IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特開2024-48883ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置
<>
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図1
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図2
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図3
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図4
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図5
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図6
  • 特開-ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048883
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20240402BHJP
   F16B 37/02 20060101ALI20240402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F16B5/02 C
F16B37/02 D
F16B5/02 V
G03G15/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155021
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛之
【テーマコード(参考)】
2H171
3J001
【Fターム(参考)】
2H171FA03
2H171FA30
2H171GA12
2H171KA02
2H171KA27
2H171KA28
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA03
3J001KA19
3J001KB07
(57)【要約】
【課題】ネジ締結構造等において、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造に比べて、抑制する。
【解決手段】ネジ締結構造1は、ネジ固定具10と、バーリング加工したネジ孔23と、ネジ固定具10のネジ部12を通す通し孔24と、ネジ孔23と通し孔24とが向き合うように折り返した折り返し部22と、を有する締結補助部材20とを備え、ネジ孔23のバーリング加工で突出する突出部25を通し孔24とは反対側に突出させ、ネジ固定具10のネジ部12を通し孔24の通過後にネジ孔23にとめる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ固定具と、
バーリング加工したネジ孔と、前記ネジ固定具のネジ部を通す通し孔と、前記ネジ孔と前記通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部と、を有する締結補助部材と、
を備え、
前記ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部を前記通し孔とは反対側に突出させ、前記ネジ固定具のネジ部を前記通し孔の通過後に前記ネジ孔にとめるネジ締結構造。
【請求項2】
前記通し孔は、その縁が前記ネジ孔の前記突出部の曲げ根本部と対向するよう設けられている請求項1に記載のネジ締結構造。
【請求項3】
前記通し孔は、その孔径が前記ネジ孔のネジ径と同径になるよう設けられている請求項2に記載のネジ締結構造。
【請求項4】
前記折り返し部は、前記ネジ孔が設けられた一方の部分と前記通し孔が設けられた他方の部分とが、少なくとも前記ネジ孔の周辺部分と前記通し孔の周囲部分とが接触するよう重ね合わされている請求項1に記載のネジ締結構造。
【請求項5】
前記折り返し部は、前記一方の部分と前記他方の部分が向き合う全域で接触するよう重ね合わされている請求項4に記載のネジ締結構造。
【請求項6】
前記締結補助部材の前記折り返し部に前記ネジ固定具で締結される被締結部材を備え、
前記被締結部材に前記通し孔の孔径よりも大きい孔径の大径通し孔を設けている請求項1に記載のネジ締結構造。
【請求項7】
ネジ固定具のネジ部を通す大径通し孔を有する被締結部材と、
前記被締結部材を前記ネジ固定具で締結補助部材に締結するネジ締結構造と、
を備え、
前記ネジ締結構造が請求項1乃至6のいずれか1項に記載のネジ締結構造で構成されている組み立て構造体。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のネジ締結構造を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ締結構造、組み立て構造体および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、左右両側を据付桟にネジで固定される平板状の、空気調和機の据付板が記載されている。
また特許文献1には、その据付板の左右両端より内側に垂直に延伸する折曲部を設け、その折曲部の一側に複数のバーリング穴を設け、他側に前記バーリング穴に相対応し、前記バーリング穴の突出部を前記折曲部を中心に内側に180度折り曲げ、前記据付板を前記据付桟にネジで固定してなることも記載されている。
【0003】
下記特許文献2には、第1の薄板部と、折返し部を有する第2の薄板部と、第1の薄板部と前記折返し部とを貫通するように螺着されたビスと、を備えた薄板部締結構造が記載されている。
【0004】
下記特許文献3には、雌ねじが形成された雌ねじ部材と、前記雌ねじに位置決めて挿通孔が形成された挿通孔部材と、その挿通孔を通して雌ねじに螺合することにより前記挿通孔部材と前記雌ねじ部材に固定する雄ねじ部材と、を備えた組み立て構造体が記載されている。
