(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048840
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】レバーハンドル
(51)【国際特許分類】
E05B 7/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
E05B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154964
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】三宗 知之
(72)【発明者】
【氏名】平野 尉仁
(72)【発明者】
【氏名】大西 広朗
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 和也
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
(57)【要約】
【課題】開き戸等の扉を開閉する際に手からの力を掛け易くでき、より簡単に扉を開閉できるレバーハンドルを提供する。
【解決手段】
本願に開示するレバーハンドルは、取手10と、支持部20とを具備する。取手10は、扉1の表面1aに沿って延びている。支持部20は、扉1の表面1aに沿う方向であって、取手が延びる方向と交差する方向に配される中心軸I2の周りに回動可能に、取手10を扉1に支持する。本願に開示するレバーハンドルによれば、開き戸等の扉を開閉する際に手からの力を掛け易くでき、より簡単に扉を開閉できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の表面に沿って延びている取手と、
前記扉の表面に沿う方向であって、前記取手が延びる方向と交差する方向に配される中心軸の周りに回動可能に、前記取手を前記扉に支持する支持部
とを具備する、レバーハンドル。
【請求項2】
前記中心軸周りの前記取手の回動に対する抗力を発生するダンパーを更に具備する、請求項1に記載のレバーハンドル。
【請求項3】
前記取手は、前記扉の表面に沿う方向に配されている初期状態と、回動先端が前記扉の表面から離れる方向に、最大限度まで回動されている最終状態との間で回動可能に、前記支持部によって支持され、
前記取手が前記初期状態から前記最終状態に向かって回動を開始する際に、前記取手に掛かる回動方向の力が所定の閾値に達するまで前記取手を前記初期状態に保持する保持手段を更に具備する、請求項1又は請求項2に記載のレバーハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーハンドルに関し、特に、開き戸等の扉を開閉するレバーハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸等の扉を開閉するレバーハンドルに関し、特許文献1には、ラッチボルトと連結されているレバーハンドルが記載されている。特許文献1に記載のレバーハンドルによれば、例えば下向きに取手を回した後、取手を手前に引くことによって扉を開けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレバーハンドルにおいては、
図12(a)、及び
図12(b)に示すように、扉100を開ける初期の段階では取手101を容易に把持できても、
図12(c)に示すように、人が部屋に出入りしようとする最終の段階まで取手101を把持することは、手首の可動域が限られるために困難である。従って、扉100が金属製の重い扉の場合には、扉100と扉枠102との間の開口に体を滑り込ませるように、扉100を開ける途中で勢いを付けて扉100を余分に開いたり、扉100の反対面に手を当てて扉100を支えたりする等の操作が必要となり、力の弱いお年寄りや女性等は、扉を開け閉めするのに困難を覚えることも多い。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開き戸等の扉を開閉する際に手からの力を掛け易くでき、より簡単に扉を開閉できるレバーハンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するレバーハンドルは、取手と、支持部とを具備する。前記取手は、扉の表面に沿って延びている。前記支持部は、前記扉の表面に沿う方向であって、前記取手が延びる方向と交差する方向に配される中心軸の周りに回動可能に、前記取手を前記扉に支持する。
【0007】
また、本願に開示するレバーハンドルは、ダンパーを更に具備する。前記ダンパーは、前記中心軸周りの前記取手の回動に対する抗力を発生する。
【0008】
本願に開示するレバーハンドルにおいて、前記取手は、初期状態と最終状態との間で回動可能に、前記支持部によって支持される。前記初期状態は、前記取手が前記扉の表面に沿う方向に配されている状態である。前記最終状態は、前記取手の回動先端が前記扉の表面から離れる方向に、最大限度まで前記取手が回動されている状態である。そして、本願に開示するレバーハンドルは、保持手段を更に具備する。前記保持手段は、前記取手が前記初期状態から前記最終状態に向かって回動を開始する際に、前記取手に掛かる回動方向の力が所定の閾値に達するまで前記取手を前記初期状態に保持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るレバーハンドルによれば、開き戸等の扉を開閉する際に手からの力を掛け易くでき、より簡単に扉を開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す、上方から見た外観図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す断面図である。
