(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048880
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20240402BHJP
B65H 9/12 20060101ALI20240402BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240402BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240402BHJP
B65H 7/10 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65H9/00 A
B65H9/12
B65H5/06 J
G03G15/00 447
B65H7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155016
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康伸
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
(72)【発明者】
【氏名】小池 克典
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕丈
(72)【発明者】
【氏名】川添 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】小堀 周平
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA03
2H072AA13
2H072AA16
2H072AA24
2H072CA01
2H072HB07
2H072JA02
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA22
3F048BB02
3F048BB08
3F048CA10
3F048CC05
3F048DA06
3F048DA07
3F048DB07
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3F048EB32
3F049AA02
3F049DA12
3F049DB05
3F049EA22
3F049EA28
3F049LA01
3F049LB01
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA01
3F102BA08
3F102BB04
3F102CA00
3F102CB02
3F102DA10
3F102EA03
3F102EC00
3F102FA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上する。
【解決手段】シートの搬送方向に沿ってそれぞれ配置され、前記シートを保持した状態で前記シートの搬送方向と交差する方向に沿って移動させて前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置を補正する第1及び第2の端部補正手段と、前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更可能な変更手段と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向に沿ってそれぞれ配置され、前記シートを保持した状態で前記シートの搬送方向と交差する方向に沿って移動させて前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置を補正する第1及び第2の端部補正手段と、
前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更可能な変更手段と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記第1及び第2の端部補正手段における前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記変更手段が採用する補正係数は、前記シートの搬送方向に沿った下流側の方が上流側より大きい請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記シートの搬送特性に応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記シートの搬送特性として前記シートの搬送方向に沿った長さ、前記シートの坪量、前記シートの材質及び前記シートの搬送モードの少なくとも何れか1つに応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記シートの坪量が大きいほど前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を大きく変更する請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段として請求項1~6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート搬送装置に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、一枚の前記シートを二組の挟持搬送部材対で挟んだ状態で前記幅方向への移動を行い、前記幅方向への移動の後、二組の前記挟持搬送部材対のうちの前記搬送方向の上流側に位置する上流側挟持搬送部材対を形成する二つの挟持搬送部材を離間し、二組の前記挟持搬送部材対のうちの前記搬送方向の下流側に位置する下流側挟持搬送部材対で前記シートを搬送するよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、シートの搬送方向に沿ってそれぞれ配置され、前記シートを保持した状態で前記シートの搬送方向と交差する方向に沿って移動させて前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置を補正する第1及び第2の端部補正手段と、
前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更可能な変更手段と、