また特許文献3には、前記雌ねじ部材は、前記雌ねじ部材を構成する金属板材の一部分を二つ折して重ね合わせた重ね板部と、その重ね板部の両方の金属板材を貫通するねじ下孔と、を有して、前記重ね板部の両方の金属板材を貫通して前記ねじ下孔に前記雌ねじが形成され、前記雄ねじ部材が締め付けられた状態で前記重ね板部の両方の金属板材が密着していることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-26359号公報(段落0010、図3
【特許文献2】特開2004-11679号公報(段落0015-0019、図1
【特許文献3】特開2014-9698号公報(請求項1、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造に比べて、抑制できるネジ締結構造と、その締結構造を用いた組み立て構造体および画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
ネジ固定具と、
バーリング加工したネジ孔と、前記ネジ固定具のネジ部を通す通し孔と、前記ネジ孔と前記通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部と、を有する締結補助部材と、
を備え、
前記ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部を前記通し孔とは反対側に突出させ、前記ネジ固定具のネジ部を前記通し孔の通過後に前記ネジ孔にとめるネジ締結構造である。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明のネジ締結構造において、
前記通し孔は、その縁が前記ネジ孔の前記突出部の曲げ根本部と対向するよう設けられているネジ締結構造である。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明のネジ締結構造において、
前記通し孔は、その孔径が前記ネジ孔のネジ径と同径になるよう設けられているネジ締結構造である。
【0010】
第4の発明は、上記第1の発明のネジ締結構造において、
前記折り返し部は、前記ネジ孔が設けられた一方の部分と前記通し孔が設けられた他方の部分とが、少なくとも前記ネジ孔の周辺部分と前記通し孔の周囲部分とが接触するよう重ね合わされているネジ締結構造である。
【0011】
第5の発明は、上記第4の発明のネジ締結構造において、
前記折り返し部は、前記一方の部分と前記他方の部分が向き合う全域で接触するよう重ね合わされているネジ締結構造である。
【0012】
第6の発明は、上記第1の発明のネジ締結構造において、
前記締結補助部材の前記折り返し部に前記ネジ固定具で締結される被締結部材を備え、
前記被締結部材に前記通し孔の孔径よりも大きい孔径の大径通し孔を設けているネジ締結構造である。
【0013】
第7の発明は、
ネジ固定具のネジ部を通す大径通し孔を有する被締結部材と、
前記被締結部材を前記ネジ固定具で締結補助部材に締結するネジ締結構造と、
を備え、
前記ネジ締結構造が上記第1から第6の発明のいずれかのネジ締結構造で構成されている組み立て構造体である。
【0014】
第8の発明は、
上記第1から第6の発明のいずれかのネジ締結構造を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
上記第1の発明によれば、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造に比べて、抑制できる。
【0016】
上記第2の発明によれば、通し孔は、その縁がネジ孔の突出部の曲げ根本部よりも手前の部分に対向するよう設けられている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制できる。
【0017】
上記第3の発明によれば、通し孔は、その孔径がネジ孔のネジ径よりも大径になるよう設けられている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを確実に抑制できる。
【0018】
上記第4の発明によれば、折り返し部におけるネジ孔が設けられた一方の部分と通し孔が設けられた他方の部分が向き合う全域で離れている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制しやすくなる。
【0019】
上記第5の発明によれば、折り返し部における一方の部分と他方の部分が向き合う領域の一部で離れている場合に比べて、折り返し部の強度を向上させつつ、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制できる。
【0020】
上記第6の発明によれば、締結補助部材の折り返し部にネジ固定具で締結される被締結部材にその折り返し部の通し孔の孔径よりも大きい孔径の大径通し孔を設けた場合であっても、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形してネジ締結が不良になることを抑制できる。
【0021】
上記第7および第8の発明によれば、ネジ締結構造として、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造を適用する場合に比べて、抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係るネジ締結構造を用いた組み立て構造体の断面概要図である。
図2図1の組み立て構造体を分解した状態の断面概要図である。
図3】(A)はネジ締結した構造部分の断面概要図、(B)はネジ締結構造の一部の断面概要図である。
図4】(A)は変形例1の折り返し部の断面概要図、(B)は変形例2の折り返し部の断面概要図である。
図5】変形例3の折り返し部の断面概要図である。
図6】実施の形態2に係る、ネジ締結構造を備えた画像形成装置の概要図である。