【
図5】(a)実施形態の当接部材を示す正面図である。(b)実施形態の当接部材を示す上面図である。(c)実施形態の当接部材を示す側面図である。(d)実施形態の当接部材を示す断面図である。
【
図6】(a)実施形態の抗力調節部材を示す正面図である。(b)実施形態の抗力調節部材を示す上面図である。(c)実施形態の抗力調節部材を示す側面図である。
【
図7】実施形態のダンパーの作動状態を示す、上方からレバーハンドルを見た断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す上面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す下面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す側面図である。
【
図11】(a)実施形態のレバーハンドルによって扉を開ける直前の状態を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。(b)実施形態のレバーハンドルによって扉を開けている途中の状態を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。(c)実施形態のレバーハンドルによって扉を開ける最終段階を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。
【
図12】(a)従来のレバーハンドルによって扉を開ける直前の状態を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。(b)従来のレバーハンドルによって扉を開けている途中の状態を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。(c)従来のレバーハンドルによって扉を開ける最終段階を示す、上方からレバーハンドルを見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
〈実施形態〉
以下に、
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す、上方から見た外観図である。
図2は、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す断面図である。
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。
【0013】
図1、
図2に示すように、実施形態に係るレバーハンドルは、開き戸である扉1に設置されるものであり、ラッチボルト2と連結され、取手10と、取手10を扉1に支持する支持部20と、ダンパー30と、当接部材40と、当接スプリング50と、抗力調節部材60と、最大角度調節ネジ70とを具備する。
【0014】
取手10は、扉1の表面1aに沿って延びており、扉1の表面1aと直交する回動軸I1の周りに回動可能となっている。取手10が、回動軸I1の周りに例えば下方向に回動されることによって、ラッチボルト2と扉枠3との係合が解除される。ラッチボルト2と扉枠3との係合が解除された状態で操作者が取手10を手前に引くことによって、扉1が開けられる。
【0015】
支持部20は、
図1に示すように、中心軸I2の周りに回動可能に、取手10を扉1に支持する。中心軸I2は、扉1の表面1aに沿う方向であって、取手10が延びる方向と交差する方向に配される。実施形態においては、取手10は、長手方向の一端部において中心軸I2によって軸支される。中心軸I2が配される方向は、実施形態においては、扉1の表面1aと平行、且つ取手10が延びる方向と直交する方向(
図1の紙面に対し垂直な方向)である。
【0016】
また、支持部20は、
図2に示すように、基部21と、首部22とを有し、初期状態と最終状態との間で回動可能に、取手10を扉1に支持する。初期状態は、取手10が扉1の表面1aに沿う方向に配されている状態である。最終状態は、取手10の回動先端が扉1の表面1aから離れる方向に、最大限度まで回動されている状態である。
【0017】
支持部20の基部21は、天面と底面とを有する円柱状であり、底面が扉1と接しており、ラッチボルト軸孔21a、及び軸止ネジ孔21bを有する。ラッチボルト軸孔21aは、ラッチボルト2の駆動軸が嵌合される。軸止ネジ孔21bは、ラッチボルト2の駆動軸を固定するための止めネジが螺合される。
【0018】
支持部20の首部22は、基部21の天面に突設され、中心軸I2を支持するとともに、長孔23、及びスプリング室25を有する。長孔23は、中心軸I2を中心とする円弧状であり、取手10に固定されるストッパ軸24が遊挿される。スプリング室25は、回動復帰スプリング12を収容する。回動復帰スプリング12は、ストッパ軸24と係合され、中心軸I2周りに取手10を初期状態に向かって付勢する。
【0019】
図2、
図3に示すように、実施形態においては、取手10は、丸棒状であり、内部に、ダンパー30の収納室11を有している。収納室11は、取手10の長手方向に延びており、中心軸I2に向かう側の一端が開口している。
【0020】
