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特開2024-48882清掃装置、着脱ユニットおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048882
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】清掃装置、着脱ユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155020
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】下平 彬
(72)【発明者】
【氏名】市来 幸裕
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA06
2H134HD01
2H134HD05
2H134HD19
2H134JA02
2H134JB02
2H134KD08
2H134KG04
2H134KJ02
(57)【要約】
【課題】トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させる板状の清掃部材の先端側部分がめくれることを、非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる清掃装置等を提供する。
【解決手段】清掃装置1は、トナーが付着して移動する清掃対象面91を有した被清掃体90の清掃対象面91に先端面12aの一部を接触させてトナーを掻き取って清掃する板状の清掃部材12と、清掃部材12が掻き取った廃トナーを落下させて収容する収容空間10sを有する本体10と、本体10の収容空間10s内で清掃部材12の先端面12aよりも下方の位置に配置され、収容空間10sに収容される廃トナーを清掃部材12の長手方向Eに沿わせて搬送する搬送部材15と、を備え、搬送部材15は、清掃部材12の長手方向Eに沿う方向への搬送力がない非搬送部17を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させて前記トナーを掻き取って清掃する板状の清掃部材と、
前記清掃部材が掻き取った廃トナーを落下させて収容する収容空間を有する本体と、
前記本体の収容空間内で前記清掃部材の先端面よりも下方の位置に配置され、前記収容空間に収容される廃トナーを前記清掃部材の長手方向に沿わせて搬送する搬送部材と、
を備え、
前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がない非搬送部を有している清掃装置。
【請求項2】
前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部を含んで向き合う範囲の1つの位置に設けられている請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記非搬送部が設けられる1つの位置は、前記清掃部材の前記上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の位置である請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部をそれぞれ含んで向き合う範囲の2つの位置に設けられている請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記非搬送部が設けられる2つの位置は、前記清掃部材の前記両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の第一位置と、前記搬送する方向の下流側の端部から前記搬送する方向の上流側に入り込んだ範囲の第二位置である請求項4に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記搬送部材は、前記非搬送部を挟んで前記搬送する方向の上流側の位置および下流側の位置に、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がある搬送部を有している請求項1に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記清掃部材の後端側の部分を保持する保持部材を備え、
前記搬送部材は、前記搬送部の最下端が前記保持部材の前記清掃部材を保持する部分の上端よりも下方の位置に存在するよう配置されている請求項6に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿うように配置される回転軸と、前記回転軸に螺旋状に巻き付くように設けられる搬送羽根とからなるオーガであり、
前記オーガにおける前記非搬送部は、前記搬送羽根が途切れて設けられていない部分である請求項1に記載の清掃装置。
【請求項9】
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体と、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の清掃装置と、
を備え、
トナーからなる画像を形成する画像形成装置に着脱可能に装着される着脱ユニット。
【請求項10】
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項11】
前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられている請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
前記画像形成部の一部を構成する請求項9に記載の着脱ユニットと、
を備える画像形成装置。
【請求項13】
前記着脱ユニットにおける前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられている請求項12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、着脱ユニットおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被クリーニング部材の表面に当接して該表面上を相対移動することにより付着物を除去するクリーニング部材と、該クリーニング部材により除去された前記付着物を前記クリーニング部材の近傍で回収するために、該クリーニング部材上流側で前記被クリーニング部材に対向する開口を有する回収容器とを備え、前記回収容器内に、前記被クリーニング部材上に粉体を供給するための粉体供給手段を設けたクリーニング装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、中間転写ベルト上に残留する未転写トナーを、中間転写ベルトに圧接させたクリーニングブレードで除去する画像形成装置において、クリーニングブレードによって中間転写ベルトから除去回収された廃トナーを、中間転写ベルト上の、2次転写領域とクリーニングブレードとの間に散布する廃トナー供給手段を備えた画像形成装置が記載されている。
また、特許文献2には、前記クリーニングブレードによって中間転写ベルトから除去回収された廃トナーを廃トナー供給手段に搬送するトナー搬送手段をさらに備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-173351号公報(請求項1、図1
【特許文献2】特開2011-248167号公報(請求項1,2、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させる板状の清掃部材の先端側部分がめくれることを、非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる清掃装置、着脱ユニットおよび画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させて前記トナーを掻き取って清掃する板状の清掃部材と、
前記清掃部材が掻き取った廃トナーを落下させて収容する収容空間を有する本体と、
前記本体の収容空間内で前記清掃部材の先端面よりも下方の位置に配置され、前記収容空間に収容される廃トナーを前記清掃部材の長手方向に沿わせて搬送する搬送部材と、
を備え、
前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がない非搬送部を有している清掃装置である。
【0007】
本発明(2)は、上記発明(1)の清掃装置において、前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部を含んで向き合う範囲の1つの位置に設けられているものである。
【0008】
本発明(3)は、上記発明(2)の清掃装置において、前記非搬送部が設けられる1つの位置は、前記清掃部材の前記上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の位置であるものである。
【0009】
本発明(4)は、上記発明(1)の清掃装置において、前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部をそれぞれ含んで向き合う範囲の2つの位置に設けられているものである。
【0010】
本発明(5)は、上記発明(4)の清掃装置において、前記非搬送部が設けられる2つの位置は、前記清掃部材の前記両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の第一位置と、前記搬送する方向の下流側の端部から前記搬送する方向の上流側に入り込んだ範囲の第二位置であるものである。
【0011】
本発明(6)は、上記発明(1)の清掃装置において、前記搬送部材は、前記非搬送部を挟んで前記搬送する方向の上流側の位置および下流側の位置に、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がある搬送部を有しているものである。
【0012】
本発明(7)は、上記発明(6)の清掃装置において、前記清掃部材の後端側の部分を保持する保持部材を備え、
前記搬送部材は、前記搬送部の最下端が前記保持部材の前記清掃部材を保持する部分の上端よりも下方の位置に存在するよう配置されているものである。
【0013】
本発明(8)は、上記発明(1)の清掃装置において、前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿うように配置される回転軸と、前記回転軸に螺旋状に巻き付くように設けられる搬送羽根とからなるオーガであり、
前記オーガにおける前記非搬送部は、前記搬送羽根が途切れて設けられていない部分であるものである。
【0014】
また、本発明(9)は、
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体と、
上記発明(1)から(8)のいずれかの清掃装置と、
を備え、
トナーからなる画像を形成する画像形成装置に着脱可能に装着される着脱ユニットである。
【0015】
さらに、本発明(10)は、
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
上記発明(1)から(8)のいずれかの清掃装置と、
を備える画像形成装置である。
【0016】
本発明(11)は、上記発明(10)の画像形成装置において、前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられているものである。
【0017】
また、本発明(12)は、
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
前記画像形成部の一部を構成する上記発明(9)の着脱ユニットと、
を備える画像形成装置である。
【0018】
本発明(13)は、上記発明(12)の画像形成装置において、前記着脱ユニットにおける前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられているものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明(1)によれば、トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させる板状の清掃部材の先端側部分がめくれることを、非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
【0020】
上記発明(2)によれば、非搬送部が清掃部材の長手方向における2つ以上の位置に設ける場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを簡易に抑制することができる。
上記発明(3)によれば、非搬送部が設けられる1つの位置が清掃部材の上流側の端部から搬送部材の搬送方向の下流側に入り込んだ範囲の位置以外の位置である場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを簡易に抑制することができる。
【0021】
上記発明(4)によれば、非搬送部が清掃部材の長手方向における2つ以上の位置以外の位置に設ける場合に比べて、清掃部材の両端部の清掃対象面との摩擦を低減させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
上記発明(5)によれば、非搬送部が設けられる2つの位置が上記第一位置と上記第二位置以外の位置である場合に比べて、清掃部材の両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
【0022】
上記発明(6)によれば、搬送部材が非搬送部を挟んで搬送する方向の上流側の位置又は下流側の位置に搬送部を有していない場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの凝集を抑制しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
上記発明(7)によれば、搬送部材の搬送部の下端が保持部材の清掃部材を保持する部分の上端よりも上方の位置又はその上端と同じ高さの位置に存在するよう配置されている場合に比べて、清掃部材による清掃性能を安定化させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
【0023】
上記発明(8)によれば、回転軸と搬送羽根とからなるオーガにおける非搬送部が搬送羽根を途切らせて設けた部分以外の部分として構成されている場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
【0024】
上記発明(9)によれば、着脱ユニットにおける清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
【0025】
上記発明(10)によれば、画像形成装置における清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
上記発明(11)によれば、清掃部材の像保持有効領域の外側に相当する両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させて当該両端部を保護しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
【0026】
上記発明(12)によれば、着脱ユニットにおける清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
上記発明(13)によれば、清掃部材の像保持有効領域の外側に相当する両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させて当該両端部を保護しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態1に係る清掃装置の概略斜視図である。
図2図1の清掃装置における清掃部材、保持部材等の構成を示す説明図である。
図3図1の清掃装置における搬送部材等の構成を示す説明図である。
図4】(A)は清掃装置における清掃部材の清掃時の接触状態を拡大して示す概略説明図、(B)は(A)の清掃部材による清掃の状態を拡大して示す概略説明図である。
図5図1の清掃装置の廃トナーの滞留の状態を示す説明図である。
図6図1の清掃装置の廃トナーの滞留の状態を別の方向から示す説明図である。
図7】実施の形態1に係る画像形成装置の概要図である。
図8図7の画像形成装置における作像ユニットの概要図である。
図9】(A)は清掃装置を備えた着脱ユニットの一例の概要図、(B)は清掃装置を備えた着脱ユニットの他の例の概要図である。
図10図9(A)の着脱ユニットにおける清掃装置の搬送部材等の構成を示す説明図である。
図11】実施の形態2に係る清掃装置の一部(搬送部材等の構成)を示す説明図である。
図12】非搬送部を有する搬送部材の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0029】
◎実施の形態1.
