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特開2024-48845割付データ作成装置、割付データ作成方法、及びレーザ切断加工方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048845
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】割付データ作成装置、割付データ作成方法、及びレーザ切断加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20240402BHJP
【FI】
B23K26/38 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154970
(22)【出願日】2022-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】柏原 昌信
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】スバイア シバクマル
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168GA02
4E168GA06
4E168KA18
(57)【要約】
【課題】外形線上にノッチ部を有する製品の加工において、加工後に製品を搬出する製品搬出装置との干渉を抑制する。
【解決手段】割付データ作成装置21は、レーザ切断加工を行う加工機50が材料200から製品100を切断する切断経路を割り付ける割付処理部21cを有する。割付処理部21cは、製品100の外形線110上にノッチ部111が含まれる場合に、ノッチ部111を外形線151に含む穴領域150を接続するためのジョイント170を、製品100及び残材210の一方に対して設定し、ジョイント170に応じて穴領域150の外形線151の一部が切り残されるように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに切断経路を割り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の形状を含む製品データに基づいて、レーザ切断加工を行う加工機が材料から前記製品を切断する切断経路を割り付ける割付処理部を有し、
前記割付処理部は、
前記製品の外形線上にノッチ部が含まれる場合に、前記ノッチ部を外形線に含む穴領域を接続するためのジョイントを、前記製品及び残材の一方に対して設定し、
前記ジョイントに応じて前記穴領域の外形線の一部が切り残されるように、前記穴領域の外形線と、前記ノッチ部を除く前記製品の外形線とに切断経路を割り付ける
割付データ作成装置。
【請求項2】
前記割付処理部は、
前記ジョイントに応じて前記穴領域の外形線の一部が切り残されるように、前記穴領域の外形線に第1切断経路を割り付け、
前記ノッチ部を除く前記製品の外形線に、前記第1切断経路とは異なる第2切断経路を割り付ける
請求項1記載の割付データ作成装置。
【請求項3】
前記割付処理部は、
前記材料から切り離された前記製品を吸着して搬送する搬出アームの割り付けをさらに行い、
前記製品に対して前記ジョイントを設定した場合には、前記製品及び前記穴領域の両方を吸着対象として、前記搬出アームの割り付けを行う
請求項1記載の割付データ作成装置。
【請求項4】
前記割付処理部は、
前記材料から切り離された前記製品を吸着して搬送する搬出アームの割り付けをさらに行い、
前記残材に対して前記ジョイントを設定した場合、前記製品のみを吸着対象として、前記搬出アームの割り付けを行う
請求項1記載の割付データ作成装置。
【請求項5】
前記製品データに基づいて、前記製品の形状を認識する認識部をさらに有し、
前記割付処理部は、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記製品の外形線上に前記ノッチ部が含まれると判断する
請求項1から4いずれか一項記載の割付データ作成装置。
【請求項6】
コンピュータが、
製品の形状を含む製品データに基づいて、レーザ切断加工を行う加工機が材料から前記製品を切断する切断経路を割り付ける割付処理を行い、
前記割付処理は、
前記製品の外形線上にノッチ部が含まれる場合に、前記ノッチ部を外形線に含む穴領域を接続するためのジョイントを、前記製品及び残材の一方に対して設定し、
前記ジョイントに応じて前記穴領域の外形線の一部が切り残されるように、前記穴領域の外形線と、前記ノッチ部を除く前記製品の外形線とに切断経路を割り付ける、ことを含む
割付データ作成方法。
【請求項7】
レーザ切断加工を行う加工機が、外形線上にノッチ部を有する製品を材料から切断する切断工程と、
