(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048870
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】非接触型データ受送信体
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/00 20060101AFI20240402BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240402BHJP
H01Q 1/14 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/24 C
H01Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155004
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA10
5J047AB11
5J047FC04
(57)【要約】
【課題】アンテナが基材から外れにくい非接触型データ受送信体を提供する。
【解決手段】非接触型データ受送信体10は、らせん状に形成された線状体からなる主アンテナ2と、主アンテナ2を介して無線通信を行うICチップ11と、ICチップ11を搭載する基板1と、主アンテナ2を支持する外装体3と、を備える。外装体3に、凹凸形状の係止部51,61が形成されている。係止部51,61には、主アンテナ2を構成する線状体が係止する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
らせん状に形成された線状体からなる主アンテナと、
前記主アンテナを介して無線通信を行うICチップと、
前記ICチップを搭載する基板と、
前記主アンテナを支持する外装体と、を備え、
前記外装体に、前記主アンテナを構成する前記線状体が係止する、凹凸形状の係止部が形成されている、
非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記係止部は、前記線状体が嵌合する1または複数の溝部を有する、
請求項1記載の非接触型データ受送信体。
【請求項3】
前記係止部は、前記線状体が係止する1または複数の凸部を有する、
請求項1記載の非接触型データ受送信体。
【請求項4】
前記基板は、前記ICチップに接続された副アンテナを備え、
前記主アンテナは、前記副アンテナと非接触で電磁界結合される、
請求項1記載の非接触型データ受送信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型データ受送信体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、流通管理などを目的として、非接触型データ受送信体が用いられている。非接触型データ受送信体は、リーダライタとの間で近距離の無線通信を行うことができる。非接触型データ受送信体は、例えば、アンテナと、アンテナを支持する基板と、基板に設けられたICチップとを備える(例えば、特許文献1を参照)。非接触型データ受送信体は、例えば、管理対象となる物品に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の非接触型データ受送信体は、設置された物品に振動が加えられることなどによって、アンテナが基板から外れやすくなることがあった。
【0005】
本発明の一態様は、アンテナが基材から外れにくい非接触型データ受送信体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、らせん状に形成された線状体からなる主アンテナと、前記主アンテナを介して無線通信を行うICチップと、前記ICチップを搭載する基板と、前記主アンテナを支持する外装体と、を備え、前記外装体に、前記主アンテナを構成する前記線状体が係止する、凹凸形状の係止部が形成されている、非接触型データ受送信体を提供する。
【0007】
前記係止部は、前記線状体が嵌合する1または複数の溝部を有することが好ましい。
【0008】
前記係止部は、前記線状体が係止する1または複数の凸部を有することが好ましい。
【0009】
前記基板は、前記ICチップに接続された副アンテナを備え、前記主アンテナは、前記副アンテナと非接触で電磁界結合されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、アンテナが基材から外れにくい非接触型データ受送信体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る非接触型データ受送信体の斜視図である。