実施の形態1に係る清掃装置1、画像形成装置3および着脱ユニット7は、以下に説明するよう構成されている。
【0030】
・清掃装置
清掃装置1は、図1に示されるように、トナーが付着して移動する清掃対象面91を有した被清掃体90の清掃対象面91に存在する不要なトナー等の不要物を除去して清掃対象面91を清掃する装置である。
不要物は、清掃対象面91から除去すべき物である。不要なトナーは、清掃対象面91から除去すべきトナーである。
【0031】
実施の形態1に係る清掃装置1は、図1に示されるように、本体10と、本体10の内部に配置される板状の清掃部材12、保持部材13、搬送部材15等を備えている。
【0032】
本体10は、清掃部材12で掻き取った廃トナー等を収容するとともに清掃部材12、保持部材13、搬送部材15等を収容して配置する内部の収容空間10sと、被清掃体90の清掃対象面91に向き合う部位に設けられる清掃開口部11を有している。
また、本体10は、清掃開口部11に廃トナーの漏れ出しを防止するシール材14が設けられている。シール材14としては、フィルム等の部材が使用される。
【0033】
板状の清掃部材12は、その先端面12aの一部12m(図4(A)参照)を被清掃体90の清掃対象面91に接触させて清掃対象面91に存在する不要なトナー等の不要物を掻き取って清掃する板状の部材である。清掃部材12は、いわゆるクリーニングブレードと称される部材でもある。
【0034】
実施の形態1における清掃部材12は、図2に示されるように、清掃対象面91の移動する方向(移動方向)J1とほぼ直交する方向に、所要の長さL1および幅で延びる横長の長方形からなる面と所要の板厚D1を有する板部材である。
また、清掃部材12は、その先端面12aの角部12cを、清掃対象面91の移動方向J1とほぼ直交する方向に沿う状態で接触させて使用される。先端面12aの角部12cは、図1に示されるように、清掃のときに、清掃部材12の清掃対象面91の移動方向J1の下流側に向き合う腹面12fと先端面12aが交差する辺の部分である。
さらに、清掃部材12は、例えば、ポリウレタン、シリコンゴム、ブタジエンゴム等の材料で構成される弾性板である。
【0035】
上記長さL1は、移動方向J1にほぼ沿うよう測定される部分の寸法である。上記幅は、移動方向J1にほぼ直交する方向に沿うように測定される部分の寸法であり、長さL1よりも長い寸法を有している。このため、清掃部材12は、幅の方向が長手方向E(図3参照)になる。また、上記ほぼ直交するとは、移動方向J1との交差角が直角(90°)又は直角±3°の範囲内の角度になる交差状態である。
【0036】
保持部材13は、本体10の内部において、清掃部材12をその先端面12aの角部12cが清掃対象面91に接触するように保持する部材である。
【0037】
実施の形態1における保持部材13は、清掃部材12を取り付けて保持する保持部を有する形状からなる部材である。
具体的には、保持部材13は、図2に示されるように、横たわる角柱状の土台部13aと土台部13aの上面の後方位置において所要の高さで垂直に立ち上がる板状の立上げ部13bとからなり、その土台部13aの上面とほぼ直交する立上げ部13bの前面が2面で構成される保持部を有する形状になっている。換言すれば、保持部材13は、角柱の1つの角部を含む部分を角柱状に切り欠いて残るほぼ直交する2面で構成される保持部を有する形状になっている。
【0038】
保持部材13は、図1に示されるように、土台部13aが本体10の内部の収容空間10sにおける底面10dに直接固定される。保持部材13は、本体10のおける底面10dに取付け部を介して固定されていてもよい。図1における符号10mは、保持部材13の一部(土台部13aの背面と立上げ部13bの背面の下部)を位置決めする位置決め部分である。
また、保持部材13は、例えば金属等の材料で形成される。
【0039】
また、保持部材13は、図2に示されるように、清掃部材12の後端面12bを土台部13aの上面に押し当てた状態で、かつ清掃部材12のうち所要の長さL2の後端側部分の背面12rを立上げ部13bの前面に押し当てた状態で保持する。これにより、清掃部材12は、全体の長さL1のうち保持部材13に保持される後端側部分の長さL2を除いて残る長さL3の先端側部分が、保持部材13に保持されない非保持部(フリーな部分)を有した状態で保持されて使用される。
【0040】
さらに、保持部材13は、図2に示されるように、例えば、清掃部材12が清掃対象面91に対して所要の食い込み量αおよび所要の押し付け力Fになるように清掃部材12の長さL2からなる後端側部分を保持する。
【0041】
清掃部材12の食い込み量αは、設計上において、清掃部材12を清掃対象面に対して所要の接触角度で取り付けた際に、清掃部材12の先端側部分が弾性変形して撓まない状態(図2中の二点鎖線で示す状態)を想定したときの清掃部材12の角部12cが清掃対象面91に食い込む量(長さ)である。
食い込み量αは、例えば、0.5mm以上1.5mm以下の範囲内で設定される。また、このときの接触角度は15°以上35°以下の範囲の角度(鋭角)である。
【0042】
清掃部材12の押し付け力Fは、清掃部材12(の角部12c)を清掃対象面91に押し付ける力である。押し付け力Fは、例えば、0.5gf/mm以上4.0gf/mm以下(1.5N以上12N以下)の範囲内で設定される。
【0043】
搬送部材15は、清掃部材12で掻き取られて本体10の収容空間10sに収容される廃トナーを所要の搬送先にむけて搬送する部材である。
【0044】
搬送部材15は、図1に示されるように、収容空間10sのうち清掃部材12と本体10の背面壁10rとの間であって清掃部材12の先端面12aよりも下方になる位置に設置されている。ちなみに、搬送部材15は、例えば廃トナーが回収される回収容器35(図7参照)に向けて廃トナーを本体10の外部に送り出すように搬送する。
【0045】
そして、実施の形態1における搬送部材15は、図3に示されるように、清掃部材12の長手方向Eに沿う方向(後述する搬送方向T)への搬送力がある搬送部16に加えて、清掃部材12の長手方向Eに沿う方向への搬送力がない非搬送部17を有する部材として構成されている。
【0046】
また、搬送部材15としては、図1に示されるように、本体10の内部の収容空間10sにおいて清掃部材12の長手方向E(図3参照)に沿って配置される回転軸15aと、回転軸15aの外周面に螺旋状に巻き付くよう設けられる搬送部16の一例である搬送羽根15bとからなるオーガ15Aが適用されている。このオーガ15Aは、スクリューオーガとも称されるものでもある。
【0047】
オーガ15Aは、回転軸15aが本体10の収容空間10s内で回転可能に支持されているとともに、回転軸15aの一端部に図示しない駆動装置からの回転動力が伝達されるようになっている。
このオーガ15Aは、図1図3に示されるように回転軸15aが所要の回転方向J2に回転することにより、搬送部16の一例である搬送羽根15bによって廃トナーを所望の搬送方向T(図3図5参照)に搬送する。
【0048】
オーガ15Aにおける非搬送部17は、図3に示されるように、清掃部材12の長手方向Eの両端部12j、12kをそれぞれ含んで向き合う範囲の2つの位置P1,P2に設けた2つの非搬送部17A,17Bとして構成されている。
【0049】
2つの位置P1,P2は、清掃部材12の両端部12j、12kをそれぞれ含む所要の範囲からなる位置であればよい。具体的には、2つの位置P1,P2は、清掃部材12の両端部12j、12kのうち搬送方向Tの上流側になる端部12jから搬送方向Tの下流側に所定の寸法だけ入り込んだ範囲の第一位置(P1)と、搬送方向Tの下流側になる端部12kから搬送方向Tの上流側に所定の寸法だけ入り込んだ範囲の第二位置(P2)である。
【0050】
また、オーガ15Aにおける非搬送部17は、図3に示されるように、螺旋状に連続する搬送羽根15bが途切れて設けられていない部分、換言すれば搬送羽根15bが途中で切り欠かれた部分として構成されている。このため、非搬送部17は、搬送羽根15bがなく、回転軸15aのみが存在するだけである。
【0051】
また、オーガ15Aは、図3に示されるように、非搬送部17A,17Bをそれぞれ挟んで搬送方向Tの上流側の位置および下流側の位置に、清掃部材12の長手方向Eに沿う方向への搬送力がある搬送羽根15bからなる3つの搬送部16A,16B,16Cを有している。