製品搬出装置が、前記材料から切断された前記製品を搬出する搬出工程と、を含み、
前記切断工程は、
前記ノッチ部を外形線に含む穴領域の切断を含み、前記製品及び残材の一方に対して前記穴領域が接続するように、前記穴領域の外形線の一部を切り残す、ことを含む
レーザ切断加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割付データ作成装置、割付データ作成方法、及びレーザ切断加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加工ヘッドから照射されるレーザビームを用いてレーザ切断加工を行う加工機を備えた加工システムが開示されている。加工機は、製品の外形線に割り付けられた切断経路に沿ってレーザビームを照射することで、材料から製品を切り出すことができる。
【0003】
特許文献2では、レーザ切断加工において、製品や切りかすが立ち上がることで、加工ヘッドと干渉することが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-192465号公報
【特許文献2】特開2015-044231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外形線上にノッチ部を有する製品の加工においては、製品搬出装置によって製品を搬出する際に、製品のノッチ部と残材とが干渉することで、製品の搬出に失敗することがある。このため、ノッチ部の内側の領域、すなわち、ノッチ部を外形線に含むような穴領域をスクラップとして切り落とす手法が採られる。しかしながら、材料から切り離されたスクラップが立ち上がってしまうリスクがあり、製品搬出装置の搬出アームとの干渉という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の曲げ加工機は、製品の形状を含む製品データに基づいて、レーザ切断加工を行う加工機が材料から製品を切断する切断経路を割り付ける割付処理部を有し、割付処理部は、製品の外形線上にノッチ部が含まれる場合に、ノッチ部を外形線に含む穴領域を接続するためのジョイントを、製品及び残材の一方に対して設定し、ジョイントに応じて穴領域の外形線の一部が切り残されるように、穴領域の外形線と、ノッチ部を除く製品の外形線とに切断経路を割り付ける。
【0007】
本発明の一態様によれば、穴領域がジョイントによって接続されているので、穴領域の立ち上がりを規制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ノッチ部を有する製品を加工する際に、製品搬出装置との干渉を抑制することができる。これにより、製品の搬出率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る割付データ作成装置を含む全体システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、切断経路を割り付ける製品の形状を説明する図である。
図3A図3Aは、ジョイントを説明する図である。
図3B図3Bは、ジョイントを説明する図である。
図4A図4Aは、操作画面の一例を示す図である。
図4B図4Bは、操作画面の一例を示す図である。
図5図5は、切断経路の自動割付処理の流れを示すフローチャートである。
図6A図6Aは、製品側に設定されたジョイントを模式的に示す図である。
図6B図6Bは、残材側に設定されたジョイントを模式的に示す図である。
図7図7は、切断経路を模式的に示す図である。
図8図8は、切断経路を模式的に示す図である。
図9図9は、操作画面の一例を示す図である。
図10図10は、ノッチ部を穴領域とした割り付け状態を説明する図である。
図11図11は、製品側にジョイントを設定した状態を示す図である。
図12図12は、搬出アームの割付処理の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、製品とアームとを吸着対象とする割付概念を示す説明図である。
図14図14は、製品のみを吸着対象とする割付概念を示す説明図である。
図15A図15Aは、割り付けられた切断経路の一例を説明する図である。