【
図2】蓋部を開いた状態の非接触型データ受送信体の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る非接触型データ受送信体の分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る非接触型データ受送信体の一部の断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る非接触型データ受送信体の一部の斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る非接触型データ受送信体の斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る非接触型データ受送信体の一部の断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る非接触型データ受送信体における係止部の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[非接触型データ受送信体](第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る非接触型データ受送信体10の斜視図である。
図1は、蓋部32を閉じた状態の非接触型データ受送信体10の斜視図である。
図2は、蓋部32を開いた状態の非接触型データ受送信体10の斜視図である。
図3は、非接触型データ受送信体10の分解斜視図である。
図4は、非接触型データ受送信体10の一部の斜視図である。
図5は、非接触型データ受送信体10の一部の断面図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、非接触型データ受送信体10は、主アンテナ2と、外装体3と、基板1と、を備える。非接触型データ受送信体10は、例えば、RFIDタグである。
【0014】
外装体3の主面31a(
図2参照)の長手方向をX方向という。主面31aの短手方向をY方向という。Y方向は、主面31aに沿う面内においてX方向に直交する。主面31aに直交する方向をZ方向という。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。Z方向から見ることを平面視という。Z軸は、Z方向に沿う軸である。X方向のうち一方向を+X方向という。+X方向と反対の方向を-X方向という。Y方向のうち一方向を+Y方向という。+Y方向と反対の方向を-Y方向という。Z方向のうち一方向(
図1において本体部31から蓋部32に向かう方向)を+Z方向という。
【0015】
図2に示すように、基板1は、ICチップ11と、副アンテナ12と、基体13と、を備える。
基体13は、板状に形成されている。平面視における基体13の形状は、例えば、長軸をX方向に向けた楕円形状である。基体13としては、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミックス基板、樹脂基板などが使用できる。
【0016】
ICチップ11は、副アンテナ12および主アンテナ2を介して非接触にて情報の書き込みおよび読み出しが可能である。ICチップ11は、基体13に搭載されている。ICチップ11は、副アンテナ12および主アンテナ2を介して無線通信を行う。なお、主アンテナ2が外装体3から外れた場合であっても、ICチップ11は副アンテナ12を介して無線通信を行うことができる。
【0017】
副アンテナ12は、例えば、基体13の一方の面に形成された導電層によって形成されている。導電層は、例えば、導電性箔、メッキ層、導電インク層などで構成される。導電性箔は、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウムなどで構成される金属箔である。メッキ層は、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウムなどの金属で構成される。導電インク層は、導電インクを用いて印刷などにより形成される。
【0018】
副アンテナ12は、ループ状に形成されている。副アンテナ12は、例えば、基体13の外周縁13aに沿う湾曲形状を有する。副アンテナ12は、例えば、楕円形状のループ状に形成されている。副アンテナ12は、ICチップ11に電気的に接続されている。副アンテナ12は「第1アンテナ」ともいう。
【0019】