このうち搬送部16Aは、2つの非搬送部17A,17Bの間に挟まれた広い位置にある主要な搬送部になる。搬送部16Bは、非搬送部17Aの搬送方向Tの上流側に隣接する位置に配置される最上流の搬送部になる。搬送部16Cは、非搬送部17Aの搬送方向Tの下流側に隣接する位置に配置される最下流の搬送部になる。
【0052】
また、オーガ15Aは、図1に示されるように、搬送部16の一例である搬送羽根15bの下端16dが、保持部材13の清掃部材12を保持する部分の一部である立上げ部13bの上端13tよりも下方の高さ位置h1に存在するよう配置されている。
この場合、搬送部16の搬送羽根15bの下端16dは、保持部材13の立上げ部13bの上端13tよりも下方に少しでも存在すればよいが、好ましくは、搬送羽根15bの最外周部の全周の1/6程度の長さ部分が上端13tよりも下方に少なくとも存在するように設定するとよい。
【0053】
さらに、オーガ15Aは、図1に示されるように、搬送部16の一例である搬送羽根15bの上端16tが、清掃部材12の先端面12a(高さ位置h2)よりも下方に存在するよう配置されている。
搬送羽根15bの上端16tは、保持部材13の立上げ部13bの上端13tとの高低差Δh(図1参照)が次の条件を満たす寸法になるよう設定することが好ましい。つまり、その条件は、搬送部材15のオーガ15Aにおける非搬送部17により生じる後述の廃トナー溜まり(80Z、図6参照)の最も高い部分が、清掃部材12の先端面12aを乗り越えることが可能になるような寸法である。
【0054】
以上説明した清掃装置1は、その使用に際しては、図1に示されるように、本体10をその清掃開口部11が被清掃体90の清掃すべき清掃対象面91に向き合うことが可能になるよう配置される。また、清掃装置1は、板状の清掃部材12が清掃開口部11に存在する清掃対象面91に対して上記した状態で接触するよう配置することで使用される。
このときの清掃部材12は、図1図2に示されるように、清掃部材12の先端面12aが清掃対象面91の移動方向J1に向き合う状態において、その先端面12aの角部12cが清掃対象面91に最初に接触する姿勢になるよう保持部材13に保持された状態で使用される。
【0055】
また、清掃装置1により清掃される被清掃体90は、除去すべき不要なトナーが付着して移動し、清掃部材12を接触させて清掃することが有効な清掃対象面91を有するものであればよい。
トナーは、乾式の現像剤を構成する材料である。また、トナーは、微細な粒状の本体(主体)に、その本体よりも微小な潤滑剤等の外添剤が付着されている。
【0056】
(清掃装置による清掃動作)
清掃装置1は、その使用時には、図1に示されるように、板状の清掃部材12の先端面12aの角部12cが、移動方向J1に移動する被清掃体90の清掃対象面91に最初に接触した状態におかれる。
【0057】
この際、清掃部材12は、図4(A)に拡大して例示されるように、先端面12aの一部12m、すなわち角部12cに近い部分が、移動する清掃対象面91との接触で発生する摩擦力(引き込み力)により移動方向J1の下流側に引き込まれるように歪んだ状態に弾性変形して清掃対象面91に接触する。
これにより、清掃部材12は、先端面12aの一部12mである角部12cに近い部分が所要の接触幅ts1で清掃対象面91と接触し続けるようになる。このときの接触幅ts1は、例えば1μm~100μm程度である。
【0058】
このように清掃部材12の先端面12aの一部12mが清掃対象面91に所要の接触幅ts1で接触する状態は、清掃性能が確保される状態に相当するものである。また、清掃部材12の先端面12aの一部12mは、清掃対象面91が停止して移動しないときには、上記弾性変形した状態から復元した形状に戻る。
【0059】
この結果、清掃装置1では、図4(B)に例示されるように、清掃対象面91に付着する不要なトナー80が清掃部材12の先端面12aで止められて掻き取られる。
清掃部材12で掻き取られたトナー80は、本体10の収容空間10sに落下して、廃トナーとして収容される。また、本体10の収容空間10sに収容されて蓄積される廃トナーは、搬送部材15の一例であるオーガ15Aによって搬送方向Tに搬送される。
【0060】
また、清掃装置1では、図4(B)に例示されるように、トナー80に付着する外添剤81が、清掃部材12の先端面12aでせき止められてダムを形成するように滞留した外添剤溜まり81dを形成する。
これにより、清掃装置1においては、清掃部材12の先端面12aで止められたトナー80が、外添剤溜まり81dにより清掃部材12と清掃対象面91との間をすり抜けることも抑止される。
【0061】
また、清掃装置1では、その外添剤溜まり81dの一部が、清掃部材12の先端面12aのうち清掃対象面91と実際に接触する部分(先端面の一部12m)と清掃対象面91の間に供給されて潤滑剤のように機能する。
これにより、清掃装置1においては、清掃部材12と清掃対象面91の間の摩擦力が低減され、清掃部材12の先端面12aの一部12mが移動する清掃対象面91によって移動方向J1の下流側に引き込まれる作用が増大することが抑制される。その結果として、清掃部材12の先端面12aを含む先端側部分12sは、図4(A)に二点鎖線で例示されるように、めくれることが抑制される。
【0062】
その一方で、清掃装置1においては、清掃対象面91に存在する不要なトナーの量が相対的に少ない場合(例えば、画像密度が低い像形成の動作、換言すればトナーの使用量が少ない像形成の動作が連続する場合)があると、外添剤81の量も少なって潤滑剤として機能することが低減するため、図4(A)に二点鎖線で例示されるように、清掃部材12の先端側部分12sがめくれることがある。
清掃部材12における先端側部分12sのめくれは、図4(A)に二点鎖線で例示すれば、清掃部材12の先端面12aの角部12cとは反対側の第二角部12e(先端面12aと背面12rが交わる辺の部分)が清掃対象面91に接触するような状態になるまで弾性変形してしまうような現象である。
【0063】
この点、清掃装置1は、搬送部材15の一例として、非搬送部17を有するオーガ15Aを適用しているため、図5図6に破線で例示されるように、その非搬送部17(17A,17B)において本体10の収容空間10sに収容されて廃トナーの一部が、搬送されず収容空間10s内で一時的に滞留した状態になる。
図5および図6に符号80zが付されて示される範囲の破線部分は、オーガ15Aの非搬送部17(17A,17B)の搬送方向Tへの搬送力がない影響を受けて滞留した廃トナー(群)の表面(滞留面)になる。また、図5および図6に符号80sが付されて示される範囲の破線部分は、オーガ15Aの搬送部16(16A,16B,16C)の搬送羽根15bの搬送方向Tへの搬送力によって搬送される廃トナー(群)の表面(搬送移動面)になる。
【0064】
これにより、清掃装置1では、図6に例示されるように、オーガ15Aの非搬送部17(17A,17B)が存在する範囲において滞留した廃トナー80zが清掃部材12の上端になる先端面12aに達するまで堆積し、その滞留した廃トナー80zの一部80yが先端面12aに乗るようになる。つまり、清掃装置1では、本体10の収容空間10sに収容された廃トナーの一部(80y)が、清掃部材12の先端面12aに戻されるようにして供給される。また、清掃部材12の先端面12aに供給された廃トナーの一部80yは、清掃部材12の長手方向Eに少しずつ拡散される。
【0065】
この結果、清掃装置1においては、図4(B)や図6に示されるように、清掃部材12の先端面12aと清掃対象面91との間に、清掃対象面91から掻き取るべきトナー80以外である滞留した廃トナー80zの一部80y(廃トナー)が供給されて存在し続けるようになるので、その廃トナー80zの一部80yにも外添されている外添剤81が加わって外添剤81も一定以上の量でもって存在するようになる。
【0066】
このため、清掃装置1では、清掃対象面91に存在する不要なトナーの量が相対的に少ない場合が発生することがあっても、外添剤81による潤滑剤の機能が確保されて清掃部材12と清掃対象面91の間の摩擦力が低減され、清掃部材12の先端面12aを含む先端側部分12sがめくれることが抑制される。