図15B図15Bは、割り付けられた切断経路の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る割付データ作成装置を含む全体システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る割付データ作成装置21は、製品100の形状を含む製品データに基づいて、レーザ切断加工を行う加工機50が材料200から製品100を切断する切断経路を割り付ける割付処理部21cを有し、割付処理部21cは、製品100の外形線110上にノッチ部111が含まれる場合に、ノッチ部111を外形線151に含む穴領域150を接続するためのジョイント170を、製品100及び残材210の一方に対して設定し、ジョイント170に応じて穴領域150の外形線151の一部が切り残されるように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに切断経路を割り付ける。
【0011】
以下、全体システムについて説明する。全体システムは、CAD(Computer Aided Design)10、CAM(Computer Aided Manufacturing)20、制御装置30、及び加工システム40を主体に構成されている。
【0012】
CAD10は、CADの機能を搭載するコンピュータである。CAD10は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、CAD10が備える種々の機能が実現される。
【0013】
CAD10は、コンピュータプログラムを実行させることによって、製品データ作成装置11として機能する。製品データ作成装置11は、材料から切断する製品に関する製品データを作成する。製品データには、製品の形状(図形)、大きさ、及び重量などの情報が含まれている。製品データ作成装置11によって作成された製品データは、CAM20に入力される。
【0014】
CAM20は、CAMの機能を搭載するコンピュータである。CAM20は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、CAM20が備える種々の機能が実現される。
【0015】
CAM20は、コンピュータプログラムを実行することにより、割付データ作成装置21として機能する。割付データ作成装置21は、加工システム40を制御する制御装置30によって用いられるデータを作成する。割付データ作成装置21には、割付データ作成装置21に対して情報を入力するための入力装置22、及び割付データ作成装置21によって作成された情報を表示するための表示装置23が接続されている。
【0016】
割付データ作成装置21には、製品データ作成装置11で作成された製品データが入力される。割付データ作成装置21には、入力装置22から、材料200の大きさ、板厚、材質などを含む材料データなどが入力される。割付データ作成装置21には、加工システム40の情報を含む装置データが入力される。装置データは、加工システム40から取得してもよいし、加工システム40の情報を保有する外部の装置から取得してもよい。
【0017】
割付データ作成装置21は、割付データを作成する。割付データは、製品(すなわち、製品の形状を示す図形)に対してレーザビームの切断経路を割り付けたデータである。また、割付データは、製品に対して、搬出アーム61を割り付けたデータでもある。割付データ作成装置21は、割付データに基づいて加工プログラムを作成する。加工プログラムは、制御装置30が加工システム40を制御する機械制御コードによって構成される。
【0018】
割付データ作成装置21によって作成された加工プログラムは、制御装置30に転送される。なお、割付データ作成装置21は、作成した加工プログラムを、図示しないデータ管理サーバ内のデータベースに格納してもよい。この場合、制御装置30は、データ管理サーバのデータベースに格納された加工プログラムを読み出してもよい。
【0019】
本実施形態との関係において、割付データ作成装置21は、取得部21aと、認識部21bと、割付処理部21cと、を備えている。取得部21aは、製品データなどを取得する。認識部21bは、製品データに基づいて、製品の形状を認識する。割付処理部21cは、製品データに基づいて、割付データを作成する。
【0020】
制御装置30は、加工プログラムに基づいて加工システム40を制御する装置であり、例えばNC装置(数値制御(Numerical Control)装置)などを含んでいる。制御装置30は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置30が備える種々の機能が実現される。
【0021】
例えば、制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料から製品を切り出すように加工機50を制御する。加工機50が材料から製品を切り出すことで、製品が作製される。また、制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料から切り出された製品を搬出するように製品搬出装置60を制御する。製品搬出装置60が製品100を搬出することで、製品100の搬出、及び集積パレット(図示せず)への製品の集積が行われる。