また、収納室11は、ダンパー30の外に、当接部材40と、当接スプリング50とを収納する。当接部材40は、収納室11の一端開口を介し出入可能に収納室に挿入される。なお、実施形態の取手10、及び支持部20は、各々、取手10、及び支持部20を縦横に分割した分割体を組み合わせて形成されるが、各分割体の図示は省略する。
【0021】
次に、
図4を参照して、ダンパー30を説明する。
図4は、実施形態のダンパーを示す正面図である。
【0022】
図4に示すように、ダンパー30は、実施形態においては、ソフトアブソーバであり、円柱状の本体31と、ピストンロッド32とを有し、中心軸I2周りの取手10の回動に対する抗力を発生する。
【0023】
ダンパー30の本体31は、内部にインナーチューブとアウターチューブとがあり、インナーチューブの内部はオイルが注入される圧力室とされる。アウターチューブとインナーチューブとの隙間の空間には、アキュムレータが配され、アキュムレータが配される空間と圧力室とはオリフィスを介し連通される。圧力室には、ピストンが嵌挿されるとともに、ピストンを初期位置に復帰するための図示しないスプリングが収容される。また、ピストンロッド32の先端には、樹脂製のキャップ33が取付けられる。
【0024】
次に、
図5を参照して、当接部材40を説明する。
図5(a)は、実施形態の当接部材を示す正面図である。
図5(b)は、実施形態の当接部材を示す上面図である。
図5(c)は、実施形態の当接部材を示す側面図である。
図5(d)は、実施形態の当接部材を示す断面図である。
【0025】
図5(a)~(d)に示すように、当接部材40は、実施形態においては、本体41、当接突部42、嵌合凹部43、及び二対のガイド突起44を有する。
【0026】
当接部材40の本体41は、四角柱状であり、軸方向の一端面に当接突部42が突設される。
【0027】
当接突部42は、
図5(b)に示すように、本体41の一側端から対向側端まで延びており、
図5(d)に示すように、突出先端が丸い、一様な横断面形状を有し、後で詳しく説明するように、抗力調節部材60の当接凹部63と嵌合する。
【0028】
当接部材40の嵌合凹部43は、本体41の軸方向の他端面に凹設されており、ダンパー30のキャップ33が嵌挿される。
【0029】
当接部材40の二対のガイド突起44は、
図2に示すように、ガイド溝10aに遊嵌され、当接部材40の移動をガイドする。ガイド溝10aは、取手10の長手方向に延びるように、取手10に設けられている。
【0030】
当接スプリング50は、圧縮された状態で収納室11に収納され、当接部材40を支持部20に向かって付勢する。当接スプリング50が、当接部材40を支持部20に向かって付勢することによって、一定の大きさ以上の力が取手10に加えられない限り、当接部材40の当接突部42と、抗力調節部材60の当接凹部63とが嵌合している嵌合状態が保持され、中心軸I2周りの取手10の回動が阻止される。
【0031】
次に、
図6、
図7を参照して、抗力調節部材60を説明する。
図6(a)は、実施形態の抗力調節部材を示す正面図である。
図6(b)は、実施形態の抗力調節部材を示す上面図である。
図6(c)は、実施形態の抗力調節部材を示す側面図である。
図7は、実施形態のダンパーの作動状態を示す、上方からレバーハンドルを見た断面図である。
【0032】
図6に示すように、抗力調節部材60は、実施形態においては、本体61と、摺接面62と、当接凹部63とを有する。
【0033】
抗力調節部材60の本体61は、長手方向の一端から他端に向かって厚みが増大していく金属板材を厚み方向に弓状に湾曲した湾曲形状を有し、湾曲外側面に摺接面62が形成され、湾曲内側面に取付部61aと複数の嵌合突起61cとが突設される。取付部61aは、略三角形の厚板状であり、厚み方向に貫通するようにネジ孔61bが形成される。ネジ孔61bは、抗力調節部材60を支持部20に固定するための図示しない止めネジと螺合する。また、嵌合突起61cは、支持部20に設けられている嵌合孔と嵌合し、抗力調節部材60を支持部20に固定する。
【0034】
図6、
図7に示すように、抗力調節部材60の摺接面62は、湾曲面であり、取手10が中心軸I2の周りに回動するとき、当接部材40の当接突部42と摺接する。摺接面62の湾曲形状は、中心軸I2の周りに取手10が初期状態から最終状態に向かって回動するとき、当接部材40が、収納室11の内部に徐々に押し込まれ、中心軸I2から離れていく形状に設定される。
【0035】
換言すれば、取手10の初期状態からの回動角度が大きくなればなるほど、当接突部42と摺接している摺接面62上の摺接部分と、中心軸I2との距離が大きくなるように、摺接面62の湾曲形状は設定される。従って、ダンパー30は、中心軸I2から離れる方向の当接部材40の移動を制動することによって、中心軸I2周りの取手10の回動に対する抗力を発生する。
【0036】
また、取手10の初期状態からの回動角度の増大に対し、摺接面62上の摺接部分と中心軸I2との距離が増大する割合は、取手10の初期状態からの回動角度が大きくなるほどに小さくなる。その結果、当接突部42と当接凹部63との嵌合状態が解除された後は、取手10の回動角度の増大量に対する当接部材40の移動量は、当接突部42と当接凹部63との嵌合状態が解除された直後において最大である。
【0037】
図7に示すように、抗力調節部材60の当接凹部63は、取手10の初期状態において当接部材40の当接突部42と嵌合される。上述したとおり、一定の大きさ以上の力が取手10に加えられない限り、当接スプリング50の付勢力によって、当接部材40の当接突部42と、抗力調節部材60の当接凹部63との嵌合状態は保持される。従って、当接凹部63と当接突部42とは、取手10に掛かる回動方向の力が所定の閾値に達するまで取手10の回動を阻止する保持手段として機能する。