また、この清掃装置1を適用する場合は、被清掃体90の清掃対象面91を介して所要量のトナー(例えばトナーバンド)を清掃部材12と清掃対象面91の間に別途意図的に供給する動作を行う必要がなく、像形成以外の用途で新しいトナーの消費することを回避できる。
【0067】
ちなみに、オーガ15Aの非搬送部17(17A,17B)において滞留した廃トナー80zは、その滞留する量が増量し続けることはなく、非搬送部17(17A,17B)の搬送方向Tの下流側に隣接して存在する搬送部16A,16Cの搬送羽根15bによって順次掻き出されるように搬送される。また、この滞留した廃トナー80zは、非搬送部17(17A,17B)の搬送方向Tの上流側に隣接して存在する搬送部16B,16Aの搬送羽根15bによって徐々に押し出されるように搬送される。
このようにして滞留した廃トナー80zは、徐々に入れ替わるように推移する。
【0068】
したがって、清掃装置1によれば、非搬送部17を有する搬送部材15を採用しない場合に比べると、板状の清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが容易に抑制される。
【0069】
また、清掃装置1は、図3に示されるように、オーガ15Aの非搬送部17(17A,17B)が、清掃部材12の長手方向Eの両端部12j、12kをそれぞれ含んで向き合う範囲の2つの位置P1,P2に設けられている。2つの位置P1,P2は、上記したような第一位置P1と第二位置P2である。
【0070】
このため、清掃装置1では、図6に示されるように、非搬送部17(17A,17B)で滞留した廃トナー80zの一部80yが、清掃部材12の両端部12j、12k付近にむけて供給されて存在するようになる。また、それに伴って清掃部材12の両端部12j、12k付近には、廃トナー80zの一部80yに付着している外添剤81(図3(B)参照)の存在も確保されることになる。
この結果、清掃装置1によれば、非搬送部17が清掃部材12の長手方向Eにおける2つの位置P1,P2以外の位置に設ける場合に比べると、清掃部材12の両端部12j、12k付近の清掃対象面91との摩擦が低減されつつ、清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが容易に抑制される。
【0071】
また、清掃装置1は、オーガ15Aとして、図3に示されるように、非搬送部17A,17Bをそれぞれ挟んで搬送方向Tの上流側の位置および下流側の位置に搬送部16A,16B,16Cを有するものが使用されている。
【0072】
このため、清掃装置1では、オーガ15Aの非搬送部17A,17Bの搬送方向Tの上流側および下流側の隣接する位置で搬送部16による廃トナーの搬送が確保される。
この結果、清掃装置1によれば、搬送部材15が非搬送部17を挟んで搬送方向Tの上流側の位置又は下流側の位置に搬送部16を有していない場合に比べると、清掃部材12で掻き取った廃トナーのうち非搬送部17A,17Bにより滞留した廃トナーが搬送されず滞留し続けることで凝集ひいては固着することが抑制されつつ、清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが抑制される。
【0073】
さらに、清掃装置1は、図1に示されるように、オーガ15Aについて、その搬送部16の一例である搬送羽根15bの下端16dが、保持部材13の立上げ部13bの上端13tよりも下方の高さ位置h1に存在するよう配置している。
【0074】
このため、清掃装置1では、本体10の収容空間10sのうち保持部材13の立上げ部13bの上端13tよりも上方に堆積する廃トナーが、常にオーガ15Aの回転動作(搬送動作)によってかき回されて撹拌され、凝集さらには固着しにくい状態におかれる。これにより、清掃装置1では、例えば、清掃部材12と本体10の背面壁10rとの間で廃トナーが凝集又は固着した場合のように、清掃部材12のうち保持部材13で保持されない長さL3からなるフリーな部分が、当該廃トナーの凝集した塊りで背面12r(図6等参照)側から不規則に押圧されるような状態になり、清掃対象面91との接触状態が不安定になって弾性変形の自由度が低下するという不具合が起こりにくくなる。
【0075】
この結果、清掃装置1によれば、オーガ15Aについて搬送部16の下端16dが保持部材13の立ち上げ部13bの上端13tよりも上方の位置又はその上端と同じ高さの位置に存在するよう配置されている場合に比べると、清掃部材12の清掃対象面91との接触状態が安定して清掃性能が安定化し、清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが抑制される。
【0076】
・画像形成装置
実施の形態1に係る画像形成装置3は、トナー80からなる画像を形成する装置であり、図7に示されるように、筐体30と、筐体30の内部に配置される画像形成部4、上記清掃装置1等を備えている。
【0077】
筐体30は、画像形成部4や清掃装置1等を収容して配置する内部の収容空間30sと、画像が形成された記録媒体8を排出して収容する排出収容部31等を有している。排出収容部31は、筐体30の上面部に斜めに窪んだ斜面として設けられている。筐体30は、構造フレーム、外装材等の材料を用いて箱状の形状に形成されている。
【0078】
画像形成部4は、トナー80からなる画像を記録媒体8に形成する部分である。
実施の形態1における画像形成部4は、トナー80からなるトナー像を形成する作像ユニット40と、作像ユニット40で形成されたトナー像を中継して記録媒体8に転写する中間転写ユニット50と、記録媒体8に転写されたトナー像を記録媒体8に定着させる定着装置58と、記録媒体8を収容して供給する媒体供給ユニット60とで構成されている。
【0079】
作像ユニット40は、例えば、4つの色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーからなる各色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像ユニット40A,40B,40C,40Dで構成されている。
4つの作像ユニット40A,40B,40C,40Dは、筐体30の収容空間30s内に直列状に配置されている。
【0080】
また、作像ユニット40A,40B,40C,40Dは、使用するトナーの色が上記4色の異なる色で相違するが、それ以外はいずれもほぼ同じ構成になっている。
すなわち、作像ユニット40A,40B,40C,40Dは、図8に示されるように、像保持体の一例であるドラム状の感光体41を有し、その感光体41の周囲に、帯電装置42、潜像形成装置(像露光装置)43、現像装置44A,44B,44C,44D、清掃装置46等の機器を配置して構成されている。
【0081】
感光体41は、感光層を有するとともにトナー像を保持する像保持面41aを有する像保持体であり、矢印で示す方向(回転方向J3)に回転する。
潜像形成装置43は、感光体41の帯電された後の像保持面41aに画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。また、潜像形成装置43は、外部から入力される画像情報が図示しない画像処理手段等で所要の処理が施されることで生成される画像信号を受けて作動する。
【0082】
現像装置44A,44B,44C,44Dは、上記4色のいずれか1色のトナーをそれぞれ専用に使用する。トナーとしては、例えばトナーとキャリアを含む二成分現像剤のトナーが使用される。
清掃装置46は、感光体41の一次転写位置を通過した像保持面41aに接触してトナーを掻き取ることで像保持面41aを清掃する清掃部材47、清掃部材47を保持する保持部材48、廃トナーを搬送する搬送部材49等を有している。清掃部材47、保持部材48、搬送部材49は、本体の内部に配置されている。
【0083】
中間転写ユニット50は、無端ベルト状の中間転写体51と、中間転写体51を回転可能に支持する支持ロール52,53と、一次転写ロール54と、二次転写ロール55と、清掃装置56等の機器を配置して構成されている。
【0084】
中間転写体51は、作像ユニット40A,40B,40C,40Dで形成される各色のトナー像を保持する像保持面51aを有した無端ベルトである。中間転写体51は、矢印で示す方向(回転方向J4)に回転する支持ロール52により、矢印で示す移動方向J1に循環して移動するよう回転する。