【0022】
加工システム40は、加工機50と、製品搬出装置60とを備えている。
【0023】
加工機50は、パンチ加工部51と、レーザ加工部52とを備えている。パンチ加工部51は、パンチとダイとからなる金型により、材料に対してパンチ加工を行う。レーザ加工部52は、加工ヘッドから射出されるレーザビームにより、材料に対してレーザ切断加工を行う。なお、加工機50は、レーザ加工部52のみを備える構成であってもよい。
【0024】
製品搬出装置60は、材料から切り出された製品を取り出し、取り出した製品を搬出する。製品搬出装置60による製品の搬出は、レーザ加工部52によって材料から製品100が切り出される度に行われる。製品搬出装置60は、製品100が切り出された材料の残りである残材から、製品を取り出す一対の搬出アーム61を備えている。個々の搬出アーム61における材料と対向する面には、製品を吸着するための複数の吸着パッドが設けられている。
【0025】
図2は、切断経路を割り付ける製品の形状を説明する図である。図3A及び図3Bは、ジョイントを説明する図である。つぎに、割付データ作成装置21が、製品100に切断経路を割り付ける割付処理について説明する。
【0026】
以下の説明では、図2に示すような製品100の形状を例に、割付処理を説明する。製品100の形状は、製品データによって規定される。この製品100の外形線110上には、ノッチ部111が含まれている。ノッチ部111は、製品100の内側に逃げるような外形線110の一部をいう。また、ノッチ部111は、製品100の一部が切り欠かれた切り欠きとしても認識される。なお、図2では、ノッチ部111を容易に理解することができるように、参照線(破線)111aがノッチ部111に沿うように描かれている。
【0027】
図3A及び図3Bは、ジョイントを説明する図である。外形線110にノッチ部111が含まれる製品100を、材料200からそのまま切り出すと、切り出した製品100の上に残材210が重なり、搬出アーム61による搬送不良が発生する。そこで、材料200から製品100を切り出すにあたり、ノッチ部111を外形線151に含むような穴領域150を先行的に切断する。穴領域150は、ノッチ部111の内側に隣接する領域であり、通常、スケルトンとして切り落とされる。
【0028】
本実施形態の特徴の一つとして、穴領域150の外形線151を切断する際に、外形線151の全周を切断するのでなく、切り残しを設ける。この切り残しは、製品100との境界線、又は残材210との境界線に設けられる。このため、穴領域150は、ジョイント170を介して、製品100及び残材210の一方に接続される。ここで、図3Aは、製品100側にジョイント170がある状態を示し、図3Bは、残材210側にジョイント170がある状態を示している。
【0029】
つぎに、割付データ作成装置21を利用して、割付処理を自動的に行う自動割付処理について説明する。
【0030】
図4A及び図4Bは、操作画面の一例を示す図である。自動割付処理の実行に先立ち、操作者は、表示装置23に表示される操作画面に従って、割付処理に必要な情報を、入力装置22を用いて入力する。
【0031】
図4Aに示すように、操作者は、操作画面300の「処理」の項目310を操作することで、ノッチ部111の処理条件を選択することができる。ノッチ部111の処理条件として「ジョイント」を選択すると、穴領域150をスクラップとして切り落とすことなく、ジョイント170を介して製品100又は残材210の一方に接続するような切断経路を割り付けることができる。
【0032】
「ジョイント」を処理条件として選択した場合、図4Bに示すように、操作者は、「ジョイント位置」の項目320を操作することで、穴領域150を接続するジョイント170の位置を選択する。具体的には、操作者は、ジョイント170を「製品側」に設定するのか、それとも「残材側」に設定するのかを選択することができる。
【0033】
加えて、図4Bに示すように、操作者は、「最大ジョイント間隔」、「外形からオフセット」、「ジョイント個数最小」の各項目321、322、323を数値で入力することができる。「最大ジョイント間隔」の項目321は、隣接するジョイント170同士の最大間隔を指定する項目である。「外形からオフセット」の項目322は、右端または左端からどの程度オフセットした位置にジョイント170を設けるのかを定義する項目である。「ジョイント個数最小」の項目323は、ジョイント170の最小個数を指定する項目である。
【0034】
表示装置23に表示される操作画面300に従って、操作者が必要な情報を入力装置22を用いて入力すると、割付データ作成装置21によって自動割付処理が実行される。