図7】(A)は比較例のネジ締結構造の一部の断面概要図、(B)は(A)のネジ締結構造で発生する不具合の状態を示す断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
◎実施の形態1.
図1には、本発明の実施の形態1に係るネジ締結構造1を用いた組み立て構造体4が概念的に示されている。図2には、組み立て構造体4を分解した状態が概念的に示されている。
本明細書および図面では実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、本明細書ではその構成要素の重複説明を省略する。
【0025】
・組み立て構造体
組み立て構造体4は、図1に示されるように、被締結部材30と、被締結部材30をネジ固定具10で締結補助部材20に締結するネジ締結構造1とを少なくとも備えている。
【0026】
組み立て構造体4は、被締結部材30をネジ締結構造1におけるネジ固定具10で締結補助部材20に締結する組み立て工程を含んで組み立てられる構造物である。
このため、組み立て構造体4は、各種の装置や機器、部品等の構造物の全体であっても、その構造物を構成する一部であってもよい。その構造物を構成する一部とは、例えば、一構造部分、部品等である。
【0027】
被締結部材30は、ネジ締結構造1を介して所要の締結先にネジ締結して取り付けられる部材である。被締結部材30は、一般に全体が板状の部材になるが、ネジ締結する部分が板状の形態であって、それ以外の部分が板以外の形状からなる部材であってもよい。
被締結部材30としては、例えば、外装材(外カバー)、被覆材(内カバー)、最終部品等のように最終段階でネジ締結される部材や、内蔵部品、内側部品、取付け補助材(ブラケット等)等のように途中の段階でネジ締結される部材等が挙げられる。
【0028】
また、被締結部材30は、その所要の位置に、ネジ固定具10で締結する際、ネジ固定具10のネジ部12を通す所要の孔径Dbからなる円形の大径通し孔31が設けられている。大径通し孔31は、その孔径Dbが、ネジ締結構造1における後述する折り返し部22に設ける通し孔24の孔径D1よりも大きい孔径の関係(Db>D1)になる通し孔である。
【0029】
実施の形態1に係る組み立て構造体4は、図1に示されるように、被締結部材30が締結されるネジ締結構造1における締結補助部材20をネジ締結で取り付ける取付け補助材35と、その取付け補助材35をネジ締結で取り付ける支持体40も備えている。
【0030】
・ネジ締結構造体
次に、ネジ締結構造1は、図1図3(A)に示されるように、ネジ固定具10と、締結補助部材20とを少なくとも備えたネジ締結構造として構成されている。
【0031】
ネジ固定具10は、ネジ締結により締結対象物を固定する治具である。ネジ固定具10は、図2に示されるように、固定部11とネジ部12を有している。固定部11とネジ部12は、通常は当初より一体化されたものであるが、未使用時には別体であって使用時に一体化されるものであってもよい。
【0032】
固定部11は、被締結部材30をネジ締結するときに、被締結部材30に押し付けるよう接触して固定した状態に保つ部分である。固定部11は、ネジ部12の径よりも大きく被締結部材30に接触して固定した状態に保たれる形態であれば、その形態等については特に制約されない。
【0033】
固定部11は、その上面部に、プラス又はマイナスのドライバー、多角レンチ等の工具を差し込んで回転作業を行うための作業溝11bが設けられている。また、固定部11は、その側面部にナットの山、滑り止めの凹凸等の作業形状が設けられているものでもよい。さらに、固定部11は、上面部に作業溝11bが設けられ、その側面部にナットの山が設けられるという併設型のものでもよい。
【0034】
ネジ部12は、固定部11の片側において円柱状に延びる胴部や、円柱状に延びるとともに先端部が円錐状に先細りする胴部を有する。また、ネジ部12は、その胴部の外周面に、所要のネジ径Mnからなる雄ネジ12nが形成されている。
【0035】
締結補助部材20は、図1図2に示されるように、バーリング加工したネジ孔23と、ネジ固定具10のネジ部12を通す通し孔24と、ネジ孔23と通し孔24とが向き合うように折り返した折り返し部と22を有する板状の部材である。
締結補助部材20は、金属等の材料で構成されている。
【0036】
実施の形態1における締結補助部材20は、図2に示されるように、本体部21と、本体部21の一部に設けられる折り返し部22とを有した板状の部材である。
本体部21は、例えば、ほぼ平板状の基板部と基板部の一端部をほぼ直角に折り曲げた曲げ部を有する形状になっている。また、本体部21には、図2に示されるように、締結補助部材20を後述する取付け補助材35にネジ締結で取り付けるためのネジ固定具10のネジ部12を通す第二通し孔26が設けられている。
折り返し部22は、本体部21における曲げ部の端部で再度ほぼ直角に折り曲げた状態で設けられている。
【0037】
折り返し部と22は、締結補助部材20の一部が二つ折りされた部分である。
折り返し部と22は、図2図3(B)に示されるように、その一方の部分である折り元部分22aと、その他方の部分である返し部分22bとを有する。返し部分22bは、折り元部分22aの一端部を折り曲げて折り返した部分である。折り元部分22aは、締結補助部材20の本体部21における曲げ部の一端側に曲げた状態で設けられている。
また、折り返し部と22は、図3(B)に示されるように、折り返し時に曲げられた曲げ部22cも有している。
【0038】
ネジ孔23は、図3(B)に示されるように、バーリング加工で形成されるネジ孔であり、所要のネジ径Dnからなる円形のネジ孔である。ネジ孔23は、締結補助部材20の折り返し部22における折り元部分22aに設けられる。
【0039】
また、ネジ孔23は、図2図3(B)に示されるように、バーリング加工時に折り元部分22aの片側表面に突出した状態で形成される円筒状の突出部25を有している。突出部25の内周面には、図3(B)に示されるように、ネジ固定具10のネジ部12の雄ネジ12nがネジ止めされる雌ネジ23nが形成されている。