【0085】
一次転写ロール54は、中間転写体51が作像ユニット40A,40B,40C,40Dの各感光体41と対峙する各位置(一次転写位置)で中間転写体51を各感光体41にそれぞれ押し付けて回転する方式の転写装置である。一次転写ロール54は、各感光体41に形成されたトナー像を中間転写体51の像保持面51aにそれぞれ一次転写させる。
二次転写ロール55は、中間転写体51が支持ロール53と対峙する位置(二次転写位置)で中間転写体51を支持ロール53に押し付けて回転する方式の転写装置である。二次転写ロール55は、中間転写体51に一次転写されたトナー像を記録媒体8に一括して二次転写させる。
【0086】
清掃装置56は、ベルト状の中間転写体51のうち二次転写位置を通過した後の像保持面(具体的にはベルト外周面)51aに接触してトナーを掻き取ることで像保持面51aを清掃する装置である。
清掃装置56としては、図7に示されるように、上述した清掃装置1(図1から図3等参照)を適用したものである。
【0087】
このため、画像形成装置3においては、清掃装置1からなる清掃装置56により清掃されるベルト状の中間転写体51が被清掃体90になり、また中間転写体51の像保持面(具体的にはベルトの外周面)51aが清掃対象面91になる。
【0088】
また、清掃装置56においては、清掃装置1の場合と同様に、本体10,清掃部材12,保持部材13,搬送部材15(オーガ15A)等を備えている。また、清掃装置56は、図1図7に示されるように、中間転写体51の支持ロール52に掛け回されている部分に清掃部材12を接触させるように配置されている。
また、清掃装置56においては、中間転写体51の像保持面51aのうち支持ロール52に掛け回されている部分に清掃部材12が接触するように配置される。
【0089】
さらに、画像形成装置3においては、図3に二点鎖線で示されるように、中間転写体51の像保持面51aに像保持有効領域96が存在している(又は設定されている)。中間転写体51の場合における像保持有効領域96は、トナーからなる画像を構成する像(具体的には転写されるトナー像)を保持することが可能になっている領域である。また、このときの中間転写体51の像保持面51aには、像保持有効領域96よりも外側の領域(非画像形成域)97A,97Bが存在している。
【0090】
この場合における清掃装置1は、図3に示されるように、清掃部材12の長手方向Eの両端部12j,12kから像保持有効領域96の端部96c,96dに至るまでの部分(97A,97B)と向き合う範囲の2つの位置P1,P2に、オーガ15Aの非搬送部17A,17Bを設けている。
【0091】
定着装置58は、中間転写ユニット50の二次転写位置で二次転写されたトナー像を記録媒体8に定着させる装置である。
定着装置58は、記録媒体8の導入口や排出口が設けられた筐体の内部空間に、加熱用回転体、加圧用回転体等の機器を配置して構成されている。また、定着装置58は、加熱用回転体と加圧用回転体が圧接し合う部分が定着の処理を行う定着ニップ部になる。
【0092】
媒体供給ユニット60は、中間転写ユニット50における二次転写位置に供給すべき所要のサイズの記録媒体8を収容して送り出す装置である。媒体供給ユニット60は、記録媒体8を収容する収容体61と、記録媒体8を1つずつ送り出す送出装置62等の機器を配置して構成されている。
記録媒体8は、筐体30の内部での収容および搬送が可能でかつトナー像の転写および定着が可能な普通紙、コート紙、厚紙、封筒等の媒体であればよく、その材質、形態等については特に制約されるものでない。
【0093】
図7における符号65で示す一点鎖線は、筐体30の内部で記録媒体8が搬送される主な搬送路である。搬送路は、記録媒体8を挟持して搬送する複数の搬送ロール66a,66b,66c,66dや、記録媒体8の搬送空間を確保して記録媒体8の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
【0094】
画像形成装置3による多色画像の形成動作は、例えば、次のようにして行われる。
以下の説明で形成される多色画像は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを組み合わせて構成される、いわゆるフルカラー画像になる。
【0095】
はじめに、画像形成装置3では、図示しない制御手段が画像を形成する動作の指令を受けると、画像形成部4における作像ユニット40A,40B,40C,40Dと中間転写ユニット50において帯電動作、露光動作、現像動作、転写動作、清掃動作等がそれぞれ実行される。その一方で、画像形成装置3では、画像形成部4における媒体供給ユニット60において記録媒体8の二次転写位置への媒体供給動作が実行される。
これにより、画像形成装置3では、作像ユニット40A,40B,40C,40Dにおけるドラム状の各感光体41上に所定の色のトナー像がそれぞれ形成される。また、画像形成装置3では、その各色のトナー像が中間転写ユニット50におけるベルト状の中間転写体51を一次転写された後に、搬送路65を経由して二次転写位置に供給される記録媒体8に重ね合わせられるように二次転写される。
【0096】
続いて、画像形成装置3では、定着装置58において、トナー像が二次転写された記録媒体8が加熱用回転体と加圧用回転体とが接触する定着ニップ部に導入されて通過させられる定着動作が実行される。
これにより、画像形成装置3では、未定着のトナー像が加圧下で加熱されて記録媒体8に定着させられる。定着後の記録媒体8は、搬送路65を経由して排出収容部31に排出されて収容される。
【0097】
以上説明した動作により、画像形成装置3による1つの記録媒体8の片面に対する多色画像の基本的な形成動作が完了する。
【0098】
また、画像形成装置3においては、中間転写ユニット50におけるベルト状の中間転写体51における清掃対象面91である像保持面51aが清掃装置1からなる清掃装置56により清掃される(図6図7参照)。
この清掃の際、清掃装置1では、上述したように清掃部材12の先端面12aの一部12m(角部12cに近い部分)を中間転写体51の移動する像保持面51aに接触させ続けて清掃が行われる(図4参照)。
【0099】
またこの清掃の際、清掃装置1では、上述したように本体10の収容空間10sのうちオーガ15Aの非搬送部17A,17Bに対応する範囲において廃トナーが滞留するとともに、その滞留した廃トナー80zの一部80yが清掃部材12の先端面12aの長手方向Eにおける両端部付近に供給されて存在する(図5図6参照)。
これにより、中間転写ユニット50の清掃装置1においても、オーガ15Aからなる搬送部材15として非搬送部17を有しない搬送部材を適用した場合に比べると、清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが抑制される。
【0100】
また、この中間転写ユニット50の清掃装置1では、清掃部材12のうち中間転写体51の像保持面51aにおける像保持有効領域96の外側の領域97A,97Bにほぼ相当する両端部(位置P1,P2に相当する部分)の像保持面51aとの摩擦が廃トナー80zの存在により適切に低減され、その清掃部材12の両端部が摩耗から保護される。
【0101】
以上のことから、画像形成装置3では、中間転写ユニット50におけるベルト状の中間転写体51の像保持面51aが、清掃装置1によって清掃部材12のめくれが抑えられて良好に清掃され、これによって中間転写ユニット50におけるトナー像の一次転写および二次転写が良好に行われる。
【0102】
また、画像形成装置3では、画像密度が比較的低く画像の形成動作が連続して実行されて中間転写体51の像保持面51aに存在する不要なトナーの量が相対的に少ない場合があっても、トナーを清掃装置1に向けて別途意図的に供給する動作を行うことを省略することが可能になり、画像形成に関与しないトナーの余分な消費が低減される。
この別途意図的に供給する動作は、例えば、作像ユニット40A,40B,40C,40Dの全部又は一部において現像装置44から一定の量のトナー(トナーバンドなど)を感光体41に付着させてから中間転写体51に一次転写させた後、二次転写させずに清掃装置1に到達させるように供給する動作である。
【0103】
・着脱ユニット