を備えるシート搬送装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記変更手段は、前記第1及び第2の端部補正手段における前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記変更手段が採用する補正係数は、前記シートの搬送方向に沿った下流側の方が上流側より大きい請求項2に記載のシート搬送装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記変更手段は、前記シートの搬送特性に応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記変更手段は、前記シートの搬送特性として前記シートの搬送方向に沿った長さ、前記シートの坪量、前記シートの材質及び前記シートの搬送モードの少なくとも何れか1つに応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する請求項4に記載のシート搬送装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記変更手段は、前記シートの坪量が大きいほど前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を大きく変更する請求項5に記載のシート搬送装置である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段として請求項1~6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、変更手段は、第1及び第2の端部補正手段におけるシートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、補正係数を変更することにより、シートの端部位置の補正量を容易に設定することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、変更手段が採用する補正係数は、シートの搬送方向に沿った下流側と上流側で等しい場合に比べて、シートの搬送方向に沿った下流側におけるシートの端部位置の補正精度を向上することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、変更手段は、シートの搬送特性に応じて第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、シートの搬送特性に応じたシートの端部位置の補正が可能となる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、変更手段は、シートの搬送特性としてシートの搬送方向に沿った長さ、シートの坪量、シートの材質及びシートの搬送モードの少なくとも何れか1つに応じて第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、具体的なシートの搬送特性に応じたシートの端部位置の補正が可能となる。
【0018】
請求項6に記載された発明によれば、変更手段は、シートの坪量にかかわらず第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を変更する場合に比べて、坪量が大きいシートの端部位置の補正精度を向上させることができる。
【0019】
請求項7に記載された発明によれば、シート搬送手段として請求項1~6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いない場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することができ、シートの適正な位置に画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の一例としての用紙搬送装置の要部を示す構成図である。
【
図4】用紙搬送ロール対を示す要部断面構成図である。
【
図6】用紙搬送ロール対を示す要部断面構成図である。
【
図9】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
【
図10】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置における長尺紙の搬送状態を示す模式図である。
【
図11】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の一例としての用紙搬送装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0023】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、
図1に示されるように、大別して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等のフルカラーの画像を記録媒体(シート)の一例としての記録用紙5に形成(出力)する画像出力装置2と、画像出力装置2に長尺な記録用紙(以下、「長尺紙」という。)等を給紙する独立した給紙装置3を備えている。給紙装置3は、画像出力装置2の外部に隣接して配置されている。
【0024】
画像出力装置2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体(シート)の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40と、給紙装置50から給紙される記録用紙5を所要の搬送経路に沿って搬送するシート搬送装置(シート搬送手段)の一例としての用紙搬送装置60等を備えている。なお、図中の2aは画像出力装置2の装置本体を示している。この装置本体2aは支持構造部材や外装カバー等で構成されている。また、図中の実線は、装置本体2aの内部等において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
【0025】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体2aの内部空間において水平方向に沿って所要の間隙を介して1列に並べられて配置されている。
【0026】