【0035】
図5は、切断経路の自動割付処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS10において、取得部21aは、製品データを取得する。例えば、取得部21aは、製品データ作成装置11から製品データを取得する。なお、製品データ作成装置11によって作成される製品データが、図示しないデータ管理サーバ内のデータベースに格納される場合、取得部21aは、データ管理サーバに格納された製品データを読み出してもよい。
【0036】
ステップS11において、認識部21bは、製品データに基づいて、製品100の内部にある穴(開口)を認識する。製品100の内部に穴(開口)が認識された場合、ステップS12において、割付処理部21cは、穴に切断経路を割り付ける。
【0037】
ステップS13において、認識部21bは、製品データに基づいて、製品100の外形線110を認識する。つづいて、ステップS14において、認識部21bは、外形線110上のノッチ部111を認識する。
【0038】
ステップS15において、割付処理部21cは、外形線110上にノッチ部111があるかどうかを判断する。この判断は、ステップS14における認識部21bの認識結果に基づいて行われる。ノッチ部111が無い場合、ステップS16の処理へ進み、ノッチ部111がある場合、ステップS17の処理へ進む。
【0039】
ステップS16において、割付処理部21cは、製品100の外形線110に切断経路を割り付ける。製品100の外形線110に対する切断経路は、製品100内部の穴よりも後で切断されるように割り付けられる。
【0040】
ステップS17において、割付処理部21cは、ノッチ部111の処理条件が「ジョイント」であるか否かを判断する。ノッチ部111の処理条件が「ジョイント」ではない場合には、ステップS18に進み、ノッチ部111の処理条件が「ジョイント」である場合には、ステップS19に進む。
【0041】
ステップS18において、割付処理部21cは、ノッチ部の処理条件に従った方法で、穴領域150の外形線151に切断経路を割り付ける。穴領域150の外形線151に対する切断経路は、製品100内部の穴に対する切断よりも後で切断されるように割り付けられる。
【0042】
ステップS19において、割付処理部21cは、「ジョイント位置」の項目320の入力内容に基づいて、ジョイント170の位置が製品100側であるかどうかを判断する。ジョイント170の位置が製品100側である場合には、ステップS20に進み、ジョイント170の位置が残材210側である場合には、ステップS21に進む。
【0043】
図6Aは、製品側に設定されたジョイントを模式的に示す図である。ステップS19において、割付処理部21cは、ジョイント170を製品100側に設定する。図6Bは、残材側に設定されたジョイントを模式的に示す図である。ステップS21において、割付処理部21cは、ジョイント170を残材210側に設定する。ステップS20、S21の各処理において、割付処理部21cは、項目321、322、323に入力された指示値を満たすような個数及び位置に、ジョイント170を設定する。
【0044】
図7は、切断経路を模式的に示す図である。ステップS22において、割付処理部21cは、ジョイント170を考慮して穴領域150の外形線151に切断経路(第1切断経路)R1を割り付ける。この切断経路R1は、穴領域150の外形線151の一部が、ジョイント170に応じて切り残されるように、割り付けられている。また、切断経路R1は、製品100内部の穴よりも後で切断されるように割り付けられる。なお、切断経路R1には、ピアス、アプローチ、逃げなども含まれるが、図7では省略されている(以下同様)。
【0045】
図8は、切断経路を模式的に示す図である。ステップS23において、割付処理部21cは、ノッチ部111を除く製品100の外形線110に切断経路R2を割り付ける。切断経路R2は、穴領域150よりも後で切断されるように割り付けられる。
【0046】
このような一連の処理を経て、自動割付処理は終了する。
【0047】
つぎに、割付データ作成装置21を利用して、割付処理を手動で行う手動割付処理について説明する。
【0048】
手動割付処理を行う場合、操作者は、表示装置23に表示される操作画面に従って、手動割付処理に必要な情報を、入力装置22を用いて入力する。
【0049】
図9は、操作画面の一例を示す図である。図10は、ノッチ部を穴領域とした割り付け状態を説明する図である。図11は、製品側にジョイントを設定した状態を示す図である。
【0050】