実施の形態1に係る着脱ユニット7は、例えば、画像形成装置3の作像ユニット40A,40B,40C,40Dにおける一部分を、図9(A)に例示されるように、筐体30最終的には各作像ユニット40に対して着脱可能に装着されるプロセス着脱ユニット71として構成したものである。
【0104】
実施の形態1におけるプロセス着脱ユニット71は、ドラム状の感光体41、帯電装置42および清掃装置46が、支持フレーム72に一体的に取り付けられたユニット(又はカートリッジ)として構成されている。
【0105】
また、プロセス着脱ユニット71は、図9(A)に例示されるように、ドラム状の感光体41の清掃装置46として、上述した清掃装置1(図1から図3等参照)を適用している。
このため、プロセス着脱ユニット71においては、ドラム状の感光体41が清掃装置1からなる清掃装置46により清掃される被清掃体90になり、また感光体41の像保持面(具体的にはドラムの外周面)41aが清掃対象面91になる。
【0106】
また、清掃装置46は、図9(A)に例示されるように、清掃装置1の場合と同様に、本体10,清掃部材12,保持部材13,搬送部材15等を備えている。さらに、清掃装置46においては、感光体41の像保持面41aのうち転写動作後でかつかつ帯電動作前になる部分に清掃部材12が接触するように配置される。
【0107】
さらに、プロセス着脱ユニット71においては、図10に二点鎖線で概念的に例示されるように、感光体41の像保持面41aに像保持有効領域96が存在している(又は設定されている)。感光体41の場合における像保持有効領域96は、トナーからなる画像を構成する像(具体的には現像されて形成されるトナー像の他、潜像も含む)を保持することが可能になっている領域である。また、このときの感光体41の像保持面41aにおいても、像保持有効領域96よりも外側の領域(非画像形成域)97A,97Bが存在している。
【0108】
この感光体41の像保持面41aに対する清掃装置1は、図10に示されるように、清掃部材12の長手方向Eの両端部12j,12kから像保持有効領域96の端部96c,96dに至るまでの部分(97A,97B)と向き合う範囲の2つの位置P1,P2に、オーガ15Aの非搬送部17A,17Bを設けている。
【0109】
また、プロセス着脱ユニット71は、例えば、それ単独で画像形成装置3の筐体30の手前側に引き出して取り外すか、又は該当する作像ユニット40の一部を筐体30の手前側に引き出した状態にしたうえでプロセス着脱ユニット71の部分を取り外すように構成される。
【0110】
清掃装置1を備えた着脱ユニット7の一例であるプロセス着脱ユニット71では、上述したように清掃部材12の先端面12aの一部12m(角部12cに近い部分)を、感光体41の像保持面41aに接触させた清掃が行われる(図4参照)。
【0111】
この清掃の際、清掃装置1においても、図10に破線で例示されるように、上述したように本体10の収容空間10sのうちオーガ15Aの非搬送部17A,17Bに対応する範囲において廃トナーが滞留するとともに、その滞留した廃トナー80zの一部が清掃部材12の先端面12aの両端部付近に供給されて存在する。
これにより、プロセス着脱ユニット71の清掃装置1においても、オーガ15Aからなる搬送部材15として非搬送部17を有しない搬送部材を適用した場合に比べると、清掃部材12の先端側部分12sがめくれること(図4(A)参照)が抑制される。
【0112】
また、このプロセス着脱ユニット71の清掃装置1では、清掃部材12のうち感光体41の像保持面41aにおける像保持有効領域96の外側の領域97A,97Bにほぼ相当する両端部(位置P1,P2に相当する部分)の像保持面41aとの摩擦が廃トナー80zの存在により適切に低減され、その清掃部材12の両端部が摩耗から保護される。
【0113】
以上のことから、プロセス着脱ユニット71を画像形成装置3の筐体30に装着して使用した場合は、プロセス着脱ユニット71におけるドラム状の感光体41の像保持面41aが、清掃装置1によって清掃部材12のめくれが抑えられて良好に清掃され、その結果として作像ユニット40における帯電、露光(潜像の形成)、現像等が良好に行われる。
【0114】
(着脱ユニットの変形例)
なお、プロセス着脱ユニット71は、清掃装置1と、清掃装置1により清掃する被清掃体90とを少なくとも備えたものであればよい。
このため、プロセス着脱ユニット71は、帯電装置42を備えないものであってもよい。また、プロセス着脱ユニット71は、清掃装置1と被清掃体90である感光体41の他に、潜像形成装置43又は現像装置44を備えたものであってもよい。
【0115】
また、着脱ユニット7としては、画像形成装置3の中間転写ユニット50における一部分を、図9(B)に例示されるように、筐体30(最終的には中間転写ユニット50)に対して着脱可能に装着される転写着脱ユニット75として構成したものである。
【0116】
実施の形態1における転写着脱ユニット75は、ベルト状の中間転写体51、支持ロール52,53、一次転写ロール54および清掃装置56が、支持フレーム76に一体的に取り付けられたユニット(又はカートリッジ)として構成されている。
【0117】
また、転写着脱ユニット75は、ベルト状の中間転写体51の清掃装置56として、上述した清掃装置1を適用したものである。
このため、転写着脱ユニット75においては、ベルト状の中間転写体51が清掃装置1により清掃される被清掃体90になり、また中間転写体51の像保持面(具体的にはベルトの外周面)51aが清掃対象面91になる。また、清掃装置56は、清掃装置1の場合と同様に、収容空間10s、清掃開口部11等を有する本体10と、本体10の内部に配置される清掃部材12、保持部材13、搬送部材15等を備えたものになる(図1から図3等参照)。
【0118】
また、転写着脱ユニット75は、例えば、それ単独で画像形成装置3の筐体30の手前側に引き出して取り外すか、又は中間転写ユニット50の一部又は全部を筐体30の手前側に引き出した状態にしたうえで転写着脱ユニット75の部分を取り外すように構成される。
【0119】
清掃装置1を備えた着脱ユニット7の他の一例である転写着脱ユニット75では、上述したように清掃部材12の先端面12aの一部12m(角部12cに近い部分)を、中間転写体51の像保持面41aに接触させた清掃が行われる(図4参照)。
【0120】
この清掃の際、清掃装置1においては、上述した場合と同様に、図5図6に破線で例示されるように、本体10の収容空間10sのうちオーガ15Aの非搬送部17A,17Bに対応する範囲において廃トナーが滞留するとともに、その滞留した廃トナー80zの一部が清掃部材12の先端面12aの両端部付近に供給されて存在する。
これにより、転写着脱ユニット75の清掃装置1においても、オーガ15Aからなる搬送部材15として非搬送部17を有しない搬送部材を適用した場合に比べると、清掃部材12の先端側部分12sがめくれること(図4(A)参照)が抑制される。
【0121】
また、この転写着脱ユニット75の清掃装置1では、清掃部材12のうち感光体41の像保持面41aにおける像保持有効領域96の外側の領域97A,97Bにほぼ相当する両端部(位置P1,P2に相当する部分)の像保持面41aとの摩擦が廃トナー80zの存在により適切に低減され、その清掃部材12の両端部が摩耗から保護される。
【0122】
以上のことから、転写着脱ユニット75を画像形成装置3の筐体30に装着して使用した場合は、着脱ユニット7におけるドラム状の感光体41の像保持面41aが、清掃装置1によって清掃部材12のめくれが抑えられて良好に清掃され、その結果として作像ユニット40における帯電、露光(潜像の形成)、現像等が良好に行われる。
【0123】
また、転写着脱ユニット75は、清掃装置1と、清掃装置1により清掃する被清掃体90とを少なくとも備えたものであればよい。
このため、転写着脱ユニット75は、一次転写ロール54を備えないものであってもよい。また、転写着脱ユニット75は、二次転写ロール55を備えたものであってもよい。
【0124】
◎実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る清掃装置1Bの一部(搬送部材等の構成)を示す説明図である。
【0125】