4つの作像装置10は、例えば、感光体ドラム11と、感光体ドラム11の外周に配置されて当該感光体ドラム11の表面に所要の色のトナー像を形成する図示しない画像形成部材を備え、電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の画像を各感光体ドラム11の周面に形成するよう構成されている。4つの作像装置10は、電子写真方式により画像を形成するものに限らず、インクジェット記録方式や静電記録方式等によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等の各色の画像を形成するものを用いても勿論良い。なお、作像装置10がインクジェット記録方式により画像を形成するものである場合には、中間転写装置20は不要であり、作像装置10から記録用紙5に直接画像を形成することが可能である。この場合には、記録用紙5の搬送方向に沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等の各色のインクジェット記録方式により画像を形成する作像装置が配列される。
【0027】
中間転写装置20は、
図1に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)の鉛直方向に沿った下方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~24と、ベルト支持ロール24に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30とで主に構成されている。
【0028】
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された図示しない筐体の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するベルト形態又はロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0029】
給紙装置50は、
図1に示されるように、中間転写装置20及び二次転写装置30の下方の位置に存在するよう配置されている。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51,51・・・と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す図示しない送出装置とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体2aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられる。
【0030】
一方、独立した給紙装置3は、通常の画像形成装置1で使用される最もサイズが大きい定型サイズの記録用紙5であるA3サイズの記録用紙5よりも給紙方向及び/又は給紙方向と交差する方向に沿ったサイズが大きい長尺紙5aを積載した状態で収容する用紙収容体31と、定型サイズの記録用紙5を通常の用紙収容体51より多く収容可能な大容量用紙収容体32とを備えている。また、給紙装置3の装置本体3aの上端部には、長尺紙5a等を手差しで給紙する手差し用の用紙収容体33が配置されている。
【0031】
用紙搬送装置60は、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する給紙搬送路61や、二次転写位置においてトナー像が二次転写された記録用紙5を定着装置40へと搬送する中間搬送路62、定着装置40によってトナー像が定着された記録用紙5を図示しない用紙排出部へと搬送する排出搬送路63、定着装置40によってトナー像が定着された記録用紙5をそのまま排出せずに表裏を反転させる反転搬送路64、反転搬送路64によって表裏が反転された記録用紙5を両面に画像を形成するため給紙搬送路61へと再度搬送する両面用搬送路65などを備えている。なお、用紙搬送装置60については、後に詳述する。
【0032】
また、独立した給紙装置3は、用紙収容体31や大容量用紙収容体32、あるいは手差し用の用紙収容体33から給紙される長尺紙5aや記録用紙5を画像出力装置2の外部給紙部66へと搬送する用紙搬送ロール対34を有する給紙搬送路35を備えている。
【0033】
図1中、符号100は、給紙装置3を含む画像形成装置1全体の動作を制御する制御装置を示している。制御装置100は、給紙装置3を含む画像形成装置1全体の動作を制御する際に、記録用紙5のサイズや種類をユーザによる指示等に基づいて判別し、記録用紙5の斜行補正動作を含めた搬送状態を制御する。
【0034】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0035】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作について説明する。
【0036】
画像形成装置1は、制御装置100が画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40、給紙装置50及び用紙搬送装置60等が始動する。
【0037】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等の各色の画像が形成される。各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0038】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50は、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路61に送り出す。給紙搬送路61では、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0039】
中間転写装置20の二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写装置30から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の定着処理部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、排出搬送路63を介して例えば画像出力装置2の外部に配置された図示しない用紙排出部へと排出される。
【0040】
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙5をそのまま排出搬送路63を介して図示しない用紙排出部へ排出せずに、図示しない切替手段によって反転搬送路64へと搬送し、反転搬送路64によって記録用紙5の表裏を反転させて両面用搬送路65を通して給紙搬送路61へと再度搬送し、記録用紙5の裏面に画像を形成する。