主アンテナ2は、導電性の線状体20によって形成される。線状体20の外径(線径)は、0.2mm~0.4mmが好ましい。線状体20は、らせん状に形成されている。線状体20は、らせん軸A1の周りを前進しつつ周回する。線状体20は、複数の周回構造が連なってらせん状となる。「周回構造」は、起点となる位置から1周回して、らせん軸方向から見て起点と重なる位置に至る構造である。主アンテナ2の内径(らせん内径)は、0.3mm~0.7mmが好ましい。主アンテナ2のらせんピッチP2(
図5参照)は、0.5mm~3mmが好ましい。
【0020】
線状体20は、例えば、スチール、ステンレス鋼、銅、銅合金などの金属で形成されている。線状体20は、例えば、硬鋼線、銅合金線などで形成することが好ましい。線状体20の長さ方向に直交する断面の形状は、例えば、円形状である。
主アンテナ2は、基板1とは別体とされている。主アンテナ2は、外装体3とは別体とされている。
【0021】
主アンテナ2は、電磁界結合部21と、一対の延出部22とを備える。
電磁界結合部21の形状(らせん軸の形状)は、例えば、湾曲形状である。「湾曲形状」とは、急峻な屈曲部がなく、滑らかに曲がる形状である。湾曲形状としては、例えば、楕円弧状、円弧状などがある。電磁界結合部21のらせん軸は、例えば、半楕円形状である。
【0022】
電磁界結合部21は、平面視において、基板1の少なくとも一部を囲む。電磁界結合部21は、例えば、楕円形状の基板1の一方の頂点(長軸上の頂点)から他方の頂点(長軸上の頂点)に至る範囲(+Y方向側の半周範囲)を囲む。電磁界結合部21のらせん軸は、平面視において、副アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。電磁界結合部21は、平面視において、基板1の外周縁13aの外側に、外周縁13aに近接して位置する。電磁界結合部21は、非接触で副アンテナ12と電磁界結合する。電磁界結合とは、例えば、電界結合と磁界結合のうち一方である。
【0023】
一対の延出部22のうち一方の延出部22(第1の延出部)は、電磁界結合部21の一方の端部(第1の端部)から延出する。一対の延出部22のうち他方の延出部22(第2の延出部)は、電磁界結合部21の他方の端部(第2の端部)から延出する。延出部22のらせん軸はX方向に沿う。一対の延出部22は互いに離れる方向に延出する。
【0024】
外装体3は、板状の本体部31(第1の基材)と、板状の蓋部32(第2の基材)と、連結部41と、を備える。外装体3は、全体として板状とされている。本体部31および蓋部32は「基材」の例である。
【0025】
本体部31、蓋部32および連結部41は、例えば、樹脂で形成される。樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニルなどのポリフッ化エチレン系樹脂;ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0026】
本体部31、蓋部32および連結部41は、一体に形成されている。そのため、蓋部32は、連結部41を介して本体部31と一体に形成されている。外装体3は、圧縮成形、射出成形などで作製することができる。
【0027】
図3に示すように、本体部31は、平面視において矩形状とされている。本体部31の一方の面である主面31aには、基板保持凹部37(基板保持部)と、アンテナ保持溝34と、一対の収容凹所35とが形成されている。基板保持凹部37は、基板保持凸部33によって形成される。基板保持凹部37は、基板保持凸部33によって囲まれた凹部である。
【0028】
基板保持凸部33は、環状のリブ状突起である。基板保持凸部33は、基板1の外周縁13aに沿う湾曲形状(例えば、楕円形状)とされている。基板保持凸部33は、主面31aから+Z方向に突出する。基板保持凸部33の長さ方向に直交する断面の形状は、例えば矩形状である。基板保持凸部33は、平面視において、副アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円形状)とされている。
【0029】
基板保持凹部37は、基板1を保持する。基板保持凹部37は、基板1の外周縁13aに沿う形状(例えば、楕円形状)とされている。基板保持凹部37の内形寸法(内径)は、基板1の外形寸法(外径)とほぼ同じ、または基板1の外形寸法(外径)よりわずかに大きい。基板保持凹部37は、平面視において基板1と相似形である。
【0030】
基板1および基板保持凹部37は、非円形状(例えば、楕円形状)であると、基板1がZ軸周りに傾斜するのを規制し、基板1の正しい姿勢を保つことができる。そのため、副アンテナ12と電磁界結合部21との電磁界結合を維持することができる。
【0031】