実施の形態2に係る清掃装置1Bは、実施の形態1におけるオーガ15Aに代えて、異なる構成のオーガ15Bを適用して変更した以外は実施の形態1に係る清掃装置1と同じ構成からなるものである。
ここでは、一例として、清掃装置1Bにより清掃する被清掃体90を中間転写体51又は感光体41とし、中間転写体51の像保持面51a又は感光体41の像保持面41aを清掃対象面91として説明する。
【0126】
実施の形態1におけるオーガ15Bは、図11に示されるように、清掃部材12の長手方向Eの両端部12j、12kにおける一方の端部12jを含んで向き合う範囲の1つの位置P3に、1つの非搬送部17Cが設けられている。オーガ15Bは、この非搬送部17Cを採用する点で、実施の形態1におけるオーガ15Aと構成上異なる。
【0127】
1つの位置P3は、清掃部材12のうち搬送方向Tの上流側になる端部12jを含む所要の範囲からなる位置としている。具体的には、1つの位置P3は、図11に示されるように、清掃部材12の端部12jから搬送方向Tの下流側に所定の寸法だけ入り込んだ範囲の位置になる。
また、実施の形態2における1つの位置P3は、図11に例示されるように、像保持面51a等の清掃対象面91に像保持有効領域96が存在する場合であれば、清掃部材12の端部12jから像保持有効領域96の端部96cに至るまでの部分(97A)と向き合う範囲の位置になる。
【0128】
この清掃装置1Bは、清掃時になると、非搬送部17Cを有するオーガ15Bを適用しているため、図11に破線で例示されるように、本体10の収容空間10sに収容されて廃トナーの一部が、その非搬送部17Cにおいて搬送されず収容空間10s内で一時的に滞留した状態(滞留した廃トナー80z)になる。
また、清掃装置1Bでは、その滞留した廃トナー80zの一部80yが堆積して清掃部材12の先端面12aの一方の端部12j付近に戻されるよう供給され、その一部80yが清掃部材12の上端になる先端面12aに乗るようになる(図6参照)。さらに、このときの清掃部材12の先端面12aに乗るように供給された廃トナーの一部80yは、清掃部材12の長手方向E(本例では主に搬送方向Tの下流側)に少しずつ拡散される。
【0129】
ちなみに、オーガ15Bの非搬送部17Cにおいて滞留した廃トナー80zは、その滞留する量が増量し続けることはなく、非搬送部17Cの搬送方向Tの下流側に隣接して存在する搬送部16Aの搬送羽根15bによって順次掻き出されるように搬送される。また、この滞留した廃トナー80zは、非搬送部17Cの搬送方向Tの上流側に隣接して存在する搬送部16Bの搬送羽根15bによって徐々に押し出されるように搬送される。
このようにして滞留した廃トナー80zは、徐々に入れ替わるように推移する。
【0130】
したがって、清掃装置1Bによっても、非搬送部17Cを有する搬送部材15のオーガ15Bを採用しない場合に比べると、滞留した廃トナー80zの一部80yが板状の清掃部材12の一方の端部12jにおける先端面12aに戻されるように供給されるので、板状の清掃部材12の先端側部分12sがめくれることが容易に抑制される。
【0131】
◎他の変形例.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1で説明した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形や実施が可能である。
このため、本発明は、例えば、以下に示す変形例等も含むものである。
【0132】
実施の形態1,2では、非搬送部17を有する搬送部材15として、非搬送部17を2つ又は1つ設けた搬送部材を例示したが、3つ以上の非搬送部17を設ける搬送部材を適用しても構わない。
実施の形態1,2におけるオーガ15A,15Bの搬送羽根15bは、1つの搬送部16内において又は複数の搬送部16どうし間においてピッチを異ならせてもよい。また、オーガ15Aにおける2つの非搬送部17A,17Bは、その幅(搬送方向Tに沿う長さ)を互いに異ならせてもよい。
【0133】
実施の形態1,2では、非搬送部17を有する搬送部材15として回転軸15aと搬送羽根15bからなるオーガ15A,15Bを例示したが、搬送部材15としては、その形態のものに限定されない。
【0134】
非搬送部17を有する他の形態からなる搬送部材15としては、例えば、図12に例示されるように、直線状の線材からなる軸部15cと螺旋状に曲げ加工された線材からなる搬送曲げ部15dとを有する形態のアジテータ15Cを適用してもよい。
図12に例示されたアジテータ15Cは、実施の形態1におけるオーガ15Aの非搬送部17A,17Bの場合と同様の1つの位置(P1,P2)に、非搬送部17D,17Eが設けられている。この非搬送部17D,17Eは、搬送曲げ部15dが設けられず軸部15cのみからなる部分として構成されている。
また、アジテータ15Cは、非搬送部17D,17Eの間に存在する搬送部16Dと、非搬送部17Dの搬送方向Tの上流側に存在する搬送部16Eと、非搬送部17Eの搬送方向Tの下流側に存在する搬送部16Fとを有している。アジテータ15Cにおいては、非搬送部17Eおよび搬送部16Fの螺旋ピッチを、搬送部16Dの螺旋ピッチよりも狭くしている。しかし、螺旋ピッチについては、この構成に何ら限定されない。
【0135】
そして、アジテータ15Cは、清掃装置1の本体10の収容空間10sに設置され(図6参照)、清掃時になると、軸部15cを中心にして所要の方向(回転方向)J2に回転させられる。
これにより、アジテータ15Cを備えた清掃装置1においては、図12に例示されるように、軸部15cを中心にして回転方向J2に回転させられると、収容空間10sにおいて、搬送部16D, 16E, 16Fにより廃トナー(80s)を搬送方向Tに搬送する一方で、非搬送部17D,17Eに相当する範囲で廃トナーの一部を一時的に滞留させた状態(滞留した廃トナー80z)にする。
この結果、アジテータ15Cによっても、その滞留した廃トナー80zの一部(80y)を、清掃部材12の先端面12aに乗せるように供給することができる(図6参照)。
【0136】
実施の形態2では、1つの非搬送部17Cを有するオーガ15Bとして、非搬送部17Cを、清掃部材12の長手方向Eにおける一方(搬送方向Tの上流側)の端部12jを含んで向き合う範囲の1つの位置P3に設けたものを例示した。
しかし、1つの非搬送部17Cについては、清掃部材12の長手方向Eにおける他方(搬送方向Tの下流側)の端部12kを含んで向き合う範囲の1つの位置(例えば図3における位置P2)に設けてもよい。
また、上記アジテータ15Cにおいても、非搬送部17D,17Eの一方のみを設けるようにしても構わない。
【0137】
画像形成装置3においては、作像ユニット40A,40B,40C,40Dにおける清掃装置46(着脱ユニットの一部として含まれない場合の清掃装置46)として、図8に例示するように清掃装置1を適用してもよい。
また、画像形成装置3においては、清掃装置1で清掃する被清掃体90として、中間転写体51(ドラム形態のものも含む)や感光体41(ベルト形態のものも含む)以外の構成部品を対象にしてもよい。
【0138】
この他、本発明の画像形成装置は、実施の形態1で例示した多色画像を形成する形式の画像形成装置3に限定されない。すなわち、画像形成装置は、清掃装置1を備えるものであれば、多色画像を形成する他の形式の画像形成装置であってもよく、さらには単色の画像を形成する形式の画像形成装置であってもよい。
【0139】
(付記)
(((1)))
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させて前記トナーを掻き取って清掃する板状の清掃部材と、
前記清掃部材が掻き取った廃トナーを落下させて収容する収容空間を有する本体と、
前記本体の収容空間内で前記清掃部材の先端面よりも下方の位置に配置され、前記収容空間に収容される廃トナーを前記清掃部材の長手方向に沿わせて搬送する搬送部材と、
を備え、
前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がない非搬送部を有している清掃装置。
(((2)))
前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部を含んで向き合う範囲の1つの位置に設けられている (((1)))に記載の清掃装置。
(((3)))