【0041】
一方、外部の給紙装置3から給紙される長尺紙5aなどの片面又は両面に画像を形成する場合、給紙装置3は、作像動作に合わせて長尺紙5aなどの記録用紙5を給紙搬送路35に送り出し、給紙搬送路35を介して画像出力装置2の外部給紙部66へと給紙するように構成されている。
【0042】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0043】
<シート搬送装置の構成>
図1及び
図2はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の一例としての用紙搬送装置60を適用した画像形成装置を示す構成図である。
【0044】
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60は、画像出力装置2の装置本体2aの内部に存在するように配置されている。用紙搬送装置60は、
図1に示されるように、大別して、給紙装置50から給紙される記録用紙5を中間転写装置20の二次転写位置へと搬送する給紙搬送路61と、中間転写装置20の二次転写位置において転写されたトナー像を定着装置40へと搬送する中間搬送路62と、定着装置40によってトナー像が定着された記録用紙5を図示しない用紙排出部へと搬送する排出搬送路63と、定着装置40によってトナー像が定着された記録用紙5をそのまま排出せずに、当該記録用紙5の表裏を反転させる反転搬送路64と、反転搬送路64によって表裏が反転された記録用紙5を給紙搬送路61を介して中間転写装置20の二次転写位置へと再度搬送するための両面用搬送路65と、外部の給紙装置3から給紙される長尺紙5aを含む記録用紙5を給紙搬送路61へと搬送する短い外部給紙部66とを備えている。
【0045】
給紙搬送路61は、
図2に示されるように、給紙装置50から供給される記録用紙5を鉛直方向に沿った上方へと搬送するよう垂直に配置された垂直搬送路67と、垂直搬送路67に沿って鉛直方向に沿った上方へと搬送された記録用紙5の搬送方向を水平方向へと変更する湾曲搬送路68と、湾曲搬送路68に沿って水平方向へと搬送方向が変更された記録用紙5を中間転写装置20の二次転写位置へと搬送する水平搬送路69とを備えている。
【0046】
給紙搬送路61の垂直搬送路67には、記録用紙5を搬送する用紙搬送ロール対671と、記録用紙5の表面及び裏面を案内するガイド部材672が配置されている。また、給紙搬送路61の湾曲搬送路68には、記録用紙5の表面及び裏面を案内する湾曲したガイド部材681が配置されている。
【0047】
一方、給紙搬送路61の水平搬送路69には、記録用紙5を挟持(ニップ)した状態で搬送する複数(図示例では、3つ)の用紙搬送ロール対691~693と、記録用紙5の表面及び裏面を案内するガイド部材694が配置されている。これらの3つの用紙搬送ロール対691~693のうち、最も下流側であって中間転写装置20の二次転写位置の直前に配置された用紙搬送ロール対693は、記録用紙5を搬送方向と交差する方向に沿った主走査方向に沿って平行移動(シフト)させる第1のシフトロール対として構成されている。
【0048】
第1のシフトロール対としての用紙搬送ロール対693は、
図3及び
図4に示されるように、駆動モータ70によって減速ギア列71を介して回転駆動される駆動ロール693aと、駆動ロール693aから伝達ギア72を介して駆動力が伝達されるとともに駆動ロールに圧接される従動ロール693bとを備えている。駆動ロール693aは、その回転軸の軸方向に沿った一端部にスラスト方向の位置が規制された状態で設けられた軸受部73を介して、駆動モータ74及びラックギア75とピニオンギア76からなる移動機構によって、従動ロール693bと共に軸方向に沿って移動可能に構成されている。用紙搬送ロール対693の記録用紙5の搬送方向に沿った上流側には、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端縁の位置を検知するインラインセンサ等からなる第1の検知手段77が配置されている。
【0049】
また、これらの3つの用紙搬送ロール対691~693のうち、用紙搬送ロール対693の上流側に配置された用紙搬送ロール対692は、記録用紙5の二次転写部への搬送時期を調節するレジストロール対として構成されている。さらに、これらの3つの用紙搬送ロール対691~693のうち、最も上流側に配置された用紙搬送ロール対691は、他の用紙搬送ロール対692,693と協働して記録用紙5を搬送するものである。
【0050】
なお、第1のシフトロール対としての用紙搬送ロール対693が記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った主走査方向に沿った位置を調節する際には、用紙搬送ロール対693以外の搬送ロール対は、記録用紙5のニップ状態を解除するよう構成されている。
【0051】
中間搬送路62は、
図1に示されるように、未定着状態のトナー像を保持した記録用紙5を搬送するものであるため、図示しない複数又は単一の搬送ベルト等によって記録用紙5を定着装置40へと搬送するよう構成されている。定着装置40の搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5のカールを矯正するカール矯正装置78aが設けられている。
【0052】
さらに、排出搬送路63には、定着装置40によって定着処理が施された記録用紙5をそのまま排出する複数(図示例では、3つ)の用紙排出ロール対631~633が配置されている。
【0053】
排出搬送路63の3つの用紙排出ロール対631~633のうち、記録用紙5の搬送方向に沿った最も上流側に配置された用紙排出ロール対631の下流側には、記録用紙5の搬送方向を切り替える図示しない切替手段によって反転搬送路64へと記録用紙5を搬送する複数の用紙搬送ロール対641~644が配置されている。反転搬送路64の搬送方向に沿った下流側の端部645aは、複数の用紙搬送ロール対641~644の搬送方向に沿って両面用搬送路65の下方へと延在されている。反転搬送路64に配置される複数の用紙搬送ロール対642~644は、その回転方向が正転方向と反転方向とに切替可能に構成されている。反転搬送路64へと一旦搬送された記録用紙5は、複数の用紙搬送ロール対642~644の回転方向を反転させることにより、反転搬送路64を介して排出ロール対645により表裏を反転させた状態で図示しない用紙排出部へと排出可能に構成されている。
【0054】