【0040】
通し孔24は、図3(B)に示されるように、所要の孔径D1からなる円形の孔である。通し孔24は、締結補助部材20の折り返し部22における返し部分22bに設けられる。
また、通し孔24は、ネジ固定具10のネジ部12を通すため、その孔径D1がネジ部12のネジ径Mnよりも大きい寸法になっている(D1>Mn)。
【0041】
さらに、通し孔24は、図3(B)に示されるように、その開口端になる縁24aが、ネジ孔23の突出部25の曲げ根本部25dに可能な限り接近した位置に存在するよう設けられている。
【0042】
ここで、上記突出部25の曲げ根本部25dは、ネジ孔23が設けられる折り返し部22の折り元部分22aのうち突出部25の肉厚部分に相当する部分である。
また、上記通し孔24の縁24aが曲げ根本部25dに可能な限り接近した位置とは、通し孔24の縁24aとネジ孔23の突出部25の外周部との距離α1が可及的に小さい寸法になることをいう。この距離α1は、ネジ孔23のネジ径Dnの大小によっても変動するが、1mmよりも小さい値であることが好ましい。
さらに、通し孔24の孔径D1は、ネジ孔23の突出部25の外周部の直径Dtよりも大きい寸法(図3(B)参照)でかつ後述する被締結部材30の大径通し孔31の孔径Dbよりも小さい寸法(図2参照)になる。
【0043】
折り返し部22は、図3(B)に示されるように、ネジ孔23と通し孔24とが同心となって向き合うように折り返えされている。
折り返し部22では、ネジ孔23と通し孔24とが同心となって向き合うようになることが好ましい。図3(B)における一点鎖線は、ネジ孔23と通し孔24とが同心の状態にあることを示している。
【0044】
そして、ネジ締結構造1では、図1図2図3(A)等に示されるように、ネジ孔23のバーリング加工で突出する突出部25を通し孔24とは反対側に突出させている。
つまり、ネジ孔23の突出部25は、通し孔24が設けられた返し部分22bがある側とは反対側に突出している。
【0045】
また、ネジ締結構造1では、図2に矢付き一点鎖線Eで例示されるように、ネジ固定具10のネジ部12を、通し孔24を通過させた後にネジ孔23にとめるようになっているこれにより、ネジ固定具10のネジ部12における雄ネジ12nが、ネジ孔23における雌ネジ23nにネジ止めされる。
【0046】
さらに、実施の形態1における折り返し部22は、図3(B)等に示されるように、ネジ孔23が設けられた折り元部分22aと、通し孔24が設けられた返し部分22bが向き合う全域で接触するよう重ね合わされている。
これにより、折り返し部22における折り元部分22aと返し部分22bとは、その向き合う全域で意図的な隙間が生じない状態で接し合っている。
【0047】
また、実施の形態1における締結補助部材20の第二通し孔26の孔径D2は、取付け補助材35の後述する第二ネジ孔36がバーリング加工したネジ孔であって上記ネジ固定具10が同様に止められるものである場合、上記折り返し部22における通し孔24の孔径D1と同じであることが好ましい。
【0048】
・ネジ締結構造によるネジ締結
ネジ締結構造1は、通常、図1図3(A)に示されるように、大径通し孔31を有する被締結部材30を、締結補助部材20の折り返し部22にネジ固定具10でネジ締結させるために使用される。
【0049】
この場合、ネジ固定具10は、図3(A)に示されるように、そのネジ部12を、被締結部材30における大径通し孔31を通し、しかる後、折り返し部22における通し孔24を通してからネジ孔23にとめることになる。
これにより、ネジ固定具10のネジ部12がネジ孔23にとめられると、被締結部材30は、ネジ固定具10の固定部11が大径通し孔31の周囲部分に接触して締結補助部材20の折り返し部22の返し部分22bに押し付けられた状態になって固定される。すなわち、被締結部材30は、ネジ固定具10にて締結補助部材20の折り返し部22にネジ締結される。
【0050】
そして、ネジ締結構造1では、ネジ固定具10をネジ孔23に締め付けた際、ネジ孔23のバーリング加工で突出する突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形すること(図7(B)参照)が、図7(A)に示される比較例のネジ締結構造1Xに比べると抑制される。
【0051】
比較例のネジ締結構造1Xは、図7(A)に示されるように、ネジ固定具10と、バーリング加工したネジ孔23を折り返しがされていない部分に設けた締結補助部材20xを備えたものである。
この比較例のネジ締結構造1Xは、実施の形態1に係るネジ締結構造1のように、ネジ孔23とネジ固定具10のネジ部12の通し孔24とが向き合うように折り返した折り返し部22を有する締結補助部材20においてネジ孔23の突出部25を通し孔24とは反対側に突出させ、ネジ固定具10のネジ部12を通し孔24の通過後にネジ孔23にとめる構成でないネジ締結構造であるともいえる。
【0052】
このような比較例のネジ締結構造1Xでは、ネジ固定具10をネジ孔23に締め付けた際、図7(B)に例示されるように、ネジ孔23のバーリング加工で突出する突出部25がネジ固定具10の締め付けで通し孔24の内側に座屈して沈み込むように変形してしまうことがある。
【0053】
この変形は、被締結部材30における大径通し孔31の開口角部31cを支点にして曲がり始めるかのように起こる。
また、この変形は、軽量化等の観点から締結補助部材20xの板厚Jxを1mmよりも薄い寸法にする(薄板にする)と、発生しやすくなる傾向にある。
そして、この変形は、ネジ孔23における雌ネジがネジ固定具10のネジ部12における雄ネジとの噛み合いが正常にできなくなる、いわゆるネジばかを誘発することになる。
【0054】
さらに、この変形は、図7(A)に示されるように、被締結部材30における大径通し孔31の縁31aがネジ孔23の突出部25の曲げ根本部又は外周部からの距離αxが大きくなるにつれて起こりやすくなる。
【0055】