図9に示す操作画面300には、切断経路を割り付ける製品100の図形が表示される。操作画面300に表示される製品100は、製品100の外形線110上にノッチ部111を有している。例えば、操作者が操作画面328上でノッチ部111の線分を選択することで、図10に示すように、ノッチ部111を穴領域150として割り付けることができる。
【0051】
加えて、操作者は、穴領域150の外形線151上の任意の位置を指定することで、ジョイント170を設定することができる。このとき、操作者は、製品100側及び残材210側の一方に対して、任意の個数のジョイント170を任意の位置に設定することができる。
【0052】
ジョイント170を製品100側又は残材210側に設定した後の流れは、自動処理を同様である。これにより、手動割付処理による切断経路の割付処理は終了する。
【0053】
図12は、搬出アームの割付処理の流れを示すフローチャートである。図13は、製品と穴領域とを吸着対象とする割付概念を示す説明図である。図14は、製品のみを吸着対象とする割付概念を示す説明図である。
【0054】
割付処理部21cは、上記の切断経路の割付処理を考慮して、製品100に搬出アーム61を割り付ける割付処理を行う。
【0055】
まず、ステップS30において、割付処理部21cは、ノッチ部111が穴領域150として処理されているか否かを判断する。穴領域150として処理されている場合、ステップS31の処理に進み、穴領域150として処理されていない場合、後述するステップS33の処理に進む。
【0056】
ステップS31において、割付処理部21cは、ジョイント170が製品100側にあるか否かを判断する。ジョイント170が製品100側にある場合、ステップS32の処理に進み、ジョイント170が残材210側にある場合、ステップS33の処理に進む。
【0057】
ステップS32において、割付処理部21cは、製品100及び穴領域150の両方を吸着対象として、搬出アーム61の割り付けを行う。搬出アーム61の割り付けには、搬出アーム61の位置、搬出アーム61が備える複数の吸着パッド62のうち、吸着動作を行う吸着パッド62の選択などが含まれる。図13のハッチングで示すように、製品100上に割り付けられた吸着パッド62のほか、穴領域150に割り付けられた吸着パッド62も、吸着動作を行うパッドとして設定される。
【0058】
ステップS33において、割付処理部21cは、製品100のみを吸着対象として、搬出アーム61の割り付けを行う。搬出アーム61の割り付けには、搬出アーム61の位置、搬出アーム61が備える複数の吸着パッド62のうち、吸着動作を行う吸着パッド62の選択などが含まれる。図14のハッチングに示すように、製品100上に割り付けられた吸着パッド62のみが、吸着動作を行うパッドとして設定される。
【0059】
このような割付処理を経て割付データが作成される。割付データ作成装置21は、割付データに基づいて加工プログラムを作成する。割付データ作成装置21によって作成された加工プログラムは、制御装置30に転送される。
【0060】
制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料200から製品100を切り出すように加工機50を制御する。加工機50のレーザ加工部52は、まず、穴領域150の外形線151を切断する。穴領域150の外形線151を切断する際には、外形線151の全周を切断するのでなく、切り残しを設ける。これにより、穴領域150は、ジョイント170を介して、製品100及び残材210の一方に接続される。
【0061】
つぎに、加工機50のレーザ加工部52は、ノッチ部111を除く製品100の外形線110を切断する。このとき、穴領域150は、ジョイント170を介して製品100及び残材210の一方に接続されている。このため、穴領域150の立ち上がりが抑制されるので、加工機50の加工ヘッドとの干渉を防止することができる。
【0062】
そして、製品100の切断が終了すると、制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料200から切り出された製品100を搬出するように製品搬出装置60を制御する。製品搬出装置60は、一対の搬出アーム61を用いて、製品100を残材210から取り出す。このとき、穴領域150の立ち上がりが抑制されるので、一対の搬出アーム61との干渉を防止することができる。
【0063】
加えて、一対の搬出アーム61は、割付データに従って動作する。ジョイント170が製品100側にある場合、一対の搬出アーム61によって製品100及び穴領域150が吸着される。穴領域150も吸着対象となるため、吸着領域が拡大する。これにより、搬出率の向上を得ることができる。
【0064】
一方、ジョイント170が残材210側にある場合、一対の搬出アーム61によって製品100のみが吸着される。この場合、穴領域150とノッチ部111との接続が弱くなるため、吸着時にノッチ部111が引っ掛かりにくくなる。これにより、搬出率の向上を得ることができる。