また、反転搬送路64へと一旦搬送された記録用紙5は、用紙搬送ロール対644の回転方向を反転させることにより、図示しない切替手段によって両面用搬送路65へと搬送される。
【0055】
両面用搬送路65には、
図1及び
図2に示されるように、記録用紙5を搬送する複数の用紙搬送ロール対651~659と、記録用紙5の表面及び裏面を案内するガイド部材650が配置されている。これらの複数の用紙搬送ロール対651~659のうち、最も下流側であって給紙搬送路61の直前に配置された用紙搬送ロール対659は、記録用紙5を搬送方向と交差する方向に沿った主走査方向に沿って平行移動(シフト)させる第2のシフトロール対として構成されている。
【0056】
第2のシフトロール対としての用紙搬送ロール対659は、
図5及び
図6に示されるように、第1のシフトロール対である用紙搬送ロール対693と同様に構成されている。すなわち、第2のシフトロール対としての用紙搬送ロール対659は、駆動モータ78によって減速ギア列79を介して回転駆動される駆動ロール659aと、駆動ロール659aから伝達ギア80を介して駆動力が伝達されるとともに駆動ロール659aに圧接される従動ロール659bとを備えている。駆動ロール659aは、その回転軸の軸方向に沿った一端部にスラスト方向の位置が規制された状態で設けられた軸受部81を介して、駆動モータ82及びラックギア83とピニオンギア84からなる移動機構によって、従動ロール659bと共に軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0057】
また、これらの3つの用紙搬送ロール対657~659のうち、用紙搬送ロール対659の上流側に配置された用紙搬送ロール対658は、記録用紙5の斜行(スキュー)を補正する斜行補正手段の一例としての斜行補正ロール対として構成されている。
【0058】
用紙搬送ロール対658は、
図7及び
図8に示されるように、記録用紙5の搬送方向と交差する軸方向(幅方向)に沿ったフロント(前面)側に位置する第1の搬送手段の一例としての第1の駆動ロール658aと、軸方向に沿ったリア(背面)側に位置する第2の搬送手段の一例としての第2の駆動ロール658bとを有している。第1の駆動ロール658a及び第2の駆動ロール658bは、回転量(回転速度)が独立して制御可能に構成されている。なお、用紙搬送ロール対658の上方に位置する従動ロール658c,658dは、軸方向に沿って複数のロールが独立して回転可能に設けられている。
【0059】
第1及び第2の駆動ロール658a,658bは、スキュー補正装置90の筐体91に固定された状態又は回転可能に取り付けられた回転軸92に対してそれぞれ独立して回転可能に設けられている。第1及び第2の駆動ロール658a,658bは、第1及び第2の駆動モータ93,94によって駆動ベルト95,96を介して独立して所要の回転速度で回転駆動されるよう構成されている。第1及び第2の駆動ロール658a,658bの上部には、第1及び第2の従動ロール658c,658dが接触した状態でそれぞれ独立して回転可能に配置されている。そして、用紙搬送ロール対658は、記録用紙5をニップした状態で第1の駆動ロール658a及び第2の駆動ロール658bの回転量(回転速度)を個別に切り替えることにより、記録用紙5の斜行(スキュー)を補正するよう構成されている。
【0060】
用紙搬送ロール対658の記録用紙5の搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端縁の位置をそれぞれ検知する2つの第2の検知手段85a,85bがそれぞれ配置されている。第2の検知手段85a,85bは、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った中心に対して対称な位置にそれぞれ配置されている。第2の検知手段85a,85bからの検知信号は、制御装置100に入力されている。
【0061】
さらに、これらの3つの用紙搬送ロール対657~659のうち、最も上流側に配置された用紙搬送ロール対657は、他の用紙搬送ロール対651~656等と協働して記録用紙5を搬送するものである。
【0062】
外部給紙部66には、
図2に示されるように、外部の給紙装置3から供給される記録用紙5を挟持(ニップ)した状態で搬送する用紙搬送ロール対661と、記録用紙5の表面及び裏面を案内するガイド部材662が配置されている。
【0063】
ところで、上記の如く構成された用紙搬送装置60が適用される画像形成装置1は、外部の給紙装置3などから給紙される長尺紙5aに対しても画像を形成可能に構成されている。なお、長尺紙5aは、外部の給紙装置3から給紙される場合に限らず、画像形成装置1の内部から給紙されるものであっても勿論良い。記録用紙5の一例である長尺紙5aは、搬送方向に沿った長さが通常の定型紙に比較して長いため、用紙搬送装置60によって搬送する間に搬送方向と交差する方向に沿って移動し、長尺紙5aの搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置がずれる所謂サイドシフトが発生しやすい。特に、長尺紙5aの両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された長尺紙5aを、排出搬送路63から反転搬送路64を介して表裏を反転させた状態で、両面用搬送路65及び給紙搬送路61を介して中間転写装置20の二次転写位置へと搬送する必要があり、記録用紙5の搬送経路が非常に長く、通常の記録用紙5に比べて搬送方向と交差する方向に沿った端部位置がずれるサイドシフトが発生しやすい。
【0064】
そのため、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、
図2に示されるように、上記の如く、両面用搬送路65の記録用紙5の搬送方向に沿った最も下流側に、第2のシフトロール対としての用紙搬送ロール対659を備え、給紙搬送路61の記録用紙5の搬送方向に沿った最も下流側に配置された第1のシフトロール対としての用紙搬送ロール対693とともに、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置を補正するよう構成されている。
【0065】