このときの距離αxは、実施の形態1に係るネジ締結構造1における距離α1(図3(B)参照)よりも少なくとも大きい寸法になる場合である(αx>α1)。
これは、換言すれば、被締結部材30xにおける大径通し孔31xの孔径Dxは、実施の形態1に係るネジ締結構造1における通し孔24の孔径D1よりも大きい関係になる場合でもある。
ただし、大径通し孔31xの孔径Dxは、実施の形態1に係るネジ締結構造1で適用する被締結部材30における大径通し孔24の孔径D1と同じ寸法であってもよい。大径通し孔31xの孔径Dxは、大径通し孔24の孔径D1よりも大きい寸法であっても構わない。
【0056】
この点、実施の形態1に係るネジ締結構造1では、締結補助部材20の全体(又は少なくとも折り返し部22)における板厚J1を1mmよりも薄い寸法にした場合であっても、また被締結部材30における大径通し孔31の孔径Dbが通し孔24の孔径D1よりも大きい関係になる場合であっても、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで変形することが抑制される。
【0057】
また、実施の形態1に係るネジ締結構造1では、締結補助部材20における折り返し部22が、ネジ孔23を設けた折り元部分22aと通し孔24を設けられた返し部分22bとを向き合う全域で接触するよう重ね合わせている(図3(B)参照)。
このため、ネジ締結構造1によれば、折り返し部22における折り元部分22aと返し部分22bが向き合う領域の一部で離れている場合に比べると、折り返し部22の強度が向上しつつ、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが抑制される。
【0058】
・組み立て構造体の詳細な構成
そして、実施の形態1に係る組み立て構造体4においては、被締結部材30をネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22にネジ締結しているにとどまらず、図1に示されるように、その締結補助部材20が取付け補助材35にネジ締結されて取り付けられ、しかも、その取付け補助材35が支持体40にネジ締結されて支持される構造体になっている。
【0059】
ここで、上記取付け補助材35は、組み立ての途中の段階で他の部材にネジ締結されるとともに、被締結部材30をネジ締結して取り付ける部材である。
実施の形態1における取付け補助材35は、例えば、断面形状がUの字状の形状になるよう折り曲げ加工された板状の部材(ブラケット)として構成されている。
【0060】
また、取付け補助材35のうち締結補助部材20がネジ締結される部分には、バーリング加工したネジ径Dnからなる円形の第二ネジ孔36が設けられている。第二ネジ孔36のネジ径Dnは、上記ネジ固定具10と同じネジ固定具を使用する場合は、上記ネジ孔23のネジ径Dnと同じである。
【0061】
また、取付け補助材35のうち支持体40にネジ締結する部分には、ネジ固定具10のネジ部12を通す孔径D3からなる円形の第三通し孔38が設けられている。第三通し孔38の孔径D3は、ネジ固定具10のネジ部12のネジ径Mnよりは大きい寸法であって上記通し孔24の孔径D1以下の寸法である(Mn<D3≦D1)。
【0062】
上記支持体40は、取付け補助材35をネジ締結して支持する構造物である。支持体40としては、支持フレーム、装置や機器の本体等が挙げられる。
実施の形態1における支持体40は、例えば、所要の形状からなる支持板として構成されている。
【0063】
また、支持体40のうち取付け補助材35がネジ締結される部分には、ネジ径Dnからなる円形の第三ネジ孔41が設けられている。第三ネジ孔41のネジ径Dnは、上記ネジ固定具10と同じネジ固定具を使用する場合は、上記ネジ孔23のネジ径Dnと同じである。
【0064】
・組み立て構造体の組み立て
組み立て構造体4は、支持体40に取付け補助材35をネジ締結して取り付けた後、その取付け補助材35にネジ締結構造1における締結補助部材20をネジ止めして取り付け、最後に、その締結補助部材20の折り返し部22に被締結部材30をネジ止めして取り付ける順番で組み立てられる。
【0065】
具体的には、最初に、取付け補助材35は、ネジ固定具10のネジ部12を取付け補助材35における第三通し孔38を通した後に、支持体40における第三ネジ孔41にとめることにより、支持体40に取り付けられる。
続いて、締結補助部材20は、ネジ固定具10のネジ部12を締結補助部材20の本体部21における第二通し孔26を通した後に、取付け補助材35における第二ネジ孔36にとめることにより、取付け補助材35に取り付けられる。
最後に、被締結部材30は、ネジ固定具10のネジ部12を締結補助部材20の折り返し部22における通し孔24を通した後に、その折り返し部22におけるネジ孔23にとめることにより、締結補助部材20の折り返し部22に取り付けられる。
【0066】
この際、組み立て構造体4では、被締結部材30が、ネジ固定具10のネジ部12をネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22にある通し孔24を通過させた後にバーリング加工されたネジ孔23にとめられる。
【0067】
したがって、組み立て構造体4においても、ネジ固定具10をネジ締結構造1におけるバーリング加工されたネジ孔23に締め付けた際、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが、上述したように図7(A)に示される比較例のネジ締結構造1Xに比べると抑制される。
【0068】
ちなみに、組み立て構造体4においては、ネジ締結する部品を複数介在させてネジ締結を繰り返すことになるため、公差が累積してネジ孔と通し孔との位置ずれが発生するようになる。実施の形態2では、ネジ締結する部品とは取付け補助材35と締結補助部材20の2つが該当するが、ネジ締結する部品はこれ以上の数であってもよく、その数が増えるにつれて公差の累積も増える。
【0069】