【0038】
最大角度調節ネジ70は、
図2に示すように、支持部20に設けられた調節ネジ孔26と螺合され、先端がストッパ軸24と当接する位置でスプリング室25の内部において進退される。最大角度調節ネジ70が、スプリング室25の内部において進退されることによって、最大角度調節ネジ70の先端の位置が調整され、取手10が中心軸I2の周りに回動される最大の回動角度が調節され、取手10が最終状態であるときの初期状態からの回動角度が設定される。
【0039】
次に、
図8、
図9、
図10を参照して、実施形態のレバーハンドルの外観について更に説明する。
図8は、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す上面図である。
図9は、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す下面図である。
図10は、本発明の実施形態に係るレバーハンドルを示す側面図である。
【0040】
図8は、扉1の表面1aと垂直な方向からレバーハンドルを見た状態を示しており、レバーハンドルが操作されない通常時には、実線で示すように、取手10は、水平である。また、扉1を開けるためにレバーハンドルが操作される操作時においては、仮想線で示すように、取手10は、例えば下向きに回動される。
図9は、
図8の反対側からレバーハンドルを見た状態を示し、
図10は、扉1の表面1aと平行、且つ扉1の戸先側からレバーハンドルを見た状態を示す。
【0041】
以上、
図1から
図10を参照して説明したように、実施形態のレバーハンドルによれば、扉1を開けるように取手10を手前に引く操作をするとき、取手10が中心軸I2の周りに回動することによって、
図11(c)に示すように、手首に負担を掛けることなく建物や部屋に出入りする最終段階まで取手10を把持していることができる。従って、扉1を開閉する際に手からの力がレバーハンドルに掛け易くなり、より簡単に扉を開閉できる。
【0042】
また、
図1から
図10を参照して説明したように、実施形態のレバーハンドルによれば、ダンパー30が、中心軸I2周りの取手10の回動に対する抗力を発生する。従って、扉1を開けるように取手10を手前に引いたときに、取手10が抵抗なく回動してしまうことを防止でき、更により簡単に扉を開閉できる。また、ダンパー30は、特性として、大きな力に対しては大きな抗力を発生し、小さな力に対しては小さな抗力を発生する。従って、レバーハンドルを強く引いても、急激に取手10が回動することがなく、取手10が中心軸I2の周りに回動することを知らない人でも違和感なく、扉1を開けることができる。
【0043】
また、
図1から
図10を参照して説明したように、実施形態のレバーハンドルによれば、取手10が初期状態と最終状態との間で回動可能に支持部20によって支持されており、取手10が初期状態から最終状態に向かって回動を開始する際に、当接突部42と当接凹部63とが、保持手段として、取手10に掛かる回動方向の力が所定の閾値に達するまで取手10を初期状態に保持する。
【0044】
従って、
図11(a)、
図11(b)に示すように、扉1が開かれる初期の段階においては、扉1を開くように人が力を掛ける方向X1と、取手10が回動する方向X2とが一致せず、方向X2の力のベクトル成分が小さくなり、取手10に掛かる回動方向の力が所定の閾値に達し難くなって、取手10が初期状態のままで扉1を開くことができる。
【0045】
また、
図11(b)、
図11(c)に示すように、扉1がある程度の角度まで開けられると、人が開口に入ろうと体を移動することによって、方向X1と方向X2とが近くなり、方向X2の力のベクトル成分が大きくなり、取手10に掛かる回動方向の力が所定の閾値を超えやすくなり、当接突部42と当接凹部63との係合が解除され、取手10が回動を開始する。
【0046】
以上の結果、扉1がある程度の角度に開けられるまでは、取手10は中心軸I2の周りに回動しないこととなり、取手10が中心軸I2の周りに回動することを知らない人でも違和感なく、扉1を開けることができる。そして、扉1がある程度の角度まで開けられた後は、開口に体を入れるように人が移動したときに取手10が回動を開始するために、手首に無理なく扉1を保持することができ、更により簡単に扉を開閉できる。
【0047】
また、
図1から
図10を参照して説明したように、実施形態のレバーハンドルによれば、抗力調節部材60の摺接面62の形状が、当接突部42と当接凹部63との嵌合状態が解除された直後において、取手10の回動角度の増大量に対する当接部材40の移動量が最大となるように設定される。従って、ダンパー30が発生する抗力も、当接突部42と当接凹部63との嵌合状態が解除された後は、当接突部42と当接凹部63との嵌合状態が解除された直後において最大となり、取手10が回動し始めたときの回動速度を抑えることができ、取手10が中心軸I2の周りに回動することを知らない人でも違和感なく、扉1を開けることができる。
【0048】
以上、図面(
図1~
図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…取手
1…扉
1a…表面
I2…中心軸
20…支持部
30…ダンパー
40…当接部材
42…当接突部(保持手段)
60…抗力調節部材
62…摺接面
63…当接凹部(保持手段)