なアナウンスは、アナウンスの効果を低下させる。
【0066】
本実施形態では、下降速度制限処理S13が実行されている状態において、昇降部30を下降させるように荷役レバー50が操作されていない場合、ディスプレイ81が作動する一方でディスプレイ警告器82が作動しない。このため、乗員に対する過剰なアナウンスを抑制しつつ、乗員のアナウンスに対する意識を保ちやすくなる。
【0067】
(6)昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合、作業者用警報器83が作動することにより、荷役車両10の近くにいる作業者に対しても障害物100の存在を報知できる。よって、ディスプレイ81及びディスプレイ警告器82に対する乗員の意識が低い状態であっても、荷役車両10の近くの作業者から乗員に対する注意喚起を促すことができる。
【0068】
また、昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合、作業者用警報器83が作動しない。よって、荷役車両10の近くにいる作業者に対する過剰なアナウンスを抑制しつつ、作業者のアナウンスに対する意識を保ちやすくなる。
【0069】
(7)下降速度制限処理S13により、昇降部30の下降速度V2が、運転台31上に乗員が安定して搭乗できる大きさに制限される。このため、運転台31が障害物100に接触する可能性を低減することができる。
【0070】
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0071】
○ ディスプレイ警告器82に代替して、振動を発生させる振動器を第2報知部として採用してもよい。ディスプレイ81に代替して、上記振動器を第1報知部として採用してもよい。振動器は、荷役車両10に備えられたアクセルレバーや操舵ハンドルに設けられているとよい。振動器の振動により乗員に障害物100の存在を報知してもよい。
【0072】
○ 昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合、ディスプレイ警告器82は第2パターンで作動し、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合、ディスプレイ警告器82は第1パターンで作動してもよい。要するに、昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンと、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンとが異なっていればよい。なお、昇降部30の下降量Dが規定値Dth未満である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンと、昇降部30の下降量Dが規定値Dth以上である場合におけるディスプレイ警告器82の報知パターンとが同じであってもよい。
【0073】
○ 制御装置60は、電動モータ46の回転数nの積算値に基づき昇降部30の下降量Dを演算していたが、これに限らない。例えば、荷役車両10は、運転台31の移動量を検出するエンコーダを備えていてもよい。当該エンコーダにより下降速度制限処理S13が実行された時点からの運転台31の下降量Dを算出し、且つ制御装置60は、当該エンコーダから下降量Dを取得してもよい。なお、昇降部30の下降量Dの演算手法は、適宜変更してもよい。
【0074】
○ 例えば、第1報知部としてディスプレイ警告器82が採用され、第2報知部としてディスプレイ81が採用されてもよい。このように変更する場合、制御装置60は、ステップS21の処理において、ディスプレイ警告器82を作動させる。そして、制御装置60は、ステップS24及びステップS25の処理において、ディスプレイ81を作動させる。
【0075】
○ ディスプレイ警告器82及び上記振動器を第2報知部として採用してもよい。また、ディスプレイ81及び上記振動器を第1報知部として採用してもよい。第1報知部による報知手段と、第2報知部による報知手段とが異なるのであれば、第1報知部及び第2報知部には、あらゆる構成が含まれていてもよい。
【0076】
○ 下降速度制限処理S13が実行されている状態において、荷役レバー50の操作の有無によらずに第1報知部及び第2報知部の双方が作動してもよい。
○ 制御装置60は、ステップS15及びステップS22の処理において、荷役レバーセンサ92の検出結果に基づいて荷役レバー50の操作の有無を判定していたが、これに限らない。例えば、荷役車両10は、運転台31の移動を検知するセンサを備えていてもよい。制御装置60は、当該センサの検出結果に基づき荷役レバー50の操作の有無を判定してもよい。なお、荷役レバー50の操作の有無を判定する手法は、適宜変更してもよい。
【0077】
○ 制御装置60は、荷役レバー50の操作がなく、障害物センサ93により障害物100が検知された場合、下降速度制限処理S13を実行しなくてもよい。制御装置60は、荷役レバー50の上昇指示方向への操作があり、障害物センサ93により障害物100が検知された場合、下降速度制限処理S13を実行しなくてもよい。制御装置60は、荷役レバー50の下降指示方向への操作があり、障害物センサ93により障害物100が検知された場合に、下降速度制限処理S13を実行できればよい。
【0078】
○ 制御装置60は、下降速度制限処理S13を実行している最中に障害物センサ93により障害物100が検知されている状態から検知されない状態となった場合、下降速度制限処理S13を解除してもよい。すなわち、制御装置60が実行する処理のうちステップS15の処理を省略してもよい。
【0079】
○ 制限値Nthは、昇降部30の下降量Dが大きくなるほど小さくなる数値であってもよい。要するに、下降量Dが大きくなるほど、昇降部30の下降速度V2が低下するようにしてもよい。このように変更する場合、下降量Dと制限値Nthとの相関をまとめたマップを記憶部62に記憶しておくとよい。そして、演算された下降量Dを当該マップに参照することにより制限値Nthを演算するとよい。
【0080】
○ 電動モータ46の回転数nを制限することにより、昇降部30の下降速度V2を制限していたが、これに限らない。例えば、電磁切替バルブ44を作動油の流量を調整可能なオイルコントールバルブに変更する。そして、荷役レバー50が下降指示方向に操作されたとき、制御装置60がオイルコントロールバルブを制御することにより、リフトシリンダ42に充填された作動油をタンク43に向けて流れにくくするとよい。このように変更することにより、リフトシリンダ42の油圧が低下しにくくなるため、昇降部30の下降速度V2が制限される。なお、本変更例を採用する場合、油路49は、タンク43からオイルコントロールバルブに向けて作動油を供給するための供給油路と、オイルコントールバルブからタンク43に向けて作動油を戻すための返送油路と、を有している。油圧ポンプ45は、供給油路に設けられているとよい。そして、油圧ポンプ45は、タンク43から作動油を引き込むために使用されるため、一方の方向にのみ回転するポンプに変更してもよい。油圧ポンプ45を一方の方向にのみ回転するポンプに変更する場合、電動モータ46も一方の方向に回転するモータに変更してもよい。
【0081】
○ 障害物センサ93は、アウタマスト41a以外の構成に取り付けられていてもよい。障害物センサ93の取付位置は、運転台31の下方に位置する障害物100を検知できれば適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…荷役車両、30…昇降部、31…運転台、32…フォーク、40…マスト装置、50…荷役レバー、60…制御装置、81…第1報知部としてのディスプレイ、82…第2報知部としてのディスプレイ警告器、93…障害物センサ、100…障害物、V2…昇降部の下降速度、S13…下降速度制限処理、D…昇降部の下降量、Dth…規定値。