そこで、組み立て構造体4では、ネジ締結を最後まで円滑かつ確実に行うことを可能にする観点から、ネジ固定具10のネジ部12を通す通し孔の孔径を、ネジ締結の順番が遅くなるにつれて、公差の累積を考慮してネジ孔のネジ孔に対して次第に拡大する対策が施される。
その一方で、最後の方にネジ締結する被締結部材30においてネジ固定具10の通し孔を大径(大径通し孔24)にしたうえで、バーリング加工したネジ孔23にネジ締結した場合は、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形しやすくなってしまう。
【0070】
このことから、組み立て構造体4では、軽量化を図る観点から、例えば締結補助部材20の板厚J1を1mmよりも薄い寸法(例えば0.6mm程度)に変更して薄板化したい場合であっても、板厚J1が薄い締結補助部材20にバーリング加工したネジ孔23を設けると上記変形が発生しやすくなることを考慮して、締結補助部材20の薄板化を採用しにくかった。
また、薄板化した締結補助部材20にバーリング加工したネジ孔23を設けた場合には、そのネジ孔23にネジ締結して取り付ける被締結部材30の通し孔の孔径が拡大する程、ネジばかの発生要因の目安になる破壊トルクが下がって上記変形が発生しやすくなる。このため、この場合は、締結補助部材20の薄板化の採用をさらに難しくしていた。
【0071】
この点、実施の形態1に係るネジ締結構造1を用いた組み立て構造体4では、締結補助部材20の板厚J1を1mmよりも薄い寸法にする薄板化を採用した場合でも、その締結補助部材20における折り返し部22のネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することを抑制できるようになる。
しかも、この組み立て構造体4では、締結補助部材20における折り返し部22にネジ締結する被締結部材30のネジ固定具10を通す通し孔を大径化した大径通し孔31にしたままであっても、ネジ固定具10を締め付けた際にネジ孔23の突出部25が上記したように変形することが抑制される。
この結果、組み立て構造体4では、例えば締結補助部材20の板厚J1を薄板化することで軽量化を図ることが可能になる。
【0072】
また、この組み立て構造体4においては、ネジ締結構造1における締結補助部材20の本体部21の第二通し孔26の孔径D2について、上記したように締結補助部材20の折り返し部22の通し孔24の孔径D1と同じにした場合には、次の効果が得られる。
すなわち、この組み立て構造体4では、締結補助部材20における第二通し孔26の孔径D2について締結補助部材20の折り返し部22における通し孔24の孔径D1よりも大きい寸法にした場合に比べると、取付け補助材35におけるバーリング加工した第二ネジ孔36の突出部37が、ネジ固定具10の締め付けで第二通し孔26内に沈み込むように変形することが発生しにくくなる。
【0073】
・実施の形態1の変形例
上記ネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22については、図4(A)に示されるように、ネジ固定具10の通し孔としてその縁24aがネジ孔23の突出部25の曲げ根本部25dと対向する通し孔24Bを設けた変形例1の折り返し部22Bに変更してもよい。
この場合の通し孔24Bの孔径D5は、ネジ孔23のネジ径Dnよりも大きくかつ突出部25の外周部の直径Dtよりも小さい寸法になる。
【0074】
このような通し孔24Bを設けた変形例1の折り返し部22Bを採用したネジ締結構造1では、通し孔をその縁24aがネジ孔23の突出部25の曲げ根本部25dよりも手前の部分に対向するよう設けている場合に比べると、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが抑制される。
【0075】
また、上記ネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22については、図4(B)に示されるように、ネジ固定具10の通し孔としてその孔径D6がネジ孔23のネジ径Dnと同径になる通し孔24Cを設けた変形例2の折り返し部22Cに変更してもよい。
【0076】
このような通し孔24Cを設けた変形例2の折り返し部22Cを採用したネジ締結構造1では、通し孔をその孔径D6がネジ孔23のネジ径Dnよりも大径になるよう設けている場合に比べると、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが確実に抑制される。
【0077】
さらに、上記ネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22については、図5に例示されるように、折り返し部のうちネジ孔23が設けられた一方の部分である折り元部分22aと折り返し部のうち通し孔24が設けられた他方の部分である返し部分22Bとが、折り元部分22aにおけるネジ孔23の周辺部分22dと返し部分22bにおける通し孔24の周囲部分22eとが少なくとも接触するよう重ね合わされている変形例3の折り返し部22Dに変更してもよい。
【0078】
この場合、折り返し部22Dは、図5に例示されるように、その折り返し部22Dを形成する曲げ部22fからそれぞれ延びる折り元部分22aおよび返し部分22bの一定の範囲が離れた状態になる。
上記ネジ孔23の周辺部分22dは、折り元部分22aのうちネジ孔23の突出部25の曲げ根本部25dと曲げ根本部25dの一定の周辺部とを少なくとも含む範囲の領域であればよい。また、上記通し孔24の周囲部分22eは、返し部分22bのうち上記曲げ根本部25dと曲げ根本部25dの一定の周辺部とを少なくとも含む範囲の領域と向き合う領域であればよい。
【0079】
このような変形例3の折り返し部22Dを採用したネジ締結構造1では、折り返し部における折り元部分22aと返し部分22bとが向き合う全域で離れている場合に比べると、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが抑制されやすくなる。
【0080】
◎実施の形態2.