【0065】
このように本実施形態によれば、穴領域150がジョイント170によって接続されているので、穴領域150の立ち上がりを規制することができる。ノッチ部111を有する製品100を加工する際に、製品搬出装置60との干渉を抑制することができる。これにより、製品の搬出率を向上させることができる。また、本実施形態によれば、ノッチ部111を有する製品100を加工する際に、穴領域150を先行して切り落としているので、穴領域150が立ち上がってしまうことがある。本実施形態によれば、穴領域150がジョイント170によって接続されているので、穴領域150の立ち上がりを規制することができる。これにより、加工機50の加工ヘッドが製品100との干渉を抑制することができる。これにより、加工停止による生産性の低下を抑制することができる。
【0066】
本実施形態において、割付処理部21cは、材料200から切り離された前記製品を吸着して搬送する搬出アーム61の割り付けをさらに行い、製品100に対してジョイント170を設定した場合には、製品100及び穴領域150の両方を吸着対象として、搬出アーム61の割り付けを行う。
【0067】
この構成によれば、穴領域150も吸着対象となるため、吸着領域が拡大する。これにより、製品搬出装置60による搬出率の向上を得ることができる。
【0068】
本実施形態において、割付処理部21cは、材料200から切り離された製品100を吸着して搬送する搬出アーム61の割り付けをさらに行い、残材210に対してジョイント170を設定した場合、製品100のみを吸着対象として搬出アームの割り付けを行う。
【0069】
この構成によれば、残材210に接続された穴領域150を吸着することなく、製品100のみを適切に吸着することができる。また、穴領域150とノッチ部111との接続が弱くなるため、吸着時にノッチ部111が引っ掛かりにくくなる。これにより、搬出率の向上を得ることができる。
【0070】
本実施形態において、割付データ作成装置21は、製品100の形状を認識する認識部21bをさらに有している。割付処理部21cは、認識部21bによる認識結果に基づいて、製品100の外形線110上にノッチ部111が含まれると判断する。
【0071】
この構成によれば、割付処理部21cは、認識されたノッチ部111に基づいて、穴領域150及びジョイント170の設定などを行うことができる。これにより、割付処理部21cは、割付処理を自動的に行うことができる。
【0072】
本実施形態に係る割付データ作成方法は、コンピュータ20が、製品100の形状を含む製品データに基づいて、レーザ切断加工を行う加工機50が材料200から製品100を切断する切断経路を割り付ける割付処理を行う。割付処理は、製品100の外形線110上にノッチ部111が含まれる場合に、ノッチ部111を外形線151に含む穴領域150を接続するためのジョイント170を、製品100及び残材210の一方に対して設定し、ジョイント170に応じて穴領域150の外形線151の一部が切り残されるように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに切断経路を割り付ける、ことを含む。
【0073】
この方法によれば、穴領域150がジョイント170によって接続されているので、穴領域150の立ち上がりを規制することができる。したがって、ノッチ部111を有する製品100を加工する際に、加工機50又は製品搬出装置60との干渉を抑制することができる。これにより、加工停止による生産性の低下を抑制し、加えて、製品の搬出率を向上させることができる。
【0074】
本実施形態に係るレーザ切断加工方法は、レーザ切断加工を行う加工機50が、外形線110上にノッチ部111を有する製品100を材料200から切断する切断工程と、製品搬出装置60が、材料200から切断された製品100を搬出する搬出工程と、を含む。切断工程は、ノッチ部111を外形線151に含む穴領域150の切断を含み、製品100及び残材210の一方に対して穴領域150が接続するように穴領域150の外形線151の一部を切り残す、ことを含む。
【0075】