しかしながら、記録用紙5が普通紙に比べて搬送方向に沿った長さが長い長尺紙5aである場合や、記録用紙5が普通紙に比較して坪量(例えば、200gsmを超える)が大きい厚紙である場合、あるいは記録用紙5が普通紙に比較して表面の凹凸が大きいエンボス紙等である搬送特性が普通紙に比較して低い用紙である場合、更には両面画像形成モード時等の場合には、次のような技術的課題が生じる虞れがある。すなわち、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659によって記録用紙5のサイドレジずれを補正する際に、湾曲した給紙搬送路61等が存在する関係上、記録用紙5を搬送するガイド部材681等との接触抵抗が普通紙に比べて大きく、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659を普通紙と同様の移動量だけ移動させても、記録用紙5のサイドレジずれを補正しきれない場合が生じ、サイドスキューの補正精度が低下する虞れがあるという技術的課題を有していた。
【0066】
そこで、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更可能な変更手段を備えるように構成されている。
【0067】
また、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、変更手段は、第1及び第2の端部補正手段におけるシートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更するよう構成されている。
【0068】
さらに、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、変更手段が採用する補正係数は、シートの搬送方向に沿った下流側の方が上流側より大きくなるよう設定されている。
【0069】
また、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、変更手段は、シートの搬送特性に応じて第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更するよう構成されている。ここで、シートの搬送特性としては、シートの搬送方向に沿った長さ、シートの坪量、シートの材質及びシートの搬送モードの少なくとも何れか1つが採用されている。
【0070】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、
図4及び
図6に示されるように、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659によって記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部位置を補正する際に、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の位置における記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が第1及び第2の検知手段77,85によって検知される。
【0071】
このとき、変更手段の一例としての制御装置100は、第1及び第2の検知手段77,85によって検知された記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部位置のずれ量を補正する際に、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定するにあたり、記録用紙5が普通紙である場合に設定された移動量に対して、シートの搬送特性に応じて補正係数を乗算して用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定するように構成されている。
【0072】
制御装置100は、通常、
図4及び
図6に示されるように、記録用紙5が普通紙等である場合、第1及び第2の検知手段77,85によって検知された記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部位置のずれ量と等しい移動量だけ、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659を移動させるように当該用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定する。
【0073】
これに対して、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60は、第1及び第2の検知手段77,85によって検知された記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部位置のずれ量と等しい移動量だけ、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659を移動させるように当該用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定するのではなく、第1及び第2の検知手段77,85によって検知された記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿った端部位置のずれ量に補正係数を乗算した値だけ、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659を移動させるように移動量を決定する。
【0074】
記録用紙5がその搬送方向と交差する方向に沿った端部の移動に影響を与える特性であり、例えば、記録用紙5の搬送方向及び/又は搬送方向と交差する方向に沿った長さ、記録用紙5の坪量及び記録用紙5の材質、さらには記録用紙5に対する画像形成モードの少なくとも何れか1つからなる。
【0075】
図7は画像形成装置の制御装置100を示すブロック図である。
【0076】
図において、符号101は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置100の制御手段の一例としての制御部を示している。制御部101は、画像形成動作を統括的に制御するとともに変更手段として機能するCPU(Central Processing Unit)102や、CPU102が実行する制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)103、CPU102が実行する制御プログラム等で使用するパラメータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)104、あるいはこれらCPU102やROM103等を接続する図示しないバス、外部のパーソナルコンピュータや画像読取装置などと通信する通信インターフェイス105などを備える。