図6には、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置5が概念的に示されている。
画像形成装置5は、画像を形成することが可能な装置であって、ネジ締結構造1を備えた装置である。
【0081】
より具体的には、画像形成装置5は、図6に示されるように、内部空間51を有する筐体50と、その筐体50の内部空間51に配置される、記録媒体90に画像を形成する画像形成部60と、記録媒体90を収容して画像形成部60に供給する媒体供給部80と、ネジ締結構造1等を備えている。
【0082】
画像形成部60は、外部から入力される画像情報に基づく画像を記録媒体90に形成する機能を有する部分である。
画像形成部60は、電子写真方式、インク吐出方式、静電記録方式、感熱記録方式等の所要の画像形成方式に必要な機器やその関連機器等が配置されて構成されている。
【0083】
媒体供給部80は、画像形成部60で使用する記録媒体90を収容するとともに所望の時期に画像形成部60にむけて供給する部分である。
媒体供給部80は、複数の記録媒体90を収容する収容体81、その収容体81に収容されている記録媒体90を画像形成部60に接続される媒体搬送路85に送り出す図示しない送出装置等で構成されている。
記録媒体90は、画像形成部60による画像の形成が可能であって、媒体搬送路85により搬送することが可能な媒体であればよい。記録媒体90としては、例えば、用紙、封筒等のようなシート状の媒体が適用される。
【0084】
媒体搬送路85は、媒体供給部80から送り出される記録媒体90を画像形成部60に供給するよう搬送するとともに、画像形成部60で画像が形成された記録媒体90を筐体50の外部(媒体収容部等)に排出するよう搬送する部分である。この媒体搬送路85は、記録媒体90を搬送する複数の搬送ロール、記録媒体90を搬送先にむけて案内する案内部材等で構成されている。
【0085】
この画像形成装置5では、画像を形成する時期になると、次の画像形成動作が実行される。
すなわち、まず、画像形成部60において外部から入力される画像情報に基づく画像が所要の画像形成方式で作成される一方で、媒体供給部80において所要の記録媒体90が送り出されて媒体搬送路85を経由して画像形成部60まで搬送されて供給される。続いて、画像形成部60において、供給された記録媒体90に対して画像が転写、噴射等の動作により形成される。画像が形成された記録媒体90は、媒体搬送路85を経由して筐体50の外部に排出される。
これにより、画像形成装置5による基本的な画像形成動作が終了する。
【0086】
次に、ネジ締結構造1は、ネジ固定具10のネジ部12を通す大径通し孔31を有する被締結部材30と、その被締結部材30をネジ固定具10で締結補助部材20にネジ締結するネジ締結構造と、その締結補助部材20をネジ締結して取り付ける取付け補助材35と、その取付け補助材35をネジ締結して取り付ける支持体40と、を備えた組み立て構造体4Bの一部(上記ネジ締結構造)として採用されている。
【0087】
この場合、被締結部材30としては、内部カバー、外装カバー等が適用される。
また、取付け補助材35としては、電子機器、電気機器等の構成部品を装着したブラケットが適用される。取付け補助材35の一部には、上記構成部品が装着されている。
さらに、支持体40としては、筐体50の一部を構成する支持フレームが適用される。
【0088】
また、ネジ締結構造1は、実施の形態1に係るネジ締結構造1やその変形例の場合(図1図5を参照)と同様に、ネジ固定具10と、バーリング加工したネジ孔23とネジ固定具10の通し孔24とそのネジ孔23と通し孔24が向き合うように折り返した折り返し部22と、を有する締結補助部材20とを備えている。
締結補助部材20については、実施の形態1又はその変形例として説明した締結補助部材20と同じ構成になっている。
【0089】
画像形成装置5においては、その製造過程等の所要の時期になると、上記組み立て構造体4Bの組み立て作業が行われる。組み立て構造体4Bの組み立て作業は、実施の形態1で説明した組み立て構造体4の組み立て作業とほぼ同じである。
その組み立て作業において内部カバー、外装カバーである被締結部材30は、実施の形態1に係るネジ締結構造1や組み立て構造体4の場合と同様に、ネジ締結構造1における締結補助部材20の折り返し部22にネジ固定具10にてネジ締結される。
【0090】
そして、画像形成装置5においても、被締結部材30を締結補助部材20の折り返し部22にネジ締結した取り付ける組み立て段階で、ネジ固定具10をネジ締結構造1におけるバーリング加工されたネジ孔23にとめた際(図1図3等参照)、ネジ孔23の突出部25がネジ固定具10の締め付けで沈み込むように変形することが、実施の形態1で説明したように図7(A)に示される比較例のネジ締結構造1Xに比べると抑制される。
【0091】
また、画像形成装置5における組み立て構造体4Bにおいても、実施の形態1に係る組み立て構造体4の場合と同様に、例えば、ネジ締結構造1における締結補助部材20の板厚J1を薄板化することで軽量化を図ることが可能になる。
【0092】
◎他の変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1(変形例を含む)と実施の形態2として例示した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形や実施が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に例示する変形例も含むものである。