この方法によれば、このとき、穴領域150は、ジョイント170を介して製品100及び残材210の一方に接続されている。このため、穴領域150の立ち上がりが抑制されるので、加工機50の加工ヘッドとの干渉を防止することができる。加えて、穴領域150の立ち上がりが規制されているので、一対の搬出アーム61との干渉を防止することができる。これにより、加工停止による生産性の低下を抑制し、加えて、製品100の搬出率を向上させることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、割付処理部21cは、ジョイント170に応じて穴領域150の外形線151の一部が切り残されるように、穴領域150の外形線151に第1切断経路R1を割り付け、ノッチ部111を除く製品100の外形線110に、第1切断経路R1とは異なる第2切断経路R2を割り付けている。しかしながら、切断経路の割付態様は、これに限られず、ジョイント170に応じて穴領域150の外形線151の一部が切り残されるように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに切断経路が割り付けられればよい。
【0077】
図15Aは、割り付けられた切断経路の一例を説明する図である。例えば、図15Aに示すように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに割り付けられる切断経路は、つぎの2つの切断経路Ra1、Ra2を含むものでもよい。ここで、切断経路Ra1は、ノッチ部111の一端からジョイント170まで至る穴領域の外形線151に割り当てられている。切断経路Ra2は、ジョイント170からノッチ部111の他端へと至る穴領域150の外形線151、ノッチ部111を除く製品100の外形線110、及びノッチ部111を除く穴領域150の外形線151に割り当てられている。
【0078】
図15Bは、割り付けられた切断経路の一例を説明する図である。例えば、図15Bに示すように、穴領域150の外形線151と、ノッチ部111を除く製品100の外形線110とに割り付けられる切断経路は、つぎの3つの切断経路Rb1、Rb2、Rb3を含むものでもよい。ここで、切断経路Rb1は、ノッチ部111の一端からジョイント170まで至る穴領域の外形線151に割り当てられている。切断経路Rb2は、ジョイント170からノッチ部111の他端へと至る穴領域150の外形線151に割り当てられている。切断経路Rb3は、ノッチ部111を除く製品100の外形線110、及びノッチ部111を除く穴領域150の外形線151に割り当てられている。
【0079】
このような割付形態であっても、ノッチ部111を有する製品100を加工する際に、製品搬出装置60との干渉を抑制することができる。これにより、製品の搬出率を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、割付データを作成する割付データ作成装置21をCAM20によって実現している。しかしながら、この割付データ作成装置21は、制御装置30によって実現してもよい。これにより、加工現場にて割付データを作成することができる。
【0081】
上記のように、本実施形態を記載したが、この実施形態の一部をなす論述及び図面はこの実施形態を限定するものであると理解すべきではない。この実施形態から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0082】
10 CAD
11 製品データ作成装置
20 CAM(コンピュータ)
21 割付データ作成装置
21a 取得部
21b 認識部
21c 割付処理部
22 入力装置
23 表示装置
30 制御装置(コンピュータ)
40 加工システム
50 加工機
51 パンチ加工部
52 レーザ加工部
60 製品搬出装置
61 搬出アーム
62 吸着パッド
100 製品
110 外形線
111 ノッチ部
150 穴領域
151 外形線
170 ジョイント
200 材料
210 残材
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
例えば、制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料から製品を切り出すように加工機50を制御する。加工機50が材料から製品を切り出すことで、製品が作製される。また、制御装置30は、加工プログラムに基づいて、材料から切り出された製品を搬出するように製品搬出装置60を制御する。製品搬出装置60が製品を搬出することで、製品の搬出、及び集積パレット(図示せず)への製品の集積が行われる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
製品搬出装置60は、材料から切り出された製品を取り出し、取り出した製品を搬出する。製品搬出装置60による製品の搬出は、レーザ加工部52によって材料から製品が切り出される度に行われる。製品搬出装置60は、製品が切り出された材料の残りである残材から、製品を取り出す一対の搬出アーム61を備えている。個々の搬出アーム61における材料と対向する面には、製品を吸着するための複数の吸着パッドが設けられている。