アンテナ保持溝34は、主アンテナ2の電磁界結合部21の少なくとも一部を収容する。アンテナ保持溝34は、基板保持凸部33の外側に、基板保持凸部33に近接して形成されている。アンテナ保持溝34は、平面視において、基板保持凸部33に沿う形状とされる。アンテナ保持溝34は、平面視において、副アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。
【0032】
アンテナ保持溝34は、平面視において、基板1の外周縁13aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。アンテナ保持溝34は、例えば、平面視において、楕円形の一方の頂点(長軸上の頂点)から他方の頂点(長軸上の頂点)に至る半楕円形状である。アンテナ保持溝34は、平面視において、基板1の少なくとも一部を囲む形状とされる。アンテナ保持溝34は、例えば、楕円形状の基板1の一方の頂点(長軸上の頂点)から他方の頂点(長軸上の頂点)に至る範囲(+Y方向側の半周範囲)を囲む。
【0033】
一対の収容凹所35は、それぞれ、主面31aの一方および他方の側部に形成されている。収容凹所35は、X方向に延びる直線溝状とされている。収容凹所35は、アンテナ保持溝34に連通して(すなわち、アンテナ保持溝34に連なって)形成されている。
【0034】
一対の収容凹所35のうち一方の収容凹所35は、アンテナ保持溝34の一端から+X方向に延びて一方の側端縁31bに達している。一対の収容凹所35のうち他方の収容凹所35は、アンテナ保持溝34の他端から-X方向に延びて他方の側端縁31bに達している。側端縁31bは、平面視において、延出部22が外装体3から外に出る端縁である。言い換えれば、延出部22は、側端縁31bから外装体3の外に延出する。
本体部31の+Y方向の端縁31cには、X方向に位置を違えて2つの係止凹部39が形成されている。
【0035】
図1に示すように、蓋部32は、平面視において矩形状とされている。蓋部32は、平面視において本体部31と同形とされている。蓋部32は、閉じた状態にあるとき、平面視において本体部31の主面31aに重なる。
【0036】
図2および
図3に示すように、蓋部32の対向面32aは、閉じた状態において本体部31の主面31aに対向する面である。対向面32aには、アンテナ保持溝44と、一対の収容凹所45が形成されている。
アンテナ保持溝44は、本体部31のアンテナ保持溝34に応じた湾曲形状(例えば、楕円弧形状)とされている。アンテナ保持溝44は、アンテナ保持溝34と同形(例えば、半楕円形状)であってよい。アンテナ保持溝44は、蓋部32を閉じたときに(
図1参照)、本体部31のアンテナ保持溝34に対向する。
【0037】
収容凹所45は、本体部31の収容凹所35に応じた形状(例えば、直線溝状)とされている。収容凹所45は、収容凹所35と同形であってよい。収容凹所45は、蓋部32を閉じたときに(
図1参照)、本体部31の収容凹所35に対向する。一対の収容凹所45は、それぞれ、対向面32aの一方および他方の側部に形成されている。収容凹所45は、アンテナ保持溝44に連通して(すなわち、アンテナ保持溝44に連なって)形成されている。
【0038】
一対の収容凹所45のうち一方の収容凹所45は、アンテナ保持溝44の一端から+X方向に延びて一方の側端縁32bに達している。一対の収容凹所45のうち他方の収容凹所45は、アンテナ保持溝44の他端から-X方向に延びて他方の側端縁32bに達している。側端縁32bは、平面視において、延出部22が外装体3から外に出る端縁である。言い換えれば、延出部22は、側端縁32bから外装体3の外に延出する。
【0039】
図3に示すように、本体部31のアンテナ保持溝34および収容凹所35には、それぞれ係止部51が形成されている。蓋部32のアンテナ保持溝44および収容凹所45には、それぞれ係止部61が形成されている。係止部51,61には、主アンテナ2を構成する線状体20が係止する。係止部51,61は、凹凸形状を有する。凹凸形状とは、凹部と凸部の少なくとも一方を有する形状である。
【0040】
図4および
図5に示すように、係止部51,61は、それぞれ複数の溝部52(凹部)を有する。アンテナ保持溝34,44に形成された溝部52は、アンテナ保持溝34,44(
図3参照)の底面に形成されている。収容凹所35,45に形成された溝部52は、収容凹所35,45の底面(
図3参照)に形成されている。溝部52の数が複数であると、複数箇所において主アンテナ2が本体部31または蓋部32に係止されるため、主アンテナ2を安定に保持することができる。
【0041】