【0077】
制御部101には、操作装置14の入力部14a及び表示部14bから画像を形成する記録用紙5のサイズや種類(坪量を含む)、プリント枚数、片面か両面などの画像形成モードが適宜入力される。また、制御部101は、検知手段77,85からの検知信号等に基づいて用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659を移動させるステッピングモータ等からなる駆動モータ74,82を制御する。
【0078】
ROM103には、記録用紙5の搬送方向及び/又は搬送方向と交差する方向に沿った長さや坪量等の搬送特性と、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の搬送特性に基づいて移動量を決定する補正係数などが予め記憶されている。
【0079】
記録用紙5の搬送方向に沿った長さがA3サイズの記録用紙5の長辺の長さ以下である場合は、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の移動量を決定する補正係数として通常の規定値である「1」が記憶されており、記録用紙5の搬送方向に沿った長さがA3サイズの記録用紙5の長辺の長さを超える場合は、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の移動量を決定する補正係数として通常の規定値に対して所定の補正係数C1(1以上の整数又は少数)が記憶されている。
【0080】
さらに、この場合には、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の移動量を決定する補正係数として、用紙搬送ロール対693より用紙搬送ロール対659の補正係数の方が大きな値に設定されている。
【0081】
また、記録用紙5の坪量が普通紙の坪量を上回り200gsmを超える場合には、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の移動量を決定する補正係数として通常の規定値に対して所定の補正係数C2(1以上の整数又は少数)が記憶されている。
【0082】
さらに、記録用紙5がエンボス紙等の特殊な用紙である場合には、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659による記録用紙5の移動量を決定する補正係数として通常の規定値に対して所定の補正係数C3(1以上の整数又は少数)が記憶されている。
【0083】
<用紙搬送装置の作用>
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、次のようにして、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することが可能となっている。
【0084】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、給紙装置3から供給される長尺紙5aに対して当該長尺紙5aの両面に画像を形成する場合には、
図10(a)に示されるように、給紙装置3から長尺紙5aが給紙される。
【0085】
その際、制御装置100は、ユーザによって指定された記録用紙5が普通紙ではなく長尺紙5aであることを判別する。
【0086】
給紙装置3から給紙された長尺紙5aは、画像出力装置2の内部へと搬送され、用紙搬送装置60の外部給紙部66及び給紙搬送路61を介して中間転写装置20の二次転写位置へと搬送される。その際、長尺紙5aは、
図2に示されるように、用紙搬送ロール対693の上流側に配置された第1の検知手段77によって搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が検知され、当該長尺紙5aの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置にずれが存在する場合には、
図4に示されるように、用紙搬送ロール対693によって端部位置が調節される。
【0087】
その後、片面に画像が形成され定着された長尺紙5aは、
図10(c)~(f)に示されるように、排出搬送路63及び反転搬送路64によって表裏が反転された後、両面用搬送路65へと搬送される。
【0088】
両面用搬送路65へと搬送された長尺紙5aは、
図11に示されるように、用紙搬送ロール対657及び用紙搬送ロール対658へと搬送される。
【0089】
このとき、用紙搬送ロール対658は、ニップされた状態となっている。
【0090】
次に、制御装置100は、用紙搬送ロール対658を駆動して長尺紙5aの斜行(スキュー)量を第2の検知手段85によって検知され、用紙搬送ロール対658によって長尺紙5aの斜行が補正される。
【0091】
その後、長尺紙5aは、
図2に示されるように、用紙搬送ロール対659の位置に配置された第2の検知手段85によって搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が検知され、当該長尺紙5aの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置にずれが存在する場合には、
図6に示されるように、用紙搬送ロール対659によって端部位置が調節される。
【0092】
その後、長尺紙5aは、
図2に示されるように、用紙搬送ロール対693の上流側に配置された第1の検知手段77によって搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が検知されるとともに、用紙搬送ロール対659の位置に配置された第2の検知手段85によって搬送方向と交差する方向に沿った端部の位置が検知される。
【0093】
そして、制御装置100は、第1の検知手段77又は第2の検知手段85の少なくともいずれか一方によって搬送方向と交差する方向に沿った長尺紙5aの端部位置のずれを検知した場合には、第1の検知手段77又は第2の検知手段85によってずれが検知された用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定するにあたり、第1の検知手段77及び/又は第2の検知手段85によって検知されたずれ量に補正係数C1を乗算した値として、用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定する。
【0094】