【0093】
実施の形態1,2に係るネジ締結構造1においては、締結補助部材20における折り返し部22にネジ孔23と通し孔24が複数組設けられていてもよい。また、締結補助部材20は、ネジ孔23と通し孔24が設けられた折り返し部22が、複数組存在していてもよい。
【0094】
実施の形態1に係るネジ締結構造1を用いた組み立て構造体4は、ネジ締結構造1を有効に適用できる装置であれば、いかなる種類の装置であってもよい。つまり、その組み立て構造体4は、画像形成装置5以外の装置の一部又は全部として適用することも可能である。
【0095】
(付記)
(((1)))
ネジ固定具と、
バーリング加工したネジ孔と、前記ネジ固定具のネジ部を通す通し孔と、前記ネジ孔と前記通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部と、を有する締結補助部材と、
を備え、
前記ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部を前記通し孔とは反対側に突出させ、前記ネジ固定具のネジ部を前記通し孔の通過後に前記ネジ孔にとめるネジ締結構造。
(((2)))
前記通し孔は、その縁が前記ネジ孔の前記突出部の曲げ根本部と対向するよう設けられている(((1))) に記載のネジ締結構造。
(((3)))
前記通し孔は、その孔径が前記ネジ孔のネジ径と同径になるよう設けられている(((2)))に記載のネジ締結構造。
(((4)))
前記折り返し部は、前記ネジ孔が設けられた一方の部分と前記通し孔が設けられた他方の部分とが、少なくとも前記ネジ孔の周辺部分と前記通し孔の周囲部分とが接触するよう重ね合わされている(((1)))から(((3)))のいずれかに記載のネジ締結構造。
(((5)))
前記折り返し部は、前記一方の部分と前記他方の部分が向き合う全域で接触するよう重ね合わされている(((4)))に記載のネジ締結構造。
(((6)))
前記締結補助部材の前記折り返し部に前記ネジ固定具で締結される被締結部材を備え、
前記被締結部材に前記通し孔の孔径よりも大きい孔径の大径通し孔を設けている(((1)))から(((5)))のいずれかに記載のネジ締結構造。
(((7)))
ネジ固定具のネジ部を通す大径通し孔を有する被締結部材と、
前記被締結部材を前記ネジ固定具で締結補助部材に締結するネジ締結構造と、
を備え、
前記ネジ締結構造が(((1)))から(((6)))のいずれかに記載のネジ締結構造で構成されている組み立て構造体。
(((8)))
(((1)))から(((6)))のいずれかに記載のネジ締結構造を備える画像形成装置。
【0096】
(((1)))に係るネジ締結構造によれば、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造に比べて、抑制できる。
(((2)))に係るネジ締結構造によれば、通し孔は、その縁がネジ孔の突出部の曲げ根本部よりも手前の部分に対向するよう設けられている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制できる。
(((3)))に係るネジ締結構造によれば、通し孔は、その孔径がネジ孔のネジ径よりも大径になるよう設けられている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを確実に抑制できる。
(((4)))に係るネジ締結構造によれば、折り返し部におけるネジ孔が設けられた一方の部分と通し孔が設けられた他方の部分が向き合う全域で離れている場合に比べて、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制しやすくなる。
(((5)))に係るネジ締結構造によれば、折り返し部における一方の部分と他方の部分が向き合う領域の一部で離れている場合に比べて、折り返し部の強度を向上させつつ、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを抑制できる。
(((6)))に係るネジ締結構造によれば、締結補助部材の折り返し部にネジ固定具で締結される被締結部材にその折り返し部の通し孔の孔径よりも大きい孔径の大径通し孔を設けた場合であっても、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形してネジ締結が不良になることを抑制できる。
(((7)))に係る組み立て構造体および(((8)))に係る画像形成装置によれば、ネジ締結構造として、ネジ孔のバーリング加工で突出する突出部がネジ固定具の締め付けで沈み込むように変形することを、そのネジ孔とネジ締結具のネジ部を通す通し孔とが向き合うように折り返した折り返し部を有する締結補助部材においてネジ孔の前記突出部を通し孔とは反対側に突出させ、ネジ固定具のネジ部を通し孔の通過後にネジ孔にとめる構成でないネジ締結構造を適用する場合に比べて、抑制できる。
【符号の説明】
【0097】
1…ネジ締結構造
4,4B…組み立て構造体
5…画像形成装置
10…ネジ固定具
12…ネジ部
20…締結補助部材
22,20B,20C,20D…折り返し部
22a…折り元部分(折り返し部の一方の部分)
22b…返し部分(折り返し部の他方の部分)
22d…折り元部分のうちネジ孔の周辺部分
22e…返し部分のうち通し孔の周辺部分
24,24B,24C…通し孔
24a…縁
25…突出部
25d…曲げ根本部
30…被締結部材
31…大径通し孔
D1…孔径
Dn…ネジ径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7