図5に示すように、溝部52は、線状体20が嵌合可能な形状とされる。溝部52の断面形状(溝部52の長さ方向に直交する断面の形状)は、U字形状、矩形状、V字形状などであってよい。溝部52の断面形状は、U字形状または矩形状が好ましい。溝部52の幅は、線状体20の外径(線径)の150%~300%が好ましい。溝部52の幅がこの範囲であると、線状体20を溝部52に挿入する操作が容易となる。
【0042】
複数の溝部52は、アンテナ保持溝34および収容凹所35の長さ方向に間隔をおいて、この長さ方向に並んで形成されている。複数の溝部52は、例えば、一定の間隔(等間隔)をおいて形成されている。複数の溝部52は、例えば、互いに同じ大きさである。複数の溝部52は、例えば、互いに同じ形状である。
【0043】
溝部52のピッチP1(隣り合う溝部52の中心どうしの距離)は、主アンテナ2のピッチP2に合わせて定められる。詳しくは、溝部52のピッチP1は、主アンテナ2のピッチP2(らせんピッチ)と等しいことが好ましい。ピッチP1は、0.5mm~3mmが好ましい。ピッチP1は、0.5mm以上であると、主アンテナ2を溝部52に嵌め込むのが容易となる。ピッチP1は、3mm以下であると、溝部52の形成数を多くできる。隣り合う溝部52の間隔は、1mm以上が好ましい。
【0044】
線状体20は、溝部52に挿入され、溝部52に嵌合する。線状体20は、溝部52に、溝長さ方向に沿って挿入される。線状体20は、複数の周回構造がそれぞれ溝部52に嵌合する。そのため、線状体20は複数箇所で溝部52に嵌合する。主アンテナ2は、線状体20が溝部52に嵌合することによって本体部31および蓋部32に支持される。溝部52は、主アンテナ2がらせん軸方向に移動するのを規制する。
【0045】
隣り合う溝部52の間の部分は、凸部53である。凸部53は、溝部52の底部から、主面31aまたは対向面32aに対し垂直な方向(蓋部32を閉じたときに本体部31と蓋部32とが互いに近づく方向)に突出する。そのため、係止部51,61は、それぞれ複数の凸部53を有する。凸部53は、線状体20に係止する。詳しくは、凸部53は、主アンテナ2の隣り合う周回構造の隙間に入り込むことによって、主アンテナ2がらせん軸方向に移動するのを規制する。
【0046】
凸部53が複数ある場合は、複数の凸部53は、それぞれ線状体20に係止する。詳しくは、複数の凸部53は、主アンテナ2の周回構造の複数の隙間にそれぞれ入り込む。これにより、主アンテナ2は、複数箇所において本体部31および蓋部32に係止される。
係止部51,61は、溝部52と凸部53の両方を有するともいえる。
【0047】
主アンテナ2の一部は、アンテナ保持溝34,44および収容凹所35,45に収容される。そのため、主アンテナ2は、アンテナ保持溝34,44の溝幅方向、および、収容凹所35,45の溝幅方向の移動が規制される。
【0048】
図1に示すように、蓋部32の+Y方向側の端縁32c近傍には、X方向に位置を違えて2つの係止凸部40が形成されている。係止凸部40は、先端に係止爪部が形成されている。係止凸部40は、本体部31の係止凹部39に挿入される。係止凸部40の係止爪部は、本体部31に係止する。これにより、蓋部32は、本体部31に結合される。
【0049】
連結部41は、シート状または板状に形成されている。連結部41は、本体部31の-Y方向側の端縁31dと、蓋部32の-Y方向側の端縁32dとを連結する。連結部41は、可撓性を有する。蓋部32は、本体部31に対して開閉自在である。連結部41は、例えば、本体部31および蓋部32より薄く形成されている。
【0050】
蓋部32が開いた状態(
図2参照)にあるときには、本体部31の主面31aは開放される。蓋部32が閉じた状態(
図1参照)にあるときには、蓋部32は本体部31の主面31aに重ねられ、主面31aを覆う。蓋部32が閉じた状態では、連結部41は、折り曲げられている。蓋部32の係止凸部40が本体部31の係止凹部39に係止することによって、蓋部32は閉じた状態に維持される。
外装体3は、主アンテナ2に対して固定されていない。すなわち、外装体3は、主アンテナ2に対して非固定である。
【0051】
非接触型データ受送信体10は、流通管理などの対象となる物品に設置される。非接触型データ受送信体10が設置される物品は、変形可能であってもよい。例えば、物品は、ゴム、樹脂などで構成される弾性体であってもよい。物品に振動が加えられた場合、主アンテナ2に外力が作用する可能性がある。
【0052】
[第1実施形態の非接触型データ受送信体が奏する効果]
非接触型データ受送信体10では、本体部31および蓋部32に、主アンテナ2の線状体20が係止する係止部51,61が形成されている。主アンテナ2は係止部51,61に係止するため、外装体3から外れにくい。そのため、主アンテナ2に、外装体3から離れる方向の外力が作用した場合でも、主アンテナ2を安定的に保持することができる。よって、主アンテナ2の通信性能を正常に保つことができる。