このように、実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、記録用紙5の搬送特性に応じて用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を補正係数を乗算することで個別に変更するよう構成されているため、長尺紙5aのように搬送方向に沿った長さが長い記録用紙5の場合においても、当該長尺紙5aの端部位置のずれを補正するのに適合した移動量に用紙搬送ロール対693及び用紙搬送ロール対659の移動量を決定することができる。
【0095】
そのため、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、次のようにして、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することが可能となっている。
【0096】
なお、前記実施の形態では、フルカラーの画像を形成する画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、モノクロ画像を形成する画像形成装置に対しても同様に適用することができることは勿論である。
【0097】
また、前記実施の形態では、シート搬送装置を画像形成装置の用紙搬送装置として適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シートを搬送するシート搬送装置であれば、画像形成装置以外の印刷装置等にも同様に適用することができることは勿論である。
【0098】
(付記)
(((1)))
シートの搬送方向に沿ってそれぞれ配置され、前記シートを保持した状態で前記シートの搬送方向と交差する方向に沿って移動させて前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った端部位置を補正する第1及び第2の端部補正手段と、
前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更可能な変更手段と、
を備えるシート搬送装置。
【0099】
(((2)))
前記変更手段は、前記第1及び第2の端部補正手段における前記シートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する(((1)))に記載のシート搬送装置。
【0100】
(((3)))
前記変更手段が採用する補正係数は、前記シートの搬送方向に沿った下流側の方が上流側より大きい(((2)))に記載のシート搬送装置。
【0101】
(((4)))
前記変更手段は、前記シートの搬送特性に応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する(((1)))に記載のシート搬送装置。
【0102】
(((5)))
前記変更手段は、前記シートの搬送特性として前記シートの搬送方向に沿った長さ、前記シートの坪量、前記シートの材質及び前記シートの搬送モードの少なくとも何れか1つに応じて前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更する(((4)))に記載のシート搬送装置。
【0103】
(((6)))
前記変更手段は、前記シートの坪量が大きいほど前記第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を大きく変更する(((5)))に記載のシート搬送装置。
【0104】
(((7)))
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段として(((1)))~(((6)))のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置。
【0105】
(((1)))に係るシート搬送装置によれば、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を一律に決定する場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することができる。
【0106】
(((2)))に係るシート搬送装置によれば、変更手段は、第1及び第2の端部補正手段におけるシートの搬送方向と交差する方向に沿った移動量に補正係数を乗算することにより、第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、補正係数を変更することにより、シートの端部位置の補正量を容易に設定することが可能となる。
【0107】
(((3)))に係るシート搬送装置によれば、変更手段が採用する補正係数は、シートの搬送方向に沿った下流側と上流側で等しい場合に比べて、シートの搬送方向に沿った下流側におけるシートの端部位置の補正精度を向上することができる。
【0108】
(((4)))に係るシート搬送装置によれば、変更手段は、シートの搬送特性に応じて第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、シートの搬送特性に応じたシートの端部位置の補正が可能となる。
【0109】
(((5)))に係るシート搬送装置によれば、変更手段は、シートの搬送特性としてシートの搬送方向に沿った長さ、シートの坪量、シートの材質及びシートの搬送モードの少なくとも何れか1つに応じて第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を個別に変更しない場合に比べて、具体的なシートの搬送特性に応じたシートの端部位置の補正が可能となる。
【0110】
(((6)))に係るシート搬送装置によれば、変更手段は、シートの坪量にかかわらず第1及び第2の端部補正手段における端部位置の補正量を変更する場合に比べて、坪量が大きいシートの端部位置の補正精度を向上させることができる。
【0111】
(((7)))に係る画像形成装置によれば、シート搬送手段として(((1)))~(((6)))のいずれかに記載のシート搬送装置を用いない場合に比べて、シートの端部位置の補正精度を向上することができ、シートの適正な位置に画像を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
1…画像形成装置
2…画像出力装置
3…給紙装置
5…記録用紙
60…用紙搬送装置
61…給紙搬送路
65…両面用搬送路
658…用紙搬送ロール対
93…第1の駆動モータ
94…第2の駆動モータ
100…制御装置