前記非搬送部が設けられる1つの位置は、前記清掃部材の前記上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の位置である (((2))) に記載の清掃装置。
(((4)))
前記非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部をそれぞれ含んで向き合う範囲の2つの位置に設けられている(((1)))に記載の清掃装置。
(((5)))
前記非搬送部が設けられる2つの位置は、前記清掃部材の前記両端部のうち前記搬送する方向の上流側の端部から前記搬送する方向の下流側に入り込んだ範囲の第一位置と、前記搬送する方向の下流側の端部から前記搬送する方向の上流側に入り込んだ範囲の第二位置である(((4)))に記載の清掃装置。
(((6)))
前記搬送部材は、前記非搬送部を挟んで前記搬送する方向の上流側の位置および下流側の位置に、前記清掃部材の長手方向に沿う方向への搬送力がある搬送部を有している(((1)))から(((5)))のいずれかに記載の清掃装置。
(((7)))
前記清掃部材の後端側の部分を保持する保持部材を備え、
前記搬送部材は、前記搬送部の最下端が前記保持部材の前記清掃部材を保持する部分の上端よりも下方の位置に存在するよう配置されている(((6)))に記載の清掃装置。
(((8)))
前記搬送部材は、前記清掃部材の長手方向に沿うように配置される回転軸と、前記回転軸に螺旋状に巻き付くように設けられる搬送羽根とからなるオーガであり、
前記オーガにおける前記非搬送部は、前記搬送羽根が途切れて設けられていない部分である(((1)))から(((7)))のいずれかに記載の清掃装置。
(((9)))
トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体と、
(((1)))から(((8)))のいずれかに記載の清掃装置と、
を備え、
トナーからなる画像を形成する画像形成装置に着脱可能に装着される着脱ユニット。
(((10)))
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
(((1)))から(((8)))のいずれかに記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置。
(((11)))
前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられている(((10)))に記載の画像形成装置。
(((12)))
トナーからなる画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
前記画像形成部の一部を構成する(((9)))に記載の着脱ユニットと、
を備える画像形成装置。
(((13)))
前記着脱ユニットにおける前記清掃対象面に像保持有効領域が存在する場合、前記搬送部材の非搬送部は、前記清掃部材の長手方向の両端部から前記像保持有効領域の端部に至るまでの部分と向き合う範囲の2つの位置に設けられている(((12)))に記載の画像形成装置。
【0140】
(((1)))に係る清掃装置によれば、トナーが付着して移動する清掃対象面を有した被清掃体の前記清掃対象面に先端面の一部を接触させる板状の清掃部材の先端側部分がめくれることを、非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
(((2)))に係る清掃装置によれば、非搬送部が清掃部材の長手方向における2つ以上の位置に設ける場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを簡易に抑制することができる。
(((3)))に係る清掃装置によれば、非搬送部が設けられる1つの位置が清掃部材の上流側の端部から搬送部材の搬送方向の下流側に入り込んだ範囲の位置以外の位置である場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを簡易に抑制することができる。
(((4)))に係る清掃装置によれば、非搬送部が清掃部材の長手方向における2つ以上の位置以外の位置に設ける場合に比べて、清掃部材の両端部の清掃対象面との摩擦を低減させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
(((5)))に係る清掃装置によれば、非搬送部が設けられる2つの位置が上記第一位置と上記第二位置以外の位置である場合に比べて、清掃部材の両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
(((6)))に係る清掃装置によれば、搬送部材が非搬送部を挟んで搬送する方向の上流側の位置又は下流側の位置に搬送部を有していない場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの凝集を抑制しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
(((7)))に係る清掃装置によれば、搬送部材の搬送部の下端が保持部材の清掃部材を保持する部分の上端よりも上方の位置又はその上端と同じ高さの位置に存在するよう配置されている場合に比べて、清掃部材による清掃性能を安定化させつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
(((8)))に係る清掃装置によれば、回転軸と搬送羽根とからなるオーガにおける非搬送部が搬送羽根を途切らせて設けた部分以外の部分として構成されている場合に比べて、清掃部材で掻き取った廃トナーの搬送部材による搬送性を確保しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを容易に抑制することができる。
(((9)))に係る着脱ユニットによれば、着脱ユニットにおける清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、画像形成装置における清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
(((11)))に係る画像形成装置によれば、清掃部材の像保持有効領域の外側に相当する両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させて当該両端部を保護しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
(((12)))に係る画像形成装置によれば、着脱ユニットにおける清掃装置の清掃部材の先端側部分がめくれることを、清掃装置において非搬送部を有する搬送部材を採用しない場合に比べて、容易に抑制することができる。
(((13)))に係る画像形成装置によれば、清掃部材の像保持有効領域の外側に相当する両端部の清掃対象面との摩擦を適切に低減させて当該両端部を保護しつつ、清掃部材の先端側部分がめくれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 …清掃装置
3 …画像形成装置
4 …画像形成部
7 …着脱ユニット
8 …記録媒体
12…清掃部材
12a…先端面
12m…先端面の一部
12s…先端側部分
12j…上流側の端部
12k…下流側の端部
13…保持部材
13b…立ち上げ部(保持する部分の一例)
13t…上端
15…搬送部材
15A…オーガ(搬送部材の一例)
15a…回転軸
15b…搬送羽根(搬送部の一例)
15C…アジテータ(搬送部材の一例)
16,16A,16B,16C,16D,16E,16F…搬送部
16d…最下端
17,17A,17B,17C,17D,17E…非搬送部
41…感光体(被清掃体の一例、像保持体の一例)
51…中間転写体(被清掃体の一例、像保持体の一例)
96…画像保持有効領域
96c,97d…画像保持有効領域の端部
80…トナー
90…被清掃体
91…清掃対象面
E …長手方向
P1…2つの位置の一方(2つの位置の一例、第一位置の一例)
P2…2つの位置の他方(2つの位置の一例、第二位置の一例)
P3…1つの位置(1つの位置の一例)
J1…移動方向
J3…回転方向(移動方向の一例)
T …搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12