【0053】
係止部51,61は複数の溝部52(または複数の凸部53)を有するため、主アンテナ2は、複数箇所において本体部31および蓋部32に係止される。そのため、主アンテナ2を安定に保持することができる。
【0054】
主アンテナ2(電磁界結合部21)は、非接触で副アンテナ12と電磁界結合する。主アンテナ2は外装体3と別体であるため、非接触型データ受送信体10は製造が容易である。
【0055】
[非接触型データ受送信体](第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る非接触型データ受送信体110の斜視図である。
図7は、非接触型データ受送信体110の一部の断面図である。第1実施形態の非接触型データ受送信体10(
図1参照)との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
図6に示すように、非接触型データ受送信体110は、主アンテナ2(
図2参照)と、外装体103と、基板1(
図2参照)と、を備える。外装体103は、本体部31と蓋部32(
図1参照)とを閉じた状態で一体とした構成である。外装体103は、板状とされている。外装体103は「基材」の例である。非接触型データ受送信体110は、外装体103以外は、第1実施形態の非接触型データ受送信体10(
図1参照)と同じ構成であってよい。
【0057】
図7に示すように、外装体103は、向かい合う主面31aおよび対向面32a(
図3参照)を有する。主面31aには、アンテナ保持溝34および収容凹所35(
図3参照)が形成されている。対向面32aには、アンテナ保持溝44および収容凹所45(
図3参照)が形成されている。外装体103には、収容凹所35,45が組み合わせられて形成された挿通孔104(
図6参照)が形成されている。
【0058】
アンテナ保持溝34および収容凹所35には、それぞれ係止部51が形成されている。アンテナ保持溝44および収容凹所45には、それぞれ係止部61が形成されている。係止部51,61には、主アンテナ2を構成する線状体20が係止する。係止部51,61は、それぞれ複数の溝部52(凹部)を有する。溝部52には、線状体20が嵌合する。
【0059】
非接触型データ受送信体110を製造するには、まず、外装体103を作製する。次いで、主アンテナ2をらせん軸の周り方向に回転させつつ前進させることによって、線状体20を外装体103の挿通孔104に挿通させる。このようにして、
図6に示す非接触型データ受送信体110を得る。
【0060】
非接触型データ受送信体110は、外装体103が一体構造であるため、外力が加えられても破損しにくい。よって、主アンテナ2を安定的に保持することができる。
【0061】
[係止部](変形例)
図8は、第1実施形態に係る非接触型データ受送信体10における係止部の変形例の断面図である。
図8に示すように、アンテナ保持溝および収容凹所に形成された係止部451は、1または複数の凸部153によって構成されている。複数の凸部153は、溝(例えば、アンテナ保持溝または収容凹所)の長さ方向に間隔をおいて、この方向に並んで形成されている。凸部153は、線状体20に係止する。詳しくは、凸部153は、主アンテナ2の隣り合う周回構造の隙間に入り込むことによって、主アンテナ2がらせん軸方向に移動するのを規制する。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。例えば、第1実施形態の非接触型データ受送信体10(
図1参照)では、本体部31および蓋部32に、それぞれ複数の溝部52(凹部)が形成されているが、溝部の数は特に限定されない。溝部の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。すなわち、係止部は、1または複数の凹部を有する構造であってもよい。同様に、係止部を構成する凸部の数は複数に限らず、1つでもよい。すなわち、係止部は、1または複数の凸部を有する構造であってもよい。
【0063】
非接触型データ受送信体10(
図1参照)では、外装体3の本体部31および蓋部32の両方に係止部51,61が形成されているが、係止部は、本体部31と蓋部32のうち少なくとも1つに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…基板、2…主アンテナ、3,103…外装体、10,110…非接触型データ受送信体、11…ICチップ、12…副アンテナ、20…線状体、31…本体部、32…蓋部、51,61…係止部、52…溝部、53…凸部